タイトル: | 特許公報(B2)_過酸化水素ガスの凝縮検出装置、及び過酸化水素ガスの凝縮管理システム |
出願番号: | 2004106215 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | G01N 21/47,A61L 2/20 |
川崎 康司 JP 4388844 特許公報(B2) 20091009 2004106215 20040331 過酸化水素ガスの凝縮検出装置、及び過酸化水素ガスの凝縮管理システム 株式会社エアレックス 599053643 松浦 喜多男 100084043 川崎 康司 20091224 G01N 21/47 20060101AFI20091203BHJP A61L 2/20 20060101ALI20091203BHJP JPG01N21/47 BA61L2/20 AA61L2/20 G G01N 15/00 − 21/59 A61L 2/20 国際公開第03/095994(WO,A1) 特開平06−249809(JP,A) 特開平11−325827(JP,A) 特開平01−262443(JP,A) 特開2000−214087(JP,A) 特表2003−528310(JP,A) 国際公開第2005/046742(WO,A1) 特開2005−143725(JP,A) 特開2005−143726(JP,A) 特開2005−205067(JP,A) 3 2005291867 20051020 8 20070329 荒巻 慎哉 本発明は、除染用ガスとしても用いられる過酸化水素ガスの凝縮状態を調べる凝縮検出装置に関するものである。 医薬品、食品等の製造プロセスでは、無菌操作が必要不可欠であり、例えば、アイソレータ装置に過酸化水素ガスを投入して、その室内で無菌操作する構成が良く知られている。さらに、近年、アイソレータ装置に内在する除染対象物(例えば、薬剤又は薬剤と接する容器等)表面の残存菌数の変化は、アイソレータ装置内で起こる過酸化水素ガスの凝縮現象と密接な関係があることがわかってきた。そこで本発明者は、除染用の密閉室内における過酸化水素ガスの凝縮状況を検出し得る手段として、特許文献1に示される凝縮センサーを提案している(特許文献1参照。)。PCT WO 03/095994 A1号公報 ところで、アイソレータ装置にはいくつかの操作用圧縮空気用配管あるいは真空用配管が接続されているところ、これらの配管内にも過酸化水素ガスを流して管内を除染している。一方、アイソレータ装置内の除染は、除染対象面にBIを設置し、凝縮センサーをモニターしながら確認していた。これと同様に、配管内にもBIを設置し、除染の確認をしていた。しかしながら、径小で細いガス管路(過酸化水素ガスが流れる操作用圧縮空気用配管等)内には、上記BIを設置することができず、そのようなガス管路内が確実に除染されているかどうかは不確かであった。 そこで本発明は、径小で細いガス管路内の過酸化水素ガスの凝縮状態を調べることができる過酸化水素ガスの凝縮検出装置、及びこれに付随する凝縮管理システムを提供することを目的とする。 本発明は、 アイソレータ装置に接続されるガス管路に配設されるものであって、 一方向に光を照射する投光部を備えた投光装置と、 該投光装置の照射方向と対向する位置に配設される受光部を備えた、受光量とほぼ比例する電圧出力を発生する受光装置とを具備すると共に、 投光装置の投光部と受光装置の受光部との間に、内部に過酸化水素ガスが流れるガス管路が配設され、かつ該ガス管路の路壁の、少なくとも投光装置の投光部と対向する部位と受光装置の受光部と対向する部位とを照射光が通過する透光性壁部で構成し、該投光性壁部の内面に、ガス管路内の過酸化水素ガスが凝縮することとなるものであることを特徴とする過酸化水素ガスの凝縮検出装置である。 