生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_高品質ジアミノジフェニルエーテルの製造方法
出願番号:2004245070
年次:2006
IPC分類:C07C 213/02,C07C 213/06,C07C 217/90,C07B 61/00


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水野 和正 中島 実 JP 2006062994 公開特許公報(A) 20060309 2004245070 20040825 高品質ジアミノジフェニルエーテルの製造方法 帝人ファイバー株式会社 302011711 三原 秀子 100099678 水野 和正 中島 実 C07C 213/02 20060101AFI20060210BHJP C07C 213/06 20060101ALI20060210BHJP C07C 217/90 20060101ALI20060210BHJP C07B 61/00 20060101ALN20060210BHJP JPC07C213/02C07C213/06C07C217/90C07B61/00 300 2 OL 8 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC43 4H006AC52 4H006AD11 4H006BA02 4H006BA25 4H006BA32 4H006BC30 4H006BC40 4H006BE20 4H006GN03 4H039CA61 4H039CA71 4H039CB30 4H039CD20 本発明は、エーテル化反応工程、水素添加反応工程、蒸留精製工程の各工程を経て得られるジアミノジフェニルエーテルの製造方法に関し、更に詳しくは、各工程の溶液組成を直接、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置を用いて連続的に測定し、得られた測定結果を連続的に分散型プロセス制御システムに取り込むことにより、自動的に反応条件や蒸留条件の制御を行い、常に一定の品質となる条件で自動的に反応終了や製品の払い出しを行う、高品質ジアミノジフェニルエーテルの製造方法に関する。 ジアミノジフェニルエーテル類は、高性能なアラミド合成繊維製造原料として有用な化合物である。これらの化合物を製造する方法として、まずハロニトロベンゼン類とアミノフェノール類とを、触媒の存在下で適当な溶媒を用いて加熱縮合させることで、中間生成物であるアミノフェニルニトロフェニルエーテル類を得て、次いで得られたアミノフェニルニトロフェニルエーテル類を触媒の存在下、水素添加反応を行うことで、ジアミノジフェニルエーテル類を得る方法が公知であると共に商業化技術として確立されている。例えば、N,N−ジメチルホルムアミドを含む液体媒質中で、アルカリ金属触媒下、アミノフェニルニトロフェニルエーテル類を生成させ、その後反応媒質中で、貴金属触媒存在下、水素添加反応をしてジアミノジフェニルエーテル類を形成する方法が開示されている(例えば特許文献1参照。)。 しかしながら、ジアミノジフェニルエーテル類を得るためのエーテル化反応工程、水素添加反応工程、蒸留精製工程の各工程は、工業的には回分式又は半回分式で実施されるのが一般であり、エーテル化及び水素添加の反応工程においては、一定の原料仕込み比率で配合し、更に同一温度や同一圧力条件下で反応させても、原料組成の変動や副反応などの外乱によって、バッチ毎に反応終了時間に差が生じるため、反応時間のみを終了点の目安とすると反応不十分による収率の低下を招く結果となる。 同様に、蒸留精製工程においては、反応に用いた溶媒を減圧下で除去後、更にアミノフェノールやアニリンに代表される低沸点不純物を初留分として適切に除去し、ジアミノジフェニルエーテル製品の払い出しを行う必要があるが、回分式、あるいは半回分式である故、同一の減圧条件、温度条件、低沸点初留分の抜出量であっても、反応によって得られた蒸留粗原料組成の変動により、一定の品質が維持できない結果となる。 これらを回避するため、ガスクロマトグラフィー等を用いた組成分析を毎バッチ行い、反応終了や蒸留製品の品質を確認する方法があるが、手作業ロスが増大するだけでなく、約1時間を要する分析結果待ち時間に起因する生産能力の低下や、反応工程においては適切な反応終了点を逸したことによる副反応の進行や、また蒸留精製工程においては低沸点初留分の抜き出し不足などが発生し、しばしば製品の純度や可視光線透過率に代表される製品品質が悪化するといった問題が発生していた。 