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タイトル:公開特許公報(A)_アルドール縮合物の製造方法
出願番号:2004238913
年次:2006
IPC分類:C07C 45/74,C07C 47/21


特許情報キャッシュ

入内島 眞 JP 2006036741 公開特許公報(A) 20060209 2004238913 20040723 アルドール縮合物の製造方法 入内島 眞 597132447 入内島 眞 C07C 45/74 20060101AFI20060113BHJP C07C 47/21 20060101ALI20060113BHJP JPC07C45/74C07C47/21 7 2 書面 12 4H006 4H006AA02 4H006AC29 4H006BC31 4H006BD33 4H006BD84 本発明はアルデヒド類のアルドール縮合物の製造方法に関する。更に詳しくは、50wt%以上のアルファアルキルアルデヒド(類)及び50wt%以下のアルファ無置換アルデヒド(類)を含むアルデヒド(類)をアルドール縮合し、アルドール縮合物を製造する方法に関する。フィーザー有機化学(上)p.195(訂正第二版、1955)バイサーメル工業有機化学p.129(1976)有機工業化学ハンドブック(1962年、朝倉書店)p.321 アルドール縮合物製造の例としては、2分子のアセトアルデヒドがヘッド(頭、アルデヒド基部分)とテイル(尾、アルデヒドの隣のメチル基部分)間で結合し、アセトアルドール又はクロトンアルデヒドが生成する反応(ホモアルドール縮合)を挙げることが出来る。アルデヒド基をヘッド(頭)、その隣の炭素をテイル(尾)とすると、アルドール縮合反応は典型的なヘッドトゥテイル反応(頭尾反応)である。この場合、アルデヒド基の隣の炭素(α−炭素)に水素が存在していることが必要で、たとえば化学の教科書として有名な、フィーザー有機化学(上)p.195(訂正第二版、1955)に記載されるように、これが無いトリメチルアセトアルデヒド(ネオペンタナール)やベンズアルデヒドの場合、アルドール縮合は起こらない、とされている。従って、従来のアルデヒド類のアルドール縮合物の製造方法の原料は、主としてアルファ無置換アルデヒドが使用されていた。アルファ無置換アルデヒドとしては、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒドのようなn−アルデヒド類を原料に用いるのが一般的であり、例えばプロピレンのオキソ反応の副生物であるイソブチルアルデヒド(アルファアルキルアルデヒド)はアルドール縮合物の製造原料には用いられていない。アルドール縮合物は例えば、可塑剤アルコールの原料として有用である。 アルファ無置換アルデヒドの例として、n−ブチルアルデヒドにたとえばカセイソーダ水溶液を加え、加熱下に攪拌してホモアルドール縮合反応を行わせ、2−エチルヘキセナールを得、次にこれを通常の水素化触媒の存在下に水素を加え、炭素−炭素間の二重結合に水素添加すると共に、アルデヒド基をアルコールに還元し、可塑剤原料用の2−エチルヘキサノール(2EH)を工業的に製造する一般的方法は、n−ブチルアルデヒドのみを原料に用い、イソブチルアルデヒドは用いない。 2EHを無水フタル酸に2分子ジエステル化し、得られたフタル酸ジオクチル(DOP、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル)は、例えばバイサーメル工業有機化学p.129(1976)に記載されるように、ポリ塩化ビニル用に優れて、安全な一般的可塑剤として世界で最も広く工業的に使用されている。 このアルドール縮合に使用されるn−ブチルアルデヒドは、以前はアセトアルデヒドのアルドール縮合を経て製造されたこともあるが、現在は主にプロピレンのヒドロホルミル化(オキソ反応)によって製造されている。 可塑剤原料アルコール製造プロセスの例として、プロピレンのオキソ反応では主にアルファ無置換アルデヒドとしてn−ブチルアルデヒドが得られるが、副生物として通常10−40%のアルファアルキルアルデヒド、すなわちアルファアルキルアルデヒドであるイソブチルアルデヒドが副生する。これは、n−ブチルアルデヒドと蒸留分離した後、たとえば水素化してイソブタノール溶剤として市場に出ているのが一般である。イソブチル尿素肥料として利用されることもある。