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タイトル:公開特許公報(A)_中空糸膜モジュールの安全性試験方法
出願番号:2004164472
年次:2005
IPC分類:7,B01D65/10,B01D63/02,B01D65/02,C02F1/44,G01N3/10


特許情報キャッシュ

松本 吉正 池永 茂之 JP 2005013992 公開特許公報(A) 20050120 2004164472 20040602 中空糸膜モジュールの安全性試験方法 ダイセン・メンブレン・システムズ株式会社 594152620 松本 吉正 池永 茂之 JP 2003157212 20030602 7B01D65/10B01D63/02B01D65/02C02F1/44G01N3/10 JPB01D65/10B01D63/02B01D65/02C02F1/44 HG01N3/10 7 4 OL 12 2G061 4D006 2G061AA05 2G061AB01 2G061BA03 2G061CB04 2G061DA01 2G061EA10 2G061EC04 4D006GA06 4D006GA07 4D006HA01 4D006JA55B 4D006KC03 4D006KC13 4D006KC16 4D006KD24 4D006LA03 4D006MA01 4D006MC18 4D006MC39 4D006MC45 4D006MC62 4D006PA01 4D006PB02 本発明は、中空糸膜ろ過装置において、中空糸膜モジュールの安全性を試験する方法に関するものである。 従来の凝集沈殿池および砂ろ過設備の代替設備として、浄水用の中空糸膜ろ過装置は以下のような利点から脚光を浴びてきている。(1)施設がコンパクトで、建設コストが安価である。(2)自動化がしやすく、運転及び管理が容易である。(3)凝集剤等の薬品の添加が少なくなり、水質が向上する。 中空糸膜ろ過装置は中空糸膜モジュールにより原水をろ過するものであり、原理的には、原水を多数の中空糸繊維の内部から微孔壁を経て中空糸内外部へ流動させ、原水から濁質や固形物を除くものであり、さらに、膜の内側に付着した物質は水逆圧洗浄や空気逆圧洗浄により洗浄される構造になっている。 中空糸膜モジュールは、実用的に数千本から数万本の中空糸繊維を束ねてケースハウジングに納め、所謂モジュールを構成している。 中空糸膜モジュールを構成している中空糸1本でも破断や損傷を発生すると処理水質が変化してしまい、中空糸膜の損傷の有無を検知する安全性試験項目は、要求水質を得るために大変重要な項目である。そのため、定期的にその安全性を確認することが必要である。 安全性試験方法として従来、レーザー式濁度計での監視が行われているが、この方法は非常に水質に敏感な反応を示し、誤検知や維持管理が煩雑となる問題点がある。 また、電気伝導度の変化から膜損傷を検知する方法があるが、この方法は検知液の注入が必要不可欠であり、検知後の検知液の処理に手間を要す問題点がある。 また、乾燥状態で中空糸膜外面に加圧ガスを供給し、リーク個所より加圧ガスを漏洩させ、漏洩ガスの流出を光学的に検地する方法(特公昭56−39921)があるが、この方法もモジュールシェルの外装が不透明な場合には適用できず、乾燥状態で屈折率が空気と異なるガスの供給が必要となる等煩雑である。 さらに、最近では、中空糸膜の外側に水を張り、内側から加圧空気を導入して、一定の圧力注入時間、内側を加圧状態に保持して中空糸膜の圧力保持率の経時変化を求め、正常の場合と比較して膜の損傷を検知する方法のプレッシャーホールド方法(特開2000−342936)が用いられている。しかしながらこの方法も、中空糸膜モジュールをろ過装置に装着したまま行えると言う便利さはあるが、誤差を生じやすいと言う欠点がある。 