生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ネフローゼ症候群治療剤
出願番号:2004264367
年次:2006
IPC分類:A61K 31/167,A61K 31/56,A61P 3/06,A61P 7/00,A61P 7/10,A61P 13/00,A61P 13/12


特許情報キャッシュ

大友義之 服部元史 JP 2006076958 公開特許公報(A) 20060323 2004264367 20040910 ネフローゼ症候群治療剤 大鵬薬品工業株式会社 000207827 野河 信太郎 100065248 大友義之 服部元史 A61K 31/167 20060101AFI20060224BHJP A61K 31/56 20060101ALI20060224BHJP A61P 3/06 20060101ALI20060224BHJP A61P 7/00 20060101ALI20060224BHJP A61P 7/10 20060101ALI20060224BHJP A61P 13/00 20060101ALI20060224BHJP A61P 13/12 20060101ALI20060224BHJP JPA61K31/167A61K31/56A61P3/06A61P7/00A61P7/10A61P13/00A61P13/12 5 OL 10 4C086 4C206 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA08 4C086MA02 4C086MA04 4C086MA10 4C086MA17 4C086MA23 4C086MA31 4C086MA35 4C086MA37 4C086MA41 4C086MA43 4C086MA52 4C086MA60 4C086MA66 4C086NA06 4C086NA14 4C086ZA51 4C086ZA81 4C086ZA83 4C086ZC33 4C086ZC75 4C206AA01 4C206AA02 4C206JA24 4C206KA15 4C206MA01 4C206MA02 4C206MA04 4C206MA21 4C206MA37 4C206MA42 4C206MA43 4C206MA51 4C206MA55 4C206MA57 4C206MA61 4C206MA63 4C206MA72 4C206MA80 4C206MA86 4C206NA06 4C206NA14 4C206ZA51 4C206ZA81 4C206ZA83 4C206ZC33 4C206ZC75 本発明は、式(1)で表される(±)−〔2−〔4−(3−エトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル〕エチル〕ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネート(一般名:トシル酸スプラタスト)を有効成分として含むネフローゼ症候群治療剤に関する。 ネフローゼ症候群とは、糸球体係蹄の透過性が亢進したために尿中にタンパク質が漏出し、高度のタンパク尿、低タンパク血症、高脂血症、浮腫を呈する症候群である。 ネフローゼ症候群は単一の疾病ではなく、多彩な原因疾患からの共通の症状をもって発症する糸球体疾患の臨床症候群であり、成人では尿タンパク3.5g/日以上、血清タンパク6.0g/dl以下を診断基準とし、その多くは浮腫、血清コレステロール250mg/dl以上を伴う。 ネフローゼ症候群は、通常、一次性(原発性)と二次性(続発性)に分類され、一次性ネフローゼ症候群は糸球体自身に病変の主座があるものをいい、具体的には微小変化型、膜性腎症、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎などが挙げられる。 二次性ネフローゼ症候群は全身疾患が糸球体に波及したものをいい、感染症(梅毒、マラリア等)、多発性骨髄腫、糖尿病性腎症、ループス腎炎、慢性関節リウマチ、腎アミロイドーシス、悪性腫瘍、妊娠中毒症、紫斑病性腎炎などが挙げられる。 これらのうち、微小変化型ネフローゼ症候群(Minimal change nephritic syndrome ;MCNS)はネフローゼ症候群の症状を呈しながら、光学顕微鏡上、組織学的にはなんら有意な異常を見出せない症候群である。 この微小変化型ネフローゼ症候群は、一次性ネフローゼ症候群では最も頻度の高いものであり(ネフローゼ症候群の原因疾患のうち、小児で約80%、成人で約30%を占める)、特に低年齢層ほど高い。小児の患者の場合には、喘息や皮疹などのアレルギー症状を併発することも多い。 ネフローゼ症候群の薬物療法では、ステロイドホルモンが第一選択薬であり、特に微小変化型では90%以上にステロイド剤が著効し、治療開始後1〜2週間でタンパク尿は消失する症例が殆どである。 しかしながら、効果が一旦表れても、ステロイド剤の投与中止または減量に伴って、約60%に再発例をみる上(「Modern Physician」 Vol.19、 No.8、 1998年、第985-989頁:非特許文献1)、ステロイド剤の副作用、例えば成長障害、病的骨折、感染症、糖尿病、白内障、緑内障などの問題もある。これらの副作用のうち、特に成長障害は小児の患者にとってきわめて深刻なものである。 また、ステロイド抵抗性の症例や、高度依存性のためステロイド剤による副作用が著しい場合には、シクロスポリン(免疫抑制剤)が併用されることがしばしばあるが、同剤の併用により著しい高血圧を来たしたり、長期使用により薬剤性腎障害を惹き起こしやすいため、シクロスポリンを併用する場合には、血中濃度をモニタリングしながら投与する必要がある。 このような状況の中で、副作用が少なくて、かつ効果の優れたネフローゼ症候群の治療剤の開発が、医療の立場からも望まれていた。 一方、本発明のネフローゼ症候群治療剤で有効成分として用いられるトシル酸スプラタストは、優れたIgE抗体産生抑制作用を有し、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の治療薬として知られている(特公平3−70698号公報:特許文献1)。 