タイトル: | 特許公報(B2)_塩分濃度の測定方法、塩分濃度測定装置およびその装置が搭載された車両 |
出願番号: | 2004162972 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 21/27,B60P 3/00 |
岩田 久志 山本 浩司 東 秀雄 宮崎 善行 JP 4458248 特許公報(B2) 20100219 2004162972 20040601 塩分濃度の測定方法、塩分濃度測定装置およびその装置が搭載された車両 オムロン株式会社 000002945 東日本高速道路株式会社 505398941 中日本高速道路株式会社 505398952 西日本高速道路株式会社 505398963 鈴木 由充 100078916 岩田 久志 山本 浩司 東 秀雄 宮崎 善行 20100428 G01N 21/27 20060101AFI20100408BHJP B60P 3/00 20060101ALI20100408BHJP JPG01N21/27 CB60P3/00 Z G01N21/00−21/61 JSTPlus,JST7580 PATOLIS 西独国特許出願公開第03019341(DE,A) 西独国特許出願公開第03120362(DE,A) 特開平11−248439(JP,A) 特開2004−015959(JP,A) 特開平11−014515(JP,A) 特開昭63−161205(JP,A) 特開2000−155096(JP,A) 特開2000−135046(JP,A) 中村浩幸、友尻正一,北海道支社における雪氷対策機械の改良・開発,ハイウェイ技術,2001年 4月25日,No.19,p9-14 中井勝己、天野和祐、緒方健治,冬期路面状況測定装置の開発,日本道路公団試験研究所報告,1997年11月30日,第34巻,p131-137 8 2005345175 20051215 13 20070219 樋口 宗彦 この発明は、道路を走行中の車両により、その道路表面の残留塩分の濃度を測定する技術に関する。 寒冷地の道路には、冬場になると凍結防止剤が散布される。しかし、この凍結防止剤は、塩化ナトリウムや塩化カルシウムを主原料とするため、周辺の環境への負荷が小さくなるように、車両の走行の安全を確保するのに必要な最小限度の量の散布にとどめるのが望ましい。このように散布量を制限するには、まず、路面に残留する塩分の濃度を正確に把握する必要がある。 上記の点に鑑み、出願人は、路面の塩分濃度を、精度良く測定することが可能な塩分濃度センサを開発した。この塩分濃度センサは、下記の特許文献1に「水分検出装置」として開示されたものである。特開2000−155096 公報 上記特許文献1に記載の塩分濃度センサは、検出面を有する透光部材と、この透光部材に入射させる拡散光を生成する光源と、透光部材の検出面と外界との境界で全反射した光を受光して、全反射光の像を含む画像を生成する検出部とを有する。検出部で生成された画像データはコンピュータに入力され、全反射光に対応する明領域と臨界角に対応する暗領域との境界位置が検出される。ここで、検出面に塩分を含む水滴が付着していると、その水滴の屈折率によって臨界角の大きさが変化するため、前記明領域と暗領域との境界位置も変動することになる。 前記コンピュータには、上記の原理に基づき、あらかじめ、画像から検出した境界位置と濃度との関係を示すテーブルが設定される。測定時には、前記画像から検出した境界位置によりテーブルを参照して路面の塩分濃度を求めることになる。 さらに、特許文献1には、上記構成の塩分濃度センサを、車両の所定位置に取り付けて使用する例が記載されている(特許文献1の図15および段落[0037]参照。)。 さらに、車両搭載型の塩分濃度センサとして、下記の特許文献2に開示されたようなものもある。この特許文献2の塩分濃度センサでは、車両のタイヤがはねあげた水滴を水当たり板で受けた後に水槽に導き、蓄えられた水分の塩分濃度を測定するように構成されている。