タイトル: | 公開特許公報(A)_植物抽出物の残留農薬除去方法及び植物抽出物 |
出願番号: | 2004277757 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 36/00,A61K 36/75,A61K 36/28,A23L 1/015,B01D 11/00,A23L 1/30,A61K 31/352,A61K 31/357,A61P 1/04,A61P 1/16,C07B 63/00 |
中村 喜孝 桑原 浩誠 梶矢 哲博 JP 2006089414 公開特許公報(A) 20060406 2004277757 20040924 植物抽出物の残留農薬除去方法及び植物抽出物 ニューフード・クリエーション技術研究組合 395008506 廣田 浩一 100107515 流 良広 100107733 松田 奈緒子 100115347 中村 喜孝 桑原 浩誠 梶矢 哲博 A61K 36/00 20060101AFI20060310BHJP A61K 36/75 20060101ALI20060310BHJP A61K 36/28 20060101ALI20060310BHJP A23L 1/015 20060101ALI20060310BHJP B01D 11/00 20060101ALI20060310BHJP A23L 1/30 20060101ALN20060310BHJP A61K 31/352 20060101ALN20060310BHJP A61K 31/357 20060101ALN20060310BHJP A61P 1/04 20060101ALN20060310BHJP A61P 1/16 20060101ALN20060310BHJP C07B 63/00 20060101ALN20060310BHJP JPA61K35/78 YA61K35/78 KA61K35/78 TA23L1/015B01D11/00A23L1/30 BA61K31/352A61K31/357A61P1/04A61P1/16C07B63/00 C 5 OL 10 4B018 4B035 4C086 4C088 4D056 4H006 4B018MD48 4B018MF01 4B035LC09 4B035LG31 4B035LP22 4C086AA04 4C086BA08 4C086BA15 4C086GA02 4C086NA20 4C086ZA68 4C086ZA75 4C088AB27 4C088AB62 4C088AC01 4C088AC04 4C088BA09 4C088BA10 4C088BA32 4C088CA05 4C088CA06 4C088CA08 4C088CA10 4C088NA20 4C088ZA68 4C088ZA75 4D056AB14 4D056AB17 4D056AC06 4D056AC08 4D056AC24 4D056BA16 4D056CA01 4D056CA21 4H006AA02 4H006AD16 4H006AD17 4H006BB30 本発明は、超臨界乃至は亜臨界状態の炭酸ガス流体を用いた植物抽出物の残留農薬除去方法及び該残留農薬除去方法により得られた植物抽出物に関する。 炭酸ガス超臨界流体は、水を多量に含む試料において抽出効率が大きく低下するが、炭酸ガス超臨界流体をミクロバブル化させて液状物と混合接触させて、低温下で、効率よく大量に抽出することができる装置が提案されている(特許文献1及び2参照)。 植物より含水アルコール抽出される植物抽出物から、過去に使用された農薬のうち分解せずに土壌中に蓄積されていたものを原料植物が根から吸収したり、また栽培過程で使用された農薬が付着、又は吸収され、濃縮されて残留農薬が検出されることがある。 このような抽出物からの残留農薬の除去方法として、例えば、(1)植物乾燥原料を超臨界抽出する方法、及び(2)疎水性溶媒で抽出する方法がある。