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タイトル:公開特許公報(A)_スズ化合物の除去方法
出願番号:2004193976
年次:2006
IPC分類:C07C 231/24,C07C 235/08


特許情報キャッシュ

松本 聡 田村 公夫 JP 2006016322 公開特許公報(A) 20060119 2004193976 20040630 スズ化合物の除去方法 三菱レイヨン株式会社 000006035 松本 聡 田村 公夫 C07C 231/24 20060101AFI20051216BHJP C07C 235/08 20060101ALI20051216BHJP JPC07C231/24C07C235/08 4 OL 9 4H006 4H006AA02 4H006AD15 4H006AD17 4H006BB16 4H006BB31 4H006BT12 4H006BV22 本発明は、スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物からスズ化合物の除去する方法に関する。 スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物としては、例えば、スズ化合物を触媒として原料であるカルボン酸低級エステルと原料であるアルコールとのエステル交換反応により得られた溶液、スラリー等の反応組成物等が挙げられる。このような反応組成物から触媒として用いたスズ化合物を除去する方法として、特許文献1には反応組成物にカルボン酸化合物水溶液を加え、生成する不溶性有機錫化合物を除去する方法が開示されている。また、特許文献2にはpHが約13.2よりも大きいアルカリ水性液で反応組成物を洗浄して有機錫化合物を除去する方法が開示されている。特開平1−316389号公報特開平9−183751号公報 しかしながら、特許文献1および2の方法では使用する酸性あるいはアルカリ性の水溶液によりカルボン酸エステルの分解が起きるという問題があった。また、これらの方法では酸性やアルカリ性の廃水が発生するため、その廃棄には中和等の処理が必要であった。 よって本発明の目的は、スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物、特にスズ化合物を触媒として原料であるカルボン酸低級エステルと原料であるアルコールとのエステル交換反応により得られた反応組成物からスズ化合物を除去するに際し、カルボン酸エステルの分解が少なく、酸性あるいはアルカリ性の廃水の少ないスズ化合物の除去方法を提供することにある。 本発明は、スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物に中性の水溶性有機溶媒と水を添加し、不溶化したスズ化合物を除去するスズ化合物の除去方法である。 スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物としては、スズ化合物を触媒として原料であるカルボン酸低級エステルと原料であるアルコールとのエステル交換反応により得られた反応組成物が好適である。 また、スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物としては、スズ化合物を触媒として原料であるカルボン酸低級エステルと原料であるアルコールとのエステル交換反応により得られた反応組成物から前記原料の少なくとも一部を除去したものも好適である。 本発明では、スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物に中性の水溶性有機溶媒を添加した後に水を添加することが好ましい。 本発明で使用する中性の水溶性有機溶媒としてはアセトンが特に好ましい。 本発明は、スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物、特にスズ化合物を触媒として原料であるカルボン酸低級エステルと原料であるアルコールとのエステル交換反応により得られた反応組成物、からスズ化合物を除去するに際し、カルボン酸エステルの分解が少ないという利点を有する。また、酸性あるいはアルカリ性の廃水が少ないという利点を有する。 スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物としては、例えば、スズ化合物を触媒として原料であるカルボン酸低級エステルと原料であるアルコールとのエステル交換反応により得られた反応組成物、前記反応組成物から前記原料の少なくとも一部を除去したもの、前記反応組成物から副生成物、溶媒、不純物等の少なくとも一部を除去したもの、(以下、これらをまとめて反応組成物ともいう。)が挙げられる。原料や副生成物等を除去する方法としては、例えば、蒸留、濃縮、晶析ろ別、遠心分離等を用いることができる。 エステル交換反応の触媒として使用されるスズ化合物は、エステル交換能を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、酸化第一錫、シュウ酸錫、オクチル酸錫、塩化第一錫、モノブチル錫オキシド、モノブチル錫ハイドロキシクロライド、モノブチル錫トリオクトエート等が挙げられる。本発明は、工業的に入手し易いこと、原料価格が安いこと、装置(金属)腐食性が少ないこと等から、スズ化合物としてはジブチル錫オキシド、ジオクチル錫オキシドが好適である。 エステル交換反応の原料であるカルボン酸低級エステルとしては、各種のカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル等が利用できる。このようなカルボン酸低級エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、クロトン酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、酢酸エチル、プロピオン酸エチル、酪酸エチル、イソ酪酸エチル、クロトン酸エチル等が挙げられる。 エステル交換反応の原料であるアルコールとしては、各種のモノアルコール類、ポリアルコール類、フェノール類が利用できる。