生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_新規な耐熱性AMPデアミナーゼ及びその製造法
出願番号:2004208785
年次:2006
IPC分類:C12N 9/78,C12N 1/14


特許情報キャッシュ

森口 充瞭 JP 2006025688 公開特許公報(A) 20060202 2004208785 20040715 新規な耐熱性AMPデアミナーゼ及びその製造法 天野エンザイム株式会社 000216162 西尾 章 100109597 森口 充瞭 C12N 9/78 20060101AFI20060106BHJP C12N 1/14 20060101ALI20060106BHJP JPC12N9/78C12N1/14 A 9 3 OL 9 4B050 4B065 4B050CC01 4B050DD03 4B050FF09E 4B050FF11E 4B050LL02 4B050LL05 4B065AA60X 4B065AC12 4B065AC14 4B065BA22 4B065BB01 4B065BC03 4B065BD14 4B065CA31 4B065CA41 本発明は、新規な耐熱性を有するAMPデアミナーゼ及びその製造法に関し、詳細には65℃まで安定な新規なAMPデアミナーゼ及びその製造法に関する。 AMPデアミナーゼは、アデニルデアミナーゼ、AMPアミノヒドロラーゼ等とも呼ばれ、5'-アデニル酸を加水分解的に脱アミノして5'-イノシン酸とアンモニアを生成する反応を触媒する。AMPデアミナーゼは動物生体組織に広く存在し、これまでに様々な種の様々な組織から分離されている(非特許文献1、特許文献1参照)。一方、主に工業的利用の見地から、微生物由来のAMPデアミナーゼの探索が精力的に行われてきた。特に、糸状菌由来AMPデアミナーゼに関する研究は多く、アスペルギルス・メレウスのAMPデアミナーゼ等、一部のAMPデアミナーゼについては、酵母エキスの製造における旨味増強などを目的としてその工業的な利用が図られている。現在、酵母エキスの製造においては、旨味増強のためにAMPデアミナーゼとヌクレアーゼとが併用されている。藤島鉄郎及び吉野宏,Amino Acid・Nucleic Acid,第16号,pp45-55(1967年)特開昭55−120788号公報 しかし、一般にヌクレアーゼの至適温度は約65℃である一方、現在使用されているアスペルギルス・メレウス由来のAMPデアミナーゼの至適温度は約50℃で65℃付近では著しく活性が低下する。したがって、製造上、高温で同時に二つの酵素を作用させることは不可能であり、ヌクレアーゼ処理とAMPデアミナーゼ処理とを別個の工程として行わざるを得ず、製造工程が煩雑であった。また、製造過程において処理温度をAMPデアミナーゼの反応温度である約50℃に一旦下げる工程が必要となるため、雑菌汚染を有効に防止できないという問題があった。 本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、ヌクレアーゼと同時に使用でき、製造工程の短縮化と酵素の処理工程を高温により行うことにより雑菌汚染を有効に防止することができる65℃で利用可能な耐熱性に優れるAMPデアミナーゼ及びその製造法を提供することを課題とする。 本発明者らは上記の事情に鑑み、耐熱性に優れたAMPデアミナーゼを微生物に求めてスクリーニングを実施した結果、土壌より新たに採取した微生物が熱安定性の高いAMPデアミナーゼを生産していることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は下記の理化学的性質を有する耐熱性AMPデアミナーゼを要旨とする。(1)基質特異性:5'-アデニル酸+H2O→5'-イノシン酸+NH3の反応を触媒する。(2)安定温度:65℃まで安定である。(3)至適pH:6.0付近である。(4)分子量:85,000±3,000(SDS-PAGEによる)、88,000±3,000(ゲルろ過による)である。 上記の耐熱性AMPデアミナーゼ生産能を有する微生物を栄養培地で培養し、培養液中に耐熱性AMPデアミナーゼを産生せしめ、これを採取することを特徴とする耐熱性AMPデアミナーゼの製造法を要旨とする。 上記の耐熱性AMPデアミナーゼ及び耐熱性AMPデアミナーゼの製造法において、アスペルギルス属に属する微生物、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)、あるいはアルペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)N0.4(FERM P-20075)としても良い。 上記の理化学的性質を有する耐熱性AMPデアミナーゼ生産能を有するアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)No.4(FERM P-20075)を要旨とする。 本発明の耐熱性AMPデアミナーゼは、65℃でも活性が高いので、かかる高温下での反応が望まれる用途に好適である。