イソブチルアルデヒドと蒸留分離した、n−ブチルアルデヒドのみをホモアルドール縮合し、生成した2−エチルヘキセナールを水素化して2EHを製造するのが一般に行われるオキソアルコールの製造方法である。これ等イソブチルアルデヒド誘導体の製品価格は安価であり2−EHの製造原価の負担となっている。 このアルファ無置換アルデヒドとアルファアルキルアルデヒドの分離事情やアルファアルキルアルデヒドをアルドール縮合反応に使用するかどうかの事情は、単にプロピレンのオキソ反応の該反応生成物の場合だけに限ることではなく、ブテン(類)及びペンテン(類)のオキソ反応によるアルファ無置換アルデヒドとして2−ペンタナール及び/又はアルファ無置換C6アルデヒド、アルファアルキルアルデヒドとしてアルファメチルブタナール及び/又はアルファアルキルC6アルデヒドを使用する場合にも当てはまるものがあることは勿論であるが、以下の説明の多くは、工業的に広く実施されているプロピレンのオキソ反応とそれに続くn−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドとの混合物の分離、アルドール縮合反応への利用を例にとって行う。 アルドール縮合はカルボニル基の隣の炭素(α−炭素)に結合している水素が存在する場合に起こる。アセトアルデヒドの場合、3個の水素が存在し、アルドール縮合によってアセトアルドール又はクロトンアルデヒドが生成する。アセトンの場合、カルボニル基の隣の炭素(α−炭素)に結合する水素は4個存在し、アルドール縮合によってジアセトンアルコールや、メチルイソブテニルケトンが生成する。 アルファアルキルアルデヒドの例としてのイソブチルアルデヒドは、カルボニル基の隣の炭素(α−炭素)に結合する水素は1個存在し、アルドール縮合の反応速度はn−ブチルアルデヒドより遥かに遅いので、通常のn−ブチルアルデヒドのアルドール縮合反応条件では未反応である。イソブチルアルデヒドは工業的には2−EH製造用のアルドール縮合には用いられていない。 アルデヒド類のアルドール縮合反応を経済的に行うには、反応系をアルカリ性又は酸性にするか、及び/又は系を高温にしてアルドール縮合反応速度を高めることが行われる。そのため、触媒としてアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、酸性物質として硫酸、塩酸、リン酸等が使用される。触媒に固体酸又は固体アルカリを用いる場合もある。 従来のアルデヒド類のアルドール縮合には、アルファ無置換アルデヒド、たとえばアセトアルデヒド{アルデヒド基の隣の炭素(α−炭素)に3個の水素が存在}、n−ブチルアルデヒド{アルデヒド基の隣の炭素(α−炭素)に2個の水素が存在}等のn−アルデヒド類を使用するのが一般的である。 アルファアルキルアルデヒド、例えばイソブチルアルデヒドは工業的にアルドール縮合に使用しないため、n−ブチルアルデヒドとの蒸留分離、水素化設備、タンクを含む付帯設備は、オキソ反応装置建設コストの増加を招くばかりでなく、運転の煩雑さ、運転コストの増大につながり、イソブチルアルデヒド不使用によるアルドール縮合生成物収率の低下、生成物のコスト高をもたらす。プロピレンが高価になり、原料として不足する現在、イソブチルアルデヒドをに使用せず、イソブタノール溶剤に用いることは、オキソ反応装置の複雑化、プロピレンに対するアルドール縮合物の収率低下によるコスト高を招いている。 そのために従来工業的に行われた改良は、オキソ反応におけるアルファ無置換アルデヒドへの選択性をアルドール縮合に利用されないアルファアルキルアルデヒドへの選択性よりも更に大きくすることであった。歴史的には、従来からオキソ反応触媒に使用されてきたコバルト触媒に換わって、リン化合物置換ロジウム化合物、特にロジウムの水素、CO、トリフェニルホスフィン錯体触媒(ウィルキンソン触媒)の出現により、例えばプロピレンのオキソ反応の場合、n−ブチルアルデヒド/イソブチルアルデヒドの選択性を=6/4程度(コバルト触媒)から、9/1程度(ロジウム触媒)に向上させることが出来た。 しかし、このプロセスもアルファアルキルアルデヒドをゼロにすることは出来ず、例えばプロピレンのオキソ反応の場合、10%程度副生するイソブチルアルデヒドを工業的には蒸留分離する必要が残る。 