さらに、中空糸内部に加圧空気を供給し、外側に出てくる空気量を検出する手段(供給側の空気流量を検出、中空糸外側配管内の空気により置換されて出てくる液体の流量を検出、中空糸外側の液面の降下の速さを検出、泡を検出)を設ける方法(特開平1−307409)、原液側に気体供給手段と気体の圧力/流量検出手段を設けた装置。圧力/流量の変化で欠陥を検出する方法(特開昭60−094105号)、また逆洗水が減ってくると逆洗水に空気が入ってくる様にしておき、欠陥がないと中空糸内部に空気が溜まり逆洗が止まるが、もし欠陥があると逆洗が続き、逆洗水タンクの水位が下がり、検出される装置(実開平1−037323号)が知られているが、いずれも詳細な条件は開示されておらず、正確な測定には不十分であった。特公昭56−039921号公報特開2000−342936号公報特開平1−307409号公報特開昭60−094105号公報実開平1−037323号公報 本発明は前記した問題点の解決するものであり、定期的に簡易な手段による検査により、中空糸膜の安全性を迅速に試験検知する方法を提供する。 請求項1の発明は、中空糸膜モジュールの安全性試験方法であって、中空糸膜の二次側を満水状態とし、一次側より一定の気体を圧送し、一定の圧力保持後に中空糸膜の一次側から二次側へ押し出される水量を測定して、気体のディフュージョン量を知り、正常な場合の値と比較する事により、中空糸膜の欠陥の有無を簡便に検知する事を特徴とする方法であり、水量を測定するサンプリング位置が縦方向に設置された膜モジュールの縦方向中心よりも下方である中空糸膜モジュールの安全性試験方法である。 これは、気体が膜の一次側から二次側に透過する量を二次側の液体に置換して測定する方法であり、より正確な測定となる。また、サンプリング位置(二次側に押出されてくる水の量を測定する位置)を縦方向に設置された膜モジュールの縦方向中心よりも下方にする事により、エアー透過量の多い場合も正確な測定が出来る特徴がある。すなわち、サンプリング位置が膜モジュールの縦方向中心よりも上方にあると、二次側に出てくる気体の量が多い場合その気体が縦方向に設置された膜モジュールの上方に溜まるため、サンプリング位置付近にまで気体が溜まることがある。その場合、サンプリング位置には、水のみではなく、水と気体の両方、あるいは気体のみが押出されてくることになり、水の量を正確に測定することができなくなり、その結果、試験が正確でなくなってしまう。 請求項2の発明は、中空糸膜の二次側を満水状態とし、一次側より一定の気体を圧送し、一定の圧力保持後に中空糸膜の一次側から二次側へ押し出される水量を測定する中空糸膜モジュールの安全性試験方法であって、加圧気体の圧力保持時間及びディフュージョン量測定時間を、一次側から圧送する気体の圧力値が一定になった後、2分〜11分間に設定する方法である。2〜10分がより好ましく、9〜10分がさらに好ましい。 一次側より気体による加圧をする場合、加圧開始直後はまだ一次側に水が残っており加圧によりその水が二次側に押出され、その水の量もサンプリング位置で測定することになるので、正確な値が得られない。そこで、一次側での圧力値が一定になった後(つまり一次側に残っていた水がほぼすべてなくなった後)に、水量の測定を開始することにより、当初一次側に残存している水の影響をなくすことができる。圧力が一定になった後に測定するので、短時間での検査が可能となる。 請求項3の発明は、中空糸膜の二次側を満水状態とし、一次側より一定の気体を圧送し、一定の圧力保持後に中空糸膜の一次側から二次側へ押し出される水量を測定する中空糸膜モジュールの安全性試験方法であって、安全性試験工程を、ろ過運転後の逆圧洗浄工程終了後に行なう方法である。 