タイトル: | 特許公報(B2)_シリコーンの分析方法 |
出願番号: | 2004167923 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | G01N 27/62,G01N 30/06,G01N 30/88,G01N 30/26,G01N 30/60,G01N 30/72 |
内田 靖隆 勝野 保夫 金子 剛 JP 4335749 特許公報(B2) 20090703 2004167923 20040607 シリコーンの分析方法 電気化学工業株式会社 000003296 内田 靖隆 勝野 保夫 金子 剛 20090930 G01N 27/62 20060101AFI20090903BHJP G01N 30/06 20060101ALI20090903BHJP G01N 30/88 20060101ALI20090903BHJP G01N 30/26 20060101ALI20090903BHJP G01N 30/60 20060101ALI20090903BHJP G01N 30/72 20060101ALI20090903BHJP JPG01N27/62 CG01N27/62 VG01N30/06 GG01N30/88 PG01N30/26 AG01N30/60 KG01N30/72 A G01N 27/62 G01N 30/06 G01N 30/72 G01N 30/88 CAplus(STN) JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 伊藤 邦夫 編集,シリコーンハンドブック,日刊工業新聞社,1999年 8月31日,P.766-773 John C.Kleinert, and Charles J.Weschler,Pyrolysis Gas Chromatographic-Mass Spectrometric Identification of Polydimethylsiloxanes,ANALYTICAL CHEMISTRY,1980年 7月,Vol.52, No.8,P.1245-1248 Sachio Yasufuku,A Flash Point Behavior of Dimethyl Silicone Liquids,IEEE Transactions of Electrical Insulation,1982年 8月,Vol.17, No.4,P.338-344 1 2005345401 20051215 6 20070518 河野 隆一朗 本発明は、熱分解ガスクロマトグラフィー(GC)及び質量分析法(MS)を適用したシリコーンの分析方法に関する。 種々の薬品、特に液状の薬品において、その包装容器のシール剤であるシリコーンが混入してしまい品質低下を生じることが知られているが、特に前記薬品が医薬用途に適用される場合には大きな問題となる。これらの問題発生を防止するために、種々の薬品中での微量のシリコーンを定量的に分析することが産業上強く要望されている。 このため、従来から、熱分解ガスクロマトグラフィー(GC)と質量分析法(MS)とを組み合わせたシリコーンの定量分析方法が検討されてきた。この方法では、試料を熱分解してシリコーンの熱分解生成物であるヘキサメチルシクロトリシロキサン及びオクタメチルシクロテトラシロキサンを発生させ、これらをGC法で分離し、次いでMS法で定量する分析方法で、所定濃度のシリコーンを有機溶媒に溶解した試料を用いて予め作成された検量線と対比することで試料中のシリコーンを定量する分析方法である。伊藤邦夫編、シリコーンハンドブック、p.768、日刊工業新聞社 1990年 しかしながら、従来の方法においては、ばらつきが大きく精度の高い検量線を作成することができず、実質的に有効な定量分析を行うことが困難であるという課題があった。これは、本発明者の検討結果によれば、現象的にシリコーンの熱分解現象の再現性が乏しく、単に熱分解条件を変更することのみでは改良されえないものであった。 本発明者は、上記従来技術の状況に鑑み、鋭意検討したところ、シリコーンの熱分解をヒアルロン酸の存在下で行うと、シリコーンの熱分解が極めて再現性が高く行われること、その結果として、精度の極めて高い検量線を作成することができ、試料中のシリコーンを定量分析できることを見出し本発明に至ったものである。 即ち、本発明は、試料を熱分解し、得られる熱分解生成物をガスクロマト法により分離し、次いで質量分析法により該試料中のシリコーン量を分析する方法であって、前記熱分解をヒアルロン酸の存在下に行うことを特徴とするシリコーンの分析方法である。 本発明は、試料を熱分解し、得られる熱分解生成物をガスクロマト法により分離し、次いで質量分析法により当該試料中のシリコーン量を分析する際に、熱分解をヒアルロン酸の存在下で行うことにより、極めて精度が高く、相関係数の高い検量線を作成することができるので、従来よりも正確なシリコーンの定量分析が可能となる。 