生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_糖尿病治療剤
出願番号:2004218736
年次:2007
IPC分類:A61K 45/00,A61P 3/10,A61P 43/00,A61K 31/192


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鈴木 伸宏 鈴木 正美 浅川 智子 片岡 修 JP 2007284350 公開特許公報(A) 20071101 2004218736 20040727 糖尿病治療剤 武田薬品工業株式会社 000002934 高橋 秀一 100114041 関口 陽 100106323 鈴木 伸宏 鈴木 正美 浅川 智子 片岡 修 A61K 45/00 20060101AFI20071005BHJP A61P 3/10 20060101ALI20071005BHJP A61P 43/00 20060101ALI20071005BHJP A61K 31/192 20060101ALN20071005BHJP JPA61K45/00A61P3/10A61P43/00 111A61K31/192 3 OL 18 4C084 4C206 4C084AA17 4C084MA35 4C084MA52 4C084NA14 4C084ZC021 4C084ZC022 4C084ZC351 4C084ZC352 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA23 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA55 4C206MA72 4C206NA14 4C206ZC02 4C206ZC35 本発明は、GPR40アゴニストを含有してなるスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤に関する。 スルフォニルウレア化合物(以下、SU剤と略記することがある)は、経口血糖低下剤の第一選択薬として汎用されている。しかしながら、SU剤を糖尿病患者に連続投与した場合に十分な血糖低下効果が得られないという状態、すなわち、スルフォニルウレア2次無効(Sulfonylurea secondary failure)が引き起こされる。 スルフォニルウレア2次無効糖尿病患者においては、SU剤投与による治療効果を期待できないため、インスリン製剤による治療がなされている。 一方、GPR40アゴニストは、糖尿病治療薬などとして有用であることが知られている(例えば、特許文献1参照)。国際公開第WO03/099793号パンフレット国際公開第WO2004/022551号パンフレット国際公開第WO2004/041266号パンフレット 本発明の目的は、スルフォニルウレア化合物や速効性インスリン分泌促進薬ではインスリン分泌効果が得られず、したがって十分な血糖低下効果が得られない糖尿病患者においても、優れたインスリン分泌効果および血糖低下効果を奏するスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤を提供することである。 本発明者らは、鋭意研究した結果、GPR40アゴニストがスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤として有用であることを初めて見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は1)GPR40アゴニストを含有してなるスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤(以下、本発明の剤と略記することがある);2)スルフォニルウレア2次無効がスルフォニルウレア化合物に起因する前記1)記載の剤;3)スルフォニルウレア2次無効が速効性インスリン分泌促進薬に起因する前記1)記載の剤;などに関する。 本発明のスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤は、スルフォニルウレア化合物や速効性インスリン分泌促進薬ではインスリン分泌効果が得られず、したがって十分な血糖低下効果が得られない糖尿病患者においても、優れたインスリン分泌効果および血糖低下効果を奏する。 さらに、現在、スルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤として用いられているインスリン製剤と比較した場合、本発明の剤は、インスリン製剤投与(特に長期投与)時に誘発される副作用(例、血管合併症、低血糖)がない、安全な医薬である。 さらに、現在、インスリン製剤による治療を受けているスルフォニルウレア2次無効糖尿病患者に対して、本発明の剤を投与することにより、インスリン製剤の投与量を低減することができる。 本明細書中、GPR40アゴニストとは、GPR40受容体に対してアゴニスト活性(活性化作用)を有する化合物であればよい。該化合物は、ペプチド性または非ペプチド性のいずれであってもよいが、非ペプチド性のものが好ましい。 また、GPR40アゴニストは、GPR40受容体に対するアゴニスト活性が保持されている限り、その形態が生体内への投与前後で異なっていてもよい。すなわち、GPR40アゴニストは、生体内での代謝を受けて構造変化体となった後にGPR40受容体に対するアゴニスト活性を有する「活性代謝物」であってもよい。さらに、GPR40アゴニストは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により活性体に変化する「プロドラッグ」であってもよい。 GPR40アゴニストの具体例としては、以下の(1)〜(5)が挙げられる。(1)WO2004/041266に記載された芳香環およびカチオンを放出する基を含有する化合物、好ましくは芳香環を含有するカルボン酸またはその誘導体、さらに好ましくは式:〔式中、環Pは置換基を有していてもよい芳香環を、環Qは−Y−COOH以外にさらに置換基を有していてもよい芳香環を、XおよびYは独立してスペーサーを示す〕で表わされる化合物(以下、化合物(I)と略記することがある)もしくはその塩またはそのプロドラッグ。 化合物(I)の塩としては、薬理学的に許容される塩が好ましく、このような塩としては、例えば無機塩基との塩、有機塩基との塩、無機酸との塩、有機酸との塩、塩基性または酸性アミノ酸との塩などが挙げられる。 無機塩基との塩の好適な例としては、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩;アンモニウム塩などが挙げられる。 有機塩基との塩の好適な例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、N,N−ジベンジルエチレンジアミンなどとの塩が挙げられる。 無機酸との塩の好適な例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などとの塩が挙げられる。 有機酸との塩の好適な例としては、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などとの塩が挙げられる。 