タイトル: | 公開特許公報(A)_有機酸ルテニウムの製造方法 |
出願番号: | 2004196318 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | C07C 51/41,B01J 31/04,C07C 53/126,C07C 53/134,C07F 15/00 |
高谷 和樹 JP 2006016341 公開特許公報(A) 20060119 2004196318 20040702 有機酸ルテニウムの製造方法 シントーファイン株式会社 397070417 高谷 和樹 C07C 51/41 20060101AFI20051216BHJP B01J 31/04 20060101ALI20051216BHJP C07C 53/126 20060101ALI20051216BHJP C07C 53/134 20060101ALI20051216BHJP C07F 15/00 20060101ALN20051216BHJP JPC07C51/41B01J31/04 ZC07C53/126C07C53/134C07F15/00 A 3 OL 5 4G069 4G169 4H006 4H050 4G069AA02 4G069AA08 4G069AA09 4G069BB12C 4G069BC01C 4G069BC70A 4G069BC70B 4G069BE08A 4G069BE08B 4G069DA02 4G069ED05 4G169AA02 4G169AA08 4G169AA09 4G169BB12C 4G169BC01C 4G169BC70A 4G169BC70B 4G169BE08A 4G169BE08B 4G169DA02 4G169ED05 4H006AA02 4H006AC47 4H006BB70 4H006BC40 4H006BJ20 4H006BS10 4H006BS70 4H050AA02 4H050BB70 4H050BC40 4H050WB21 本発明は、化学反応触媒として有用な有機酸ルテニウム(以下ルテニウムはRuに略)の製造方法に関する。 従来、有機酸金属塩は有機酸と金属からなる単純な化合物であるが、有機酸の種類と各種金属の組み合わせにより多数のものが公知(非特許文献1)であり、実用化されている。その製造方法としては、(1)有機酸又はその誘導体と金属酸化物、水酸化物又は炭酸塩とを、生成する有機酸金属塩の融点以上の温度に保ちながら、副生水を反応系外へ取り出す製造方法、(2)各種金属の酸化物、水酸化物又は炭酸塩と、有機酸を水中で懸濁させて反応する製造方法、(3)有機酸アルカリ金属塩と水溶性金属塩水溶液を攪拌混合して反応する製造方法、(4)金属アルコキシドと有機酸を加温しながら、攪拌混合する製造方法などが公知(非特許文献1)であり、またそれらの反応において、反応促進や収率の向上を目的として、反応系に有機溶剤を併用することが行なわれている。 しかし有機酸Ruに関しては、Ru単体、Ru酸化物ともに安定であり、有機酸と混合加熱しても有機酸とは反応しない。また有機酸のアルカリ金属塩水溶液、或いはアルコール溶液中で塩化Ru、硫酸Ru或いは硝酸Ruなどを反応させる複分解法で有機酸Ruを製造することは可能であるが、生成物が分解するため高価なRuの回収率が低下し不経済である。無水有機酸アルカリ金属のアルコール溶液に、塩化Ruのアルコール溶液を添加して反応し、脱アルコール後、所望の有機溶剤に溶解ろ過することにより、青黒色透明な有機酸Ru溶液を得ることが可能である。しかし貯蔵安定性が悪くまた触媒機能上問題がある。 通常の複分解反応では、反応母液として水を使用し有機酸アルカリ金属塩水溶液を、50〜90℃に加温攪拌しながら塩化Ru水溶液を添加して反応させるが、金属塩原料として塩化Ruを用いた場合は生成した有機酸Ruが分解する。また塩化Ru水溶液の代わりに硝酸ニトロシルRu水溶液を用いた場合は、生成した有機酸Ruと水を分離することが困難になる。:金属石鹸の性質と応用((株)幸書房発行) 本発明は、貯蔵安定性の良い有機酸Ruを経済的に製造しようとするものである。 