タイトル: | 特許公報(B2)_活性酸素消去剤 |
出願番号: | 2004175093 |
年次: | 2006 |
IPC分類: | A61K 8/96,A23L 1/30,A61K 36/71,A61P 17/16,A61P 39/06 |
藤森 博昭 JP 3747223 特許公報(B2) 20051209 2004175093 20040614 活性酸素消去剤 三栄製薬株式会社 397020205 荒井 鐘司 100093735 河野 尚孝 100105429 嶋崎 英一郎 100108143 藤森 博昭 20060222 A61K 8/96 20060101AFI20060202BHJP A23L 1/30 20060101ALI20060202BHJP A61K 36/71 20060101ALI20060202BHJP A61P 17/16 20060101ALI20060202BHJP A61P 39/06 20060101ALI20060202BHJP JPA61K7/00 KA23L1/30 BA61K35/78 FA61P17/16A61P39/06 A61K 7/00ー7/50 A23L 1/30 A61K 35/78 特開2002−371276(JP,A) 特開平08−217688(JP,A) 特開平08−217687(JP,A) 特開平08−217682(JP,A) 特開平08−217641(JP,A) 特開平07−126618(JP,A) 特開平02−264720(JP,A) 5 2005350422 20051222 13 20040614 福井 美穂 本発明は、植物抽出物を有効成分とする活性酸素消去剤に関し、特に皮膚の老化等に深く関与している過酸化水素に対して、優れた消去作用を有する活性酸素消去剤に関する。 近年、健康指向の高まりを背景に、生体に及ぼす活性酸素の様々な影響が注目されている。活性酸素は、通常の基底状態(3O2、三重項)にある酸素に比べて、著しく化学反応を起こしやすい酸素であり、具体的には、スーパーオキサイドアニオンラジカル(・O2-)、過酸化水素(H2O2)、ヒドロキシルラジカル(・OH)、ヒドロペルオキシルラジカル(・OOH)、一重項酸素(1O2)等の反応性に富む酸素を総称して活性酸素と呼んでいる。この活性酸素は、紫外線への暴露、白血球の殺菌機構、生体細胞内のエネルギー代謝過程、ストレス等を通じて発生することが知られている。 活性酸素は、生体内の殺菌作用に関与して、生体防御上、重要な役割を果たす反面、生体に対して好ましくない影響も及ぼす。例えば、皮膚のしわ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下、色素の沈着(しみ、そばかす等)といった皮膚の老化が、紫外線によって生じることは周知の通りであるが、この皮膚の老化に活性酸素が関与していると言われている。具体的には、生体が紫外線を浴びると、過酸化水素を分解する酵素である、皮膚中のカタラーゼが容易に失活し、また、紫外線による炎症組織中に浸潤してくる白血球から多量の過酸化水素が放出されるなどして、紫外線を浴びた皮膚中に過酸化水素が蓄積し、これが原因となって皮膚の老化が加速されると推察されている。 過酸化水素は、上記原因で発生するだけでなく、生体中においてSOD(スーパーオキサイドディスムターゼ)が、スーパーオキサイドアニオンラジカル(・O2-)を消去した結果としても発生する。この過酸化水素は、長寿命の活性酸素種であり、また、1価の銅イオンや2価の鉄イオンの触媒作用により、活性酸素の中で最も有害なヒドロキシルラジカルに変化することが知られている。ヒドロキシルラジカルは、皮膚細胞外マトリックス成分であるコラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸等の変性、分解、重合をもたらすことが明らかになっている。したがって、皮膚中に発生した過酸化水素を放置しておくと、ヒドロキシルラジカルの生成を招き、結果的に、皮膚の老化を助長する。また、過酸化水素は、皮膚の構成成分を作り出す真皮繊維芽細胞に対し、大きな障害を与えるほか、DNA損傷作用が強いことも確認されている。 また、活性酸素は、上記のように皮膚の老化を促進する以外にも、核酸、蛋白質、脂質等に損傷を与えて癌を誘発したり、白内障、動脈硬化、アルツハイマー病、喘息等の各種疾患の発症、あるいは悪化に関与することが明らかになってきている。 このように、生体内において必要以上に生じた活性酸素は、生体に様々な弊害をもたらすため、生体内の過剰な活性酸素を消去することは、活性酸素が関与する弊害を予防、あるいは改善する上で非常に重要である。 さらに、活性酸素は、生体に対してだけでなく、各種製品に対しても好ましくない影響を及ぼす。