塩基性アミノ酸との塩の好適な例としては、アルギニン、リシン、オルニチンなどとの塩が挙げられる。 酸性アミノ酸との塩の好適な例としては、アスパラギン酸、グルタミン酸などとの塩が挙げられる。 化合物(I)のプロドラッグとは、生体内における生理条件下で酵素や胃酸等による反応により化合物(I)に変換する化合物、すなわち酵素的に酸化、還元、加水分解等を起こして本発明の化合物に変化する化合物、胃酸等により加水分解等を起こして化合物(I)に変化する化合物をいう。 化合物(I)のプロドラッグとしては、化合物(I)のアミノ基がアシル化、アルキル化、リン酸化された化合物(例えば、化合物(I)のアミノ基がエイコサノイル化、アラニル化、ペンチルアミノカルボニル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メトキシカルボニル化、テトラヒドロフラニル化、ピロリジルメチル化、ピバロイルオキシメチル化、tert−ブチル化された化合物等);化合物(I)の水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、化合物(I)の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、スクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);化合物(I)のカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、化合物(I)のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物等);等が挙げられ、なかでも化合物(I)のカルボキシ基がメチル、エチル、tert−ブチルなどのC1−6アルキル基でエステル化された化合物が好ましく用いられる。これらの化合物は自体公知の方法によって化合物(I)から製造することができる。 また、化合物(I)のプロドラッグは、広川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻分子設計163頁から198頁に記載されているような生理的条件で化合物(I)に変化するものであってもよい。 化合物(I)の好適な例としては、以下の化合物(I−1)、(I−2)、(I−3)、(I−4)が挙げられる。化合物(I−1) 式〔式中、環Aは置換基を有していてもよいベンゼン環を、環Q1は置換基を有していてもよいベンゼン環を、X1はアルキレン基以外のスペーサーを、pおよびqは独立して結合手または置換基を有していてもよい炭素数1ないし4の炭素鎖を、Rは水素原子または置換基を示す。〕で表わされる化合物。 化合物(I−1)の中でも、環Aが1)ハロゲン原子、2)C1−6アルキル基、3)C1−6アルコキシ基、4)ハロゲン原子、C1−6アルキル基またはC1−6アルコキシ基で置換されていてもよいC6−14アリール基(好ましくはフェニル)、5)C6−14アリールオキシ基(好ましくはフェノキシ)、および6)C7−16アラルキルオキシ基(好ましくはベンジルオキシ、フェニルエチルオキシ、フェニルプロピルオキシ、フェニルブチルオキシ)から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいベンゼン環; 環Q1がハロゲン原子およびC1−6アルキル基から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいベンゼン環; X1が酸素原子; pおよびqが、独立して、結合手またはC1−4アルキレン;かつ Rが水素原子である化合物が好ましい。化合物(I−2) 式(式中、環P1はベンゼン環を有する置換基を有するベンゼン環を、環Q1は置換基を有していてもよいベンゼン環を、Rは水素原子または置換基を示す。)で表わされる化合物。 化合物(I−2)の中でも、環P1が、式:R1−E1− (R1はハロゲン原子、ニトロ基、カルボキシル基、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基、ヒドロキシ−C1−6アルキル基、カルボキシ−C1−6アルキル−カルボニルアミノ−C1−6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基、C6−14アリール基、C6−14アリールオキシ基およびC7−16アラルキルオキシ基から選ばれる置換基をそれぞれ有していてもよいフェニル基またはインダニル基を、E1は結合手またはスペーサー(好ましくは−O−、−CH2−O−、−CO−、−CONH−、−N(CH3)CH2−、−S−CH2−または−C=C−)を示す)で表わされる置換基を有し、さらにC1−6アルキル基で置換されていてもよいベンゼン環; 環Q1がC1−6アルキル基を有していてもよいベンゼン環;かつ Rが水素原子である化合物が好ましい。 化合物(I−2)としては、式(式中、R2は1ないし2個の置換基を有するフェニル基を、E2は結合手、酸素原子、または置換されていてもよいメチレンを、環P2は置換されていてもよいC1−6アルキル基、置換されていてもよいC1−6アルコキシ基およびハロゲン原子から選ばれる置換基をさらに有していてもよいベンゼン環を、R3およびR4は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル基またはC1−6アルコキシ基を示す。)で表される化合物も好ましい。 化合物(I−2A)の中でも、 R2が1)ハロゲン原子;ヒドロキシ基;アミノ基;炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1又は2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし7員複素環基(例、フリル、ピリジル、チエニル)(該複素環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アミノ基、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基、モノ−又はジ−C1−6アルキルアミノ基、モノ−又はジ−C6−14アリールアミノ基、C3−8シクロアルキル基、C1−6アルコキシ基、C1−6アルコキシ−カルボニル基、C1−6アルキルチオ基、C1−6アルキルスルフィニル基、C1−6アルキルスルホニル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、モノ−C1−6アルキル−カルバモイル基、ジ−C1−6アルキル−カルバモイル基、モノ−又はジ−C6−14アリール−カルバモイル基などで置換されていてもよい);モノ−又はジ−C1−6アルキルアミノ基;モノ−又はジ−C6−14アリールアミノ基;C3−8シクロアルキル基;ハロゲン化されていてもよいC1−6アルコキシ基;C1−6アルコキシ−カルボニル基;C1−6アルキルチオ基;C1−6アルキルスルフィニル基;C1−6アルキルスルホニル基;エステル化されていてもよいカルボキシル基;カルバモイル基;チオカルバモイル基;モノ−C1−6アルキル−カルバモイル基;ジ−C1−6アルキル−カルバモイル基;モノ−又はジ−C6−14アリール−カルバモイル基(例、フェニルカルバモイル、1−ナフチルカルバモイル、2−ナフチルカルバモイル);モノ−又はジ−(炭素原子以外に窒素原子、硫黄原子および酸素原子から選ばれる1又は2種、1ないし4個のヘテロ原子を含む5ないし7員複素環)−カルバモイル基(例、2−ピリジルカルバモイル、3−ピリジルカルバモイル、4−ピリジルカルバモイル、2−チエニルカルバモイル、3−チエニルカルバモイル);カルボキシル基で置換されていてもよいC1−6アルキル−カルボニルアミノ基;から選ばれる1ないし5個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C1−6アルキル基またはC1−6アルコキシ基、および2)ハロゲン原子から選ばれる1ないし2個の置換基を有するフェニル基; E2が結合手、酸素原子またはメチレン; 