そこで、安定した高品質を有するジアミノジフェニルエーテルを、高収率で製造する上で、迅速な測定法を採用し、常に一定の品質を有する製品を製造するための、安定した品質管理、製造工程の制御を行う方法が望まれていた。特開昭48−22433号公報 本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決するため、エーテル化反応工程、水素添加反応工程、蒸留精製工程の各工程を経て得られるジアミノジフェニルエーテルの製造プロセスにおいて、各工程の溶液組成を迅速、かつ正確に測定し、得られた測定結果をプロセス制御システムに反映させることにより、自動的に反応条件や蒸留条件の制御を行い、常に一定の品質となる適正な条件で反応終了や製品の払い出しを行う、高品質ジアミノジフェニルエーテルの製造方法を提供することにある。 発明者らは、上記目的を達成するため、アミノフェノールとクロロニトロベンゼンとを原料として、ジアミノジフェニルエーテルを得るためのエーテル化反応工程、水素添加反応工程、蒸留精製工程の各工程において、迅速にプロセス溶液の組成を測定し、更にプロセス自動運転制御に反映させる方法に関し鋭意検討を行った。 その結果、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置を用いて、各工程の溶液組成を直接測定することで、反応状態や精製の状況が迅速、かつ正確に測定可能であることを見出し、更に得られた測定結果を分散型プロセス制御システムに連続的に取り込み自動演算、自動制御させれば、手作業ロスを低減し、かつ高純度品質を有するジアミノジフェニルエーテルが、高収率で安定して生産できることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明の目的は、 アミノフェノールとクロロニトロベンゼンとを原料とし、エーテル化反応工程、水素添加反応工程、蒸留精製工程の各工程を逐次的に通過させることによってジアミノジフェニルエーテルを製造するプロセスにおいて、(a)エーテル化反応工程では、原料であるアミノフェノール、クロロニトロベンゼン、及び中間生成物であるアミノフェニルニトロフェニルエーテルの、反応溶液中の濃度を、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置を用いて連続的に測定し、得られた結果を連続的に分散型プロセス制御システムに取り込み自動演算させることでエーテル化反応転化率を算出し、反応温度と反応時間とを制御しつつ、反応転化率が98%以上となった時点で自動的に反応を停止し次工程への払い出しを行い、次いで、(b)水素添加反応工程では、中間生成物であるアミノフェニルニトロフェニルエーテルと生成物であるジアミノジフェニルエーテルとの反応溶液中の濃度を、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置を用いて連続的に測定し、得られた結果を連続的に分散型プロセス制御システムに取り込み自動演算させることで水素添加反応転化率を算出し、反応温度、反応圧力、反応時間、水素供給量を制御しつつ、反応転化率が99%以上となった時点で自動的に反応を停止し次工程への払い出しを行い、次いで、(c)蒸留精製工程では、蒸留留出液中のジアミノジフェニルエーテル以外の不純物の濃度、同時に留出液の400〜700nmの可視光線透過率を、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置を用いて連続的に測定し、得られた結果を連続的に分散型プロセス制御システムに取り込み、(1)ジアミノジフェニルエーテル以外の不純物濃度が5wt%以下で、かつ、(2)400〜700nmの可視光線透過率が60%以上、となるまでジアミノジフェニルエーテルより低沸点の初留成分を分離除去させた後、製品である高純度のジアミノジフェニルエーテルを留出させると共に流路変更により自動的に製品の払い出しを行い、更にジアミノジフェニルエーテルより高沸点の重質物が留出する以前の任意の段階で、自動的に製品の払い出しを停止することを特徴とする、高品質ジアミノジフェニルエーテルの製造方法により達成することができる。 本発明の製造方法によれば、ジアミノジフェニルエーテル製造プロセスの反応溶液組成及び製品組成を迅速、かつ正確に測定することができ、更に得られた測定結果を連続的に分散型プロセス制御システムに取り込むことで、自動的に反応条件や蒸留条件に関する様々な制御が行えるので、常に一定の高品質を有するジアミノジフェニルエーテルを高収率で得ることができる。