この装置及び運転の複雑化の不利にも拘わらず、イソブチルアルデヒドを分離する一つの理由は、従来一般のアルドール縮合反応条件ではアルファアルキルアルデヒドのイソブチルアルデヒドはアルファ無置換アルデヒドのn−ブチルアルデヒドに比較してアルドール縮合反応性が低く、従来のn−ブチルアルデヒドをアルドール縮合反応させる条件では未反応物として残り、アルドール縮合反応に利用するには経済的でないからである。 例えばプロピレンのオキソ反応ではn−ブチルアルデヒド及びイソブチルアルデヒドの混合物が得られるが、両者の蒸留分離設備、イソブチルアルデヒドの水素化設備、製品タンクを含む付帯設備は、オキソ反応装置建設コストの増加を招くばかりでなく、装置が複雑、運転の煩雑さ、運転コストの増大につながるばかりでなく、イソブチルアルデヒドをアルドール縮合に使用しないためのアルドール縮合生成物収率の低下、生成物のコスト高を招く欠点を克服するため、本発明者らは鋭意研究努力の結果、従来の常識を破って両者を分離せず、両者混合のままアルドール縮合することが工業的に得策であることを見出した。また、イソブチルアルデヒド、2−メチルブチルアルデヒド及びアルファアルキルC6アルデヒド類も例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、n−ペンタナール(n−ペンタナール、バレルアルデヒド)等のアルファ無置換アルデヒドと交差アルドール縮合させることによって可塑剤アルコール類の製造に利用し得ることを見出した。特に、イソブチルアルデヒドをアルドール縮合に使用する場合、アルドール縮合反応速度の大きいn−ブチルアルデヒドや、n−ペンタナール等のアルファ無置換アルデヒドとの交差アルドール縮合を行わせることがイソブチルアルデヒドをホモアルドール縮合させるよりも容易に種々のアルドール縮合物が得られる利点がある。 本発明は単にプロピレンのオキソ反応の該反応生成物の場合だけに限ることではなく、ブテン(類)及びペンテン(類)のオキソ反応によるアルファ無置換アルデヒドとして2−ペンタナール及び/又はアルファ無置換C6アルデヒド、アルファアルキルアルデヒドとしてアルファメチルブタナール及び/又はアルファアルキルC6アルデヒドを使用する場合にも適用されることは勿論である。これらの組み合わせにより、種々の沸点の可塑剤アルコール用原料が得られ、種々の沸点の有用な可塑剤が得られる。これらは独立のアルドール縮合装置によっても良く、同一装置でのブロック運転によって種々の沸点の可塑剤アルコール用原料を得ても良い。 該反応生成物に新たなアルドール縮合反応条件を与える場合、アルドール縮合触媒を一旦分離しても良く、分離しないでも良い。新たにアルドール縮合触媒を添加しても良く、添加しなくても良い。 また、イソブチルアルデヒドとC5以上の炭素数を持つアルファ無置換アルデヒド(類)との交差アルドール縮合反応物から得たC9以上のオキソアルコール(類)を使用した可塑剤は、耐熱性がDOPよりも更に向上すると考えられるので、イソブチルアルデヒドをアルドール縮合に用いることによる可塑剤の耐熱性低下の恐れは全く考えられない。また、可塑剤性能の低下も殆ど考慮することなく、経済的に有利な可塑剤を得ることができる。アルファメチルブタナールの場合、アセトアルデヒドとの交差アルドール縮合によってC7アルデヒド、プロピオンアルデヒドとからはC8アルデヒドが得られる。アルファアルキルC6アルデヒドの場合、アセトアルデヒドとからはC8アルデヒド、プロピオンアルデヒドとからはC9アルデヒドが得られ、それぞれ種々の可塑剤アルコール類の製造に向けることができる。 例えばイソブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドとのアルドール縮合である頭尾反応は困難としても、大過剰のイソブチルアルデヒドの存在下に、少量のn−ブチルアルデヒドを加えてアルドール縮合させれば、イソブチルアルデヒドのアルデヒド基(頭)がn−ブチルアルデヒドのアルデヒド基の隣のメチレン基(尾、水素2個あり)と反応する、交差アルドール縮合は起こりやすいと考えられる。また、イソブチルアルデヒドとC5以上の炭素数を持つアルデヒド(類)との交差アルドール縮合反応を行わせ、それを経て得たアルコール(類)を使用した可塑剤を得れば、可塑剤の耐熱性は向上する利点がある。 そこで、オキソ反応の例えば10%程度の副生物としてアルファアルキルアルデヒドが得られた場合も、アルファ無置換アルデヒドとしてたとえばn−ペンタナールと蒸留分離することなく、両者の混合物にそのまま交差アルドール縮合を行い、水素化して20%程度の交差(以下n−i−と記す)C10アルコールが混入しても、80%の2−プロピルヘプタノール(2PH)を含むC10アルコール混合物を得て無水フタル酸とジエステルをジイソドデシルフタレート(以下(n−n−+n−i−)DIDP、DIDPと記す)(交差アルドール縮合によるものを(n−i−)DIDPと記す)として遥かに安価な可塑剤が得られる。