環P2がベンゼン環;かつ R3およびR4が独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル基またはC1−6アルコキシ基;である化合物が好ましい。化合物(I−3) 式〔式中、環Mは置換基を有していてもよいベンゼン環を、環Nは置換基を有していてもよい5員複素環を、環Q2は置換基を有していてもよいベンゼン環を、Rは水素原子または置換基を示す。〕で表わされる化合物。 化合物(I−3)の中でも、部分構造式が、ハロゲン原子および置換されていてもよいC1−6アルキル基(好ましくは、ハロゲン化されていてもよいC1−6アルキル基)から選ばれる置換基をそれぞれ有していてもよい、 環Q2がベンゼン環;かつ Rが水素原子である化合物が好ましい。化合物(I−4) 式(式中、R5は置換基を有していてもよいチアゾリル基を、E3は結合手またはスペーサーを、環P3および環Q1は独立して置換基を有していてもよいベンゼン環を、Rは水素原子または置換基を示す。)で表わされる化合物。 化合物(I−4)の中でも、R5がC6−14アリール基(好ましくはフェニル)およびC1−6アルキル基から選ばれる1ないし2個の置換基を有していてもよいチアゾリル基(好ましくは2−チアゾリル基); E3が−N(R6)−(CH2)m−または−S−(CH2)m− (R6は水素原子またはC1−6アルキル基を、mは0ないし3の整数を示す); 環P3および環Q1がベンゼン環;かつ Rが水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル基またはC1-6アルコキシ基である化合物が好ましい。 化合物(I−4)としては、式(式中、E3aは-N(R11)-CH2-、-CH(R11)-O-または-CH(R11)-CH2- (R11は水素原子またはC1−6アルキル基を示す)を、R7およびR8は独立して、水素原子、ハロゲン原子、C1−6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を、R9およびR10は独立して、水素原子、置換されていてもよいC6-14アリール基(好ましくはハロゲン原子、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルキル基、ハロゲン化されていてもよいC1-6アルコキシ基およびC3−8シクロアルキル基(好ましくはシクロヘキシル)から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてよく、部分的に飽和されていてもよいC6-14アリール基(好ましくはフェニル、テトラヒドロナフチル))または置換されていてもよいC1-6アルキル基(好ましくはエステル化されていてもよいカルボキシル(好ましくはカルボキシル)で置換されていてもよいC1-6アルキル基)を示すか、R9およびR10は結合して環(好ましくはベンゼン環と縮合していてもよいC3-10シクロアルケン(好ましくはシクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン))を形成する)で表される化合物も好ましい。 化合物(I)の好適な具体例としては、4-([2',6'-ジメチル-1,1'-ビフェニル]-3-イルメトキシ)ベンゼンプロパン酸;(R)-4-[(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)オキシ]ベンゼンプロパン酸;4-[[3-[(2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)オキシ]フェニル]メトキシ]ベンゼンプロパン酸;3-[4-[(2',6'-ジメチルビフェニル-3-イル)メトキシ]-2-フルオロフェニル]プロピオン酸;3-[4-[[4-[[4,5-ジヒドロナフト[1,2-d][1,3]チアゾール-2-イル(プロピル)アミノ]メチル]ベンジル]オキシ]フェニル]プロピオン酸;3-[4-[[4-(2,6-ジメチルベンジル)ベンジル]オキシ]フェニル]プロパン酸;3-{4-[(4-{[イソプロピル(4-フェニル-1,3-チアゾール-2-イル)アミノ]メチル}ベンジル)オキシ]フェニル}プロパン酸;3-(4-((4-(((2-フェノキシプロピル)アミノ)メチル)ベンジル)オキシ)フェニル)プロパン酸;3-(4-((4-((ジベンジルアミノ)メチル)ベンジル)オキシ)フェニル)プロパン酸;3-(4-((4-(((2-イミダゾ[1,5-a]ピリジン-3-イルエチル)(フェニル)アミノ)メチル)ベンジル)オキシ)フェニル)プロパン酸が挙げられる。(2)WO03/099793に記載された式:[式中、環Aaは1ないし3個の置換基を有していてもよい環を;環Baは1ないし3個の置換基をさらに有していてもよい1,2−アゾール環を;Xa、Xa1およびXa2は独立して、結合手、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CS−、−CRa1(ORa2)−、−NRa3−、−CONRa3−または−NRa3CO−(Ra1は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を、Ra2は水素原子または水酸基の保護基を、Ra3は水素原子、置換されていてもよい炭化水素基またはアミノ基の保護基を示す)を;Yaは炭素数1ないし20の2価の脂肪族炭化水素残基を;Ya1およびYa2は独立して、結合手または炭素数1ないし20の2価の脂肪族炭化水素残基を;環Caは1ないし3個の置換基をさらに有していてもよい単環式芳香環を;Raは−ORa4(Ra4は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示す)または-NRa5Ra6(Ra5およびRa6は独立して、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示すか、あるいはRa5およびRa6が隣接する窒素原子とともに置換されていてもよい複素環を形成する)を示す。]