タイトル: | 特許公報(B2)_タンパク質の膜固定化方法 |
出願番号: | 2004118867 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | G01N 33/543,G01N 33/531,G01N 33/544,G01N 33/569 |
瀧澤 和幸 JP 4616575 特許公報(B2) 20101029 2004118867 20040414 タンパク質の膜固定化方法 デンカ生研株式会社 591125371 熊倉 禎男 100082005 小川 信夫 100084009 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 平山 孝二 100114007 市川 さつき 100123777 瀧澤 和幸 20110119 G01N 33/543 20060101AFI20101222BHJP G01N 33/531 20060101ALI20101222BHJP G01N 33/544 20060101ALI20101222BHJP G01N 33/569 20060101ALN20101222BHJP JPG01N33/543 525GG01N33/531 BG01N33/544 ZG01N33/569 G G01N 33/48−98 特許第3333755(JP,B2) 特開2002−267670(JP,A) 特開平10−090267(JP,A) 特開平09−304386(JP,A) 特開平09−054093(JP,A) 特開平11−076765(JP,A) 特表2002−526774(JP,A) 12 2005300401 20051027 11 20070416 山村 祥子 本発明はタンパク質を膜に固定化する方法、及び固定化膜、免疫測定装置及び免疫測定用キットに関する。 抗体、抗原等の免疫反応成分を固定化した膜を使用して、試料中のウイルスや細菌その他の物質を検出する免疫測定法が従来から知られている。 例えばニトロセルロースフィルターへ抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を固定化し、免疫反応を利用して、被験者の体液等の試料中のインフルエンザウイルス抗原の存在を検出することができる。このような抗体等のタンパク質の膜への固定化方法としては、例えば以下の方法が知られている。精製した抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を50mMリン酸緩衝液(pH7.4)に浮遊し、280nmでの吸光度が1.0となるように50mMリン酸緩衝液(pH7.4)で希釈して調製し、この希釈液を10μL/デバイスとなるようにニトロセルロースフィルター上に滴下し、次いで45℃で40分間静置し、その後乾燥する(例えば非特許文献1、非特許文献2参照)。 このような方法によって固定化した膜は膜作成直後に使用すると比較的高い検出感度を示すが、一定期間保存後に使用すると次第に感度が低下するという問題があった。Troubleshooting Protein Binding in Nitrocellulose Membranes (Part 1): Principles, 1999-03, 32, Kevin Jones, In-Vitro Diagnostic Technology MagazineTroubleshooting Protein Binding In Nitrocellulose Membranes (Part 2): Common Problems, 1999-05, 26, Kevin Jones, In-Vitro Diagnostic Technology Magazine 上述したように従来の方法によって固定化した膜は膜作成直後に使用すると比較的高い検出感度を示すが、一定期間保存後に使用すると次第に感度が低下するという問題があった。感度低下の原因は明らかではないが、固定化したタンパク質の活性が低下するためと考えられる。 従って、本発明は、長期間保存しても膜に固定化されたタンパク質の活性が低下せず維持される、タンパク質膜固定化方法を提供することを目的とする。また、本発明は長期間保存しても固定化されたタンパク質の活性が低下せず維持されるタンパク質固定化膜を提供することを目的とする。また、本発明は前記タンパク質固定化膜を用いた免疫測定装置及び免疫測定用キットを提供することを目的とする。 上記課題は、固定化するタンパク質を糖類含有水溶液に浮遊させて固定化することにより解決されることが見出された。 すなわち本発明は、タンパク質を膜に固定化する方法であって、糖類含有水溶液または糖類含有緩衝液に前記タンパク質を浮遊させて固定化することを特徴とする方法、に関する。 本発明はまた、上記方法により作成したタンパク質固定化膜に関する。また本発明は、上記膜を含む免疫測定装置に関する。さらに本発明は上記免疫測定装置を含む免疫測定用キットに関する。 本発明により、免疫反応成分を診断用メンブレンフィルター上に効率よく、かつ長期間安定的に固定化させる方法が提供される。 