タイトル: | 公開特許公報(A)_水添触媒およびその製造方法 |
出願番号: | 2004101073 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,B01J21/16,B01J37/02,C07C29/141,C07C31/12,C07B61/00 |
日石 宏樹 井上 朋彦 高橋 和成 JP 2005279587 公開特許公報(A) 20051013 2004101073 20040330 水添触媒およびその製造方法 三菱化学株式会社 000005968 長谷川 曉司 100103997 日石 宏樹 井上 朋彦 高橋 和成 7B01J21/16B01J37/02C07C29/141C07C31/12C07B61/00 JPB01J21/16 ZB01J37/02 101CC07C29/141C07C31/12C07B61/00 300 7 OL 7 4G069 4G169 4H006 4H039 4G069AA03 4G069AA08 4G069BA09B 4G069BC31A 4G069BC58B 4G069BC67A 4G069BC68A 4G069BC68B 4G069BC72A 4G069BC75A 4G069CB02 4G069DA06 4G069EA02X 4G069EA02Y 4G069EC27 4G069EC29 4G069FA02 4G069FB14 4G069FC06 4G169AA03 4G169AA08 4G169BA09B 4G169BC31A 4G169BC58B 4G169BC67A 4G169BC68A 4G169BC68B 4G169BC72A 4G169BC75A 4G169CB02 4G169DA06 4G169EA02X 4G169EA02Y 4G169EC27 4G169EC29 4G169FA02 4G169FB14 4G169FC06 4H006AA02 4H006AC41 4H006BA05 4H006BA20 4H006BA21 4H006BA25 4H006BA26 4H006BA81 4H006BA82 4H006FE11 4H039CA60 4H039CF30 本発明は、水添触媒およびその製造方法に関する。詳しくは、アルデヒドを水素添加して対応するアルコールを製造する反応に用いる水添触媒およびその製造方法に関する。 従来アルデヒドの水添触媒としては、ニッケルを主な触媒成分とするものが工業的に使用されている。その代表的なものの一つは特許文献1に記載されているようなニッケルおよびクロムを触媒成分とするものである。特公昭57−16858号公報 しかしながら、触媒は同じ方法で製造しても、製造ロットによって得られる触媒の選択率は相当に変化する。一方、選択率の測定は、長時間の反応を実際に行う必要があり、時間がかかるという問題がある。そこで、選択率が高い触媒を安定して製造する方法の開発が望まれている。 アルデヒド水添触媒は、通常、触媒担体を触媒活性成分を含有する溶液に含浸することによって製造されている。従来、触媒担体を溶液でスラリー状にして含浸する場合には、溶液と触媒担体とを十分に攪拌したり、触媒担体をカラムに詰め溶液を流通させて含浸する場合には溶液の流通速度を早くしたりして、触媒担体と溶液との混合性を良好にすることにより、触媒担体と触媒活性成分との接触する確率が高くなり、より多くの触媒活性成分が触媒担体に担持され、良好な触媒が得られると考えられていた。 ところが、本発明者らが上記課題について鋭意検討した結果、溶液と触媒担体との混合性を低くして得られる、触媒活性成分が表面から中心部に向かってなだらかな濃度勾配をもって担持されている触媒は、選択率が高いことを見出し本発明に到達した。 すなわち、本発明の要旨は、触媒担体を充填したカラムに、触媒活性成分を含有する溶液を流通して、触媒担体に活性成分を担持するアルデヒドの水添触媒の製造方法において、溶液の線速を3.0m/hr以下とすることを特徴とするアルデヒド水添触媒の製造方法、および、アルデヒドを水素添加してアルコールを製造するための触媒であって、活性成分としてニッケル、銅、白金、コバルト、パラジウムから選ばれる金属を含有し、X線マイクロアナライザー(EPMA)で触媒の断面を測定した場合の、活性成分の含有量のチャートにおいて、触媒粒子の表面と中心部分の中間点のおけるピーク強度が触媒粒子の中心部分におけるピーク強度よりも大きいことを特徴とする水添触媒に存する。 本発明によれば、アルコール選択率の高い水添触媒およびアルコール選択率の高い水添触媒の製法を提供することができ、工業的に極めて有利である。 以下に本発明について詳細に説明する。 本発明に係る水添触媒は、触媒活性成分として、ニッケル、銅、白金、コバルト、パラジウムから選ばれる金属を含有するものであり、なかでも触媒活性成分としてニッケルを含むものが好ましい。 触媒活性成分を含有する溶液としては、ニッケル、銅、白金、コバルト、パラジウムから選ばれる金属の水溶性化合物を、金属として通常100〜200g/Lの濃度で含有する水溶液が用いられる。