生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_腎機能改善組成物
出願番号:2004251362
年次:2006
IPC分類:A61K 31/352,A23L 1/30,A61P 13/12


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海老沢 秀道 津崎 真一 JP 2006069898 公開特許公報(A) 20060316 2004251362 20040831 腎機能改善組成物 不二製油株式会社 000236768 海老沢 秀道 津崎 真一 A61K 31/352 20060101AFI20060217BHJP A23L 1/30 20060101ALI20060217BHJP A61P 13/12 20060101ALI20060217BHJP JPA61K31/352A23L1/30 BA61P13/12 4 OL 5 4B018 4C086 4B018MD42 4B018MD58 4B018ME03 4C086AA01 4C086AA02 4C086BA08 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA52 4C086NA14 4C086ZA81本発明はイソフラボン類を有効成分とする腎機能改善組成物に関する。 腎臓は血液中の老廃物を濾過し、尿として排泄することにより体液の恒常性を維持している重要な臓器であるが、近年の塩分過多の食生活により、日本人の腎臓寿命は急激に短くなっている。重度の腎臓病患者数も年々増加の一途をたどっている。血液中の老廃物を濾過する糸球体濾過機能が低下してくると、腎炎、糖尿病性腎症、閉塞性腎症などの腎障害を発症し、最終的には腎不全を起こし腎臓としての機能を果さなくなる。 腎臓の機能は一般的に糸球体の濾過能で調べられる。日常の検査においては、内因性のクレアチニンクリアランス、尿タンパクなどが指標として広く用いられている。糸球体腎炎などの糸球体障害が起きるとクレアチニンクリアランスは低下する。一方、ネフローゼ症候群など糸球体が損傷されるとクレアチニンクリアランスは上昇し、血漿タンパク質の漏出によりタンパク尿がみられる。 一般に腎障害は自覚症状が現れにくく、不可逆的であるため、一旦症状が進行すると回復の可能性はない。それ故、日々の食生活の中で腎機能の低下を防ぐことが重要であるが、これらの機能を有する食品成分はあまり研究されていない。 かかる状況下、非特許文献1において、大豆たん白質および大豆イソフラボンに富む大豆蛋白質アルコール抽出物をヒトの腎不全モデルであるSHCラットに摂取させたところ、カゼイン摂取群に比べ、腎組織障害が軽減されることが報告された。 しかし、非特許文献1に記載の大豆イソフラボンの供給源は大豆蛋白質であり、また複数種類存在するイソフラボンのうちのいかなる成分に主要な作用を有するかは不明である。酒見隆信ら:大豆たん白質研究、Vol.5、76-80、2002.本発明の課題は天然物由来で食品に添加しても副作用がなく、腎機能を亢進させる活性成分を見出し、かかる活性成分を有効成分とした組成物を提供することにある。本発明者らは大豆やクローバー等の豆科植物に多く含まれているイソフラボン類のうち、ダイゼイングループを多量に含有する大豆胚軸由来のイソフラボンが、経口摂取にて腎機能の一般的な指標として広く用いられているクレアチニンクリアランスを亢進させることを見出した。すなわち本発明は、1.ダイゼイングループ/ゲニステイングループの存在重量比が2以上である植物由来イソフラボン類を有効成分とすることを特徴とする腎機能改善組成物、2.植物由来イソフラボン類が大豆胚軸由来である前記1記載の組成物、3.植物由来イソフラボン類が大豆胚軸由来の抽出物又はその精製物から供給される前記1記載の組成物、4.組成物が食品または医薬品である前記1記載の組成物、を開示するものである。本発明のイソフラボン類を有効成分とすることにより、安全性が高く腎機能を亢進させることができ、腎機能の低下により引き起される腎障害の改善ならびに予防に有効であるため人への健康補助に大きく貢献しうる。本発明の腎機能改善組成物は、ダイゼイングループ/ゲニステイングループの存在重量比が2以上である植物由来イソフラボン類を有効成分とすることを特徴とするものである。