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タイトル:特許公報(B2)_抗ヒスタミン用組成物、アレルギ性鼻炎の予防および治療用組成物、花粉症の予防および治療用組成物およびじんま疹治療用組成物
出願番号:2004118297
年次:2009
IPC分類:A61K 36/18,A23L 1/30,A61K 8/97,A61Q 19/00,A61P 11/02,A61P 17/00,A61P 17/04,A61P 37/08,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

梶本 禮義 小川 博 JP 4321769 特許公報(B2) 20090612 2004118297 20040413 抗ヒスタミン用組成物、アレルギ性鼻炎の予防および治療用組成物、花粉症の予防および治療用組成物およびじんま疹治療用組成物 TOWA CORPORATION 株式会社 300022526 ▲桑▼原 史生 100085589 服部 秀一 100128392 梶本 禮義 小川 博 20090826 A61K 36/18 20060101AFI20090806BHJP A23L 1/30 20060101ALI20090806BHJP A61K 8/97 20060101ALI20090806BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20090806BHJP A61P 11/02 20060101ALI20090806BHJP A61P 17/00 20060101ALI20090806BHJP A61P 17/04 20060101ALI20090806BHJP A61P 37/08 20060101ALI20090806BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090806BHJP JPA61K35/78 CA23L1/30 BA61K8/97A61Q19/00A61P11/02A61P17/00A61P17/04A61P37/08A61P43/00 113 A61K 36/00−36/9068 A61Q 1/00−99/00 A61K 8/97 CA(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) BIOSIS(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開2002−212089(JP,A) 特開2003−252778(JP,A) 特開2003−327540(JP,A) 特開2003−034644(JP,A) 特開2001−151788(JP,A) 特開平07−070054(JP,A) 特開2004−018492(JP,A) 特開2003−026594(JP,A) 特開2004−026743(JP,A) 特表2006−508182(JP,A) 特開2005−200389(JP,A) 特開2004−075640(JP,A) 特開2002−275079(JP,A) 特開2002−179586(JP,A) 特開平08−012565(JP,A) 特開2003−321379(JP,A) Naunyn-Schmiedeberg's Arch Pharmacol,1999年,Vol.360,P.331-336 4 2005298425 20051027 13 20050118 田村 聖子 本発明は、パスチャカを有効成分として含有する抗ヒスタミン用組成物、アレルギ性鼻炎の予防および治療用組成物、花粉症の予防および治療用組成物およびじんま疹治療用組成物に関する。 従来から、ペルーには多数の生薬があり、伝承的に現在でもそれらは臨床的に用いられている。そして、これらの生薬の中でもキャッツクロー(Uncaria tomentosa Rubiaceae)は、リウマチ関節炎、痛風など抗炎症作用のあることが知られている。このキャッツクローは、双子葉類、アカネ科、カギカズラ属の木本生のつる植物であり、ペルーやコロンビアなどウンカリア木の樹皮から採れるものである。そして、このキャッツクローは、抗炎症、抗腫瘍、免疫増強作用などがあることが知られている。