また、トシル酸スプラタストは、排尿障害治療剤(WO00/27383号公報:特許文献2)、腎透析に伴う掻痒治療薬(特開平11−315019号公報:特許文献3)、C型又は非B非C型肝炎ウイルスによる肝機能異常改善剤(特開2002−114672号公報:特許文献4)としても、有用であることが知られている。 しかしながら、トシル酸スプラタストがネフローゼ症候群治療剤として優れた効果を有することは知られていなかった。特公平3−70698号公報WO00/27383号公報特開平11−315019号公報特開2002−114672号公報「Modern Physician」 Vol.19、 No.8、 1998年、第985-989頁 本発明は、副作用が少なくて、効果の優れたネフローゼ症候群治療剤を提供することを目的とするものである。 本発明者らは、種々の薬剤を用いてネフローゼ症候群に対する治療効果を観察してきたところ、トシル酸スプラタストが意外にもネフローゼ症候群の治療に優れた効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、式(1)で表される(±)−〔2−〔4−(3−エトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル〕エチル〕ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネート(以下トシル酸スプラタストという)を有効成分として含むことを特徴とする、ネフローゼ症候群治療剤を提供するものである。 また、本発明は上記の式(1)で表されるトシル酸スプラタストを有効成分として含むことを特徴とする、一次性ネフローゼ症候群治療剤を提供するものである。 また、本発明は上記の式(1)で表されるトシル酸スプラタストを有効成分として含むことを特徴とする、微小変化型ネフローゼ症候群治療剤を提供するものである。 また、本発明は上記の式(1)で表されるトシル酸スプラタストに加えて、有効成分としてさらにステロイド剤を含むことを特徴とする、ネフローゼ症候群、一次性ネフローゼ症候群または微小変化型ネフローゼ症候群治療剤を提供するものである。 さらに、本発明は上記の式(1)で表されるトシル酸スプラタストを有効成分として含む治療剤と、ステロイド剤を有効成分として含む製剤とからなるネフローゼ症候群、一次性ネフローゼ症候群または微小変化型ネフローゼ症候群の治療用キット製剤を提供するものである。 なお、ここで使用する「治療」とは、疾患の予防および治療、ならびに症状の軽減および再発防止のための維持療法を意味する。 本発明のネフローゼ症候群治療剤に有効成分として含まれるトシル酸スプラタストは公知化合物であり、例えば特公平3−70698号公報に記載の方法により製造することができる。 トシル酸スプラタストが有効な「ネフローゼ症候群」とは、高度のタンパク尿、低タンパク血症、高脂血症、浮腫を呈する症候群をいう。 また、「一次性ネフローゼ症候群」とは、糸球体自身に病変の主座があるものをいい、たとえば微小変化型、膜性腎症、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎などをいう。 これらのうち、「微小変化型ネフローゼ症候群」とは、ネフローゼ症候群の症状を呈しながら、光学顕微鏡上、組織学的にはなんら有意な異常を見出せない症候群をいう。 本発明において、トシル酸スプラタストにステロイド剤を併用すると、ネフローゼ症候群の治療効果がさらに向上するばかりでなく、ネフローゼ症候群の治療にステロイド剤を単独で使用する場合に比べて、ステロイド剤の投与量を低減できるので、ステロイド剤による副作用の軽減という面からも好適である。 「ステロイド剤」としては、例えばプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、ピバル酸フルタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、フルドロキシコルチド、フルオシノニド、ハルシノニド、アムシノニド、ジフルプレドナート、吉草酸ジフルコルトロン、酢酸ジフロラゾン、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸コルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、酢酸ハロプレドン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、酢酸トリアムシノロン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、パルミチン酸デキサメタゾン、リン酸ベタメタゾン、酢酸パラメタゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸デプロドン、プロピオン酸アルクロメタゾンなどが挙げられる。 本発明のネフローゼ症候群治療剤は、種々の形態でヒトに投与することができる。そのような形態としては、例えば、経口剤、注射剤、直腸坐剤、外用剤(軟膏剤、貼付剤など)のいずれもよく、これら製剤は当業者に周知の慣用方法により製造できる。 経口剤のうち、固形製剤は、トシル酸スプラタストに賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤などを加えた後、常法により処理して、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ドライシロップ剤などとすることができる。また、経口液剤は、トシル酸スプラタストに矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤などを用い、常法により処理して、内服液剤、シロップ剤などとすることができる。 