生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_液状エポキシ化合物の製造方法
出願番号:2004207088
年次:2006
IPC分類:C07D 303/30,C07D 301/12


特許情報キャッシュ

松村 康史 JP 2006028057 公開特許公報(A) 20060202 2004207088 20040714 液状エポキシ化合物の製造方法 新日鐵化学株式会社 000006644 成瀬 勝夫 100082739 中村 智廣 100087343 佐野 英一 100088203 松村 康史 C07D 303/30 20060101AFI20060106BHJP C07D 301/12 20060101ALI20060106BHJP JPC07D303/30C07D301/12 4 OL 8 4C048 4C048AA01 4C048BB09 4C048CC02 4C048UU05 4C048XX02 本発明は、低粘度であることにより作業性に優れると共に加熱により容易に硬化し、優れた機械的特性、電気的特性を具備する二官能液状エポキシ樹脂の製造方法に関する。この液状エポキシ樹脂は、種々用途の希釈剤、特に電子材料用途の液状材料に有用である。 液状エポキシ化合物(エポキシ樹脂ともいう)は、可溶性と機械的物性が優れるため、種々の用途のバインダーとして用いられている。しかし、機械的物性の向上を求める場合においてはフィラー等の配合を増加させる手法が一般的であるが、粘度が上昇して作業性が悪化する。これを防ぐためには、バインダー成分の低粘度化が必要となる。バインダー成分の主成分であるエポキシ化合物において、硬化物の機械的物性の維持、向上と低粘度化は一般に相反する関係にあり、これらの解決のため液状エポキシ樹脂が反応性希釈剤として用いられている。例えば、エチレングリコールグリシジルエーテル、プロピレングリコールグリシジルエーテル、グリセリングリシジルエーテル、トリメチロールプロパングリシジルエーテル、ペンタエリスリトールグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、レゾルシングリシジルエーテル、キシリレングリコールグリシジルエーテル(特許文献1〜3)などである。特開平4−53821号公報特開昭59−206429号公報特開平4−142326号公報特開2004−83711号公報 近年のデジタル機器においては、データの大容量化、処理速度の高速化等の性能向上により、配線基板及び部品パッケージの高密度化が進み、半導体素子等の実装技術の革新から液状封止材の適用が拡大し、それに使用される反応性希釈剤においても更なる性能向上が強く求められてきている。 上記の化合物中、脂肪族環式及び脂肪族系のエポキシ樹脂は最も低粘度の部類にあり優れた希釈効果を有する。しかし、脂肪族環式及び脂肪族系のエポキシ樹脂は、アルコール性水酸基のグリシジルエーテル化時の収率が悪く、未反応アルコール性水酸基が残存する。 一方フェノールノボラック等のフェノール類系のエポキシ樹脂は比較的低塩素量であるが官能基数の増加に伴う粘度の増加が著しく、官能基の数が3以上のものは粘度が高くなり希釈剤としての効果を期待できない。 ところで、特許文献4にはパラキシリレングリコールグリシジルエーテル(略称、PXGGE)が、良好な反応性の粘度低下剤となることが記載されている他、その合成例も記載されている。特許文献4に記載のPXGGEの合成方法は、パラキシリレングリコール(略称、PXG)を、アルカリ水溶液及びテトラブチルアンモニウムブロマイドの存在下に、アリルハライドと反応させてパラキシリレングリコールアリルエーテル化物(略称、PXGAE)を得て、次に、塩化メチレン溶媒中で、PXGAEとm−クロロ過安息香酸(略称、mCPBA)を反応させて目的とするPXGGEを得る方法である。この方法で得られたPXGGEは、無色透明の液状物質であり、エポキシ当量が130g/eq、水酸基濃度が0.1eq/kg未満、全塩素量が30ppmであったと報告されている。しかし、この方法は、PXGAEを酸化してPXGGEとする工程に酸化剤や反応収率等に改善の余地がある。すなわち、酸化反応にmCPBAを用いた場合、1)爆発する危険性があり、多量の使用が困難、2)高価な薬品である、3)反応に使用する溶媒にジクロロメタン等のハロゲン化溶剤を用いなければならない、4)mCPBA構造にクロルが入っていることから、PXGGE中の全塩素量が高くなる可能性がある等の問題点があった。 