タイトル: | 公開特許公報(A)_ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法 |
出願番号: | 2004094583 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C08G73/22,B01J20/26,B01J20/28,G01N33/48 |
岡田 亘 JP 2005281389 公開特許公報(A) 20051013 2004094583 20040329 ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法 住友ベークライト株式会社 000002141 岡田 亘 7C08G73/22B01J20/26B01J20/28G01N33/48 JPC08G73/22B01J20/26 LB01J20/28 ZG01N33/48 Z 7 OL 8 2G045 4G066 4J043 2G045FA40 2G045FB06 4G066AB03A 4G066AB07A 4G066AC14B 4G066AC17B 4G066AC35B 4G066BA09 4G066BA20 4G066BA23 4G066CA21 4G066DA10 4G066EA01 4J043PA04 4J043PB15 4J043QB26 4J043QB34 4J043RA52 4J043SA06 4J043SA71 4J043SB01 4J043TA12 4J043TA21 4J043TB03 4J043UA082 4J043UA131 4J043UB021 4J043UB061 4J043UB121 4J043UB301 4J043XA18 4J043XB03 4J043XB37 4J043YA02 4J043ZB47本発明は、ポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法に関する。従来、マイクロエレクトロニクス分野において半導体素子の表面保護膜や層間絶縁膜には耐熱性、電気特性、機械特性等に優れるポリイミド樹脂が用いられてきた。しかし、近年の半導体素子の高集積化、パッケージの薄型化、小型化、半田リフローによる表面実装への移行等から、更に高性能の樹脂開発が望まれている。また、ポリイミド樹脂自身に感光性を付与する技術が注目を集めてきており、様々な感光性ポリイミド樹脂が開発されている。これらは補助レジストを使用せずにパターン形成が可能であるため、工程短縮の効果はあるが、現像の際に有機溶剤を用いるので安全性や取扱いの面で問題がある。そこで最近、アルカリ水溶液で現像ができるポリベンゾオキサゾール前駆体とジアゾキノン化合物より構成されるポジ型感光性樹脂が開発されている。(特許文献1参照)この樹脂は耐熱性、電気特性、微細加工性に優れ、ウェハーコート用のみならず層間絶縁用樹脂としての可能性も有している。このポジ型の感光性樹脂の現像メカニズムは、未露光部のジアゾキノン化合物はアルカリ水溶液に不溶であるが、露光することによりジアゾキノン化合物が化学変化を起こし、アルカリ水溶液に可溶となる。この露光部と未露光部との溶解性の差を利用し、露光部を溶解除去することにより未露光部のみの塗膜パターンの作成が可能となるものである。このポジ型感光性樹脂のベースポリマーであるポリベンゾオキサゾール前駆体の合成法については、ジカルボン酸ジクロリドとビスアミノフェノール化合物とを反応させる酸クロリド法がある。ところがこの方法では、合成途中で発生する塩素イオンがポリマー中に残留し、腐食によりデバイスの機能を著しく損傷する恐れがある。そこで、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとジカルボン酸化合物とを反応させてジカルボン酸誘導体を合成し、更にこのジカルボン酸誘導体とビスアミノフェノール化合物とを反応してポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する方法が提案されている。(特許文献2参照)この方法を用いると、前記酸クロライド法のような残留する塩素イオンの問題は起こらないが、ポリベンゾオキサゾール前駆体が生成する過程において、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが脱離基として副生して反応液中に残留するために、ポリベンゾオキサゾール前駆体を単離精製する工程が必須となる。この精製処理には一般に再沈殿法が用いられ、大量の有機溶媒もしくは水等の貧溶媒中に反応液を投入してポリマー成分だけを単離する。更には得られたポリマーを乾燥した後、実際の製品として供するに際しては、再び有機溶媒に溶解して使用する必要があった。このようなプロセスを経由することは非常に煩雑であり、多大な工数を要するので経済的にコストアップにつながる。また大量の廃液が発生し環境汚染の点からも問題であり工業的な製法としては不利であった。特公平1−46862号公報特開平9−183846号公報本発明は、従来のこれら問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、耐熱性、電気特性、機械特性などに優れたポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法を提供することにある。本発明者は、従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の工程を有する方法によって上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、下記のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法に係る。(1)ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する方法であって、(a)縮合剤にジシクロヘキシルカルボジイミドを用いてジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを反応させてジカルボン酸誘導体を合成する第一工程、(b)前記ジカルボン酸誘導体をビスアミノフェノール化合物と反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する第二工程、及び(c)前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液より、脱離基として副生した1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、回分式クロマト分離装置を用いて除去する第三工程、を含むことを特徴とするポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。