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タイトル:特許公報(B2)_長鎖アルキル基含有ジオ−ル、その製造方法及びポリウレタン樹脂
出願番号:2004141034
年次:2010
IPC分類:C07C 275/16,C07C 273/18,C08G 18/38


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松本 泰宏 新地 智昭 JP 4475003 特許公報(B2) 20100319 2004141034 20040511 長鎖アルキル基含有ジオ−ル、その製造方法及びポリウレタン樹脂 DIC株式会社 000002886 河野 通洋 100124970 松本 泰宏 新地 智昭 20100609 C07C 275/16 20060101AFI20100520BHJP C07C 273/18 20060101ALI20100520BHJP C08G 18/38 20060101ALI20100520BHJP JPC07C275/16C07C273/18C08G18/38 Z C07C 275/00 C07C 273/18 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 米国特許第03795638(US,A) 米国特許第05030754(US,A) 3 2005320300 20051117 12 20070406 水島 英一郎 本発明は、長鎖アルキル鎖をペンダント状に有し、一級の水酸基を2つ有する長鎖アルキル鎖含有ジオール、その製造方法、及びそれを使用したポリウレタン樹脂に関するものである。 ウレタン樹脂は、ポリオールとポリイソシアネートをウレタン結合で連結し高分子量化した樹脂であり、ポリオールとポリイソシアネートを種々変えることにより各種の性能をウレタン樹脂に付与することができる。 ウレタン樹脂の表面に非粘着性(ノンブロッキング性)、滑り性、撥水性、親油性等を付与する目的で、ウレタン樹脂に長鎖アルキル基を導入する事が検討されている。この一般的な方法として、ウレタン樹脂の原料であるジオール成分として長鎖アルキルジオールを使用する事が知られている。長鎖アルキルジオールとしては、通常両末端に水酸基を有するジオールであり、例えば、1,8オクタンジオール、1,9ノナンジオール、1,10デカンジオール、1,12ドデカンジオール等である。これらのジオ−ルを原料としたウレタン樹脂は、主鎖に長鎖アルキル基が導入される。そのため、長鎖アルキル基が表界面に配向しにくい。又、特に1,12ドデカンジオールのような高結晶性のジオールを使用するとウレタン樹脂が非常に硬くなるという欠点がある。 しかし、長鎖アルキル基をウレタン樹脂の側鎖にペンダント状にグラフト導入できれば、長鎖アルキル基がウレタン樹脂の表面に配向し易くなり、非粘着性、滑り性、撥水性、親油性、等の性能がより向上する。 ウレタン樹脂の側鎖にペンダント状に長鎖アルキル基をグラフト導入するには、従来の、両末端に水酸基を有する1,8オクタンジオール、1,9ノナンジオール、1,10デカンジオール、1,12ドデカンジオール等のアルキレンジオ−ルではなく、長鎖アルキル鎖をペンダント状に有するジオールが必要となる。この様なジオールとしては、既にチオグリセリンを連鎖移動剤として、ポリエチレングリコール等のモノメタクリレートをラジカル重合して片末端にジオールを有するオリゴマーを使用する方法がある(例えば特許文献1及び2参照)。 しかしながらこの方法は、1)通常ジオールは一級と二級の水酸基を有し、このうち二級の水酸基がイソシアネートとの反応が遅いため、ウレタン化に時間がかかる。2)チオグリセリンと反応していない、すなわち水酸基を有していないオリゴマーが副生する。水酸基を有していないオリゴマーはイソシアネートと反応できないためウレタン樹脂に組み込まれず、ウレタン樹脂にブレンドされた状態となり、徐々にブリードアウトしたり、水や溶剤によって抽出されたりする等の問題点を有している。特開平4−178417号公報(第4頁 実施例1)特開平4−272917号公報(第5頁) 本発明の目的は、長鎖アルキル基をペンダント状に有し、一級の水酸基を2つ有する高純度の長鎖アルキル基含有ジオールを提供すること、更に、ポリイソシアネートと重付加反応することによる長鎖アルキル基含有ジオールの製造方法を提供すること、及び長鎖アルキル基を側鎖にペンダント状にグラフト導入した新規なポリウレタン樹脂を提供することである。 