タイトル: | 公開特許公報(A)_ビフィドバクテリウムロンガムBB536の検出法 |
出願番号: | 2004268042 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12Q 1/68,C12R 1/01 |
難波 和美 籏野 美智子 篠田 一三 石橋 憲雄 田村 吉隆 JP 2006081429 公開特許公報(A) 20060330 2004268042 20040915 ビフィドバクテリウムロンガムBB536の検出法 森永乳業株式会社 000006127 川口 嘉之 100100549 松倉 秀実 100090516 遠山 勉 100089244 難波 和美 籏野 美智子 篠田 一三 石橋 憲雄 田村 吉隆 C12N 15/09 20060101AFI20060303BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20060303BHJP C12R 1/01 20060101ALN20060303BHJP JPC12N15/00 AC12Q1/68 AC12Q1/68 AC12R1:01 3 OL 10 特許法第30条第1項適用申請有り 第8回腸内細菌学会 財団法人 日本ビフィズス菌センター 2004年(平成16年)6月3日 第8回腸内細菌学会プログラム検索ページ(平成16年3月17日にインターネットにより発表) 4B024 4B063 4B024AA05 4B024AA11 4B024CA01 4B024HA11 4B024HA14 4B063QA01 4B063QA18 4B063QQ06 4B063QQ42 4B063QR32 4B063QR62 4B063QS25 4B063QS34 4B063QX02 本発明は、ビフィドバクテリウム ロンガム(Bifidobacterium longum)の検出に関する技術に関し、特にビフィドバクテリウム ロンガムBB536菌株をPCRにより検出するためのプライマー、並びに、同プライマーを用いて同菌株を検出する方法及びキットに関する。本発明は微生物工業等の分野において有用である。 健常な正常者においてはビフィズス菌が腸内細菌の5〜20%存在している。ビフィズス菌は、乳酸と酢酸を2:3の割合で産生し、それらの酸によって大腸の蠕動運動を促進させ、大腸菌やウエルッシュ菌などの有害菌を抑制させ、さらに腐敗産物を抑制するなど便性を適正に保っているものと考えられている。これらのことから、乳製品に特定のビフィズス菌菌株を添加し発酵乳として飲用する、あるいは製剤化したビフィズス菌を投与することにより腸管機能の維持することが考案されている。ヒト由来のビフィズス菌をヒトに与えることはより生理的であり、特定の機能を有するヒト型のビフィズス菌を用いることが望まれている。ヒト型のビフィズス菌としては、例えばビフィドバクテリウム ロンガムBB536(CSCC5550)株が知られている。同菌株は、健康なヒトの腸管から分離されたものであり、整腸作用に加えて種々の作用を有し、ヨーグルト等の食品に使用されている(非特許文献1)。 上記のようなビフィズス菌の利用の有効性を評価するためには、例えば、糞便中のビフィズス菌の存在量を算出し、さらに各々のビフィズス菌の菌種を測定することによって、臨床的な効果を判定することが必要である。それによって、摂取されたビフィズス菌の大腸への移行率や生残率を明らかにすることが可能となり、その保健効果が判定可能となる。したがって摂取されたビフィズス菌を確実に識別する技術が求められている。 従来、糞便中や環境中のビフィズス菌は、検体を嫌気培養してコロニーを分離した後、グラム染色や検鏡による菌型の観察などの形態学検査、あるいは、フルクトース6−リン酸ホスホケトラーゼ活性、酸素耐性、糖発酵性などの生化学検査により、同定が行われて来た。前記の検体の培養は、菌数測定や菌種の同定に通常用いられる標準的な方法で行われるが、必ずしも全ての糞便中のビフィズス菌を培養できるわけではなく、また嫌気装置を用いて培養を行う必要があり、培養時間が数日から1週間程度必要であるなど、手間がかかり複雑である。また、検体に含まれるビフィズス菌を嫌気的かつ低温で保存し、生菌のまま分析に供しなければならず、さらに、分析を行う者の習熟度が要求されること等、多くの問題があった。 一方、近年、微生物の同定法としてリボソームRNA(rRNA)遺伝子を用いて検出する分子生物学的手法を用いて行われるようになってきた。原核生物のrRNA遺伝子は5S、16S、23SリボソームRNA遺伝子からなり、特に16S rRNA遺伝子は原核生物に普遍的に存在し、属及び菌種間に共通な塩基配列があるため16S rRNA遺伝子の塩基配列を基準株と比較して種を決定することができる。この方法は、被検菌の16S rRNAの塩基配列を決定した後、これと近縁の菌の16S rRNAの塩基配列を整列させ(アラインメント)、塩基配列の違いを解析することによって行われる。しかし、この方法では、比較対照として、土壌、汚泥、糞便や食品などに存在する菌の16S rRNAの配列を決定し、多数配列間での系統的な解析を行う必要であり、多大な労力と時間を要する(非特許文献2)。 また、被検菌が、既に16S rRNAの特異的配列が知られている比較対照の菌と同一種であるか否かは、その配列を検出するためのプローブを用いて決定することができる。