しかし、前記(1)の超臨界抽出では、高圧機器を用いるため、植物乾燥原料の抽出バッチ当たり仕込み量が少なくなり、多大な製造費用を要するという問題がある。一方、前記(2)の疎水性溶媒での抽出では、植物原料へ残存する溶媒回収時に多量の熱量を必要とするため、多大なエネルギー消費と褐変等の品質劣化が生じたり、また、残留農薬と物性の近似した成分も抽出して損失するおそれがある。 また、植物抽出物を体積比で10:90〜80:20の低級脂肪族アルコールと水との混合液に溶解させ、得られた溶液を細孔の最頻度半径が30〜120Åである多孔性吸着樹脂に接触させて溶液中の残留農薬を該吸着樹脂に吸着させ、処理後の溶液より植物抽出物を回収する植物抽出物中の残留農薬を除去する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかし、この方法においても、残留農薬と物性が近似した抽出成分は吸着損失が大きく、抽出物の収率が低くなってしまうという問題がある。 したがって植物抽出成分の損失や劣化がなく、残留農薬を効率良く除去する方法の開発が強く望まれているのが現状である。特開2001−128652号公報特開2001−299303号公報特開2000−72790号公報 本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、超臨界乃至は亜臨界状態の炭酸ガス流体を植物抽出材料に接触させることによって、植物抽出材料から残留農薬を効率良く除去することができ、植物抽出成分の損失や劣化がなく、低温で、連続抽出処理が可能となり、大量生産ができ、大幅なコストダウンが達成できる植物抽出物の残留農薬除去方法及び植物抽出物を提供することを目的とする。 前記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。即ち植物抽出材料を炭酸ガス超臨界流体に接触させることによって液−液抽出により残留農薬を効率良く除去できることを知見した。 また、炭酸ガス超臨界流体をミクロバブル化することにより短時間に炭酸ガスの飽和濃度にまで達することができる。更に、反応コイルを用いることにより抽出効率が飛躍的に高められ、従来のように植物抽出原料を乾燥して直接抽出することなく、アルコール抽出により大規模に効率よく抽出した後、液−液で超臨界抽出を行うことによって、超臨界流体が持つ拡散性と凝集性の性質を最大限に利用して、植物抽出成分の損失や劣化がなく、植物抽出物から残留農薬を効率良く除去できることを知見した。 本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、 <1> 植物抽出材料を炭酸ガス流体に接触させて該植物抽出材料中に該炭酸ガス流体を溶解させる炭酸ガス溶解工程と、該炭酸ガスを溶解させた植物抽出材料を炭酸ガスの超臨界乃至亜臨界状態に保持して撹拌する炭酸ガス超臨界処理工程と、前記植物抽出材料を常圧まで急速に減圧して該植物抽出材料中から炭酸ガスを除去する炭酸ガス除去工程とを含むことを特徴とする植物抽出物の残留農薬除去方法である。 <2> 炭酸ガス溶解工程において、メッシュが100μm以下のメッシュ状フィルタに通してミクロバブル化した炭酸ガス流体を用いる前記<1>に記載の植物抽出物の残留農薬除去方法である。 <3> 植物抽出材料が、植物抽出原料を水、親水性溶媒及びこれらの混合溶媒のいずれかで抽出処理して得られた植物抽出液、並びに植物抽出物を水、親水性溶媒及びこれらの混合溶媒のいずれかで溶解した植物抽出物溶液のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の植物抽出物の残留農薬除去方法である。 <4> 植物抽出材料が、植物抽出原料を水、エタノール及びこれらの混合溶媒のいずれかで抽出処理した植物抽出液、並びに植物抽出物を水、エタノール及びこれらの混合溶媒のいずれかで溶解した植物抽出物溶液のいずれかである前記<3>に記載の植物抽出物の残留農薬除去方法である。 <5> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の残留農薬除去方法により得られたことを特徴とする植物抽出物である。 本発明によると、従来における諸問題を解決でき、植物抽出材料を炭酸ガス超臨界流体に接触させることによって液−液抽出により、連続抽出として小型化し得、安価なコストで、植物抽出成分の損失や劣化がなく、植物抽出物から残留農薬を効率良く除去することができ、食品添加物、化粧料構成成分、医薬品、医薬部外品等、様々な分野で好適に用いることができる。(植物抽出物の残留農薬除去方法、及び植物抽出物) 本発明の植物抽出物の残留農薬除去方法は、炭酸ガス溶解工程と、炭酸ガス超臨界処理工程と、炭酸ガス除去工程とを含んでなり、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。 本発明の植物抽出物は、前記本発明の植物抽出物の残留農薬除去方法により得られる。 以下、本発明の植物抽出物の残留農薬除去方法の説明を通じて、本発明の植物抽出物の詳細についても明らかにする。 ここで、本発明の植物抽出物の残留農薬除去方法において、除去が可能な農薬としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、EPN、EPTC、p,p−DDD、p,p−DDE、α−BHC、β−BHC、γ−BHC、δ−BHC、アクリナトリン、アセタミプリド、アセフェート、イソフェンホス、イソフェンホスP=O、イソプロカルブ、イプロジオン、イミベンコナゾール、エジフェンホス、エスプロカルブ、エチオフェンカルブ、エトプロホス、エトリムホス、カズサホス、カプタホール、カルバリル、キナルホス、キノメチオネート、キャプタン、クロルピリホス、クロルフェンビンホス、クロルベンジレート、クロロプロファム、ジエトフェンカルブ、ジクロフルアニド、ジクロルボス、ジコホール、シハロトリン、ジフェノコナゾール、シフルトリン、シプロコナゾール、シペルメトリン、ジメチピン、ジメチルビンホス、シラフルオフェン、ダイアジノン、チオベンカルブ、チオメトン、デルタメトリン、テニルクロール、テブコナゾ−ル、テブフェンピラド、テフルトリン、テルブホス、トリアジメノール、トリクラゾール、トリクロホスメチル、パクロブトラゾール、パラチオン、パラチオンメチル、ハルフェンプロックス、ビテルタノール、ピラクロホス、ピリダベン、ピリフェノックス−E、ピリフェノックス−Z、ピリプロキシフェン、ピリミカルブ、ピリミジフェン、ピリミホスメチル、フェナリモル、フェニトロチオン、フェノカルブ、フェンスルホチオン、フェンチオン、フェントエート、フェンバレレート、ブチレート、フルシトリネート、フルトラニル、フルバリネート、フルシラゾール、プレチラクロール、プロチオホス、プロピコナゾール、ペルメトリン、ベンダイオカルブ、ペンディメタリン、ベンフレセート、ホサロン、ホスチアゼート、マラチオン、ミクロブタニル、メタミドホス、メチオカルブ、メトラクロル、メフェナセット、メプロニル、レナシル、エトフェンプロックス、オキサジキシル、クロルフェナピル、クロロタロニル、フェンプロパトロン、フサライド、ブタミホス、ブプロフェジン、フルジオキソニル、クレソキシムメチル、プロシミドン、メソミル、メタラキシル、メチダチオン、アゾキシストロビン、などが挙げられる。−炭酸ガス溶解工程− 前記炭酸ガス溶解工程は、植物抽出材料を炭酸ガス流体に接触させて該植物抽出材料中に該炭酸ガス流体を溶解させる工程である。 前記炭酸ガス溶解工程は、温度0〜30℃、圧力10〜30MPaの炭酸ガス飽和濃度条件で行われることが好ましい。 