このようなアルコール類としては、例えば、n−ヘキサノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等のモノアルコール類、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−ヒドロキシプロパナミド、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−5−ヒドロキシペンタナミド、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−6−ヒドロキシヘキサナミド、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−ヒドロキシプロパナミド、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−5−ヒドロキシペンタナミド、N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−6−ヒドロキシヘキサナミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−3−ヒドロキシプロパナミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−5−ヒドロキシペンタナミド、N−(2−ヒドロキシエチル)−6−ヒドロキシヘキサナミド、N−メチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)−3−ヒドロキシプロパナミド、N−メチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)−4−ヒドロキシブタナミド、N−メチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)−5−ヒドロキシペンタナミド、N−メチル−N−(3−ヒドロキシプロピル)−6−ヒドロキシヘキサナミド、N−メチル−N−(4−ヒドロキシブチル)−3−ヒドロキシプロパナミド、N−メチル−N−(4−ヒドロキシブチル)−4−ヒドロキシブタナミド、N−メチル−N−(4−ヒドロキシブチル)−5−ヒドロキシペンタナミド、N−メチル−N−(4−ヒドロキシブチル)−6−ヒドロキシヘキサナミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド、N,N−ビス(3−ヒドロキシプロピル)−4−ヒドロキシブタナミド、N,N−ビス(4−ヒドロキシブチル)−4−ヒドロキシブタナミド、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ネオペンチルグリコール等のポリアルコール類、フェノール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2−ヒドロキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、1−ナフトール、2−ナフトール等のフェノール類が挙げられる。 原料のカルボン酸低級エステルとアルコールは特に限定されず、目的とするカルボン酸エステルに対応するカルボン酸低級エステルとアルコールを用いることができる。 エステル交換反応における原料の仕込み比率は特に限定されないが、一般にはアルコール:カルボン酸低級エステル:触媒のモル比は1:2〜90:0.0002〜0.45が好ましく、1:2〜60:0.0002〜0.3が特に好ましい。 エステル交換反応の反応温度は特に限定されないが、通常は−30〜150℃である。副生するアルコールを効率的に除去し、有意な反応速度を得るためには60〜150℃が好ましい。 エステル交換反応の反応圧力は特に限定されないが、通常は常圧あるいは減圧である。 エステル交換反応に際しては、目的とするエステルが例えばアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等の重合性である場合には重合防止剤を使用することが好ましい。重合防止剤としては、例えば、ハイドロキノン、パラメトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン等のフェノール系化合物、N,N’−ジイソプロピルパラフェニレンジアミン、N,N’−ジ−2−ナフチルパラフェニレンジアミン、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)パラフェニレンジアミン、フェノチアジン等のアミン系化合物、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、以下の式で示される化合物等のN−オキシル系化合物等が挙げられる。また、重合防止剤の添加に加えて空気等の酸素含有ガスをバブリングさせると、重合防止効果が向上することがある。(式中、n=0〜18であり、R6=R7=H、またはR6およびR7の一方が水素原子で他方がメチル基である。また、R8、R9、R10およびR11は直鎖状または分岐状のアルキル基であり、R12=Hまたは(メタ)アクリロイル基である。) エステル交換反応により得られた反応組成物は、未反応の前記原料の少なくとも一部を除去したものであってもよく、副生成物や不純物の少なくとも一部を除去したものであってもよい。原料のアルコールやカルボン酸低級エステルは少ないほど中性の水溶性有機溶媒と水の添加量が少なくて済むことから工程液の絶対量が少なくなるので生産性が向上し、また後の工程においてスズ化合物が不溶化し易くなる。 未反応の原料、副生成物、不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留、濃縮、晶析ろ別、遠心分離等の方法が挙げられるが、得られるカルボン酸エステルが高沸点である場合には濃縮が好ましい。 このようにして得られた反応組成物は、スズ化合物である触媒またはその変性物と、カルボン酸エステルである反応生成物を含む。エステル交換反応で得られるカルボン酸エステルは、原料のカルボン酸低級エステルのアルコール由来部分が原料のアルコールに交換されたものである。本発明において、スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物はエステル交換反応の反応組成物に限らないが、本発明はエステル交換反応組成物からスズ化合物を除去するのに好適である。 