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タイトル:特許公報(B2)_水素化ニトリルゴムの製造方法
出願番号:2004137595
年次:2010
IPC分類:C08C 19/08,B01J 31/24,C07F 15/00,C07C 11/04,C07C 11/107,C07C 15/04,C07C 15/06,C07C 19/03,C07C 25/06


特許情報キャッシュ

フレデリック・ゲリン シャロン・エックス・グオ ツォルト・スツェンティファニー ステファン・グランダー JP 4468063 特許公報(B2) 20100305 2004137595 20040506 水素化ニトリルゴムの製造方法 ランクセス・インコーポレイテッド 504351677 Lanxess Inc. 田中 光雄 100081422 山田 卓二 100101454 森住 憲一 100104592 柴田 康夫 100083356 フレデリック・ゲリン シャロン・エックス・グオ ツォルト・スツェンティファニー ステファン・グランダー CA 2,350,280 20010612 20100526 C08C 19/08 20060101AFI20100428BHJP B01J 31/24 20060101ALI20100428BHJP C07F 15/00 20060101ALI20100428BHJP C07C 11/04 20060101ALN20100428BHJP C07C 11/107 20060101ALN20100428BHJP C07C 15/04 20060101ALN20100428BHJP C07C 15/06 20060101ALN20100428BHJP C07C 19/03 20060101ALN20100428BHJP C07C 25/06 20060101ALN20100428BHJP JPC08C19/08B01J31/24 ZC07F15/00 BC07C11/04C07C11/107C07C15/04C07C15/06C07C19/03C07C25/06 C08C 19/00 − 19/44 C08F 8/00 − 8/50 B01J 21/00 − 38/74 国際公開第02/100905(WO,A1) 12 2003503704 20020611 2004300444 20041028 16 20050610 村上 騎見高 本発明は、該技術で知られているものよりも低い分子量および狭い分子量分布を有する水素化ニトリルゴムポリマーの製造方法に関する。 アクリロニトリル-ブタジエンゴム(ニトリルゴム;NBR、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種の不飽和ニトリルおよび任意にさらなるコモノマーを含むコポリマー)の選択水素化によって製造される水素化ニトリルゴム(HNBR)は、非常に良好な耐熱性、優れた耐オゾン性および耐薬品性、並びに優れた耐油性を有する特別なゴムである。HNBRは、該ゴムの高度な機械的性質(特に、高い耐摩耗性)との結び付きから、自動車産業(シール、ホース、支承パッド)、石油産業(固定子、坑口シール、弁板)、電子産業(ケーブル外装)、機械工学産業(ホイール、ローラー)および造船産業(パイプシール、継手)において、他のものの中で、幅広い用途を見出していることは驚くべきことではない。 市販HNBRは、55〜105の範囲のムーニー粘度、200,000〜500,000g/molの範囲の分子量、3.0を超える多分散性および1〜18%の範囲の残留二重結合(RDB)含有量(IR分光法による)を有する。 HNBRの加工における1つの制限は、その比較的高いムーニー粘度である。基本的に、より低い分子量およびより低いムーニー粘度を有するHNBRは、より良好な加工性を有する。素練り(機械的分解)により、および化学的手段(例えば強酸の使用)によりポリマーの分子量を縮小させる試みがなされているが、そのような方法は、官能基(例えばカルボン酸およびエステルの基)のポリマーへの導入、およびポリマーの微細構造の変更を生ずるという欠点を有する。この結果、ポリマー性質の不利な変化が生ずる。さらにこの種のアプローチは、まさしくそれらの性質により、幅広い分子量分布を有するポリマーを生ずる。 低いムーニー粘度(<55)および向上した加工性を有するが、現在入手できるゴムと同じ微細構造を有する水素化ニトリルゴムは、現在の技術を使用して製造することが困難である。HNBRを製造するためのNBRの水素化は、結果として、原料ポリマーのムーニー粘度を上昇させる。このムーニー増加率(MIR)は、ポリマーのグレード、水素化度および供給原料の性質に応じて、一般におよそ2である。さらにNBR自身の製造に関係する制限は、HNBR原料のための低い粘度範囲を押し付ける。