本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、特定のジオールとジイソシアネートとを反応させることにより、長鎖アルキル基をペンダント状に有する一級のジオールを得ることができることを見出すに及んで、本発明を完成させるに至った。 更にこのジオールを原料としてポリイソシアネートと重付加反応することによって得られる、長鎖アルキル基がポリウレタン樹脂の側鎖にペンダント状に導入された、新規なグラフトウレタン樹脂が得られることを見出した。 すなわち、本発明は、一般式(1)で示される長鎖アルキル基含有ジオ−ルを提供するものである。(式中、R1は、炭素原子数が2〜9のアルキレン基又はジアルキレンエーテル基であり、R2は、炭素原子数が8〜36のアルキル基であり、R3は、−CO−NH−R4−NH−CO−であり、R4は、炭素原子数が2〜18の炭素原子を含む有機基で、アルキレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、ビフェニレン基の何れかの官能基を含むジイソシアネート残基である。) また本発明は、一般式(2)で表される化合物 HO−R1−NHCH2CH2COO−R2 (2)(式中、R1は、炭素原子数が2〜9のアルキレン基又はジアルキレンエーテル基であり、R2は、炭素原子数が8〜36のアルキル基である。)とジイソシアネートとを反応させることを特徴とする一般式(1)の長鎖アルキル基含有ジオ−ルの製造方法を提供するものである。 本発明の、長鎖アルキル基をペンダント状に有し、一級の水酸基を2つ有する高純度の長鎖アルキル基含有ジオールは、ポリイソシアネートとの反応性に優れ、かつ長鎖アルキル基を側鎖にペンダント状にグラフト導入した新規なポリウレタン樹脂は、撥水性や、耐ブロッキング性や、非水分散性の優れる。 次に本発明を詳細に説明する。 まず、本発明の一般式(1)で表される長鎖アルキル基含有ジオールについて説明する。 一般式(1)中、R1は、炭素原子数が2〜9のアルキレン基又はジアルキレンエーテル基である。炭素原子数が2〜9のアルキレン基又はジアルキレンエーテル基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ジエチレンエーテル基、ジプロピレンエーテル基、ジブチレンエーテル基等が挙げられる。これらのうち、エチレン基、ジエチレンエーテル基等が特に好ましい。 またR2は、炭素原子数が8〜36のアルキル基であり、例えばオクチル基、デシル基、ラウリル基、セチル基、ステアリル基等が挙げられる。 さらにR3は、−CO−NH−R4−NH−CO−であり、この中のR4は、炭素原子数が2〜18の炭素原子を含む有機基である。かかる有機基としては、アルキレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、ビフェニレン基の何れかの官能基を含むジイソシアネート残基で、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)に起因するヘキサメチレン基、イソホロンジイソシアネート(IPDI)に起因するイソホロン基、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)に起因するノルボルネン基などが好ましい。 本発明の長鎖アルキル基含有ジオールは分子中に2つの1級水酸基を有し分子量としては、500〜2000が好適である。 次に、前記した一般式(1)で表される長鎖アルキル基含有ジオールの製造方法について説明する。かかる製造方法としては、まず下記化合物(I)と化合物(II)とをマイケル付加反応させて分子の末端に一級水酸基を有する化合物(III)を製造する。式で表すと下記のとおりとなる。 化合物(I)は、R1が炭素原子数が2〜9のアルキレン基又はジアルキレンエーテル基である水酸基を有する一級アミンを表し、化合物(II)は、R2が炭素原子数8〜36のアルキル基である、モノアクリレートを表す。 次いで前記の2級アミン(III)2モルと、(IV)で示されるジイソシアネート1モルとを反応させ、水酸基を残してNH基とジイソシアネートのNCO基とを反応させ、本発明の長鎖アルキル基含有ジオ−ルを製造することができる。これを式で表すと下記のとおりとなる。 