タイトル: | 特許公報(B2)_カルシウムの測定方法および測定試薬 |
出願番号: | 2004119705 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | G01N 31/00,G01N 21/78,G01N 31/22 |
小島 良 野田 健太 片山 勝博 JP 4123181 特許公報(B2) 20080516 2004119705 20040415 カルシウムの測定方法および測定試薬 日東紡績株式会社 000003975 浅村 皓 100066692 浅村 肇 100072040 長沼 暉夫 100088926 池田 幸弘 100102897 小島 良 野田 健太 片山 勝博 20080723 G01N 31/00 20060101AFI20080703BHJP G01N 21/78 20060101ALI20080703BHJP G01N 31/22 20060101ALI20080703BHJP JPG01N31/00 TG01N21/78 ZG01N31/22 124 G01N 31/00−G01N 31/22 JSTPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 国際公開第93/013422(WO,A1) 特開昭48−003798(JP,A) 根占 哲也,血清総カルシウム測定の現状と今後,都臨技会誌,2006年,Vol.34, No.5,p.270-281 7 2005300435 20051027 10 20051121 白形 由美子 本発明は、キレート化剤である抗凝固剤を含む血漿試料などの生体試料中のカルシウムを、抗凝固剤の影響を受けずに簡単で正確に測定できるカルシウム測定方法およびそれに用いる測定試薬に関する。 臨床検査分野においては、生体試料中の各種金属を測定して各種疾患の診断が広く行なわれている。例えば、腎炎、ネフローゼなどの診断のためにカルシウム測定が利用されている。生体試料中のカルシウムを臨床的に測定する方法としては、試料中のカルシウムとキレート発色剤(例えば、オルトクレゾールフタレインコンプレクソン、メチルキシレノールブルー)とを反応させ、生成するキレートを比色定量することによりそれを測定する方法、すなわち、キレート発色法が一般的である。この際、生体試料としては、血漿ではなく血清が使用されている。しかし、血清は、自然放置で蛋白性凝固因子等を除去するため、調製するのに時間がかかり、緊急測定には不向きであるという問題があった。一方、それに対し、血漿は、採取血液をキレート化剤(EDTA、クエン酸等のような抗凝固剤)に加えただけで調整できるため調整時間が短く、緊急時の測定には適当である。しかしながら、血漿を用いた場合、その中のカルシウムは、EDTAやクエン酸のようなキレート化剤と強く結合しているため、キレート発色剤を加えても、キレート化剤から解離することができず、その結果、キレート発色剤とカルシウムイオンとのキレート複合体を形成できず、カルシウムを正確に測定することは、不可能であった。 一方、特許文献1には、キレート化剤(抗凝固剤)と結合している血漿試料中の金属を測定するために血漿試料に他の金属を添加してキレート化剤と結合している金属を解離させ、次いで、解離した金属をキレート発色法で測定する方法が提案されている。特許文献1の提案を参考にすれば、血漿中のカルシウムを測定するため、カルシウム以外の金属を血漿に添加し、キレート化剤(抗凝固剤)とその金属とを反応させることによりカルシウムイオンを解離させ、次いで、そのカルシウムをキレート発色法で測定することも考えられる。しかし、これに関し、本発明者らは、多数の金属イオンを検討したが、添加した金属イオンは、EDTAと結合しているカルシウムを十分に解離できなかったり、また、その金属イオン自体がキレート発色剤と反応したりして、正確にカルシウムを測定できないことが判明した。かくして、キレート化剤を含む生体試料中のカルシウムを、キレート発色法で測定する方法は、現在、臨床的には全くないのが実状である。 一方、キレート発色法の代わりに酵素法を用いてカルシウムを測定する方法も考えられる。