タイトル: | 特許公報(B2)_1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法 |
出願番号: | 2004151126 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 51/09,C07C 61/09,C07B 61/00 |
河合修司 真見博司 JP 4329618 特許公報(B2) 20090626 2004151126 20040521 1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法 新日本理化株式会社 000191250 河合修司 真見博司 20090909 C07C 51/09 20060101AFI20090820BHJP C07C 61/09 20060101ALI20090820BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090820BHJP JPC07C51/09C07C61/09C07B61/00 300 C07C 51/09 C07C 61/09 CA(STN) REGISTRY(STN) 米国特許第05286903(US,A) 特開2000−001447(JP,A) 4 2005330239 20051202 9 20070326 野口 勝彦 本発明は、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法に関し、より詳細には1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルを加水分解し、高純度の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を効率よく製造する方法に関する。 1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、医薬品、合成樹脂、合成繊維、染料等の原料として有用である。特に、近年、耐熱性、電気特性、光学特性から光学材料、電子材料用途のポリエステル樹脂の酸成分として高純度の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の需要が高まっている。 1,4−CHDAの製造方法としては、テレフタル酸のジナトリウム塩を、水溶液中核水素化して1,4−CHDAのジナトリウム塩を得、これを塩酸若しくは硫酸を用いて酸析して得る方法が一般的である(特許文献1)。しかし、この方法で製造される1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、原料由来のナトリウム等の金属、酸析した際に用いるClやS等を含有した酸成分が残存するため、このような原料から得られるポリマーは、重合度が上がらない、残留する酸成分のため装置等が腐食する、電気特性に影響を与えるといった問題があった。 また、その他の方法としてテレフタル酸を直接核水素化する方法(特許文献2、特許文献3)も知られている。これらの方法は、いずれもシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸等のモノカルボン酸類の有機不純物の副生が避けられず、しかもこのモノカルボン酸類は、再結晶等の通常の方法では分離が困難であった。このためこれら有機不純物を含有する1,4−シクロヘキサンジカルボン酸をポリエステル樹脂の酸成分として用いた際に、ポリマーの重合度が上がらず耐熱性、耐候性、物理的強度等が十分得られないという問題があった。国際公開93/06076号パンフレット特開昭58−198439号公報米国特許第6291706号明細書 本発明の目的は、医薬、農薬及び光学材料、電子材料用ポリエステル原料に好適に利用できる高純度の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を工業的に簡便な方法で製造する方法を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した。テレフタル酸ジアルキルを核水素化(例えば、特開2000−1447号公報)し、次いで得られた1,4−シクロヘキサンカルボン酸ジアルキルをアルカリ加水分解し、この得られた1,4−シクロヘキサンジカルボン酸中には、金属及びシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸等のモノカルボン酸類が有機不純物が含有しており、その含有量は、現在の高度な要求に充分に応えられるレベルまで低減できておらず、必ずしも十分とは言えないことが判明した。 しかしながら、更に検討を重ねた結果、水溶液中で1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルを酸性触媒存在下に加水分解反応させて1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を得るに際し、水及び加水分解反応中に副生するアルコールを反応系外に連続的に蒸発させながら、水を反応系に連続的又は間欠的に添加することにより、効率よく加水分解できることを見い出し、更に、驚くべきことに加水分解原料中のモノカルボン酸アルキル等の有機不純物が、目的物との分離が困難なモノカルボン酸類を生成することなく反応系外に除去できることを見い出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、以下の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法を提供するものである。 項1 水溶液中で1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルを酸性触媒存在下に加水分解反応させて1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を得る方法であって、水及び加水分解反応中に副生するアルコールを反応系外に連続的に蒸発させながら、水を反応系に連続的又は間欠的に添加して加水分解反応させることを特徴とする1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法。 項2 液空間速度が、反応液容量を基準として0.2〜0.05/hになるように水を添加して反応させる上記項1に記載の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法。 