化合物(I)の水酸基を有する一級アミンとしては、例えば2−アミノエタノール(モノエタノールアミン)、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、3−アミノプロパノール 4−アミノブタノール等の一級水酸基と一級アミノ基を有する化合物が挙げられる。 また、長鎖アルキル鎖を有するモノアクリレート(II)としては、例えばn−オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、n−デシル基、イソデシル基、n−ドデシル基(ラウリル基)セチル基、ステアリル基を有するモノアルコールとアクリル酸とのエステルが挙げられる。 2級アミン(III)の2級アミノ基をイソシアネート基と反応させ、2級アミノ化合物(III)を尿素結合で2量化する目的で、ジイソシアネートが使用されるが、かかるジイソシアネートとしては、例えばトリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネートなどの脂肪族或は脂環族ジイソシアネート、なかには反応性の大きい芳香族ジイソシアネートより脂肪族、脂環族ジイソシアネートの方が好ましく、具体的にはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)がより好ましく用いられる。 次に、一般式(1)の長鎖アルキル基含有ジオールをポリイソシアネートと重付加反応することによって得られる、長鎖アルキル基を側鎖にペンダント状にグラフト導入した、長鎖アルキル基含有ジオールの成分単位とポリイソシアネート成分単位を有する、数平均分子量が5000〜500000のポリウレタン樹脂について説明する。 本発明のポリウレタン樹脂の数平均分子量は5000〜500000であり、好ましくは30000〜150000のものである。 原料としては、本発明の一般式(1)の長鎖アルキル基含有ジオールと、通常のポリウレタン樹脂の原料として使用されるポリオール、ポリイソシアネートなどが挙げられる。 ポリイソシアネートと反応するポリオールとしては、本発明の一般式(1)の長鎖アルキル基含有ジオール以外に、通常ポリウレタン樹脂の原料として使用されるポリオ−ル、低分子ポリオ−ル等を併用することができる。 かかるポリオールの例としては、末端にヒドロキシル基を有する、ポリエステル、ポリカ−ボネ−ト、ポリエステルカ−ボネ−ト、ポリエ−テル、ポリエ−テルカ−ボネ−トおよびポリエステルアミド等があるが、これらのうちポリエステル、ポリカ−ボネ−ト及びポリエ−テルが好適である。 上記した末端にヒドロキシル基を有するポリエステルとしては、二価アルコ−ルと二塩基性カルボン酸との反応生成物が挙げられる。遊離ジカルボン酸の代わりに、対応の無水物又は低級アルコ−ルのジエステル或いはその混合物もポリエステルの製造に使用することができる。 二価アルコ−ルとしては、特に限定はしないが、エチレングリコ−ル、1,3−及び1,2−プロピレングリコ−ル、1,4−及び1,3−及び2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサングリコ−ル、1,8−オクタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル、1,4−ビス−(ヒドロキシメチル)−シクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、トリプロピレングリコ−ル、ジブチレングリコ−ル等が挙げられる。 二塩基性カルボン酸としては、脂肪族、脂環族、芳香族及び/又は複素環式とすることができ、不飽和であっても或いは例えばハロゲン原子で置換されていても良い。これらカルボン酸としては、限定はしないが、例えばコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメチン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラヒドロイソフタル酸、無水ヘキサヒドロイソフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマ−脂肪酸、例えばオレイン酸、ジメチルテレフタレ−ト及び混合テレフタレ−トが挙げられる。 これら末端にヒドロキシル基を有するポリエステルは、カルボキシ末端基の一部を有することもできる。例えば、ε−カプロラクトンの様なラクトン、又はε−ヒドロキシカプロン酸の様なヒドロキシカルボン酸のポリエステルも使用することができる。 