水量の測定を、ろ過運転終了後、逆圧洗浄を行なわずに実施すると、ろ過運転時に一次側にある汚泥が、気体による加圧で中空糸に圧着したり、中空糸が汚泥で閉塞されたりするため、膜に欠陥があっても、正確な試験ができなくなる。試験を、逆洗工程後に実施することで中空糸への汚泥の圧着や汚泥閉塞を防止し、正確な測定が可能となり、性能維持ができるようになる。 請求項4の発明は、中空糸膜の二次側を満水状態とし、一次側より一定の気体を圧送し、一定の圧力保持後に中空糸膜の一次側から二次側押し出される水量を測定する中空糸膜モジュールの安全性試験方法であって、加圧気体の圧力を0.05MPa〜0.3MPaに設定する方法であり、より好ましくは0.1〜0.3MPaである。 0.05MPaより低いと加圧が充分ではなく、二次側に出てくる水の量が少なくなり正確な測定値が得られなくなる。また、0.3MPaより高いと膜モジュールや中空糸膜にかかる圧力が高すぎることになり、加圧により膜やモジュールが破損する可能性がある。本範囲に設定することで安定した値を得られる。 請求項5の発明は、中空糸膜モジュールを現地の膜ろ過装置に装着したまま行える方法であり、取外しや持ち帰り検査の必要がなく、簡便性において利点が大きい。 請求項6の発明は、加圧空気による圧力上昇時間を5秒〜30秒に設定する方法で、この昇圧速度により、安全性の確保や汚泥の膜面への付着による目詰まりを軽減している。 請求項7の発明は、中空糸二次側の水量を計測するサンプリング位置に設置した配管の外径を2mm〜10mmに設定する方法であり、4〜10mmがより好ましい。 配管の径が細すぎると、抵抗が大きくなって水が出にくくなり、配管の径が太すぎると系外の空気が配管内に逆流し測定が不可能になることがある。上記の範囲に設定する事で正確な測定値が得られる。 さらにこのサンプリング位置における配管の径については、試験の対象となる膜モジュールの大きさ、特に膜面積との関係において決定することもできる。膜面積が大きい場合、二次側に出てくる水の量も多くなるので配管の径は、水に対する抵抗が低くなるよう大きくすることができ、また、膜面積が小さい場合、二次側に出てくる水の量は少なくなるので配管の径は、小さくし、外気の逆流が起こらないようにすることが好ましい。 また、上記の試験方法においては、中空糸膜の一次側への加圧を行なう際、縦方向に設置された膜モジュール内の中空糸膜の上側から下方に向かって気体による加圧を行なうことが好ましい。上側から加圧することで膜の一次側にある水に対して均等に加圧でき、正確な測定が可能となる。下側から加圧すると、加圧に用いる気体が膜内を下方から上方へ移動したり循環したりするため、測定が不正確となる。 本発明は、以上のように、従来の様々な検知方法と比較して、より簡便な手段により、中空糸膜の膜欠陥をより迅速的確に試験・検知することが出来る方法である。 以下に本発明の実施の形態を図によって説明する。 図1は本発明の一実施の形態を示す図である。本発明が対象とする中空糸膜モジュール10には原水タンク11からポンプ7により圧送された原水が下部から供給され、そこで膜モジュールによって膜分離される。膜ろ過水は中空糸膜モジュール10の上部より流出して処理水として飲料用に使用される。中空糸膜モジュール10には、定期的に逆洗浄するために、逆洗タンクが接続され、モジュール膜の内壁に付着した物質を逆洗浄する。 本発明による安全性試験方法は、上記した中空糸膜モジュール装置フローに配置されたバルブ4のところで、エアー押し出しされた水量を測定し正常時と比較することにより、損傷の程度が検知される。 圧力注入手段としては、加圧エアーバルブ3を中空糸膜装置10の頂部側に接続して、頂部から膜の内側に加圧空気を送入する。このとき、圧力上昇時間は5秒〜30秒にすることが好ましい。