前記炭酸ガス溶解工程においては、メッシュが100μm以下のメッシュ状フィルタに通してミクロバブル化した炭酸ガス流体を用いることが、植物抽出材料への炭酸ガスの溶解性を向上させて炭酸ガスを飽和濃度にまで溶解させることができ、接触効率を上げる点で好ましい。メッシュが20μm以下のメッシュ状フィルタを用いることがより好ましい。 なお、高速ミキサー、超音波発生装置などを併用して植物抽出材料と炭酸ガスとの接触効率を高めることもできる。 前記植物抽出原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(1)植物抽出原料を水、親水性溶媒及びこれらの混合溶媒のいずれかで抽出処理して得られた植物抽出液、並びに(2)植物抽出物を水、親水性溶媒及びこれらの混合溶媒のいずれかで溶解した植物抽出物溶液のいずれかが好ましい。 前記植物抽出原料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、マリアアザミ、ポンカン、アザミ、アマチャ、アヘン、アロエベア、イチョウ、ウイキョウ、ウコン、ウスベニアオイ、ウラジロガシ、エイジツ、エゾウコギ、延命草、黄精、オウギ、オウゴン、オウバク、大麦、オトギリ草、柿、カミツレ、甘草、キダチアロエ、ギムネマ、キャベツ、玉竹、キラヤ、金銀花、菊花、クコ、紅参、苦参、熊笹、クワ、月桂樹葉、決明子、ゲンチアナ、小麦、米、ゴボウ、ゴマ、サルビア、サンザ、紫蘇、サンシシ、サンシュ、山椒、山薬、椎茸、紫恨、芍薬、車前草、十薬、生姜、白樺、スギナ、ステビア、センキュウ、センナ、センブリ、ソバ、大根、タイソウ、大豆、タマリンド、タラ、チンピ、当帰、トチュウ、冬虫夏草、トウモロコシ、刺梨、人参、忍冬、パセリ、浜防風、ハマメリス、姫松茸、ビルベリー、ビワ、ブクリョウ、ブドウ、ブルーベリー、ヘチマ、ヘマティン、菩提樹、牡丹皮、ホップ、松葉、桃、メリッサ、ユッカ、ヨクイニン、ヨモギ、ライ麦、ラカンカ、緑茶、リンゴ、ルイボス、ルスカス、霊芝、連銭草、ローズヒップ、ローズマリー等が挙げられる。 前記抽出処理としては、特に制限はなく、公知の方法の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水、熱水、親水性有機溶媒等による抽出処理、などが挙げられ、 前記抽出に用いる溶媒としては、水、親水性有機溶媒、若しくはこれらの混合液を室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。 前記水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。 前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。なお、水と親水性有機溶媒との混合系溶媒を使用する場合には、前記低級アルコールの場合には、水10質量部に対して低級アルコール1〜90質量部が好ましい。前記低級脂肪族ケトンの場合には、水10質量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40質量部が好ましい。前記多価アルコールの場合には、水10質量部に対して多価アルコール1〜90質量部が好ましい。 これらの中でも、植物抽出原料を水、エタノール及びこれらの混合溶媒のいずれかで抽出処理した植物抽出液、並びに植物抽出物を水、エタノール及びこれらの混合溶媒のいずれかで溶解した植物抽出物溶液のいずれかが好ましく、植物抽出原料の含水エタノール抽出液及び植物の含水エタノール抽出物を含水エタノールで溶解した植物抽出物含水エタノール溶液のいずれかが特に好ましい。 前記抽出処理は、例えば、抽出溶媒を満たした処理槽に植物抽出原料を投入し、必要に応じて時々攪拌しながら、30分から2時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は通常、植物抽出原料の5〜15倍量(質量比)であり、抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50〜95℃で1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40〜80℃で30分〜4時間程度である。