生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_酸ハロゲン化合物の製造方法
出願番号:2004175677
年次:2005
IPC分類:7,C07C51/58,C07C59/135,C07B61/00


特許情報キャッシュ

岩谷 真男 大春 一也 JP 2005029569 公開特許公報(A) 20050203 2004175677 20040614 酸ハロゲン化合物の製造方法 旭硝子株式会社 000000044 岩谷 真男 大春 一也 JP 2003173284 20030618 7C07C51/58C07C59/135C07B61/00 JPC07C51/58C07C59/135C07B61/00 300 7 OL 9 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC47 4H006BA02 4H006BA06 4H006BA30 4H006BA33 4H006BB61 4H006BE51 4H006BM10 4H006BM71 4H039CA65 4H039CL60 本発明は、−COCl基、−COBr基、および−COI基から選ばれるハロホルミル基を1個以上有する酸ハロゲン化合物の製造方法に関する。 −COF基を1個以上有する酸フロリド化合物(以下、酸フロリド化合物と略記する。)の−COF基は、対応する−COX基(ただし、Xは塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示す。)を1個以上有する酸ハロゲン化合物(以下、酸ハロゲン化合物と略記する。)の−COX基、特に酸クロリド化合物の−COCl基、と比較して還元反応等における反応性に乏しい性質を有する。また、酸フロリド化合物は、エステル化反応や加水分解反応時にきわめて腐食性が強く取扱いの難しいフッ化水素を副生する。 一方、酸フロリド化合物の−COF基を−COX基(ただし、Xは前記と同じ意味を示す。)に変換した化合物は、酸フロリド化合物よりも反応性が高く有機合成反応上の中間体として有用である。また該化合物は、大気中の水分との間で加水分解反応が起きても、生成する酸はフッ化水素よりも腐食性が低いためガラス等の容器での保存性に優れている。 酸フロリド化合物中の−COF基のフッ素原子を、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子に変換して酸ハロゲン化合物を製造する方法としては、次の方法が知られている。 (1)酸フロリド化合物を、加水分解してカルボン酸に変換した後、塩化チオニル等の塩素化剤と反応させる方法。 (2)ペルフルオロ酸フロリドとハロゲン化リチウムとを混合し、酸化物ガラスの不存在下に反応させてペルフルオロ酸ハロゲン化物を製造する方法(非特許文献1参照。)。 (3)3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ベンゾイルフロリド類を、4塩化ケイ素と塩化アルミ等の存在下に反応させて3,5−ビス(トリフルオロメチル)−ベンゾイルクロリド類を製造する方法(特許文献1参照。)。 (4)CF3CF2COFとCF3CF2CH2OHとをエステル化反応させてCF3CF2CH2OC(O)CF2CF3とし、これを光塩素化してCF3CF2CCl2OC(O)CF2CF3に変換した後に、熱分解して2分子のCF3CF2COClを製造する方法(特許文献2参照。)。特開2001−294551号公報(第4〜5頁)特開2000−351751号公報(第2〜4頁)J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1、英国、1996、p915 しかし、従来の方法には次の欠点がある。 (1)の方法では、加水分解反応時にフッ化水素が副生成する。 (2)の方法では、反応を実施する都度、ハロゲン化リチウム中の水分を厳密に除去する乾燥工程を行う必要がある。 (3)の方法では、反応に長時間を要する。また4塩化ケイ素は取扱いが難しい。 (4)の方法では、酸フロリド化合物から酸クロリド化合物を得るまでに3工程を要する。また該方法では、酸フロリド化合物に塩素を導入できる構造を必要とし、該方法を適用できる化合物の構造が制限される。 