本発明者は鋭意研究の結果、有機酸Ruの製造において、金属塩原料として硝酸ニトロシルRuを用いることにより、所定量の有機酸と直接反応する方法、有機酸アルカリ金属塩と硝酸ニトロシルRuを反応する方法(以下複分解反応と略す)の何れにおいても貯蔵安定性の良い有機酸Ruを製造出来ることを見出したものである。 本発明に用いる有機酸の種類としては、飽和モノカルボン酸であれば特に制限はないが、炭素数20以下の脂肪族モノカルボン酸、セカノイック酸、トール油脂肪酸、プロピオン酸、ノナン酸、アクリル酸、クロトン酸、オレイン酸、ソルビン酸、オクチル酸、ネオデカン酸、ステアリン酸などのモノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、ナフトエ酸等の芳香族モノカルボン酸、アビエチン酸等の多核脂肪酸、ナフテン酸等の脂環式カルボン酸、シクロヘキサン酸、ケイヒ酸、樹脂酸などがあり、これらの有機酸は単独又は2種類以上のものを併用することができる。 有機酸と硝酸ニトロシルRuを直接反応する反応条件としては、2モル以上の有機酸を有機酸の分解温度以下に加熱攪拌しながら、硝酸ニトロシルRu1モルを添加して反応後、所望の有機溶剤に溶解後ろ過することにより製造できる。また攪拌効率を上げて反応を円滑にするため、反応用溶剤として各種有機溶剤を用いることができる。特に原料である有機酸、硝酸ニトロシルRu及び反応生成物である有機酸Ruを全て溶解する溶剤が好ましく、その溶剤として例えばエタノールが上げられる。反応溶剤を用いた場合の反応は、その溶剤の沸点以下で行なうことになる。 複分解反応の場合は、まず無水有機酸アルカリ金属のエタノール溶液をつくり、30℃〜78℃に加熱攪拌しながら無水硝酸ニトロシルRuを直接或いは、エタノールの無水硝酸ニトロシルRu溶液にして反応することにより有機酸Ruが生成する。脱エタノール後所望の溶剤に溶解してろ過することにより、有機酸Ruを製造することができる。 本発明の複分解法の第一反応生成物である無水有機酸アルカリ金属塩のエタノール溶液は、金属ナトリウム又は金属カリウムを用いることにより簡単に製造可能であるが、金属ナトリウム又は金属カリウムは高価であり、その保管から使用に至る過程で常に危険が伴う。アルカリ金属を使用しない方法として水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを用いる方法がある。しかしこの方法は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを水に溶解する必要がある。この水は反応系から第二反応生成物である有機酸Ruの分離を困難にする。加熱減圧して水を留去することにより目的とする有機酸Ruを得ることは可能であるが、不経済である。したがって有機酸アルカリ金属塩エタノール溶液中の水量は少ない方が好ましいが、少なくなるに従い有機酸アルカリ金属のエタノール溶液の製造が困難になる。 そのため本発明の複分解法における有機酸アルカリ金属塩アルコール溶液は、有機酸1モルをアルコールに溶解し、第二反応に用いる硝酸ニトロシルRuの30重量%以下の水に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム1モルを溶解して反応することが好ましい。 また、有機酸及び硝酸ニトロシルRuを溶解する溶剤、例えばエタノールに有機酸及び硝酸ニトロシルRuを溶解し、30〜75℃に加温攪拌しながらアンモニアガスをバブリング゛させる方法でも有機酸Ruの製造は可能である。 本発明により、化学反応触媒として有用な有機酸ルテニウムを経済的に製造することが可能になった。 以下、詳細に説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。 スターラー付きホットプレートを用い、100mlのビーカーで無水エタノール50gを攪拌しながら三津和化学薬品製の無水硝酸ニトロシルRu12.5gを添加して溶解後、オクチル酸11.8gを添加攪拌しながら78℃に加熱してエタノールを留去させた。その後120℃まで加熱し、冷却後n-ヘキサン20gに溶解し、No.5Cのろ紙でろ過してオクチル酸Ruのn−ヘキサン溶液を作製した。