(2)第一工程で用いるジカルボン酸化合物が、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸である項(1)記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。(3)第二工程で用いるビスアミノフェノール化合物が、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテルの少なくとも1種類を含む項(1)又は(2)記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。(4)第二工程で得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の分子鎖末端を、ジカルボン酸無水物との反応で封止してなる項(1)〜(3)記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法(5)前記ジカルボン酸無水物が、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物及び無水マレイン酸の少なくとも1種類を含む項(4)記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。(6)第三工程の回分式クロマト分離装置で用いるカラムの充填剤が、マクロポーラス構造を有する多孔質球状粒子であって、細孔と分子との相互作用を利用して、ポリベンゾオキサゾール前駆体と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを分子サイズで分別することを特徴とする項(1)〜(5)記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。(7)前記多孔質球状粒子が、スチレン又はアクリルとジビニンルベンゼンの共重合体であって、平均粒子径0.1〜2.0mm、平均細孔径10〜800Åの粒子である項(6)に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。 本発明の方法に従うと、耐熱性、電気特性、機械特性などに優れたポリベンゾオキサゾール前駆体を、工業的に有利な方法で製造することができる。本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法では、ジシクロヘキシルカルボジイミドを縮合剤に用いて、ジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを反応させてジカルボン酸誘導体を合成し、次いでこのジカルボン酸誘導体とビスアミノフェノール化合物とを更に反応させて所望のポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する。しかし、このポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液には脱離基として副生した1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが不純物として残留する。そこで、回文式クロマト分離装置を用いてこれを除去し、高純度のポリベンゾオキサゾール前駆体を効率的に回収する。以下、本発明の製造方法の詳細を工程ごとに説明する。(a)第一工程第一工程では、ジシクロヘキシルカルボジイミドを脱水縮合剤に用いてジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを反応させて、本発明のポリベンゾオキサゾール前駆体の中間原料となるジカルボン酸誘導体を合成する。このジカルボン酸誘導体は一般に活性エステルと呼ばれ、合成にあたっては、予めジカルボン酸と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを溶媒に溶かしておき、−5〜10℃の低温下でジシクロヘキシルカルボジイミドを加えた後、20〜80℃で、好ましくは20〜50℃で1〜20時間攪拌して反応を行う。その後、反応液を濾過して析出したジシクロヘキシルカルボジウレアを取り除き、再沈殿、乾燥等の公知の方法を用いて濾液よりジカルボン酸誘導体を回収する。第一工程におけるジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとの反応は、ジカルボン酸化合物1モルに対して、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール1.9〜2.1モルの範囲で行うことが好ましい。1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが1.9モル未満ではジカルボン酸誘導体の収率が低下し、2.1モルを超えると未反応の1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが多くなり不純物として残留する恐れがある。また、脱水縮合剤として用いるジシクロヘキシルカルボジイミドの添加量については、ジカルボン酸化合物1モルに対して1.9〜2.3モルの範囲にすることが好ましい。ジシクロヘキシルカルボジイミドが1.9モル未満ではジカルボン酸誘導体の収率が低下し、2.3モルを超えると未反応のジシクロヘキシルカルボジイミドまたはこれがジシクロヘキシルカルボジウレアとなったものが不純物として残留する恐れがあり好ましくない。第一工程で用いる溶媒は、実質的にジカルボン酸化合物、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、及びジシクロヘキシルカルボジイミドを溶解するものであれば特に制限されない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。第一工程で用いるジカルボン酸化合物は、特に制限されず、従来のポリベンゾオキサゾール前駆体合成で用いられているものと同様のものが使用できる。