本発明は、フッ化水素の副生成、反応時間の長さ、取り扱いの難しい試剤の使用、反応工程数の多さ、および構造の制限等の課題を解決し、かつ酸ハロゲン化合物を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。 すなわち本発明は、−COF基を1個以上有する酸フロリド化合物を、−COF基を−COX基(ただし、Xは塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示す。)に変換するハロゲン化剤、および酸化物ガラスの存在下で反応させて、該酸フロリド化合物の−COF基の1個以上が、−COX基(ただし、Xは前記と同じ意味を示す。)に変換された酸ハロゲン化合物とせしめることを特徴とする酸ハロゲン化合物の製造方法を提供する。 本発明の方法によれば、ハロゲン化剤と酸化物ガラスとを用いることによって酸フロリド化合物の−COF基を−COX基(ここで、Xは前記と同じ意味を示す。)に変換する反応を単工程、短時間、高収率に行うことができる。 本明細書における以下の説明においては、特に記載しない限り、ハロゲン原子とは塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を示し、フッ素原子は含まない。 本発明における酸フロリド化合物とは、分子中に−COF基を1以上有する化合物をいう。酸フロリド化合物中の−COF基の数は限定されず、1〜4個が好ましく、特に1〜2個が好ましい。酸フロリド化合物の分子量は、48以上であるのが好ましく、60〜2000が特に好ましい。また酸フロリド化合物は、常温常圧において−30〜+300℃の沸点を有する化合物であるのが好ましい。 −COF基を1〜2個有する酸フロリド化合物としては、下式1で表される化合物または下式2で表される酸フロリド化合物が好ましい。 R1−COF・・・式1 FCO−R2−COF・・・式2 ただし、R1はハロゲン化剤に対して不活性な1価有機基を示す。R2はハロゲン化剤に対して不活性な2価有機基を示す。 ここで、R1は飽和の1価有機基、R2は飽和の2価有機基が好ましい。R1およびR2の構造は、それぞれ限定されず直鎖構造、分岐構造、環構造、または部分的に環構造を有する構造が挙げられる。 R1の具体例としては、アルキル基、シクロアルキル基、またはシクロアルキル基が置換したアルキル基等の1価飽和炭化水素基、R2の具体例としては、アルキレン基、シクロアルキレン基、またはシクロアルキル基が置換したアルキレン基等の2価飽和炭化水素基が挙げられる。また、R1およびR2が、それぞれ炭素数が2以上の基である場合には、該基の炭素−炭素単結合間には、−O−または−S−等の2価ヘテロ原子が挿入されていてもよい。さらにR1およびR2は、ハロゲン化剤に対して不活性な官能基、フッ素原子、またはハロゲン原子が1以上置換した基であってもよい。 ハロゲン化剤に対して不活性な官能基としては、求核性を持たない1価官能基が挙げられ、たとえばシアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、エステル基、ケトン基、およびアルキルスルホン基等の官能基が挙げられる。ハロゲン化剤に対して活性な官能基としては、たとえば水酸基、カルボン酸基や、アニシル基、ナフチル基、およびトリル基等の活性な芳香族置換基が挙げられる。 R1としてはフッ素原子を有する飽和の1価有機基が好ましく、アルキル基、ヘテロ原子含有アルキル基、シクロアルキル基、および1価飽和へテロ環からなる群より選ばれる飽和の1価有機基であり、かつフッ素原子を有する基が特に好ましく、該選ばれる基中に存在する水素原子が実質的に全てフッ素原子に置換された基がとりわけ好ましい。R2としてはフッ素原子を有する飽和の2価有機基が好ましく、アルキレン基、ヘテロ原子含有アルキレン基、シクロアルキレン基、および2価飽和へテロ環からなる群より選ばれる飽和の2価有機基であり、かつフッ素原子を有する基が特に好ましく、該選ばれる基中に存在する水素原子が実質的に全てフッ素原子に置換された基がとりわけ好ましい。 R1およびR2がそれぞれフッ素原子を有する基である場合には、該化合物中のフッ素原子総量が10質量%以上であるのが好ましく、20質量%以上であるのが特に好ましく、飽和炭化水素基中の水素原子が実質的に全てフッ素原子に置換されているのがとりわけ好ましい。 式1で表される化合物の具体例としては、次の化合物が挙げられる。 