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明において原料とするアミノフェノールとは、具体的にはo−、m−、p−アミノフェノールが挙げられ、クロロニトロベンゼンとは、具体的にはo−、p−クロロニトロベンゼンが挙げられ、またこれらをエーテル化縮合反応することで得られるアミノフェニルニトロフェニルエーテルとは、上記粗原料の組み合わせに対応するアミノフェニルニトロフェニルエーテルである。 また本発明に用いられる近赤外線スペクトル分光分析装置は、オンライン対応機種であればいずれも採用することが可能であるが、本発明においては、ジアミノジフェニルエーテル製品の可視光線透過率を測定対象項目の1つと設定しているので、測定波長範囲が400〜2500nmを有する機種を用いるのが好ましい。また測定点が3つの工程と多岐に渡るため、1台の分光分析装置でも対応可能なように、例えば多測定点対応型の機種が好ましい。このように設定することで反応溶液中の所定の物質の濃度を連続的に測定し、得られた結果を連続的に分散型プロセス制御システムに取り込み自動演算させ反応転化率を算出することができる。更にその結果から反応温度・圧力・時間等を制御しつつ反応転化率が所定の値以上となった時点で自動的に反応を停止し次工程への払い出しができるようになる。更に分光分析装置で測定点となるセルは、透過タイプであればフローセル型、挿入型いずれも採用可能である。 測定点となるセルを取り付ける部位は、測定対象液が存在する容器や配管に公知の方法で直接取り付ければ良いが、特にジアミノジフェニルエーテルを得るためのエーテル化反応工程、及び水素添加反応工程の測定溶液中には、アルカリ金属塩類や貴金属類といった粒子状の触媒が0.2〜10重量%存在するため、光散乱の影響により近赤外スペクトル分光分析装置の測定に誤差を生じさせる可能性がある。したがって、可能な限り触媒粒子を除去した後の液を測定するのが好ましく、反応器循環配管などに、公知の固液分離装置を設置して触媒粒子を分離した後の溶液配管に測定点を設ければ、安定した測定を行うことができる。また、粒子などによる外乱の影響のない蒸留精製工程においても、製品留出液の送液ポンプの出側配管に設置するのが、メンテナンスの上で好ましい。 以下にジアミノジフェニルエーテルを得るためのプロセスにおける、近赤外線分光分析装置を用いた測定方法について逐次説明する。(1)エーテル化反応工程における測定対象物質は、原料のアミノフェノールとクロロニトロベンゼン及び縮合反応によって得られるアミノフェニルニトロフェニルエーテルである。これらの物質は、N,N−ジメチルホルムアミド溶媒中で測定すると1400〜2200nmの近赤外波長範囲に、それぞれ特徴的なスペクトルを与えるため、種々反応率の異なった工程反応溶液の近赤外線吸収スペクトルを測定すると同時に、同反応溶液の化学分析を行い、近赤外線吸収スペクトルの数値処理データと化学分析値との相関を取れば、それぞれの物質の濃度に対応した検量線を求めることができる。 次いで、(2)水素添加反応工程における測定対象物質は、エーテル化反応によって得られた中間生成物アミノフェニルニトロフェニルエーテルと、製品となるジアミノジフェニルエーテルである。これらの物質は、N,N−ジメチルホルムアミド溶媒中で測定すると1400〜2200nmの近赤外波長範囲に、それぞれ特徴的なスペクトルが見られ、その中でも1500nm、及び2000nm付近で、水素添加反応によりニトロ基がアミノ基に変化するのに伴う、近赤外線吸収スペクトルの変化が特に見出せる。よってエーテル化反応と同様に、種々反応率の異なった工程反応溶液の近赤外線吸収スペクトルを測定すると同時に、同反応溶液の化学分析を行い、近赤外線吸収スペクトルの数値処理データと化学分析値との相関を取れば、それぞれの物質の濃度に対応した検量線を求めることができる。 次いで、(3)蒸留精製工程における測定対象物質は、製品であるジアミノジフェニルエーテル以外の不純物濃度と、製品留出液の400〜700nmの可視光線透過率である。ジアミノジフェニルエーテルは、1400〜2200nmの近赤外波長範囲に特徴的なスペクトルが見られるが、その中でも純度を低下させる大きな要因であるジアミノジフェニルエーテル以外でそれより低沸点の不純物は1400〜1500nmの領域で特に近赤外線吸収スペクトルに変化を与え、またそれより高沸点の不純物については1500nm付近と、1900〜2200nmのスペクトル領域において、その特徴が見出せる。よって種々精製の度合いを変えた工程溶液の近赤外線吸収スペクトルを測定すると同時に、同溶液の化学分析を行い、近赤外線吸収スペクトルの数値処理データと化学分析値との相関を取れば、それぞれの物質の濃度に対応した検量線を求めることができる。