一方、末端にヒドロキシル基を有するポリカ−ボネ−トとしては、例えば、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル及び/又はポリテトラメチレングリコ−ルの様なジオ−ルとホスゲン、ジアリルカ−ボネ−ト(例えばジフェニルカ−ボネ−ト)もしくは環式カ−ボネ−ト(例えばプロピレンカ−ボネ−ト)との反応生成物が挙げられる。 一方、末端にヒドロキシル基を有するポリエ−テルとしては、反応性水素原子を有する出発化合物と、例えば酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、酸化スチレン、テトラヒドロフラン、エピクロルヒドリンの様な酸化アルキレン又はこれら酸化アルキレンの混合物との反応生成物が挙げられる。 かかる反応性水素原子を有する出発化合物としては、水、ビスフェノ−ルA並びにポリエステルポリオ−ルを製造するべく上記した二価アルコ−ルが挙げられる。 上記した低分子ポリオ−ルとしては、例えば前述した二価アルコ−ルが挙げられる。 次に、本発明において用いられるポリイソシアネートとしては、下式 R(NCO)2(式中、Rは任意の二価の有機基)によって示されるジイソシアネ−トが挙げられる。 かかるポリイソシアネートの例としては、特に限定はしないが、テトラメチレンジイソシアネ−ト、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、ドデカメチレンジイソシアネ−ト、シクロヘキサン−1,3−及び1,4−ジイソシアネ−ト、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(=イソホロンジイソシアネ−ト)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン(=ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート)、2−及び4−イソシアナトシクロヘキシル−2´−イソシアナトシクロヘキシルメタン、1,3−及び1,4−ビス−(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチルシクロヘキシル)メタン、1,3−及び1,4−テトラメチルキシリデンジイソシアネ−ト、2,4−及び/または2,6−ジイソシアナトトルエン、2,2´−、2,4´−及び/または4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネ−ト、p−及びm−フェニレンジイソシアネ−ト、キシリレンジイソシアネ−ト、ジフェニル−4,4´−ジイソシネ−ト等が挙げられ、これらのうち4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、4,4’−MDIという)が好ましい。 上記したポリウレタン樹脂の製造条件としては、特に限定はないが、通常は0〜120℃、好ましくは40〜100℃で適当な有機溶媒又は水の存在下で、これらのウレタン化原料を、触媒なしで或いは公知のウレタン化触媒を用いるか或いは反応遅延剤を添加して、撹拌混合させて得られる。更に、ポリマー化の場合、反応の終点或いは終点近くで、一官能性の活性水素を有する化合物を加えて未反応のイソシアネート基を実質的に無くすこともできる。それらのうちでも、両末端にイソシアネート基を有する比較的低分子量の樹脂、すなわちウレタンプレポリマーも製造することができる。かかるウレタンプレポリマーの数平均分子量としては、1000〜10000のものが好ましい。 かかる有機溶媒の例としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ターペン等の非極性溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの有機溶媒は、ウレタン化反応の最初に全量用いても、その一部を分割して反応の途中に用いても良い。 また、ウレタン化触媒としてはジブチルスズジイソシアネート、オクチル酸第一スズのようなスズ化合物、ジアザビシクロウンデセンような3級アミン、あるいは、そのカルボン酸塩等が使用でき、使用量はウレタン樹脂の固形分に対して10ppm〜1000ppmが適当である。 反応遅延剤としては、通常リン酸等の酸が使用される。使用量はウレタン樹脂の固形分に対して10ppm〜1000ppmが適当である。 一官能性の活性水素を有する化合物とは、メタノール、ブタノールなどのモノアルコール又はジブチルアミンなどのモノアミンが使用される。 