その他として、このキャッツクローの作用としては、関節炎、喘息、リウマチ、皮膚病などにも有効であるといわれている(例えば、特許文献1ないし5参照。)。 また、サングレ・デ・グラード(Croton Lechleri Muell.arg.)は、トウダイグサ科クロトン属の樹皮から採れる樹液である。そして、このサングレ・デ・グラードは、アマゾンのある地方では民間療法として炎症の治療によく使用されている。さらに、このサングレ・デ・グラードに含まれるタスピンが抗炎症作用に働くことが知られている(例えば、非特許文献1参照。)。 さらに、チャンカピエドラ(Phyllanthus Niruril)は、肝障害、腎障害、胃腸病、糖尿病あるいはガンなどに有効とされている。パスチャカ(Geranium Dielsianum)は、抗炎症作用、糖尿あるいは気管支炎などに有効とされている。特開2003−171289号公報(第3−5頁)特開2002−360220号公報(第2−3頁)特開2003−155250号公報(第2−3頁)特開2003−159030号公報(第2−4頁)特開2002−161044号公報(第2−4頁)パーデュー GP(Perdue GP)、外3名,「タスピンの分離および炎症作用」、ジャーナルオブファーマシューティカルサイエンスズ(J.Pharm.Sci),(米国),1979年、第68巻,p.124−126 しかしながら、これら生薬についての薬理学的効果は、未だよく検討されて確認されているとは言い難いという問題を有している。 本発明は、このような点に鑑みなされたもので、抗ヒスタミン作用を有する組成物、アレルギ性鼻炎の予防および治療用、花粉症の予防および治療用、およびじんま疹治療用の組成物を提供することを目的とする。 請求項1記載の抗ヒスタミン用組成物は、パスチャカを有効成分として含有するものである。 そして、パスチャカを有効成分として含有することにより、抗ヒスタミン作用を期待できる。 請求項2記載のアレルギ性鼻炎の予防および治療用組成物は、請求項1記載の組成物を含むものである。 そして、請求項1記載の組成物を含むので、アレルギ性鼻炎の予防および治療に有用である。 請求項3記載の花粉症の予防および治療用組成物は、請求項1記載の組成物を含むものである。 そして、請求項1記載の組成物を含むので、花粉症の予防および治療に有用である。 請求項4記載のじんま疹治療用組成物は、請求項1記載の組成物を含むものである。 そして、請求項1記載の組成物を含むので、じんま疹治療に有用である。 請求項1記載の抗ヒスタミン用組成物によれば、パスチャカを有効成分として含有するので、抗ヒスタミン作用を期待できる。 請求項2記載のアレルギ性鼻炎の予防および治療用組成物によれば、請求項1記載の組成物を含むので、アレルギ性鼻炎の予防および治療に有用である。 請求項3記載の花粉症の予防および治療用組成物によれば、請求項1記載の組成物を含むので、花粉症の予防および治療に有用である。 請求項4記載のじんま疹治療用組成物によれば、請求項1記載の組成物を含むので、じんま疹治療に有用である。 以下、本発明の第1の実施の形態の抗ヒスタミン用組成物について説明する。 まず、この抗ヒスタミン用組成物としては、抗ヒスタミン作用を有している。ここで、このヒスタミンは、アレルギ反応を起こしたときなどに細胞から放出される物質であり、血管を拡張させるなどの作用を有している。 さらに、この抗ヒスタミン用組成物は、パスチャカ(Geranium Dielsianum)を含有している。ここで、このパスチャカは、ハーブであり生薬でもある。 また、この抗ヒスタミン用組成物としては、パスチャカの粉末から有効成分を、含水エタノールを用いて抽出したエキス粉末を含有している。そして、この抗ヒスタミン用組成物は、アレルギ性鼻炎の予防および治療用、花粉症の予防および治療用、じんま疹治療用の組成物としても用いることができる。さらに、この抗ヒスタミン用組成物を含有する機能性食品、化粧料、皮膚外用あるいは医薬として用いることもできる。 そして、この抗ヒスタミン用組成物を提供する形態としては、散剤、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプセル、液剤、シロップ状のいずれであっても良く、これらは適宜助剤、賦香料とともに賦形されてもよい。用いられる賦形剤、希釈剤としては、ゼラチン、糖類、澱粉類、脂肪酸およびその塩、油脂、タルク、生理食塩水、その他のマスキング剤などが挙げられる。