注射剤は、トシル酸スプラタストにpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により処理して、皮下用注射剤、筋肉内用注射剤、静脈内用注射剤などとすることができる。 直腸投与用坐剤は、トシル酸スプラタストに賦形剤、さらに必要に応じて界面活性剤などを加えた後、常法により処理して、坐剤とすることができる。 外用剤のうち、軟膏剤、例えばペースト、クリーム、ゲルなどは、トシル酸スプラタストを含む基剤に安定化剤、湿潤剤、保存剤などを必要に応じて配合し、常法により処理して製剤化することができる。上記の基剤としては、例えば白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイトなどが挙げられる。保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどが挙げられる。 また、外用剤としての貼付剤は、通常の支持体上に、上記の軟膏、クリーム、ゲル、ペーストなどを常法により塗布することにより製造することができる。支持体としては、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布、または軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタンなどのフィルム、あるいは発泡体シートなどが適している。 ステロイド剤も、上記のトシル酸スプラタストと同様の投与形態とすることができる。 したがって、トシル酸スプラタストとステロイド剤との両者を有効成分とする場合には、これら両者を含む単一の投与形態としてもよいし、これらのそれぞれを含む2つの投与形態としてもよい。そして、2つの投与形態とする場合には、同一投与ルートの形態(例えば、両者ともに経口剤)としてキット化してもよいし、あるいは異なった投与ルートの形態(例えば、一方を経口剤とし、他方を注射剤)としてキット化してもよい。また、本発明の目的が達せられるかぎり、別々に調製した製剤を、同時にまたは時間差をおいて、同一の投与対象に用いてもよく、各製剤の1日当たりの投与回数は異なっていてもよい。 上記の各種製剤中に配合されるべきトシル酸スプラタストの量は、これを投与すべき患者の症状により、あるいはその剤型などにより適宜定め得るが、一般に、投与単位当たり、経口剤では約5〜1000mg、注射剤では約0.1〜500mg、坐剤および外用剤では約5〜1000mgとするのが望ましい。 また、トシル酸スプラタストの1日当たりの投与量も、患者の症状、体重、年齢、性別、その他の条件に応じて変動し得るが、通常、成人あるいは小児に上記の投与単位を1日に1〜5回投与するのが好ましい。 また、ステロイド剤を併用する場合、その投与量は、用いるステロイド剤の種類により適宜決定されるが、通常1日当たり0.001〜1000mg程度が好ましく、徐々に減量することも可能である。 本発明のネフローゼ症候群の治療剤は、従来、ネフローゼ症候群の第一選択薬として用いられているステロイド剤のような副作用を伴わないで、優れた治療効果を発揮できる。また、ステロイド剤を併用する場合であっても、その投与量を低減することができ、ステロイド剤による副作用の問題を回避または軽減することも可能である。(実施例) 以下の実施例および試験例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。実施例1 (錠剤)トシル酸スプラタスト 50mgトウモロコシデンプン 50mg微結晶セルロース 50mgハイドロキシプロピルセルロース 15mg乳糖 47mgタルク 2mgステアリン酸マグネシウム 2mgエチルセルロース 30mg不飽和グリセリド 2mg二酸化チタン 2mg 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1錠当たりトシル酸スプラタストを50mg含む錠剤を調製した。実施例2 (顆粒剤)トシル酸スプラタスト 300mg乳糖 540mgトウモロコシデンプン 100mgハイドロキシプロピルセルロース 50mgタルク 10mg 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1包当たりトシル酸スプラタストを300mg含む顆粒剤を調製した。実施例3 (カプセル剤)トシル酸スプラタスト 100mg乳糖 30mgトウモロコシデンプン 50mg微結晶セルロース 10mgステアリン酸マグネシウム 3mg 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1カプセル当たりトシル酸スプラタストを100mg含むカプセル剤を調製した。実施例4 (注射剤)トシル酸スプラタスト 100mg塩化ナトリウム 3.5mg注射用蒸留水 適量 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1アンプル(2ml)当たりトシル酸スプラタストを100mg含む注射剤を調製した。実施例5 (ドライシロップ剤)トシル酸スプラタスト 50mg精製白糖 949mg香料 適量 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1包当たりトシル酸スプラタストを50mg含むドライシロップ剤を調製した。実施例6 (シロップ剤)トシル酸スプラタスト 50mg精製白糖 1000mgパラヒドロキシ安息香酸エチル 1mg香料 適量着色料 適量精製水 適量 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、2ml中にトシル酸スプラタストを50mg含むシロップ剤を調製した。実施例7 (坐剤)トシル酸スプラタスト 300mgウィテップゾールW−35* 1400mg(*:登録商標、ラウリン酸からステアリン酸までの飽和脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリ−グリセライドの混合物、ダイナマイトノーベル社製) 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1個当たりトシル酸スプラタストを300mg含む坐剤を調製した。