CF3CF2CF2OCF(CF3)COF、 CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COF、 CF3(CF2)7COF、 (CF3)2CFCOF、 CF3CF2COF、 CF2ClCFClOCF2CF2CF2COF、 CF2ClCFClOCF2CF2CF2CF2COF。 式2で表される化合物の具体例としては、次の化合物が挙げられる。 FCO(CF2)3COF、 FCO(CF2)4COF、 FCO(CF2)5COF、 FCO(CF2)6COF、 FCO(CF2)3OCF(CF3)COF、 FCO(CF2)4OCF(CF3)COF、 FCO(CF2)5OCF(CF3)COF、 FCO(CF2)2O(CF2)3OCF(CF3)COF、 FCOCF(CF3)OCF(CF3)COF。 式1で表される化合物、および式2で表される化合物の入手方法としては、たとえばWO00/56694号、およびWO02/04397号に記載の方法が挙げられる。また式1で表される化合物の入手方法としては、公知のヘキサフルオロプロピレンオキシド(HFPO)のオリゴマー化反応が挙げられる。HFPOのオリゴマーとしては、HFPOの1〜6量体が好ましい。 本発明におけるハロゲン化剤としては、−COF基を−COX基に変換する作用を持つハロゲン化剤であれば特に限定されない。該ハロゲン化剤としては、反応温度において安定であるハロゲン化剤から選択されうる。このうち該ハロゲン化剤としては、ハロゲン化チオニル、分子状ハロゲン、または5ハロゲン化リンが好ましく、ハロゲン化チオニル、分子状ハロゲンが特に好ましく、操作性が容易である点や反応収率の点からハロゲン化チオニルがとりわけ好ましい。 これらのハロゲン化剤のハロゲンの種類は、目的とする−COX基のXに対応させて適宜選択すればよい。たとえば、−COF基のフッ素原子を塩素原子に変換する場合のハロゲン化剤としては、塩化チオニルが好ましい。 本発明の反応においては、酸フロリド化合物中に存在する−COF基の1個以上を−COX基に変換する。−COF基が2個以上存在する場合、該−COF基の一部は−COX基に変換されなくてもよい。しかし、本発明の反応においては酸フロリド化合物中に存在する−COF基の全てが−COX基に変換されるのが好ましい。 酸フロリド化合物が−COF基をn個(ただしnは、1以上の整数を示し、1〜4の整数が好ましい。)有する化合物であり、ハロゲン化剤として機能しうるハロゲン原子を分子中にm個(ただし、mは1以上の整数を示す。)有するハロゲン化剤を用いて、該−COF基の全てを−COX基に変換する場合のハロゲン化剤の量は、酸フロリド化合物に対して1×n/m倍モル以上を用いるのが好ましく、特に上述の理由により(1〜5)×n/m倍モルを用いるのが好ましい。たとえばハロゲン化剤としてハロゲン化チオニル(mが2であるハロゲン化剤に該当する。)を用いる場合は、分子中にn個の−COF基を有する酸フロリド化合物に対して、(0.5〜2.5)×n倍モルを用いるのが好ましく、(1.0〜2.5)×n倍モル用いるのが特に好ましい。 本発明においては、酸化物ガラスの存在下に反応を行う。酸化物ガラスとしては、構成元素としてアルカリ金属を含む酸化物ガラスが好ましい。アルカリ金属としては特に限定されず、リチウム、ナトリウム、およびカリウムから選ばれる1種以上のアルカリ金属が好ましく、特にナトリウムが好ましい。酸化物ガラス中のアルカリ金属の含有量は、アルカリ金属酸化物量として表現した場合に1質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜20質量%が特に好ましい。 また酸化物ガラスはケイ酸塩を含む酸化物ガラスであるのが好ましく、組成中にシリカ(SiO2)とアルカリ金属酸化物を含む酸化物ガラスが好ましい。酸化物ガラスがケイ酸塩を含む場合のケイ酸塩の含有量は、2酸化ケイ素として表現した場合に70質量%〜99質量%が好ましく、80質量%〜95質量%が特に好ましい。 組成中にシリカ(SiO2)とアルカリ金属酸化物を含む酸化物ガラスとしては、ソーダライムガラス(Na2O−CaO−SiO2系のガラス等。)、鉛クリスタルガラス(K2O−PbO−SiO2系のガラス等。)、セミクリスタルガラス(K2O−PbO−SiO2にNa2O等を含むガラス等。)、またはホウ珪酸塩ガラス(たとえば、Na2O−B2O3−SiO2系のガラス等。)