特開平11−14515号 公報 上記特許文献1や特許文献2に記載されたような塩分濃度センサによれば、路面に水分がある場合には、塩分濃度を精度良く測定することができるが、路面が乾燥している場合には使用できなくなる、という問題がある。 この発明は上記問題に着目してなされたもので、路面が乾燥している場合でも、塩分濃度の測定処理を実行できるようにすることを目的とする。 この発明では、所定量の水滴を取り込んで、その水滴の塩分濃度を測定するように構成された塩分濃度センサを用いて、道路表面の残留塩分の濃度を測定するものである。この方法では、測定対象の道路を走行する車両の車体部分に少なくとも1つの塩分濃度センサを設置し、車両が測定対象位置を通過した際の塩分濃度センサの測定データを用いて前記道路表面の残留塩分の濃度を測定する。 上記の塩分濃度センサ(以下、単に「センサ」という場合もある。)として、前記特許文献1に開示されたものと同様の構成のセンサを使用することができる。この塩分濃度センサは、プリズムのような透光部材と、光源と、受光部とを具備し、全反射光に対応する明領域と臨界角に対応する暗領域とを含む画像を生成することができる。 上記の塩分濃度センサでは、水分の塩分濃度を示す測定データとして前記画像データを出力することができる。また、センサ内で、前記明領域と暗領域との境界位置を測定できるようにすれば、その境界を示す座標を測定データとして出力することができる。さらに、前記境界位置に基づき、センサ内で塩分濃度まで測定し、その塩分濃度を測定データとして出力することもできる。 ただし、塩分濃度センサは上記に限らず、特許文献2に開示されたように、所定量の水滴を貯留して、測定を行うタイプのセンサを使用することもできる。 この発明にかかる塩分濃度の測定方法では、測定対象の道路を走行する車両の少なくとも1つの車輪の後方の車体部分に、前記塩分濃度センサを前記水滴の取り込み部が前記車輪に対向するようにして設置するとともに、所定量の水分を放出することが可能な水撒き装置を、塩分濃度センサが対向配備された車輪の前方に水分の放出口を望ませた状態で前記車両の所定位置に設置する。そして、車両の走行速度を測定し、走行速度が速くなるほど撒水量が多くなるように設定された制御データに基づき、走行速度の測定値に応じた量の水分が放出されるように水撒き装置からの水分の放出量を調整しながら塩分濃度センサの測定データを取り込み、当該測定データを用いた測定処理により前記測定対象の道路表面の残留塩分の濃度を測定する。 上記の方法によれば、車輪の前方に配備された水撒き装置から路面に出された水分を前記車輪によりはね上げて、塩分濃度センサの水滴の取り込み部に到達させ、その塩分濃度を測定することが可能となる。なお、センサを設置する際には、検出面の上方側が車輪に近くなるように取り込み部の前面を斜めにするのが望ましい。車輪がはねた水滴は、斜め上方に飛ぶ可能性が高いからである。 さらに、上記の方法において、センサの水滴の取り込み部にまで水滴をはね上げるには、車輪に所定量以上の水分を供給する必要があるが、一定の時間あたりの放出量が固定されていると、車両の走行速度が速くなるほど車輪に対する水分供給量は少なくなり、水滴をはね上げられるだけの水分を確保できない可能性がある。しかし、この発明では、車両の走行速度を測定し、走行速度が速くなるほど撒水量が多くなるように設定された制御データに基づき、前記走行速度の測定値に応じた量の水分が放出されるように水撒き装置からの水分の放出量を調整するので、測定時には、走行速度に応じた量の水分を放出して取り込み部への水はねを生じさせ、センサによる測定を安定して行うことができる。なお、走行速度は、車両に搭載されている速度センサなどを用いて測定することができる。 なお、走行速度の測定値は、センサによる測定結果をよりわかりやすい形で表すために使用することができる。