その溶液の一部を加熱し、n−ヘキサンを除去したものについて島津製作所のFTIR−8100A赤外線吸収スペクトルをFTIR−8100Aで調べた結果、1860cm-1付近と1570cm-1付近に特有の吸収ピークを認めたが、1700cm-1の吸収ピークは僅かであった。また生成した濃黒褐色の溶液は、2ヶ月後も変化はなかった。 スターラー付きホットプレートを用い、100mlのビーカーで苛性ソーダ1.8gをイオン交換水2.4g、エタノール30gに溶解し、50〜70℃で攪拌しながらナフテン酸(酸価220)20.7gを添加して15分反応してナフテン酸ナトリウムのエタノール溶液を作製した。さらに加熱攪拌を継続しながら硝酸ニトロシルRu12.5gを少しずつ加えて15分反応後、加熱を継続し、エタノールを留去後120℃まで加熱し、冷却後シクロヘキサン30gに溶解後No.5Cのろ紙でろ過して有機酸Ruのシクロキサン溶液を作製した。その溶液の一部を加熱し、シクロヘキサンを除去したものについて島津製作所のFTIR−8100Aで赤外線吸収スペクトルを調べた結果、1860cm-1付近と1570cm-1付近に特有の吸収ピークを認めたが、1700cm-1の吸収ピークは僅かであった。また生成した濃黒褐色の溶液は、2ヶ月後も変化はなかった。 スターラー付きホットプレートを用い、100mlのビーカーで苛性ソーダ1.8gをイオン交換水2.4gに溶解し、70〜80℃で攪拌しながらナフテン酸(酸価220)20.7gを添加して15分反応してナフテン酸ナトリウムの水溶液を作製した。さらに加熱攪拌を継続しながら硝酸ニトロシルRu12.5gを少しずつ加えて15分反応後、加熱を継続して反応した結果、黒褐色の均一な溶液が出来たがナフテン酸Ruの分離が困難であった。そのため反応物溶液をコンデンサー付きフラスコに移して加熱減圧脱水後、120℃まで加熱し、冷却後シクロヘキサン30gに溶解後No.5Cのろ紙でろ過して有機酸Ruのシクロキサン溶液を作製した。その溶液の一部を加熱し、シクロヘキサンを留去したものについて島津製作所のFTIR−8100Aで赤外線吸収ススペクトルを調べた結果、1860cm-1付近と1570cm-1付近に特有の吸収ピークを認めたが、1700cm-1の吸収ピークは僅かであった。また生成した濃黒褐色の溶液は、2ヶ月後も変化はなかった。(比較例1) スターラー付きホットプレートを用い、100mlのビーカーで苛性ソーダ1.8gをイオン交換水2.4g、エタノール30gに溶解し、50〜70℃で攪拌しながらナフテン酸(酸価220)20.7gを添加して15分反応してナフテン酸ナトリウムのエタノール溶液を作製した。さらに加熱攪拌を継続しながら塩化Ru6.8gを少しずつ加えて15分反応後、加熱を継続し、エタノールを留去後120℃まで加熱し、冷却後シクロヘキサン30gに溶解後No.5Cのろ紙でろ過して有機酸Ruのシクロキサン溶液を作製した。その溶液の一部を加熱し、シクロヘキサンを留去したものについて実施例と同様島津製作所のFTIR−8100Aで赤外線吸収スペクトルを調べた結果、1570cm-1付近に特有のピークを認めた。しかし生成した有機酸Ruのシクロキサン溶液は2週間後に沈殿物ができた。 化学反応用触媒として有用な有機酸Ruを経済的に製造することができる。 硝酸ニトロシルルテニウムを用いることを特徴とする有機酸ルテニウムの製造方法。 有機酸と硝酸ニトロシルルテニウムを直接反応させることを特徴とする請求項1に記載の有機酸ルテニウムの製造方法。 有機酸アルカリ金属塩と硝酸ニトロシルルテニウムを反応する方法において、反応系の水量が用いる硝酸ニトロシルルテニウムの30重量%以下であることを特長とする請求 項1に記載の有機酸ルテニウムの製造方法。 【課題】 本発明は、シクロアルカンの酸化触媒として、有用な貯蔵安定性の良い有機酸Ruを経済的に製造しようとするものである。【解決手段】 有機酸Ruの製造において、金属塩原料として硝酸ニトロシルRuを用いることにより、所定量の有機酸と直接反応する方法、反応に用いる硝酸ニトロシルRuの30重量%以下の水量で有機酸アルカリ金属塩と硝酸ニトロシルRuを反応する複分解法のいずれの方法でも、貯蔵安定性の良い有機酸Ruを製造出来ることを見出したものである。