酵素法は、アミラーゼやトランスグルタミナーゼ等の酵素が反応する際、カルシウムイオンを要求することを利用して、カルシウムを測定する方法である。そのような酵素反応では、キレート化剤より高い結合次数を用いた反応系であるため、酵素法により血漿中のカルシウムを測定することは可能である。しかしながら、酵素試薬自体が大変高価であるためコストの面から問題とされる。国際公開第WO93/13422号パンフレット 上記した背景技術下においては、キレート化剤を含む血漿を用いて、キレート発色法によるカルシウムの測定方法の提供が望まれていた。 このような実状において、驚くべきことに、本発明者らは、金属イオンの代わりに、特定の金属酸化物イオン、すなわち、バナジン酸イオンを用いると、キレート発色法でも、血漿中のカルシウムを測定できることを発見した。本発明は、かかる経過により見出されたものである。 本発明は、キレート化剤を含む生体試料中のカルシウムをキレート発色剤と反応させて測定するに際し、キレート化剤と結合しているカルシウムをバナジン酸イオンの存在下で解離させて、キレート発色剤とカルシウムとを反応させて測定することを特徴とするカルシウムの測定方法である。 更に本発明は、バナジン酸イオンおよびキレート発色剤を含む、キレート化剤を含む生体試料中のカルシウム測定用試薬である。 本発明は、キレート化剤である抗凝固剤の影響を受けず、簡単で正確に測定できるカルシウム測定方法を提供する。また、本発明の測定法は、血液凝固が待てない緊急時においても、血漿試料を用いてカルシウム値を測定することが可能である。 本発明においては、キレート化剤を含む生体試料中のカルシウムをキレート発色剤と反応させて測定するに際し、キレート化剤と結合しているカルシウムをバナジン酸イオンにより解離させて、キレート発色剤とカルシウムとを反応させることにより、キレート化剤である抗凝固剤の影響を受けず、簡単で正確にカルシウムを測定できる。他の金属イオンとは異なり、バナジン酸イオンを用いるとカルシウムを正確に測定できるのは以下の理由によるものと考えられる。(1)バナジン酸イオンは、キレート化剤(EDTA等)とは結合するが、キレート発色剤とは結合しないので非特異的な発色が抑えられ、その分の誤差がほとんどないことが考えられる。すなわち、キレート発色剤は、芳香族環を有するので、特定の配位で結合すると考えられ、立体的に込み合っている金属酸化物イオンであるバナジン酸イオンは、キレート発色剤とは結合しにくいと考えられる。一方、マンガンイオンのような他の金属イオンは、金属のまわりに立体障害がなく、特定の配位でもキレート発色剤と結合するため、その分の発色により、カルシウムを正確に測定できないと考えられる。なお、キレート化剤、例えば、EDTAは、イオン化した金属と様々な配位結合をとりうるので、バナジン酸イオン中のバナジウム、すなわち、酸素と結合して立体的に込み合っているバナジウムとも結合しやすい。(2)バナジン酸イオンは、キレート化剤に対して、カルシウムよりキレート生成定数が大きいので、キレート化剤に結合しているカルシウムを解離させやすい。 本発明において、キレート化剤を含む生体試料中のカルシウムを、バナジン酸イオンの存在下で解離させ、キレート発色剤と反応させるには、例えば、キレート化剤を含む生体試料とバナジン酸イオンを混合することにより、キレート化剤と結合しているカルシウムを解離させ、次いで、得られる混合液に、キレート発色剤を加えて、カルシウムとキレート発色剤とを反応させることが好ましい。その反応の後、カルシウムとキレート発色剤との結合物、すなわち、発色キレートの量を測定することにより、生体試料中のカルシウム濃度を測定することができる。 本発明において、キレート化剤は、血液の凝固を防止するためのキレート化剤、すなわち、抗凝固用キレート化剤が好適な対象である。そのようなキレート化剤は、通常、環状構造を持たない化合物であり、血液凝固因子に関与するカルシウムと結合することにより、血液凝固を抑制できる。このようなキレート化剤として、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、クエン酸を例示できるが、EDTAが好適な対象である。 