たとえば、走行速度、水分が放出された時間長さ、放出量などに基づき、水分供給がなされた範囲の面積を求め、塩分濃度センサにより測定された塩分濃度から単位面積あたりの塩分量(たとえばg/m2の単位)を導くことができる。現状の凍結防止剤の散布は、単位面積あたりの散布量により管理されているので、上記のようにすれば、凍結防止剤の散布量と同様の単位で残留塩分量を表すことができ、必要な散布量を簡単に導き出すことができる。 上記の方法の好ましい一態様では、水撒き装置として、水または塩水を切り替えて撒水することが可能な構成の装置を設置する。そして、前記測定対象の道路の路面の温度を測定し、測定された温度が所定値(水分が凍結するおそれのある温度。たとえば0〜2°C)を上回る場合には前記走行速度の測定値に応じた量の水が放出され、測定された温度が前記所定値を下回る場合には前記走行速度の測定値に応じた量の塩水が放出されるように水撒き装置の撒水動作を制御するとともに、水撒き装置に塩水を放出させるようにしたときには、前記塩分濃度センサの測定データが示す塩分濃度を放出された塩水の濃度と比較することにより、前記測定対象の道路表面の残留塩分の有無を判別する。 上記の態様によれば、撒水された水分が凍結する可能性がある場合には、水撒き装置からは塩水が放出されるから、凍結を防止することができる。また、塩水を放出した場合には、塩分濃度センサの測定データが示す塩分濃度が供給した塩水の塩分濃度より高いときに、路面に塩分が残存していると判断することができる。また測定データが示す塩分濃度が供給した塩分濃度よりも高い場合には、前者から後者を差し引くことによって、残存する塩分の濃度を抽出することができる。 なお、路面の温度は、路面温度計によって測定することができる。この路面温度計も車両に搭載するのが望ましい。 さらに、他の好ましい態様では、測定対象の道路の路面上の水分を検出し、所定量を超える水分が検出された場合には、水撒き装置を駆動せずに残留塩分濃度の測定を実行する。この場合、塩分濃度センサを水分の検出手段として使用することができる。すなわち、水分を供給していないのに、塩分濃度センサによる測定データが、純水または所定塩分濃度の水溶液に対応するものになった場合には、路面に測定に十分な水分が存在すると判別することができる。このように判別された場合には、前記判別に使用した測定データを用いて、直ちに塩分濃度を測定することができる。 また、上記の態様では、塩分濃度センサ以外の手段を用いて路面の水分を検出することもできる。たとえば、下記特許文献3に開示された路面判別装置によれば、少し濡れた程度の路面から水たまりのある路面まで、水分量の異なる複数種の路面状態を切り分けて判別することができる。このほか、赤外線などを利用した水分検出センサを使用することもできる。特許第2697307号 公報 さらに、この発明では、上記方法を実施する塩分濃度測定装置として、所定量の水滴を取り込んで、その取り込まれた水滴の塩分濃度を示す測定データを生成するように構成された塩分濃度センサと、所定量の水分を放出することが可能な水撒き装置と、前記車両の所定位置に設置された制御装置とを含む装置を提供する。この装置では、前記塩分濃度センサは、車両の所定の車輪の後方の車体部分に前記水滴の取り込み部を前記車輪に対向させた状態で取り付けられる。また前記水撒き装置は、前記塩分濃度センサが対向配備された車輪の前方に水分の放出口を臨ませた状態で前記車両の所定位置に設置される。 さらに、この装置には、車両の走行速度を測定するための速度測定手段が含まれる。また前記制御装置は、前記車両の走行速度が速くなるほど撒水量が多くなるように設定された制御データに基づき、速度測定手段による測定値に応じた量の水分が放出されるように前記水撒き装置からの水分の放出量を調整しながら前記塩分濃度センサの測定データを取り込み、当該測定データを用いた測定処理により前記車両が走行する道路表面の残留塩分の濃度を測定するように構成される。 上記において、塩分濃度センサと水撒き装置とは、所定の車輪を挟んで前後に設置することができる。