本発明の課題は、種々用途の希釈剤、特に電子材料用途の液状封止材に適用可能な低粘度を維持し、信頼性向上が可能な高純度液状エポキシ化合物の製造方法を提供することである。 本発明は、下記式(1)で表されるジアリルエーテル化合物を炭酸カリウムの存在下、過酸化水素水でエポキシ化することを特徴とする下記式(2)で表される液状エポキシ化合物の製造方法である。ここで、ジアリルエーテル化合物は、下記式(3)で表されるジヒドロキシ化合物又はジハライド化合物と、アリルハライド又はアリルアルコールを反応させて得ることができる。そして、この製造方法で得られる液状エポキシ化合物は、エポキシ当量が125〜132であり、全塩素量が100ppm以下であることが好ましい。(但し、Xはヒドロキシ基又はハロゲンを示す) 本発明の製造方法で製造する液状エポキシ化合物は、上記式(2)で表されるパラキシリレングリコールグリシジルエーテル(PXGGE)である。このPXGGEは、式(3)で表されるジヒドロキシ化合物(PXG)又はジハライド化合物(p-ジ-ハロメチル-ベンゼン;略称PHB)と、アリルハライド又はアリルアルコールとを反応させるなどして得られた一般式(1)で表されるPXGAEを炭酸カリウムの存在下、過酸化水素水でエポキシ化(酸化)することにより得られる。 一般式(1)で表されるPXGAEの製造方法には制限はないが、式(3)で表されるPXG又はPHBとアリルハライド又はアリルアルコールとを反応させる方法が適する。この場合、PXGはアリルハライドと反応させ、PHBはアリルアルコールと反応させる。 PXGからPXGAEの合成は、例えば次のように行うことができる。PXGと、アリルクロライドやアリルブロマイド等のアリルハライドをジメチルスルフオキシドに溶解後、テトラブチルアンモニウムブロマイド等のテトラアルキルアンモニウムハライド又はテトラフェニルアンモニウムクロライド等のテトラアリールアンモニウムハライドのような四級アンモニウム塩を添加し、反応温度を40℃以下に保ちながら水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を滴下する。滴下終了後、30〜40℃で約6時間反応を行う。 上記アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム等の水溶液が好ましい。アルカリの使用量としては、PXGの水酸基1当量に対し2〜8当量、より好ましくは4〜6当量がよい。また、触媒である四級アンモニウム塩の添加量は、PXG1モルに対して0.001〜0.1モルが好ましい。更に、アリルハライドの使用量は、PXG1モルに対して2〜4モルが好ましい。 アリル化反応終了後、反応液を室温付近に冷却し、トルエン等の有機溶剤を加えることで分液処理した後、得られた有機層を濃縮、更には蒸留やシリカゲルショートカラムによる精製をすることにより、上記式(1)で表されるPXGAEを得ることができる。このPXGAEの純度は95%以上、好ましくは98%以上とすることがよい。 また、PHBから、式(1)で表されるPXGAEの合成は、例えば次のように行うことができる。PHBと、アリルアルコールをジメチルスルフオキシドに溶解後、テトラブチルアンモニウムブロマイド等のテトラアルキルアンモニウムハライド又はテトラフェニルアンモニウムクロライド等のテトラアリールアンモニウムハライドのような四級アンモニウム塩を添加し、反応温度を80℃以下に保ちながら水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を滴下する。滴下終了後、80℃で約4時間反応を行う。 上記アルカリ水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム等の水溶液が好ましい。アルカリの使用量としては、アリルアルコールに対し2〜10倍当量、より好ましくは4〜8倍当量がよい。また、触媒である四級アンモニウム塩の添加量は、PHB1モルに対して0.001〜0.1モルが好ましい。更に、アリルアルコールの添加量は、PHB1モルに対して2〜6モルが好ましい。 