これ以下の時間で急激に圧力を上昇させると、膜へのダメージが心配され、逆に膜欠陥を発生させる原因となってしまう場合がある。 圧力保持手段には、中空糸膜モジュール装置10の上流側の原水供給系にバルブMV−1、及びMV−3を、ろ過水排出系にMV−5を、中空糸膜装置の上部に設けた循環水系にMV−2およびMV−4を設け、それらのバルブ開閉によって所定の時間を圧力保持できるようにしている。本発明の方法によれば、加圧空気の保持時間は2分〜10分が好ましい。これ以下の時間では、検定水量が少なすぎてばらつきが多く安定せず、またこれ以上の時間をかけることは無駄である。本発明の方法で用いる設定圧力は0.1MPa〜0.3MPaに限定することが好ましく、これ以下の圧力では検定水量が少なすぎて誤差を生じやすくなり、これ以上の圧力では、逆にモジュールに余分な負荷をかける事になり、比較検定することが難しくなる。また、本方法は、ろ過運転の逆洗浄工程終了直後から5分以内の間に行なうことが好ましい。上記以外の場合、ろ過運転での汚泥等がモジュール内に蓄積されており、膜欠陥の検知がしにくくなる。また、押し出された水の量を計測する位置での配管の直径は、4mm〜10mmであることが好ましい。太いと測定誤差が大きくなり、細いと水が出にくくなる。 膜損傷検知のための制御手段は、中空糸膜装置10のろ過処理運転による制御に組み入れられている。ここでは、圧力計12を設置し、エアー加圧系3からの空気の圧送、上記バルブによる圧力保持制御、一定の圧力保持時間でのバルブ4において検出される排出水量を求めて、正常時の検出量と比較し、警報、さらには、表示等の処置を行う。 また、図2から図4に本発明の他の一実施例の形態である実液運転時のフローを示す。まず、図2に示す原水のろ過運転工程を説明する。原水タンクに溜められた原水を原水ポンプにより膜モジュール一次側へ圧送する。この時バルブV1,V2,V3,V6は開であり、原水ポンプにて圧送された原水は、V1を通り膜モジュール下部から膜モジュールに入り、濃縮液はV2,V6により原水ポンプ入口に循環される。また、膜ジュールでろ過された処理液(二次側)は、V3を通り透過水タンクに溜められる。 次に図3に示す透過水による逆圧洗浄工程を説明する。ろ過運転停止後、透過水タンクに貯蔵された処理水が逆洗ポンプにて膜モジュールの透過ノズル上部より供給される。この時処理水には薬注ポンプにて規定量の次亜塩素酸ナトリウムが注入される。この逆洗工程にて、膜モジュール一次側に蓄積した汚泥や懸濁物は逆洗排水として排水される。この工程は二工程からなり、一工程目の逆洗は処理水を上部透過ノズルから供給し、膜モジュール原水入口側から排水する工程であり、この時バルブV3,V5が開である。逆洗ポンプで処理水は膜モジュール上部の透過ノズルに圧送され、膜の二次側から一次側にろ過された処理水は逆洗排水としてモジュール下部の原水入口側からV5を通って排水される。 二工程目の逆洗は処理水を上部透過ノズルから供給し、膜モジュール原水出口側(濃縮側)から排水する工程であり、この時バルブV3,V2,V8が開である。逆洗ポンプで処理水は膜モジュール上部の透過ノズルに圧送され、膜の二次側から一次側にろ過された処理水は逆洗排水としてモジュール上部の原水濃縮側からV2,V8を通って排水される。 次に図4に示すディフュージョン量測定工程を説明する。本工程は膜モジュールの安全性試験であり、膜モジュールの安全性を示す指標となる為重要な工程である。 図3の逆圧洗浄工程終了後、コンプレッサーにより、膜モジュール一次側上部(濃縮側)よりエアー加圧を行い、一次側から二次側に漏洩するエアー量を測定する。これは二次側が満水状態である為、一次側から二次側へ漏洩したエアー量は水に置換され排水量として測定する方法である。 