このような技術を応用した例として、ビフィドバクテリウム ロンガムの16S rRNAを標的として検出するオリゴヌクレオチドおよびその誘導体をプローブとする検出方法が開示されている(特許文献1)。しかし、この方法は、実施に長時間を要するという問題がある。 一方、16S rRNA遺伝子を検出し得るPCRプライマーを用いてビフィズス菌を解析する技術が開示されている(特許文献2及び非特許文献3)。しかし、これらの文献に開示されているPCRプライマーはビフィドバクテリウム ロンガムを同定するためのPCRプライマーであり、ビフィドバクテリウム ロンガムの中でも特定の菌株を検出するものではない。 また、16S rRNA遺伝子と23S rRNA遺伝子の中間に位置するIntergenic transcribed spacerの塩基配列は、種間で相違点が多いことから、ビフィズス菌の菌種間の比較に使用可能であることが報告されている(非特許文献4)。しかし、同属同種異株間の比較に関して応用可能かどうかについては詳細に検討されていない。 また、染色体DNAの多型性を用いて菌株を同定する方法がある。例えば、制限酵素を用いて染色体DNAを切断し、その切断DNAをパルスフィールドゲル電気泳動(Pulsed−Field Gel Electrophoresis)によって分離後、染色を行い泳動パターンにより菌株の違いを比較するPFGE法が行われている(非特許文献5)。また、10塩基長程度のPCRプライマーを用いRAPD(Randum Amplified Polymorphic DNA)によってPCRを行い、アガロース電気泳動によって分離後、染色を行い泳動パターンを比較することが行われている(非特許文献6) しかし、PFGE法は精査を行うのには好適であるが、複雑な工程が必要であり、実施するのに数日が必要であるなどルティーンワークには不向きである。一方、RAPD法は迅速に検出が可能であるが、短いPCRプライマーを使用して低温でアニーリングを行うため、再現性が劣る、あるいは使用する機器によって結果が異なることが知られている。特開平6−197763号公報特開平11−123093号公報Bioscience Microflora Vol.16 p53−58 (1997)Progress in Nucleic Acid Reserch and Molecular Biology Vol.32 p155−216 (1985)Systematic and Applied Microbiology Vol.25 p.536(2002)International Jornal of systematic Bacteriology Vol.46 p.102−111 (1996)International Journal of Food Microbiology Vol.29 p11−29(1996)International Journal of Food Microbiology Vol.43, p185−193 (1998) 本発明は、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536に特異的であり、他のビフィドバクテリウム属細菌だけでなく、ビフィドバクテリウム ロンガムの異なる菌株と交差反応を示さず、迅速かつ簡便にビフィドバクテリウム ロンガムBB536を検出し得るPCRプライマー、及びそれを用いた検出法を提供することを課題とする。 本発明者らは、前期課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536を特異的に検出し得るPCRプライマーを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、以下のとおりである。(1)配列番号1の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドと、配列番号2の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドの対からなるビフィドバクテリウム ロンガムBB536を検出するためのPCRプライマー。(2)前記PCRプライマーを含むビフィドバクテリウム ロンガムBB536検出用のキット。(3)前記PCRプライマーを用いて、被検菌の染色体DNAを鋳型とするPCRを行い、増幅産物の有無を決定することを含む、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536を検出する方法。 本発明により、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536を、簡便、迅速に、かつ同種のビフィドバクテリウム ロンガムと交差反応を示すことなく、検出することができる。 本発明のPCRプライマーは、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536に特異的な塩基配列を有する染色体DNA領域をPCR(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション、White,T.J. et al., Trends Genet., 5,185 (1989))により増幅し得る2種のオリゴヌクレオチドの対からなる。 