実施例8 (錠剤)トシル酸スプラタスト 50mgプレドニゾロン 5mgトウモロコシデンプン 45mg微結晶セルロース 50mgハイドロキシプロピルセルロース 15mg乳糖 47mgタルク 2mgステアリン酸マグネシウム 2mgエチルセルロース 30mg不飽和グリセリド 2mg二酸化チタン 2mg 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1錠当たりトシル酸スプラタストを50mg、プレドニゾロンを5mg含む錠剤を調製した。実施例9 (キット)<トシル酸スプラタストを含む硬カプセル剤>トシル酸スプラタスト 100mg乳糖 50mgトウモロコシデンプン 47mg結晶セルロース 50mgタルク 2mgステアリン酸マグネシウム 1mg上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1カプセル当たりトシル酸スプラタストを100mg含む硬カプセル剤を調製した。<デキサメタゾンを含む錠剤>デキサメタゾン 0.5mg乳糖 45mgトウモロコシデンプン 50mg結晶セルロース 50mgヒドロキシプロピルセルロース 15mgタルク 2mgステアリン酸マグネシウム 2mgエチルセルロース 30mg脂肪酸グリセリンエステル 2mg二酸化チタン 2mg 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1錠当たりデキサメタゾンを0.5mg含む錠剤を調製した。 上記で調整されたトシル酸スプラタストを含む硬カプセル剤1個とデキサメタゾンを含む錠剤1個を、単一の包装形態とした。試験例1 9歳4ヶ月、男児。4歳6ヶ月の時に全身性浮腫にてネフロ−ゼを発症。プレドニゾロン35mg/日を4週間投与し、その後25mg/隔日に減量、4週間投与したところ再発した。その後はステロイド剤での治療により一時完全寛解に至ったものの、約10mg/日に減量すると、再発を1年に4回以上の頻度で繰り返していた(ステロイド依存性頻回再発型微小変化型ネフローゼ症候群)。 8歳3ヶ月の時に再発した際に、プレドニゾロン40mg/日を2週間投与したところ蛋白尿は消失し、完全寛解した。その後2週間に5mg/日ずつプレドニゾロンを減量していくとともに、トシル酸スプラタスト(商品名:アイピーディドライシロップ/大鵬薬品工業、6mg/kg体重/日)の投与を開始したところ、8歳7ヶ月でプレドニゾロンを中止した後も9ヶ月間(完全寛解からは1年1ヶ月間)ネフローゼの再発は見られていない。試験例2 5歳3ヶ月、女児。3歳7ヶ月の時に全身性浮腫にてネフローゼを発症。試験例1と同様に、ステロイド依存性頻回再発型微小変化型ネフローゼ症候群と診断され、プレドニゾロンを約5mg/日まで減量すると、再発を繰り返していた(8ヶ月間に3回の再発)。 4歳3ヶ月の時に再発した際に、プレドニゾロン30mg/日を2週間投与したところ蛋白尿は消失し、完全寛解した。その後2週間に5mg/日ずつプレドニゾロンを減量していくとともに、トシル酸スプラタスト(商品名:アイピーディドライシロップ/大鵬薬品工業、6mg/kg体重/日)の投与を開始したところ、4歳6ヶ月でプレドニゾロンを中止した後も9ヶ月間(完全寛解からは1年間)ネフローゼの再発は見られていない。試験例3 7歳6ヶ月男児。4歳10ヶ月の時に気管支喘息発作に伴ってネフローゼ症候群を発症。5歳9ヶ月、6歳1ヶ月の時にも発作に伴って再発した。初発と1回目の再発は、喘息発作のコントロールによりネフローゼに対する特異的治療を施行することなく自然寛解したが、2回目の再発時にはステロイド療法を要した。プレドニゾロン2mg/kg/日を投与し、1週間でタンパク尿は消失(完全寛解)した。プレドニゾロンを1.3mg/kg/2日に減量して、4週間投与後にプレドニゾロンの投与を中止し(6歳3ヶ月)、代わりにトシル酸スプラタスト(商品名:アイピーディドライシロップ/大鵬薬品工業)の投与(6mg/kg体重/日、最大300mg/日)を開始した。プレドニゾロンの投与を中止した後も、6歳5ヶ月の時から喘息発作はなくなり、ネフローゼの再発も1年3ヶ月間(完全寛解からは1年5ヶ月間)見られていない。試験例4 5歳11ヶ月、男児。3歳2ヶ月の時にネフローゼ症候群を発症して、試験例3と同様に、ステロイド療法を計8週間施行した。ステロイド剤への反応性は良好であったが、4歳0ヶ月、4歳7ヶ月時に上気道炎を契機に再発を経験した。4歳7ヶ月時の再発の際は、完全寛解後、トシル酸スプラタスト(商品名:アイピーディドライシロップ/大鵬薬品工業)の投与(6mg/kg体重/日、最大 300mg/日)を開始した。トシル酸スプラタストの投与開始以後、ネフローゼの再発は認められていない(完全寛解から1年4ヶ月間)。 本発明の、トシル酸スプラタストを有効成分とするネフローゼ症候群治療剤は、ステロイド剤に代わるネフローゼ症候群治療剤として有用である。式(1)で表される(±)−〔2−〔4−(3−エトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル〕エチル〕ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネート(一般名:トシル酸スプラタスト)を有効成分として含むことを特徴とするネフローゼ症候群治療剤。ネフローゼ症候群が一次性ネフローゼ症候群である、請求項1に記載のネフローゼ症候群治療剤。一次性ネフローゼ症候群が微小変化型ネフローゼ症候群である、請求項2に記載のネフローゼ症候群治療剤。有効成分としてさらにステロイド剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載のネフローゼ症候群治療剤。トシル酸スプラタストを有効成分として含む請求項1〜3のいずれかに記載の治療剤と、ステロイド剤を有効成分として含む製剤とからなるネフローゼ症候群治療用キット製剤。 【課題】 副作用が少なくて、効果の優れたネフローゼ症候群治療剤を提供する。【解決手段】 トシル酸スプラタストを有効成分とするネフローゼ症候群治療剤により、上記の課題を解決する。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_ネフローゼ症候群治療剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ネフローゼ症候群治療剤