試験の前段階として、コンプレッサーによりエアー加圧を行い、膜モジュールの一次側の水抜きを行う。これは、中空糸の内側に気体圧力をかける際、一次側に水が残っていると正確な測定値が得られない為、中空糸内側に存在する水分を抜く工程である。その方法として中空糸内側を気体加圧し、膜によりろ過を行って排水する方法(一次側に残っている水を二次側に排出する方法)があるが、膜面積が大きくなるほど中空糸本数が増え、中空糸内側(一次側)に保有する水分量が多くなる為、ろ過つまり水抜きに時間を要し非効率となる。 本実施形態では、V7,V2,V5を開とし、コンプレッサーによりエアー加圧を行うことにより中空糸内部の水分をV5から予め抜く為、非常に効率的である。 その後V4を開としV5を閉とした後、コンプレッサー圧を膜モジュール一次側出口圧力計P2を一定値になる様に調整する。加圧圧力は、0.05〜0.3MPaがよいが、0.05MPa以下だとエアー透過量が少なく、誤差を生じ易い。また、0.3MPa以上では、膜モジュールの使用耐圧以上となるので危険である。 圧力調整後、圧力計P2が一定になったのを確認後、時間計測を開始し、V4より排出する9〜10分の1分間の水量を測定する。計測時間は、2〜11分が好ましく、更には9〜10分が好ましい。これは、計測時間が2分以内だと中空糸内にまだ残存する水分の排出がある場合があるために大きな値となる場合があるからである。また、計測時間が11分以上だと中空糸が乾燥状態となりエアー透過量が増える事があり、これも大きな値となり好ましくない。 本発明は、中空糸膜のエアー透過量を二次側の水に置換して測定する方法である。ディフュージョン量を測定するサンプリング位置は、膜モジュールのどの部分でもよいが、膜モジュールの縦方向中心よりも下方にあることが好ましい。更には縦方向の下方1/4以下に位置することが好ましい。 これは、エアー透過量が大きい場合、サンプリング位置が膜モジュールの上部にある場合、透過したエアーが上部に溜まってしまう為、水量測定ではなくエアー量を測ることになってしまい大きな誤差を生じる為である。 また、本安全性試験は、運転工程のどの工程後でも実施できるが、逆洗工程後に行うことで信頼性や透水性能の維持に効果的である。これは、ろ過工程後に実施した場合、中空糸内部に汚泥や懸濁物が多いため、中空糸へ汚泥や懸濁物を圧着してしまい閉塞や透水性能の低下を起こす。逆洗工程後に実施した場合、逆洗工程により中空糸内部の汚泥や懸濁物が取り除かれている為、これらの現象は生じない。 本安全性試験方法は、どのような膜モジュールにも適用できるが、特に加圧が容易な中空糸膜モジュールが効果的である。また、酢酸セルロース、ポリエーテルスルフォン、ポリアクリロニトリル等どの様な中空糸膜の種類にも適用できる。また、どのような膜モジュールの大きさも適用できる事もメリットの一つである。 図1は、本発明の実施形態を示す図である。本発明が対象とする中空糸膜ろ過装置は、例えばUF膜モジュールから構成されており、原水ラインから循環ポンプにより送液された原水が、UF膜モジュールの下部から供給され、UF膜モジュールにより分離される。膜ろ過水は、透過側上部より流出し、一部は逆送タンクに貯められ、それ以外のろ過水は処理水として使用される。 中空糸膜ろ過装置には、自動で定期的に逆洗浄を行うため、逆洗浄タンクが設けられ、逆洗浄タンク内に洗浄水を貯め、逆洗ポンプによりUF膜モジュールの透過側上部よりUF膜モジュールの原水側及び濃縮液側に送液することで、UF膜に付着している物質を除去する。 本実施例による膜欠陥検知方法では、逆洗浄工程終了直後にUF膜モジュールの濃縮側から加圧空気を供給しUF膜モジュールの透過側から押し出されてくる水の量を測定し膜欠陥を検知する。 次に、表1に本発明の膜欠陥検知方法での測定結果を詳述する。表1.