タイトル: | 公開特許公報(A)_成人T細胞白血病モデルマウス |
出願番号: | 2004204169 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A01K 67/027,C12N 15/09,C12N 5/10 |
長谷川 秀樹 澤 洋文 長嶋 和郎 ウイリアム・ホール JP 2006025603 公開特許公報(A) 20060202 2004204169 20040712 成人T細胞白血病モデルマウス 森山 雅美 501369617 草間 攻 100083301 長谷川 秀樹 澤 洋文 長嶋 和郎 ウイリアム・ホール A01K 67/027 20060101AFI20060106BHJP C12N 15/09 20060101ALI20060106BHJP C12N 5/10 20060101ALI20060106BHJP JPA01K67/027C12N15/00 AC12N5/00 B 9 5 OL 13 4B024 4B065 4B024AA01 4B024CA04 4B024DA02 4B024EA02 4B024EA04 4B024FA02 4B024GA11 4B065AA91X 4B065AA95Y 4B065AB01 4B065BA01 4B065CA44 4B065CA60 本発明は、成人T細胞白血病の病態モデルマウスに係り、詳細には、本発明はヒトT細胞白血病ウイルスI型遺伝子を導入し、長期間に渡ってヒトT細胞白血病ウイルスI tax遺伝子保持による腫瘍の発生過程、成人T細胞白血病の発症メカニズム、ならびにそれに対する感染者の応答機構等を詳細に分析、検討し得る成人T細胞白血病を誘発した病態モデルマウスに関する。 成人T細胞白血病(adult T cell leukemia:ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(human T cell leukemia virus-I:HTLV-I)の感染によって引き起こされる白血病であり、T細胞の腫瘍として把握される疾患である。本疾患は、HTLV-Iの感染後数十年を経て感染者の約4%程度に発症がみられる疾患であり、悪性が強く、その治療は困難なものである。本疾患の約40%で、腫瘍細胞の皮膚への浸潤がみられ、皮膚浸潤が本疾患の一つの特徴となっている。しかしながら、HTLV-Iの感染から腫瘍化、さらには病態発症に至るまで機構は不明な点が多く、例えば、種々の病態群においてそのウイルスの塩基配列を比較しても、個々の病態を特徴つけるような配列の特殊性は認められていない。 このため、ATLにおける様々な病態の一次的決定因子は、感染者(ホスト)側の要因によるものであることが想定されているが、それがどのような要因であるか、詳細は判明していない。また、ATLにおける病態についても、急性的なものから慢性的なもの、あるいはその経過が緩慢なものから、劇症型のものまで様々なことから、ATLの発症にはいくつかの段階が存在することが示唆されている。HTLV-Iの感染によるこのような種々の段階的な発症過程は、自然発生的な突然変異の影響ばかりでなく、ウイルス感染細胞の増殖能と、感染者(ホスト)側の免疫反応との相互作用により影響を受けているものと考えられている。 したがって、HTLV-Iの感染によるATLの発症には、ホスト側の免疫能等の要因が深く関与していることから、ATLの発症機構の詳細を解明し、それをベースにATLの発症の予防・治療手段を開発するためには、ATLを発症させた適切な動物病態モデルの開発が不可欠なものである。 ところで、培養細胞を用いたHTLV-I感染細胞株は、種々の動物のリンパ球において樹立されている(例えば、非特許文献1)。また、HTLV-Iは、ウサギ、サルおよびラットに感染することも知られており、そのため、HTLV-I感染細胞株ならびにこれらの感受性動物を用いて、いくつかの動物病態モデルが作成されており、HTLV-Iが関与する疾患についての研究が行われてきている(例えば、非特許文献2)。 また、ATL疾患モデル動物の作成のため、HTLV-I遺伝子を導入したラットが作成されたり、ヒトの腫瘍細胞をSCIDマウス(重症免疫力不全マウス)に導入したり、さらにはHTLV-I感染細胞株をヌードラットに移植したりする試みが行われている(例えば、特許文献1)。