この場合、C10アルコール類自体の沸点は2EHの沸点より高いため、DIDPの沸点が2PH由来のDDP(無水フタル酸への2PHのジエステル)よりも多少低いことはあってもDOPよりは沸点は高く、20%程度の(n−i−)DIDPを含むDIDPはDOPよりも耐熱性が優れる。また、(n−i−)DIDPはDDPよりも分岐度が高いが、この程度の差は可塑剤性能に大きくは作用しない。 またこの場合、オキソ反応の副生物としてアルファアルキルアルデヒドとして例えばアルファメチルブチルアルデヒドを得る場合も、アルファ無置換アルデヒドとしてたとえばn−ペンタナールとを蒸留分離することなく、両者の混合物にそのままアルドール縮合を行い、水素化して主に2−プロピルヘプタノール(2PH)を含むC10アルコール混合物を得て無水フタル酸とジエステルをDIDPとして可塑剤に使用することが出来る。 DIDPの原料になるアルファアルキルアルデヒド及びアルファ無置換アルデヒドはC4留分のモノオレフィン類のオキソ反応生成物が好適に使用できる。これはエチレンプラントのC4留分でも良く、通常はブタジエン抽出後のスペントBB(ラフィネート−1)、又はこれからイソブチレンを分離した後のラフィネートBB(ラフィネート−2)が好適に使用できる。FCCBBも同様に使用可能で、これからイソブチレンを分離した後のラフィネートBBも好適に使用できる。 ペンテン(類)のオキソ反応を行う場合は、エチレンプラントのC5留分でも良く、通常はアルキルアセチレン類及びジエン類を部分水素化して、モノオレフィン類を製造してオキソ反応を行うのが好ましい。FCC装置でのC5留分も同様に好適に使用できる。 いずれもアルファ無置換アルデヒドとアルファアルキルアルデヒドの両者を分離する必要が無く、その分離セクションが不要であるので、工業的プロセスを簡略化出来、且つ、原料原単位が小さい分プロセス下流部分のサイズが小さくて済むので装置コストが低下する。 そこでこの場合も、アルファメチルブチルアルデヒドとアルファメチルブチルアルデヒドとのホモアルドール縮合である頭尾反応は困難としても、大過剰のアルファメチルブチルアルデヒドの存在下に、少量のn−ペンタナールを加えてアルドール縮合させれば、アルファメチルブチルアルデヒドのアルデヒド基(頭)がn−ペンタナールのアルデヒド基の隣のメチレン基(尾、水素2個あり)と反応する、交差アルドール縮合(n−i−アルデヒドの反応と言っても良い)は容易に起こり、それを経て(n−i−)C10アルコールを得る方法がある。その他に、アルファメチルブチルアルデヒドと、n−ブチルアルデヒド及び/又はC4アルデヒド類との交差アルドール縮合から、C9アルコール類へ誘導する利用法もある。 これに対して、n−ペンタナール同士が2分子反応してアルドール縮合生成物が得られる場合はホモアルドール縮合(n−n−アルデヒドの反応と言っても良い)といえる。 本発明によれば、オキソ反応によって得られたアルファアルキルアルデヒドが50%以下であって、同時に存在するアルファ無置換アルデヒドが50%以上の混合アルデヒド原料であれば、アルファアルキルアルデヒドとアルファ無置換アルデヒドとのモル比1:1の交差アルドール生成物として容易にアルコール向けにアルファアルキルアルデヒドを全量利用することが理論的に可能である。この場合、アルファアルキルアルデヒドとアルファ無置換アルデヒドとの炭素数は必ずしも同一でなくても良い。 工業的オキソ反応では通常アルファ無置換アルデヒド類(n−アルデヒド類)が60−90%程度、副生物のアルファアルキルアルデヒド類は10−40%程度のアルドール縮合原料が得られるので、50%以下の副生物のアルファアルキルアルデヒド類もアルファ無置換アルデヒド類(n−アルデヒド類)と分離を要せず、実用上問題無く全量オキソアルコール向けに使い切ることが可能である。この場合、化学量論的に残るアルファ無置換アルデヒド類のホモアルドール縮合は容易に起こることは勿論である。オキソ反応によって生成するアルファアルキルアルデヒドが10%を越えても、50%以下であり、同時に存在するアルファ無置換アルデヒドが50%以上である限り、差し支えない。 