本発明の膜欠陥検知方法による水の測定値 また、図1の中空糸膜ろ過装置を用いて、50日間の連続運転を行なった後、バルブ4からの排出水量を測定したところ、18ml/min.であった。このときの欠陥モジュール本数を従来法にて調べたところ欠陥は検知されなかった。さらに引き続いて45日間の連続運転を行なった後、バルブ4からの排出水量を測定したところ、188ml/minであった。このときのモジュールの欠陥本数を従来法にて調べたところ5本の中空糸に欠陥があることが分かった。 [比較例1] 従来の、モジュールをろ過装置より着脱し、モジュールを別の水槽中に沈め、透過側より加圧空気を送って膜欠陥の有無を確認する方法と、本発明の検知方法との作業所要時間を比較した結果を表2に詳述する。表2.従来法との検定所要時間比較(分/本) 酢酸セルロース系中空糸膜を44,860本を用い、有効膜面積110m2の膜モジュールを作製した。同モジュールを図2以下に示す装置に取り付け、河川水を用いた実液ろ過運転試験を行った。図2は処理運転工程時の液の流れを矢印で示しており、原水タンクに貯められた原水は原水ポンプによりV1を経て膜モジュール下部に供給される。この時、原水の一部は濃縮液として膜モジュール上部より排出され、V2,V6を経て原水タンク出口配管に戻される。また、膜モジュールに供給された原水の一部は中空糸膜の内側から外側に限外ろ過処理され、V3を経て透過水タンクに貯蔵される。 図3は逆圧洗浄工程時の液の流れを矢印で示しており、透過水タンクに貯められた透過水は逆洗ポンプにより膜モジュールの上部透過側ポートに供給される。供給された透過水は中空糸膜の外側から内側に限外ろ過され、中空糸膜の内側に溜まった懸濁物やファウリング物質をV2,V8及びV5を経て系外へ排出される。この逆洗工程の逆洗水流量は、処理運転工程のろ過流量の2〜4倍にするのが好ましい。 図2に示すろ過工程を60分間、図3に示す逆圧洗浄工程を1分間行いこれを1サイクルとした。本サイクルでの運転を6ヶ月間実施後、図4に示す安全性試験を加圧圧力0.2MPaで実施した結果、ディフュージョン量は110ml/minであった。本モジュールの製造時のディフュージョン量が114ml/minであるため、安全性が確認された。 図4は本発明での安全性試験方法の液及び気体の流れを矢印で示しており、図3の逆圧洗浄工程終了後、5秒〜30秒の間に、まずコンプレッサーより、V7,V2を経て膜モジュール上部(濃縮側)からエアーを送入し、膜モジュール中空糸内部の水抜きを膜モジュール下部のV5より行う。V5よりエアーが噴出したのを確認後、V5を閉、膜モジュール下部透過側ポートのV4を開とし、膜モジュール上部(濃縮側)の圧力計P2を0.2MPaに調整し、圧力値が一定になった時点で時間計測を始める。9〜10分の1分間にV4から排出される水分量を容器に受け計量する。初期には膜モジュール内の中空糸内側に残存する水分がろ過するため、排出する水量は多いが、9〜10分では安定した値となる。 ポリエーテルサルフォン系中空糸膜を2,100本を用い、5m2の膜モジュール3本を作製した。1本目のモジュールはリークの無いモジュールとし、2本目のモジュールは中空糸膜1本に故意に0.1mm程度の穴を開けたリークモジュールとし、3本目は中空糸1本を故意に切断したリークモジュールとした。これら3本のモジュールを実施例2に示す装置に取り付け、地下水を用いた実液ろ過運転を行った。また、安全性試験も計測時間を2〜3分とし、加圧圧力を0.1MPaとした以外は実施例2と同様に実施した結果、ディフュージョン量は、1本目のモジュールが2ml/min、2本目のモジュールが120ml/min、3本目のモジュールが2300ml/minとなった。本試験から、微小なリークであってもディフュージョン量に大きく反映されており、測定値及び安全性試験の正確性が確認された。