−炭酸ガス超臨界処理工程− 前記炭酸ガス超臨界処理工程は、該炭酸ガスを溶解させた植物抽出材料を炭酸ガスの超臨界乃至亜臨界状態に保持して撹拌する工程である。 前記炭酸ガス超臨界処理工程は、温度31.1〜50℃(好ましくは31.5〜40℃)、圧力10〜30MPaの炭酸ガス超臨界条件を保持して行われることが好ましい。この条件において、植物抽出材料に溶解している炭酸ガスは速やかに超臨界状態に変化する。超臨界状態の炭酸ガスは、極めて効率的に拡散、凝集し、炭酸ガスの浸透により、植物抽出材料から残留農薬を効率良く除去することができる。−炭酸ガス除去工程− 前記炭酸ガス除去工程は、植物抽出材料にかけていた圧力を常圧まで急速に減圧して炭酸ガスを除去する工程である。 植物抽出材料にかけていた圧力を常圧まで急速に減圧することで、植物抽出材料中に溶け込んでいた炭酸ガスは瞬間的に膨張し、気化する。 本発明においては、更にリサイクル工程を含み、分離された炭酸ガス超臨界流体を減圧部にて抽出された溶質を分離し、炭酸ガスとしてモレキュラーシーブ脱水後粒状活性炭で脱臭して加圧液化処理を経て再利用することができ、コストダウンを図ることができる点で好ましい。 以上説明した本発明の植物抽出物の残留農薬除去方法は、各工程を連結して、連続処理することによって、植物抽出材料から残留農薬を効率良く除去することができる。 ここで、本発明の植物抽出物の残留農薬の除去方法を実施するための装置としては、例えば、図1に示すミクロバブル炭酸ガス超臨界処理装置が好適に挙げられる。なお、ミクロバブル炭酸ガス超臨界処理装置の詳細については、特開2001−299303号公報及び特開2001−128652号公報に記載されている。 図1に示すミクロバブル炭酸ガス超臨界処理装置は、植物抽出材料を原液供給タンク1から高圧ポンプ2にて溶解槽7へ連続供給し、該溶解槽7にて炭酸ガス流体に接触させる。 一方、液体二酸化炭素ボンベ3と溶解槽7底部との間には、冷却器4、ポンプ4、加熱器6を備えた炭酸ガス流路が設けられている。このように冷却器により液状炭酸ガスを冷却してポンプに通すことにより、圧力が一定となるので、炭酸ガスが一定量溶解槽中に入れることができる。 溶解槽7の下部にはメッシュ状フィルタ9が設けられている。設置したメッシュが100μm以下(好ましくはメッシュが20μm以下)のメッシュ状フィルタ9を通ってミクロバブル化した液化炭酸ガスと接触混合させることにより効率的に飽和濃度に達する。溶解槽7を0℃〜30℃に保持し圧力を10Mpa〜30Mpaに調整して炭酸ガスの飽和溶解濃度に達する拡散性が十分に発揮される。そして、飽和濃度に達した接触・混合液を反応コイル8(保持部)へ移し、31.1℃以上に加熱することにより炭酸ガスの超臨界状態とし、凝集性を有する炭酸ガス超臨界流体溶媒への溶質の抽出を行う。その後、反応液を気液分離槽10へ移し、植物精油抽出液と炭酸ガス超臨界流体とを分離する。このように分離槽を設けているので、超臨界処理の効率が向上する。 次に、分離された炭酸ガス超臨界流体は減圧部にて抽出された溶質を分離した後、炭酸ガスとしてモレキュラーシーブ脱水後粒状活性炭で脱臭して加圧液化処理を経て再利用される。分離回収された液体試料は減圧濃縮した後、噴霧乾燥して粉末製品が得られる。 なお、図1中、11は気液分離センサ、12は分離槽、13はトラップ、16は処理試料槽をそれぞれ表す。 本発明の植物抽出物の残留農薬除去方法によれば、植物抽出材料から残留農薬を効率よく除去することができ、植物抽出成分の損失がなく、品質劣化を防止し得、連続抽出処理が可能となり、大幅なコストダウンが達成できる。 