現在入手できる最も低いムーニー粘度の製品の1つは、Therban(商標) VP KA 8837(Bayer から入手可能) であり、これは、ムーニー粘度(ML 1+4、100℃)55およびRDB 18%を有する。 主要な群のアルキル化剤と組合せた或る金属塩は、穏やかな条件下でオレフィン重合を促進するために高度に有効であるという Karl Ziegler の発見は、現在まで、化学の研究および製造に対してかなりの影響力を有している。いくつかの「チーグラー型」触媒は、提案された配位-挿入機構を促進するだけでなく、図1に示されるような機構によるアルケンの相互交換(またはメタセシス)反応という全く異なる化学プロセスももたらすことが、初期に発見された。 非環式ジエンメタセシス(またはADMET)は、非常には幅広い遷移金属錯体および非金属系により触媒される。金属酸化物、スルフィドまたは金属塩をベースとする不均一触媒系は、当初、オレフィンのメタセシスのために使用された。しかしながら制限される安定性(特にヘテロ置換基に対して)および多数の活性部位から生ずる選択性の欠落および副反応は、不均一系の主要な欠点である。 均一系も案出されており、オレフィンメタセシスを行うために使用されている。これらの系は、不均一触媒系に対してかなりの活性および制御の利点を提供する。例えば或るロジウムベース錯体は、電子リッチオレフィンのメタセシスのために有効な触媒である。 或る金属-アルキリデン錯体がオレフィンメタセシスを触媒することができるという発見は、良定義(well-defined)の高活性シングルサイト触媒を新しく生じさせるという開発を引き起こした。これらの中でビス-(トリシクロへキシルホスフィン)-ベンジリデンルテニウムジクロリド(一般に Grubb 触媒として知られている)は、その注目すべき空気および水分に対する不感受性、並びに様々な官能基に対する高い許容性の故に幅広く使用されている。モリブデンベースメタシス触媒とは異なり、このルテニウムカルベン触媒は、酸、アルコール、アルデヒドおよび第4級アミン塩に対して安定であり、様々な溶媒(C6H6、CH2Cl2、THF、t-BuOH)中で使用することができる。 遷移金属触媒アルケンメタセシスの使用は、その後、合成法としてますます注目を集めている。最も一般に使用される触媒は、Mo、WおよびRuをベースとする。研究努力は、主として小さい分子の合成に集中しているが、オレフィンメタセシスのポリマー合成への適用は、前例の無い性質を有する新規ポリマー物質(例えば高度に立体規則性のポリノルボルナジエン)の製造を可能にしている。 低分子量化合物を不飽和エラストマーから製造するための手段としてのオレフィンメタセシスの使用は、ますます関心を集めている。不飽和ポリマーの分子量縮小についての原理は、図2に示される。適切な触媒の使用は、ポリマーの不飽和とコオレフィンとの交差メタセシスを可能にする。その最終結果は、不飽和部位でのポリマー鎖の開裂およびより低い分子量を有するポリマーフラグメントの生成である。さらにこのプロセスの別の効果は、ポリマー鎖長の「均一化」であり、その結果、多分散性の縮小が生ずる。適用および加工の観点から、原料ポリマーの狭い分子量分布は、結果として加硫ゴムの向上した物性を生じ、一方でより低い分子量は、良好な加工挙動を提供する。 1,3-ブタジエンと様々なコモノマー(スチレン、プロペン、ジビニルベンゼンおよびエチルビニルベンゼン、アクリロニトリル、ビニルトリメチルシランおよびジビニルジメチルシラン)とのコポリマーの、伝統的なMoおよびW触媒系の存在下における、いわゆる「解重合」が研究されている。同様に、WCl6およびSnMe4またはPhC≡CH助触媒を使用するニトリルゴムの分解は、1988年に報告されている。しかしながらそのような研究の焦点は、通常の化学的手段により特徴づけられ得る低分子量フラグメントのみを製造することであり、低分子量ニトリルゴムポリマーの製造に関する教示を含んでいない。さらにそのような方法は、非制御であり、幅広い範囲の生成物を生ずる。 置換オレフィンまたはエチレン(連鎖移動剤として)の存在下および良定義 Grubb または Schrock 触媒の存在下における、1,4-ポリブタジエンの触媒解重合も可能である。ポリマー主鎖に沿って内部不飽和を有するゲル化ポリマーから、低分子量ポリマーまたはオリゴマーを製造するための、一般構造式:{M(=NR1)(OR2)2(=CHR);M=Mo、W}で示されるモリブデンまたはタングステン化合物の使用は、US 5,446,102 で特許請求された。しかしながら再び、開示されている該方法は非制御であり、低分子量ニトリルゴムポリマーの製造に関する教示は無い。米国特許第5,446,102号明細書 本発明の目的は、従来技術で知られているものよりも低い分子量および狭い分子量分布を有する水素化ニトリルゴムポリマーを製造する方法を提供することである。 