本発明の方法について説明する。本発明の方法は、タンパク質を膜に固定化する方法であって、糖類含有水溶液または糖類含有緩衝液に前記タンパク質を浮遊させて固定化することを特徴とする。 本発明において“タンパク質”は、免疫測定等の試料中の被分析物を測定する方法において、前記被分析物に対するリガンドとなり得るタンパク質であればいずれのものでもよい。具体例としては、抗体、抗原、及び受容体等からなる群より選択される免疫反応成分が挙げられる。より詳細には、細菌、ウイルス、ホルモン、その他臨床マーカー等に対し特異的に反応して結合するポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、レセプター等、またはウイルス抗原、ウイルス中空粒子、遺伝子組換え大腸菌発現タンパク質、遺伝子組換え酵母発現タンパク質等が挙げられる。 本発明の方法において、膜は、タンパク質を固定化できるもので通常水に不溶である。また、タンパク質と試料中の被分析物との複合体をその他の試料中に含まれる物質から分離できるような一定のポアサイズや厚さ、強度を備えていることが好ましい。一般に市販されているものであればいずれでもよいが、好適にはニトロセルロース、アセテート混ニトロセルロース、ナイロン、ポリエーテルスルホン、ポリビニリデンジフルオライド等の材料からなる膜が用いられる。 また膜のポアサイズは測定する被分析物、検出試薬(酵素、金コロイド、着色ラテックス等)と目標とする感度に依るため、特に規定されないが、0.22μm〜12μmが最もよく用いられる。 本発明の方法において、タンパク質は糖類含有水溶液または糖類含有緩衝液に前記タンパク質を浮遊させた後、固定化する。 糖類含有水溶液または糖類含有緩衝液における糖類は、単糖類、二糖類でもよく、さらに多糖類でもよいが、溶媒への溶解性、ならびに液の粘稠性等による取り扱い易さの観点から単糖類または二糖類が好ましい。糖類の例としては、グルコース、シュークロース、トレハロース、マンニトール、またはソルビトール、またはこれらの二以上からなる混合物が挙げられる。 糖類の水または緩衝液中の濃度は、0.1w/v%〜5w/v%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5w/v%〜5w/v%であり、更に好ましくは1w/v%〜5w/v%の範囲である。糖類含有水溶液における溶媒は通常水であるが、極微量のアルコール(例えば1〜5v/v%のメタノール)を添加してもよい。 上記糖類を添加する溶媒として緩衝液を用いると、さらに長期間保存安定性が向上するという相乗効果があるため好ましい。 また本発明の効果の観点から、前記糖類含有緩衝液は、pH7.0未満の酸性緩衝液に糖類を添加したものであることが好ましい。更に、緩衝液は本発明の効果の観点からpH4.0〜5.5の緩衝液であることがより好ましく、pH4.0〜5.0であることがさらに好ましい。具体的には、クエン酸緩衝液(pH4.0〜5.5)、シュウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、酢酸緩衝液、フタル酸緩衝液等の有機酸緩衝液、及びリン酸等の無機酸緩衝液が挙げられる。これらの中で特に、取り扱い上の安全性、経済性の観点から有機酸が好ましく、特にクエン酸緩衝液が好ましい。酸性緩衝液中の緩衝剤濃度は、効果と経済性の観点から1〜500mMの範囲であることが好ましい。 本発明の方法の一態様について、ニトロセルロースフィルターへの抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)の固定化を例に説明する。 マウスから得られた抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を、プロテインAカラムを用いたアフィニティーカラムクロマトグラフィーにより精製する。得られた抗体はpH4〜7の緩衝液に浮遊されている状態で得られる。その緩衝液をSephadexG-25ゲル濾過カラムを用いて0.1w/v%トレハロースを添加した10mMクエン酸緩衝液(pH4.0)に置き換える。280nmでの吸光度が1.0となるように0.1w/v%トレハロースを添加した10mMクエン酸緩衝液(pH4.0)で希釈し、適量を(例えばフロースルー診断装置の場合10μL/デバイスとなるように)アッセイ装置に装着したニトロセルロース膜上に滴下する。次いで45℃で、40分間静置し、乾燥して、抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体固定化ニトロセルロース膜を得る。 上述したようにニトロセルロース膜上に固定化した後、一定の温度で一定時間インキュベートすることにより固定化がより効率的に行われるため、好ましい。好ましいインキュベート条件としては、例えば37℃で一晩静置、45℃で60分以上静置、もしくは55℃で30分以上静置などがあげられる。これ以上の高温で乾燥する場合は、固定化する成分が熱による影響を受けその活性(機能)を損なう可能性があるため、固定化成分の性質にあわせて設定しなければならない。