尚、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536は、オーストラリアの菌株寄託機関CSIRO Starter Culture Collection,CSIRO Division of Foodscience(オーストラリア、3190、ビクトリア州、ハイエット、グラハムロード(Graham Road, Highett. Vic. 3190, Australia))にCSCC5550として寄託されている菌株と同一の菌株である。また、同株は、米国の菌株寄託機関American Type Culture Collection(米国、20110、ヴァージニア州、マナサス、ユニバーシティ ブルバード10801(10801 University Boulevard, Manassas, VA 20110, United States of America))に、ATCC BAA−999の受託番号で寄託されている。 本発明のプライマーは、当業者によく知られた通常のDNAの合成法により、例えばDNA合成機を用いて合成することができる。また、DNA合成業者に合成を委託することによっても、本発明のプライマーを得ることができる。 本発明のPCRプライマーを用いて、被検菌の染色体DNAを鋳型とするPCRを行い、増幅産物の有無を決定することにより、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536を検出することができる。すなわち、プライマーの配列に特異的なPCR反応が起こると、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536の染色体DNA内の、各プライマーの配列に相当する配列に挟まれた領域(標的領域)が増幅される。したがって、本発明のPCRプライマーを用いて増幅産物が得られれば、被検菌はビフィドバクテリウム ロンガムBB536であると同定されるか、又は、被検菌にビフィドバクテリウム ロンガムBB536が含まれていると判定される。また、PCRを定量的に行うことにより、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536の存在量を測定することもできる。また、増幅産物が得られる場合は、増幅産物の有無の決定には、増幅産物の長さの決定が含まれてもよい。被検菌にビフィドバクテリウム ロンガムBB536が含まれていれば、通常は434bpの増幅産物が得られる。尚、本発明において、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536の検出とは、試料中にビフィドバクテリウム ロンガムBB536が存在するか否かを検出すること、及び、被検菌が単一種である場合には、同被検菌がビフィドバクテリウム ロンガムBB536であるか否かを同定すること、さらには、試料中のビフィドバクテリウム ロンガムBB536の存在量を測定することを含む。 被検菌は、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536が存在し得る試料に含まれる細菌であれば特に制限されず、例えば、糞便、食品、又は土壌等の環境中に含まれる細菌が挙げられる。好ましくは、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536又は同菌株以外のビフィズス菌、特にビフィドバクテリウム ロンガムである。被検菌は、分離された単一種であってもよく、複数の菌種を含む混合物であってもよい。 前記鋳型には、被検菌の染色体DNAを用いる。染色体DNAの調製は、PCRの鋳型となり得るこれらの核酸を取得することができるものであれば特に制限されず、通常、細菌の染色体DNAの抽出又は単離に用いられる方法を採用することできる。 前記核酸の抽出に用いる菌体は、例えば、前記糞便、食品、又は土壌等から得た被検菌を、適当な培地、例えば3%グルコースを添加したGAM寒天培地で、二酸化炭素存在下で嫌気的に培養を行うことによって、取得することができる。また、必要に応じて、水、緩衝液、有機溶媒等によって培地から菌体を抽出してもよい。 得られた菌体から目的の核酸を抽出するには、例えば、日本バイオラッド社のインスタジーンマトリックス(InstaGene Matrix)や、Qiagen社のQIAamp DNA Stool Mini Kitなどの市販のDNA抽出キットを使用することができる。また、Murmurの方法(Journal of Molecular Biology Vol.3 p208−218 (1961))やベンジルクロライド法(Nucleic Acid Research Vol.21 p5279−5280 (1993))などにより細胞からDNAを抽出し、さらにはリボヌクレアーゼによりRNAを除去することによっても、DNAを抽出することができる。核酸の抽出に際しては、PCR阻害物質を除去する物質、例えば牛血清アルブミン等を加えることが好ましい。DNAの抽出法は、Sambrookら、”Molecular Cloning A Laboratory Manual, Second Edition”, Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)等にも記載されている。 本発明においては、PCR反応は、2種類のオリゴヌクレオチドプライマーを用いる通常のPCRと同様にして行うことができる。典型的には、鋳型DNA、プライマー、及びDNAポリメラーゼを含む反応液を、変性、アニーリング及び伸長反応を各々適した温度に保温し、これを20〜35サイクル繰り返す。 