工業的オキソ反応では通常、アルファ無置換アルデヒド類(n−アルデヒド類)が60−90%程度、副生物のアルファアルキルアルデヒド類は10−40%程度のアルドール縮合原料が得られるので、蒸留その他の分離法によってアルファ無置換アルデヒド類(n−アルデヒド類)が50%程度、副生物のアルファアルキルアルデヒド類50%程度のアルドール縮合原料と、実質的にアルファ無置換アルデヒド類(n−アルデヒド類)からなるアルデヒド類とに分離しておいて、それぞれ別々にアルドール縮合させる方法も勿論可能である。 本発明によるアルドール縮合反応は、回分式反応装置でも、回分式連続反応装置でも、連続式反応装置でも、各種の反応方式で実施可能である。直列につながる連続式二段の反応装置でも実施可能である。この場合、前段の第一反応塔を第一(n−n−アルデヒド)反応塔と名付けることが出来、主にアルファ無置換アルデヒド(プロピレンのオキソ反応生成物の場合、n−ブチルアルデヒド)を反応させ、未反応のアルファアルキルアルデヒド(プロピレンのオキソ反応生成物の場合、イソブチルアルデヒド)と1:1モル比のアルファ無置換アルデヒドが残るようにする。 次に前段で未反応で残ったアルファアルキルアルデヒドと1:1モル比のアルファ無置換アルデヒドを、後段の第二反応塔でアルファアルキルアルデヒドとアルファ無置換アルデヒドとのモル比1:1の交差アルドール生成物として全量反応にあずかるように利用する。 この場合、後段でアルファアルキルアルデヒドが化学量論的に全量反応するように、改めて過剰のアルファ無置換アルデヒドを加えても良い。例えば、アルファアルキルアルデヒドがイソブチルアルデヒドの場合、同一分子量のn−ブチルアルデヒドを加えても良く、分子量が異なるアルファ無置換アルデヒドを加えても良い。これはオキソ反応物糟から別途加えても良い。 このアルドール縮合反応を経て得られた不飽和アルデヒド類は、通常の水素化反応によって可塑剤用オキソアルコール類に誘導する。製造されたオキソアルコール類は、分子量の異なる他のアルコール類と混合して反応させ、種類の異なる無水フタル酸ジエステル化を行なってもよい。 本発明では、交差アルドール縮合を利用し、種々のオレフィン原料事情に合わせ、オキソ反応物が使える。ブタジエンを部分水素化して優先的に1−ブテンを得れば、これも好適な原料として使える。同様に、イソブチレン、2−ブテンも好適な原料として使える。C5オレフィンや、エチレンからのオキソ反応物も交差アルドール縮合原料に使える等、種々の原料に対して融通性がある。原料はプロピレンよりも安価なオレフィンであれば良い。 これらは好ましくはモノオレフィンである。 以下、本発明を実施するための最良の形態を図面により詳細に説明するが、本発明はこの最良の形態の範囲内に限定されるものではなく、当業界に通暁する者にとって容易に類推できる範囲に拡張応用可能なことは勿論である。 図1に示す外径3mmの磁性ラシヒリングを空隙率35%で充填した内径20mm、全長5mのステンレス円筒の第一反応塔を鉛直に立て、10wt%のアルファメチルブチルアルデヒドと90wt%のn−ペンタナールの混合物を100g/hr、1.5%カセイソーダ水溶液10g/hrを下から上に0.3MPa、90℃で通過させた。出口からは、n−ペンタナール同士のみがホモアルドール縮合したホモアルドール縮合生成物(A)、及び未反応のアルファメチルブチルアルデヒド90wt%とn−ペンタナール10wt%の混合物(B)が得られた。 1.5%カセイソーダ水溶液を分離後、未反応のアルファメチルブチルアルデヒド90wt%とn−ペンタナール10wt%の混合物を減圧蒸留でn−ペンタナール同士のみがホモアルドール縮合したホモアルドール縮合生成物(A)と分離し、一旦アルドール生成物タンクに保存した。続いてこの混合物10g/hr、実質的なアルファメチルブチルアルデヒド90g/hr、5%カセイソーダ水溶液10g/hrを下から上に0.3MPa、130℃で通過させた。出口からは、1:1のn−ペンタナールとアルファメチルブチルアルデヒドの交差アルドール縮合生成物(C)、及び実質的な未反応のアルファメチルブチルアルデヒドとの混合物(D)が得られ、未反応物(D)は第二反応塔への循環使用に用いた。 図2に示す回転攪拌機、温度計、滴下ロート、通気弁付きの内容500mlの回分式反応器であるオートクレーブに10wt%のイソブチルアルデヒドと90wt%のn−ブチルアルデヒドの混合物を100g入れ、0.2MPa、100℃に保つよう適宜加熱又は冷却し、激しく攪拌しながら1.5%カセイソーダ水溶液を毎分1gの速度で滴下した。