例えば、酵母エキスの製造過程において使用するヌクレアーゼなど、高温下で作用させる他の酵素と同時に作用させることができ、製造工程の短縮化と酵素反応を雑菌汚染のおそれの少ない状況下での実施ができる。 本発明の耐熱性AMPデアミナーゼは、上記の(1)基質特異性:5'-アデニル酸+H2O→5'-イノシン酸+NH3の反応を触媒する、(2)安定温度:65℃まで安定である、(3)至適pH:6.0付近である、(4)分子量:85,000±3,000(SDS-PAGEによる)、88,000±3,000(ゲルろ過による)という理化学的性質を有し、特に耐熱性に優れる。ここで、「65℃まで安定である」とは、リン酸緩衝液でpH6.0に調整した酵素溶液を65℃で30分処理したときに、未処理の場合の酵素活性を基準(100%)として80%以上の活性が残存することをいう。 上記の理化学的性質を有する耐熱性AMPデアミナーゼを生産する限り、生産する微生物に限定はないが、アスペルギルス属に属する微生物が好ましく、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)がより好ましい。また、新たに土壌から採取された下記の菌学的性質を有する微生物が最も好ましい。 各種培地における生育(1)ポテトデキストロース寒天斜面 40℃、45℃で生育、粉状〜ベルベット状、表面は暗緑色。(2)麦芽エキス寒天平板 集落表面は、ビロード状〜羊毛状。最初白色、分生子が多数形成されると暗緑色、集落表面は薄い黄色。(3)ツァペック・ドックス寒天平板 暗緑、緑濃色、灰緑色、25℃で生育良好。 形態(1)菌糸:白色(無色)(2)分生子頭:放線状又は円柱状、直径16〜40μm(3)分生子柄:160〜320μm長、直径4〜10μm(4)頂嚢:直径12〜28μm、フラスコ型、へさじ型、淡緑色、通常、上部1/2くらいよりフィアライドを形成する。(5)フィアライド:単列で互いに並列に並んでいる、4〜6x2μm。(6)分生子:直径2〜3μm、球形〜亜球形、粗面だが突起はない。(7)メトレ:形成されない。(8)閉子嚢殻:形成されない。 ポテトデキストロース寒天培地、麦芽エキス寒天培地で暗緑色のスラント表面を形成する。分生子頭は、放射状又は円柱状であって、こん棒状ではない。又、フィアライドは、厳密に単列で互いに並行に並んでいる。閉子嚢殻は、形成されない。本菌株は、以上の特徴と下記の参考文献を参照した結果、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillu fumigatus)と同定され、アスペルギルス・フミガタス(Aspergillu fumigatus)No.4と命名した。 参考文献(1)カビ検査マニュアルカラー図譜 2002年 298〜299頁(2002年3月29日発行)発行元:株式会社テクノシステム(2)菌類図鑑 下巻 1018〜1021頁(1980年2月20日発行)発行元:講談社(3)Identification of Common Aspergillus Species Maren A.Klich 2002年 50〜51頁 CBS UTRECHT 本菌株は、次の通り寄託されている。 寄託機関名:茨城県つくば市東1−1−1中央第6 独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 寄託日:平成16年6月3日、 寄託番号 第20075号(FERM P-20075 ) 本発明の耐熱性AMPデアミナーゼは、上記の理化学的性質を有するAMPデアミナーゼ生産能を有する微生物を栄養培地で培養し、培養液中に耐熱性AMPデアミナーゼを産生せしめ、これを採取することにより製造できる。 本発明の耐熱性AMPデアミナーゼを生産する上記のアスペルギルス属に属する各微生物の培養は常法を用いて行うことができる。培地は、グルコース、シュクロース、ゲンチオビオース、可溶性デンプン、グリセリン、デキストリン、糖蜜、有機酸等の炭素源、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、あるいは、ポリペプトン、酵母エキス、コーンスティープリカー、カゼイン加水分解物、ふすま、肉エキス等の窒素源、必要に応じてカリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩等の無機塩(無機イオン)を含むものを用いることができる。アスペルギルス属に属する微生物の生育を促進するために、ビタミン、アミノ酸などを添加した培地を用いることもできる。培地のpHは、例えば5.0〜8.0、好ましくは5.5〜7.5に調整する。培養温度は、例えば15℃〜65℃の範囲であり、好ましくは30℃〜60℃の範囲であり、更に好ましくは40℃〜55℃の範囲である。培養時間は、特に限定されないが、例えば3日以上である。培養法は、例えば振盪培養法、ジャーファーメンターによる好気的深部培養法を利用できる。