これらのものをそのまま服用してもよいが、各種料理品、菓子、キャンデなどの食品に混ぜて服用するのも好都合である。 なお、上述したパスチャカは、皮膚免疫正常化の効果や、肌荒れ改善効果、肌の張り、しわ改善効果、化粧ののりの改善効果があると考えられるため、皮膚外用剤として用いることができる。また、このパスチャカは、皮膚しわ改善、皮膚保湿性の増加、皮膚老化防止、血栓形成阻害、関節炎治療、リウマチ治療に有効な機能性食品や、医薬品あるいは化粧品として用いることもできる。 次に、サングレ・デ・グラード(Croton Lechleri Muell.arg.)およびキャッツクロー(Uncaria tomentosa Rubiaceae)の抗炎症作用についての本発明の前提となる実施例を説明する。 まず、実験動物として体重が230g付近で生後5週齢の雄性ウィスター系ラットを使用した。これらラットは一群が10匹の6群とした。すなわち生理食塩水を経口投与するコントロール群である対照群を1群とし、サングレ・デ・グラードを300mg/kg経口投与する群を2群とした。さらに、キャッツクローを300mg/kg経口投与する群を3群とし、インドメタシン(Indomethacin,Sigma社製)を5mg/kg経口投与する群を4群とした。さらに、5%炭酸ナトリウム(Na2CO3)を皮下投与する群を5群とし、インドメタシンを10mg/kg皮下投与する群を6群とした。 ここで、サングレ・デ・グラードおよびキャッツクローとしては、これらサングレ・デ・グラードおよびキャッツクローの含水エタノール抽出エキス粉末(トワ商事株式会社製)を用いた。 そして、実験開始の前日にすべてのラットを絶食させた。また、実験開始前すべてのラットの右下肢足蹠の容積を測定した。ここで、足蹠の容積測定には水銀の容積変化を測定する装置(Volume differential meter 7101 Ugo Basile社製)を用いて測定した。そして、対照群には質量比0.5%のカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose)・ナトリウム(Na)生理食塩水溶液(以下、0.5%CMCと略す。)を各ラットのそれぞれに体重200gあたり0.2ml経口投与した。 また、サングレ・デ・グラードおよびキャッツクローを0.5%CMCに対して300mg/mlとなるように懸濁溶解させたものそれぞれを、ラット体重1kgあたり1ml経口投与した。さらに、インドメタシンを0.5%CMCに対して5mg/mlとなるように懸濁溶解させたものを、ラット体重1kgあたり1ml経口投与した。他方、インドメタシンを5%炭酸ナトリウム(Na2CO3)に対して10mg/mlとなるように溶解させたものを、ラット体重1kgあたり1mlラット背部の皮下に投与した。 ここで、これら各薬物の経口投与あるいは皮下投与の30分後に、生理食塩水に溶解させた質量比1%のカラゲニン(Carrageenan Lambda,Sigma社製)の水溶液0.1mlをラットの右下肢足蹠皮下に注射した。この後、0.5時間後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後および5時間後にそれぞれ足蹠容積を測定した。 そして、次式により個々のラットの足蹠の腫脹率としての膨張率を求め、それぞれの群の平均膨張率および薬物投与群の対照群に対する抑制率を算出した。 膨張率(%)=(Vt−Vc)/Vc×100,(Vc:カラゲニン注射前の足蹠容積、Vt:カラゲニン注射後の足蹠容積) 抑制率(%)=(Ec−Et)/Et×100,(Ec:対照群の平均膨張率、Et:薬物投与群の平均膨張率) この結果、薬物の経口投与群における足蹠容積変化率について算出したところ、図1および表1に示すように、カラゲニンを投与した後、足蹠の容積が2時間後までは急速に増加し、その後緩徐な増加を示し、5時間後に最大値を示すという2相性の増加曲線を示した。さらに、サングレ・デ・グラードおよびキャッツクローを投与した群でも対照群と同様の増加曲線を示した。他方、図示していないが、5mg/kgインドメタシンを投与した群でも同様の結果であった。 