が挙げられ、特にソーダライムガラスが好ましい。 本発明に用いる酸化物ガラスの形状としては、反応器中での流動性および分散性等の点から粉末状が好ましく、特に球形微粒子粉末が好ましく、とりわけ溶融成形された球形微粒子粉末が好ましい。球形微粒子粉末である場合の中心粒度は特に限定されず、温度分布を防止する効果の点から分級されているのが好ましく、10〜500μm程度の中心粒度に分級されているのが特に好ましく、50〜200μm程度の中心粒度に分級されているのがとりわけ好ましい。また球形微粒子粉末であって分級されている場合、粒度分布が小さい方が好ましい。 本発明における反応は、液相反応または気相反応で実施するのが好ましく、反応時間の短縮化、後処理の容易さの点から特に気相反応で行うのが好ましい。 気相反応で反応を実施する場合は、酸化物ガラス粉末が充填された管状反応器の下部から酸フロリド化合物とハロゲン化剤を導入し、反応器上部から生成物を抜き出す流通式が効率が良い。酸フロリド化合物の反応器中での滞留時間は1秒〜300秒程度が好ましく、10秒〜100秒程度が特に好ましい。 本発明における反応の温度は、酸ハロゲン化合物の分解温度以下であれば特に限定されず、通常は100℃〜450℃が好ましく、100℃〜400℃が特に好ましく、250℃〜400℃がとりわけ好ましく、250℃〜350℃がさらに好ましい。反応速度は、高温になるほど速くなり、かつ反応副生物の生成が抑制され目的とする酸ハロゲン化合物への反応選択性も向上する。しかし反応温度が高くなりすぎると、目的とする酸ハロゲン化合物の分解反応が進行するおそれがある。 反応器への原料ガスの供給方法としては、気体状の酸フロリド化合物と気体状のハロゲン化剤をそのまま混合して導入する方法でもよいが、それぞれを不活性ガスで希釈して、または、気体状の酸フロリド化合物と気体状のハロゲン化剤の混合物を不活性ガスで希釈して、導入するのが好ましい。不活性ガスの種類は、特に限定されず、窒素ガス、ヘリウムガス、またはアルゴンガス等が挙げられる。不活性ガスの量が多すぎると反応出口ガスから生成物を回収するのが困難になり、少なすぎると生成物の収率が悪化する。不活性ガスの量は、酸フロリド化合物とハロゲン化剤と不活性ガスとの総量に対して、40モル%〜95モル%程度が好ましく、50モル%〜90モル%程度が特に好ましい。 気相反応で反応を実施した場合には、酸ハロゲン化物は反応出口ガスから回収できる。酸ハロゲン化物を回収する方法は、特に限定されない。具体的には、出口ガスをドライアイス、液体窒素等で冷却して得られた液体中の有機層を回収する方法が好ましい。該有機層中に含まれる酸ハロゲン化合物の精製方法は、蒸留および/または溶媒抽出によって行うのが好ましく、蒸留により行うのが特に好ましい。R1やR2が含フッ素有機基である酸ハロゲン化物の溶媒抽出に用いる溶媒としては、パーフルオロカーボン系の溶媒が好ましい。 本発明の製造方法によれば酸フロリド化合物の−COF基の1個以上が−COX基に変換された酸ハロゲン化合物が生成する。酸ハロゲン化合物としては酸フロリド化合物の−COF基の全てが−COX基に変換された化合物が好ましい。たとえば、式1で表される化合物において本発明の反応を行った場合の生成物としては、式1−1で表される化合物が好ましく、式2で表される化合物において本発明の発明を行った場合の生成物としては、式2−1で表される化合物が好ましい。ただし、式中のXとしては前記と同じ意味を示し、反応に用いたハロゲン化剤のハロゲンに対応する。 R1−COX・・・式1−1 XCO−R2−COX・・・式2−1 酸クロリド化合物の−COF基が−COX基(ただし、Xは前記と同じ意味を示す。)に変換する反応機構は、必ずしも明確ではないが、アルカリ金属を含む酸化物ガラスを用いた場合には、該ガラス中のアルカリ金属と−COF基とが反応して下式3で表されるアルカリ金属カルボン酸塩基(ただし、Mはアルカリ金属を示す。)が生成し、これにハロゲン化剤が反応して、−COX基が生成すると推定される。 −C(=O)OM・・・式3。 一方、酸フロリド化合物と炭酸ナトリウムとを直接反応させた場合には、炭酸ナトリウムの塩基性が強すぎるため、−COF基よりも塩化チオニル等のハロゲン化剤と優先的に反応し、目的とする酸ハロゲン化合物は生成しないと考えられる。この炭酸ナトリウムとの反応は、下式4で表される反応であると考えられる。 Na2CO3+SOCl2 → SO2+CO2+2NaCl・・・式4。 