ただし、水撒き装置の設置位置はこれに限らず、本体部を任意の場所に設置して、その位置から車輪の前方までノズルを引き出すようにしてもよい。また、塩分濃度センサと水撒き装置とは、1組に限らず、それぞれ複数の車輪に対して配備することができる。または、水撒き装置のノズルを分岐させるなどして、複数の車輪に水分を供給できるようにすれば、複数の塩分濃度センサを取り付けた場合でも、1台の水撒き装置でまかなうことができる。 制御装置は、塩分濃度センサの測定データから塩分濃度を導き出すためのプログラム(照合用のテーブルを構成する電子データを含む。)が設定されたコンピュータにより構成することができる。この制御装置は、水撒き装置の駆動から所定時間経過後のセンサからの測定データを取り込んで測定処理を行うことができる。ただし、センサからの測定データを取り込むタイミングは厳密に規定されるものではなく、水撒き装置の駆動と同時に測定データの取り込みを開始し、塩分を含む水滴または塩分を含まない水滴の存在を示す測定データが得られたとき、塩分濃度の測定処理を行うようにしてもよい。または、水撒き装置の駆動から所定時間が経過するまでの間に複数回の測定処理を行ってもよい。 上記の塩分濃度測定装置では、塩分濃度センサとして、内部光源からの光を検出面に導いて検出面と外界との境界で全反射させ、その全反射光を受光して前記検出面に付着した水分の塩分濃度を示す測定データを生成するように構成されたセンサを使用することができる。さらに、上記の塩分濃度測定装置には、前記塩分濃度の測定方法に掲げた各種態様を適用することができる。 また、この発明では、上記いずれかの構成の塩分濃度測定装置が搭載された車両を提供することができる。この車両には、道路の複数位置における塩分濃度を測定し、その測定結果を測定位置に対応づけたデータを生成し、無線などにより送信する機能を設定することができる。 また、上記の車両には、走行中の道路に凍結防止剤を撒くための散布装置と、前記塩分濃度測定装置による測定結果に基づき、凍結防止剤の散布量を決定し、その決定に基づき前記散布装置の動作を制御する散布制御装置とを搭載することができる。このような車両によれば、道路における塩分濃度を測定した上で、その塩分濃度に応じた適度な量の凍結防止剤を散布することができる。 なお、上記の車両においては、塩分濃度測定装置の制御装置に前記散布制御装置の機能を持たせることもできる。または、凍結防止剤の散布量を決定する機能を前記制御装置にもたせ、別途、決定した散布量に基づき散布装置の動作を制御する機能を有する装置を搭載してもよい。この場合には、制御装置と前記散布装置の動作制御用の装置との2台で、散布制御装置を構成することになる。 この発明によれば、路面が乾燥している場合でも、測定対象の道路を車両で走行しながら塩分濃度を測定することが可能となる。また、車輪に対し、後方のセンサに水滴をはねあげられるのに必要な最小限度の水分を供給すれば良いので、道路に水たまりができるなどの不具合も生じにくい。しかも、任意の位置における塩分濃度を測定することができる。よって、凍結防止剤の散布量を決定するための指標となる路面の塩分濃度を測定する上での実用性を、大幅に向上することができる。 図1は、この発明にかかる塩分濃度測定装置が搭載された凍結防止剤散布車100の構成を示す。この凍結防止剤散布車100は、後方に、凍結防止剤が充填された薬剤タンク101と、この薬剤タンク101から凍結防止剤を取り込んで散布する散布機102とが配備されたものである。なお、以下では、前記凍結防止剤散布車100を「車両100」という。 この実施例の塩分濃度測定装置1は、塩分濃度センサ2と、水撒き装置3と、これらに接続される制御装置4とを主要構成とする。なお、制御装置4は、車両100のECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)に塩分濃度測定用のプログラムや各種テーブルなどを組み込んで設定されるもので、散布機102の制御用のコンピュータ103(以下、「散布制御装置103」という。)