なお、上述した各種の培養条件などは培養する対象に応じて適宜変更され、本発明の耐熱性AMPデアミナーゼが生産される条件であれば、その条件等は特に限定されない。 本発明の耐熱性AMPデアミナーゼは、アスペルギルス属に属する微生物を所望時間培養した後に得た培養液又は菌体より分離できる。培養液から、例えば培養上清をろ過、遠心処理して不溶物を除去した後、硫酸プロタミン処理、透析、各種クロマトグラフィーなどを組み合わせるなど公知の精製法を用いて精製された耐熱性AMPデアミナーゼを得ることができるが、硫酸プロタミン処理の後、疎水性クロマトグラフィー及びゲルろ過を用いて行うことが好ましい。他方、菌体内から分離する場合、例えば菌体を加圧処理、超音波処理などによって破砕した後、上記と同様に精製を行うことにより精製されたAMPデアミナーゼを得ることができる。尚、ろ過、遠心処理などによって予め培養液から菌体を回収した後、上記一連の工程(菌体の破砕、分離、精製)を行ってもよい。尚、各精製工程では原則としてAMPデアミナーゼ活性を指標として分画を行うことができる。 次いで、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 〔参考例〕(耐熱性AMPデアミナーゼ活性測定方法) 耐熱性AMPデアミナーゼ(以下、「本酵素」という)の活性は、以下のように測定した。(1)酵素反応 1mMの5’AMP-2Naと100mMリン酸カリ緩衝液(pH 6.0)を混合した溶液(0.9ml)に本酵素溶液(0.1ml)を添加して1mlの反応液とし、30℃で30分間反応させた。酵素反応液100μlに20%過塩素酸溶液を添加して反応を停止させた後、4℃、13,000rpmで10分間遠心した。上清5μlに995μlの20mMリン酸カリ緩衝液(pH7.0)を加え、100μlをHPLCに供した。(2)HPLCによる生成IMPの定量 試薬A:5mM リン酸テトラ−n-ブチルアンモニウム、20mMリン酸カリ緩衝液(pH7.0) 試薬B:メタノール 試薬C:[試薬A:試薬B=4:1][分析条件] 使用カラム Type:5C18-AR-II Size: 4.6x150mm 流速1.0ml/min(試薬C使用)にて測定した。反応時間を0分として同様に測定したものをブランクとした。以上の条件下、1分間に1μmolのIMPを生成するときを1単位とした。(3)GIDH法による生成アンモニアの定量 1mMのAMPと100mMリン酸カリ緩衝液(pH 6.0)を混合した溶液(0.9 ml)に本酵素溶液(0.1 ml)を添加して1mlの反応液とし、30℃で60分間反応させた。酵素反応液を煮沸(3分間)して反応を停止させた後、生成したアンモニアの量をGIDH法で定量した。 アンモニア定量反応組成(1ml中) トリス−塩酸緩衝液(pH8.0) 50mM 2-オキソグルタール酸 5mM β−NADH 0.12mM ADP 2.5mM 酵素反応溶液 12.5U/ml 〔実施例1〕(耐熱性AMPデアミナーゼの分離及び精製) グルコース1%、ポリペプトン0.5%、酵母エキス0.05%、KH2PO4 0.1%、MgSO4 0.01%を加えてpH6.0に調整した培地を121℃で30分間殺菌した。該培地にアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)No.4( FERM P−20075)を植菌し、50℃で9日間培養して得られた培養液をADVATEC FILTER PAPER 5Cでろ過し、蛋白100mg当たり10mgの硫酸プロタミンをゆっくりと添加した。その後、8000rpm、40分遠心処理して得られた酵素液をDEAE-トヨパール(直径3cm体積60ml;東ソー社製品名)に通し、酵素を吸着せしめた後、50mM NaClを含む20mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)で洗浄し、その後120mM NaClを含む20mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)で酵素を溶出した。続いて、酵素溶液をブチル−トヨパール(直径1.5cm体積12ml;東ソー社製品名)に通し、酵素を吸着させ、30%飽和硫安を含む20mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)で洗浄後、20%飽和硫安を含む20mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)で酵素を溶出した。更に、溶出した酵素溶液をオクチル−セルロファイン(直径1.5cm体積12ml;チッソ社製品名)に通し、酵素を吸着させ、20%飽和硫安を含む20mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)で洗浄した。