上記のようにして得られた式(1)で表されるジアリルエーテル化合物のPXGAEから式(2)で表されるエポキシ化合物PXGGEの合成は、例えば次のように行うことができる。PXGAEにメタノール、エタノール等のアルコール、アセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化合物等の溶剤と、炭酸カリウムを加え、攪拌下、5〜40%、好ましくは30〜35%の過酸化水素水を滴下し、滴下終了後、0.5〜10時間、好ましくは1〜6時間エポキシ化反応を行う。酸化剤としての過酸化水素水の添加量は、PXGAE1モルに対して、5〜15倍モルになるよう加えることが望ましい。反応温度は液相を保持する温度が採用されるが、通常45℃以下、好ましくは常温付近の20〜40℃の範囲である。低温では反応が進行せず、高温では副反応が激しくなる。 エポキシ化反応に使用する有機溶剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール類とアセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類の混合物が好ましい。アルコール類とニトリル類の混合比は、モル比で、アルコール:ニトリル=0:100〜90:10が好ましく、特に50:50〜80:20が好ましい。上記溶剤中に溶解させるPXGAEの濃度としては、0.1〜1.5mol/Lの範囲が好ましく、特に0.2〜1.0mol/Lの範囲が好ましい。炭酸カリウムの添加量は、PXGAE1モルに対して、0.2〜4モルが好ましく、1.6〜2.4モルの範囲がより好ましい。 エポキシ化反応終了後、トルエン等の有機溶剤を加えることで分液処理した後、亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、乾燥後、有機層を濃縮することにより式(2)で表されるエポキシ化合物PXGGEを得ることができる。 本発明の製造方法で得られた液状エポキシ化合物は未反応物が少ないため、高純度の生成物となる。従って、エポキシ当量(Eq)もほぼ理論値近傍に制御可能となる。好ましくは、化学式から計算される分子量Mを分子中のエポキシ基の数2で除した値Eq'と、得られた液状エポキシ化合物のエポキシ当量Eqとの比(Eq/Eq')が95〜100%の範囲にある。具体的には、液状エポキシ化合物のエポキシ当量は125〜132の範囲である。 本発明の製造方法で得られる液状エポキシ化合物は未反応物が少なく、エピクロルヒドリンを用いる従来法の副反応に起因する残留塩素量が少なく、全塩素量で100ppm以下であり、更に電子材料用途などに用いる場合は好ましくは50ppm以下とすることができる。本発明のエポキシ化合物は、95%以上、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上が式(2)で表されるPXGGEであり、塩素化合物等の少量の不純物を含む。 本発明の製造方法で得られる液状エポキシ化合物は、公知の酸無水物系、カチオン重合触媒、アミン系、イミダゾール系などのエポキシ硬化剤を配合することにより硬化物とすることができる。また、他の硬化性組成物に反応性希釈剤として配合することもできる。 本発明の製造方法によれば、高純度のエポキシ化合物を比較的高収率で得ることができる。そして、エポキシ化反応で、取扱い易く安価な過酸化水素水を使用することで、安全性を高めることができ、更に、塩素等のハロゲンが液状エポキシ化合物中に混入する危険性もなくなる。また、溶媒は、メタノール、エタノール等のアルコール類とアセトニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類の混合溶媒を用いることができ、ハロゲン系溶剤の使用を必要としない。本発明のエポキシ化合物は、低塩素量及び二官能構造を同時に具備しているため、種々用途の希釈剤、特に電子材料用途の液状封止材に有用である。 以下に、実施例及び比較例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 合成した液状エポキシ化合物のエポキシ当量、粘度、全塩素量は以下の方法により測定し評価した。エポキシ当量:過塩素酸法(JIS K7236)により算出した。粘度:25℃での粘度をE型粘度計にて測定した。加水分解性塩素量:エポキシ樹脂4gを蒸留水200gで121℃、2気圧の条件で20時間抽出を行い、抽出液中の塩素イオン量をイオンクロマトグラフィーにて定量を行った。