で表される化合物(以下、化合物(II)と略記することがある)もしくはその塩またはそのプロドラッグ。 化合物(II)の塩およびプロドラッグとしては、それぞれ前記した化合物(I)の塩およびプロドラッグと同様のものが挙げられる。 化合物(II)の中でも、環Aaが1)ハロゲン原子;2)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基;3)C6-14アリール基(好ましくはフェニル);4)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基;5)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルチオ基;6)ニトロ基;7)シアノ基;8)C2-10アルカノイル基またはC1-10アルキルスルホニル基で置換されていてもよいアミノ基(好ましくはアミノ、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ、イソブチリルアミノ、メチルスルホニルアミノ);などから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、C6-14芳香族炭化水素(好ましくはベンゼン)、5または6員芳香族複素環(好ましくはピリジン、ピリミジン、ピリダジン、オキサジアゾール、チアジアゾール)またはC3-12脂環式炭化水素(好ましくはシクロペンタン); 環BaがC1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C7-13アラルキルオキシ基(好ましくはベンジルオキシ)、ヒドロキシ基、C6-14アリール基(好ましくはフェニル)、C3-10シクロアルキル基(好ましくはシクロヘキシル)などから選ばれる1ないし3個(好ましくは1ないし2個)の置換基をそれぞれ有していてもよいピラゾールまたはイソオキサゾール(好ましくはピラゾール); Xa、Xa1およびXa2が独立して結合手または−O−; YaがC1-6アルキレンまたはC2-6アルケニレン; Ya1が結合手; Ya2が結合手、C1-6アルキレンまたはC2-6アルケニレン; 環Caが1)ハロゲン原子;2)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基;3)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC6-14アリール基(好ましくはフェニル);4)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基;5)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキルチオ基;6)ヒドロキシ基;7)C7-13アラルキルオキシ基(好ましくはベンジルオキシ);8)シアノ基;9)C3-10シクロアルキル基(好ましくはシクロヘキシル);などから選ばれる1ないし3個の置換基をそれぞれ有していてもよい、ベンゼンまたは5または6員単環式芳香族複素環(好ましくはピラゾール);かつ Raが−ORa4 (Ra4は好ましくは水素原子またはC1-6アルキル基)である化合物が好ましい。 化合物(II)の好適な具体例としては、3−[1−フェニル−3−(4−[3−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]−5−イソオキサゾリル]ブトキシ)−1H−ピラゾール−5−イル]プロピオン酸;2−[3−(3−[3−エトキシ−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]−1H−ピラゾール−4−イル]プロポキシ)フェノキシ]−2−メチルプロピオン酸;3−[2−エトキシ−4−(3−[3−エトキシ−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]−1H−ピラゾール−4−イル]プロポキシ)フェニル]プロピオン酸;3−[3−(3−[3−エトキシ−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]−1H−ピラゾール−4−イル]プロポキシ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−5−イル]プロピオン酸;[1−フェニル−3−(4−{3−プロピル−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−1H−ピラゾール−4−イル}ブトキシ)−1H−ピラゾール−4−イル]酢酸;[2−(3−{3−イソプロピル−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]−1H−ピラゾール−4−イル}プロポキシ)−3−メトキシフェニル]酢酸;[2−(3−{3−(1−エチルプロピル)−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジル]−1H−ピラゾール−4−イル}プロポキシ)−3−メトキシフェニル]酢酸;(2−[3−[1−(5−クロロ−2−ピリジル)−3−(1−エチルプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル]プロポキシ]−3−メトキシフェニル)酢酸;[3−エチル−2−(3−[3−イソプロピル−1−[6−(トリフルオロメチル) ピリダジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル]プロポキシ)フェニル]酢酸;[2−(3−{3−イソプロピル−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリダジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル}プロポキシ)−3−メトキシフェニル]酢酸;[3−(3−{3−イソプロピル−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−1H−ピラゾール−4−イル}プロポキシ)−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル]酢酸;[1−エチル−5−(3−{3−イソプロピル−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−1H−ピラゾール−4−イル}プロポキシ)−1H−ピラゾール−4−イル]酢酸;[1−エチル−5−(3−{3−プロピル−1−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジニル]−1H−ピラゾール−4−イル}プロポキシ)−1H−ピラゾール−4−イル]酢酸;(2−{3−[1−(5−ブロモ−2−ピリジニル)−3−(1−エチルプロピル)−1H−ピラゾール−4−イル]プロポキシ}−3−メトキシフェニル)酢酸;[2−(3−{3−tert−ブチル−1−[6−(トリフルオロメチル)ピリダジン−3−イル]−1H−ピラゾール−4−イル}プロポキシ)−3−メチルフェニル]酢酸が挙げられる。