項3 1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルが、テレフタル酸ジアルキルの核水素化反応により製造されたものである上記項1又は2に記載の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法。 項4 1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルが、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルである上記項1〜3のいずれかに記載の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法。 項5 加水分解反応後の1,4−シクロヘキサンジカルボン中の有機不純物の含有量がが0.1重量%以下であることを特徴とする上記項1〜4のいずれかに記載の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法。 本発明の方法により、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルから高純度、高収率で1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が混和な条件で効率良く製造でき、しかも金属及び有機不純物の含有量を、医薬、農薬の製造中間体の他に、光学材料又は電子材料用ポリエステルの合成原料として使用できる程度にまで著しく低減された製造方法を確立できたことは、工業的に重要な意義があると言える。 本発明で加水分解原料として用いられる1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルとしては、具体的には1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジエチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジn−プロピル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソプロピル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジn−ブチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジイソブチル等の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のジアルキル(C1〜C4)エステルが挙げられ、なかでも特に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルが好ましい。該ジアルキルエステルを使用することにより、メチルアルコール、エチルアルコール等の低級アルコールが副生され、これらのアルコールはその沸点が水より低く蒸留による反応系外への留去がきわめて容易となる。これらのエステルは、シス体及び/又はトランス体に限定されることなく、単独で又は2種以上の混合物として用いることもできる。 これらのジアルキルエステルとしては、テレフタル酸ジアルキルの核水素化反応により製造された1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルが好ましく、特に1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルが好ましい。 これらの1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルは、通常、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金又はロジウム触媒(特にルテニウム触媒)存在下にテレフタル酸ジアルキルを核水素化することにより容易に製造することができる。このような製造方法としては、例えば、特開昭54−163554号、特開平6−192146号、特開平7−149694号、WO9800383号等に記載の方法が挙げられる。 なかでも、特開2000−1447号公報に記載の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルの製造方法が、純度が98%以上の目的物が得られること、及びモノカルボン酸アルキル等の有機不純物が本発明方法により容易に除去できる程度の含有量であることから特に好ましい。尚、本発明における有機不純物とは、上記核水素化反応により副生するシクロヘキサンカルボン酸アルキル、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸アルキル等のモノカルボン酸アルキル類(特に4−メチルシクロヘキサンカルボン酸アルキル)を指す。 本発明に用いられる酸触媒としては、いずれのものでも制限なく使用できるが、具体的には、塩酸,硫酸などの鉱酸;メタンスルホン酸,p−トルエンスルホン酸などの有機酸;リンタングステン酸等のヘテロポリ酸;スルホン酸型陽イオン交換樹脂等の固体酸などが例示できる。 前記スルホン酸型イオン交換樹脂としては、例えば商品名で例示すると、ダウエックス HCR−W2、ダウエックス 650 C−H、ダウエックス88、ダウエックスMWC−1−H、アンバーライト−200C、アンバーライトXH−105、デニオライト C−433、デニオライト C−464、レバチット SPC−108、レバチット SPC−118、ダイヤイオン RCP−105H、ダイヤイオン RCP−145H、スミカイオン KC−470などを挙げることができる。また、Nafian−Hなどのフッ素化スルホン酸樹脂なども使用できる。 これらのうち特に、硫酸、p−トルエンスルホン酸が好適に用いられる。 前記酸触媒の使用量としては、原料1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルに対して0.5%〜10重量%程度、好ましくは、1〜7重量%程度が好ましい。0.5重量%以下であると実用的な反応速度が得られず、一方、10重量%を越えて使用しても添加量に見合う効果は得られず、経済的ではない。 反応溶媒に用いられる水としては、水道水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられるが、イオン交換水、蒸留水などの精製水が微量の金属混入の虞がない点で好ましい。 