30分で滴下を終了し、その後100℃で30分攪拌を続けた。フラスコ中には、n−ブチルアルデヒドがホモアルドール縮合したホモアルドール縮合生成物が約90g、及び未反応のイソブチルアルデヒド約10gが残っていた。これを減圧蒸留によって分離し、塔頂から未反応のイソブチルアルデヒド約10gを回収し、中間タンクに貯蔵した。続いて、図2に示す回転攪拌機、温度計、滴下ロート、通気弁付きの内容500mlの回分式反応器であるオートクレーブにイソブチルアルデヒド100g及び5%カセイソーダ水溶液を5g入れ、0.2MPa、120℃に保つよう適宜加熱又は冷却し、激しく攪拌しながらn−ペンタナールを毎分3.3gの速度で滴下した。33分で滴下を終了し、その後120℃で30分攪拌を続けた。フラスコ中には、n−ペンタナールとイソブチルアルデヒドが1:1に交差アルドール縮合した生成物約200gが残っていた。 図2に示す回転攪拌機、温度計、滴下ロート、通気弁付きの内容500mlの回分式反応器であるオートクレーブにアルファメチルブチルアルデヒド100g/hr、5%カセイソーダ水溶液20gを入れ、0.2MPa、120℃にて適宜加熱又は冷却し、激しく攪拌しながらn−ペンタナールを毎分2gの速度で滴下した。30分で滴下を終了し、その後120℃で30分攪拌した。フラスコ中には、約120gのn−ペンタナールとアルファメチルブチルアルデヒドが1:1モル比で交差アルドール縮合した交差アルドール縮合生成物及び未反応のアルファメチルブチルアルデヒドが約40gが残っていた。 図2に示す回転攪拌機、温度計、滴下ロート、通気弁付きの内容500mlの回分式反応器であるオートクレーブに2−メチルペンタナール100g及び5%カセイソーダ水溶液を5g入れ、0.2MPa、120℃に保つよう適宜加熱又は冷却し、激しく攪拌しながらプロピオンアルデヒドを毎分3.3gの速度で滴下した。33分で滴下を終了し、その後120℃で30分攪拌を続けた。フラスコ中には、プロピオンアルデヒドと2−メチルペンタナールが1:1に交差アルドール縮合した生成物約200gが残っていた。 図2に示す回転攪拌機、温度計、滴下ロート、通気弁付きの内容500mlの回分式反応器であるオートクレーブにアルファメチルブチルアルデヒド100g/hr、5%カセイソーダ水溶液20gを入れ、0.2MPa、120℃にて適宜加熱又は冷却し、激しく攪拌しながらn−ペンタナールを毎分2gの速度で滴下した。30分で滴下を終了し、その後120℃で30分攪拌した。フラスコ中には、約120gのn−ペンタナールとアルファメチルブチルアルデヒドが1:1モル比で交差アルドール縮合した交差アルドール縮合生成物及び未反応のアルファメチルブチルアルデヒドが約40gが残っていた。 図3に示す外径3mmの磁性ラシヒリングを空隙率35%で充填した内径20mm、全長5mのステンレス円筒の第一反応塔を鉛直に立て、20wt%のアルファメチルブチルアルデヒドと80wt%のn−ペンタナールの混合物を100g/hr、1.5%カセイソーダ水溶液10g/hrを上から下に0.3MPa、90℃で通過させた。出口からは、n−ペンタナール同士のみがホモアルドール縮合したホモアルドール縮合生成物(A)、及び未反応のアルファメチルブチルアルデヒド95wt%とn−ペンタナール5wt%の混合物(B)が得られた。 1.5%カセイソーダ水溶液を分離後、未反応のアルファメチルブチルアルデヒド95wt%とn−ペンタナール5wt%の未反応混合物を反応物と共に減圧蒸留でn−ペンタナール同士のみがホモアルドール縮合したホモアルドール縮合生成物(A)と分離し、一旦アルドール生成物タンクに保存した。続いてこの未反応混合物20g/hr、5%カセイソーダ水溶液10g/hrを、20wt%のアルファメチルブチルアルデヒドと80wt%のn−ペンタナールの混合物を20g/hr、及びこの第二反応塔の未反応のアルファメチルブチルアルデヒドとの混合物(D)と共に、図3に示す外径3mmの磁性ラシヒリングを空隙率35%で充填した内径20mm、全長5mのステンレス円筒の第二反応塔の上から下に0.3MPa、130℃で通過させた。出口からは、1:1のn−ペンタナールとアルファメチルブチルアルデヒドの交差アルドール縮合生成物(C)、及び実質的な未反応のアルファメチルブチルアルデヒドとの混合物(D)が得られ、5%カセイソーダ水溶液を分離後、未反応物(D)は未反応物分離塔で反応物と分離し、第二反応塔への循環使用に用いた。