植物由来のイソフラボン類には、通常ダイゼインをアグリコン骨格とするダイゼイングループ(アグリコン体であるダイゼイン、アグリコン骨格にグルコースがβ結合したダイジン、ダイジンのグルコース部分に官能基が結合したマロニルダイジン、アセチルダイジン、サクシニルダイジン、ダイジンの代謝産物であるエクオール等)とゲニステインをアグリコン骨格とするゲニステイングループ(ゲニステイン、ゲニスチン、マロニルゲニスチン、アセチルゲニスチン、サクシニルゲニスチン等)、グリシテインをアグリコン骨格とするグリシテイングループ(グリシテイン、グリシチン、マロニルグリシチン、アセチルグリシチン、サクシニルグリシチン等)、ビオカニンA、ホルモノネチンなどが含まれる。上記植物由来イソフラボン類の供給源としては、大豆、黒大豆、アカツメクサ、クローバー等の供給源が使用される。しかし本発明の植物由来イソフラボン類の組成は、上記イソフラボン類のうち、ダイゼイングループ/ゲニステイングループの存在重量比が2以上であることが重要である。4以上が好ましく、8以上がより好ましい。上記条件を満たすイソフラボン類の供給源としては、具体的には大豆胚軸もしくは大豆胚軸由来のイソフラボン含有物が例示できる。大豆胚軸からアルコール等によりイソフラボンを抽出した場合、その存在重量比は産地等により異なるが、ダイゼイングループ:ゲニステイングループは通常約5:1である。一方、大豆の子葉部分や大豆蛋白質からイソフラボンを抽出した場合、ダイゼイングループ/ゲニステイングループ存在重量比は1未満となり、本発明の2以上を満たさない。イソフラボン含有物を調製する場合、調製方法は特に限定されないが、例えば上記植物原料を粉砕する方法や水もしくはエタノール、アセトン等の有機溶媒又はその混合物を用いて抽出する方法や、さらにその抽出液を吸着樹脂、イオン交換樹脂等により精製する方法や、有機溶媒による液液分配により精製する方法を用いることができる。イソフラボン含有物中に含まれるイソフラボン含量は、ダイゼイングループ及びゲニステイングループの総量で1重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、30重量%以上がより好ましい。なお、本発明の有効成分に対して種々の特性を付与するための加工処理を行うことは自由である。例えば溶解性を高めるためにサイクロデキストリンにより有効成分を包接しても良いし、有効成分にグルコースなどの可溶性糖類をα結合させても良い。また有効成分をすべてアグリコン化するためにβ−グルコシダーゼを作用させても良いし、かかる酵素反応のため、麹、酵母、乳酸菌、納豆菌等による発酵を行っても良い。本発明では、加齢に伴う腎機能の低下に対する本発明のイソフラボン含有物の有効性を調べるため、睾丸摘除成熟雄ラットに対する投与の効果を検討した。イソフラボン摂取群はコントロール群と比較して、腎機能の指標であるクレアチニンクリアランスが上昇し、かつ尿タンパク量が減少したことから、加齢に伴う腎機能の低下を改善することが明らかとなった。また、この結果は本発明のイソフラボン含有物を日常的に摂取することにより腎機能を維持する効果を有することを示唆している。これより、本発明の含有物は加齢に伴う腎機能の低下を改善又は予防できることが明らかとなった。本発明の組成物中におけるイソフラボン含有物の含有量は、組成物の形態・量によっても異なり、適宜設定することができる。通常は1日あたりの有効成分の摂取量を摂取できるように、1日あたりの組成物の摂取量を考慮し、組成物中の含有量を当業者が設定すればよい。例えば、1日あたりのイソフラボン含有物の摂取量を10mgと設定した場合、1日あたりの組成物の摂取量が100gである場合は、組成物中の有効成分の含有量を0.01重量%とすれば良い。本発明の組成物の1日あたりの所要量は特に限定されないが、通常イソフラボン類として5〜500mgとすることができる。本発明の組成物には、イソフラボン含有物以外に、腎機能に効果のある材料を併用することができる。例えば、γアミノ酪酸、スピルリナ、キチン、キチンキトサン、車前草エキス、タンポポエキス、クニュウル、クミスクチン、海馬、クランベリー、サンボン、シャンピニオンエキス等を併用できる。本発明の組成物は薬剤又は食品をいうが、薬剤の場合は、種々の投与形態の製剤とすることができる。すなわち、経口的投与の場合に、錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、粒剤もしくは丸剤等の固形製剤や、溶液、エマルジョンもしくはサスペンジョンなどの液剤の形態等で投与することができる。また、非経口的投与の場合に、注射溶液や坐剤などの形態で投与される。これらの製剤の調製にあたっては製剤化のために許容される添加剤、例えば賦形剤、安定剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、甘味料、着色料、香料、張度調製剤、緩衝剤、酸化防止剤、pH調整剤等を併用して製剤化することができる。