本発明者は、従来技術で知られているものよりも低い分子量および狭い分子量分布を有する水素化ニトリルゴムポリマーが、ニトリルブタジエンゴムのオレフィンメタセシス、次いで得られたメタセシス化NBRの水素化により製造できることを、見出した。 すなわち、本発明は、以下の工程を含む水素化ニトリルの製造方法を提供する: a)少なくとも1種のコオレフィンおよび下記一般式 I、II、III または IV で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の存在下で、ニトリルゴムを反応させ:〔式中、 Mは、OsまたはRuであり、 RおよびR1は、独立に、水素、またはC2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルからなる群から選ばれる炭化水素であり、 XおよびX1は、独立に、アニオン配位子であり、 LおよびL1は、独立に、電気中性配位子、例えばホスフィン、アミン、チオエーテル若しくはイミダゾリジン、または電気中性カルビン(carbine)であり、任意にLおよびL1は、相互に連結して、電気中性の二座配位子を形成し得る。〕;〔式中、 M1は、OsまたはRuであり、 R2およびR3は、独立に、水素、またはC2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルからなる群から選ばれる炭化水素であり、 X2は、アニオン配位子であり、 L2は、電気中性単環または多環π結合配位子であり、 L3は、ホスフィン、スルホン化ホスフィン、フッ素化ホスフィン、3つまでのアミノアルキル基、アンモニウムアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、ヒドロキシカルボニルアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはケトアルキル基を有する官能化ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスフィンアミン、アルシン、スチベン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、チオエーテルおよびピリジンからなる群から選ばれる配位子であり、 Y-は、非配位アニオンであり、 nは、0〜5の範囲の整数である。〕;〔式中、 M2は、MoまたはWであり、 R4およびR5は、独立に、水素、またはC2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルからなる群から選ばれる炭化水素であり、 R6およびR7は、独立に、未置換またはハロ置換のアルキル、アリール、アラルキル基またはそのケイ素含有類似体から選ばれる。〕;〔式中、 Mは、OsまたはRuであり、 RおよびR1は、独立に、水素、置換または未置換アルキル、および置換または未置換アルキルからなる群から選ばれ、 XおよびX1は、独立に、アニオン配位子であり、 LおよびL1は、独立に、電気中性配位子、例えばホスフィン、アミン、チオエーテル若しくはイミダゾリジン、または電気中性カルビンであり、任意にLおよびL1は、相互に連結して、電気中性の二座配位子を形成し得る。〕、 b)工程a)の生成物を水素化する。 本発明の製造方法により製造される水素化ニトリルゴムは、典型的には、30,000〜250,000g/molの範囲の分子量(Mw)、3〜50の範囲のムーニー粘度(ML 1+4、100℃)、および2.5未満のMWD(または多分散性指数(polydispersity index))を有する。 本発明の製造方法により製造される水素化ニトリルゴムは、造形品、例えばシール、ホース、支承パッド、固定子、坑口シール、弁板、ケーブル外装、ホイール、ローラー、パイプシールまたは履物部品を製造するために、好ましく使用することができる。 この明細書を通じて使用する場合、用語「ニトリルポリマー」は、幅広い意味を有することを意図し、少なくとも1種の共役ジエン、少なくとも1種のα,β-不飽和ニトリルおよび任意にさらなる1種またはそれ以上の共重合性モノマーから誘導される反復単位を有するコポリマーを包含することを意味する。 共役ジエンは、あらゆる既知の共役ジエン、特にC4〜C6共役ジエンであり得る。好ましい共役ジエンは、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、2,3-ジメチルブタジエンおよびこれらの混合物である。さらにより好ましいC4〜C6共役ジエンは、ブタジエン、イソプレンおよびこれらの混合物である。最も好ましいC4〜C6共役ジエンはブタジエンである。 α,β-不飽和ニトリルは、あらゆる既知のα,β-不飽和ニトリル、特にC3〜C5-α,β-不飽和ニトリルであり得る。