とともに、車体の適所に設けられる。 前記塩分濃度センサ2は、車両の片側の前輪104の後方位置に、その検出面を前輪104に対向させた状態で設置される。この実施例の塩分濃度センサ2は、前輪104のはねた水滴を検出面に付着させやすいように、検出面の上方側を前輪104に近づけた状態で斜めに設置される。 一方、水撒き装置3は、車両100の車体前面に取り付けられる。この水撒き装置3は、水、塩水の2種類を充填したタンク、これらのタンクの一方から水分を取り込んで路面に撒水するノズル、ノズルとタンクとの接続口を開閉するためのバルブ(いずれも図示せず、)などを有する。この水撒き装置3は、前記ノズルを前輪104の周面の中心線に対応させた状態で取り付けられる。よって、ノズルから撒かれた水または塩水は前輪104の前方から後方に向けて流れるようになり、前輪104による後方への水はねを生じやすい状態にすることができる。 上記において、制御装置4は、水撒き装置3の撒水動作を制御しつつ、塩分濃度センサ2の測定データを取り込んで、走行中の道路における塩分濃度を測定する。また、この制御装置4は前記散布制御装置103に電気接続されており、測定した塩分濃度に応じて凍結防止剤の散布量を決め、これを散布制御装置103に出力する。散布制御装置103では、制御装置4から与えられた散布量に基づき散布機を駆動するので、車両の安全走行の確保に必要な最小限度の凍結防止剤を散布することができる。 図2は、前記塩分濃度センサ2の構成を示す。この塩分濃度センサ2は、前面(図では上面として示す。)に開口部21を有する筐体20の内部に、直角プリズム22(以下、単に「プリズム22」という。)と、投光部23と、受光部24とを組み込んで成る。前記プリズム22は、ベース面22aが前記筐体20の開口部21に嵌め込まれた状態で固定される。このベース面22aが前記した検出面として機能することになる。 前記投光部23は、筐体20の内部で、前記プリズム22の所定の面22cに対向するように配備される。この投光部23は、プリズム22の直角部22bから検出面22aに向かう方向に沿って配列された複数のLED25と、これらLED25とプリズム22との間に配備された拡散板26とにより構成される。受光部24は、レンズ27およびCCD28により構成されるもので、前記投光部23からの光に対する全反射光の出射面22dに対向する位置に配備される。なお、LED25やCCD28は、前記筐体20の内底面に配備された配線基板(図示せず。)に電気接続される。 上記の塩分濃度センサ2は、投光部23および受光部24を駆動することにより、検出面22aに付着した水分の塩分濃度を示す測定データを生成し、これを制御装置4に出力する。以下、図3〜5を用いて、上記塩分濃度センサ2による測定の原理を簡単に説明する。 図3には、プリズムにおける入射光と全反射光との関係が示してある。前記投光部23からプリズム22に入射した光が検出面22aに到達すると、その一部は、検出面22aと外界との境界で全反射する。この全反射光は、レンズ27を介してCCD28に入射するので、CCD28では、図4に示すように、全反射光の入射による明領域Aと、臨界角の大きさを反映した暗領域Bとを含む画像Gが生成されるようになる。 ここで、プリズム22の屈折率をn1、外界の屈折率をn2とすると、全反射を起こす臨界角φは、つぎの(1)式により求められる。 上記(1)式によれば、検出面22aに水滴Mが付着して屈折率n2が変化すると、臨界角φの大きさも変化する。この変化に応じて、前記画像G上の明領域Aと暗領域Bとの境界位置も変化する。 図5は、理化学事典から塩化ナトリウム水溶液の屈折率に関するデータを抜粋したものである。このように、塩化ナトリウム水溶液の屈折率は塩分濃度が高くなるほど大きくなるから、前記画像G上の明暗の境界位置は、検出面22aに付着した水滴Mの塩分濃度によって変化することになる。 