本発明においては、ヒアルロン酸の存在下でシリコーンを熱分解するので、安定してシリコーンの熱分解生成物が得られ、高精度の検量線が容易に得ることができる。 本発明に用いられるヒアルロン酸の分子量については、特に制限されるものではないが、好ましくは150万〜260万である。 また、本発明に用いられるヒアルロン酸の量については、好ましくは試料2〜3mgに対して、ヒアルロン酸50〜400μg含有させる。 以下、実施例をもって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。実施例1本発明を実施するに先立ち、使用するヒアルロン酸中にシリコーンが含まれていないことを確認した。添加するヒアルロン酸として、分子量150万〜260万程度のヒアルロン酸粉末を準備した。前記粉末50〜400μgを熱分解容器に入れ、後述の熱分解装置にセットした。 熱分解炉は、フロンティア・ラボ社製のダブルショットパイロライザイー(機種名:Py−2020D)を用いた。熱分解炉の温度(熱分解温度)は700℃として、熱分解生成物(ガス)を発生させた。 熱分解生成物の分離に用いたガスクロマトグラフにはAgilent社製の6890を用いた。キャリアーガスとして、ヘリウムを使用し、分離カラムにはJ&W社製のDB1−HT(30m)を使用した。カラム温度は常に100℃とし、また注入口温度は250℃とした。 質量分析計は、日本電子社製の二重収束型質量分析計であるDX−303を使用した。測定方法として特定の質量数(m/z)だけを観測する選択イオンモニタリング(SIM)法を用いた。観測する質量数は207及び281である。これらはそれぞれ、ヘキサメチルシクロトリシロキサン及びオクタメチルシクロテトラシロキサンに由来する質量数である。 質量数207及び281のクロマトグラム上にヘキサメチルシクロトリシロキサン及びオクタメチルシクロテトラシロキサンが現れないことを確認した。尚、シリコーンが存在する場合、その熱分解生成物であるヘキサメチルシクロトリシロキサンは1分40秒付近に、オクタメチルシクロテトラシロキサンは2分10秒付近に観測されるが、本実験においては前記時間経過してもピークは認められなかった。 次に、シリコーン標準液を作製し、検量線を作成した。 テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした50ppmシリコーン標準液を作製した。この標準溶液を熱分解容器に添加し、数分放置しTHFを揮発させた後、これに前記シリコーンが含まれていないヒアルロン酸粉末を100μg添加した。標準溶液の熱分解容器への添加量は1μl、2μl及び4μlとした。各添加量を変えた標準溶液について3回測定を行い、得られるクロマトグラムよりそのピーク面積を算出し、検量線を作成した。ヒアルロン酸粉末を添加することで、ピーク面積のばらつきは抑えることができ、かつ相関係数の高い検量線を作成できた。 検量線はヘキサメチルシクロトリシロキサン及びオクタメチルシクロテトラシロキサン各々について作成した(図1、図2参照)。各添加量を変えた標準溶液を測定したときのクロマトグラムより得られるピーク面積の変動係数は3〜25%程度であった。 最後に、実試料を用いて測定を行った。 実試料としては、表面にシリコーンが0.2mg塗布された注射器用として用いられるゴム栓を用いた。このゴム栓をヘキサンで抽出し、得られた抽出液を濃縮し、この液を10μl熱分解容器に添加後、測定を行った。得られたクロマトグラムよりピーク面積を算出し、作成した検量線を用いて定量を行い、測定を5回行った。その結果、シリコーン量は、0.19mg、0.20mg、0.13mg、0.12mg及び0.17mgであり、5回の平均値0.16mgであった。 尚、定量は2つの検量線にて、各々定量しその平均値を定量値とした。比較例1 実施例1において、ヒアルロン酸を添加しないこと以外は、同じ操作を行った。検量線はヘキサメチルシクロトリシロキサン及びオクタメチルシクロテトラシロキサン各々について作成した(図3、図4参照)。その結果、各濃度におけるピーク面積の変動係数は50〜150%であり、ヒアルロン酸存在下における変動係数より高く、精度が悪いことが確認された。 本発明は、微量のシリコーンを高い精度で分析することができるので、医薬品等の薬品中の微量のシリコーン分析が可能であり、医薬品等の品質管理に適用できる。ヒアルロン酸を添加した時のヘキサメチルシクロトリシロキサンの検量線である(実施例1)。ヒアルロン酸を添加した時のヘキサメチルシクロテトラシロキサンの検量線である(実施例1)。ヒアルロン酸を添加しなかった時のヘキサメチルシクロトリシロキサンの検量線である(比較例1)。ヒアルロン酸を添加しなかった時のヘキサメチルシクロテトラシロキサンの検量線である(比較例1)。 試料を熱分解し、得られる熱分解生成物をガスクロマト法により分離し、次いで質量分析法により該試料中のシリコーン量を分析する方法であって、前記熱分解をヒアルロン酸の存在下に行うことを特徴とするシリコーンの分析方法。