次いで、インドメタシンの皮下投与群における足蹠容積の変化率について算出したところ、図2および表1に示すように、10mg/kgインドメタシンの皮下投与によって、足蹠の増加曲線が明らかに対照群よりも下方に移動し、その移動の程度は時間の経過とともに明らかとなった。さらに、4時間後におけるカラゲニンの足蹠の容積は、対照群の4時間後におけるカラゲニンの足蹠の容積が30.1(10−1ml)であるのに対し、インドメタシン投与群の4時間後におけるカラゲニンの足蹠の容積は26.5(10−1ml)となったため有意に抑制されたことがわかった。 さらに、サングレ・デ・グラードおよびキャッツクローの経口投与群における膨張率の変化について算出したところ、図3および表2に示すように、カラゲニンを投与した後、足蹠の増加率曲線が容積変化率と同様に2相性を示し、経時的に足蹠の容積が増加した。このとき、キャッツクローおよびサングレ・デ・グラードを投与した群の膨張率曲線は、対照群よりも下方に位置し、4時間後までの膨張率は対照群に比べ明らかな差はなかったが、5時間後において下方移動した。他方、5mg/kgインドメタシンを投与した群の膨張率曲線は、図示していないが対照群と同様であった。 次いで、インドメタシンを皮下投与した群における膨張率変化について算出したところ、図4および表3に示すように、10mg/kgインドメタシンの皮下投与によって、膨張率曲線が著明に対照群よりも下方に移動し、その移動の程度は時間の経過とともに明らかとなった。さらに、4時間後におけるインドメタシンを皮下投与した群の膨張率が27.6%であるのに対し、対照群の4時間後における膨張率が44.0%であったため、有意な膨張率の抑制がみられた。 さらに、サングレ・デ・グラードおよびキャッツクローによる抑制率の変化について検討したところ、表1および表2に示す各実験群の足蹠容積率および膨張率から抑制率を求めた。ただし、5mg/kgインドメタシンを経口投与した群の曲線図は、対照群と同様であったので省略した。 この結果、図5および表3に示すように、10mg/kgインドメタシンの皮下投与における抑制率曲線は、カラゲニンを投与した30分後においてすでに27.6%抑制し、さらに2時間後の抑制率が39.5%となったため、強力な抑制作用を示した。また、この10mg/kgインドメタシンを皮下投与した場合の効果は4時間後でも持続していた。 そして、サングレ・デ・グラードを経口投与した群では、30分後で25.8%抑制し、その後徐々に抑制率が低下して4時間後の抑制率が6.7%まで減少したが、5時間後に21%の抑制率まで上昇した。また、キャッツクローを経口投与した群では、1時間後の抑制率が13.6%であったが、その後徐々に抑制率が低下して4時間後には−3.0%まで低下したが、5時間後に12.5%と再び抑制率が増加した。 上述したように、上記本発明の前提となる実施例1によれば、サングレ・デ・グラードが明らかにカラゲニン浮腫を抑制したことから抗炎症作用を示すことが示唆される。他方、キャッツクローもサングレ・デ・グラードよりは弱いがやはり抗炎症作用があるものと思われる。サングレ・デ・グラードもキャッツクローも類似の抑制率曲線を示した。時間経過に伴って抑制作用が低下し、4時間後に低値を示した。これは、カラゲニンの起炎作用の経過時間と程度とが関係している。カラゲニンによる浮腫の形成は2相性である。すなわち注射した直後から浮腫が発生し30分後にピークを示す第1相と、注射した1時間後から浮腫が徐々に生じ、長時間持続する第2相とからなっており、それらのピークは4時間後から5時間後程度に起こり、その時点で起炎作用も最大となり、その後は減少する。 したがって、サングレ・デ・グラードおよびキャッツクローの抗炎症作用が4時間後に低値を示したのは、その時点における両生薬の投与量ではカラゲニンの起炎作用を抑制するには十分ではなかったのが原因であると考えられる。投与後の5時間後において再び両生薬の抗炎症作用が上昇しているのは、カラゲニンの起炎作用がピークを過ぎて減弱したために相対的に両生薬の抗炎症作用が強まったことによると考えられる。 そして、カラゲニンによる浮腫発生機構は第1相と第2相とでは異なる。すなわち、第1相による浮腫はヒスタミンやセロトニンが関与し、第2相による浮腫はキニン類、プロスタグランジン、プロテアーゼ類あるいはロイコトリエン類など炎症と密接に関係のある物質が関与している。したがって、サングレ・デ・グラードおよびキャッツクローは、カラゲニン浮腫および投与後の30分後、すなわち第1相において抑制していることから、抗ヒスタミン作用があることが示唆される。