その後、10%飽和硫安を含む20mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)で酵素を溶出し、酵素溶液をMono Q(1ml,FPLC;ファルマシア社製品名)に通し、酵素を吸着させ、205mM NaClを含む20mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)で洗浄後、210 ml NaClを含む20mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)で酵素を溶出せしめて精製酵素とした。得られた精製酵素を下記の理化学的性質の検討に供した。 なお、各段階における精製の結果を図1に示した。最終段階の比活性は粗酵素に比較して120倍となった。精製酵素をSDS-PAGE(CBB染色)に供したところ単一なバンドを示した。 〔実施例2〕(耐熱性AMPデアミナーゼの理化学的性質〕 基質特異性:各基質濃度1mM と100mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)とを混合した基質溶液に本酵素を加え、50℃で20分反応を行い、酵素活性をGIDH法で測定し、基質特異性を検討した。結果は、図2に示した。酵素活性はAMP(5'-アデニル酸又はアデノシン一リン酸)に対する酵素活性を100%とした場合の相対活性で示した。図2より明らかなように、アデノシン、ATP(アデノシン三リン酸)、ADP(アデノシン二リン酸)、アデニン、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、NADP(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸)に対しても作用したが、3'−AMP、GMP、3'−CMPに対しては全く作用しなかった。以上の結果から、耐熱性AMPデアミナーゼは、AMP以外にアデノシン、ADP、NADなどを基質とする反応についても当該酵素を利用できる可能性のあることが分かった。 作用温度:本酵素の反応温度と活性との関係を調べた。本酵素(0.1ml)をpH6.0のリン酸カリ緩衝液を用いてpH 6.0に調整した後、活性測定反応時の反応温度を10℃から80℃の各温度にそれぞれ変化させて1mM AMPと反応させ、その活性を調べた。結果は、図3に示した。なお、図3は最高値の活性を100%とした場合の相対活性(%)で示した。図3より明らかなように、至適温度は55℃付近で、30℃〜70℃の広い範囲で約70%以上の高い活性が認められ、当該酵素は広範囲の温度条件下で良好に作用することが分かった。 熱安定性:本酵素の熱安定性を調べた。本酵素(0.1ml)をpH6.0のリン酸カリ緩衝液を用いてpH 6.0に調整した後、各温度(30℃、40℃、50℃、60℃、65℃、70℃、80℃)で30分間処理し、1mM AMP、100mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)で50℃、20分間反応させた後、活性を測定した。結果は、図4に示した。図4より、未処理の場合の酵素活性を基準(100%)としたとき、65℃まで約80%以上の活性を維持していた。また、70℃で処理した場合でも約17%の活性を維持していた。これより、当該酵素は熱安定性に優れることが分かった。 作用pH:本酵素のpHと活性との関係を調べた。本酵素を1mM AMP、100mMの各緩衝液存在下(pH3〜6は、クエン酸リン酸緩衝液、pH6〜8はリン酸カリ緩衝液(K.P.B.)、pH8〜9はトリス塩酸緩衝液、pH9〜11は炭酸緩衝液及びpH11〜12はリン酸ナトリウム緩衝液をそれぞれ使用)で30℃、30分間反応させ、pHと活性との関係を調べた。結果は、図5に示した。なお、図5は最高値の活性を100%とした場合の相対活性(%)で示した。図5より、至適pHは6.0付近であった。 pH安定性:耐熱性AMPデアミナーゼのpH安定性を調べた。本酵素溶液(0.1ml)を100mMの各緩衝液(pH3〜6は、クエン酸リン酸緩衝液、pH6〜8はリン酸カリ緩衝液(K.P.B.)、pH8〜9はトリス塩酸緩衝液及びpH9〜11は炭酸緩衝液をそれぞれ使用)中で50℃、30分間処理した後(最終量1ml)、1mM AMP、100mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)で50℃で20分間反応させた後、活性を測定した。結果は、図6に示した。図6より、未処理の場合の酵素活性を基準(100%)としたとき、pHが約4.0〜約9.0の範囲で比較的高い活性を維持し、約6.0〜約8.0の範囲では約80%以上の活性を維持していることが分かった。 動力学的パラメーター:耐熱性AMPデアミナーゼに対する動力学的パラメーターを反応温度50℃、20分反応の条件で決定した。Km値が1.1mM、Vmaxが10.63 U/mgであった。 分子量:SDS-PAGEによる分子量は、85,000±3,000で、ゲルろ過による分子量は88,000±3,000であった。 金属イオンの影響:100mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)中の本酵素に1mM及び10mMの各種金属イオンをそれぞれ添加し、50℃、10分間処理した後、1mM AMPを添加して50℃、20分反応を行った。