[比較例2] 実施例3と同じ膜モジュール3本を用い、ディフュージョン量測定サンプリング位置を膜モジュール縦方向の下から3/4の位置にした以外は同様の試験を実施した結果、ディフュージョン量は、1本目のモジュールが2ml/min、2本目のモジュールが120ml/min、3本目のモジュールが990ml/minとなった。3本目のモジュール試験では、リーク量が多かったため、当初は水量測定されていたが、途中よりサンプリング口からはエアーが噴出しており、ディフュージョン量に非常に誤差を生じた。 実施例2と同じ膜モジュール、運転工程及び安全性試験を実施し、加圧圧力一定後の0〜13分の各1分間のディフュージョン量を測定した結果、0〜1分が320ml/min、1〜2分が190ml/min、2〜3分が125ml/min、3〜4分が120ml/min、4〜5分が120ml/min、5〜6分が118ml/min、6〜7分が116ml/min、7〜8分が114ml/min、8〜9分が115ml/min、9〜10分が116ml/min、10〜11分が118ml/min、11〜12分が130ml/min、12〜13分が140ml/minとなった。この結果から、本モジュールでの安定したディフュージョン量は2−11分の間での測定であることが確認された。[比較例3] 実施例2と同じ膜モジュールを用いて、同じ運転工程、運転期間で運転を行なった後、ろ過工程後に実施例2と同条件で安全性試験を行った結果、ディフュージョン量は90ml/minであった。また、安全性試験後、運転再開したところ、安全性試験前の運転時の膜間差圧が0.05MPaであったのに対し、安全性試験後の運転時の膜間差圧が0.06MPaに上昇した。逆洗工程後の安全性試験とは異なり、ろ過工程後の安全性試験では、ろ過運転時に中空糸内側に蓄積された汚泥及び懸濁物がエアー加圧により膜面に付着したものと考えられ、これがエアー透過量を減少させたり、膜間差圧上昇つまり透水性能低下を引き起こしているものと考えられる。特に透水性能低下は大きな問題となる。[比較例4] 実施例3と同じ膜モジュールを用いて、安全性試験時の加圧気体の圧力を0.025MPaとした以外は同様に運転を行なったところ、ディフージョン量は1本目で0ml/min、2本目で2ml/min、3本目で500ml/minであり、加圧圧力が低いために、小さいリークの場合は正確な値が得られず欠陥は充分検知されなかった。[比較例5] 酢酸セルロース系中空糸膜を22,320本を用い、50m2の膜モジュールを作製した。図2に示すろ過工程を45分間、図3に示す逆圧洗浄工程を1分間行いこれを1サイクルとした。本サイクルでの運転を1ヶ月間実施後、図4に示す安全性試験を行った。図4は本発明での安全性試験方法の液及び気体の流れを矢印で示したものである。図3の逆圧洗浄工程終了後、5秒〜30秒の間に、まずコンプレッサーより、V7,V2を経て膜モジュール上部(濃縮側)からエアーを送入し、膜モジュール中空糸内部の水抜きを膜モジュール下部のV5より行う。V5よりエアーが噴出したのを確認後、V5を閉、膜モジュール下部透過側ポートのV4を開とし、膜モジュール上部(濃縮側)の圧力計P2を0.2MPaに調整後、時間計測を始め、9〜10分の1分間にV4から排出される水分量を容器に受け計量した結果、ディフュージョン量は20ml/minであった。 同一の膜モジュールを用い、同条件の運転サイクルにより1ヶ月間運転を実施後、図5に示す安全性試験を実施した。図5は本発明前の安全性試験方法であり、図5は液及び気体の流れを矢印で示したものである。図3の逆圧洗浄工程終了後、5秒〜30秒の間に、まずコンプレッサーより、FI−1,V7,V2を経て膜モジュール上部(濃縮側)からエアーを送入し、膜モジュール中空糸内部の水抜きを膜モジュール下部のV5より行う。