上記の塩分濃度センサ2が測定データとして出力するのは、前記明領域Aと暗領域Bとを含む画像Gのデータである。この実施例では、前記図3の光学系について、あらかじめ、塩水の理論上の屈折率から割り出した臨界角φに基づき、画像G中の明暗の境界位置の座標と塩水の塩分濃度とを対応づけた換算テーブルを作成し、制御装置4のメモリに組み込んでいる。測定時の制御装置4は、前記塩分濃度センサ2から得た画像Gから明暗の境界位置の座標を検出し、その検出した座標を前記換算テーブルにあてはめることにより塩分濃度を特定する。 なお、前記換算テーブルには、検出面に水滴が付着していないときの境界位置(前記(1)式の屈折率n2が空気の屈折率のみになったときの臨界角φに対応する境界位置)も格納されている。これは、後記する水分の有無判別処理を行う際に使用される。 図6は、前記図1の車両100における塩分濃度測定装置1の電気構成を示す。 この例の塩分濃度測定装置1は、前記塩分濃度センサ2、水撒き装置3、制御装置4のほか、速度センサ5、路温計6、入力部7を有する。速度センサ5は、前記車両100の所定の車輪の近傍位置に取り付けられて、その車輪の回転速度を示すデータを出力する。路温計6は、赤外線により路面の温度を非接触で計測するもので、水撒き装置3と同様に、車両100の前面に取り付けられる。速度センサ5は、水撒き装置3の撒水量を制御する目的で、路温計6は、水、塩水のいずれを撒くかを決定する目的で、それぞれ使用される。また入力部7は、制御装置4に測定処理の開始/終了などを指示するためのもので、車両100の運転席の近傍位置に設けられる。 この実施例の制御装置4は、路温が2°C以下の場合に、塩水を撒くようにプログラムされている。また、制御装置4のメモリには、前記塩分濃度の換算テーブルのほか、水撒き装置3の撒水量を調整するためのテーブルや凍結防止剤の散布量を調整するためのテーブルが設けられる。撒水量調整用のテーブルは、車両の速度毎に撒水量を対応づけたものである。このテーブルは、あらかじめ、前輪104に水滴を跳ねあげさせるのに必要な水分量を実験により求め、その水分量を前輪104に供給するのに必要な撒水量を複数段階の走行速度毎に割り出して作成したものである。原則として、車両の走行速度が速くなるほど、撒水量が多くなるように設定されるが、両者の関係は必ずしも比例ではない。速度が速くなると、水はねが生じやすくなる、と考えることができるからである。なお、このテーブルでは、撒水量を水撒き装置3のバルブの開度に置き換えて設定している。 また、凍結防止剤の散布量を調整するためのテーブルは、車両の安全走行に必要な塩分濃度(以下、「基準濃度」という。)に対する測定された塩分濃度の不足量と凍結防止剤の散布量とを対応づけたものとなる。この散布量は、たとえば単位面積あたりの塩分濃度を所定の度合(たとえば0.1%)だけ上げるのに必要な凍結防止剤の量に基づき、割り出されたものである。 以下、図7を用いて、前記制御装置4における処理の手順を詳細に説明する。なお、この図7および以下の説明では、各処理のステップ(STEP)を「ST」と略して示す。 図7の手順は、車両が走行を開始した後、ドライバーの測定開始操作に応じてスタートする。まず、ST1では、塩分濃度センサ2の測定データを用いて、路面に水分があるか否かを判別する。ここで、塩分濃度センサ2から取り込んだ画像G上の明暗の境界位置が検出面22aに水滴が付着していないときの値に対応していると、ST1の判定は「NO」となる。この場合には、つぎのST2に進み、前記速度センサ5の測定データを用いて、車両の現在の走行速度を測定する。 ST3では、ST2で測定した走行速度に基づき、水撒き装置3のバルブの開度を決定する。つぎに、ST4では、前記路温計6を用いて路面の温度を測定する。ここで測定した路温が2°C以下であれば、ST5からST6に進み、水撒き装置3のノズルを塩水タンク側に接続する。一方、測定した路温が2°Cより高い場合には、ST5からST7に進み、前記ノズルを水タンク側に接続する。 