例えば、ジフェニルエーテル−3,3′−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4′−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ベンゾフェノン−3,3′−カルボン酸、ベンゾフェノン−3,4′−ジカルボン酸、ベンゾフェノン−4,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,4′−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4′−ジカルボン酸等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明では、得られるジカルボン酸誘導体の化合物としての安定性から、特にジフェニルエーテル−4,4′−ジカルボン酸が好ましい。(b)第二工程第二工程では、第一工程で得られたジカルボン酸誘導体とビスアミノフェノール化合物とを反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する。合成にあたっては、ジカルボン酸誘導体とビスアミノフェノール化合物を溶媒に溶かし、20〜150℃で1〜20時間攪拌して反応を行う。反応モル比は、ジカルボン酸誘導体1モルに対して、ビスアミノフェノール化合物0.9〜1.2の範囲で行うことが好ましい。モル比がこの範囲外では、得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の分子量が小さくなり、耐熱性を著しく低下させる恐れがある。更には、前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応が終了した後に、ジカルボン酸無水物を系内に添加し、前駆体の末端アミノ基を封止することが好ましい。この反応は、20〜120℃で1〜20時間攪拌して行われ、得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の化合物としての安定性を高める上で非常に有効である。末端アミノ基を封止するためのジカルボン酸無水物としては、芳香族ジカルボン酸無水物、脂肪族ジカルボン酸無水物、脂環族ジカルボン酸無水物、複素環族ジカルボン酸無水物等、いずれのタイプのジカルボン酸無水物を用いても良い。また、これらは2種以上を組み合わせて使用することもできる。本発明では、特に無水マレイン酸、及び5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物の少なくとも1種であることが好ましい。第二工程で用いるビスアミノフェノール化合物は、特に制限されず、従来のポリベンゾオキサゾール前駆体合成と同様のものが使用できる。例えば、2,4−ジアミノレゾルシノール、4,6−ジアミノレゾルシノール、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシビフェニル、9,9−ビス(4−((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェノキシ)フェニル)フルオレン、9,9−ビス((4−アミノ−3−ヒドロキシ)フェニル)フルオレン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノ−3−ヒドロキシ−5−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ−6−トリフルオロメチルフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシ−5,5’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。本発明では、特に2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル等が好ましい。第二工程で用いる溶媒は、実質的にジカルボン酸誘導体、ビスアミノフェノール化合物、及び生成するポリベンゾオキサゾール前駆体を溶解するものであれば特に制限されない。例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらは、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。(c)第三工程第三工程では、第二工程で得られたポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液より、脱離基として副生した1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、回分式クロマト分離装置を用いて除去し、高純度のポリベンゾオキサゾール前駆体を回収する。回分式クロマト分離装置の原理及び装置は公知の技術であり、複数の成分を含有する溶液から有用物質を分離して、高純度で回収することができる最も簡便な操作方式であり、カラムの充填剤の選択により、様々な成分分離に適用が可能である。本発明の回分式クロマト分離装置では、カラムの充填剤にマクロポーラス構造を有する多孔質球状粒子を用い、粒子細孔と分子との相互作用を利用して、ポリベンゾオキサゾール前駆体と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを分子サイズで分別を行う。溶離液を満たした状態でカラムの一端より、第二工程で得られたポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液の一定量を供給する。この後、溶離液を供給すると、ポリベンゾオキサゾール前駆体と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールは、充填剤の分子篩い効果により移動速度差が生じ、先にポリベンゾオキサゾール前駆体、次いで1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの順序で、充填層を移動するにしたがってお互いが分離する。そこで、流出液をカラム出口で順次分け取る事により、高純度のポリベンゾオキサゾール前駆体を回収する。この単位操作を繰り返し行い、反応液の全量を処理する。また、カラムからの流出液を各成分で効率的に分取するためには、カラム出口側に検出器を備えている回分式クロマト分離装置が好ましい。例えば、示差屈折率検出器、紫外可視分光光度検出器、質量分析検出器等が挙げられる。本発明の回分式クロマト分離装置のカラムは、単塔でも、複数塔を並列で設置してもよく、装置の設置面積や処理する反応液量に応じて、適宜選択すればよい。