好ましいC3〜C5-α,β-不飽和ニトリルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルおよびこれらの混合物である。最も好ましいC3〜C5-α,β-不飽和ニトリルはアクリロニトリルである。 好ましくはコポリマーは、40〜85質量%の範囲の1種またはそれ以上の共役ジエンから誘導される反復単位および15〜60質量%の範囲の1種またはそれ以上の不飽和ニトリルから誘導される反復単位を含む。より好ましくはコポリマーは、60〜75質量%の範囲の1種またはそれ以上の共役ジエンから誘導される反復単位および25〜40質量%の範囲の1種またはそれ以上の不飽和ニトリルから誘導される反復単位を含む。最も好ましくはコポリマーは、60〜70質量%の範囲の1種またはそれ以上の共役ジエンから誘導される反復単位および30〜40質量%の範囲の1種またはそれ以上の不飽和ニトリルから誘導される反復単位を含む。 任意にコポリマーは、さらに1種またはそれ以上の共重合性モノマー、例えば不飽和カルボン酸から誘導される反復単位を含み得る。適当な不飽和カルボン酸の非限定例は、フマル酸、マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸およびこれらの混合物である。1種またはそれ以上の共重合性モノマーから誘導される反復単位は、ニトリルゴムのニトリルまたはジエン部分のいずれかに置き換わることができ、当業者にとって上記の数字が、100質量%となるように調節される必要があることは明らかであろう。記載した不飽和カルボン酸の場合にニトリルゴムは、好ましくはゴムの1〜10質量%の範囲の1種またはそれ以上のカルボン酸から誘導される反復単位を含み、この量は、対応量の共役ジオレフィンに取って代わる。 他の好ましいさらなる任意モノマーは、不飽和モノ-またはジカルボン酸またはその誘導体(例えばエステル、アミドなど)であり、これはその混合物を含む。 本発明のHNBRは、2工程の合成で容易に得ることができ、これは、同じ反応構成または異なる反応器内で行うことができる。 工程1:メタセシス メタセシス反応は、一般式 I、II、III または IV で示される1種またはそれ以上の化合物の存在下で行われる:〔式中、 Mは、OsまたはRuであり、 RおよびR1は、独立に、水素、またはC2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルからなる群から選ばれる炭化水素であり、 XおよびX1は、独立に、アニオン配位子であり、 LおよびL1は、独立に、電気中性配位子、例えばホスフィン、アミン、チオエーテル若しくはイミダゾリジン、または電気中性カルビン(carbine)であり、任意にLおよびL1は、相互に連結して、電気中性の二座配位子を形成し得る。〕;〔式中、 M1は、OsまたはRuであり、 R2およびR3は、独立に、水素、またはC2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルからなる群から選ばれる炭化水素であり、 X2は、アニオン配位子であり、 L2は、単環または多環であるかどうかに関わらず、電気中性π結合配位子であり、 L3は、ホスフィン、スルホン化ホスフィン、フッ素化ホスフィン、3つまでのアミノアルキル基、アンモニウムアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、ヒドロキシカルボニルアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはケトアルキル基を有する官能化ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスフィンアミン、アルシン、スチベン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、チオエーテルおよびピリジンからなる群から選ばれる配位子であり、 Y-は、非配位アニオンであり、 nは、0〜5の範囲の整数である。〕;〔式中、 M2は、MoまたはWであり、 R4およびR5は、独立に、水素、またはC2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルからなる群から選ばれる炭化水素であり、 R6およびR7は、独立に、未置換またはハロ置換のアルキル、アリール、アラルキル基またはそのケイ素含有類似体から選ばれる。〕;〔式中、 Mは、OsまたはRuであり、 RおよびR1は、独立に、水素、置換または未置換アルキル、および置換または未置換アルキルからなる群から選ばれ、 XおよびX1は、独立に、アニオン配位子であり、 LおよびL1は、独立に、電気中性配位子、例えばホスフィン、アミン、チオエーテル若しくはイミダゾリジン、または電気中性カルビンであり、任意にLおよびL1は、相互に連結して、電気中性の二座配位子を形成し得る。