本発明においては、キレート化剤を含む生体試料としては、キレート化剤と採取血液とを混合したもの、すなわち、血漿またはその希釈液が好適である。 本発明で用いられるバナジン酸イオンとしては、本発明の目的に使用できるものであれば特に限定されないが、例えば、VO3−、VO43−等の5価のバナジウムを含むものが好ましい。これらのバナジン酸イオンを、生体試料中に添加するときには、塩として、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属類の塩やアンモニウム塩等の塩として用いることが溶解性の面から好ましい。 カルシウムとキレート発色剤とを反応させるときは、pHが7.5以下で反応させることが好ましく、pH3.0〜7.0がさらに好ましく、pH5.0〜7.0がさらに好ましい。発色反応の際にpHが高すぎると、キレート化剤、例えば、EDTAはイオン化しやすくカルシウムと結合が強いためバナジン酸イオンを加えてもカルシウムの解離が不十分なときがある。また、pHが低すぎると、キレート発色剤が試料中の蛋白質と結合しやすくなり正誤差を与えたりすることがある。 キレート発色剤としては、カルシウムと結合して発色させるものであるが、好ましくはpH7.5以下、さらに好ましくはpH3.0〜7.0、特に好ましくpH5.0〜7.0で発色を測定できるものを用いると良い。カルシウムを、キレート化剤(例えばEDTA)との結合物等から十分に解離し、さらに、十分に発色させるという点でアルセナゾーIIIが好ましい。本明細書において、アルセナゾーIIIとは、下記の化学名と構造式をもつ化合物である。 アルセナゾーIIIを用いる場合、遊離酸の形でも2ナトリウム塩のような塩の形でも使用できる。アルセナゾーIIIの濃度は、カルシウムと反応するときの濃度として0.01〜1mMが好ましく、0.1〜0.5mMがさらに好ましい。 本発明においては、試料中のキレート化剤が高濃度であった場合には、試料中のキレート化剤とは別に、さらに過剰のキレート化剤をキレート発色反応液に含有させた方が、試料中のキレート化剤の影響回避に効果がある。これは、キレート化剤を含む試料に、さらにキレート化剤を混合させた場合に、キレート発色反応液中において試料中のキレート化剤の濃度の影響を見かけ上なくすことで、試料中に高濃度のキレート化剤が含有されても影響を回避することができる。キレート発色反応するとき新たに添加した分のキレート化剤の濃度は、試料中のキレート化剤の量により適宜調整することが好ましい。 本発明の測定方法は、たとえば、バナジン酸イオンおよびキレート発色剤を含む、生体試料中のカルシウム測定用試薬によって実施できる。この場合、バナジン酸イオンを含む第一試薬とキレート発色剤を含む第二試薬とから構成されるカルシウム測定用キットを使用することが好ましい。それら各試薬中のバナジン酸イオンやキレート発色剤の濃度は、前記の測定法で記載したとおり、カルシウムとキレート発色剤との反応時に適する濃度になるように調製しておくことが好ましい。第一試薬と第二試薬のpHは、カルシウムとキレート発色剤とを反応させるときに、反応液が好ましくはpH7.5以下、さらに好ましくはpH3.0〜7.0、特に好ましくはpH5.0〜7.0になるように調製することができる。具体的には、第一試薬と第二試薬の両方のpHは、それぞれ独立に、好ましくはpH9.0以下、さらに好ましくはpH0.5〜8.5にし、かつ、試料、第一試薬および第二試薬とあわさせたときの液、すなわち、反応液のpHを上記7.5以下等にしておくとよい。 従来、OCPC法のようなキレート発色法においては、それに用いる試薬は強アルカリ性、例えば、pH10.5〜11.0であるので、長期間保存しておくと空気中の二酸化炭素を吸収し、試薬のpHが変動していき、その結果、測定値のバラツキが大きくなることもあったが、本発明の試薬において、pH9.0以下に設定する場合、このようなpH変動が起こりにくくなり、液体状態で長期間保存しておいてもカルシウムを正確に測定できる液状試薬としても使用できる。 上記の第一試薬および第二試薬には、必要により、一般的に添加される成分である、アジ化ナトリウム等の防腐剤、ナトリウム等の塩類、および各種界面活性剤を適宜添加することができる。 