生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_バニリンの晶析方法
出願番号:2004270732
年次:2006
IPC分類:C07C 45/81,B01D 9/02,C07C 47/58,C11B 9/00,C11B 9/02


特許情報キャッシュ

北 毅 布施 新作 横田 守久 JP 2006083117 公開特許公報(A) 20060330 2004270732 20040917 バニリンの晶析方法 宇部興産株式会社 000000206 北 毅 布施 新作 横田 守久 C07C 45/81 20060101AFI20060303BHJP B01D 9/02 20060101ALI20060303BHJP C07C 47/58 20060101ALI20060303BHJP C11B 9/00 20060101ALI20060303BHJP C11B 9/02 20060101ALI20060303BHJP JPC07C45/81B01D9/02 601JB01D9/02 602BB01D9/02 602EB01D9/02 603BB01D9/02 604B01D9/02 608AB01D9/02 625EC07C47/58C11B9/00 KC11B9/02 5 OL 11 4H006 4H059 4H006AA02 4H006AD15 4H006BB14 4H006BB16 4H006BB31 4H006BC50 4H059BA37 4H059BB14 4H059BB45 4H059CA06 4H059CA96 化粧品、食品等の重要香料であるバニリンの晶析方法に関する。 医薬品、工業薬品の製造においては、溶液状態での精製では充分な精製効果が得られないことから、最終製品の品質を確保するために晶析が行われる。この晶析において、最終製品の結晶の粒径、粒度分布を所望の値に制御する技術は重要である。 バニリンは、種晶を添加せずに自己核発生で晶析させた場合、高い過飽和度の溶液から急激に結晶が析出し、その際、スラリーが時として粥状或いはホイップクリーム状となるため、一定の粒径、粒度分布の結晶を得ることは困難であり、その晶析方法において、結晶の粒径、粒度分布を制御する方法については何ら知られていなかった。 本発明が解決しようとする課題は、化粧品、食品等の重要香料であるバニリンの結晶の、粒径及び粒度分布を制御する晶析方法を提供することである。 発明者は、バニリンの晶析方法を鋭意検討した結果、種晶を用いずに晶析させる場合、マックスブレンド(登録商標)翼を使用した場合、粥状或いはホイップクリーム状にならない事を見出すと共に、種晶を用いて晶析させる場合、種晶の添加時のバニリンを含む溶液の温度、即ち無次元過飽和度(Sc)と平均粒径及びアスベクト比(粒子の長軸と短軸の比)に相関関係があることを見出し本発明に至った。 即ち、本発明は、以下の通りである。 第1の発明は、バニリンを含有する溶液からバニリンの結晶を晶析させる方法において、攪拌翼として、マックスブレンド翼又はフルゾーン翼を使用し、無次元過飽和度(Sc)を、1<Sc<2.5に制御して種晶を添加することを特徴とするバニリンの晶析方法に関するものである。 第2の発明は、攪拌翼により、晶析槽内に上下の循環流を生起させることを特徴とする第1の発明に記載のバニリンの晶析方法に関するものである。 第3の発明は、攪拌翼が、マックスブレンド翼又はフルゾーン翼である第2の発明に記載のバニリンの晶析方法に関するものである。 第4の発明は、バニリンを含有する溶液が、バニリンを含有する極性溶媒の溶液である第1ないし第3の発明に記載のバニリンの晶析方法に関するものである。 第5の発明は、極性溶媒が、炭素原子数1〜5の脂肪族アルコール、炭素原子数1〜5の脂肪族ケトン、又は水、或いはこれらの溶媒の混合物である第4の発明に記載のバニリンの晶析方法に関するものである。 本発明の晶析方法を用いることにより、化粧品、食品等の重要香料であるバニリンの結晶の、粒径及び粒度分布を制御することができる。 また、本発明の晶析方法により、ろ過性が向上し、製造に要する時間を短縮することができるのみならず、フィルターケーキ(ろ過取得物)への母液の含液率を低減できるため乾燥工程の負荷が小さくなる。 以下、本発明のバニリンの晶析方法の好ましい実施態様について説明する。 晶析に供されるバニリンを含有する溶液としては、例えば、カテコールをメチル化してグアヤコールを得、ついでこれとグリオキシル酸とをアルカリ性で反応させて生ずる4−ヒドロキシ−3−メトキシマンデル酸を酸化脱炭酸する一般的なバニリンの製造方法で得られた未精製のバニリンを極性溶媒に溶解して得られる溶液が用いられる。 