本発明において、スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物に含まれるカルボン酸エステルとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、N−メチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパナミド、N−メチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−4−(メタ)アクリロイルオキシブタナミド、N−メチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−5−(メタ)アクリロイルオキシペンタナミド、N−メチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサナミド、N−エチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパナミド、N−エチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−4−(メタ)アクリロイルオキシブタナミド、N−エチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−5−(メタ)アクリロイルオキシペンタナミド、N−エチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサナミド、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパナミド、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−4−(メタ)アクリロイルオキシブタナミド、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−5−(メタ)アクリロイルオキシペンタナミド、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサナミド、N−メチル−N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパナミド、N−メチル−N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−4−(メタ)アクリロイルオキシブタナミド、N−メチル−N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−5−(メタ)アクリロイルオキシペンタナミド、N−メチル−N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサナミド、N−メチル−N−(4−(メタ)アクリロイルオキシブチル)−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパナミド、N−メチル−N−(4−(メタ)アクリロイルオキシブチル)−4−(メタ)アクリロイルオキシブタナミド、N−メチル−N−(4−(メタ)アクリロイルオキシブチル)−5−(メタ)アクリロイルオキシペンタナミド、N−メチル−N−(4−(メタ)アクリロイルオキシブチル)−6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサナミド、N,N−ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−4−アクリロイルオキシブタナミド、N,N−ビス(3−アクリロイルオキシプロピル)−4−アクリロイルオキシブタナミド、N,N−ビス(4−アクリロイルオキシブチル)−4−アクリロイルオキシブタナミド、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,2−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリリレート、ハイドロキノンジ(メタ)アクリレート、1−(メタ)アクリロイルオキシ−2−メトキシベンゼン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−3−メトキシベンゼン、1−(メタ)アクリロイルオキシ−4−メトキシベンゼン、2−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、4−(メタ)アクリロイルオキシベンゾフェノン、1−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン、2−(メタ)アクリロイルオキシナフタレン等が挙げられる。中でも、蒸留によりスズ化合物との分離が困難な高沸点のカルボン酸エステルの場合に本発明は好適である。 高沸点のカルボン酸エステルとしては、N−メチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパナミド、N−メチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−4−(メタ)アクリロイルオキシブタナミド、N−メチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−5−(メタ)アクリロイルオキシペンタナミド、N−メチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサナミド、N−エチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパナミド、N−エチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−4−(メタ)アクリロイルオキシブタナミド、N−エチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−5−(メタ)アクリロイルオキシペンタナミド、N−エチル−N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサナミド、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパナミド、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