国際公開WO00/27186号公報Int. J. Cancer, 38:867-875, (1986)J. Exp. Med., 176:981-989 (1992) しかしながら、これらで提案されている疾患モデル動物は、ATLにおける病態の多様性に、完全に対応することはできていない。したがって、ATLの発症機構を解析し、さらにはその有効な予防、診断、治療方法、またATL治療薬を開発、および治療法確立のためのスクリーニングを行うためには、ATLの特徴を正確に再現するような疾患モデル動物の存在が不可欠であるが、このようなATLの特徴を再現するような疾患モデル動物はいまだ存在していないのが現状である。 したがって本発明は、上記の現状を鑑み、実験動物モデルとして、ATL様の疾患を再現性よく長期間に渡って発症させることができ、そのうえATLの腫瘍学的、免疫学的な解析を可能とする全く新しいATL病態モデル動物、特にATL病態モデルマウスを提供することを課題とする。 かかる課題を解決するべく本発明者らは鋭意検討した結果、HTLV-Iのtax遺伝子を胸腺T細胞で特異的に発現させるプロモーターと共にマウスに遺伝子導入することにより、ATL病態モデルマウスを作製し、かかる病態モデルマウスは、ATLの治療剤の開発および、治療方法の確立のためのスクリーニング系としても極めて有用であることを見いだし、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明の基本的態様として、請求項1に記載の発明は、ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)のtax遺伝子を胸腺T細胞で特異的に発現するプロモーターと共にマウスに遺伝子導入し、該遺伝子が発現され、成人T細胞白血病(ATL)を発症させたことを特徴とするATL病態モデルマウスである。 より具体的な請求項2に記載の発明は、HTLV-Iのtax遺伝子が、成人T細胞白血病(ATL)患者のリンパ球のゲノムDNAより単離したものである請求項1に記載のATL病態モデルマウスであり、また、請求項3に記載の胸腺T細胞で特異的に発現するプロモーターが、lck遺伝子プロモーターである請求項1に記載のATL病態モデルマウスである。 そのなかでも、本発明が提供する病態マウスとしては、近交系のC57BL/6系統マウスである請求項1に記載のATL病態モデルマウスである。 また本発明は、別の態様として、ATL病態モデルマウスの作製方法を提供するものであり、具体的には、ATL患者のリンパ球のゲノムDNAより、HTLV-Iのtax遺伝子のcDNAを単離し、当該単離したcDNAを、胸腺T細胞で特異的に発現するプロモーターであるlck遺伝子プロモーター下に発現する発現ベクターへサブクローニングして遺伝子導入ベクターを作成した後、該ベクターよりtax遺伝子の導入遺伝子部位を切り出し、近交系のC57BL/6系統マウスに遺伝子導入を行い、ATLを発症させることを特徴とするATL病態モデルマウスの作製方法である。 さらに本発明は、また別の態様として、上記で作製されたATL病態モデルマウスから得られるHTLV-I感染細胞ならびにATL病態モデル細胞である。これらの細胞株は、ATLの発症機構の解明、さらにはその有効な予防、診断、治療方法の開発、またATL治療薬を開発および治療法確立のために実施するスクリーニング等の研究用に、極めて有用な細胞株である。 本発明が提供するATL病態モデルマウスは、リンパ節、脾臓でのリンパ腫が認めら、更に皮膚に浸潤するリンパ腫が認められ、ATLの特徴である皮膚への浸潤である特異的疾患を再現性よく長期間に渡って発症させており、そのうえATLの腫瘍学的、免疫学的な解析を可能とする全く新しいATL病態モデルマウスである。 また、本発明が提供するATL病態モデルマウスは、ATLの発症機構を解析し、さらにはその有効な予防、診断、治療方法、またATL治療薬の薬効をin vivoレベルで評価し得るATL疾患モデルマウスとして極めて有用なものである。 以下に本発明を、実施例に代わる、実際のATL疾患モデルマウスを作製する方法を説明することにより、更に詳細に説明する。 