例えば、飲食品、化粧料、医薬品等に含まれる各種構成成分を酸化して、それらの品質劣化の促進、異味異臭の発生、変色・退色の発生等を引き起こす。 そこで、活性酸素による、こうした各種弊害を解消するため、従来、数多くの活性酸素消去剤が報告されている。また、最近では、安全性の点から、活性酸素消去作用を有する物質を、天然物から得ようとする研究が盛んに行われている(例えば、特許文献1〜3)。特開平2−264727号公報特開平3−221587号公報特開平4−202138号公報 しかしながら、天然物から得られた従来の活性酸素消去剤は、安全性の点では問題はないものの、活性酸素消去作用の点では、必ずしも十分に満足できるものではなかった。それに加え、原料が天然物であるがために、コストや量的な面から、原料の調達に一定の限界があった。 そこで、本発明は、これまで利用価値無しとされてきた農業廃棄物を原料とし、活性酸素に対する優れた消去作用を有し、かつ、安全性の高い活性酸素消去剤を提供することを課題とする。 本発明者は、上記課題を解決するために、多くの農業廃棄物の抽出物について鋭意検討した結果、ブナ科クリ属の落葉高木であるクリのうち、シバグリの突然変異種で、殻斗(イガ)のトゲが退化したトゲナシクリ(Castanea crenata Sieb.et Zucc.var.sakyacephala Makino)の殻斗からの水抽出物に、きわめて優れた活性酸素消去作用、特に過酸化水素に対して優れた消去作用があることを見出し、かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、トゲナシクリ(Castanea crenata Sieb.et Zucc. var. sakyacephala Makino)の殻斗からの水抽出物を有効成分として含有することを特徴とする活性酸素消去剤である。 本発明の活性酸素消去剤は、活性酸素の中でも、主としてスーパーオキサイドアニオン及び/又はヒドロキシルラジカルを消去する作用を持った従来知られている多くの活性酸素消去剤とは異なり、特に過酸化水素を消去する作用が非常に強いという特徴を有している。したがって、本発明の活性酸素消去剤は、特に過酸化水素が大きく関与している皮膚(毛髪を含む)の老化等を効果的に予防、改善することができる。 また、従来の活性酸素消去剤の中には、活性酸素と反応することにより酸化されて、結果的に、それ自身が生体に傷害を与える原因物質へと変換してしまうものがあるのに対し、本発明の活性酸素消去剤は、光の放出という形で活性酸素のエネルギーを消去するので、こうしたリスクが低く、生体への安全性という面でも、従来の同種同効品とは一線を画す有用性の高い活性酸素消去剤である。 このように、本発明の活性酸素消去剤は、活性酸素、特に過酸化水素に対する高い消去能を有するだけでなく、安全性の点でもきわめて優れているので、ヒト及びヒト以外の動物を対象とする化粧料、飲食品、医薬品に配合させて、各種疾患の予防、治療、あるいは、抗酸化剤として、それらに含まれる構成成分の劣化防止等を図るのに好適である。 さらに、本発明の活性酸素消去剤は、これまで利用価値無しとされてきた農業廃棄物であるトゲナシクリの殻斗を原料としているため、その廃棄物量の削減及び有効利用を図ることができ、産業上、きわめて有意義である。 本発明は、前記したように、トゲナシクリ(Castanea crenata Sieb.et Zucc.var.sakyacephala Makino)の殻斗からの水抽出物を有効成分として含有することを特徴とする活性酸素消去剤である。 本発明の有効成分であるトゲナシクリの殻斗からの水抽出物は、トゲナシクリの殻斗を抽出原料として、これを水で抽出して得られる抽出物を意味し、その抽出液、該抽出液の希釈液もしくは濃縮液、該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが、トゲナシクリの殻斗からの水抽出物に含まれる。 ブナ科クリ属の落葉高木であるクリ(栗)は、世界各地の温帯で栽培されており、クリの栽培品種は、早生品種から晩生品種まで合わせて、世界に約700種存在すると言われている。そのうちの1種であるトゲナシクリ(Castanea crenata Sieb.et Zucc.var.sakyacephala Makino)は、シバグリの突然変異種であり、殻斗のトゲが突然変異により退化した非常に珍しい品種であり、ごく一部の国内観光クリ園等で栽培されている。また、長野県豊科町においては、樹齢100年の古木が、町の天然記念物に指定されている。 抽出原料として用いるトゲナシクリの殻斗は、トゲナシクリを栽培している観光クリ園等由来の廃棄物として容易に入手可能である。