また逆に、より低温、短時間のインキュベーションでは、充分に水分が取り除かれず、固定化する成分の保存性に悪影響を与える場合があるため、減圧下で乾燥を促す方法がとられる。 上述したように得られたタンパク質固定化膜を用いて免疫測定装置を作成することができる。 上記免疫測定装置としては、フロースルー型またはラテラルフロー型イムノアッセイ等の免疫測定法において使用することができる装置が挙げられる。 フロースルー型イムノアッセイ装置は、通常、上記タンパク質固定化膜が固定化されたハウジングを有する。タンパク質固定化膜下部には場合により液体吸収部材がタンパク質固定化膜に密着するように設置されており、上面から滴下された液体を迅速に吸収するようになっている。また、膜の上には、液体を膜上のタンパク質が固定化された所定領域に導入するための開口部を備えたアダプターが設置されていてもよい。 ラテラルフロー型イムノアッセイ装置は、通常、上記タンパク質固定化膜を試料滴下部材、検出試薬保持部材、吸収紙と圧着し、これをさらにハウジングケースに設置するか、もしくは各部材の接触が損なわれないよう不溶性の透明シールで各部材を圧着してもよい。 本発明の免疫測定用キットは、上述した免疫測定装置を含む。本発明のキットは、フロースルー型イムノアッセイ法またはラテラルフロー型イムノアッセイ法に用いることができ、これらの方法に必要な試薬等を含むものである。 具体的には、以下の(1)〜(3)を含むことが好ましい。(1)タンパク質固定化膜を含む免疫測定装置(2)標識化検出試薬(3)検体浮遊液組成物及び/または洗浄液組成物 ここで標識化検出試薬とは、膜上に捕捉された被分析物に特異的に結合し、被分析物と複合体を形成しうるものであって、被分析物と複合体を形成した後に何らかの手段で検出可能なように標識された検出試薬を意味する。例えば、被分析物がウイルス等の抗原物質である場合には、そのウイルスに対する抗体であって、酵素等で標識化された抗体を意味する。このように酵素で標識された場合には、該酵素により触媒される反応により、比色法、蛍光法により検出可能な物質を生成する該酵素の基質を添加することにより、複合体の検出を行うことができる。標識化される前の検出試薬としては、捕捉試薬について述べたものと同じものが挙げられる。また、標識は、酵素、蛍光発光性標識、磁性体標識、放射性同位元素、金コロイド、着色ラテックス等が挙げられるが、通常、簡便性、経済性の観点から酵素標識が用いられる。酵素標識を用いる場合には、使用される酵素としては例えば、アルカリホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、グルコース‐6‐リン酸脱水素酵素が挙げられる。 酵素標識を用いる場合には、キットには、必要により酵素分解により呈色する酵素基質、反応停止液等が含まれていてもよい。 酵素基質は、通常その酵素に対する基質であって、該酵素により触媒される反応により、比色法、蛍光法により検出可能な物質を生成するものである。具体例としては、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリルリン酸、ニトロテトラゾリウムブルー、テトラメチルベンチジン、グルコース‐6‐リン酸NAD+が挙げられる。 反応停止液とは酵素と基質との反応を停止させるための溶液である。具体例としては、クエン酸、硫酸等が挙げられる。 また、必要に応じて、検体試料用濾過チューブ、キットの活性を検査するためのバッファーのみからなる陰性コントロール液、抗原性物質などの分析対象物を含むバッファーからなる陽性コントロールを含んでいてもよい。さらに、試料を濾過するためのフィルターや滅菌綿棒を含んでいてもよい。 以下に、上記キットを用いて被分析物を検出するフロースルーアッセイ方法についてより具体的な手順の一例を示して説明する。(1)ウイルスや細菌等に感染した患者の咽頭あるいは鼻腔等から採取した検体試料を検体浮遊液組成物に浮遊させる。(2)この浮遊液を、検体試料用濾過チューブ中にいれて濾過する。(3)この濾過液を、免疫測定装置中の、ウイルスや細菌等の抗原を固定化した膜(タンパク質固定化膜)に滴下して、被分析物(ウイルスや細菌等の抗原)を膜上に捕捉させる。(4)前記膜上に、被分析物に特異的に結合する標識化検出試薬を滴下し、タンパク質(抗体)/被分析物/標識化検出試薬の複合体を形成させる。(5)前記複合体中の標識化検出試薬により、複合体の存在を検出することにより、検体試料中の被測定物の有無を測定する。具体的には酵素標識化検出試薬を使用した場合には、前記酵素に対する基質であって該酵素により触媒される反応により、比色法、蛍光法により検出可能な物質を生成する基質を添加し、場合によっては反応停止液を添加して反応を停止後、比色法等により被分析物の存在の有無を検出する。 以下、本発明を実施例に基づき更に具体的に説明する。但し、本発明は下記実施例に限定されるものではない。実施例1 フロースルー型アッセイ装置を用いたA型インフルエンザウイルスの検出(1)金コロイド抗体の調製 10mLの金コロイドを取り、100mM炭酸カリウムでpHを7.0に調製する。