本発明が提供するATL疾患モデルマウスにおけるマウスとしては、それぞれの特徴が調査され、しかもその特性が同じ系統内で安定しており、遺伝子の相違によるバラツキのない近交系マウスを用いるのが好ましく、例えば、A、BALB/c、C3H/He、C57BL/6、DBA/2系統等の近交系マウスが使用されるが、なかでもC57BL/6系統マウスである近交系マウスを使用するのがよい。 かかるマウスを使用して、本発明が提供するATL疾患モデルマウスを作製するには、具体的には以下のようにして行うことができる。 すなわち、本発明は、基本的には、HTVL-Iのtax遺伝子を、胸腺T細胞で特異的に発現するプロモーターと共にマウスに遺伝子導入し、該遺伝子が発現されることにより、ATL病態モデルマウスが作製される。 より具体的には、ATL患者のリンパ球のゲノムDNAより、HTLV-Iのtax遺伝子のcDNAを単離する。この単離は通常の遺伝子操作により単離で行うことができる。次いで、当該単離したcDNAを、胸腺T細胞で特異的に発現するプロモーターであるlck遺伝子プロモーターへサブクローニングして遺伝子導入ベクターを作成する。サブクローニングは、例えば、lck遺伝子の近位(近接)プロモーターをもつベクターのBamH1サイトにサブクローニングすることにより、遺伝子導入用の発現ベクターであるplck-Tax1が作成される。 次いで得られた発現ベクターであるplck-Tax1より、tax遺伝子を導入する遺伝子部位を、制限酵素Not1サイトで切り出し、切り出した導入遺伝子部位を、近交系のC57BL/6系統マウス受精卵に遺伝子導入を行い、生れた個体をファウンダー(founder)としてトランスジェニックマウスを得、ATLを発症させることにより、目的とするATL病態モデルマウスが作製される。 そのトランスジェニックマウス作製法の詳細を示せば、以下のようになる。 すなわち、トランスジェニックマウスの作製には、前核期受精卵の雄生前核に微小な針でDNAの注入を行う方法(マイクロインジェクション法)が広く用いられている。 具体的には、近交系マウスとしてC57BL/6マウスの8〜12週齢のメスを使用し、過排卵誘起処置を行ったあと、同系統のオスと交配させた。翌日、プラグを確認できた個体より前核期受精卵を採取した。 培養液はインジェクション用にはM2培養液を、胚培養用にはHTF培養液を使用し、どちらも使用前日より炭酸ガス培養器(37℃、5%炭酸ガス)内で平衡させた。 インジェクション用のマイクロピペットは、ガラス管をマイクロピペットプラーで引き、先端をマイクロフォージで30度に曲げて使用した。 ホールディング用には、ガラス管をガスバーナーの炎であぶった後に引き、先端をマイクロフォージで加工し、30度に曲げて使用した。 また、チャンバーは直径2.5cmの穴を開けたアクリル板に3cmのカバーガラスをマニキュアで貼ったものを作製し使用した。使用の直前にDNA溶液とM2培養液のドロップ(10μl)を作製し、ミネラルオイルでカバーして使用した。 インジェクションピペットへのDNA溶液の充填は、インジェクションピペットをマイクロマニピュレーターに取り付け、顕微鏡下で確認しながら、インジェクションピペットの先端をチャンバー内のDNA溶液中に導入し、毛細管現象を利用し充填した。 十分な量が充填されたら、インジェクターにホールディングピペットを取り付け、両方のピペットの位置をセッティングした。 チャンバーのM2培養液中に、先に採取しておいた前核期受精卵を導入し、顕微鏡下(200倍)で確認しながら、雄生前核にマイクロインジェクションを行った。注入が終わった胚は、HTF培養液へ移し培養器内へ入れ、全ての胚にインジェクションが終わってから、胚の生存性を確認した。 生存していた胚は、そのままHTF培養液中で培養を行い、翌日2cellへの発生を確認し、2cellに発生していた胚は、偽妊娠1日目のレシピエントマウスの卵管へ胚移植を行い、自然分娩により出産させた。 上記の手法により作製したATL病態モデルマウスについて、tax遺伝子導入の確認を、マウスから得たDNAの溶液をPCR反応により検討し、得られたPCR産物を電気泳動に付し、tax遺伝子陽性マウスであることが確認された。さらに導入されたtax遺伝子をさらに詳しく確認するためにサザンブロット解析をおこない、tax遺伝子が導入されていることが確認された。 