加水分解反応における仕込水の量としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキル:水の比率(重量)が、通常 2:98〜50:50、好ましくは、10:90〜30:70程度の範囲である。水の比率があまり小さくなると1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を晶析精製するときのスラリー濃度が高くなるため取り扱いが困難になったり、逆に、水の比率があまり大きくなると、生産効率が低下する傾向が見られ好ましくない。 本発明における反応条件は、原料の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルや触媒の種類によって適宜選択されるが、反応温度としては、通常90〜100℃、好ましくは98〜100℃の範囲であり、また、反応時間としては、特に限定されないが、通常5〜15時間の範囲である。 反応圧力としては、特に制限はないが、通常は常圧で実施される。 本発明においては、加水分解反応は平衡反応であるため、水及び反応中に副生するアルコールを反応系外に連続的に蒸発させながら、水を、好ましくは水及びアルコールの留出物と同重量の水を反応系に連続的又は間欠的に添加して行うことが好ましい。この水及びアルコールの混合物である留出物には、テレフタル酸ジアルキルの核水素化反応により副生するモノカルボン酸アルキル、更にジカルボン酸ジアルキル等が若干含まれており、従って、この加水分解操作によりモノカルボン酸アルキルが水蒸気蒸留により容易に分離され、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸中の有機不純物の含有量を、現在の高度な要求に充分に応えられる程度の量まで低減できる。 上記留出物の組成は、反応時間と共に変化するが、例えば、1,4−ジカルボン酸ジメチルの場合、その平均組成は、重量比で、水:メタノール:(モノカルボン酸アルキル及びジカルボン酸ジアルキル)=87:11:2程度の範囲である。 この留出量の調整は、加熱温度を調整して行ってもよいが、留出物をコンデンサで凝縮し、所定量を反応系外に抜出し、その残りを反応系に戻して行ってもよい。 また、留出した水及びメタノール混合物は、そのメタノール含有量が平衡を加水分解側に移行させることができる程度の少ない量あれば再使用することもできる。 添加する水は、そのまま水を添加しても構わないが、反応温度の低下を防ぐため所定の温度に加熱して添加することが好ましい。更に、所定量の水蒸気を反応液中に直接吹き込むこともできる。 連続的又は間欠的に添加する水の量は、反応液容量を基準とした液空間速度で0.2〜0.05/hが適当であり、より好ましくは0.15〜0.1/hである。水の添加速度は反応速度を決める重要な因子であり、液空間速度で0.2を超える蒸発速度では、単位時間当たりに必要な供給熱量が大きくなり工業的に困難となり、一方、液空間速度が0.05未満の蒸発速度では、反応速度が小さくなり実用的でない。 反応雰囲気は、特に限定されないが不活性ガス雰囲気下が好ましい。また、本発明は、連続式又はバッチ式いずれの方式でも実施することができる。 加水分解反応終了後、反応液を、通常30℃以下、好ましくは20℃以下、更に好ましくは0〜15℃に冷却して1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を晶析させて、遠心分離又は濾過を行い、次いで水洗浄、減圧又は常圧乾燥するだけで、製品として使用できる高純度品を得ることができる。 かくして得られる加水分解反応後の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸中の有機不純物の含有量が、0.1重量%以下であり、且つ金属含有量が非常に少ない高純度の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を得ることができる。 以下に、実施例、比較例及び参考例を掲げて本発明を詳しく説明する。尚、各例における成分%は、下記測定条件におけるガスクロマトグラフ分析又は高速液体クロマトグラフ分析の各成分の重量%で示した。 1)ガスクロマトグラフ分析装置:GC−14A(島津製作所(株)製)検出器:FID 280℃(内部標準法)カラム:アドバンスーDS(30cm×0.25mmφ)インジェクション温度:280℃カラム温度:200℃2)液体クロマトグラフ分析装置:LC−6A(島津製作所(株)製)検出器:UV 210nm(内部標準法)カラム:SCR−101H(0.3m×7.9mmφ)溶離液:60%過塩素酸3.9gを3lまでイオン交換水で希釈した溶液流速:0.8ml/min オーブン温度:40℃3)S含量分析装置:TS−30(旧 三菱化成(株)製)分析用試料は、シクロヘキサンジカルボン酸の1wt%水溶液(溶解しにくいときは水酸化ナトリウムを加えた)としたものを調整し、JIS規格 K2541の微量電量滴定式酸化法にて実施した。 実施例1 攪拌装置、温度計、デカンタ及び冷却管を備えた1lガラス製四つ口フラスコに純度98.5%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル140g(モノカルボン酸メチル0.8%)、イオン交換水360g、硫酸4.2gを仕込み、反応温度100℃、液空間速度0.13となるように留出量を調整ながら10時間反応を行い、その反応液を、高速液体クロマトグラフで分析行ったところジエステルは痕跡程度、ジカルボン酸は98.5%、モノエステルカルボン酸は1.5%の割合で含まれていた。 得られた反応液を4時間掛けて徐々に10℃まで冷却後、析出した結晶を濾別し、この結晶を10℃のイオン交換水で洗浄し、続いて0.65kPa、100℃で3時間乾燥を行い目的とする1,4−シクロヘキサンジカルボン酸110g(収率93%)を得た。この得られた1,4−シクロヘキサンジカルボン酸をジメチルエステルとしてガスクロマトグラフ分析したところ純度は99.9%であり、モノカルボン酸メチルは検出されなかった。ICP発光分析(商品名「オプティマ2000DV」、パーキンエルマー社製)で金属分析を行ったところNaが2ppm、Feが0.03ppm検出された。また、S含量は0.7ppmであった。 実施例2 液空間速度を0.05、反応時間18時間とした以外は、実施例1と同様に反応を行い、その反応液を高速液体クロマトグラフで分析行ったところジエステルは痕跡程度、ジカルボン酸は98.0%、モノエステルカルボン酸は1.9%の割合で含まれていた。