出願番号:2004264367
年次:2011
IPC分類:A61K 31/167,A61K 31/56,A61P 7/00,A61P 7/10,A61P 13/00,A61P 13/12


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大友義之 服部元史 JP 4794148 特許公報(B2) 20110805 2004264367 20040910 ネフローゼ症候群治療剤 大鵬薬品工業株式会社 000207827 野河 信太郎 100065248 大友義之 服部元史 20111019 A61K 31/167 20060101AFI20110929BHJP A61K 31/56 20060101ALI20110929BHJP A61P 7/00 20060101ALI20110929BHJP A61P 7/10 20060101ALI20110929BHJP A61P 13/00 20060101ALI20110929BHJP A61P 13/12 20060101ALI20110929BHJP JPA61K31/167A61K31/56A61P7/00A61P7/10A61P13/00A61P13/12 A61K 31/00 − 31/327 A61K 31/33 − 33/44 A61K 35/78 − 35/84 A61P 1/00 − 43/00,171 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 国際公開第02/083633(WO,A1) 国際公開第00/027383(WO,A1) 河田 哲也 と 安田 卓二,ネフローゼの薬物治療と長期予後,臨床成人病,1994年 7月15日,24巻7号,pp.867-871 螺良 英郎,吸入ステロイド減量時のトシル酸スプラタスト(IPD(R))の併用効果の検討,アレルギー・免疫,2001年 4月15日,8巻5号,pp.558-567 春名 真一 と 森山 寛,好酸球性副鼻腔炎に対するステロイド剤とトシル酸スプラタスト療法について,耳鼻咽喉科展望,2001年 6月,44巻3号,pp.232-234 メルクマニュアル 日本語版,1999年,17版,pp.1871-1881 3 2006076958 20060323 10 20060811 川嵜 洋祐 本発明は、式(1)で表される(±)−〔2−〔4−(3−エトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル〕エチル〕ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネート(一般名:トシル酸スプラタスト)を有効成分として含むネフローゼ症候群治療剤に関する。 ネフローゼ症候群とは、糸球体係蹄の透過性が亢進したために尿中にタンパク質が漏出し、高度のタンパク尿、低タンパク血症、高脂血症、浮腫を呈する症候群である。 ネフローゼ症候群は単一の疾病ではなく、多彩な原因疾患からの共通の症状をもって発症する糸球体疾患の臨床症候群であり、成人では尿タンパク3.5g/日以上、血清タンパク6.0g/dl以下を診断基準とし、その多くは浮腫、血清コレステロール250mg/dl以上を伴う。 ネフローゼ症候群は、通常、一次性(原発性)と二次性(続発性)に分類され、一次性ネフローゼ症候群は糸球体自身に病変の主座があるものをいい、具体的には微小変化型、膜性腎症、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎などが挙げられる。 二次性ネフローゼ症候群は全身疾患が糸球体に波及したものをいい、感染症(梅毒、マラリア等)、多発性骨髄腫、糖尿病性腎症、ループス腎炎、慢性関節リウマチ、腎アミロイドーシス、悪性腫瘍、妊娠中毒症、紫斑病性腎炎などが挙げられる。 これらのうち、微小変化型ネフローゼ症候群(Minimal change nephritic syndrome ;MCNS)はネフローゼ症候群の症状を呈しながら、光学顕微鏡上、組織学的にはなんら有意な異常を見出せない症候群である。 この微小変化型ネフローゼ症候群は、一次性ネフローゼ症候群では最も頻度の高いものであり(ネフローゼ症候群の原因疾患のうち、小児で約80%、成人で約30%を占める)、特に低年齢層ほど高い。小児の患者の場合には、喘息や皮疹などのアレルギー症状を併発することも多い。 ネフローゼ症候群の薬物療法では、ステロイドホルモンが第一選択薬であり、特に微小変化型では90%以上にステロイド剤が著効し、治療開始後1〜2週間でタンパク尿は消失する症例が殆どである。 しかしながら、効果が一旦表れても、ステロイド剤の投与中止または減量に伴って、約60%に再発例をみる上(「Modern Physician」 Vol.19、 No.8、 1998年、第985-989頁:非特許文献1)、ステロイド剤の副作用、例えば成長障害、病的骨折、感染症、糖尿病、白内障、緑内障などの問題もある。これらの副作用のうち、特に成長障害は小児の患者にとってきわめて深刻なものである。 また、ステロイド抵抗性の症例や、高度依存性のためステロイド剤による副作用が著しい場合には、シクロスポリン(免疫抑制剤)が併用されることがしばしばあるが、同剤の併用により著しい高血圧を来たしたり、長期使用により薬剤性腎障害を惹き起こしやすいため、シクロスポリンを併用する場合には、血中濃度をモニタリングしながら投与する必要がある。 このような状況の中で、副作用が少なくて、かつ効果の優れたネフローゼ症候群の治療剤の開発が、医療の立場からも望まれていた。 