なお、図1としてトランスジェニックマウス作成にあたり用いたベクターの概略図を、サザンブロットの結果を図2に示した。なお、サザンブロッティングは、マウス尻尾組織より得られたジェノミックDNAを制限酵素BamH1で切断し、tax遺伝子をプローブとして用い、サザンブロッティングを行った。その結果、1Kb相当の部位に特異的バンドを認め、コピー数は10コピー以上であることが推測された。またGenome Walk法により挿入遺伝子のゲノムDNAでの挿入部位を同定した。挿入部位は4番染色体のA2領域であった。その部位には既知の遺伝子は存在しなかった。その染色体地図を図3として示した。 本発明者等は、以上の手法によりこれまでにファウンダー動物として、#14、#17および#53の3系等の遺伝子導入マウスを作成することに成功した。 これらのマウスのうち、複数の系統のマウスにおいて、強い浸潤性を示すリンパ腫を発症した。その発症時期は、最も若いマウスで生後1年1日であり、最も高齢のマウスで1年11ヶ月20日であった。 これらマウスの病変の状態をまとめて表1に示した。 表中に示したように、生後約1年でリンパ節、脾臓でリンパ種が認められ、1年5ヶ月から2年で肝臓、肺、腎臓、および皮膚に浸潤するリンパ腫のモデルが作製された。 本疾患の病態モデルマウスは、ATLの特徴でもある皮膚への浸潤を来たしているものであった。 以上のようにして作製されたHTLV-1 tax遺伝子トランスジェニックマウスにおけるATL発症の像の実際を、図4から図19までの組織写真、染色写真等で示した。 すなわち、図4および図5に示した写真は末梢血の塗末標本の写真であり、図5は図4の部分拡大写真である。図中からも判明するように、白血病の発症と、ATLに特徴的に認められるflower cellの存在が示された。また、図6にマウスの頚部リンパ節および腋下リンパ節の腫脹の状態を、図7に腸管膜に発生したリンパ腫を、さらに図8に肺に浸潤するリンパ腫の肉眼像の各写真を示した。これらの結果からも、HTLV-1 tax遺伝子トランスジェニックマウスにおけるATL発症の実際がよく確認されている。 また、図9〜図12には各組織におけるリンパ腫の病理組織像の写真を示した。すなわち、図9および図11はリンパ節に浸潤したリンパ腫の、また図10は肺に浸潤したリンパ腫の病理組織染色写真を示し、図12および図13に肺に発生したカリニ肺炎の像のHE標本とグルコット染色を示した。 さらに、図14および図16に皮膚にできた潰瘍とリンパ腫の皮膚浸潤の像を、図15に脾臓、図17に肝臓、図19に腎臓、図18に筋肉内に浸潤するリンパ腫の染色写真をそれぞれ示した。 この結果からも、トランスジェニックマウスにおけるATL発症の特徴がよく認められている。 また、リンパ腫細胞の表面マーカーのFACS解析の結果、リンパ腫細胞はCD3、CD4、CD8共に陽性、B220陰性であり、T細胞リンパ腫であることが示された。またATLの特徴とされているIL-2Rα(IL-2レセプターα鎖)の発現が認められており、ATLのモデル動物であることが示された。 図20にNFκBのEMSAの結果を示した。ATL発症リンパ腫細胞においてNFκBの活性化が認められており、p50、C-Relのスーパーシフトが認められた。なお、ATL発症後の細胞におけるtax遺伝子の発現は、ヒトのATL同様認められなかった(図21)。 以上記載のように、本発明により、成人T細胞白血病(ATL)の病態モデルマウスが提供され、本発明の病態モデルマウスは、ATLの特徴でもある腫瘍細胞の皮膚への浸潤がみられ、ATLの病態モデルマウスとしてATLの腫瘍学的、免疫学的な解析を可能とし、その治療方法、予防方法の確立や、ATLの治療剤の開発および、そのスクリーニング系としても極めて有用である。 また、本病態モデルマウスから得られるHTLV-I感染細胞ならびにATL病態モデル細胞は、ATLの発症機構の解明、さらにはその有効な予防、診断、治療方法の開発研究、またATL治療薬を開発および治療法確立のために実施するスクリーニング等の研究用に、極めて有用な細胞株である。HTLV-1 tax遺伝子トランスジェニックマウス作成にあたり用いたベクターの概略図である。HTLV-1 tax遺伝子トランスジェニックマウスのサザンブロットの結果を示した図である。HTLV-1 tax遺伝子トランスジェニックマウスの染色体地図である。