ノズルの接続処理が終了すると、ST8では、前記ST3の決定に応じた開度で水撒き装置3のバルブを開き、水または塩水を撒水する。つぎのST9では、塩分濃度センサ2の測定データを取り込み、前記の原理に基づき塩分濃度を測定する。なお、ST9では、塩分濃度センサ2の測定データが水分の存在を示すものになるまで、測定データを繰り返し取得する。また、水撒き装置による撒水処理も、測定が終了するまで継続する。 また、ST8で塩水を撒いた場合には、ST9では、測定した塩分濃度から前記塩水の持つ塩分濃度を差し引いた値を、測定結果とする。 最初のST1で「水分あり」と判断された場合には、ST2〜8をスキップしてST9に進む。これにより、路面に水分がある場合には、水撒き装置3を動かすことなく、前記路面上の水分を用いて塩分濃度の測定処理を実行することになる。 ST9の塩分濃度の測定処理が終了すると、ST10では、測定された塩分濃度を前記基準濃度と比較する。ここで、基準濃度に対し測定値が不足している場合には、その不足量により前記テーブルを参照して、凍結防止剤の散布量を求める。 前記ST10で決定した散布量が0より大きい場合には、ST11が「YES」となってST12に進み、決定した散布量を散布制御装置103に出力し、しかる後に処理を終了する。 なお、上記の手順では、1回の測定により凍結防止剤の散布量を決定するようにしているが、運用上は、散布対象のエリア内で複数回の測定を行い、各測定結果を平均化するなどして、散布量を決めるのが望ましい。この場合、ST1〜9の手順を繰り返し実行するように設定すれば、先の測定により塩分濃度センサ2に付着した水滴が重力や風圧などにより取り除かれた時点で、つぎの測定を行うことができる。 また、塩分濃度センサ2にワイパやヒーターを設け、検出面に付着した水滴の凍結を防止するようにしてもよい。また、ST1の水分検出処理のために、前述した特許文献3の路面判別センサを用いるようにしてもよい。 つぎに、上記では、凍結防止剤の散布車に塩分濃度測定装置1を搭載する例を説明したが、塩分濃度測定装置1は普通の乗用車に取り付けることもできる。図8は、その場合の車両の構成例を示す。この場合の塩分濃度センサ2は車両200の後輪201の後方に、検出面の上方側を後輪201に近づけた状態で斜めに設置される。また水撒き装置3は、車底部202に、取り付けられる。制御装置4には、図1の実施例と同様の機能が設定される。 上記構成の車両200は、道路を走行しながら任意の位置における塩分濃度を測定するパトロールカーとして機能させることができる。さらに、この車両200の制御装置4には、GPSによる位置計測機能やその機能により測定した自車両の位置を塩分濃度の測定結果とともに無線送信する機能を設定することができる。このような車両200に広範な範囲を走行させて測定処理を行うようにすれば、道路の管理センターなどで、凍結防止剤の散布が必要な場所と散布量とを詳細に把握し、散布の計画をたてることができる。塩分濃度測定装置を凍結防止散布車に搭載した例を示す説明図である。塩分濃度センサの光学系の構成を示す説明図である。塩分濃度センサにおける測定の原理を示す説明図である。画像データの一例を示す説明図である。塩水の濃度と屈折率との関係を示すテーブルである。塩分濃度測定装置のブロック図である。測定処理の手順を示すフローチャートである。塩分濃度測定装置を乗用車に搭載した例を示す説明図である。