V5よりエアーが噴出したのを確認後、V5を閉、膜モジュール上部透過側ポートのV3,V9を開とし、膜モジュール上部(濃縮側)の圧力計P2を0.2MPaに調整後、時間計測を始め、9分後にFI−1のエアー流量計の数値を読んだ結果、ディフュージョン量は60ml/minであった。 使用した膜モジュールは他の方法でのリーク検査でリークのない事を確認した。また、図5の装置を調査した結果、膜モジュールと配管の継手部よりエアー漏れがある事が明らかとなった。この様に図5の方法では、膜モジュールからディフュージョン量ではなく、配管等の継手部からの漏れ量も計測していた事が明らかとなり、膜モジュールのディフュージョン量の信頼性が低い。図1は、本発明の実施形態を示す水浄化装置のフロー図である。図2は、実液運転のろ過処理運転時の簡易なフロー図である。図3は、実液運転の逆圧洗浄時の簡易なフロー図である。図4は、実液運転のディフュージョン量測定時の簡易なフロー図である。図5は、図4とは別方法の実液運転のディフュージョン量測定時の簡易なフロー図である。符号の説明3 加圧エアー導入バルブ4 透過水量測定バルブ7 原水送りポンプ10 中空糸膜モジュール11 原水タンク中空糸膜の二次側を満水状態とし、一次側より一定の気体を圧送し、一定の圧力保持後に中空糸膜の一次側から二次側へ押し出される水量を測定する中空糸膜モジュールの安全性試験方法であって、水量を測定するサンプリング位置が縦方向に設置された膜モジュールの縦方向中心よりも下方である、中空糸膜モジュールの安全性試験方法。中空糸膜の二次側を満水状態とし、一次側より一定の気体を圧送し、一定の圧力保持後に中空糸膜の一次側から二次側へ押し出される水量を測定する中空糸膜モジュールの安全性試験方法であって、加圧気体の圧力保持時間及びディフュージョン量測定時間を、一次側から圧送する気体の圧力値が一定になった後、2分〜11分間に設定する中空糸膜モジュールの安全性試験方法。中空糸膜の二次側を満水状態とし、一次側より一定の気体を圧送し、一定の圧力保持後に中空糸膜の一次側から二次側へ押し出される水量を測定する中空糸膜モジュールの安全性試験方法であって、安全性試験工程を、ろ過運転後の逆圧洗浄工程終了後に行なう中空糸膜モジュールの安全性試験方法。中空糸膜の二次側を満水状態とし、一次側より一定の気体を圧送し、一定の圧力保持後に中空糸膜の一次側から二次側へ押し出される水量を測定する中空糸膜モジュールの安全性試験方法であって、加圧気体の圧力を0.05MPa〜0.3MPaに設定する中空糸膜モジュールの安全性試験方法。中空糸膜モジュールを現地の膜ろ過装置に装着したまま行える請求項1〜4いずれかに記載の中空糸膜モジュールの安全性試験方法。加圧気体による一次側の圧力上昇時間を5秒〜30秒に設定する請求項1〜4のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの安全性試験方法。中空糸膜の二次側に設けた配管から流出する水の量を計測し、配管の外径を2mm〜10mmに設定する請求項1〜6のいずれかに記載の中空糸膜モジュールの安全性試験方法。 【課題】中空糸膜ろ過装置の中空糸膜モジュールの安全性試験方法を提供することを目的とする。【解決手段】中空糸膜の二次側を満水状態とし、一次側より一定の気体を圧送し、一定の圧力保持後に中空糸膜の一次側から二次側へ押し出される水量を測定する中空糸膜モジュールの安全性試験方法であって、水量を測定するサンプリング位置が縦方向に設置された膜モジュールの縦方向中心よりも下方である、中空糸膜モジュールの安全性試験方法。【選択図】 図4


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