また、本発明の長鎖アルキル基含有ジオールを用いたポリウレタン樹脂に於けるNCO/OH当量比は、ポリマー化の場合は、通常0.95〜1.05、好ましくは0.98〜1.03、プレポリマー化の場合は、通常1.05〜2.5、好ましくは1.5〜2.0が用いられる。 一方、本発明においては、上記ウレタンプレポリマーに対して、場合により鎖伸長剤として有機ジアミンが使用される。 それらの有機ジアミンに特に限定はないが、例えばジアミノエタン、1,2−又は1,3−ジアミノプロパン、1,2−又は1,3−又は1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ピペラジン、N,N´−ビス−(2−アミノエチル)ピペラジン、1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキサン(=イソホロンジアミン)、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス−(4−アミノ−3−ブチルシクロヘキシル)メタン、1,2−、1,3−及び1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノプロパン、ノルボルネンジイソシアネート等があり、ヒドラジン、アミノ酸ヒドラジド、セミ−カルバジドカルボン酸のヒドラジド、ビス(ヒドラジド)及びビス(セミカルバジド)等も使用することができる。有機ジアミンを用いた鎖伸長反応条件としては、特に限定はしないが、通常80℃以下、好ましくは0〜70℃の温度で良好な撹拌条件下で実施される。 本発明のポリウレタン樹脂の製造方法には、必要に応じて反応の任意の時点で、酸化防止剤等の安定剤、滑剤、非溶剤、顔料、充填剤、帯電防止剤その他の添加剤を加えることができる。 本発明のポリウレタン樹脂は、長鎖アルキル基をウレタン樹脂の側鎖にペンダント状にグラフト導入したいわゆるクシ型ウレタン、すなわち長鎖アルキル基がクシの歯状にウレタン樹脂の側鎖に導入されたウレタン樹脂(図1)である。 側鎖に長鎖アルキル基をペンダント状に導入することにより、ポリウレタン樹脂の表面、又は界面の機能を改良することができる。例えば長鎖アルキル基を側鎖に有するウレタン樹脂は、非極性溶剤中で長鎖アルキル基をウレタン樹脂粒子の表面に配向させやすく、非極性溶剤に対する分散性を改良することができる(図2)。又ウレタン樹脂の表面に非粘着性(ノンブロッキング性)滑り性、撥水性、親油性、等を付与することができる。 次に、本発明のポリウレタン樹脂の用途としては、例えば非水分散ウレタン(非極性溶剤中に分散させたウレタン)に使用でき、従来の極性溶剤型ウレタン(強溶剤に溶解したウレタン樹脂溶液)の環境対応型製品として用いることができる。また表面に非粘着性(ノンブロッキング性)滑り性、撥水性、親油性等の性能を付与したものは、合成皮革、人工皮革、工業用部品、フィルムなどの用途に用いることができる。 次に、本発明の長鎖アルキル基含有ジオール及びそれを使用したポリウレタン樹脂について、その合成例、及び応用例を示し、本発明を更に具体的に説明する。本発明はこれら合成例、応用例に限定されるものではない。尚、合成例、応用例中の部及び%は断りのない限り重量に関するものである。又、分子量とは水酸基価から計算した数平均分子量を指すものとする。 [実施例1] オクチル基(2−エチルヘキシル基)をペンダント状に有するジオール 窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた1リットル4つ口丸底フラスコに、モノエタノールアミン,61g(1.0モル)を入れ攪拌した。ついで、2−エチルヘキシルアクリレート184g(1.0モル)を、内温を30〜40℃に保ちながら約2時間で滴下した。その後内温を40〜50℃に保ちながら5時間攪拌した。次に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)84g(0.5モル)を内温を30〜40℃に保ちながら約60分かけて投入した。投入後内温を40〜50℃に保ちながら1時間攪拌した。赤外分光光度計でイソシアネート基のピークが無いことを確認して、取りだした。得られたジオールは常温でほとんど無色透明の粘稠液体であった。高速液体クロマトグラフィー(東ソー 8020)でピ−クが1本で高純度品であることが確認できた。