また、前述の粥状又はホイップクリーム状のバニリン、或いは粒子径が不揃いであるバニリンの結晶を、粒子径が大きく分布の揃った結晶に調整する目的で、前記極性溶媒に溶解して用いることもできる。 ここで用いられる極性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール又はペンタノールなどの炭素原子数1〜5の脂肪族アルコール(これら化合物は、その異性体も含む。)、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトンなどの炭素原子数1〜5の脂肪族ケトン(これら化合物は、その異性体も含む。)、又は水、或いはこれらの溶媒の混合物が挙げられるが、好ましくは水と脂肪族アルコールの混合物であり、更に好ましくは、水とメタノールの混合物である。 水とメタノールの混合物を使用する場合、その混合比、水:メタノール(重量比)が70:30〜95:5が好ましい。 攪拌は、攪拌翼を回転させる事によって行われる。攪拌翼の形状は、翼先端での箭断力が小さく、晶析槽内に上下の循環流を形成させるものが好ましく、種晶を用いずに晶析させる場合は、マックスブレンド翼(住友重機械工業社登録商標)が好ましい。また、種晶を用いて晶析させる場合は、晶析槽の底部から側壁に沿って母液の上昇流を形成させるタイプの攪拌翼であれば良く、例えば、ファウドラー翼、マックスブレンド翼、フルゾーン翼(神鋼環境ソリューション社登録商標)などが好ましい。この内、マックスブレンド翼又はフルゾーン翼が特に好ましい。 タービン翼、フラットパドル翼、傾斜パドル翼などの翼先端での箭断力の大きいタイプの攪拌翼は、同翼の攪拌により結晶が破壊されて粒子径が小さくなり、粒度分布が広くなるため好ましくない。 攪拌所要動力比(Pv)は、70〜350W/m3が好ましい。攪拌所要動力比(Pv)がこの範囲より小さいと生成した結晶が溶液中で完全に浮遊できず、晶析槽の底部に沈降して動かない結晶となり、やがて硬く固着してスケーリングを引き起こして、結晶の取り出し操作の障害となるのみならず、生成する結晶の粒度分布を乱す。逆に、この範囲より大きいと、攪拌翼との衝突により、生成した結晶の破壊が激しくなる。 ここで攪拌所要動力比(Pv)とは、バニリンを含有する溶液単位体積当りの攪拌に必要な動力であり、下記の通り定義される。 バニリンを含有する溶液の過飽和状態は、溶液を攪拌しつつ冷却することによって得られる。ここで、結晶析出時の無次元過飽和度(Sc)は、1<Sc<2.5が好ましい。2.5以上の場合、晶析が急激に起こり、粒子径の微細化や粒度分布の幅広化を引き起こし、1以下の場合、母液にバニリンが溶存し、バニリンが充分に晶析しない。 なお、無次元過飽和度(Sc)は、下記の通り定義される。 ここで、バニリンを含有する溶液として、前記のバニリンの反応溶液を用いる場合、バニリンの溶存量は、例えば、高速液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどにより定量される。 種晶を使用する場合、その添加は、無次元過飽和度(Sc)を2.5未満に制御して行われる。 種晶は、バニリンの結晶或いは同結晶を乳鉢等で粉砕したものが使用される。種晶の粒子が微粒すぎると種晶粒子どうしが凝集しやすいため、バニリン溶液中に投入しても分散しにくい。大きすぎると種晶粒子が粒成長して更に大きくなるため、製品結晶の中に粗大な粒子が混在することになり好ましくない。そのため、種晶は乾式篩い分け等によって分画して用いることが好ましい。好ましい種晶の粒子径の範囲は45〜90μmである。 種晶の添加量は、バニリンを含有する溶液中のバニリンの溶存量に対して、0.5〜5重量%が好ましい。少なすぎると種晶を投入しても結晶の生成が誘発されないことがあり、多すぎると経済的でない。 溶液の冷却速度は任意であるが、通常毎時1〜20℃、好ましくは毎時2〜10℃の範囲で行なわれる。冷却速度が速すぎると急激に無次元過飽和度が増大するため制御が難しく、冷却速度が遅すぎると生産効率が低下する。なお、冷却は、直線的な温度勾配で行なう以外に、晶析操作の進行に従って温度勾配を変化させて行なうこともできる。 上記晶析方法によって得られるバニリンの結晶は、ろ過によって単離される。 得られたバニリンの結晶のろ過速度は、以下の方法で測定した。[ろ過速度の測定法] 晶析して得られる、バニリン結晶を含んだスラリー3150gを、直径12cmの濾紙(東洋濾紙会社製5A濾紙)を用いて差圧0.2気圧で減圧濾過し、濾過に要する時間を測定した。[ケーキ含液量] 得られたフィルターケーキ(ろ過取得物)の重量を測定して、フィルターケーキに含まれるバニリン溶液の含有率をケーキ含液率として算出した。