2mMホウ酸溶液で透析、遠心分離し精製した抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を2mMホウ酸溶液で100μg/mLの濃度になるように調製する。調製した抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体の最終濃度が10μg/mLとなる量を十分撹拌させながら金コロイドに加える。5分後10%BSAを1mL加え、穏やかに10分間ローテーターで撹拌する。全量を遠心管に移し、14000rpm、30分、4℃で遠心する。遠心後上清を吸引廃棄し、沈殿している金コロイドと抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体の感作されたものに、最終濃度が10mMトリス塩酸緩衝液、1%BSA、150mM塩化ナトリウムを含む溶液1mLで浮遊する。(2)診断用メンブレンフィルターへの抗体の固定化、アッセイ装置の作製 ニトロセルロースフィルターへの抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)の固定化を例に説明する。 プロテインAカラムでアフィニティー精製した抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体(マウス)を用意する。抗体が浮遊されている緩衝液をSephadexG-25ゲル濾過カラムを用いて、0.1w/v%、0.3w/v%または1w/v%トレハロース水溶液または1w/v%トレハロース添加10mMクエン酸緩衝液に置き換えた。 対照として精製水(対照1)及び25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)(対照2)を用いた。 この時、pH4.0では長期間液状保存中に抗体が僅かに不溶化する現象が見られたため、固相直前にタンパク濃度測定、希釈、濾過を行った。 280nmでの吸光度が1.0となるように各液で希釈し、0.22μm濾過の後、適量を(例えばフロースルー診断装置の場合10μL/デバイスとなるように)アッセイ装置に装着したニトロセルロース膜上に滴下、次いで45℃、40分間静置、乾燥した。 なお、作製後のデバイスは、アッセイに使用するまでアルミパウチに乾燥剤とともに密封して各条件で保管した。 保管は通常15〜30℃程度で行うが、過酷条件下での安定性を調べるために45℃で保管する試験も行った。(3)検出方法 A型インフルエンザウイルスを107pfu/ml以上含む検体1(強陽性)、106pfu/ml前後含む検体2(中陽性)及び104〜105pfu/ml含む検体3(弱陽性)を適当な緩衝液に浮遊させた。また何も含まない緩衝液を陰性検体として用いた。その溶液500μLと金コロイド抗体100μLを混合し一定時間(例えば、10分)反応させた。一定時間反応後、フィルター(例えば、0.22μm)で濾過した後、アッセイ装置(デバイス)へ全量滴下した。液が膜部材に全て吸収された後、抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を吸着させた部分の膜部材が金コロイドの色(例えば、赤色〜赤褐色)に着色していれば、サンプル中にA型インフルエンザウイルスが存在している(+)と確認される。色調の変化がなく膜部材の色のままであれば、サンプル中にA型インフルエンザウイルスが存在していない(−)ことになる。〔表1〕〔表2〕〔表3〕〔表4〕 表1から明らかなように、精製水またはリン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH7.0)を用いて固定化した場合には、45℃で10日保存後には中陽性検体の検出ができなかった。45℃で5日及び10日保存後には弱陽性検体の検出ができなかった。 一方、トレハロースを添加した精製水(0.1〜1w/v%)に浮遊させて固定化させた場合には、中陽性検体の検出は45℃で10日保存後にも中陽性検体の検出を行うことができた。また、トレハロースを添加した精製水(1w/v%)に浮遊させて固定化させた場合には、45℃で5日及び10日保存後にも弱陽性検体の検出を行うことができた(表2)。 さらに、1w/v%トレハロースを添加した10mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に浮遊させて固定化させた場合には、45℃で5日及び10日保存後にも弱陽性検体の検出を行うことができた(表3)。 また、表4から明らかなように、25mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)を用いて固定化した場合には、8℃で3カ月及び7カ月保存後には弱陽性検体の検出ができなかった。 一方、1w/v%トレハロースを添加した10mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に浮遊させて固定化させた場合には、弱陽性検体の検出を8℃で7カ月保存後にも行うことができた。