水酸基価の計算値 170.5 に対して水酸基価の実測値は172.1でほぼ一致し、HDIでの2量化の際、水酸基とHDIは反応していないことが確認された。DMSOを溶媒としたH−NMRの測定結果 0.8ppm:−CH3 1.2ppm:−(CH2)n− 6.2ppm:尿素結合(−NH−CO−N)尚、H−NMRではアクリル2重結合及びウレタン結合は検出されなかった。 [実施例2] n−ドデシル基(ラウリル基)をペンダント状に有するジオール 窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた1リットル4つ口丸底フラスコに、2−(2−アミノエトキシ)エタノール,105g(1.0モル)を入れ攪拌した。ついで、ラウリルアクリレート 240g(1.0モル)を、内温を30〜40℃に保ちながら約2時間で滴下した。その後内温を30〜40℃に保ちながら約5時間攪拌した。次に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)84g(0.5モル)を内温を30〜40℃に保ちながら約60分かけて投入した。投入後内温を30〜40℃に保ちながら1時間攪拌した。赤外分光光度計でイソシアネート基のピークが無いことを確認して、取り出した。得られたジオールは無色透明の粘稠液体で室温でワックス状に固化した。高速液体クロマトグラフィー(東ソー 8020)でピ−クが1本で高純度品であることが確認できた。水酸基価を測定したところ、計算値130.7 に対して実測値は 131.0 で、ほぼ一致し、HDIでの2量化の際、水酸基とHDIは反応していないことが確認された。DMSOを溶媒としたH−NMRの測定結果 0.9ppm:−CH3 1.2ppm:−(CH2)n− 6.3ppm:尿素結合(−NH−CO−N)尚、H−NMRではアクリル2重結合及びウレタン結合は検出されなかった。 [実施例3] n−オクタデシル基(ステアリル基)をペンダント状に有するジオール 窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた2リットル4つ口丸底フラスコに、2−(2−アミノエトキシ)エタノール,52.5g(0.5モル)トルエン 30g(最終NV=90%)を入れ攪拌した。ついで、粉砕したステアリルアクリレート 162g(0.5モル)を、内温を45〜50℃に保ちながら約60分で少しずつ投入した。その後内温を30〜40℃に保ちながら約5時間攪拌した。次に、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)52.5g(0.25モル)を内温を30〜40℃に保ちながら約60分かけて投入した。投入後内温を30〜40℃に保ちながら1時間攪拌した。赤外分光光度計でイソシアネート基のピークが無いことを確認して、取り出した。得られたジオールは淡黄色粘稠液体で室温で固化した。高速液体クロマトグラフィー(東ソー 8020)でピ−クが1本で高純度品であることが確認できた。水酸基価を測定したところ、計算値 94.6に対して実測値は 94.1でほぼ一致し、TMDIでの2量化の際、水酸基とTMDIは反応していないことが確認された。DMSOを溶媒としたH−NMRの測定結果 0.8ppm:−CH3 1.3pm:−(CH2)n− 6.1ppm:尿素結合(−NH−CO−N)尚、H−NMRではアクリル2重結合及びウレタン結合は検出されなかった。 [実施例4] イソステアリル基をペンダント状に有するジオール 窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた1リットル4つ口丸底フラスコに、2−(2−アミノエトキシ)エタノール,52.5g(0.5 モル)を入れ攪拌した。ついで、イソステアリルアクリレート162g(0.5モル)を、内温を45〜50℃に保ちながら約60分で投入した。その後内温を30〜40℃に保ちながら5時間攪拌した。次に、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)42g(0.25モル)を内温を30〜40℃に保ちながら約30分かけて投入した。投入後内温を30〜40℃に保ちながら1時間攪拌した。赤外分光光度計でイソシアネート基のピークが無いことを確認して、取りだした。得られたジオールは常温でほとんど無色透明で、粘稠な液体であった。高速液体クロマトグラフィー(東ソー 8020)でピ−クが1本で高純度品であることが確認できた。