かかる構成にあっては、ガス管路内が飽和状態となると、投光性壁部の内面には、過酸化水素ガスが凝縮し始める。かかる状態で投光装置から照射光を照射すると、照射光は、透光性壁部及びその内面に形成される凝縮液層を透過し、受光装置の受光部で受光される。ここで、かかる場合に受光装置で検出される受光量は、凝縮液層が形成される前に測定された受光量に比べてその量が減少する。これは、照射光が、凝縮液層を通過する際に散乱・吸収されるためである。そして、その後さらに凝縮液層の層厚が増大すると、透過光の受光量がそれに対応してさらに減少することとなる。すなわち、本発明は、受光装置で検出される受光量の変化をモニタリングすることにより、ガス管路内の過酸化水素ガスの凝縮開始時を検出できると共に、さらにその後の凝縮液層の透光性壁部上における経時的な態様変化についても検出することが可能となる。したがって、このようにガス管路内の凝縮状況が詳細に把握されると、ガス管路内が除染されたか否かも知ることが可能となる。 また、投光装置の照射方向と透光性壁部の内面とが、ほぼ直交してなるものである構成が提案される。 かかる構成とすることにより、透光性壁部上の凝縮液層に対して、照射光がほぼ垂直に入射することとなるため、透光性壁部表面での照射光の反射を可及的に抑えることができ、受光量を十分に確保することが可能となる。したがって、凝縮液層の態様を確実に検出することが可能となる。 また、本発明は、上記構成の過酸化水素ガスの凝縮検出装置を複数備えたことを特徴とする過酸化水素ガスの凝縮管理システムである。 かかる構成とすることにより、複数のガス管路内の凝縮状況が詳細に把握することができ、各ガス管路内が除染されたか否かを知ることが可能となる。 なお、除染とは、化学T期除染、無菌、殺菌、滅菌等が含まれる。 本発明の過酸化水素ガスの凝縮検出装置は、投光装置の投光部と受光装置の受光部との間にガス管路が配設され、かつ該ガス管路の路壁に、照射光が通過する透光性壁部を設けた構成としたため、投光装置から照射された照射光が、透光性壁部及び凝縮液層を透過して受光されることとなり、径小で細いガス管路であっても、ガス管路内の過酸化水素ガスの凝縮開始時を検出できると共に、さらにその後の凝縮液層の透光性壁部上における経時的な態様変化についても検出することが可能となる。したがって、このようにガス管路内の凝縮状況を詳細に把握することが可能となり、ガス管路内が除染されたか否かも知ることができる優れた効果を奏する。 また、投光装置の照射方向と透光性壁部の内面とが、ほぼ直交してなる構成とした場合は、照射光が、透光性壁部上の凝縮液層に対してほぼ垂直に入射することとなるため、透光性壁部表面での照射光の反射を可及的に抑えることができ、受光量を十分に確保することが可能となる。したがって、凝縮液層の態様を確実に検出することができる優れた効果を奏する。 さらに、本発明の凝縮管理システムは、上記構成の過酸化水素ガスの凝縮検出装置を複数備えた構成としたため、複数のガス管路内の凝縮状況を詳細に把握することが可能となり、各ガス管路内が除染されたか否かを知ることができる効果がある。<第一実施形態例> 本発明にかかる凝縮検出装置1は、図1に示されるように、アイソレータ装置50に接続された径小で細いガス管路2と、レーザー光Lを発する投光装置4と、それを受光する受光装置7とを構成要素としており、当該ガス管路2内を流れる過酸化水素ガスXの凝縮状態を検出し、その検出結果からガス管路2内が確実に除染されたか否かを知ることを目的とするものである。 以下に、各構成要素を添付図面に従って説明する。 前記ガス管路2は、図1等に示されるように、SUS板をロール成形して得られた、径小で細い円筒管により構成されている。このガス管路2の一端は、アイソレータ装置50に接続されてその内部空間と連通すると共に、他端は、アイソレータ装置50の過酸化水素ガス循環回路51に接続されている。