そして、この抗ヒスタミン作用の程度はサングレ・デ・グラードがより強力であった。 これに対し、図5に示すように、インドメタシンも同様に第1相において強力な抗ヒスタミン作用を示したが、インドメタシンには抗ヒスタミン作用のないことが証明されているので、今回の結果は不明である。ただ、インドメタシンの皮下投与に際し溶媒として炭酸ナトリウム(Na2CO3)を用いたので、これが刺激となり、ヒスタミンを遊離させたのが原因かもしれない。 また、インドメタシンは、他の抗炎症薬との間の効力比較実験によく用いられる。文献的に5mg/kgインドメタシンの経口投与で抗炎症制作用を示すことが証明されているが、今回は得られなかった。インドメタシンは0.5%カルボキシメチルセルロース・Na生理食塩水に懸濁させた状態で経口投与しても消化管からの吸収が悪いのではないかと推察される。 これらの結果、サングレ・デ・グラードおよびキャッツクローのそれぞれにおいて抗炎症作用が示され、さらに、サングレ・デ・グラードでは抗ヒスタミン作用があることも示唆された。 次に、各種ペルー原産生薬の抗ヒスタミン作用についての実施例を説明する。 まず、実験動物として体重が約400gで生後5週齢の雄性モルモットを使用した。これらモルモットはペントバルビタール(60mg/kg,i.p)で麻酔してから、背位に固定した後、腹部大動脈より脱血致死せしめた。そして、これらモルモットの頚部を正中線に沿って切開してから、気管を気管分岐部点近くまでできるだけ長く摘出した。この後、この摘出した気管を直ちにクレブスリンゲル液に浸し、これら気管に付着している組織を取り除き、約3mm幅の2本の気管軟骨輪毎に、靭帯に沿って切断して気管軟骨輪標本とした。 さらに、これら気管軟骨輪の平滑筋側と反対側の軟骨輪を縦方向に切断し、この切断端の一側を、クレブスリンゲル液で満たされた2ml容積の組織浴槽内に固定した。そして、この切断端の他端を等尺性歪み圧トランスデューサに接続した。このとき、気管平滑筋の収縮は、歪み圧増幅器を介してペンレコーダに記録させた。実験中クレブスリンゲル液は、37℃に加温して混合ガス(95%O2+5%CO2)で通気した。標本には予め1gの張力を与えた。 ここで、使用したクレブスリンゲル液の組成は、Na+148mM、Cl−120mM、K+5.7mM、Mg2+1.2mM、Ca2+2.5mM、H2PO4−1.2mM、HCO3−26mMおよびグルコース(Glucose)11.1mMである。また、今回用いた3種の生薬、すなわちキャッツクロー、チャンカピエドラ(Phyllanthus Niruril)およびパスチャカとしては、これらキャッツクロー、チャンカピエドラおよびパスチャカの含水エタノール抽出エキス粉末(トワ商事株式会社製)を用いた。そして、これらキャッツクロー、チャンカピエドラおよびパスチャカのそれぞれを質量比50%のエタノール水溶液に溶解させて、20mg/mL溶液として使用した。これに対し、ヒスタミン、ジフェンヒドラミンおよびアセチルコリンは、それぞれを蒸留水に溶解して使用した。 次に、データの処理および薬物の活性評価(ED50、pD2、pA2)について説明する。 まず、ヒスタミン10nM〜300μMの累積投与による気管平滑筋の最大収縮値(100μM)を100%として計算した。ここで、pD2値は、ヒスタミンの最大収縮反応の50%の反応を引き起こすのに必要なモル濃度の−log値で示した。また、pA2値は、ヒスタミンの用量−作用曲線を2倍だけ高濃度側へ平行移動させるのに必要な拮抗薬(ジフェンヒドラミンおよび3種の生薬)のg/mlの−log値で示した。 この結果、それぞれのヒスタミン収縮に対する抑制作用について検討したところ、ヒスタミンに対する選択的拮抗薬であるジフェンヒドラミンの抑制作用は、図6に示すように、0.03μg/mlのジフェンヒドラミン処置によって、ヒスタミンの用量−作用曲線が著明に右に平行移動したため、表4に示すようにpA2値が8.71となった。 また、10μg/mlから60μg/mlまでのパスチャカの抑制作用は、図7に示すように、これらパスチャカの処置によって、ヒスタミンの用量−作用曲線が右に平行移動した。しかしながら、右に平行移動する程度はパスチャカの用量に依存しておらず、表4に示すように、pA2値の平均値が5.52となった。 