本発明の測定試薬を用いてカルシウムを測定する場合、用いる生体試料と第一試薬と第二試薬の体積比は、使用する自動分析装置等により異なるが、例えば、1:(10〜100):(2〜25)が好ましい。本発明の測定試薬を用いて血漿中のカルシウムを測定する場合の具体例を以下に示す。 バナジン酸イオンを含む第一試薬と生体試料とを一定温度(好ましくは25〜37℃)でかつ一定時間(例えば5分間)混合し、生体試料中のキレート化剤(例えばEDTA)とバナジン酸イオンとをキレート反応させカルシウムを解離させる。次いで、得られる液にキレート発色剤(例えばアルセナゾーIII)を含む第二試薬を加え一定温度(好ましくは25〜37℃)でかつ一定時間(例えば5分間)混合し、解離のカルシウムとキレート発色剤を発色反応させる。発色前後の反応液の吸光度を測定し、キレート発色による吸光度の変化を求め、検量線との比較等により、生体試料中のカルシウムの濃度を測定できる。なお、アルセナゾーIIIを用いた場合、吸光度は、通常、660nmで測定できる。 本発明の測定試薬でカルシウムを測定する場合、日立7150型、日立7170S型のような汎用の自動分析装置でも使用可能である。 以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。バナジン酸イオンを添加した場合の、EDTAを含む生体試料中のカルシウム測定 EDTA(キレート化剤)を含む生体試料中のカルシウムを、キレート発色剤であるアルセナゾーIII(以下ARZ−IIIと記載することもある)と反応させて測定する際、バナジン酸イオンの存在下で正確に測定できるかどうかを実験した。なお、比較例としてマンガンイオンの存在下や添加金属イオンがない場合も検討した。また、従来、カルシウムを測定する場合の一般的な方法である、金属イオンを添加しないオルトクレゾールフタレインコンプレクソン(OCPC)法も比較例として検討した。なお、試料、カルシウムを測定するための第一試薬および第二試薬の組成は以下のとおりである。試料EDTA3mMおよびカルシウム7.9mg/dlを含む生体試料第一試薬リン酸二水素ナトリウム 50mM pH6.2バナジン酸アンモニウムまたは硫酸マンガン 1.0mMまたは0mM界面活性剤 1.0%第二試薬塩化ナトリウム 150mMARZ‐III 1.0mM界面活性剤 1.0% 測定法は、以下のようにして行った。日立7170S型自動分析装置を用い、試料2.5μLと第一試薬180μLとを37℃、5分間混合した後、得られる液に、第二試薬45μLを加えて同温度で5分間、発色反応させる。発色反応前後の液の吸光度変化を主波長660nmで測定した。カルシウム濃度は下記の式1より算出した。 結果を表1に示す。 表1に示したように、EDTAを含む生体試料中のカルシウムを、アルセナゾーIII(ARZ−III)と反応させて測定する際、バナジン酸イオンの存在下では、正確に測定できることが判明した(実施例1)。一方、バナジン酸イオンの代わりに、Mn2+の存在下では正確に測定できないことが判明した(比較例1)。好結果をあたえなかったのは、Mn2+がキレート発色剤と反応するため、ブランク値が高くなったためと考えられる(バナジン酸イオンの場合の約8倍)。また、バナジン酸イオンや金属イオンを添加しないときには、ARZ−III法、OCPC法(従来法)ともカルシウムを測定することは、不可能であった(比較例2,3)。参考例1種々の金属イオンによる非特異的反応 種々の金属イオンにより、ARZ−IIIが非特異的に反応するかどうかを、金属イオンとARZ−IIIと反応させることにより検討した。金属イオンとしては、EDTAとの結合定数がCa2+より大きい6種類の金属イオン、具体的には硫酸マンガン(II)、塩化ニッケル(II)、塩化鉄(II)、硫酸銅(II)、塩化コバルト、酢酸亜鉛を用い、バナジン酸アンモニウムおよび金属イオンがない場合と比較した。試薬としては以下の第一試薬および第二試薬を用いた。第一試薬2−Morpholinoethanesulfonic acid, monohydrate(MES)100mM pH6.0金属イオン 各 0.1mM第二試薬塩化ナトリウム 150mMARZ−III 1.0mM 測定法は、次のようにして行った。