そして、過酸化水素ガスXがアイソレータ装置50に供給されると、装置50の内部空間に載置された除染対象物Yが除染されることとなる。なお、このアイソレータ装置50を含む構成は、従来技術である。 ここで、上述のガス管路2は、その路壁を、SUS板で構成される非透光性壁部2aと、ガラス材料で構成される透光性壁部2bとで構成していることを特徴としている。具体的には、図1,2に示されるように、非透光性壁部2aを構成するSUS製円筒管20の所定部分に、透光性壁部2bを構成する透明ガラス製円筒管21が介装された構成であって、該透明ガラス製円筒管21の両端が、SUS製円筒管20の端部と、接合部30,30で接合されている。 かかる構成にあって、ガス管路2の内部10で過酸化水素ガスXが飽和すると、過酸化水素ガスXが凝縮し、非透光性壁部2a及び透光性壁部2bの内面13に、凝縮液層X’が薄膜状に形成されることとなる(図2〜4参照)。 さらに、透光性壁部2bの周囲には、前記投光装置4と受光装置7とが配設される。 投光装置4の一側面には、投光部9を備え、この投光部9からは、レーザー光Lが一方向に照射される。また、この投光装置4には、配線ケーブル17aを介して電源供給装置15が接続され、この電源供給装置15に備えられた操作盤(図示省略)を操作することにより所望のタイミングでレーザー光Lが発振制御されるようになっている。なお、かかる投光装置4から照射されるレーザー光Lは、半導体レーザー光であるが、他の種類のレーザー光源、又は他の光源(例、発光ダイオード)を用いることも勿論可能である。また、レーザー光Lの波長は適宜選択可能であるが、本実施形態例にあっては、近赤外領域の波長を採用している。 一方、受光装置7は一側面に受光部8を備え、前記投光装置4から照射されるレーザー光Lと対向する位置に受光部8が位置するように設置される。そして、かかる受光装置7は、この受光部8で受光したレーザー光Lの受光量とほぼ比例する電圧出力を発生し、配線ケーブル17bを介して接続された出力装置16の測定値表示部(図示省略)にその測定値を表示する。 そしてさらに、投光装置4の投光部9と受光装置7の受光部8との間に、ガス管路2の透光性壁部2bを位置させて、レーザー光Lの光路と透明ガラス製円筒管21が交差するように、位置設定される。すなわち、投光部9と受光部8とが、透光性壁部2bに対向する位置にそれぞれ配設され、投光部9から発振されたレーザー光Lが透光性壁部2bを構成する透明ガラス製円筒管21のほぼ中心を通過するように設定される。なお、このとき投光装置4の照射方向(レーザー光Lの光路)と透光性壁部2bの内面13とがほぼ直交するようにしている。 かかる構成にあって、凝縮液層X’が透光性壁部2bの内面13に形成されている状態で、投光装置4にレーザー光Lを照射させると、当該照射光は、まず投光部9に対向する第一透光性壁部21bから、内面13に対してほぼ垂直に入射する。その後、照射光は凝縮液層X’を通過し、ガス管路2の内部10を横断する。そして、受光部8に対向する第二透光性壁部22b、及び該壁部22bに形成された凝縮液層X’に入射し、該透光性壁部22bを通過した後、受光部8に至る。 かかる構成にあって、受光装置7で検出される受光量は、凝縮液層X’が形成される前に測定された受光量に比べてその量が減少する。これは、照射光が、凝縮液層X’を通過する際に散乱・吸収されるためである。また、凝縮液層X’の層厚が増大すると、透過光の受光量がそれに対応してさらに減少することとなる。すなわち、本発明は、受光装置7で検出される受光量の変化をモニタリングすることにより、ガス管路2の内部10にある過酸化水素ガスXの凝縮開始時を検出できると共に、さらにその後の凝縮液層X’の透光性壁部2b上における経時的な態様変化についても検出することが可能となる。