一方、本発明のネフローゼ症候群治療剤で有効成分として用いられるトシル酸スプラタストは、優れたIgE抗体産生抑制作用を有し、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎の治療薬として知られている(特公平3−70698号公報:特許文献1)。 また、トシル酸スプラタストは、排尿障害治療剤(WO00/27383号公報:特許文献2)、腎透析に伴う掻痒治療薬(特開平11−315019号公報:特許文献3)、C型又は非B非C型肝炎ウイルスによる肝機能異常改善剤(特開2002−114672号公報:特許文献4)としても、有用であることが知られている。 しかしながら、トシル酸スプラタストがネフローゼ症候群治療剤として優れた効果を有することは知られていなかった。特公平3−70698号公報WO00/27383号公報特開平11−315019号公報特開2002−114672号公報「Modern Physician」 Vol.19、 No.8、 1998年、第985-989頁 本発明は、副作用が少なくて、効果の優れたネフローゼ症候群治療剤を提供することを目的とするものである。 本発明者らは、種々の薬剤を用いてネフローゼ症候群に対する治療効果を観察してきたところ、トシル酸スプラタストが意外にもネフローゼ症候群の治療に優れた効果を発揮することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、式(1)で表される(±)−〔2−〔4−(3−エトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル〕エチル〕ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネート(以下トシル酸スプラタストという)を有効成分として含むことを特徴とする、ネフローゼ症候群治療剤を提供するものである。 また、本発明は上記の式(1)で表されるトシル酸スプラタストを有効成分として含むことを特徴とする、一次性ネフローゼ症候群治療剤を提供するものである。 また、本発明は上記の式(1)で表されるトシル酸スプラタストを有効成分として含むことを特徴とする、微小変化型ネフローゼ症候群治療剤を提供するものである。 また、本発明は上記の式(1)で表されるトシル酸スプラタストに加えて、有効成分としてさらにステロイド剤を含むことを特徴とする、ネフローゼ症候群、一次性ネフローゼ症候群または微小変化型ネフローゼ症候群治療剤を提供するものである。 さらに、本発明は上記の式(1)で表されるトシル酸スプラタストを有効成分として含む治療剤と、ステロイド剤を有効成分として含む製剤とからなるネフローゼ症候群、一次性ネフローゼ症候群または微小変化型ネフローゼ症候群の治療用キット製剤を提供するものである。 なお、ここで使用する「治療」とは、疾患の予防および治療、ならびに症状の軽減および再発防止のための維持療法を意味する。 本発明のネフローゼ症候群治療剤に有効成分として含まれるトシル酸スプラタストは公知化合物であり、例えば特公平3−70698号公報に記載の方法により製造することができる。 トシル酸スプラタストが有効な「ネフローゼ症候群」とは、高度のタンパク尿、低タンパク血症、高脂血症、浮腫を呈する症候群をいう。 また、「一次性ネフローゼ症候群」とは、糸球体自身に病変の主座があるものをいい、たとえば微小変化型、膜性腎症、巣状糸球体硬化症、膜性増殖性糸球体腎炎などをいう。 これらのうち、「微小変化型ネフローゼ症候群」とは、ネフローゼ症候群の症状を呈しながら、光学顕微鏡上、組織学的にはなんら有意な異常を見出せない症候群をいう。 本発明において、トシル酸スプラタストにステロイド剤を併用すると、ネフローゼ症候群の治療効果がさらに向上するばかりでなく、ネフローゼ症候群の治療にステロイド剤を単独で使用する場合に比べて、ステロイド剤の投与量を低減できるので、ステロイド剤による副作用の軽減という面からも好適である。 「ステロイド剤」としては、例えばプレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、ピバル酸フルタメタゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、デキサメタゾン、酢酸デキサメタゾン、吉草酸デキサメタゾン、プロピオン酸デキサメタゾン、フルオシノロン、フルオシノロンアセトニド、ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、ジプロピオン酸ベタメタゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、酪酸クロベタゾン、フルドロキシコルチド、フルオシノニド、ハルシノニド、アムシノニド、ジフルプレドナート、吉草酸ジフルコルトロン、酢酸ジフロラゾン、プロピオン酸クロベタゾール、酢酸コルチゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、酢酸フルドロコルチゾン、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、酢酸ハロプレドン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウム、酢酸トリアムシノロン、リン酸デキサメタゾンナトリウム、パルミチン酸デキサメタゾン、リン酸ベタメタゾン、酢酸パラメタゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン、プロピオン酸デプロドン、プロピオン酸アルクロメタゾンなどが挙げられる。 本発明のネフローゼ症候群治療剤は、種々の形態でヒトに投与することができる。そのような形態としては、例えば、経口剤、注射剤、直腸坐剤、外用剤(軟膏剤、貼付剤など)のいずれもよく、これら製剤は当業者に周知の慣用方法により製造できる。 経口剤のうち、固形製剤は、トシル酸スプラタストに賦形剤、必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤などを加えた後、常法により処理して、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、ドライシロップ剤などとすることができる。