合成例1 攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置を備えた内容量2Lの四つ口ガラス製フラスコに、45.2gのPXG、27gのジメチルスルホキシド(DMSO)、1.1gのテトラブチルアンモニウムブロマイド、75gのアリルクロライドを入れ、室温で攪拌下、47%水酸化ナトリウム水溶液150gを1時間かけて滴下する。滴下終了後、6時間室温で攪拌する。反応終了後、110gの水と65gのトルエン、32gの5%塩酸水溶液を加える。分液後、有機層を飽和食塩水100gで3回洗浄し、これを無水硫酸マグネシウムで乾燥する。乾燥剤を除き溶媒を濃縮すると、71.3gの濃縮物が得られた。これを減圧下で蒸留して(沸点137−139℃/3mmHg)、62.4gのPXGAEを得た。収率87.4%、GC純度98%。合成例2 57.3gのα,α'−ジクロロ−p−キシレン、27gのDMSO、1.1gのテトラブチルアンモニウムブロマイド、45.6gのアリルアルコールを入れ、80℃で攪拌下、47%水酸化ナトリウム水溶液165gを1.2時間かけて滴下する。滴下終了後、80℃4時間攪拌する。反応終了後、110gの水と65gのトルエン、40gの5%塩酸水溶液を加える。分液後、合成例1と同様にして、有機層を飽和食塩水で洗浄し、これを無水硫酸マグネシウムで乾燥し、乾燥剤を除き、溶媒を濃縮すると、74.2gの濃縮物が得られた。これを減圧下で蒸留して)、60.6gのPXGAEを得た。収率84.9%、GC純度98%。合成例3 攪拌機、温度計、還流冷却器、滴下装置を備えた内容量5Lの四つ口ガラス製フラスコに、62.4gのPXGAE(合成例1で得たもの)、408gのメタノール、168gのアセトニトリル、80gの炭酸カリウムを入れる。室温で攪拌下、反応系内が20〜40℃の温度範囲になるように調節しながら30〜35%の過酸化水素水380mlを滴下する。滴下終了後、室温で3時間攪拌する。反応終了後、24gの塩化ナトリウム、326gのトルエンを加え1時間攪拌する。分液後有機層は、432gの10%亜硫酸ナトリウム水溶液、374gの飽和食塩水で洗浄し、これを無水硫酸マグネシウムで乾燥する。乾燥剤を除き溶媒を濃縮すると、50gの濃縮液が得られた。これを減圧下で蒸留して(沸点182−185℃/5mmHg)、48gのPXGGEを得た。収率67%、GC純度98%であった。加水分解性塩素量は18ppmで、25℃での粘度は25cpsであった。合成例2で得たPXGAEを用いた場合も、ほぼ同様な収率、純度でPXGGEを得た。 下記式(1)で表されるジアリルエーテル化合物を炭酸カリウムの存在下、過酸化水素水でエポキシ化することを特徴とする下記式(2)で表される液状エポキシ化合物の製造方法。 ジアリルエーテル化合物が、下記式(3)(但し、Xはヒドロキシ基又はハロゲンを示す)で表され、Xがヒドロキシ基であるジヒドロキシ化合物と、アリルハライドとを反応させて得られたものである請求項1に記載の液状エポキシ化合物の製造方法。 ジアリルエーテル化合物が、下記式(3)(但し、Xはヒドロキシ基又はハロゲンを示す)で表され、Xがハロゲンであるジハライド化合物と、アリルアルコールを反応させて得られたものである請求項1に記載の液状エポキシ化合物の製造方法。 エポキシ当量が125〜132であり、全塩素量が100ppm以下である請求項1に記載の液状エポキシ化合物の製造方法。 【課題】 種々用途の希釈剤、特に電子材料用途の液状封止材に適用可能な低粘度を維持し、信頼性向上が可能な高純度液状エポキシ化合物の有利な製造方法を提供する。【解決手段】 下記式(1)で表されるジアリルエーテル化合物を炭酸カリウムの存在下、過酸化水素水でエポキシ化して、下記式(2)で表され、エポキシ当量が125〜132であり、全塩素量が100ppm以下の液状エポキシ化合物を製造する。ここで、ジアリルエーテル化合物は、下記式(3)で表されXがヒドロキシ基であるジヒドロキシ化合物とアリルハライドとを反応させて、又は下記式(3)で表されXがハロゲンであるジハライド化合物とアリルアルコールを反応させて得ることができる。 【化1】【選択図】 なし


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