したがって、このようにガス管路2の内部10の凝縮状況が詳細に把握されると、ガス管路2内が確実に除染されたか否かも知ることが可能となる。<第二実施形態例> また、別の構成の凝縮検出装置1aが提案される。 図5に示されるように、透光性壁部2bを、横断面が矩形状の透明ガラス製角筒管25により構成しても良い。この場合、該透明ガラス製角筒管25の両端が、SUS製円筒管20の端部と接合されることとなる。 かかる構成にあっては、透明ガラス製角筒管25で構成される透光性壁部2bのうち、対向する壁部が、それぞれ第一透光性壁部21bと透光性壁部22bとされる。そして、凝縮液層X’が透光性壁部2bの内面13に形成されている状態で、投光装置4にレーザー光Lを照射させると、当該照射光は、まず第一透光性壁部21bから、内面13に対してほぼ垂直に入射し、その後、上述のように、第二透光性壁部22bを通過した後、受光部8に至る。<第三実施形態例> また、以下のような構成の凝縮検出装置1bとしても良い。 すなわち、図6に示されるように、少なくとも投光装置4の投光部9と対向する部位と受光装置7の受光部8と対向する部位とを、ガス管路2の長軸方向に延びる帯状透明ガラス製板26,26とし、照射方向と平行な壁部は、ガス管路2の長軸方向に延びる帯状SUS製板27,27で構成するものである。これにより、本実施形態例にかかるガス管路2の断面形状は、矩形状となる。 かかる構成にあって、凝縮液層X’が透光性壁部2bの内面13に形成されている状態で、投光装置4にレーザー光Lを照射させると、当該照射光は、まず帯状透明ガラス製板26で構成される第一透光性壁部21bから、内面13に対してほぼ垂直に入射し、その後、上述のように、帯状透明ガラス製板26で構成される第二透光性壁部22bを通過した後、受光部8に至る。 なお、これまでに述べた各実施形態例にあって、投光装置4及び受光装置7は、公知のものが採用される。また、投光装置4の電源供給装置15と受光装置7の出力装置16とは一体型の構成であっても良い。 また、投光装置4の投光部9に、発光ダイオードを用いた構成としても良い。発光ダイオードは、低発熱という利点があるため、測定周囲の温度を上昇させて測定環境を不安定にすることがない。 なお、上述した各実施形態例にかかるガス管路2により、本発明にかかるガス通路が構成される。第一実施形態例にかかる凝縮検出装置1の説明図である。第一実施形態例にかかる凝縮検出装置1の一部切欠縦断面図である。図2におけるA−A断面図である。図2におけるB−B断面図である。第二実施形態例にかかるガス管路2’の横断面図である。第三実施形態例にかかるガス管路2’’の横断面図である。符号の説明1,1a,1b 凝縮検出装置2,2’,2’’ガス管路(ガス通路)4 投光装置7 受光装置8 受光部9 投光部13 透光性壁部の内面21b,22b 透光性壁部L レーザー光(照射光)X 過酸化水素ガス アイソレータ装置に接続されるガス管路に配設されるものであって、 一方向に光を照射する投光部を備えた投光装置と、 該投光装置の照射方向と対向する位置に配設される受光部を備えた、受光量とほぼ比例する電圧出力を発生する受光装置とを具備すると共に、 投光装置の投光部と受光装置の受光部との間に、内部に過酸化水素ガスが流れるガス管路が配設され、かつ該ガス管路の路壁の、少なくとも投光装置の投光部と対向する部位と受光装置の受光部と対向する部位とを照射光が通過する透光性壁部で構成し、該投光性壁部の内面に、ガス管路内の過酸化水素ガスが凝縮することとなるものであることを特徴とする過酸化水素ガスの凝縮検出装置。 投光装置の照射方向と投光性壁部の内面とが、ほぼ直交してなるものであることを特徴とする請求項1記載の過酸化水素ガスの凝縮検出装置。 請求項1又は請求項2記載の過酸化水素ガスの凝縮検出装置を複数備えたことを特徴とする過酸化水素ガスの凝縮管理システム。