〕。 式 I で示される化合物が好ましい。式中のLおよびL1がトリアルキルホスフィンであり、XおよびX1が塩素イオンであり、Mがルテニウムである式 I で示される化合物が、さらにより好ましい。 化合物の量は、該化合物の性質および触媒活性に依存する。NBRに対する化合物の比は、典型的に0.005〜5の範囲、好ましくは0.025〜1の範囲、より好ましくは0.1〜0.5の範囲である。 メタセシス反応は、コオレフィンの存在下で行われ、このコオレフィンは、好ましくはC2〜C16直鎖または分枝オレフィン、例えばエチレン、イソブテン、スチレンまたは1-ヘキセンである。コオレフィンが液状(例えば1-ヘキセン)である場合、コオレフィンの使用量は、好ましくは1〜200質量%である。コオレフィンが気体(例えばエチレン)である場合、コオレフィンの使用量は、1×105Pa〜1×107Paの範囲、好ましくは5.2×105Pa〜4×106Paの範囲の反応容器圧力が生ずるような量である。 メタセシス反応を、触媒を失活させない、そうでなければ反応を妨げない適当な溶媒中で行うことができる。好ましい溶媒は、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサンなどを含むが、これらに限定されない。最も好ましい溶媒はモノクロロベンゼン(MCB)である。或る場合にコオレフィン自体が溶媒として機能し(例えば1-ヘキサン)、その場合では他の溶媒は必要ではない。 反応混合物中のニトリルポリマー(NBR)濃度は重大ではないが、それは明らかに、例えば混合物が粘性すぎて有効に攪拌できないとしても、反応が阻害されないような濃度であるべきである。NBR濃度は、好ましくは1〜20質量%の範囲、最も好ましくは6〜15質量%の範囲である。 メタセシス反応は、20〜140℃の範囲、好ましくは60〜120℃の範囲の温度で行われる。 反応時間は、多くの因子、例えばセメント濃度、触媒の使用量および反応が行われる温度に依存する。メタセシスは、典型的な条件下で通常、最初の2時間以内で完了する。メタセシス反応の経過を、標準的な分析技術により、例えばGPCまたは溶液粘度を使用することにより監視することができる。明細書を通じて表示される場合はいつも、ポリマーの分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、Waters 2690 Separation Module(分離モジュール) および Waters 410 Differential Refractometer(示差屈折計) を使用し、Waters Millenium ソフトウェア バージョン3.05.01で動作させて測定した。試料は、0.025%のBHTで安定させたテトラヒドロフラン(THF)中に溶解させた。測定のために使用したカラムは、Polymer Labs からの3つの連続混合-Bゲルカラムであった。使用した参照標準は、American Polymer Standards Corp. からのポリスチレン標準であった。 工程2:水素化 メタセシス反応後にニトリルポリマーは、部分または完全水素化ニトリルゴム(HNBR)を生じさせるために、水素化されなければならない。メタセシス反応からの生成物の還元を、該技術で既知の標準的な還元技術を使用して行うことができる。例えば当業者に既知の均一水素化触媒、例えばウィルキンソン触媒{(PPh3)3RhCl}などを使用することができる。 水素化を、インサイチューで、即ち同じ反応容器内で行うことができ、その中でメタセシス工程を行い、まずメタセシス化生成物を分離する必要は無い。水素化触媒を、単純に容器に添加し、次いで水素で処理して、HNBRを製造する。 Grubb 触媒は、水素の存在下でジヒドリド錯体(PR3)2RuCl2H2に転化され、これ自体、オレフィンの水素化触媒である。従って望ましいワンポット反応において Grubb 触媒は、コオレフィンの存在下でNBRの分子量を縮小するために使用された。次いで反応混合物を、水素で処理し、Grubb 錯体をジヒドリド種に転化し、次いでこれがメタセシス生成物を水素化して、本発明のHNBRを製造する。この場合の水素化速度は、ウィルキンソン触媒を水素化工程のために使用する場合よりも低いが、そのようなアプローチは、確かに実行可能なものであることは明らかである。 本発明における水素化は、好ましくは、出発ニトリルポリマー中に存在する残留二重結合(RDB)の50%より多くを水素化することと理解され、好ましくはRDBの90%より多くを水素化し、より好ましくはRDBの95%より多くを水素化し、最も好ましくはRDBの99%より多くを水素化する。 