触媒活性成分がニッケルの場合は、水溶性化合物としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケルなどが挙げられる。 触媒担体としては、珪藻土、アルミナ、シリカゲル、シリカアルミナ、活性炭などが挙げられる。触媒担体は表面積が大きいものが活性の点から好ましく、通常1m2/g以上程度である。また、触媒担体は、直径1〜10mmφ、長さ1〜20mmに成形されたものが好ましく用いられる。 本発明に係る水添触媒は、触媒担体に触媒活性成分を含有する溶液を含浸させた後、乾燥、焼成することにより得ることができる。 触媒担体に触媒活性成分を含有する溶液を含浸させる方法は特に限定されないが、触媒担体をつめたカラムに触媒活性成分を含有する溶液を流通させる方法、触媒活性成分を含有する溶液に触媒担体を入れて攪拌混合する方法などが挙げられる。本発明の方法においては、このときの溶液の液線速を3.0m/hr以下、特には2.5m/hr以下にすることを特徴とする。液線速の求め方は、カラムにつめた触媒担体に溶液を流通させて含浸させる方法では、カラムの断面積をSm2、溶液の流通速度をQm3/hrとした時にQ/Sで求められる。 本発明により選択率が高まる理由は明らかではないが、液線速を遅くすると触媒活性成分は触媒担体表面近傍のみならず、中心部にまで順次浸透し、表面から中心部に向けてなだらかな濃度勾配をもって担持される。一方、触媒担体内部は触媒担体表面に比べて水素の供給が乏しいため、触媒担体内部では高沸物等の副生物を生成する反応が起こりやすくなる。本発明の方法により得られる触媒では、副反応を起こす触媒担体内部の触媒活性成分が少ないため、選択率が向上したものと推察される。しかしながら、触媒活性成分を表面のみに担持した場合、多孔質である担体の特長を十分に生かすことができず、低活性の触媒しか得られない。以上のことから、表面に比べて水素の供給が乏しくなる触媒中心部に向かって徐々に触媒活性成分濃度を下げていくことがで、多孔質担体の特長を生かした高活性かつ高選択性の触媒を得ることができるもの推察される。 担体の触媒活性成分を含有する溶液への浸漬時間は、液線速、溶液の濃度にもよるが、通常、0.5〜24時間である。浸漬温度は、通常5〜100℃で行う。 触媒活性成分を含有する溶液を含浸させた触媒担体は、通常30〜100℃で1〜24時間乾燥され、次いで、通常250〜400℃で1〜10時間焼成を行う。このようにして得られる触媒は、ニッケル、銅、白金、コバルト、パラジウムから選ばれる金属、なかでもニッケルを10〜20重量%含有する。 得られた水添触媒は、通常、水素気流下、通常250〜450℃で5〜40時間還元を行い、触媒活性が付与される。このような還元された触媒は不安定であるため、通常、酸素濃度が0.05〜21容量%の窒素流通下、30〜150℃で1〜24時間加熱し、酸化安定化体とするか、アルコール等の不活性な液体雰囲気で保管する。 このようにして得られる触媒は、X線マイクロアナライザー(EPMA)で、触媒成形体の断面を測定した場合の、触媒活性成分の含有量のチャートにおいて、触媒粒子の表面と中心部分の中間点のおけるピーク強度が触媒粒子の中心部分におけるピーク強度よりも大きく、触媒活性成分が触媒担体の表面から中心部にむけてなだらかな濃度勾配をもって存在している。触媒粒子の表面と中心部分の中間点のおけるピーク強度が触媒粒子の中心部分におけるピーク強度の1.1倍以上、特に1.2倍以上であることが好ましい。なお、チャートが細かな凹凸をもつ場合には、各ピークの頂点を結ぶ接線を引き、この接線を用いてピーク強度の比を求める。 X線マイクロアナライザーで触媒活性成分の含有量を測定するための試料は、常法に従えばよいが、まず、触媒活物質を担持した触媒担体の成形体を切断した後、エポキシ樹脂で包埋し、切断面を平滑になるまで研磨し、プラチナを蒸着して作製する。 本発明に係る水添触媒は、安全のため活性成分が酸化物の状態で取り扱われるのが普通である。その場合は、通常、水素気流下、120〜200℃で1〜5時間加熱することにより還元して触媒として反応に用いられる。 本発明に係る触媒により水添されるアルデヒドは特に限定されず、飽和アルデヒド、不飽和アルデヒドなどの脂肪族アルデヒド、芳香族アルデヒド等が挙げられる。好ましくは炭素数1〜30、特に炭素数1〜20の脂肪族アルデヒドである。このようなアルデヒドの例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ノルマルブチルアルデヒド、ノルマルバレルアルデヒド、2−エチル−2ヘキセナール、2−プロピル−2−ヘプテナール、4−メトキシカルボニルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド等が挙げられる。 以下に本発明の具体的態様を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。<実施例1> 直径3〜4mmφ、長さ5〜6mmの珪藻土担体880kgを円筒形固定床に充填し、ここに、硝酸ニッケルを金属ニッケルとして170g/L及び重クロム酸アンモニウムを金属クロムとして23g/Lの割合で含有する水溶液を、液線速2.3m/Hr、室温で7時間循環させた後、乾燥、330℃で4時間焼成を行って、触媒を調製した。