ここで、ジアミノジフェニルエーテルより低沸点の不純物とは、具体的にはアミノフェノール及びアニリンであり、ジアミノジフェニルエーテルより高沸点の不純物(重質化成分)とは、具体的にはN−フェニルホルムアミド、及びN,N−ジフェニルホルムアミドである。 一方、400〜700nmの可視光線透過率については、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置が分光能力を有するタイプであれば、可視光線領域の吸収スペクトルをそのまま活用することが可能で、化学分析値との差を簡単な係数を用いて補正した後に相関を取れば、可視光線透過率に対応した検量線を求めることができる。また化学分析値との測定誤差を少なくする方法として、可視光線領域のほかに近赤外線領域の吸収スペクトルの一部を、スペクトル解析補正項として追加することも可能である。 上記(1)〜(3)のようにして、得られた検量線を有する近赤外線吸収スペクトル分光分析装置を、ジアミノジフェニルエーテルを製造するためのエーテル化反応工程、水素添加反応工程、蒸留精製工程の各工程に設置することで、プロセス溶液中の濃度変化や、可視光線透過率がたちどころに得られるので、反応の進行状況、及び製品の精製状況がリアルタイムで観察可能となる。そして検量線から反応転化率を算出し、その結果から反応温度・圧力・時間等を制御して反応転化率が所定の値以上となった時点で自動的に反応停止し、次工程に払い出しを行うことができる。その反応転化率はエーテル化反応工程においては98%以上が、水素添加反応工程においては99%以上が好ましい。また蒸留精製工程におけるジアミノジフェニルエーテル以外の不純物濃度は5wt%以下となる時点で、400〜700nmの可視光線透過率が60%以上となるまでジアミノジフェニルエーテルより低沸点の初留成分を分離除去させることが好ましい。その後高純度のジアミノジフェニルエーテルを留出させると共に流路変更により自動的にジアミノジフェニルエーテルを蒸留精製装置から払い出しを行い、ジアミノジフェニルエーテルより高沸点の重質物が流出する以前の任意の段階で、自動的にジアミノジフェニルエーテルの払い出しを停止することができる。 また当該近赤外線を用いた測定方法は、ジアミノジフェニルエーテルを得るプロセスの方式が回分式、連続式のどちらでも採用することができる。 更に、近赤外分光分析装置を用いて得られた測定結果は、分散型プロセス制御システムに連続的に取り込むことで、様々なプロセス制御が可能となり、全自動で反応終了や製品の払い出しを行うシステムを構築できる。その結果、高品質のジアミノジフェニルエーテルを高収率で得ることが可能となる。 以下実施例により本発明の内容を更に具体的に説明するが本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。 [実施例1] m−アミノフェノールと、p−クロロニトロベンゼンとを原料とし、エーテル化反応工程、水素添加反応工程、蒸留精製工程を逐次的に通過させることで得られる3、4’−ジアミノジフェニルエーテルを製造するプロセスにおいて、市販品の多測定点対応型のオンライン近赤外線吸収スペクトル分光分析装置(測定波長領域:400〜2500nm)を設置した。 エーテル化反応工程においては、エーテル化反応器の循環配管に分岐配管を取り付け、該分岐配管に触媒を除去するための液体サイクロンを設置し、溶液出側の配管に近赤外線測定点となるセルを挿入した。当該液体サイクロンの2つの出口、即ち溶液側及び触媒粒子スラリー側の配管は、測定点を通過した後、各々反応器へ戻る流れを有している。 エーテル化反応器にm−アミノフェノールとp−クロロニトロベンゼンとを当モル量、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド、触媒として全仕込み量に対して5重量%の炭酸カリウムを仕込み、撹拌及び循環を行いながら、常圧下で150℃まで加熱した。 近赤外線吸収スペクトル分光分析装置より連続的に得られた物質の濃度は、分散型プロセス制御システムに取り込まれ、エーテル化反応転化率と反応時間とをトレンドで連続表示させることで、反応の進行状況を監視した。更に反応進行の度合いを表す反応転化率と反応時間とからなる基本パターンを、分散型プロセス制御システムに記憶させ、反応転化率が基本パターンから上下に2%の偏差で外れた場合、オペレータにアラームで知らせると同時に、上偏差の場合は温度をマイナス側、下偏差の場合は温度をプラス側に変化させることで、反応転化率と反応時間とを自動的に補正するプロセス制御を行った。また反応転化率が98%に達した時に、オペレータに終了メッセージで知らせると同時に、自動的に反応を終了させ、次工程へ払い出すシステムを構築した。