また、トゲナシクリの自家栽培によっても十分入手可能である。 活性酸素消去作用を有するトゲナシクリの殻斗からの水抽出物は、植物の抽出に一般的に用いられる方法によって容易に得ることができる。すなわち、トゲナシクリの殻斗からの水抽出物は、抽出原料であるトゲナシクリの殻斗を乾燥した後、そのまま、又は粉砕し、抽出溶媒である水による抽出に供することにより得ることができる。トゲナシクリの殻斗の乾燥は、天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。 なお、トゲナシクリの殻斗からの水抽出物に含有される活性酸素消去作用を有する物質(群)の詳細は不明である。後述する実施例の結果から、トゲのある一般的なクリ(以下、「トゲアリクリ」と表記)の殻斗には含まれない、トゲナシクリの殻斗に特有の成分が、本発明の活性酸素消去作用に関与しているものと推測される。 上記抽出溶媒としては、上述したように、水を用いる。水は室温水(1〜30℃)を用いることが好ましい。 上記抽出溶媒として使用し得る水には、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらの水に各種処理を施したものが含まれる。該処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、滅菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。 トゲナシクリの殻斗の抽出処理は、特に限定されず、常法に従って行うことができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。 例えば、上記抽出溶媒を満たした容器に、抽出原料であるトゲナシクリの殻斗を投入し、ときどき撹拌しながら可溶性成分を溶出させる。この際、抽出条件は、適宜調整し得るが、抽出溶媒量は、通常、抽出原料の20〜50倍量(質量比)であり、抽出時間は、通常、室温水の場合は24時間程度である。 抽出処理により可溶性成分を溶出させた後、該処理液を濾過して抽出残渣を除くことによって、トゲナシクリの殻斗からの水抽出物を得ることができる。得られた抽出物は、該抽出物の希釈液もしくは濃縮液、又は該抽出液の乾燥物とすることができ、更には、これらの粗精製物又は精製物を得るために、これらに対し、常法に従って、希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。 得られた抽出物は、そのままでも本発明の活性酸素消去剤として使用することができるが、その濃縮液又は乾燥物とするのが、取扱いの点で好適である。上記抽出物の乾燥物を得るにあたっては、吸湿性を改善するために、デキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。 得られた抽出物は、必要ならば、その活性酸素消去作用の低下を招かない範囲で、活性酸素消去作用の活性向上、脱色、脱臭等を目的とする精製を行ってもよい。精製方法としては、具体的には、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等が挙げられる。 トゲナシクリの殻斗からの水抽出物は、常法に従って製剤化して使用することもできる。製剤化する場合、保存や取扱いを容易にするために、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアー、その他任意の助剤を添加することができる。トゲナシクリの殻斗からの水抽出物は、製剤化により、粉末状、顆粒状、錠剤状等、任意の剤形とすることができる。 本発明の活性酸素消去剤は、任意の化粧料に配合することができる。該化粧料の種類は特に限定されないが、その具体例としては、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ファンデーション、アイシャドー、マスカラ、マニキュア、リップスティック、入浴剤、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアーローション、ヘアスプレー、ヘアーコンディショナー、ヘアートリートメント、石鹸、ボディーシャンプー、シャンプー、リンス、香水等が挙げられる。該化粧料には、活性酸素消去作用の妨げにならない限り、化粧料の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他任意の構成成分を配合することができる。 