(3)WO2004/022551に記載された式:[式中、Rbは置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示し、maは0、1または2を示し、maが2である場合、各Rbは同一または異なっていてもよく、Rb2は水素原子または置換されていてもよい炭化水素基を示し、Rb1は置換されていてもよい芳香族基を示し、環Abは置換されていてもよい単環性芳香環または置換されていてもよい2環性芳香族縮合環を示し、Xbは酸素原子または硫黄原子を示し、Xb1は結合手、酸素原子または−S(O)mb− (mbは0、1または2を示す)を示し、Ybは結合手、酸素原子、−S(O)mc−、−C(=O)−N(Rb3)−または−N(Rb3)−C(=O)− (Rb3は、水素原子、置換されていてもよい炭化水素基または置換されていてもよい複素環基を示し、mcは、0、1または2を示す)を示し、M1、M2およびM3は、それぞれ独立して、結合手または置換されていてもよい2価の脂肪族炭化水素基を示し、M4は置換されていてもよい2価の脂肪族炭化水素基を示す。]で表わされる化合物もしくはその塩またはそのプロドラッグ。 化合物(III)の塩およびプロドラッグとしては、それぞれ前記した化合物(I)の塩およびプロドラッグと同様のものが挙げられる。 化合物(III)の中でも、Rbがそれぞれ置換されていてもよいアルキル基、アリール基またはシクロアルキル基(好ましくは、1ないし3個のハロゲン原子またはヒドロキシで置換されていてもよいC1-4アルキル基;1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよいフェニル基;またはC3-10シクロアルキル基); maが0または1; Rb2が水素原子; Rb1が置換されていてもよいフェニル基(好ましくは、1)ハロゲン原子;2)1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルキル基;および3)1ないし3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC1-6アルコキシ基から選ばれる1ないし3個の置換基を有していてもよいフェニル基); 環Abがそれぞれ置換されていてもよいベンゼン環またはチアゾール環(好ましくは、C1-6アルキルおよびC1-6アルコキシから選ばれる1ないし2個の置換基をそれぞれ有していてもよい、ベンゼン環またはチアゾール環); Xbが酸素原子; Xb1が結合手、酸素原子または−S(O)mb− (mbは0、1または2を示す); Ybが酸素原子または−C(=O)−N(Rb3)− (Rb3は、水素原子、アルキル基(好ましくはC1-10アルキル基)またはアラルキル基(好ましくはC7-13アラルキル基)を示し、炭素原子はM1と、窒素原子はM2と結合する); M1、M2およびM3が、独立して、結合手またはアルキレン(好ましくはC1-6アルキレン);かつ M4がアルキレン(好ましくはC1-6アルキレン)である化合物が好ましい。(4)WO02/057783にGPR40リガンドとして記載された以下の脂肪酸。 trans−レチノイン酸(retinoic acid)、 cis-4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、ペンタデカン酸(pentadecanoic acid)、エライジン酸(elaidic acid)、ペトロセリン酸(petroselinic acid)、ヘプタデカン酸(heptadecanoic acid)、トリデカン酸(tridecanoic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、アラキドン酸(arachidonic acid)、リノレン酸(linolenic acid)、パルミトレイン酸(palmitoleic acid)、カプリン酸(capric acid)、ミリスチン酸(myristic acid)、ステアリン酸(stearic acid)、ウンデカン酸(undecanoic acid)などから選ばれる飽和または不飽和のC6−23脂肪酸。(5)WO02/057783、WO2004/041266などに記載された「GPR40アゴニストのスクリーニング方法」により得られる化合物。 本発明のスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤は、GPR40アゴニストをそのまま、または薬理学的に許容し得る担体などと混合して医薬組成物とした後に、哺乳動物(例、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル)に投与することができる。 本発明の剤中のGPR40アゴニストの含量は、GPR40アゴニストの種類、製剤の大きさなどによって異なるが、例えば1〜90重量%、好ましくは5〜80重量%である。 前記した薬理学的に許容される担体としては、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、固形製剤における賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤;液状製剤における溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤などとして配合される。また必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤などの製剤添加物を用いることもできる。 賦形剤の好適な例としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。 滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。 結合剤の好適な例としては、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。 崩壊剤の好適な例としては、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。 溶剤の好適な例としては、注射用水、生理的食塩水、リンゲル液、アルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。 溶解補助剤の好適な例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、コレステロール、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。 懸濁化剤の好適な例としては、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。 等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられる。 緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。 