処理温度は特に限定されないが、5〜80℃、好ましくは、20〜70℃の範囲である。温度があまりにも低温では、液粘性が増大し、カラム内が高圧となるために処理流量を上げることができず生産性が低下する。また、通常は温度が高いほど分離性能は改善されるが、カラム内に気泡が発生して逆に分離効率が低下する恐れがあり、前記の範囲内で設定することが好ましい。本発明の回分式クロマト分離装置に用いるカラムの充填剤は、スチレン又はアクリルとジビニンルベンゼンの共重合体よりなるマクロポーラス構造の多孔質球状粒子が好ましい。また、本発明では特に平均粒子径0.1〜2.0mm、平均細孔径10〜800Åの多孔質球状粒子が好ましく、更に好ましくは平均粒子径0.3〜1.0mm、平均細孔径30〜600Åである。平均粒子径が0.1mm未満では、カラム内の充填剤の充填密度が高くなりすぎ、通液時に高圧となり装置への負荷が大きいばかりか、処理流量を上げることができずに生産性を低下させる原因となる。また平均粒子径が2.0mmを超えるような場合や平均細孔径が前期範囲外の場合は、両成分を十分に分離することができず、高純度のポリベンゾオキサゾール前駆体を回収できない恐れがあり、いずれの場合も好ましくない。多孔質球状粒子の市販品としては、ロームアンドハース社製のアンバーライト、三菱化学社製のダイヤイオン、セパビーズ等を挙げることができる。カラムの容量については特に制限はなく、選択した吸着剤の分離能力及び処理する反応液量に応じて適宜設定すればよい。本発明の回分式クロマト分離装置を運転する際に用いる溶離液は、ポリベンゾオキサゾール前駆体、及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが溶解する溶媒であれば特に制限されず、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。しかし、目的物質であるポリベンゾオキサゾール前駆体の精製液に、不必要な溶媒が混入するのを避けたい場合は、ポリベンゾオキサゾール前駆体合成時の反応溶媒を溶離液として用いればよい。前記の回分式クロマト分離装置を用いた一連の単位操作において、供給する反応液の一定量は、カラム内の充填剤容量に対して1.0〜8.0%が好ましく、更に好ましくは3.0〜6.0%である。反応液の供給量は少ないほどカラム内の分離状態は向上するが、あまりにも少な過ぎては生産性が上がらず、工業的な用途には向かない。また、供給量が多過ぎると分離状態が悪化するために、高純度のポリベンゾオキサゾール前駆体を回収できなくなる恐れがある。よって、前記の範囲内で、カラムの容量と反応液の処理量に応じて、適宜設定することが好ましい。<実施例1>(イ)ジカルボン酸誘導体の合成ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸258.2g(1モル)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール270.3g(2モル)とをN−メチル−2−ピロリドン1500gに溶解した後、 N−メチル−2−ピロリドン500gに溶解したジシクロヘキシルカルボジイミド412.7g(2モル)を反応系の温度を0〜5℃に冷却しながら滴下する。滴下終了後、反応系の温度を室温に戻し、そのまま12時間攪拌した。反応終了後、析出したジシクロヘキシルカルボジウレアを濾過によって取り除き、次に濾液から再沈殿によりジカルボン酸誘導体を回収した。得られたジカルボン酸誘導体を減圧乾燥し、赤外吸収スペクトルで分析したところ、1780cm-1にエステル結合由来の吸収が見られることにより、これが目的物のジカルボン酸誘導体であり、かつ分解していないことが確認できた。(ロ)ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成前記ジカルボン酸誘導体 147.7g(0.3モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン120.9g(0.33モル)を N−メチル−2−ピロリドン1000gに溶解した。その後反応系を75℃にして12時間反応した。次にN−メチル−2−ピロリドン50gに溶解した5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物11.5g(0.07モル)を加えて、更に12時間反応し、ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を得た。(ハ)回分式クロマト分離装置による処理加熱ジャケットを有した内径4cm、長さ45cmのステンレス鋼製カラムを並列に4本設置したカラム群からなり、カラム内に充填剤としてアンバーライトXAD16HP(ロームアンドハース社製)を充填した回分式クロマト分離装置を用いた。全カラムにN−メチル−2−ピロリドンを満たし、カラム温度を60℃に制御した。その後、ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を各カラムに28.2ml供給し、直ちに溶離液としてN−メチル−2−ピロリドンを流速12.0ml/minで通液した。この単位操作を20分毎に繰り返し行い、ポリベンゾオキサゾール前駆体の精製液を得た。得られた精製液を1H−NMRで分析したところ、精製液中のポリベンゾオキサゾール前駆体の純度は99.5wt%であった。また回分式クロマト分離装置によりポリベンゾオキサゾール前駆体の精製処理に要した時間は、合計190分であった。<実施例2>実施例1と同様にして得られたジカルボン酸誘導体 147.7g(0.3モル)とヘキサフルオロ−2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン120.9g(0.33モル)をγ−ブチロラクトン1000gに溶解した。その後反応系を75℃にして12時間反応した。次にγ−ブチロラクトン50gに溶解した5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物11.5g(0.07モル)を加えて、更に12時間反応し、ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を得た。カラム内に充填する吸着剤をアンバーライトXAD2000(ロームアンドハース社製)に変更する以外は、実施例1と同仕様の回分式クロマト分離装置を用いた。反応液には前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を、溶離液にはγ−ブチロラクトンを用い、カラム温度70℃、反応液供給量20.4ml、溶離液の通液速度13.0ml/minで装置を運転した。