また、経口液剤は、トシル酸スプラタストに矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤などを用い、常法により処理して、内服液剤、シロップ剤などとすることができる。 注射剤は、トシル酸スプラタストにpH調整剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法により処理して、皮下用注射剤、筋肉内用注射剤、静脈内用注射剤などとすることができる。 直腸投与用坐剤は、トシル酸スプラタストに賦形剤、さらに必要に応じて界面活性剤などを加えた後、常法により処理して、坐剤とすることができる。 外用剤のうち、軟膏剤、例えばペースト、クリーム、ゲルなどは、トシル酸スプラタストを含む基剤に安定化剤、湿潤剤、保存剤などを必要に応じて配合し、常法により処理して製剤化することができる。上記の基剤としては、例えば白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイトなどが挙げられる。保存剤としては、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルなどが挙げられる。 また、外用剤としての貼付剤は、通常の支持体上に、上記の軟膏、クリーム、ゲル、ペーストなどを常法により塗布することにより製造することができる。支持体としては、綿、スフ、化学繊維からなる織布、不織布、または軟質塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタンなどのフィルム、あるいは発泡体シートなどが適している。 ステロイド剤も、上記のトシル酸スプラタストと同様の投与形態とすることができる。 したがって、トシル酸スプラタストとステロイド剤との両者を有効成分とする場合には、これら両者を含む単一の投与形態としてもよいし、これらのそれぞれを含む2つの投与形態としてもよい。そして、2つの投与形態とする場合には、同一投与ルートの形態(例えば、両者ともに経口剤)としてキット化してもよいし、あるいは異なった投与ルートの形態(例えば、一方を経口剤とし、他方を注射剤)としてキット化してもよい。また、本発明の目的が達せられるかぎり、別々に調製した製剤を、同時にまたは時間差をおいて、同一の投与対象に用いてもよく、各製剤の1日当たりの投与回数は異なっていてもよい。 上記の各種製剤中に配合されるべきトシル酸スプラタストの量は、これを投与すべき患者の症状により、あるいはその剤型などにより適宜定め得るが、一般に、投与単位当たり、経口剤では約5〜1000mg、注射剤では約0.1〜500mg、坐剤および外用剤では約5〜1000mgとするのが望ましい。 また、トシル酸スプラタストの1日当たりの投与量も、患者の症状、体重、年齢、性別、その他の条件に応じて変動し得るが、通常、成人あるいは小児に上記の投与単位を1日に1〜5回投与するのが好ましい。 また、ステロイド剤を併用する場合、その投与量は、用いるステロイド剤の種類により適宜決定されるが、通常1日当たり0.001〜1000mg程度が好ましく、徐々に減量することも可能である。 本発明のネフローゼ症候群の治療剤は、従来、ネフローゼ症候群の第一選択薬として用いられているステロイド剤のような副作用を伴わないで、優れた治療効果を発揮できる。また、ステロイド剤を併用する場合であっても、その投与量を低減することができ、ステロイド剤による副作用の問題を回避または軽減することも可能である。(実施例) 以下の実施例および試験例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。実施例1 (錠剤)トシル酸スプラタスト 50mgトウモロコシデンプン 50mg微結晶セルロース 50mgハイドロキシプロピルセルロース 15mg乳糖 47mgタルク 2mgステアリン酸マグネシウム 2mgエチルセルロース 30mg不飽和グリセリド 2mg二酸化チタン 2mg 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1錠当たりトシル酸スプラタストを50mg含む錠剤を調製した。実施例2 (顆粒剤)トシル酸スプラタスト 300mg乳糖 540mgトウモロコシデンプン 100mgハイドロキシプロピルセルロース 50mgタルク 10mg 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1包当たりトシル酸スプラタストを300mg含む顆粒剤を調製した。実施例3 (カプセル剤)トシル酸スプラタスト 100mg乳糖 30mgトウモロコシデンプン 50mg微結晶セルロース 10mgステアリン酸マグネシウム 3mg 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1カプセル当たりトシル酸スプラタストを100mg含むカプセル剤を調製した。実施例4 (注射剤)トシル酸スプラタスト 100mg塩化ナトリウム 3.5mg注射用蒸留水 適量 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1アンプル(2ml)当たりトシル酸スプラタストを100mg含む注射剤を調製した。実施例5 (ドライシロップ剤)トシル酸スプラタスト 50mg精製白糖 949mg香料 適量 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1包当たりトシル酸スプラタストを50mg含むドライシロップ剤を調製した。実施例6 (シロップ剤)トシル酸スプラタスト 50mg精製白糖 1000mgパラヒドロキシ安息香酸エチル 1mg香料 適量着色料 適量精製水 適量 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、2ml中にトシル酸スプラタストを50mg含むシロップ剤を調製した。