無痛化剤の好適な例としては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。 防腐剤の好適な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。 抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。 着色剤の好適な例としては、水溶性食用タール色素(例、食用赤色2号および3号、食用黄色4号および5号、食用青色1号および2号などの食用色素)、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラ、黄色三二酸化鉄)などが挙げられる。 甘味剤の好適な例としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。 本発明の剤の剤形としては、例えば錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などの経口剤;および注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤など)、外用剤(例、経鼻投与製剤、経皮製剤、軟膏剤など)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤など)、ペレット、点滴剤、点眼剤、経肺剤(吸入剤)等の非経口剤が挙げられ、これらはそれぞれ経口的あるいは非経口的に安全に投与できる。また、これらの製剤は、速放性製剤または徐放性製剤などの放出制御製剤(例、徐放性マイクロカプセルなど)であってもよい。これら製剤の中でも、利便性あるいはコンプライアンスに優れる経口剤が好ましい。 本発明の剤は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。 本明細書中、「スルフォニルウレア2次無効糖尿病」における「スルフォニルウレア2次無効」とは、「膵β細胞のATP感受性K+チャネル(以下、KATPチャネルと略記することがある)を構成するスルフォニルウレア受容体1(SUR1)に結合してKATPチャネルを閉鎖し、細胞膜に脱分極を生じさせることにより、膵β細胞からのインスリン分泌を促進する薬剤(例、スルフォニルウレア化合物、速効性インスリン分泌促進薬)」を連続あるいは長期(例えば2週間以上、好ましくは4週間以上)投与した場合に十分な血糖低下効果が得られない状態を意味する。 上記スルフォニルウレア化合物としては、スルフォニルウレア骨格を有する化合物またはその誘導体、例えばトルブタミド、グリベンクラミド、グリクラジド、クロルプロパミド、トラザミド、アセトヘキサミド、グリクロピラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリブゾールなどが挙げられる。 また、速効性インスリン分泌促進薬としては、スルフォニルウレア骨格を有さないが、スルフォニルウレア化合物と同様に膵β細胞からのインスリン分泌を促進する化合物、例えばレパグリニド、セナグリニド、ナテグリニド、ミチグリニドまたはそのカルシウム塩水和物などのグリニド系化合物などが挙げられる。 スルフォニルウレア2次無効は、スルフォニルウレア化合物あるいは速効性インスリン分泌促進薬のいずれに起因するものであってもよい。 また、「スルフォニルウレア2次無効糖尿病」における糖尿病としては、例えば1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病、耐糖能不全[IGT(Impaired Glucose Tolerance)]、IFG(Impaired Fasting Glucose)、IFG(Impaired Fasting Glycemia)、糖尿病性合併症[例、神経障害、腎症、網膜症、白内障、大血管障害、骨減少症、糖尿病性高浸透圧昏睡、感染症(例、呼吸器感染症、尿路感染症、消化器感染症、皮膚軟部組織感染症、下肢感染症)、糖尿病性壊疽、口腔乾燥症、聴覚の低下、脳血管障害、末梢血行障害]などが挙げられる。なかでも、2型糖尿病が好ましい。 本発明のスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤は、スルフォニルウレア化合物や速効性インスリン分泌促進薬ではインスリン分泌効果が得られず、したがって十分な血糖低下効果が得られない糖尿病患者においても、優れたインスリン分泌効果および血糖低下効果を奏する。 本発明の剤の投与量は、投与対象、投与ルート、対象疾患などによっても異なるが、例えば成人の糖尿病患者に経口投与する場合、活性成分であるGPR40アゴニストを通常1回量として約0.01〜100mg/kg体重、好ましくは0.05〜30mg/kg体重、さらに好ましくは0.1〜10mg/kg体重であり、この量を1日1回〜2回投与することが望ましい。 本発明の剤は、糖尿病治療剤、糖尿病性合併症治療剤、抗高脂血症剤、降圧剤、抗肥満剤、利尿剤、抗血栓剤などの薬剤(以下、併用薬剤と略記する)と組み合わせて用いることができる。この際、本発明の剤と併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、本発明の剤と併用薬剤とは、それぞれの活性成分を含む2種類の製剤として投与されてもよいし、両方の活性成分を含む単一の製剤として投与されてもよい。 併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明の剤と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせなどにより適宜選択することができる。例えば投与対象がヒトである場合、本発明の剤の活性成分であるGPR40アゴニスト1重量部に対し、併用薬剤を0.01〜100重量部用いればよい。 前記糖尿病治療剤としては、例えばインスリン製剤(例、ウシ、ブタの膵臓から抽出された動物インスリン製剤;大腸菌またはイーストを用い、遺伝子工学的に合成したヒトインスリン製剤;インスリン亜鉛;プロタミンインスリン亜鉛;インスリンのフラグメントまたは誘導体(例、INS−1等))、インスリン抵抗性改善剤(例、ピオグリタゾンまたはその塩(好ましくは塩酸塩)、ロシグリタゾンまたはその塩(好ましくはマレイン酸塩)、GI-262570、レグリキサン(Reglixane)(JTT-501)、ネトグリタゾン(Netoglitazone)(MCC-555)、KRP-297、リボグリタゾン(Rivoglitazone)(CS-011)、FK-614、ラガグリタザール(Ragaglitazar)(NN-622)、テサグリタザール(Tesaglitazar)(AZ−242)、ムラグリタザール(Muraglitazar)(BMS-298585)、EML-16336、WO99/58510に記載の化合物(例えば(E)−4−[4−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリルメトキシ)ベンジルオキシイミノ]−4−フェニル酪酸)、WO01/38325に記載の化合物、ONO-5816、BM-13-1258、LM-4156、MBX-102、LY-519818、MX-6054