比較例1 回転攪拌機、温度計、滴下ロート、通気弁付きの内容500mlのオートクレーブにイソブチルアルデヒド10g、n−ブチルアルデヒド90gを入れ、90℃にて適宜加熱又は冷却し、激しく攪拌しながら2%カセイソーダ水溶液を毎分0.2gの速度で滴下した。30分で滴下を終了し、その後0.3MPa、120℃で30分攪拌した。フラスコ中には、約90gのn−ブチルアルデヒド同士2分子がホモアルドール縮合したホモアルドール生成物と、10gの未反応イソブチルアルデヒドが残っていた。比較例2 回転攪拌機、温度計、滴下ロート、通気弁付きの内容500mlのオートクレーブにイソブチルアルデヒド10g、n−ブチルアルデヒド90gを入れ、0.3MPa、100℃にて適宜加熱又は冷却し、激しく攪拌しながら2%カセイソーダ水溶液を毎分0.2gの速度で滴下した。30分で滴下を終了し、その後30MPa、120℃で30分攪拌した。フラスコ中には、約90gのn−ブチルアルデヒド同士2分子がホモアルドール縮合したホモアルドール縮合生成物と、20gのn−ブチルアルデヒドとイソブチルアルデヒドが1:1モル比で交差アルドール縮合した交差アルドール縮合生成物及び未反応のイソブチルアルデヒドが約90gが残っていた。発明の効果 以上説明したように、本発明によれば、従来はアルファアルキルアルデヒドとアルファ無置換アルデヒドをアルドール縮合した場合、未反応で残ったアルファアルキルアルデヒドもアルファ無置換アルデヒドとが1対1結合した交差アルドールを得ることによって2分子結合させ得て、可塑剤アルコールに導くことが可能である。 本発明によれば、原料からより多量の可塑剤アルコールが簡単に製造可能である。 図1は、本発明の一実施例を示すアルドール縮合連続式反応の模式図である。 図1において、V1は、前段としての第1段目のアルドール縮合回分式連続反応装置{第一(n−アルデヒド)反応塔と記載}であり、V2は後段としての第2段目のアルドール縮合回分式連続反応装置{第二(n−i−アルデヒド)反応塔と記載}である。第1段目のアルドール縮合反応装置では主にアルファ無置換アルデヒドからのホモアルドール縮合生成物(n−アルドール生成物と記載)が生成し、出口以降で未反応物と分離すれば単離可能である。これをT1:n−アルドール生成物タンクに入れれば、プロピレンのオキソ反応生成物の場合、2−エチルヘキサナールが主で、水素化によって2−EHが得られる。1−ブテンのオキソ反応生成物の場合、2−プロピルヘプタナールが主で、水素化によって2−PHが得られる。 V2の第2段目のアルドール縮合反応装置ではアルファアルキルアルデヒドとアルファ無置換アルデヒドとのモル比1:1の交差アルドール生成物(n−i−アルドール生成物と記載)がアルファ無置換アルデヒドからのホモアルドール縮合生成物と共に混合物として生成する。 図2は、本発明の一実施例を示すアルドール縮合回分式連続反応システムの模式図である。図2において、Vは、アルドール縮合回分式連続反応装置である。 V1…第1段目のアルドール縮合回分式連続反応装置、V2…第2段目のアルドール縮合回分式連続反応装置、S…未反応物分離塔、T1…n−アルドール生成物タンク、T2…n−i−アルドール生成物タンク、ST…攪拌機、V…攪拌反応糟、T…反応生成物タンク 図3は、本発明の一実施例を示すアルドール縮合2段連続分離式反応システムの模式図である。図3において、V1は、前段としての第1段目のアルドール縮合回分式連続反応装置{第一(n−n−アルデヒド)反応塔と記載}であり、V2は後段としての第2段目のアルドール縮合回分式連続反応装置{第二(n−i−アルデヒド)反応塔と記載}である。第1段目のアルドール縮合反応装置では主にアルファ無置換アルデヒドからのホモアルドール縮合生成物(n−アルドール生成物と記載)が生成し、出口以降で未反応物と分離すれば単離可能である。これをT1:n−n−アルドール生成物タンクに入れれば、プロピレンのオキソ反応生成物の場合、2−エチルヘキサナールが主で、水素化によって2−EHが得られる。1−ブテンのオキソ反応生成物の場合、2−プロピルヘプタナールが主で、水素化によって2−PHが得られる。 V2の第2段目のアルドール縮合反応装置ではアルファアルキルアルデヒドとアルファ無置換アルデヒドとのモル比1:1の交差アルドール生成物(n−i−アルドール生成物と記載)がアルファ無置換アルデヒドからのホモアルドール縮合生成物と共に混合物として生成する。