反応終了後、実施例1と同様に後処理を行い目的の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸108g(収率91%)得た。この得られた1,4−シクロヘキサンジカルボン酸をジメチルエステルとしてガスクロマト分析したところ純度は99.8%であり、モノカルボン酸メチルは検出されなかった。ICP発光分析で金属分析したところNaが3ppm、Feが0.03ppm検出された。また、また、S含量は0.5ppmであった。 比較例1 水及び加水分解反応中に副生するアルコールを反応系外に連続的に蒸発させ、該留出物を連続的に反応系に戻した他は実施例1と同様に行ったところ、4時間後、加水分解反応は平衡に達し、それ以上反応は進行しなかった。この反応液を、液体クロマトグラフ分析したところ、ジエステル:モノエステルカルボン酸:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が7:50:43の割合で含まれていた。 参考例1 攪拌装置、温度計、冷却管を備えた1Lガラス製四つ口フラスコに純度98.5%の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル140g(モノカルボン酸メチル0.8%)、イオン交換水360g、水酸化ナトリウム30gを仕込み、反応温度100℃で還流させながら2時間反応を行い、その反応液を高速液体クロマトグラフで分析したところジエステル、モノエステルカルボン酸ナトリウム塩は痕跡程度であり、ジカルボン酸ジナトリウム塩がほぼ定量的に得られた。得られた反応液に、10℃で濃塩酸約67mLを滴下しながら酸戻しを行い、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を析出させた。析出した結晶を濾別し、この結晶を10℃のイオン交換水で十分に洗浄し、続いて0.65kPa、100℃で3時間乾燥を行い目的とする1,4−シクロヘキサンジカルボン酸81g(収率68%)を得た。この得られた1,4−シクロヘキサンジカルボン酸をジメチルエステルとしてガスクロマト分析したところ純度は99.3%であり、0.4%のモノカルボン酸メチルを含有していた。ICP発光分析で金属分析したところNaが400ppm、Feが0.03ppm検出された。また、S分は検出されなかった。 参考例2 電動磁気攪拌装置を備えた500mlオートクレーブにテレフタル酸15g、水酸化ナトリウム7.2g、イオン交換水100g、5%ルテニウム/アルミナ触媒0.15gを仕込み、系内を水素置換後、反応温度180℃、圧力3Mpaで1.5時間反応した。冷却後、触媒を濾別し、得られた濾液に、10℃で濃塩酸約16mlを滴下しながら酸戻しを行い、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を析出させた。析出した結晶を濾別し、この結晶を10℃のイオン交換水で十分に洗浄し、続いて0.65kPa、100℃で3時間乾燥を行い目的とする1,4−シクロヘキサンジカルボン酸11g(収率71%)を得た。この得られた1,4−シクロヘキサンジカルボン酸をジメチルエステルとしてガスクロマトグラフ分析したところ純度は99.8%であり、モノカルボン酸メチルは検出されなかった。更に、ICP発光分析で金属分析したところNaが430ppm、Feが0.15ppm検出された。また、S分は検出されなかった。 参考例3 電動磁気攪拌装置を備えた500mlオートクレーブにテレフタル酸11g、イオン交換水99g、5%パラジウム/カーボン触媒1.1gを仕込み、系内を水素置換後、反応温度145℃、圧力4.5Mpaで1.5時間反応した。その反応液を120℃で加圧濾過により触媒を除去後、得られた濾液を5℃まで冷却し結晶を析出させた。その析出した結晶を濾別し、その結晶を10℃のイオン交換水で十分に洗浄し、続いて0.65kPa、100℃で3時間乾燥を行い目的とする1,4−シクロヘキサンジカルボン酸9.3g(収率82%)を得た。この得られた1,4−シクロヘキサンジカルボン酸をジメチルエステルとしてガスクロマトグラフ分析したところ純度は98.7%であり、0.3%のモノカルボン酸メチルを含有していた。更に、ICP発光分析で金属分析したところNaが0.05ppm、Feが210ppm検出された。 本発明を実施することにより、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルエステルから加水分解反応を行うことにより、金属及び有機不純物の含有量が著しく低減された高純度1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を工業的に簡便な方法で得る方法が可能になり、更に、現在の高度な要求に充分に応えられる高純度の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を製造することが可能になる水溶液中で有機不純物としてシクロヘキサンカルボン酸アルキル(C1〜C4)、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸アルキル(C1〜C4)を含有する1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキル(C1〜C4)を、酸性触媒存在下に、水、加水分解反応中に副生するアルコール、シクロヘキサンカルボン酸アルキル(C1〜C4)及び4−メチルシクロヘキサンカルボン酸アルキル(C1〜C4)を反応系外に連続的に蒸発させながら、液空間速度が反応液容量を基準として0.2〜0.05/hになるように水を反応系に連続的又は間欠的に添加して加水分解反応させることを特徴とする1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルが、ニッケル、ルテニウム、パラジウム、白金又はロジウム触媒存在下にテレフタル酸ジアルキルを核水素化反応することにより製造されたものである請求項1に記載の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアルキルが、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルである請求項1又は2に記載の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法。加水分解反応後の1,4−シクロヘキサンジカルボン中の有機不純物の含有量が0.1重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸の製造方法。