本発明の目的を形成する低ムーニーのHNBRを、該技術において既知の標準的技術により特性評価することができる。例えばポリマーの分子量分布を、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、Waters 2690 Separation Module および Waters 410 Differential Refractometer を使用し、Waters Millenium ソフトウェア バージョン3.05.01で動作させて測定した。試料は、0.025%のBHTで安定させたテトラヒドロフラン(THF)中に溶解させた。測定のために使用したカラムは、Polymer Labs からの3つの連続混合-Bゲルカラムであった。使用した参照標準は、American Polymer Standards Corp. からのポリスチレン標準であった。 ゴムのムーニー粘度を、ASTM試験D1646を使用して測定した。 本発明の水素化ニトリルゴムは、造形品、例えばシール、ホース、支承パッド、固定子、坑口シール、弁板、ケーブル外装、ホイール、ローラー、パイプシールまたは履物部品を製造するために非常に好適である。 実施例1〜4 ビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリド(Grubb メタセシス触媒)、1-ヘキセンおよびモノクロロベンゼン(MCB)を、それぞれ Alfa、Aldrich Chemicals および PPG から購入し、受け取ったまま使用した。ペルブナン(Perbunan)は、Bayer Inc から得られた。 メタセシス反応を、Parr 高圧反応器内で以下の条件で行った: セメント濃度:6〜15質量% コオレフィン:エチレンまたは1-ヘキセン コオレフィン濃度:表A参照 攪拌速度:600rpm 反応器温度:表A参照 触媒装填量:表A参照 溶媒:モノクロロベンゼン 基材:ランダムブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、これは、アクリロニトリル含有量34モル%およびムーニー粘度(ML 1+4、100℃)35を有する。 反応器を所望の温度に加熱し、Grubb 触媒を含有するモノクロロベンゼン溶液60mlを反応器に添加した。反応器を、実施例1〜3では所望のエチレン圧、または実施例4では窒素100psiに加圧した。温度を、反応持続中で一定に維持した。温度コントローラーおよび熱センサーに連結した冷却コイルを、温度を調節するために使用した。反応経過を、6%のセメントに対する溶液粘度測定を使用して監視した。より高いセメント濃度で反応は、18時間後に完了すると推定された。 水素化反応を、メタセシスと同じ反応器内で以下の条件で行った: セメント固形分濃度:12% H2(g)圧:1200psi 攪拌速度:600rpm 反応器温度:138℃ 触媒装填量(ウィルキンソン):0.08phr トリフェニルホスフィン:1phr 溶媒:モノクロロベンゼン。 メタセシス反応からのセメントを、最大攪拌下においてH2(100psi)で3回脱気した。反応器温度は130℃に上昇し、ウィルキンソン触媒およびトリフェニルホスフィンを含有するモノクロロベンゼン溶液60mlを反応器に添加した。温度を138℃に上昇させ、反応持続中で一定に維持した。水素化反応を、様々な間隔でIR分光法を使用して残留二重結合(RDB)量を測定することにより監視した。 代りにルテニウムメタセシス触媒を、ポリマーを水素化するために使用することができた。 実施例1:詳細 ゴム200gを、MCB 1133gに溶解させた(固形分15質量%)。次いで該セメントを反応器に装填し、最大攪拌下においてC2H4(6.9×105Pa)で3回脱気した。 実施例2:詳細 ゴム200gを、MCB 1133gに溶解させた(固形分15質量%)。次いで該セメントを反応器に装填し、最大攪拌下においてC2H4(6.9×105Pa)で3回脱気した。 実施例3:詳細 ゴム75gを、MCB 1175gに溶解させた(固形分6質量%)。次いで該セメントを反応器に装填し、最大攪拌下においてC2H4(6.9×105Pa)で3回脱気した。 実施例4:詳細 ゴム75gを、MCB 1175gに溶解させた(固形分6質量%)。次いで該セメントを反応器に装填した。1-ヘキセン150gを反応器に添加し、混合物を最大攪拌下において乾燥N2で3回脱気した。 典型的な生成物ではMnは27kg/molであり(これと比べて出発ポリマーは85kg/molである)、一方、Mwは54kg/molである(これと比べて出発ポリマーは296kg/molである)。期待されるように分子量分布は、出発基材原料の3.4からメタセシス化生成物の2.0に低下する。これは、ポリマー鎖長および分子量のより均一な範囲と一致する。 