金属イオン無添加の場合を100として相対活性を調べた。結果は、図7に示した。図7より、本酵素はCuイオン及びFeイオンにより阻害が認められた。 修飾試薬、阻害剤の影響:100mMリン酸カリ緩衝液(pH6.0)中の本酵素に1mMの各種修飾試薬又は阻害剤を添加し、50℃、10分間処理した後、1mM AMPを添加して50℃、20分反応を行った。修飾試薬、阻害剤の無添加の場合を100として相対活性を調べた。 結果は、図8に示した。なお、図8中のPCMBは、パラクロオマーキュリベンゾエイト、PMSFはフェニルメタンスルホニルフルオライド、EDCは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、DEPCはジエチルピロカルボネート、TNBSはトリニトロベンゼンスルホン酸、DTTはジチオスレイトール、EDTAはエチレンジアミン四酢酸、 EGTAはエチレングリコールビス(β−アミノエチルエステル)四酢酸の略である。本酵素は、PCMB及びモノヨード酢酸によって強く阻害されるが、4−(2-アミノエチル)ベンゼンスルホリドヒドロクロリド、EDTA及びEGTAによっては阻害されないことが判明した。耐熱性AMPデアミナーゼの各精製過程における全酵素活性量、比活性、全蛋白量、全活性、活性倍率及び収率を示す表である。耐熱性AMPデアミナーゼの基質特異性を示す表である。耐熱性AMPデアミナーゼの作用温度を示すグラフである。耐熱性AMPデアミナーゼの熱安定性を示すグラフである。耐熱性AMPデアミナーゼの作用pHを示すグラフである。耐熱性AMPデアミナーゼのpH安定性を示すグラフである。耐熱性AMPデアミナーゼの金属イオンの影響を示す表である。耐熱性AMPデアミナーゼの修飾試薬もしくは阻害剤の影響を示す表である。 下記の理化学的性質を有する耐熱性AMPデアミナーゼ。(1)基質特異性:5'-アデニル酸+H2O→5'-イノシン酸+NH3の反応を触媒する。(2)安定温度:65℃まで安定である。(3)至適pH:6.0付近である。(4)分子量:85,000±3,000(SDS-PAGEによる)、88,000±3,000(ゲルろ過による)である。 アスペルギルス属に属する微生物が生産する請求項1に記載の耐熱性AMPデアミナーゼ。 アスペルスギルス属に属する微生物がアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)である請求項2に記載の耐熱性AMPデアミナーゼ。 アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)がアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)N0.4(FERM P-20075)である請求項3に記載の耐熱性AMPデアミナーゼ。 請求項1記載の耐熱性AMPデアミナーゼ生産能を有する微生物を栄養培地で培養し、培養液中に耐熱性AMPデアミナーゼを産生せしめ、これを採取することを特徴とする耐熱性AMPデアミナーゼの製造法。 微生物がアスペルギルス属に属する請求項5に記載の耐熱性AMPデアミナーゼの製造法。 アスペルスギルス属に属する微生物がアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)である請求項6に記載の耐熱性AMPデアミナーゼの製造法。 アスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)がアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)No.4(FERM P-20075)である請求項7に記載の耐熱性AMPデアミナーゼの製造法。 請求項1に記載の耐熱性AMPデアミナーゼ生産能を有するアスペルギルス・フミガタス(Aspergillus fumigatus)No.4(FERM P-20075)。 【課題】ヌクレアーゼと同時に使用でき、製造工程の短縮化と酵素の処理工程を高温により行うことにより雑菌汚染を有効に防止することができる65℃で利用可能な耐熱性に優れるAMPデアミナーゼ及びその製造法を提供すること。【解決手段】下記の理化学的性質を有する耐熱性AMPデアミナーゼ。(1)基質特異性:5'-アデニル酸+H2O→5'-イノシン酸+NH3の反応を触媒する。(2)安定温度:65℃まで安定である。(3)至適pH:6.0付近である。(4)分子量:85,000±3,000(SDS-PAGEによる)、88,000±3,000(ゲルろ過による)である。該耐熱性AMPデアミナーゼ生産能を有する微生物を栄養培地で培養し、培養液中に耐熱性AMPデアミナーゼを産生せしめ、これを採取する耐熱性AMPデアミナーゼの製造法。【選択図】図3


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