以下に本発明を、実施例を挙げて具体的に説明するが、これらによって本発明は限定されない。 [例1(実施例)] 反応管(インコネル合金製1/2インチ)に、充填高35cmになるように中心粒度105〜125μmの酸化物ガラスビーズ(ソーダライムガラス、岳南社製、品番#150)を充填し、続いて反応管を320℃に加熱した。CF3CF2CF2OCF(CF3)COFの流量を43mmol/h、塩化チオニルの流量を173mmol/h、および窒素ガスの流量を216mmol/hとして混合し、線速を2.9cm/sに調整してから反応管に導入した。導入ガスの該ガラスビーズ層中での滞留時間を12秒に保って反応を行った。反応出口ガスは液体窒素で冷却したトラップで捕集した。つぎに、CF3CF2CF2OCF(CF3)COFを76mmol(25.2g)供給した時点で、CF3CF2CF2OCF(CF3)COFと塩化チオニルの供給を停止し、そのまま窒素ガスのみを1時間流通した。その後、トラップを徐々に室温まで戻し、凝縮した二酸化硫黄等を気化させた。その結果、2層に分離した液体が得られ、下層の液体(29.8g)を回収した。 回収した液体をガスクロマトグラフで分析した結果、回収された液体にはCF3CF2CF2OCF(CF3)COClが80.5%(69mmol、収率91%、選択率99%)で含まれていた。また原料が熱分解したCF3CF2CF2OCF=CF2(以下、PPVEと示す。)が0.02%(0.02mmol、収率0.03%、選択率0.03%)、CF3CF2CF2OCF(CF3)COFが6.8%(6mmol)で含まれていた。 [例2〜例14(実施例)] CF3CF2CF2OCF(CF3)COFに対する塩化チオニルのモル比を変更し、例2〜例10においては反応管の温度を320℃、例11〜14においては反応管の温度を350℃とする以外は、例1と同様の条件で反応を行った結果を表1に示す。ただし、表中の、「混合比」は反応入口ガス中のCF3CF2CF2OCF(CF3)COFに対する塩化チオニルのモル比を示し、「生成比」は回収した液体中の酸クロリド化合物(CF3CF2CF2OCF(CF3)COCl)に対するPPVEのモル比を示す。 [例15(参考例)] 反応管(インコネル合金製1/2インチ)に、充填高35cmになるように中心粒度100〜300μmの炭酸ナトリウムを充填し、320℃に加熱した。CF3CF2CF2OCF(CF3)COFの流量を43mmol/h、塩化チオニルの流量を86mmol/h、および窒素ガスの流量を301mmol/hとして混合し、線速を2.9cm/sに調整してから反応管に導入した。導入ガスの炭酸ナトリウム層中での滞留時間を12秒に保って反応を行った。反応出口ガスは液体窒素で冷却したトラップで捕集した。つぎに、CF3CF2CF2OCF(CF3)COFを79mmol(26.2g)を供給した時点で、酸フロリド化合物と塩化チオニルの供給を停止し、そのまま窒素のみを1時間流通した。その後、トラップを徐々に室温まで戻し、凝縮した二酸化硫黄等を気化させて除き、液体(21.9g)を回収した。 回収した液体をガスクロマトグラフで分析した結果、液体にはCF3CF2CF2OCF(CF3)COClの存在は認められず、PPVEが62.6%(52mmol、収率66%、選択率87%)、CF3CF2CF2OCF(CF3)COFが28.3%(19mmol)で含まれていた。また出口ガスを分析した結果、塩化チオニルは認められず二酸化硫黄の存在が確認された。 [例16(実施例)] 反応管(インコネル合金製1/2インチ)に充填高35cmになるように中心粒度105〜125μmの酸化物ガラスビーズ(ソーダライムガラス、岳南社製、品番#150)を充填し、350℃に熱した。CF3(CF2)7COFの流量を41mmol/h、塩化チオニルの流量を41mmol/h、および窒素ガスの流量を329mmol/hとして混合し、線速を2.9cm/sに調整してから反応管に導入した。導入ガスの該ガラスビーズ層中での滞留時間を12秒に保って反応を行った。反応出口ガスは液体窒素で冷却したトラップで捕集した。つぎにCF3(CF2)7COF(61mmol、28.4g)を供給した時点で、CF3(CF2)7COFと塩化チオニルの供給を停止し、窒素のみを1時間流通した。その後、トラップを徐々に室温まで戻し、凝縮した二酸化硫黄等を気化させた。その結果、2層に分離した液体が得られ、下層の液体(29.0g)を回収した。 