上記化粧料における本発明の活性酸素消去剤の配合量は、化粧料の種類やトゲナシクリの殻斗からの水抽出物の活性酸素消去作用の活性等によって適宜調整することができるが、好適な配合率は、標準的なトゲナシクリの殻斗からの水抽出物に換算して、化粧料全体に対して約0.0001〜10質量%である。 上記化粧料において、本発明の活性酸素消去剤と共に、構成成分として利用可能なものとしては、各種の収斂剤、殺菌・抗菌剤、紫外線吸収剤、美白剤、保湿剤、細胞賦活剤、消炎・抗アレルギー剤、抗酸化・活性酸素消去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料等が挙げられる。なお、トゲナシクリの殻斗からの水抽出物と共に、これらの構成成分を併用した場合、トゲナシクリの殻斗からの水抽出物と併用された構成成分との間の相乗作用によって、通常期待される以上の優れた使用効果をもたらすことがある。 上記収斂剤としては、クエン酸又はその塩類、酒石酸又はその塩類、乳酸又はその塩類、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ジユエキス、エイジツエキス、ハマメリスエキス、ゲンノショウコエキス、茶カテキン類、プロアントシアニジン類、ガイヨウエキス、オドリコソウエキス、オトギリソウエキス、ダイオウエキス、ヤグルマソウエキス、スギナエキス、キズタエキス、キューカンバーエキス、マロニエエキス、サルビアエキス、メリッサエキス、タマリンドハスクエキス等が挙げられる。 上記殺菌・抗菌剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ジステアリルメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン液、塩酸クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、感光素101号、感光素201号、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ハロカルバン、レゾルシン、パラクロロフェノール、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、メントール、キトサン、キトサン分解物、ジユエキス、クジンエキス、エンメイソウエキス、ビワエキス、ウワウルシエキス、ホップエキス、ユッカエキス、アロエエキス、ケイ皮エキス、ガジュツエキス、油溶性甘草エキス(甘草疎水性フラボノイド、グラブリジン、グラブレン、リコカルコンA)等が挙げられる。 上記紫外線吸収剤としては、β−イソプロピルフラノン誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、オキシベンゾン、オキシベンゼンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、メトキシケイ皮酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチル安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、酸化チタン、β−カロチン、γ−オリザノール、コメヌカエキス、アロエエキス、カミツレエキス、コゴメグサエキス、セイヨウサンザシエキス、ヘンナエキス、テウチグルミエキス、マロニエエキス、イチョウ葉エキス、油溶性甘草エキス等が挙げられる。 上記美白剤としては、アスコルビン酸及びその誘導体、イオウ、胎盤加水分解物、エラグ酸及びその誘導体、コウジ酸及びその誘導体、グルコサミン及びその誘導体、アゼライン酸及びその誘導体、アルブチン及びその誘導体、ヒドロキシケイ皮酸及びその誘導体、グルタチオン、アルニカエキス、オウゴンエキス、センキュウエキス、ソウハクヒエキス、サイコエキス、ボウフウエキス、ハマボウフウエキス、マンネンタケ菌糸体培養物及びその抽出物、ギムネマエキス、シナノキエキス、モモ葉エキス、エイジツエキス、クジンエキス、ジユエキス、トウキエキス、ヨクイニンエキス、カキ葉エキス、ダイオウエキス、ボタンピエキス、ハマメリスエキス、マロニエエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、油溶性甘草エキス(甘草疎水性フラボン、グラブリジン、グラブレン、リコカルコンA)等が挙げられる。 