水酸基価の計算値 109.4 に対して水酸基価の実測値は110.3でほぼ一致し、HDIでの2量化の際、水酸基とHDIは反応していないことが確認された。DMSOを溶媒としたH−NMRの測定結果 0.8ppm:−CH3 1.2ppm:−(CH2)n− 6.2ppm:尿素結合(−NH−CO−N)尚、H−NMRではアクリル2重結合及びウレタン結合は検出されなかった。 [実施例5] ラウリル基をペンダント状に有するポリウレタン樹脂の合成 窒素導入管、冷却用コンデンサー、温度計、攪拌機を備えた1リットル4つ口丸底フラスコに、分子量 2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)100部、実施例2で得られたジオール25部、1,4−ブタンジオール10部、溶剤としてメチルエチルケトン(MEK)121部、4,4’−MDI 47部、を混合して70℃において2時間反応した後、MEK 101部とウレタン化触媒としてオクチル酸第一スズを0.02部加えて更に5時間反応し、樹脂濃度45%、粘度 300dP.s、数平均分子量が50000のポリウレタン樹脂溶液を得た。反応時間は7時間であった。 尚、H−NMRでは、ウレタン結合が検出され、赤外分光光度計でイソシアネート基のピークは検出されなかった。 [比較例1] 主鎖にドデシル基を有するポリウレタン樹脂の合成 実施例5において実施例2で得られたジオールの代わりに両末端に水酸基を有するドデカンジオールを使用して主鎖にドデシル基が導入された樹脂濃度45%、粘度 300dP.sのポリウレタン樹脂溶液を得た。反応時間は実施例5と同様7時間であった。 [比較例2] マクロモノマー法でラウリル基をペンダントに導入したポリウレタン樹脂の合成 実施例5において実施例1で得られたジオールの代わりにチオグリセリンを連鎖移動剤としてラウリルメタクリレートをラジカル重合して分子量約2000としたジヒドロキシ末端マクロモノマーを使用して樹脂濃度45%、粘度 300dP.sのポリウレタン樹脂溶液を得た。反応時間は実施例5,比較例1の約2倍要した。 水の接触角 ;前記実施例5及び比較例1,2で得られたポリウレタン樹脂溶液を離型紙上に流延し120℃5分乾燥し約50ミクロンの皮膜を作成し、これを試料として、FACE自動接触角計 CA−Z型で水の接触角を、測定した。測定結果は表−1のとおりである。耐ブロッキング性;前記実施例5及び比較例1,2で得られたポリウレタン樹脂溶液を離型紙上に流延し120℃5分乾燥し約50ミクロンの皮膜を作成し、この得られたフィルムを、2枚重ねて、500gの荷重をかけ、50℃の乾燥機に12時間おいた後、2枚のフィルムの剥離強度を、島津製作所のオートグラフAG−100KNGを用いて測定した。測定結果は表−1のとおりである。[応用例1]ドデシル基をペンダント状に導入したポリウレタン樹脂とドデシル基を主鎖に導入したポリウレタン樹脂の転相乳化品 実施例5、及び比較例1,2で得られたポリウレタン樹脂溶液を、攪拌しながらn−ヘプタンに少しずつ滴下して非水分散化した。実施例5は安定な非水分散液が得られたが、比較例1,2は、すぐに分離沈降し、安定な非水分散ポリウレタンは得られなかった。本発明のポリウレタン樹脂の概念図を示す。ポリエチレングリコール鎖を側鎖に有するポリウレタン樹脂の水中でのウレタン粒子の概念図を示す。一般式(1)で示される長鎖アルキル基含有ジオ−ル。 (式中、R1は、炭素原子数が2〜9のアルキレン基又はジアルキレンエーテル基であり、R2は、炭素原子数が8〜36のアルキル基であり、R3は、−CO−NH−R4−NH−CO−であり、R4は、炭素原子数が2〜18の炭素原子を含む有機基で、アルキレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、ビフェニレン基の何れかの官能基を含むジイソシアネート残基である。) 一般式(2) HO−R1−NHCH2CH2COO−R2 (2)(式中、R1は、炭素原子数が2〜9のアルキレン基又はジアルキレンエーテル基であり、R2は、炭素原子数が8〜36のアルキル基である。) で表される化合物とジイソシアネートとを反応させることを特徴とする請求項1記載の一般式(1)の長鎖アルキル基含有ジオ−ルの製造方法。請求項1に記載の長鎖アルキル基含有ジオールの成分単位とポリイソシアネート成分単位を有する、数平均分子量が5000〜500000のポリウレタン樹脂。


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