トランスジェニックマウスのATL発症の像として、末梢血の塗末標本の染色写真である。トランスジェニックマウスのATL発症の像として、末梢血の塗末標本の染色写真で、図4の部分拡大写真である。トランスジェニックマウスのATL発症の像として、マウスの頚部リンパ節および腋下リンパ節の腫脹の状態(図中矢印)を示す肉眼像の写真である。トランスジェニックマウスのATL発症の像として、腸管膜に発生したリンパ腫を示す肉眼像の写真である。トランスジェニックマウスのATL発症の像として、肺に浸潤するリンパ腫の肉眼像の写真である。トランスジェニックマウスのATL発症における、リンパ節に浸潤したリンパ腫の染色写真である。トランスジェニックマウスのATL発症における、肺に浸潤したリンパ腫の染色写真である。トランスジェニックマウスのATL発症における、リンパ節に浸潤したリンパ腫の染色写真である。トランスジェニックマウスのATL発症における、肺に発生したカリニ肺炎の像のHE標本写真である。トランスジェニックマウスのATL発症における、肺に発生したカリニ肺炎の像のグルコット染色写真である。トランスジェニックマウスのATL発症における、皮膚にできた潰瘍とリンパ腫の皮膚浸潤の染色写真である。トランスジェニックマウスのATL発症における、脾臓に浸潤するリンパ腫の染色写真である。トランスジェニックマウスのATL発症における、皮膚にできた潰瘍とリンパ腫の皮膚浸潤の染色写真である。トランスジェニックマウスのATL発症における、肝臓に浸潤するリンパ腫の染色写真である。トランスジェニックマウスのATL発症における、筋肉内に浸潤するリンパ腫の染色写真である。トランスジェニックマウスのATL発症における、腎臓に浸潤するリンパ腫の染色写真である。NFκBのEMSAの結果を示した図である。ATL発症後の細胞におけるtax遺伝子の発現が無かったこと示す図である。 ヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)のtax遺伝子を胸腺T細胞で特異的に発現するプロモーターと共にマウスに遺伝子導入し、該遺伝子の発現により成人T細胞白血病(ATL)を発症させたことを特徴とするATL病態モデルマウス。 HTLV-Iのtax遺伝子が、成人T細胞白血病(ATL)患者のリンパ球のゲノムDNAより単離したものである請求項1に記載のATL病態モデルマウス。 胸腺T細胞で特異的に発現するプロモーターが、lck遺伝子プロモーターである請求項1に記載のATL病態モデルマウス。 マウスが、近交系のC57BL/6系統マウスである請求項1に記載のATL病態モデルマウス。 ATL患者のリンパ球のゲノムDNAより、HTLV-Iのtax遺伝子のcDNAを単離し、当該単離したcDNAを、胸腺T細胞で特異的に発現するプロモーターであるlck遺伝子プロモーターへサブクローニングして遺伝子導入ベクターを作成した後、該ベクターよりtax遺伝子の導入遺伝子部位を切り出し、近交系のC57BL/6系統マウスに遺伝子導入を行い、ATLを発症させることを特徴とするATL病態モデルマウスの作製方法。 請求項1ないし4のいずれかに記載のATL病態モデルマウスから得られる、HTLV-I tax遺伝子により起こる白血病細胞。 請求項1ないし4のいずれかに記載のATL病態モデルマウスから得られる、ATL病態モデル細胞。 請求項5に記載の作製方法により得られたATL病態モデルマウスから得られる、白血病細胞。 請求項5に記載の作製方法により得られたATL病態モデルマウスから得られる、ATL病態モデル細胞。 【課題】 成人T細胞白血病様の疾患を再現性よく長期間に渡って発症させることができ、そのうえATLの腫瘍学的、免疫学的な解析を可能とする全く新しいATL病態モデルマウスを提供すること。【解決手段】 成人T細胞白血病(ATL)患者のリンパ球のゲノムDNAより、HTLV-Iのtax遺伝子のcDNAを単離し、当該単離したcDNAを、胸腺T細胞で特異的に発現するプロモーターであるlck遺伝子プロモーターへサブクローニングして遺伝子導入ベクターを作成した後、該ベクターよりtax遺伝子の導入遺伝子部位を切り出し、近交系のC57BL/6系統マウスに遺伝子導入を行い、ATLを発症させることを特徴とするATL病態モデルマウスである。【選択図】 図5