PCRに用いるDNAポリメラーゼは、PCR反応に用いることができるものであれば特に制限されず、例えば、市販のAmpliTaq Gold(Applied Biosystems社)、Takara Taq(タカラバイオ)、Platinum Taq DNA polymerase(インビトロジェン社)などのTaq DNAポリメラーゼや、Platinum Pfx DNA polymerase(インビトロジェン社)やPyrobest DNA polymerase(タカラバイオ)等のDNAポリメラーゼ、又はこれらの酵素と緩衝液からなるキットも使用することができる。 PCR反応の条件は、使用する酵素や装置等に応じて、適宜設定すればよい。具体的には例えば、94℃ 10分間加温後、変性94℃ 30秒、アニーリング50〜65℃ 30秒、及び伸長反応72℃ 30秒からなる反応を30サイクル繰返し、最後に72℃で10分間加熱する条件が挙げられる。鋳型DNAとプライマーの量比は、102〜108コピーの染色体DNAに対し、プライマー0.2〜2μmol程度が好ましい。 PCR反応により得られる増幅産物の有無又はその量もしくはその大きさは、通常の核酸の検出又は定量法によって、決定するができる。例えば、アガロース電気泳動やキャピラリ電気泳動によって電気泳動した後、エチジウムブロマイドやSYBRGreenIで染色することによって、増幅産物を検出することができる。また、蛍光強度によって増幅産物の量を、分子量マーカーとの比較によって分子量を決定することができる。また、予め蛍光染色液を含むアガロースゲルを用いて電気泳動を行うと、電気泳動終了後に染色作業を行うことなく、増幅産物を検出することができる。さらにはPCR産物をサイクルシーケンスした後、DNAシーケンサーを用いて塩基配列と長さを測定することによっても、増幅産物の有無又は量を確認することができる。また、リアルタイムPCR法によれば、経時的に増幅反応を検出することができる。 本発明のPCRプライマーは、それのみで、又は、他の要素と併せて、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536検出用のキットとすることができる。前記の他の要素としては、核酸の抽出、PCR反応、及び増幅産物の検出に必要な試薬類の任意の1種又は2種以上が挙げられる。また、前記キットは、陽性コントロールとして、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536の染色体DNAの配列の一部を有し、本発明のPCRプライマーにより増幅され得るDNA断片、及び/又は、陰性コントロールとして、本発明のPCRプライマーに対応するが、1塩基又は数塩基のミスマッチを有する塩基配列を有するDNA断片を含んでいてもよい。 本発明のPCRプライマーは、前記したように、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536の検出に用いることができる。また、本発明のPCRプライマーを用いることにより、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536菌体又は同菌体を含む飲食品等を工業的に製造するに際し、菌数の測定や発酵状態の管理を容易に行うことができる。 以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されない。<1>プライマーの合成 配列番号1〜4に示すオリゴヌクレオチド(各々順にプライマー1〜4という)を、Applied Biosystems社の3400 DNA合成機を用いてフォスフォアミダイト法によって合成した。 プライマー1およびプライマー2は、本発明のプライマーである。プライマー3及びプライマー4は、特開平11−123093号公報に、BiLONg及びBiLON−1として記載されたビフィドバクテリウム ロンガムの特異検出プライマーである。便宜的に、プライマー1及びプライマー3をフォワードプライマー、プライマー2及びプライマー4をリバースプライマーと呼ぶ。 前記プライマー1およびプライマー2は、STS−PCR(Sequence tagged−site PCR)法により作製した。すなわち、RAPDプライマーを用いて22株のビフィドバクテリウム ロンガムの染色体DNAを鋳型とするPCRを行い、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536株に特異的なバンドを生成する3種のRAPDプライマーから1種を選択した。このバンドからDNAを抽出し、TAクローニングを行い、塩基配列を決定した。この塩基配列に基づいて、STS−PCRプライマーとしてプライマー1およびプライマー2を設定した。尚、これらのプライマーで増幅されるDNA断片がどの遺伝子に由来するかは不明である。<2>被検菌の染色体DNAの調製 GAM寒天培地(市販品(日水製薬)に3%(W/W)グルコースを添加した。)上で生育させたビフィズス菌のコロニーを白金耳を用いて採取し、1.0mlの滅菌水を入れたチューブに分散させた。これを12,000rpmで1分間遠心分離し、上清を除去した。得られた菌体沈殿物に、200μlのインスタジーンマトリックス(日本バイオラッド社)を加え、56℃で15〜30分間加熱した。10秒間ボルテックスミキサーで混合した後、沸騰水中で8分間加熱した。