、LY-510929、バラグリタゾン(Balaglitazone)(NN-2344)、T-131またはその塩、THR-0921等)、PPARγアゴニスト、PPARγアンタゴニスト、PPARγ/αデュアルアゴニスト、α−グルコシダーゼ阻害剤(例、ボグリボース、アカルボース、ミグリトール、エミグリテート)、ビグアナイド剤(例、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミンまたはそれらの塩(例、塩酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩))、GLP−1受容体アゴニスト[例、GLP−1、NN-2211、AC-2993(exendin−4)、BIM-51077、Aib(8,35)hGLP−1(7,37)NH2]、アミリンアゴニスト(例、プラムリンチド)、フォスフォチロシンフォスファターゼ阻害剤(例、バナジン酸ナトリウム)、ジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤(例、NVP-DPP-278、PT-100、P32/98、LAF-237、P93/01、TS-021、MK-0431、BMS-477118等)、β3アゴニスト(例、CL-316243、SR-58611-A、UL-TG-307、SB-226552、AJ-9677、BMS-196085、AZ40140)、糖新生阻害剤(例、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、グルコース−6−ホスファターゼ阻害剤、グルカゴン拮抗剤、ソマトスタチン受容体アゴニスト)、SGLT(sodium-glucose cotransporter)阻害剤(例、T-1095)、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、BVT-3498等)、アジポネクチンまたはその作動薬、IKK阻害薬(例、AS-2868等)、レプチン抵抗性改善薬、ソマトスタチン受容体作動薬(WO01/25228、WO03/42204記載の化合物、WO98/44921、WO98/45285、WO99/22735記載の化合物等)、グルコキナーゼ活性化薬(例、Ro-28-1675)、JNK阻害薬、GSK3β阻害薬等が挙げられる。 糖尿病性合併症治療剤としては、アルドース還元酵素阻害剤(例、トルレスタット、エパルレスタット、ゼナレスタット、ゾポルレスタット、ミナルレスタット、フィダレスタット、SNK-860、CT-112)、神経栄養因子およびその増加薬(例、NGF、NT−3、BDNF、WO01/14372に記載のニューロトロフィン産生・分泌促進剤(例えば4−(4−クロロフェニル)−2−(2−メチル−1−イミダゾリル)−5−[3−(2−メチルフェノキシ)プロピル]オキサゾールなど))、神経再生促進薬(例、Y-128)、PKC阻害剤(例、ルボキシスタウリン メシレート(ruboxistaurin mesylate;LY-333531))、AGE阻害剤(例、ALT946、ピマゲジン、ピラトキサチン、N−フェナシルチアゾリウム ブロマイド(ALT766)、EXO-226)、活性酸素消去薬(例、チオクト酸)、脳血管拡張剤(例、チアプリド、メキシレチン)、ソマトスタチン受容体作動薬(例、BIM23190)、アポトーシスシグナルレギュレーティングキナーゼ-1(ASK-1)阻害薬が挙げられる。 抗高脂血症剤としては、コレステロール合成阻害剤であるスタチン系化合物(例、セリバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、イタバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチンまたはそれらの塩(例、ナトリウム塩))、スクアレン合成酵素阻害剤(例、WO97/10224に記載の化合物、例えばN−[[(3R,5S)-1-(3-アセトキシ-2,2-ジメチルプロピル)-7-クロロ-5-(2,3-ジメトキシフェニル)-2-オキソ-1,2,3,5-テトラヒドロ-4,1-ベンゾオキサゼピン-3-イル]アセチル]ピペリジン-4-酢酸など)、フィブラート系化合物(例、ベザフィブラート、クロフィブラート、シムフィブラート、クリノフィブラート)、ACAT阻害剤(例、アバシマイブ(Avasimibe)、エフルシマイブ(Eflucimibe))、陰イオン交換樹脂(例、コレスチラミン)、プロブコール、ニコチン酸系薬剤(例、ニコモール(nicomol)、ニセリトロール(niceritrol))、イコサペント酸エチル、植物ステロール(例、ソイステロール(soysterol)、ガンマオリザノール(γ−oryzanol))等が挙げられる。 降圧剤としては、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(例、カプトプリル、エナラプリル、デラプリル)、アンジオテンシンII拮抗剤(例、カンデサルタン シレキセチル、ロサルタン、エプロサルタン、バルサルタン、テルミサルタン、イルベサルタン、タソサルタン、1-[[2'-(2,5-ジヒドロ-5-オキソ-4H-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)ビフェニル-4-イル]メチル]-2-エトキシ-1H-ベンズイミダゾール-7-カルボン酸等)、カルシウム拮抗剤(例、マニジピン、ニフェジピン、アムロジピン、エホニジピン、ニカルジピン)、カリウムチャンネル開口薬(例、レブクロマカリム、L-27152、AL 0671、NIP-121)、クロニジン等が挙げられる。 抗肥満剤としては、例えば中枢性抗肥満薬(例、デキスフェンフルラミン、フェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、アンフェプラモン、デキサンフェタミン、マジンドール、フェニルプロパノールアミン、クロベンゾレックス;MCH受容体拮抗薬(例、SB-568849;SNAP-7941;WO01/82925およびWO01/87834に含まれる化合物等);ニューロペプチドY拮抗薬(例、CP-422935等);カンナビノイド受容体拮抗薬(例、SR-141716、SR-147778等);グレリン拮抗薬;11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ阻害薬(例、BVT-3498等)等)、膵リパーゼ阻害薬(例、オルリスタット、ATL-962)、β3アゴニスト(例、CL-316243、SR-58611-A、UL-TG-307、SB-226552、AJ-9677、BMS-196085、AZ40140)、ペプチド性食欲抑制薬(例、レプチン、CNTF(毛様体神経栄養因子))、コレシストキニンアゴニスト(例、リンチトリプト、FPL-15849)等が挙げられる。 