アルドール縮合連続反応の模式図である。アルドール縮合回分式連続反応システムの模式図である。アルドール縮合2段連続分離式反応システムの模式図である。符号の説明 V1…第1段目のアルドール縮合回分式連続反応装置、V2…第2段目のアルドール縮合回分式連続反応装置、S…未反応物分離塔、T1…n−アルドール生成物タンク、T2…n−i−アルドール生成物タンク、ST…攪拌機、V…攪拌反応槽、T…反応生成物タンクV0:オキソ反応物槽、F1…第一カセイソーダ触媒槽、F2…第2カセイソーダ触媒槽S1…n−n未反応物分離塔、S2…n−i未反応物分離塔 50wt%〜99.9wt%のアルファアルキルアルデヒド(類)と50wt%〜0.1wt%のアルファ無置換アルデヒド(類)とを含むアルデヒド(類)混合物を原料としてアルドール縮合物を製造する方法。 50wt%〜99.9wt%のアルファアルキルアルデヒド(類)と50wt%〜0.1wt%のアルファ無置換アルデヒド(類)とを含むアルデヒド(類)混合物を原料としてアルファアルキルアルデヒド(類)とアルファ無置換アルデヒド(類)との交差アルドール縮合物を製造する方法。 5wt%〜50wt%のアルファアルキルアルデヒド(類)と50wt%〜95wt%のアルファ無置換アルデヒド(類)とを含むアルデヒド(類)混合物に第1段目の反応器でアルドール縮合を行ない、未反応物として得た50wt%〜99.9wt%のアルファアルキルアルデヒド(類)と50wt%〜0.1wt%のアルファ無置換アルデヒド(類)とを含むアルデヒド(類)を残存原料として第2段目の反応器でアルドール縮合物を製造する請求項1に記載の方法。 5wt%〜50wt%のアルファアルキルアルデヒド(類)と50wt%〜95wt%のアルファ無置換アルデヒド(類)とを含むアルデヒド(類)混合物に第1段目の反応器でアルドール縮合を行ない、未反応物として得た50wt%〜99.9wt%のアルファアルキルアルデヒド(類)と50wt%〜0.1wt%のアルファ無置換アルデヒド(類)とを含むアルデヒド(類)を残存原料として第2段目の反応器でアルファアルキルアルデヒド(類)とアルファ無置換アルデヒド(類)との交差アルドール縮合物を製造する請求項1に記載の方法。 5wt%〜50wt%のアルファアルキルアルデヒド(類)と50wt%〜95wt%のアルファ無置換アルデヒド(類)とを含むアルデヒド(類)混合物に第1段目のアルドール縮合を行ない、このアルドール縮合物を分離後に未反応物として得た50wt%〜99.9wt%のアルファアルキルアルデヒド(類)と50wt%〜0.1wt%のアルファ無置換アルデヒド(類)とを含むアルデヒド(類)を残存原料として第2段目のアルドール縮合物を製造する請求項3に記載の方法。 5wt%〜50wt%のアルファアルキルアルデヒド(類)と50wt%〜95wt%のアルファ無置換アルデヒド(類)とを含むアルデヒド(類)混合物に第1段目のアルドール縮合を行ない、このアルドール縮合物を分離後に未反応物として得た50wt%〜99.9wt%のアルファアルキルアルデヒド(類)と50wt%〜0.1wt%のアルファ無置換アルデヒド(類)とを含むアルデヒド(類)を残存原料として第2段目の反応器でアルファアルキルアルデヒド(類)とアルファ無置換アルデヒド(類)との交差アルドール縮合物を製造する請求項3に記載の方法。 アルファ無置換アルデヒドとしてアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、n−ブチルアルデヒド、2−ペンタナール及び/又はアルファ無置換C6アルデヒドを使用し、アルファアルキルアルデヒドとしてイソブチルアルデヒド、アルファメチルブタナール及び/又はアルファアルキルC6アルデヒドを使用する請求項1〜6に記載の前記アルドール縮合物の製造方法。 【課題】 アルファアルキルアルデヒドをアルファ無置換アルデヒドの存在下に効率的に交差アルドール縮合させてアルファアルキルアルデヒドとアルファ無置換アルデヒドとが1対1結合した交差アルドールを製造する方法を提供する。【解決手段】 アルファアルキルアルデヒドを70wt%〜99wt%含み、アルファ無置換アルデヒドを1wt%〜30wt%含むアルデヒド混合物をアルドール縮合してアルファアルキルアルデヒドとアルファ無置換アルデヒドとが1対1結合した交差アルドールを製造する。【選択図】 図2


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