さらに、10μg/mlから60μg/mlまでのチャンカピエドラの抑制作用は、図8に示すように、これらチャンカピエドラの処置によって、パスチャカと同様にヒスタミンの用量−作用曲線が右に平行移動したが、30μg/mlおよび60μg/mlのパスチャカ用量では、用量−作用曲線がやや右下方に移動する傾向を示した。このとき、表4に示すように、pA2値は5.35であった。 また、10μg/mlから30μg/mlまでのキャッツクローの抑制作用は、図9に示すように、これらキャッツクローの処置によって、ヒスタミンの用量−作用曲線が右に平行移動した。このとき、このヒスタミンの用量−作用曲線の移動の程度は、ほぼ適用濃度に依存しているため、表4に示すように、pA2値が5.31であった。 ここで、種々の薬物のアセチルコリン収縮に対する抑制作用について検討したところ、1μMアセチルコリンによって中程度の緊張性収縮をさせた気管平滑筋に対して、これら生薬を60μg/mlまでを作用させたが、何ら抑制作用を示さなかった。 上述したように、上記実施例2によれば、パスチャカ、チャンカピエドラおよびキャッツクローは、いずれもヒスタミンの用量−作用曲線を明らかに右に平方移動させた。したがって、薬理学的に、アンタゴニスト(拮抗薬)がアゴニスト(刺激薬)の用量−作用曲線を右に平行移動させるということは、アゴニストに対する受容体に特異的な拮抗作用があることを示すことになる、このため、今回の結果、これら3種の生薬がヒスタミン受容体を抑制したことによって、気管平滑筋の収縮を抑制したことになる。すなわち、抗ヒスタミン作用があることが示唆されたことになる。 これをさらに裏付けるために、3種の生薬がヒスタミン受容体のみに特異的に抑制するかどうかについて実験したところ、これら3種の生薬はアセチルコリンの気管収縮作用には何ら影響を与えなかった。ここで、このアセチルコリンは、ムスカリン受容体のみを刺激して気管平滑筋を強く収縮させるので、これら3種の生薬はムスカリン受容体には抑制作用がないということになり、特異的な抗ヒスタミン作用があることが明らかになったものと考えられる。 さらに、ジフェンヒドラミンのpA2値が8.71と高値を示した。これはジフェンヒドラミンが強力かつ選択的抗ヒスタミン薬であることを示している。これに対し、3種の生薬のpA2値は、パスチャカが5.52で、チャンカピエドラが5.35で、キャッツクローが5.31であるから、これらはそれぞれ近似値を示している。しかも、これらの抗ヒスタミン作用の程度はジフェンヒドラミンよりはるかに弱く、薬効に差はないと考えられる。 ここで、ヒスタミンは生体内活性物質であり、その主な薬理作用としてはアレルギ反応,気管支収縮作用,血管拡張作用、胃酸分泌作用など種々の生理活性を示す。すなわち、これら3種の生薬が抗ヒスタミン作用を示したことから、これらを服用することによって、種々のアレルギ疾患、例えばアレルギ性鼻炎、花粉症,じんま疹などに対して症状が改善するものと考えられる。本発明の前提となる実施例1での抗ヒスタミン用組成物のカラゲニン投与後の足蹠容積を示すグラフである。同上抗ヒスタミン用組成物の比較例であるインドメタシンのカラゲニン投与後の足蹠容積を示すグラフである。同上抗ヒスタミン用組成物のカラゲニン投与後の腫張率を示すグラフである。同上抗ヒスタミン用組成物の比較例であるインドメタシンのカラゲニン投与後の腫張率を示すグラフである。同上抗ヒスタミン用組成物のカラゲニン投与後の抑制率を示すグラフである。本発明の実施例2での抗ヒスタミン用組成物の比較例であるジフェンヒドラミンの抑制作用を示すグラフである。同上抗ヒスタミン用組成物であるパスチャカの抑制作用を示すグラフである。同上抗ヒスタミン用組成物であるチャンカピエドラの抑制作用を示すグラフである。同上抗ヒスタミン用組成物であるキャッツクローの抑制作用を示すグラフである。 パスチャカを有効成分として含有する ことを特徴とした抗ヒスタミン用組成物。 請求項1記載の組成物を含む ことを特徴としたアレルギ性鼻炎の予防および治療用組成物。 請求項1記載の組成物を含む ことを特徴とした花粉症の予防および治療用組成物。 請求項1記載の組成物を含む ことを特徴としたじんま疹治療用組成物。


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