再度10秒間ボルテックスミキサーで混合した後、10,000〜12,000rpmで2分間遠心分離し、上清を得た。この上清液の260nmの波長における吸光度を分光光度計で測定し、DNA濃度を測定後、滅菌水で希釈して、10ng/μlのDNA溶液とした。 前記ビフィズス菌は、以下のとおりである。 ビフィドバクテリウム インファンティス(B. infantis)ATCC15697株 ビフィドバクテリウム ブレーベ(B. breve)ATCC15700株 ビフィドバクテリウム ビフィダム(B. bifidum)JCM1255株 ビフィドバクテリウム ロンガム(B. longum)JCM1217株 ビフィドバクテリウム ロンガム(B. longum)CSCC5550(BB536)株 ビフィドバクテリウム シュードカテヌラータム(B. pseudocatenulatum)JCM1200株 ビフィドバクテリウム アドレスセンティス(B.adolescentis)JCM1275株 ビフィドバクテリウム デンティウム(B. dentium)JCM1195株 ビフィドバクテリウム ガリカム(B. gallicum)JCM8224株 ビフィドバクテリウム アングラータム(B. angulatum)JCM7096株<3>ビフィドバクテリウム ロンガムBB536(CSCC5550)株の検出(1)PCR反応 下記組成のPCR反応液を調製し、PCRサーマルサイクラーMR(宝酒造社)を用いて、プライマー1及びプライマー2、又は、プライマー3及びプライマー4を用いて、以下の条件でPCRを行った。94℃ 10分間加温後、変性94℃ 30秒、アニーリング55℃ 30秒、及び伸長反応72℃ 30秒の条件で30サイクル、最後に72℃で10分間加熱。(PCR反応液組成) フォワードプライマー溶液(10μM) 5 μl リバースプライマー溶液 (10μM) 5 μl 滅菌水 53.5μl GeneAmp 10×PCR BufferII 10 μl (Applied Biosystems) 25mM MgSO4 6 μl AmpliTaq Gold DNA polymerase(5ユニット/μl) 0.5μl (Applied Biosystems) GeneAmp dNTP MIX(各2mMのdATP、dTTP、dGTP、dCTP) 10 μl (Applied Biosystems) DNA溶液 10 μl フォワードプライマー及びリバースプライマーの組み合わせは、以下のとおりであった。(2)PCR反応産物の検出 PCR反応液1μlに4μlの色素液を加え、0.5×TBE bufferを用いて作製した2%(w/w)のNuSieve3:1アガロース(Cambrex社)ゲルで電気泳動を行った。0.5×TBE bufferで20,000倍に希釈したSYBRGreenI(Cambrex社)染色液でゲルを染色後、デンシトグラムAE−6920V−FX(アトー社)を用いて300nmの波長で蛍光を観察した。増幅産物は、DNAマーカーを指標として検出した。その結果を、表2及び表3に示す。表中、「+」は増幅産物が検出されたことを、「−」は増幅産物が検出されなかったことを示す。 表2に示したように、ビフィドバクテリウム ロンガムJCM1217株とビフィドバクテリウム ロンガムBB536株の両株で増幅産物が得られ、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536を特異的に検出できなかった。 表3に示したように、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536株で増幅産物(434bp)が得られ、ビフィドバクテリウム ロンガムJCM1217を含む他のビフィドバクテリウムでは特異的に検出できなかった。 以上のとおり、本願発明のプライマーは、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536株を高い特異性で検出することが可能である。 配列番号1の塩基配列をからなるオリゴヌクレオチドと、配列番号2の塩基配列からなるオリゴヌクレオチドの対からなるビフィドバクテリウム ロンガムBB536を検出するためのPCRプライマー。 請求項1に記載のPCRプライマーを含むビフィドバクテリウム ロンガムBB536検出用のキット。請求項1に記載のPCRプライマーを用いて、被検菌の染色体DNAを鋳型とするPCRを行い、増幅産物の有無を決定することを含む、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536を検出する方法。 【課題】 ビフィドバクテリウム ロンガムBB536に特異的であり、他のビフィドバクテリウム属細菌だけでなく、ビフィドバクテリウム ロンガムの異なる菌株と交差反応を示さず、迅速かつ簡便にビフィドバクテリウム ロンガムBB536を検出し得るPCRプライマー、及びそれを用いた検出法を提供する。【解決手段】 特定の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドと、特定の塩基配列を有するオリゴヌクレオチドの対からなるビフィドバクテリウム ロンガムBB536を検出するためのPCRプライマーを用いて、被検菌の染色体DNAを鋳型とするPCRを行い、増幅産物の有無を決定することにより、ビフィドバクテリウム ロンガムBB536を検出する。【選択図】 なし配列表