近赤外線吸収スペクトル分光分析装置で得られた反応転化率と、工程溶液の化学分析測定によって得られた反応転化率の標準偏差は、0.3%であった。 次いで、水素添加反応工程においては、水素添加反応器の循環配管に分岐配管を取り付け、該分岐配管に触媒を除去するための液体サイクロンを設置し、溶液出側の配管に近赤外線測定点となるセルを挿入した。当該液体サイクロンの2つの出口、即ち溶液側及び触媒粒子スラリー側の配管は、各々反応器へ戻る流れを有している。 上述の、エーテル化反応工程で得られた混合溶液は、触媒を除去する工程を通過した後、全量水素添加反応器へ導き、触媒として1重量%のパラジウム−炭素を加え、撹拌及び循環を行いながら水素を供給し、100℃、0.7MPaで反応させた。 近赤外線分光分析装置より連続的に得られた物質の濃度は、分散型プロセス制御システムに取り込まれ、水素添加反応転化率と反応時間とをトレンドで連続表示させることで、反応の進行状況を監視した。更に反応進行の度合いを表す反応転化率と反応時間からなる基本パターンを、分散型プロセス制御システムに記憶させておき、反応転化率が基本パターンから上下に2%の偏差で外れた場合、オペレータにアラームで知らせると同時に、上偏差の場合は温度及び/又は圧力をマイナス側、下偏差の場合は温度及び/又は圧力をプラス側に変化させることで、反応転化率と反応時間とを自動的に補正するプロセス制御を行った。 また反応転化率が、99%に達した時に、オペレータに終了メッセージで知らせると同時に、自動的に反応を終了させ、次工程へ払い出すシステムを構築した。近赤外線吸収スペクトル分光分析装置で得られた反応転化率と、工程溶液の化学分析測定によって得られた反応転化率の標準偏差は、0.1%であった。 次いで、蒸留精製工程においては、蒸留塔の還流配管に分岐させたサイドフロー配管を取り付け、近赤外線測定点となるセルを挿入した。当該サイドフロー配管は、測定点を通過した後、再度還流配管へ戻る流れを有している。 上述の水素添加反応工程で得られた混合溶液は、触媒を除去する工程を通過した後、全量ホールドタンクへ導き、蒸留塔のポットへはホールドタンクよりポットレベル80%まで仕込み、溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド)を2kPaの減圧下、150〜200℃で除去した。 溶媒除去後、2kPaの減圧下、250〜270℃で蒸留精製を開始し、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置より連続的に得られた留出液中の全不純物質の濃度が2重量%以下、及び500nmにおける可視光透過率が60%以上となる条件まで初留成分を抜き出し、上記設定値に達すればオペレータにメッセージで知らせると共に、流路を変更して製品の払い出しを開始した。なおこの際の不純物は分析の結果、低沸点成分はm−アミノフェノールとアニリンであり、高沸点成分(重質化成分)はN−フェニルホルムアミド及びN,N−ジフェニルホルムアミドであった。 分散型プロセス制御システムでは、常に不純物の濃度、及び可視光線透過率をトレンド表示させると共に、システムによる監視をしながら蒸留精製を行うので、品質に異常が発生すれば、自動的に製品払い出しを停止させることが可能である。更に蒸留塔塔底の液レベルを連続的にシステム監視し、蒸留塔ポットの液レベルが10%となれば自動的に蒸留を停止して、重質物であるポット残液を払出すシステムを構築した。 近赤外線吸収スペクトル分光分析装置で得られた測定値と、工程溶液の化学分析測定によって得られた値の標準偏差は、不純物濃度で0.1〜0.2重量%、可視光線透過率で3%であった。 以上の工程を連続的に逐次通過させ、最終的に製品として得られた3,4’−ジアミノジフェニルエーテルの品質は常に、純度が99.5wt%以上、500nmにおける可視光線透過率が80%以上を有するものであった。また分析結果待ちに起因する工程の遅れ時間は特になかった。 [実施例2] 3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを得るためのエーテル化反応工程、水素添加反応工程において、溶液中の触媒粒子を除去せずに、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置を用いて測定したところ、化学分析値から算出した反応添加率との標準偏差が5%であった。したがって3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを得るためのエーテル化反応工程、水素添加反応工程において近赤外分析を行うには、溶液中に存在する触媒粒子の除去は必須では無いが、安定した測定精度を得るには触媒粒子の除去操作を行った方が更によい結果が得られることが確認された。