本発明の植物抽出物の残留農薬除去方法により得られた植物抽出物は、残留農薬がほとんどすべて除去されており、安全性に優れ、医薬品、健康食品、化粧料、飲食品等に幅広く利用できる。 以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。(実施例1)−マリアアザミエキスの調製− マリアアザミの種子1kgを粉砕し、これを90質量%エタノール10Lにて室温循環しながら2時間抽出した。100メッシュスクリーンにて固液分離後、抽出粕へ90質量%エタノール(水とエタノールとの質量比1:9)10Lを加え、室温循環1時間抽出を行った。その後、100メッシュスクリーンにて固液分離した。2回の抽出液を合わせて珪藻土プリコートによる清澄ろ過を行い抽出液18Lを得た。次いで、得られた抽出液を減圧濃縮した後、エタノールを加えて60質量%エタノール溶液3Lを調製した。活性炭50gを加えた後、加熱して還流1時間を行い、清澄ろ過し、マリアアザミ抽出液2.5Lを得た。 得られたマリアアザミ抽出液の固形分は110gであった。また、マリアアザミ抽出液中における有効成分であるシリマリンの含有量は31質量%であった。 得られたマリアアザミエキスに含まれる残留農薬について、下記測定機器及び条件のGC−MSにて測定した結果、マラチオン0.02ppm、パラチオン0.015ppmの残留農薬の汚染が確認された。<GC−MS測定条件> 測定機器:アジレント(Agilent)社製 6890N GC、5973MSD カラム:HP−5MS、0.25μm×30m オーブン:80℃(2min)→30℃/min→180℃(5min)→3℃/min→260℃(10min) 流量:He 1mL/min 注入口:250℃ パルスドスプリットレス(パルス圧30psi、1.5min パージ1.45min) 注入量:2μL MS:SIM測定(EI)−マリアアザミ超臨界抽出物の調製− 上記で得られたマリアアザミの抽出液を、図1に示すミクロバブル超臨界処理装置(溶解槽7の下部にメッシュが100μmのメッシュ状フィルタを配置)を用いて、試料流量20mL/分、液化炭酸ガス流量20mL/分、処理圧力20Mpa、溶解槽温度20℃、反応コイル保持部温度40℃で通液処理し3時間抽出を行った。その結果、超臨界抽出物108gを得た。また、マリアアザミ超臨界抽出物中における有効成分であるシリマリンの含有量は31質量%であった。 得られたマリアアザミ超臨界抽出物について、残留農薬を上記同様にGC−MSにて測定した結果、マラチオン不検出及びパラチオン不検出となり農薬は除去された。また、超臨界抽出処理により、有効成分であるシリマリンの含有量には変化は生じないことが認められた。(実施例2)−ポンカンエキスの調製− ポンカン2500kgに抽出溶媒である30質量%エタノール(水とエタノールとの質量比7:3)50Lを加え、還流抽出器で80℃にて2時間加熱抽出し、熱時濾過した。得られた抽出液を合わせて減圧下に濃縮し、更に乾燥してポンカンの抽出物を得た。 得られた抽出物を吸着樹脂としてダイヤイオンHP−20(三菱化学株式会社製)を用いたカラムクロマトグラフィーで処理した後、70質量%含水メタノールで溶出した。得られた分画物を活性炭処理した。更に、減圧下で濃縮後、乾燥してノビレチン粗精製物1.3kgを得た。なお、ノビレチン粗精製物中の有効成分としてのノビレチンの含量は45質量%であった。 得られたノビレチン粗精製物に含まれる残留農薬を実施例1と同様にGC−MSにて測定した結果、メチダチオン0.15ppmの残留農薬の汚染が確認された。−ポンカン超臨界抽出物の製造− 上記で得られたノビレチン粗精製物を60質量%エタノールに溶解させた溶液を、図1に示すミクロバブル超臨界処理装置(溶解槽7の下部にメッシュが100μmのメッシュ状フィルタを配置)を用いて、試料流量20mL/分、液化炭酸ガス流量20mL/分、処理圧力20Mpa、溶解槽温度20℃、反応コイル保持部温度40℃で通液処理し3時間抽出を行った。 