−4−(メタ)アクリロイルオキシブタナミド、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−5−(メタ)アクリロイルオキシペンタナミド、N−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサナミド、N−メチル−N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパナミド、N−メチル−N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−4−(メタ)アクリロイルオキシブタナミド、N−メチル−N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−5−(メタ)アクリロイルオキシペンタナミド、N−メチル−N−(3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサナミド、N−メチル−N−(4−(メタ)アクリロイルオキシブチル)−3−(メタ)アクリロイルオキシプロパナミド、N−メチル−N−(4−(メタ)アクリロイルオキシブチル)−4−(メタ)アクリロイルオキシブタナミド、N−メチル−N−(4−(メタ)アクリロイルオキシブチル)−5−(メタ)アクリロイルオキシペンタナミド、N−メチル−N−(4−(メタ)アクリロイルオキシブチル)−6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサナミド、N,N−ビス(2−アクリロイルオキシエチル)−4−アクリロイルオキシブタナミド、N,N−ビス(3−アクリロイルオキシプロピル)−4−アクリロイルオキシブタナミド、N,N−ビス(4−アクリロイルオキシブチル)−4−アクリロイルオキシブタナミド等が挙げられる。 本発明では、スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物に中性の水溶性有機溶媒と水を添加し、不溶化したスズ化合物を除去する。中性の水溶性有機溶媒と水の添加の順序は限定されず、順番にあるいは両者を混合して添加することができる。しかし、不溶化したスズ化合物を濾別して分離する場合には、濾過性が良好になることから、中性の水溶性有機溶媒を添加した後に水を添加することが好ましく、その際には水を徐々に添加することがより好ましい。なお、ここで「中性の有機溶媒」とは50wt%水溶液に調整した場合のpHが6以上かつ8以下である有機溶媒を意味し、「水溶性」とは10℃以上30℃以下で水と自由混和する性質を意味する。 中性の水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、1,4−ジオキサン等のエーテル類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等が挙げられる。中でも、スズ化合物の存在下でカルボン酸エステルとの反応性が低い中性の水溶性有機溶媒が好ましく、このような溶媒としては、アセトン等のケトン類、1,4−ジオキサン等のエーテル類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等が挙げられる。これらの中でも、入手が容易で安価なアセトンが工業的に好ましい。 また、添加する水はpH6〜8の実質的に中性のものである。このような水としては、例えば純水、水道水、工業用水等が挙げられる。中でも純水、水道水、工業用水が好ましい。水には少量であれば不純物を含んでいてもよい。 添加する中性の水溶性有機溶媒と水の量は特に限定されないが、添加後のスズ化合物とカルボン酸エステルを含む溶液またはスラリーが分液しない量が好ましい。例えば、未反応原料を除去した後のエステル交換反応組成物の場合、反応組成物1kgに対して、中性の水溶性有機溶媒を1ml〜10L、水を1g〜10kg添加することが好ましく、特に中性の水溶性有機溶媒を500ml〜5L、水を100g〜2kg添加することが好ましい。 中性の水溶性有機溶媒と水を添加する際の添加前の組成物、溶媒、水、あるいは溶媒や水を添加した後の組成物の温度は特に限定されず、下限は通常0℃以上であり、好ましくは3℃以上、特に好ましくは5℃以上である。また、上限は通常100℃以下であり、好ましくは80℃以下、特に好ましくは60℃以下である。 スズ化合物とカルボン酸エステルを含む溶液またはスラリーに中性の水溶性有機溶媒と水を添加すると、不溶化したスズ化合物が生じる。不溶化したスズ化合物は濾過等の固液分離手段によりカルボン酸エステル等の液成分と分離できる。 不溶化したスズ化合物を濾別する場合のスラリーの温度は特に限定されず、下限は通常0℃以上であり、好ましくは3℃以上、特に好ましくは5℃以上である。上限は通常100℃以下であり、好ましくは80℃以下、特に好ましくは60℃以下である。 不溶化したスズ化合物を濾別する場合、濾過時間を短縮するために、珪藻土等の一般的な濾過助剤を用いることができる。濾過助剤の添加時期は特に限定されないが、エステル交換反応の反応組成物が対象の場合、通常は反応終了後から濾過までの間であり、好ましくはスズ化合物の不溶化後である。 上述した方法でスズ化合物を除去することで、中性の水溶性有機溶媒と水を含むカルボン酸エステルが得られる。従って、スズ化合物を除去した後は、通常カルボン酸エステルを精製することが行われる。 精製方法は特に限定されないが、例えば濃縮、抽出、蒸留等の操作が挙げられる。具体例としては、中性の水溶性有機溶媒を減圧留去した後に脂溶性溶媒で抽出する方法が挙げられる。この場合の脂溶性溶媒としては水と混合せず目的のカルボン酸エステルを溶解する溶媒が利用できる。脂溶性溶媒としては、例えば芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。この場合の芳香族炭化水素としては例えばベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン等が挙げられる。また、ハロゲン化炭化水素としては例えばジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等が挙げられる。目的のカルボン酸エステルは得られた溶媒抽出層を濃縮することで取得することができる。濃縮の前に水洗操作を行うことにより水溶性不純物をより低減させることができる。 