日立U‐3200型分光光度計を用い、第一試薬4mlに対して第二試薬1mlを37℃で5分間、混合した後、660nmにおける吸光度を測定した。実験データとしては、金属イオンを添加しなかった場合の吸光度を100%(基準)とし、それぞれの金属イオンを添加した場合の吸光度を、相対値(%)で求めた。各種金属イオンで行った相対値の結果を表2に示す。なお、表2には、各種金属イオンとEDTAとのキレート定数(logK、Ca2+は10.96)も参考のため示した。 表2の結果から、各種金属イオンでは相対値が178〜576%となり、各種金属イオンは、ARZ−IIIと結合しうることがわかった。それに対し、バナジン酸イオンでは、相対値が101%となり、ARZ−IIIとは結合しなかった。実施例1と合わせて考えると、バナジン酸イオンのみが、ARZ−IIIとの非特異的反応をおこさず、しかも、カルシウムイオンをEDTAから解離して正確に測定させうることが示された。試薬中にEDTAを添加する効果 実施例1等に示したように、試料中に通常量のEDTAを含む場合、バナジン酸イオンを添加することでカルシウムを測定することができた。本実施例では、試料中に高濃度のEDTAが含有された場合においては、試薬に金属イオンとEDTAを加えて、カルシウムを正確に測定できることを示す。試料、測定試薬は、以下のものを用いた。測定手順は、実施例1と同様にして行った。試料カルシウム(7.11mg/dl)とEDTA(6,8,10mM)を含む管理血清希釈液第一試薬MES 100mM pH6.0界面活性剤 0.1%EDTA 0,0.5M第二試薬MES 100mM pH6.0界面活性剤 0.1%ARZ−III 1.0mMバナジン酸アンモニウム 25mM カルシウム測定値、相対値[(測定値×100)/実量]の結果を表3に示す。 表3に示したように、試料中のEDTAが高濃度であった場合、試薬中にEDTAを含有させた方が試料中のEDTAの影響回避に効果があると考えられる。これは、第一試薬とEDTAを含む試料を混合させた場合に、反応液中において試料中のEDTA濃度を見掛け上なくすことで、試料中に高濃度のEDTAが含有されても影響を回避できたと考えられる。反応液中におけるpHの検討 バナジン酸イオン存在下のキレート反応中の液を種々のpHにしてカルシウムを測定し、この場合の最適のpHを求めた。試料、第一試薬、第二試薬は、以下のものを用いた。試料カルシウム(7.9mg/dL)とEDTA(0mMまたは3mM)を含む生体試料第一試薬リン酸二水素ナトリウム 50mM(pH5.0,5.4,5.8,6.2,6.6,7.0)バナジン酸アンモニウム 10mM界面活性剤 1.0%第二試薬生理食塩水ARZ−III 0.5mM界面活性剤 1.0% 測定手順は、実施例1と同様にして行った。結果を表4に示す。 pHが5.8〜pH6.6で反応すると、特にカルシウム測定に良いということが判明した。 本発明のカルシウム測定方法により、キレート化剤である抗凝固剤の影響を受けず、簡単で正確に測定できる。本発明の測定方法は、血液凝固が待てない緊急時においても、血漿試料を用いてカルシウム値を測定することが可能であり、腎炎、ネフローゼなどの診断のために極めて有効である。 キレート化剤を含む生体試料中のカルシウムをキレート発色剤であるアルセナゾーIIIと反応させて測定するカルシウムの測定方法であって、キレート化剤と結合しているカルシウムをバナジン酸イオンの存在下で解離させて、キレート発色剤であるアルセナゾーIIIとカルシウムとを反応させて測定することを特徴とするカルシウムの測定方法。 キレート化剤がEDTAである請求項1の測定方法。 pH7.5以下でカルシウムとキレート発色剤であるアルセナゾーIIIとを反応させる請求項1または2の測定方法。 pH5.0〜7.0でカルシウムとキレート発色剤であるアルセナゾーIIIとを反応させる請求項1から3のいずれかの測定方法。 さらに過剰のキレート化剤を試薬として添加して、カルシウムとキレート発色剤であるアルセナゾーIIIとを反応させる請求項1ないし4のいずれかの測定方法。 バナジン酸イオンおよびキレート発色剤であるアルセナゾーIIIとを含む、キレート化剤を含む生体試料中のカルシウム測定用試薬。 さらにキレート化剤を含む請求項6の試薬。