次に、得られた超臨界抽出液へ水を添加しエタノール濃度を5質量%以下となるように調製した。生じる沈殿をデカント法にて上澄液を除去し沈殿物を得た。得られた沈殿物へエタノール2Lを加え溶解し、得られた溶液を5℃に冷却した。冷却により生じた不溶物を清澄ろ過し、得られたろ液に水を添加しエタノール濃度を5質量%以下となるように調製した。生じた沈殿をデカント法にて上澄液を除去し沈殿物を減圧乾燥してポンカン超臨界抽出物1.2kgを得た。また、ポンカン超臨界抽出物中の有効成分であるノビレチンの含量は45質量%であった。 得られたポンカン超臨界抽出物について、残留農薬を実施例1と同様にGC−MSにて測定した結果、メチダチオン不検出となり農薬は除去された。また、超臨界処理により有効成分であるノビレチンの含有量には変化は生じないことが認められた。 本発明の植物抽出物の残留農薬除去方法によれば、植物抽出材料から残留農薬を効率よく除去することができ、品質劣化を防止し得、連続抽出処理が可能となり、大幅なコストダウンが達成できる。本発明の植物抽出物の残留農薬除去方法により得られた植物抽出物は、植物抽出成分の損失や劣化がなく、残留農薬がほとんどすべて除去されており、安全性に優れ、食品添加物、化粧料構成成分、医薬品、医薬部外品等、様々な分野で幅広く利用できる。図1は、本発明のミクロバブル超臨界処理装置の一例を示す概略図である。符号の説明 1 原液供給タンク 2 高圧ポンプ 3 液体二酸化炭素ボンベ 4 冷却器 5 炭酸ガス供給ポンプ 6 加熱器 7 溶解槽 8 反応コイル(保持部) 9 メッシュ状フィルタ 10 気液分離槽 11 気液分離センサ 12 分離槽 13 トラップ 16 処理試料槽 20 減圧部 植物抽出材料を炭酸ガス流体に接触させて該植物抽出材料中に該炭酸ガス流体を溶解させる炭酸ガス溶解工程と、該炭酸ガスを溶解させた植物抽出材料を炭酸ガスの超臨界乃至亜臨界状態に保持して撹拌する炭酸ガス超臨界処理工程と、前記植物抽出材料を常圧まで急速に減圧して該植物抽出材料中から炭酸ガスを除去する炭酸ガス除去工程とを含むことを特徴とする植物抽出物の残留農薬除去方法。 炭酸ガス溶解工程において、メッシュが100μm以下のメッシュ状フィルタに通してミクロバブル化した炭酸ガス流体を用いる請求項1に記載の植物抽出物の残留農薬除去方法。 植物抽出材料が、植物抽出原料を水、親水性溶媒及びこれらの混合溶媒のいずれかで抽出処理して得られた植物抽出液、並びに植物抽出物を水、親水性溶媒及びこれらの混合溶媒のいずれかで溶解した植物抽出物溶液のいずれかである請求項1から2のいずれかに記載の植物抽出物の残留農薬除去方法。 植物抽出材料が、植物抽出原料を水、エタノール及びこれらの混合溶媒のいずれかで抽出処理した植物抽出液、並びに植物抽出物を水、エタノール及びこれらの混合溶媒のいずれかで溶解した植物抽出物溶液のいずれかである請求項3に記載の植物抽出物の残留農薬除去方法。 請求項1から4のいずれかに記載の残留農薬除去方法により得られたことを特徴とする植物抽出物。 【課題】 超臨界乃至は亜臨界状態の炭酸ガス流体を用いた植物抽出成分の損失や劣化がなく、残留農薬を効率良く除去することができる植物抽出物の残留農薬除去方法及び植物抽出物の提供。【解決手段】 植物抽出材料を炭酸ガス流体に接触させて該植物抽出材料中に該炭酸ガス流体を溶解させる炭酸ガス溶解工程と、該炭酸ガスを溶解させた植物抽出材料を炭酸ガスの超臨界乃至亜臨界状態に保持して撹拌する炭酸ガス超臨界処理工程と、前記植物抽出材料を常圧まで急速に減圧して該植物抽出材料中から炭酸ガスを除去する炭酸ガス除去工程とを含むことを特徴とする植物抽出物の残留農薬除去方法である。該炭酸ガス溶解工程において、メッシュが100μm以下のメッシュ状フィルタに通してミクロバブル化した炭酸ガス流体を用いる態様が好ましい。【選択図】 なし