回収した液体をガスクロマトグラフで分析した結果、液体はCF3(CF2)7COClが92.2%(55mmol、収率90%、選択率95%)で含まれていた。また原料が熱分解したCF3(CF2)5CF=CF2が0.5%(0.4mmol、収率0.7%、選択率0.7%)、CF3(CF2)7COFが5.0%(3mmol)で含まれていた。 [例17(実施例)] 反応管(インコネル合金製1インチ)に充填高45cmになるように中心粒度105〜125μmの酸化物ガラスビーズ(ソーダライムガラス、岳南社製、品番#150)を充填し、350℃に熱した。FCO(CF2)4COFの流量を150mmol/h、塩化チオニルの流量を150mmol/h、および窒素ガスの流量を710mmol/hとして混合し、線速を2.5cm/sに調整してから反応管に導入した。導入ガスの該ガラスビーズ層中での滞留時間を18秒に保って反応を行った。反応出口ガスは液体窒素で冷却したトラップで捕集した。つぎにFCO(CF2)4COF(1.19mol、350g)を供給した時点で、FCO(CF2)4COFと塩化チオニルの供給を停止し、窒素ガスのみを1時間流通した。その後、トラップを徐々に25℃まで戻し、凝縮した二酸化硫黄等を気化させた。その結果、2層に分離した液体が得られ、下層の液体(355g)を回収した。回収した液体をガスクロマトグラフィーで分析した結果、液体はClCO(CF2)4COCl(収率82%)を含んでいることを確認した。 本発明の方法を適用できる酸フロリド化合物は、構造に制限が無い利点がある。よって本発明の方法によれば、有機合成反応上の中間体として有用であり、かつ保存の安定性に優れた多様な構造を有する酸ハロゲン化合物を提供できる。 −COF基を1個以上有する酸フロリド化合物を、−COF基を−COX基(ただし、Xは塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示す。)に変換するハロゲン化剤、および酸化物ガラスの存在下で反応させて、該酸フロリド化合物の−COF基の1個以上が−COX基(ただし、Xは前記と同じ意味を示す。)に変換された酸ハロゲン化合物とせしめることを特徴とする酸ハロゲン化合物の製造方法。 −COF基を1個以上有する酸フロリド化合物が、下式1で表される化合物、または下式2で表される化合物である請求項1に記載の製造方法。 R1−COF・・・式1 FOC−R2−COF・・・式2 ただし、R1はハロゲン化剤に対して不活性な1価有機基を示す。R2はハロゲン化剤に対して不活性な2価有機基を示す。 ハロゲン化剤が、ハロゲン化チオニルまたは分子状ハロゲンである請求項1または2に記載の製造方法。 n個(ただし、nは1以上の整数を示す。)の−COF基を有する酸フロリド化合物に対して、ハロゲン化チオニルを(0.5〜2.5)×n倍モル(ただし、nは前記と同じ意味を示す。)用いる請求項1または2に記載の製造方法。 酸化物ガラスが、ナトリウムを構成元素として含む酸化物ガラスである請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。 酸化物ガラスが、中心粒度が50〜300μmの酸化物ガラス粒子である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。 不活性ガスで希釈した気体状の酸フロリド化合物、および不活性ガスで希釈した気体状のハロゲン化剤とを、酸化物ガラスを充填した管状反応器に流通させて反応を行う請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。 【課題】酸フロリド化合物中の−COF基を−COX基(ここで、Xは塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を示す。)に変換して酸ハロゲン化合物を製造する効率的な方法を提供する。【解決手段】−COF基を有する酸フロリド化合物を、−COF基を−COX基(ただし、Xは前記と同じ意味を示す。)に変換するハロゲン化剤、および酸化物ガラスの存在下で反応させて、該酸フロリド化合物の−COF基の1個以上を、−COX基(ただし、Xは前記と同じ意味を示す。)に変換する。【選択図】なし


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