上記保湿剤としては、セリン、グリシン、スレオニン、アラニン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ビトロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリー、コンドロイチン硫酸ヘパリン、グリセロリン酸脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、リノール酸又はそのエステル類、エイコサペンタエン酸又はそのエステル類、ペクチン、アルゲコロイド、ビフィズス菌発酵物、乳酸発酵物、酵母抽出物、レイシ菌糸体培養物又はその抽出物、小麦胚芽油、アボガド油、米胚芽油、ホホバ油、ダイズリン脂質、γ−オリザノール、ビロウドアオイエキス、ヨクイニンエキス、ジオウエキス、タイソウエキス、カイソウエキス、キダチアロエエキス、ゴボウエキス、マロニエエキス、マンネンロウエキス、アルニカエキス、小麦フスマ、コメヌカエキス等が挙げられる。 上記細胞賦活剤としては、胎盤抽出物、リボフラビン又はその誘導体、ピリドキシン又はその誘導体、ニコチン酸又はその誘導体、パントテン酸又はその誘導体、α−トコフェロール又はその誘導体、アルニカエキス、ニンジンエキス、オタネニンジンエキス、エゾウコギエキス、ヘチマエキス(サポニン)、シコンエキス、シラカンバエキス、オウバクエキス、ボタンピエキス、シャクヤクエキス、ムクロジエキス、ベニバナエキス、アシタバエキス、ビワ葉エキス、ヒキオコシエキス、ユキノシタエキス、黄杞エキス、サルビアエキス、ニンニクエキス、マンネンロウエキス等が挙げられる。 上記消炎・抗アレルギー剤としては、アズレン、アラントイン、アミノカプロン酸、インドメタシン、塩化リゾチーム、イプシロンアミノカプロン酸、オキシベンゾン、グリチルリチン酸又はその誘導体、グリチルレチン酸又はその誘導体、感光素301号、感光素401号、塩酸ジフェンヒドラミン、トラネキサム酸又はその誘導体、アデノシンリン酸、エストラジオール、エストロン、エチニルエストラジオール、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プロゲステロン、コルチコステロン、アルニカエキス、インチンコウエキス、サンシシエキス、ジュウヤクエキス、甘草エキス、トウキエキス、ヨモギエキス、ワレモコウエキス、リンドウエキス、サイコエキス、センキュウエキス、ボウフウエキス、セイヨウノコギリソウエキス、オウレンエキス、シソエキス、マロニエエキス、オウゴンエキス等が挙げられる。 上記抗酸化・活性酸素消去剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没子食酸プロピル、バイカリン、バイカレイン、スーパーオキサイドディスムターゼ、カタラーゼ、メリッサエキス、エイジツエキス、ビワ葉エキス、ホップエキス、シャクヤクエキス、セージエキス、キナエキス、カミツレエキス、ユーカリエキス、シソエキス、イチョウ葉エキス、タイムエキス、カルダモンエキス、キャラウェイエキス、ナツメグエキス、メースエキス、ローレルエキス、クローブエキス、ターメリックエキス、ヤナギタデエキス等が挙げられる。 上記油脂類としては、大豆油、アマニ油、キリ油、ゴマ油、ヌカ油、綿実油、ナタネ油、サフラワー油、トウモロコシ油、オリーブ油、ツバキ油、アーモンド油、ヒマシ油、落花生油、カカオ油、モクロウ、ヤシ油、パーム核油、牛脂、ミンク油、卵黄油、ホホバ油、月見草油、馬油等が挙げられる。 上記ロウ類としては、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、蜜ロウ、サラシ蜜ロウ、鯨ロウ、セラックス、ラノリン類等が挙げられる。 上記炭化水素類としては、流動パラフィン、ワセリン、マイクロスリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、ポリエチレン末等が挙げられる。 上記脂肪酸類としては、ステアリン酸、リノール酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヘベニン酸、ラノリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。 上記アルコール類としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール又はその重合体、ブドウ糖、白糖、コレステロール、フィトステロール、セトステアリルアルコール等が挙げられる。 上記エステル類としては、オレイン酸デシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジオレイン酸プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸グリセリン、トリミリスチン酸グリセリン、酢酸ラノリン、乳酸セチル等が挙げられる。 上記界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。 