この触媒を水素気流下370℃で還元し、さらに酸素濃度0.1容量%の窒素流通下、80℃で5時間加熱して酸化安定化体(ニッケル担持量12%、クロム担持量2%)とした。 得られた触媒の断面のNi濃度分布を、島津社製X線マイクロアナライザー「EPMA8705」を用い、以下の条件で測定した。測定結果を図1に示す。触媒粒子の中心部分におけるピーク強度は、触媒粒子の表面と中心部分の中間点のおけるピーク強度の1.3倍であった。 加速電圧:15kV 照射電流:0.130μA 測定時間:40ms/point 測定点数:512×512point(間隔10μm、10μm) この触媒を水素気流下150℃に加熱することにより還元活性化を行った。内容量1000mlのオートクレーブに得られた還元活性化触媒80g及び、n−ブチルアルデヒドとn−ブタノールの混合液(重量比1:5)600mlを投入し、これに水素ガスを圧入し、反応温度100℃、反応圧力4.9MPaで2時間反応させた。n−ブタノール選択率は98.6%であった。<実施例2> 直径3〜4mmφ、長さ5〜6mmの珪藻土担体104gを円筒形固定床に充填し、そこに、硝酸ニッケルを金属ニッケルとして170g/L及び重クロム酸アンモニウムを金属クロムとして23g/Lの割合で含有する水溶液450mlを入れ、水溶液の循環は行わずに(液線速0m/hr)、常温で7時間浸漬させた他は、実施例1と同様に行って、触媒の酸化安定化体(ニッケル担持量12%、クロム担持量2%)を調製した。 得られた触媒の断面のNi濃度分布を実施例1と同様の方法で測定した結果を図2に示す。触媒粒子の中心部分におけるピーク強度は、触媒粒子の表面と中心部分の中間点のおけるピーク強度の1.2倍であった。 この触媒を実施例1と同様に還元活性化した後、n−ブチルアルデヒドの水添を行った。n−ブタノール選択率は98.3%であった。<比較例1> 直径3〜4mmφ、長さ5〜6mmの珪藻土担体104gを円筒形固定床に充填し、硝酸ニッケルを金属ニッケルとして170g/L及び重クロム酸アンモニウムを金属クロムとして23g/Lの割合で含有する水溶液を、液線速3.5m/Hr、室温で7時間循環した他は実施例1と同様に行って、触媒の酸化安定化体(ニッケル担持量12%、クロム担持量2%)を調製した。 得られた触媒の断面のNi濃度分布を実施例1と同様の方法で測定した結果を図3に示す。触媒粒子の中心部分におけるピーク強度は、触媒粒子の表面と中心部分の中間点のおけるピーク強度の1.0倍であった。 この触媒を実施例1と同様に還元活性化した後、n−ブチルアルデヒドの水添を行った。n−ブタノール選択率は96.0%であった。実施例1の触媒のEPMA測定結果実施例2の触媒のEPMA測定結果比較例1の触媒のEPMA測定結果アルデヒドを水素添加してアルコールを製造するための触媒であって、活性成分としてニッケル、銅、白金、コバルト、パラジウムから選ばれる金属を含有し、X線マイクロアナライザー(EPMA)で触媒の断面を測定した場合の、活性成分の含有量のチャートにおいて、触媒粒子の表面と中心部分の中間点のおけるピーク強度が触媒粒子の中心部分におけるピーク強度よりも大きいことを特徴とする水添触媒。活性成分がニッケルであることを特徴とする請求項1に記載の水添触媒。触媒粒子の表面と中心部分の中間点におけるピーク強度が中心部分のピーク強度の1.1倍以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の水添触媒。触媒担体を充填したカラムに、触媒活性成分を含有する溶液を線速3.0m/hr以下で流通させて、触媒担体に活性成分を担持させる方法により得られたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の水添触媒。触媒活性成分がニッケルであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の水添触媒。触媒担体を充填したカラムに、触媒活性成分を含有する溶液を線速3.0m/hr以下で流通して、触媒担体に活性成分を担持して製造されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の水添触媒。触媒担体を充填したカラムに、触媒活性成分を含有する溶液を流通して、触媒担体に活性成分を担持するアルデヒドの水添触媒の製造方法において、溶液の線速を3.0m/hr以下とすることを特徴とするアルデヒド水添触媒の製造方法。 【課題】 選択率が高い触媒を安定して製造する方法および選択率の高い触媒を提供すること。【解決手段】 アルデヒドを水素添加してアルコールを製造するための触媒であって、活性成分としてニッケル、銅、白金、コバルト、パラジウムから選ばれる金属を含有し、X線マイクロアナライザー(EPMA)で触媒の断面を測定した場合の、活性成分の含有量のチャートにおいて、触媒粒子の表面と中心部分の中間点のおけるピーク強度が触媒粒子の中心部分におけるピーク強度よりも大きいことを特徴とする水添触媒。【選択図】 なし