選択試料のポリマー性質の一覧を、表Iに示す。GPCの結果は、Mwの5分の1までの縮小および最小1.90への多分散性指数(PDI)の減縮を示す。「チーグラー型」触媒による、アルケンの相互交換(またはメタセシス)反応の機構を示す図である。不飽和ポリマーの分子量縮小についての原理を説明する図である。 a)少なくとも1種のコオレフィンおよび下記一般式 I、II、III または IV で示される化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の存在下で、ニトリルゴムを反応させ:〔式中、 Mは、OsまたはRuであり、 RおよびR1は、独立に、水素、またはC2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルからなる群から選ばれる炭化水素であり、 XおよびX1は、独立に、アニオン配位子であり、 LおよびL1は、独立に、電気中性配位子であり、任意にLおよびL1は、相互に連結して、電気中性の二座配位子を形成し得る。〕;〔式中、 M1は、OsまたはRuであり、 R2およびR3は、独立に、水素、またはC2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルからなる群から選ばれる炭化水素であり、 X2は、アニオン配位子であり、 L2は、電気中性単環または多環π結合配位子であり、 L3は、ホスフィン、スルホン化ホスフィン、フッ素化ホスフィン、3つまでのアミノアルキル基、アンモニウムアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、ヒドロキシカルボニルアルキル基、ヒドロキシアルキル基またはケトアルキル基を有する官能化ホスフィン、ホスファイト、ホスフィナイト、ホスホナイト、ホスフィンアミン、アルシン、スチベン、エーテル、アミン、アミド、イミン、スルホキシド、チオエーテルおよびピリジンからなる群から選ばれる配位子であり、 Y-は、非配位アニオンであり、 nは、0〜5の範囲の整数である。〕;〔式中、 M2は、MoまたはWであり、 R4およびR5は、独立に、水素、またはC2〜C20アルケニル、C2〜C20アルキニル、C1〜C20アルキル、アリール、C1〜C20カルボキシレート、C1〜C20アルコキシ、C2〜C20アルケニルオキシ、C2〜C20アルキニルオキシ、アリールオキシ、C2〜C20アルコキシカルボニル、C1〜C20アルキルチオ、C1〜C20アルキルスルホニルおよびC1〜C20アルキルスルフィニルからなる群から選ばれる炭化水素であり、 R6およびR7は、独立に、未置換またはハロ置換のアルキル、アリール、アラルキル基またはそのケイ素含有類似体から選ばれる。〕;〔式中、 Mは、OsまたはRuであり、 RおよびR1は、独立に、水素、置換または未置換アルキル、および置換または未置換アルキルからなる群から選ばれ、 XおよびX1は、独立に、アニオン配位子であり、 LおよびL1は、独立に、電気中性配位子であり、任意にLおよびL1は、相互に連結して、電気中性の二座配位子を形成し得る。〕、 b)工程a)の生成物を水素化することを含んでなる、水素化ニトリルゴムの製造方法。 水素化を均一触媒条件で行う請求項1に記載の製造方法。 均一接触還元をその場(in situ)で行う請求項2に記載の製造方法。 工程a)において触媒としてビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ベンジリデンルテニウムジクロリドを使用し、工程b)の前または工程b)中に付加的な水素化触媒を添加しない請求項1に記載の製造方法。 メタセシス触媒は式Iで示される化合物である請求項1に記載の製造方法。 LおよびL1はトリアルキルホスフィンであり、XおよびX1は塩素イオンであり、Mはルテニウムである請求項5に記載の製造方法。 該化合物対ニトリルゴムの比は0.005〜5の範囲にある請求項1に記載の製造方法。 コオレフィンはC2〜C16直鎖または分枝オレフィンである請求項1に記載の製造方法。 コオレフィンは液体であり、使用されるコオレフィンの量は1〜200質量%の範囲である請求項1に記載の製造方法。 コオレフィンは気体であり、使用されるコオレフィンの量は、1×105Pa〜1×107Paの範囲の反応容器圧力が生ずるような量である請求項1に記載の製造方法。 モノクロロベンゼン、ジクロロメタン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフランおよびシクロヘキサンからなる群から選択される不活性溶媒中で行う請求項1に記載の製造方法。 水素化を、(PPh3)3RhClの存在下に行う請求項1に記載の製造方法。


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