上記香料としては、メントール、カルボン、オイゲノール、アネトール、ハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油、アニス油、その他各種動植物からのオイル状香料等が挙げられる。 本発明の活性酸素消去剤は、任意の飲食品(栄養補助食品を含む)に配合することもできる。その場合の配合量は、添加対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して、成人1日当たりのトゲナシクリの殻斗からの水抽出物の摂取量が約1〜1000mgになるように調整するのが適当である。 本発明の活性酸素消去剤を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子等のビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産、畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物等が挙げられる。 さらに、本発明の活性酸素消去剤は、任意の医薬品(各種サプリメント、健康食品、医薬部外品も含む)に配合することもできる。その場合の配合量は、特に限定はなく、剤形、患者の年齢、体重、投与経路等を考慮して、適宜決定すればよい。上記医薬品の種類は限定されず、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、注射剤、軟膏剤、液剤、歯磨き剤、口臭予防剤、育毛剤、毛染剤等、広く任意に選択できる。なお、本発明の活性酸素消去剤は、ヒトだけでなく、ヒト以外の動物に対しても適用することができる。 以下に製造例、試験例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制約されるものではない。(製造例1) トゲナシクリの殻斗の粗砕物2gを抽出溶媒(85〜90℃の熱水)100gに投入し、ときおり撹拌しながら1時間抽出を行った。その後、該抽出処理物を濾過し、濾液を凍結乾燥させ、トゲナシクリ殻斗の抽出物を得た。 該抽出物の収率((凍結乾燥物質量/粗砕物質量)×100、製造例2も同様)は、29.7%であった。以下に記載する各試験には、得られたトゲナシクリ殻斗の抽出物を精製水にて終濃度0.1%(w/w)となるように溶解した溶液を用いた。(製造例2) トゲナシクリの殻斗の粗砕物2gを抽出溶媒(約20℃の室温水)80gに投入し、ときおり撹拌しながら24時間抽出を行った。その後、該抽出処理物を濾過し、濾液を凍結乾燥させ、トゲナシクリ殻斗の抽出物を得た。 該抽出物の収率は、19.9%であった。以下に記載する各試験には、得られたトゲナシクリ殻斗の抽出物を精製水にて終濃度0.1%(w/w)となるように溶解した溶液を用いた。(製造例3) トゲナシクリの殻斗の粗砕物2gを抽出溶媒(50%(w/w)エタノール)60gに投入し、ときおり撹拌しながら3日間、室温にて抽出した。その後、該抽出処理物を濾過し、濾液を40℃で減圧乾固させ、トゲナシクリ殻斗の抽出物を得た。 該抽出物の収率((減圧乾固物質量/粗砕物質量)×100、製造例4も同様)は、30.6%であった。以下に記載する各試験には、得られたトゲナシクリ殻斗の抽出物を50%(w/w)エタノールにて終濃度0.1%(w/w)となるように溶解した溶液を用いた。(製造例4) トゲナシクリの殻斗の粗砕物2gを抽出溶媒(99.5%エタノール)60gに投入し、ときおり撹拌しながら3日間、室温にて抽出した。その後、該抽出処理物を濾過し、濾液を40℃で減圧乾固させ、トゲナシクリ殻斗の抽出物を得た。 該抽出物の収率は、21.0%であった。以下に記載する各試験には、得られたトゲナシクリ殻斗の抽出物を99.5%エタノールにて終濃度0.1%(w/w)となるように溶解した溶液を用いた。(試験例1) 製造例1〜4で得た各トゲナシクリ殻斗の抽出物の過酸化水素消去作用の評価は、活性酸素消去物質とレセプター物質(メディエーターとも称される)と活性酸素の3者を反応させた場合、活性酸素消去物質の作用強度に応じて活性酸素のエネルギーが可視光エネルギーに変換・放出され、活性酸素が消去される現象を応用して実施した(Phytochemistry, Vol.39, No.1, 225−229, 1995, J Biolumin. and Chemilumin., Vol.11, No.3, 131−136, 1996, ジャパンフードサイエンス, Vol.38, No.8, 18−21, 1999参照)。 なお、レセプター物質としては、炭酸塩、とりわけ炭酸水素カリウムが優れていることが既に知られているが(ジャパンフードサイエンス, Vol 38, No.12, 13−20, 1999参照)、炭酸イオンは生体に広く分布している分子である。