実施例2 ラテラルフロー式装置を用いたA型インフルエンザウイルスの検出(1)金コロイド抗体の調製 10mLの金コロイドを取り、100mM炭酸カリウムでpHを7.0に調製した。2mMホウ酸溶液で透析、遠心分離し精製した抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を2mMホウ酸溶液で100μg/mLの濃度になるように調製した。調製した抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体の最終濃度が10μg/mLとなる量を十分撹拌させながら金コロイドに加えた。5分後10%BSAを1mL加え、穏やかに10分間ローテーターで撹拌した。全量を遠心管に移し、14000rpm、30分、4℃で遠心する。遠心後上清を吸引廃棄し、沈殿している金コロイドと抗A型インフルエンザウイルスモノクローナル抗体の感作されたものに、最終濃度が10mMトリス塩酸緩衝液、1%BSA、150mM塩化ナトリウムを含む溶液1mLで浮遊した。(2)ラテラルフロー式装置の製作 A型インフルエンザウイルスを検出する膜部材(ミリポア社製ハイフローメンブレンプラス135)上に抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体をごく少量(1mg/mLの濃度で、約2μL/cm)滴下し、一定温度で一定時間(45℃、10分〜60分)放置し膜部材に吸着させた。(3)検出方法 A型インフルエンザウイルスを107pfu/ml以上含む検体1(強陽性)、106pfu/ml前後含む検体2(中陽性)及び104〜105pfu/ml含む検体3(弱陽性)を適当な緩衝液に浮遊させた。また何も含まない緩衝液を陰性検体として用いた。その溶液200μLと金コロイド抗体50μLを混合し一定時間(10分)反応させた。一定時間反応後フィルター(0.22μm)でろ過した後、パッドへ全量滴下した。液が膜部材を展開し、抗インフルエンザウイルスモノクローナル抗体を吸着させた部分の膜部材が金コロイドの色(例えば、赤色〜赤褐色)に着色していれば、サンプル中にA型インフルエンザウイルスが存在していた(+)と確認される。色調の変化がなく膜部材の色のままであれば、サンプル中にA型インフルエンザウイルスが存在していない(−)ことになる。〔表5〕〔表6〕〔表7〕 表5から明らかなように、精製水またはリン酸ナトリウム緩衝液(25mM、pH7.0)を用いて固定化した場合には、45℃で10日保存後には中陽性検体の検出ができなかった。45℃で5日及び10日保存後には弱陽性検体の検出ができなかった。 一方、トレハロースを添加した精製水(0.1〜1w/v%)に浮遊させて固定化させた場合には、中陽性検体の検出は45℃で10日保存後にも中陽性検体の検出を行うことができた。また、トレハロースを添加した精製水(1w/v%)に浮遊させて固定化させた場合には、45℃で5日及び10日保存後にも弱陽性検体の検出を行うことができた(表6)。 さらに、1w/v%トレハロースを添加した10mMクエン酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に浮遊させて固定化させた場合には、45℃で5日及び10日保存後にも弱陽性検体の検出を行うことができた(表7)。タンパク質を膜に固定化する方法であって、pH7.0未満の糖類含有緩衝液に前記タンパク質を浮遊させる工程、前記タンパク質浮遊液を膜上に滴下する工程、及びタンパク質浮遊液が滴下された膜をそのまま乾燥する工程、を含む上記方法。糖類がグルコース、シュークロース、トレハロース、マンニトール、及びソルビトールからなる群より選択される、請求項1に記載の方法。糖類が0.1w/v%〜5w/v%の範囲内で糖類含有水溶液または糖類含有緩衝液中に含まれる、請求項1または2に記載の方法。糖類含有緩衝液がpH4.0〜5.5の酸性緩衝液である請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。糖類含有緩衝液中の緩衝剤濃度が1〜500mMの範囲である請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。糖類含有緩衝液が有機酸緩衝液である請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。有機酸緩衝液がクエン酸緩衝液である請求項6に記載の方法。タンパク質が、抗体、抗原、及び受容体からなる群より選択される免疫反応成分である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。タンパク質を固定化する膜が、ニトロセルロース、アセテート混ニトロセルロース、ナイロン、ポリエーテルスルホン、及びポリビニリデンジフルオライドからなる群より選択される材料の膜である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法により作成したタンパク質固定化膜。請求項10に記載の膜を含む免疫測定装置。請求項11に記載の免疫測定装置を含む免疫測定用キット。