[粒度分布] 得られたバニリンの結晶の粒度分布は、光学顕微鏡を用いて、1つの試料あたり約50個の結晶粒子について長軸径/短軸径を測定することによって求めた。 平均粒子径は、長軸径の平均値として求めた。 アスペクト比は、長軸径と短軸径の比の平均値として求めた。 粒度分布幅は、結晶粒子の長軸径(D)について、粒子径がD以下である粒子個数の百分率(%)がR(D)とし、log(D)をX軸に、log(log(100/R(D)))をy軸にプロット(ロジン−ラムラープロット)し、最小自乗法で直線回帰し、その勾配として求めた。この値は粒度分布指数と呼ばれ、その絶対値が大きいほど粒度分布が揃っていることを示す。 本発明の晶析方法によって得られた結晶の平均粒子径(d50)を測定したところ、0.4mm以上であり、また、粒度分布幅が-2.0以下と結晶粒子の大きさが揃っていることがわかった。 内径160mmの晶析槽に、水90wt%メタノール10wt%の組成の溶媒3000gと市販のバニリン150gを入れ、直径90mmのマックスブレンド翼で攪拌しながら液温を60℃に上げてバニリンを完全に溶解させた。この溶液を攪拌回転速度:162rpm(Pv=170W/m3)で攪拌しながら毎時5℃の速度で冷却した。 液温が40℃(Sc=1.14)に達した時に種晶1.5gを投入すると結晶が析出した。更に20℃まで冷却した。晶析した結晶をろ別して、常温にて減圧乾燥した。以下、その結果を示す。 平均粒径:0.753mm 粒度分布幅:−2.239 アスペクト比:7.8 ろ過時間:11min ケーキ含液率:43.8% 種晶を投入する液温を34℃(Sc=2.08)に変えた以外は実施例1と同様に晶析操作を行った。 平均粒径:0.490mm 粒度分布幅:−3.1106 アスペクト比:11.0 ろ過時間:11min ケーキ含液率:44.4% 種晶の添加量を7.5gに変えた以外は実施例1と同様に晶析操作を行なった。 平均粒径:1.398mm 粒度分布幅:―2.603 ろ過時間:11min ケーキ含液率:41.5% 攪拌翼を径90mmのファウドラー翼に変え、回転数400rpm(Pv=170W/m3)とし、種晶の添加量を3.0gに変えた以外は実施例1と同様に晶析操作を行なった。 平均粒径:0.988mm 粒度分布幅:―2.569 ろ過時間:8min ケーキ含液率:35.6%[比較例1] 攪拌翼を径90mmのファウドラー翼、回転数400rpm(Pv=170W/m3)とし、種晶を添加せずに晶析した。溶液温度30℃(Sc=2.78)で結晶が析出し、ホイップクリーム状のスラリーとなった。 平均粒径:測定不能(0.1mm未満) 粒度分布幅:測定不能 ろ過時間:36min ケーキ含液率:90%[比較例2] 種晶を添加しない以外は実施例1と同様に晶析を行なった。溶液温度30℃(Sc=2.78)で結晶が析出した。 平均粒径:0.505mm 粒度分布幅:−2.107 ろ過時間:27min ケーキ含液率:62.9%ファウドラー翼マックスブレンド翼フルゾール翼無次元過飽和度(Sc)とバニリンの結晶の平均粒子径(d50(mm))の関係無次元過飽和度(Sc)とバニリンの結晶のアスペクト比(無次元)の関係無次元過飽和度と濾過時間の関係無次元過飽和度とケーキ含水率の関係実施例1のバニリン結晶の粒度分布実施例1のバニリンのロジン−ラムラープロット実施例1のバニリン結晶の顕微鏡写真比較例1のバニリン結晶の顕微鏡写真バニリンを含有する溶液からバニリンの結晶を晶析させる方法において、攪拌翼として、マックスブレンド翼又はフルゾーン翼を使用し、無次元過飽和度(Sc)を、1<Sc<2.5に制御して種晶を添加することを特徴とするバニリンの晶析方法。攪拌翼により、晶析槽内に上下の循環流を生起させることを特徴とする請求項1記載のバニリンの晶析方法。攪拌翼が、マックスブレンド翼又はフルゾーン翼である請求項2記載のバニリンの晶析方法。バニリンを含有する溶液が、バニリンを含有する極性溶媒の溶液である第1ないし第3の発明に記載のバニリンの晶析方法に関するものである。極性溶媒が、炭素原子数1〜5の脂肪族アルコール、炭素原子数1〜5の脂肪族ケトン、水、或いはこれらの溶媒の混合物から選ばれる請求項4記載のバニリンの晶析方法。 【課題】本発明が解決しようとする課題は、化粧品、食品等の重要香料であるバニリンの結晶の、粒径及び粒度分布を制御する晶析方法を提供することである。【解決手段】上記課題は、バニリンを含有する溶液からバニリンの結晶を晶析させる方法において、攪拌翼として、マックスブレンド翼又はフルゾーン翼を使用し、無次元過飽和度(Sc)を、1<Sc<2.5に制御して種晶を添加することを特徴とするバニリンの晶析方法によって解決される。【選択図】 なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る