また、皮膚をはじめ、生体の各器官それ自体もまたレセプター物質としての機能を有していることが明らかになっている(ジャパンフードサイエンス、Vol 39, No.3, 17−24, No.4, 17−24, 2000参照)。したがって、強い活性酸素消去作用をもつ物質であれば、生体に適用された場合、これらのレセプター物質と協奏し、体内に発生した活性酸素種を効果的に消去することができるものと考えられている。 過酸化水素消去作用の評価は、具体的には、試験管に3%(w/w)過酸化水素水溶液0.2ml、製造例1〜4で得た各トゲナシクリ殻斗の抽出物溶液0.5ml、そして、2mol炭酸水素カリウム水溶液0.3mlを順次分注し、即座にルミネッセンサーPSN AB2200(アトー社製、商品名)を用いて、10秒刻みで10分間の発光量(光子の総数)を経時測定することにより行った。この値が高いほど、過酸化水素のエネルギーを光エネルギーに変換する作用、すなわち、過酸化水素消去作用が強いことを示す。 なお、各抽出物溶液とも3回測定を行い、その測定値を10分間の総発光量としてまとめ、それらの平均値及び標準偏差で結果を表した。その測定結果を表1に示す。(評価) 上記の結果から明らかなように、トゲナシクリの殻斗においては、室温水による抽出物が最も高い値を示し、4種類の抽出物の中では、最強の過酸化水素消去作用を有していることが確認された。(試験例2) さらに、過酸化水素消去作用の強弱比較のために、トゲアリクリの殻斗についても、製造例1〜4と同様に、殻斗抽出物を調製し、該抽出物の発光量を試験例1と同様にして3回測定を行い、その測定値を10分間の総発光量としてまとめ、それらの平均値及び標準偏差で結果を表した。その測定結果を表2に示す。(評価) 上記の結果から明らかなように、トゲアリクリの殻斗においては、50%(w/w)エタノールによる抽出物が最も高い値を示し、4種類の抽出物の中では、最強の過酸化水素消去作用を有していることが確認された。(試験例5) さらに、比較対照のために、過酸化水素消去作用を持つとされている市販の植物抽出物を0.1%(w/w)に濃度調整した上で、試験例1と同様にして、各抽出物溶液の発光量を測定した。測定に供した市販の植物抽出物は、ハマメリスエキス(ハマメリス抽出液BG−J、丸善製薬社製、商品名)、緑茶エキスA(緑茶抽出液、丸善製薬社製、商品名)、ボタンピエキス(ボタンピ抽出液、丸善製薬社製、商品名)、ローズマリーエキス(ローズマリー抽出液BG、丸善製薬社製、商品名)、オウゴンエキス(オウゴン抽出液BG、丸善製薬社製、商品名)、緑茶エキスB(緑茶リキッド、一丸ファルコス社製、商品名)、オリーブ果実エキス(マノリバ、セピック社(仏)製、商品名)である。なお、各エキス溶液とも、試験例1と同様にして3回測定した。その測定結果を表3に示す。(評価) 上記の結果から明らかなように、ハマメリスエキスが、最も高い値を示し、市販の植物抽出物の中では、非常に強い過酸化水素消去作用を有していることが明らかになった。(試験例4) 試験例1〜3において、それぞれ最も強い過酸化水素消去作用が認められた、トゲナシクリ殻斗の室温水抽出物、トゲアリクリ殻斗の50%(w/w)エタノール抽出物、市販ハマメリスエキスの総発光量の測定値を比較した。その結果を表4に示す。(評価) 上記の結果から明らかなように、トゲナシクリ殻斗の室温水抽出物は、トゲアリクリ殻斗の50%(w/w)エタノール抽出物に比べて、明らかに高い総発光量を示した。したがって、トゲナシクリの殻斗には、トゲアリクリの殻斗には無い何らかの特有の成分が含まれ、これが優れた過酸化水素消去作用に関与しているものと推測される。また、トゲナシクリ殻斗の室温水抽出物は、市販ハマメリスエキスに対しても、同等以上の総発光量を示したことから、優れた過酸化水素消去作用を有する既存の植物抽出物に勝るとも劣らぬ過酸化水素消去作用を有していることが確認された。 このように、トゲナシクリの殻斗からの水抽出物は、これまで何ら利用価値が無いとみなされてきた農業廃棄物であるトゲナシクリの殻斗を原料として得られる非常に優れた過酸化水素消去剤であることが明らかとなった。 トゲナシクリ(Castanea crenata Sieb.et Zucc.var.sakyacephala Makino)の殻斗からの水抽出物を有効成分として含有することを特徴とする活性酸素消去剤。 活性酸素が過酸化水素である請求項1記載の活性酸素消去剤。 請求項1又は2記載の活性酸素消去剤を配合してなる化粧料。 請求項1又は2記載の活性酸素消去剤を配合してなる飲食品。 請求項1又は2記載の活性酸素消去剤を配合してなる医薬品。