本発明の組成物が食品の場合は、一般的な食品の形態である清涼飲料、乳製品、豆乳、発酵豆乳、大豆蛋白飲料、豆腐、納豆、油揚げ、厚揚げ、がんもどき、ハンバーグ、ミートボール、唐揚げ、ナゲット、各種総菜、焼き菓子、シリアル、飴、ガム等の菓子類、タブレット、パン類、米飯類など、様々な食品に配合することができる。さらに、食品中におけるイソフラボンの含量は、容易に測定できるため、これを有効成分(関与する成分)として食品の包装やパンフレット等に腎機能改善に起因する各種効能・効果を有する旨を記載した、健康用途の食品(特定保健用食品等)にもすることができる。以下、この発明の実施例を示すが、本発明がこれらによってその技術範囲が限定されるものではない。なお、以下%は特に断りがない限り重量%を示す。〔試験例〕(イソフラボン含有物の調製)大豆胚軸に5倍量の70容量%エタノールを加えて抽出した後、吸着樹脂ダイアイオンHP-20(三菱化学(株)製)を用いて吸脱着により精製し、イソフラボン含有物を調製した。得られたイソフラボン含有物中のダイゼイングループ/ゲニステイングループ比は9.4であった。またダイゼイングループ及びゲニステイングループの合計含量は含有物の乾燥重量あたり55.2%であった。(試験方法)睾丸摘除術(TX)した4ヶ月齢のウィスター系雄ラット(4匹/1群)にイソフラボンの0%水溶液(TX−CA)、0.0025%水溶液(TX−IFL)あるいは0.012%水溶液(TX−IFH)を唯一の飲料として自由に与え、固形飼料(CRF−1)で8週間飼育した。腎機能の指標としてクレアチニンクリアランスと尿中タンパク質排泄量の測定を行った。すなわち、実験期間期末の3日間、ラットを代謝ケージに入れて、72時間尿を採取した。72時間尿について、尿中クレアチニン量を測定し、次いで、実験期間週末のラット血清クレアチニン濃度を測定し、次式よりクレアチニンクリアランスを算出した。(計算式) クレアチニンクリアランス(mL/min)=尿中クレアチニン濃度(mg/100mL)÷血清クレアチニン濃度(mg/100mL) ×100(mL/min)(試験結果)飲水量は全ての群間で有意差を認めなかった。飲水からのイソフラボン摂取量はTX−IFL群およびTX−IFH群でそれぞれ1.4±0.3mg/dayおよび7.2±1.3mg/dayであった。血清アルブミン、カルシウム濃度は全てのラットで正常値を示した。表1の通り、尿タンパク量はTX−CA群に比べてTX−IFL群で有意な低値を示し、TX−IFH群においても低値を示した。クレアチニンクリアランスはTX−CA群に比べてTX−IFH群で高値を示した。(表1)───────────────────────────────────────摂取群 尿タンパク 尿中クレアチ 血清クレアチ クレアチニンクリ (mg/100mL) ニン(mg/100mL) ニン(mg/100mL) ランス(mL/min)───────────────────────────────────────TX-CA 32.31±11.76 a 17.72±2.33 1.19±0.25 1.06±0.35TX-IFL 18.76± 3.47 b 19.40±1.88 1.36±0.15 1.00±0.10TX-IFH 24.44± 5.23 ab 20.90±1.13 1.08±0.28 1.36±0.46───────────────────────────────────────※a,b:異なる記号間で有意差あり(p<0.05)以上の結果より、大豆胚軸由来のイソフラボン含有物には、腎機能改善効果が認められた。大豆胚軸由来のイソフラボンは大豆の子葉に比べてダイゼイングループ/ゲニステイングループ比が多く、ダイゼイングループがより腎機能の改善に寄与していると考えられる。ダイゼイングループ/ゲニステイングループの存在重量比が2以上である植物由来イソフラボン類を有効成分とすることを特徴とする腎機能改善組成物。植物由来イソフラボン類が大豆胚軸由来である請求項1記載の組成物。植物由来イソフラボン類が大豆胚軸由来の抽出物又はその精製物から供給される請求項2記載の組成物。組成物が食品または医薬品である請求項1記載の組成物。 【課題】 天然物由来で食品に添加しても安全性が高く、腎機能を亢進させる活性成分を見出し、かかる活性成分を有効成分とした組成物を提供する。 【解決手段】 大豆やクローバー等の豆科植物に多く含まれているイソフラボン類のうち、ダイゼイングループを多量に含有する大豆胚軸由来のイソフラボンが、経口摂取にて腎機能の一般的な指標として広く用いられているクレアチニンクリアランスを亢進させることを見出した。【選択図】なし


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