以下、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下の例において、生成物の純度はガスクロマトグラフィー(以下GCという)により測定した。また、スズ含量はICP発光分析法によりスズ原子として測定した。 [実施例1] 20段オルダーショウ蒸留塔を備えた攪拌装置付き丸底フラスコに、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド161.22g、アクリル酸メチル430.45g(5mol)、触媒としてジオクチル錫オキシド3.61g(0.01mol)、重合防止剤としてp−メトキシフェノール0.5g、4−アセチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル0.025g、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルの4位にエチレンオキサイドを平均6モル付加させた化合物0.025gを仕込んだ。フラスコの内容物を10ml/minでエアーバブリングし、攪拌しながら、105℃の油浴でフラスコを加熱し、還流下、9時間反応を行った。反応中は生成するメタノールをアクリル酸メチルとともに留出させた。反応後、アクリル酸メチル等の低沸物を留去し、N−メチル−N−(2−アクリロイルオキシエチル)−4−アクリロイルオキシブタナミド(以下、MAEABと略称する。)の粗体277.0gを得た。尚、この粗体に含まれるスズ含量は4284ppmであった。 得られた粗体に、室温下、アセトン225mlを添加した後、攪拌下、水50gを5秒間かけて添加し15分間攪拌した。析出した不溶物を細孔径0.5μmのPTFEメンブランフィルターを使用し、100kPaの空気加圧条件で濾過した。得られた濾液に空気をバブリングしながら加熱下、減圧によりアセトン、水、および低沸分を留去して精製MAEABを得た。精製MAEABのスズ含量は710ppmであった。また精製MAEABの純度は96.1質量%であった。このときのMAEABの収率は、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド基準で95.0%であった。 [実施例2] 実施例1と同様の操作でスズ含量が4279ppmのMAEABの粗体277.3gを得た。得られた粗体全量に、室温下、アセトン450mlを添加した後、攪拌下、水100gを10秒間かけて添加し15分間攪拌した。析出した不溶物を細孔径0.5μmのPTFEメンブランフィルターを使用し、100kPaの空気加圧条件で濾過した。得られた濾液に空気をバブリングしながら加熱下、減圧により殆どのアセトンと一部の水を留去した。この残渣に、室温下、トルエン500mlを添加し10分間攪拌した後、30分間静置したところ、有機相と水相に2相分離した。水相を分液して得られた有機相に150mlの水を加え10分間攪拌した後、30分間静置し、水相を分液して有機相を回収した。この有機相に空気をバブリングしながら加熱下、減圧によりトルエン、水、および低沸分を留去して精製MAEABを得た。精製MAEABのスズ含量は35ppmであった。また精製MAEABの純度は97.0質量%であった。このときのMAEABの収率は、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド基準で95.2%であった。 [比較例1] 実施例1と同様の操作でスズ含量が4298ppmのMAEABの粗体276.1gを得た。得られた粗体全量に、室温下、トルエン250mlと15質量%の水酸化ナトリウム水溶液(pH13.3)を100g添加し15分間攪拌した後、30分間静置したところ、白濁した有機相と水相に2相分離した。水相を分液して得られた有機相を水50gで2回洗浄した。この有機相に空気をバブリングしながら加熱下、減圧によりトルエン、水、および低沸分を留去して精製MAEABを得た。精製MAEABのスズ含量は1335ppmであった。また精製MAEABの純度は87.2質量%であった。このときの精製MAEABの収率は、N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド基準で80.6%であった。 スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物に中性の水溶性有機溶媒と水を添加し、不溶化したスズ化合物を除去するスズ化合物の除去方法。 スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物が、スズ化合物を触媒として原料であるカルボン酸低級エステルと原料であるアルコールとのエステル交換反応により得られた反応組成物である請求項1記載のスズ化合物の除去方法。 スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物が、スズ化合物を触媒として原料であるカルボン酸低級エステルと原料であるアルコールとのエステル交換反応により得られた反応組成物から前記原料の少なくとも一部を除去したものである請求項1に記載のスズ化合物の除去方法。 スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物に中性の水溶性有機溶媒を添加した後に水を添加することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のスズ化合物の除去方法。 【課題】 スズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物、特にスズ化合物を触媒として原料であるカルボン酸低級エステルと原料であるアルコールとのエステル交換反応により得られた反応組成物からスズ化合物を除去するに際し、カルボン酸エステルの分解が少なく、酸性あるいはアルカリ性の廃水の少ないスズ化合物の除去方法を提供する。【解決手段】 スズ化合物を触媒として原料であるカルボン酸低級エステルと原料であるアルコールとのエステル交換反応により得られた反応組成物等のスズ化合物とカルボン酸エステルを含む組成物に中性の水溶性有機溶媒と水を添加し、不溶化したスズ化合物を除去する。【選択図】 なし


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