実施例7 (坐剤)トシル酸スプラタスト 300mgウィテップゾールW−35* 1400mg(*:登録商標、ラウリン酸からステアリン酸までの飽和脂肪酸のモノ−、ジ−およびトリ−グリセライドの混合物、ダイナマイトノーベル社製) 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1個当たりトシル酸スプラタストを300mg含む坐剤を調製した。実施例8 (錠剤)トシル酸スプラタスト 50mgプレドニゾロン 5mgトウモロコシデンプン 45mg微結晶セルロース 50mgハイドロキシプロピルセルロース 15mg乳糖 47mgタルク 2mgステアリン酸マグネシウム 2mgエチルセルロース 30mg不飽和グリセリド 2mg二酸化チタン 2mg 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1錠当たりトシル酸スプラタストを50mg、プレドニゾロンを5mg含む錠剤を調製した。実施例9 (キット)<トシル酸スプラタストを含む硬カプセル剤>トシル酸スプラタスト 100mg乳糖 50mgトウモロコシデンプン 47mg結晶セルロース 50mgタルク 2mgステアリン酸マグネシウム 1mg上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1カプセル当たりトシル酸スプラタストを100mg含む硬カプセル剤を調製した。<デキサメタゾンを含む錠剤>デキサメタゾン 0.5mg乳糖 45mgトウモロコシデンプン 50mg結晶セルロース 50mgヒドロキシプロピルセルロース 15mgタルク 2mgステアリン酸マグネシウム 2mgエチルセルロース 30mg脂肪酸グリセリンエステル 2mg二酸化チタン 2mg 上記の配合割合からなる組成物を常法に従って処理して、1錠当たりデキサメタゾンを0.5mg含む錠剤を調製した。 上記で調整されたトシル酸スプラタストを含む硬カプセル剤1個とデキサメタゾンを含む錠剤1個を、単一の包装形態とした。試験例1 9歳4ヶ月、男児。4歳6ヶ月の時に全身性浮腫にてネフロ−ゼを発症。プレドニゾロン35mg/日を4週間投与し、その後25mg/隔日に減量、4週間投与したところ再発した。その後はステロイド剤での治療により一時完全寛解に至ったものの、約10mg/日に減量すると、再発を1年に4回以上の頻度で繰り返していた(ステロイド依存性頻回再発型微小変化型ネフローゼ症候群)。 8歳3ヶ月の時に再発した際に、プレドニゾロン40mg/日を2週間投与したところ蛋白尿は消失し、完全寛解した。その後2週間に5mg/日ずつプレドニゾロンを減量していくとともに、トシル酸スプラタスト(商品名:アイピーディドライシロップ/大鵬薬品工業、6mg/kg体重/日)の投与を開始したところ、8歳7ヶ月でプレドニゾロンを中止した後も9ヶ月間(完全寛解からは1年1ヶ月間)ネフローゼの再発は見られていない。試験例2 5歳3ヶ月、女児。3歳7ヶ月の時に全身性浮腫にてネフローゼを発症。試験例1と同様に、ステロイド依存性頻回再発型微小変化型ネフローゼ症候群と診断され、プレドニゾロンを約5mg/日まで減量すると、再発を繰り返していた(8ヶ月間に3回の再発)。 4歳3ヶ月の時に再発した際に、プレドニゾロン30mg/日を2週間投与したところ蛋白尿は消失し、完全寛解した。その後2週間に5mg/日ずつプレドニゾロンを減量していくとともに、トシル酸スプラタスト(商品名:アイピーディドライシロップ/大鵬薬品工業、6mg/kg体重/日)の投与を開始したところ、4歳6ヶ月でプレドニゾロンを中止した後も9ヶ月間(完全寛解からは1年間)ネフローゼの再発は見られていない。試験例3 7歳6ヶ月男児。4歳10ヶ月の時に気管支喘息発作に伴ってネフローゼ症候群を発症。5歳9ヶ月、6歳1ヶ月の時にも発作に伴って再発した。初発と1回目の再発は、喘息発作のコントロールによりネフローゼに対する特異的治療を施行することなく自然寛解したが、2回目の再発時にはステロイド療法を要した。プレドニゾロン2mg/kg/日を投与し、1週間でタンパク尿は消失(完全寛解)した。プレドニゾロンを1.3mg/kg/2日に減量して、4週間投与後にプレドニゾロンの投与を中止し(6歳3ヶ月)、代わりにトシル酸スプラタスト(商品名:アイピーディドライシロップ/大鵬薬品工業)の投与(6mg/kg体重/日、最大300mg/日)を開始した。プレドニゾロンの投与を中止した後も、6歳5ヶ月の時から喘息発作はなくなり、ネフローゼの再発も1年3ヶ月間(完全寛解からは1年5ヶ月間)見られていない。試験例4 5歳11ヶ月、男児。3歳2ヶ月の時にネフローゼ症候群を発症して、試験例3と同様に、ステロイド療法を計8週間施行した。ステロイド剤への反応性は良好であったが、4歳0ヶ月、4歳7ヶ月時に上気道炎を契機に再発を経験した。4歳7ヶ月時の再発の際は、完全寛解後、トシル酸スプラタスト(商品名:アイピーディドライシロップ/大鵬薬品工業)の投与(6mg/kg体重/日、最大 300mg/日)を開始した。トシル酸スプラタストの投与開始以後、ネフローゼの再発は認められていない(完全寛解から1年4ヶ月間)。 本発明の、トシル酸スプラタストを有効成分とするネフローゼ症候群治療剤は、ステロイド剤に代わるネフローゼ症候群治療剤として有用である。 式(1):で表される(±)−〔2−〔4−(3−エトキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニルカルバモイル〕エチル〕ジメチルスルホニウム p−トルエンスルホネート(一般名:トシル酸スプラタスト)を有効成分として含むことを特徴とする、微小変化型ネフローゼ症候群の再発防止用治療剤。 有効成分として、トシル酸スプラタストおよびステロイド剤を含む、微小変化型ネフローゼ症候群治療剤。 トシル酸スプラタストを有効成分として含む請求項1に記載の再発防止用治療剤と、ステロイド剤を有効成分として含む製剤とからなる微小変化型ネフローゼ症候群治療用キット製剤。


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