また実施例1同様に分析結果待ちに起因する工程の遅れ時間は特になかった。 [比較例1] 3,4’−ジアミノジフェニルエーテルを得るプロセスで、エーテル化反応工程、水素添加反応工程の反応終了時期、及び蒸留精製工程の製品払い出し時期を、全てガスクロマトグラフィーで判断した場合、分析結果待ちによる工程遅れ時間が、1日当たり約3時間生じた。 本発明の製造方法によれば、ジアミノジフェニルエーテル製造プロセスの反応溶液組成及び製品組成を迅速、かつ正確に測定することができ、更に得られた測定結果を連続的に分散型プロセス制御システムに取り込むことで、自動的に反応条件や蒸留条件に関する様々な制御が行えるので、常に一定の高品質を有するジアミノジフェニルエーテルを高収率で得ることができる。また分析結果待ちに起因する工程の遅れ時間が発生しにくいので時間の面においても効率的に製造することができる。 アミノフェノールとクロロニトロベンゼンとを原料とし、エーテル化反応工程、水素添加反応工程、蒸留精製工程の各工程を逐次的に通過させることによってジアミノジフェニルエーテルを製造するプロセスにおいて、(a)エーテル化反応工程では、原料であるアミノフェノール、クロロニトロベンゼン、及び中間生成物であるアミノフェニルニトロフェニルエーテルの、反応溶液中の濃度を、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置を用いて連続的に測定し、得られた結果を連続的に分散型プロセス制御システムに取り込み自動演算させることでエーテル化反応転化率を算出し、反応温度と反応時間とを制御しつつ、反応転化率が98%以上となった時点で自動的に反応を停止し次工程への払い出しを行い、次いで、(b)水素添加反応工程では、中間生成物であるアミノフェニルニトロフェニルエーテルと生成物であるジアミノジフェニルエーテルとの反応溶液中の濃度を、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置を用いて連続的に測定し、得られた結果を連続的に分散型プロセス制御システムに取り込み自動演算させることで水素添加反応転化率を算出し、反応温度、反応圧力、反応時間、水素供給量を制御しつつ、反応転化率が99%以上となった時点で自動的に反応を停止し次工程への払い出しを行い、次いで、(c)蒸留精製工程では、蒸留留出液中のジアミノジフェニルエーテル以外の不純物の濃度、同時に留出液の400〜700nmの可視光線透過率を、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置を用いて連続的に測定し、得られた結果を連続的に分散型プロセス制御システムに取り込み、(1)ジアミノジフェニルエーテル以外の不純物濃度が5wt%以下で、かつ、(2)400〜700nmの可視光線透過率が60%以上、となるまでジアミノジフェニルエーテルより低沸点の初留成分を分離除去させた後、製品である高純度のジアミノジフェニルエーテルを留出させると共に流路変更により自動的に製品の払い出しを行い、更にジアミノジフェニルエーテルより高沸点の重質物が留出する以前の任意の段階で、自動的に製品の払い出しを停止することを特徴とする、高品質ジアミノジフェニルエーテルの製造方法。 ジアミノジフェニルエーテル以外の不純物が、低沸点成分としてアミノフェノール及びアニリンであり、高沸点重質化成分としてのN−フェニルホルムアミド、及びN,N−ジフェニルホルムアミドである、請求項1記載の製造方法。 【課題】アミノフェノールとクロロニトロベンゼンとを原料とし、エーテル化反応工程、水素添加反応工程、蒸留精製工程の各工程を逐次的に通過させることによってジアミノジフェニルエーテルを製造プロセスにおいて、各工程の溶液組成を迅速、かつ正確に測定し、更に得られた測定結果をプロセス自動制御に反映させることで、安定した高品質を有するジアミノジフェニルエーテルを高収率で製造する方法を提供すること。【解決手段】ジアミノジフェニルエーテルの製造プロセスに、近赤外線吸収スペクトル分光分析装置を設置し、エーテル化反応工程、水素添加反応工程、蒸留精製工程の各工程の溶液組成を直接測定することで、反応の状態や精製の状況が迅速、かつ正確に測定でき、更に得られた測定結果を分散型プロセス制御システムに連続的に取り込み自動演算、自動制御させることにより、安定した高純度品質を有するジアミノジフェニルエーテルが高収率で生産できる。【選択図】なし


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