符号の説明1 塩分濃度測定装置2 塩分濃度センサ3 水撒き装置4 制御装置22 プリズム22a 検出面23 投光部24 受光部100,200 車両104 前輪201 後輪 所定量の水滴を取り込んで、その水滴の塩分濃度を測定するように構成された塩分濃度センサを用いて、道路表面の残留塩分の濃度を測定する方法において、 測定対象の道路を走行する車両の少なくとも1つの車輪の後方の車体部分に、前記塩分濃度センサを前記水滴の取り込み部が前記車輪に対向するようにして設置するとともに、所定量の水分を放出することが可能な水撒き装置を、前記塩分濃度センサが対向配備された車輪の前方に水分の放出口を臨ませた状態で前記車両の所定位置に設置し、 前記車両の走行速度を測定し、走行速度が速くなるほど撒水量が多くなるように設定された制御データに基づき、前記走行速度の測定値に応じた量の水分が放出されるように前記水撒き装置からの水分の放出量を調整しながら前記塩分濃度センサの測定データを取り込み、当該測定データを用いた測定処理により前記測定対象の道路表面の残留塩分の濃度を測定することを、特徴とする塩分濃度の測定方法。 請求項1に記載された方法において、 前記水撒き装置として、水または塩水を切り替えて撒水することが可能な構成の装置を設置し、 前記測定対象の道路の路面の温度を測定し、測定された温度が所定値を上回る場合には前記走行速度の測定値に応じた量の水が放出され、前記測定された温度が前記所定値を下回る場合には前記走行速度の測定値に応じた量の塩水が放出されるように前記水撒き装置の撒水動作を制御するとともに、前記水撒き装置に塩水を放出させるようにしたときには、前記塩分濃度センサの測定データが示す塩分濃度を放出された塩水の濃度と比較することにより、前記測定対象の道路表面の残留塩分の有無を判別するようにした塩分濃度の測定方法。 請求項1または2に記載された方法において、 前記測定対象の道路の路面上の水分を検出し、所定量を超える水分が検出された場合には、水撒き装置を駆動せずに残留塩分濃度の測定を行うようにした塩分濃度の測定方法。 所定量の水滴を取り込んで、その取り込まれた水滴の塩分濃度を示す測定データを生成するように構成された塩分濃度センサと、所定量の水分を放出することが可能な水撒き装置と、前記車両の所定位置に設置された制御装置とを含む塩分濃度測定装置であって、 前記塩分濃度センサは、車両の所定の車輪の後方の車体部分に前記水滴の取り込み部を前記車輪に対向させた状態で取り付けられ、前記水撒き装置は、前記塩分濃度センサが対向配備された車輪の前方に水分の放出口を臨ませた状態で前記車両の所定位置に設置されており、 前記車両の走行速度を測定するための速度測定手段をさらに含み、 前記制御装置は、前記車両の走行速度が速くなるほど撒水量が多くなるように設定された制御データに基づき、前記速度測定手段による測定値に応じた量の水分が放出されるように前記水撒き装置からの水分の放出量を調整しながら前記塩分濃度センサの測定データを取り込み、当該測定データを用いた測定処理により前記車両が走行する道路表面の残留塩分の濃度を測定するように構成されて成る塩分濃度測定装置。 請求項4に記載された装置において、 路面の温度を測定する温度測定手段をさらに含むとともに、前記水撒き装置は、水または塩水を切り替えて撒水することが可能に構成されており、 前記制御装置は、前記温度測定手段により測定された温度が所定値を上回る場合には前記速度測定手段による測定値に応じた量の水が放出され、前記温度が前記所定値を下回る場合には前記速度測定手段による測定値に応じた量の塩水が放出されるように、前記水撒き装置の撒水動作を制御するととに、前記水撒き装置に塩水を放出させるようにしたとき、前記塩分濃度センサの測定データが示す塩分濃度から放出された塩水の濃度を差し引いた値を前記塩分濃度の測定結果とする塩分濃度測定装置。 請求項4または5に記載された装置において、 路面の水分を検出する水分検出手段をさらに含み、 前記制御装置は、前記水分検出手段により所定量を超える水分が検出された場合には、前記水撒き装置を駆動せずに塩分濃度の測定処理を実行する塩分濃度測定装置。 請求項4〜6のいずれかに記載された塩分濃度測定装置が搭載された車両。 請求項4〜6のいずれかに記載された塩分濃度測定装置が搭載された車両であって、 走行中の道路に凍結防止剤を撒くための散布装置と、 前記塩分濃度測定装置による測定結果に基づき、凍結防止剤の散布量を決定し、その決定に基づき前記散布装置の動作を制御する散布制御装置とが、さらに搭載されて成る車両。