利尿剤としては、例えばキサンチン誘導体(例、サリチル酸ナトリウムテオブロミン、サリチル酸カルシウムテオブロミン)、チアジド系製剤(例、エチアジド、シクロペンチアジド、トリクロルメチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、ベンチルヒドロクロロチアジド、ペンフルチジド、ポリチアジド、メチクロチアジド)、抗アルドステロン製剤(例、スピロノラクトン、トリアムテレン)、炭酸脱水酵素阻害剤(例、アセタゾラミド)、クロルベンゼンスルホンアミド系製剤(例、クロルタリドン、メフルシド、インダパミド)、アゾセミド、イソソルビド、エタクリン酸、ピレタニド、ブメタニド、フロセミド等が挙げられる。 抗血栓剤としては、例えばヘパリン(例、ヘパリンナトリウム、ヘパリンカルシウム、ダルテパリンナトリウム(dalteparin sodium))、ワルファリン(例、ワルファリンカリウム)、抗トロンビン薬(例、アルガトロバン(aragatroban))、血栓溶解薬(例、ウロキナーゼ(urokinase)、チソキナーゼ(tisokinase)、アルテプラーゼ(alteplase)、ナテプラーゼ(nateplase)、モンテプラーゼ(monteplase)、パミテプラーゼ(pamiteplase))、血小板凝集抑制薬(例、塩酸チクロピジン(ticlopidine hydrochloride)、シロスタゾール(cilostazol)、イコサペント酸エチル、ベラプロストナトリウム(beraprost sodium)、塩酸サルポグレラート(sarpogrelate hydrochloride))などが挙げられる。 併用薬剤は、好ましくはインスリン製剤、インスリン抵抗性改善剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、ビグアナイド剤などである。 本発明は、さらに、「GPR40アゴニストを含有してなる、スルフォニルウレア受容体1結合性化合物(例、スルフォニルウレア化合物、速効性インスリン分泌促進薬)の刺激により閉鎖不能となったATP感受性K+チャネルの閉鎖剤」に関する。 ここで、GPR40アゴニスト、スルフォニルウレア化合物および速効性インスリン分泌促進薬としては、前記と同様のものが挙げられる。 上記した閉鎖剤は、GPR40アゴニストを用いて、前記スルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤と同様に製造し、使用することができる。該閉鎖剤は、具体的にはスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤として有用である。 本発明は、以下の実施例および実験例によって、さらに詳しく説明されるが、これらは本発明を限定するものではなく、また本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。 以下の実施例および実験例において、4-([2',6'-ジメチル-1,1'-ビフェニル]-3-イルメトキシ)ベンゼンプロパン酸を化合物Aと略記する。実施例1 化合物A(150mg)、乳糖(1184mg)、コーンスターチ(360mg)、HPC−L(商品名、日本曹達(株)製)(60mg)、カルボキシメチルセルロースカルシウム(商品名:ECG505、五徳薬品(株)製)(60mg)、結晶セルロース(商品名:アビセル、旭化成工業(株)製)(172mg)およびステアリン酸マグネシウム(14mg)を乳鉢で混合する。得られる混合物のうち200mgを油圧ポンプ式プレス機(理研精機製)を用いて打錠し、直径8mmの錠剤を得る。実験例1[N−STZ−1.5ラットの作製法] 生後1.5日の雄性WKYラットにストレプトゾシン(STZ)(120mg/kg体重)を投与し、2型糖尿病モデルであるN−STZ−1.5ラットを作製した。 N−STZ−1.5ラット(雄性、18匹)にグリベンクラミド(10mg/kg体重/日)を4週間連日経口投与して1週間休薬してから再度グリベンクラミド(10 mg/kg体重/日)を2週間連日経口投与してスルフォニルウレア2次無効2型糖尿病モデルとした後、ラットをA〜C群の3群(各6匹)に分け、A群(対照群)には0.5%メチルセルロース懸濁液を、B群にはグリベンクラミド(10mg/kg体重)を、C群には化合物A(10 mg/kg体重)をそれぞれ経口投与した。 ついで投与30分後に、各ラットに1g/kg体重のグルコース液を経口投与し、グルコース液投与前と投与10、30、60および120分後に、ラット尾静脈から採血し、血漿グルコース値および血漿インスリン値を測定した。 なお、血漿グルコース値は、LタイプワコーGlu2(商品名、和光純薬工業株式会社)を用いて酵素法により測定し、血漿インスリン値は、シオノリアインスリンキット(商品名、シオノギ製薬株式会社)を用いてラジオイムノアッセイにより測定した。 グルコース液投与60分後(糖負荷0〜60分後)の血漿グルコース上昇値およびグルコース液投与10分後(糖負荷0〜10分後)の血漿インスリン上昇値を、それぞれ[表1]および[表2]に示す。表中の値は平均値(n=6)を示す。[表1] 群 血漿グルコース上昇値(mg/dl) A群(対照) 181.65 B群(グリベンクラミド) 178.40 C群(化合物A) 107.12 [表2] 群 血漿インスリン上昇値(μU/ml) A群(対照) 25.58 B群(グリベンクラミド) 29.37 C群(化合物A) 42.76 [表1]に示されるように、スルフォニルウレア2次無効2型糖尿病ラットにグリベンクラミド(スルフォニルウレア化合物)を投与しても、血漿グルコース低下効果は得られなかったが、化合物A(GPR40アゴニスト)を投与した場合には、優れた血漿グルコース低下効果が得られた。 また、[表2]に示されるように、スルフォニルウレア2次無効2型糖尿病ラットにグリベンクラミド(スルフォニルウレア化合物)を投与しても、血漿インスリン上昇効果はほとんど得られなかったが、化合物A(GPR40アゴニスト)を投与した場合には、優れた血漿インスリン上昇効果が得られた。 本発明のスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤は、スルフォニルウレア化合物や速効性インスリン分泌促進薬ではインスリン分泌効果が得られず、したがって十分な血糖低下効果が得られない糖尿病患者においても、優れたインスリン分泌効果および血糖低下効果を奏する。GPR40アゴニストを含有してなるスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤。スルフォニルウレア2次無効がスルフォニルウレア化合物に起因する請求項1記載の剤。スルフォニルウレア2次無効が速効性インスリン分泌促進薬に起因する請求項1記載の剤。 【課題】スルフォニルウレア化合物や速効性インスリン分泌促進薬ではインスリン分泌効果が得られず、したがって十分な血糖低下効果が得られない糖尿病患者においても、優れたインスリン分泌効果および血糖低下効果を奏するスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤を提供する。【解決手段】GPR40アゴニストを含有してなるスルフォニルウレア2次無効糖尿病治療剤。【選択図】なし


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