この単位操作を18分毎に繰り返し行い、ポリベンゾオキサゾール前駆体の精製液を得た。得られた精製液を1H−NMRで分析したところ、精製液中のポリベンゾオキサゾール前駆体の純度は99.8wt%であった。また回分式クロマト分離装置によりポリベンゾオキサゾール前駆体の精製処理に要した時間は、合計225分であった。<比較例1>実施例1と同様にしてポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を得た。攪拌機を備えた容器に、イオン交換水7.0Lと2−プロパノール3.0Lの混合溶媒を投入し、攪拌翼を300rpmの速度で回転させる中に、前記反応液を10ml/minの速度で滴下し、ポリベンゾオキサゾール前駆体を液温25℃で沈殿させた。滴下終了後、沈殿物が固着しなくなるまで攪拌を続けると、60分間を要した。その後、沈殿物を回収して60℃で240分間減圧乾燥することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体の精製品を得た。ポリベンゾオキサゾール前駆体の精製処理に要した時間は、合計400分であった。得られた精製品を1H−NMRで分析したところ、ポリベンゾオキサゾール前駆体の純度は91.3wt%であり、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールが十分に除去されていなかった。<比較例2>実施例2と同様にしてポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液を得た。攪拌機を備えた容器に、イオン交換水7.0Lと2−プロパノール3.0Lの混合溶媒を投入し、攪拌翼を300rpmの速度で回転させる中に、前記反応液を10ml/minの速度で滴下し、ポリベンゾオキサゾール前駆体を液温25℃で沈殿させた。滴下終了後、沈殿物が固着しなくなるまで攪拌を続けると、60分間を要した。次に回収した沈殿物を、イオン交換水2.1Lと2−プロパノール0.9Lの混合溶媒中に投入して更に60分間攪拌を行った。その後、再び沈殿物を回収して60℃で240分間減圧乾燥することにより、ポリベンゾオキサゾール前駆体の精製品を得た。ポリベンゾオキサゾール前駆体の精製処理には、合計460分間も要した。得られた精製品を1H−NMRで分析したところ、ポリベンゾオキサゾール前駆体の純度は98.8wt%であった。本発明の製造方法は、マイクロエレクトロニクス分野で使用されるポリマーの単離精製の方法として幅広く応用が可能であり、また本発明により得られるポリベンゾオキサゾール前駆体は、優れた耐熱性、電気特性、機械的特性を有するので半導体の表面保護膜や多層配線用層間絶縁膜、その他電気・電子材料の分野において幅広い用途が期待される。ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する方法であって、(a)縮合剤にジシクロヘキシルカルボジイミドを用いてジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを反応させてジカルボン酸誘導体を合成する第一工程、(b)前記ジカルボン酸誘導体をビスアミノフェノール化合物と反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する第二工程、及び(c)前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液より、脱離基として副生した1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、回分式クロマト分離装置を用いて除去する第三工程を含むことを特徴とするポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。第一工程で用いるジカルボン酸化合物が、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸である請求項1記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。第二工程で用いるビスアミノフェノール化合物が、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテルの少なくとも1種類を含む請求項1又は2記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。第二工程で得られるポリベンゾオキサゾール前駆体の分子鎖末端を、ジカルボン酸無水物との反応で封止してなる請求項1〜3のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法前記ジカルボン酸無水物が、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物及び無水マレイン酸の少なくとも1種類を含む請求項4に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。第三工程の回分式クロマト分離装置で用いるカラムの充填剤が、マクロポーラス構造を有する多孔質球状粒子であって、細孔と分子との相互作用を利用して、ポリベンゾオキサゾール前駆体と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを分子サイズで分別することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。前記多孔質球状粒子が、スチレン又はアクリルとジビニンルベンゼンの共重合体であって、平均粒子径0.1〜2.0mm、平均細孔径10〜800Åの粒子である請求項6に記載のポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。 【課題】耐熱性、電気特性、機械特性などに優れたポリベンゾオキサゾール前駆体の工業的に有利な製造方法を提供する。【解決手段】ポリベンゾオキサゾール前駆体を製造する方法であって、(a)縮合剤にジシクロヘキシルカルボジイミドを用いてジカルボン酸化合物と1−ヒドロキシベンゾトリアゾールとを反応させてジカルボン酸誘導体を合成する第一工程、(b)前記ジカルボン酸誘導体をビスアミノフェノール化合物と反応させてポリベンゾオキサゾール前駆体を合成する第二工程、及び(c)前記ポリベンゾオキサゾール前駆体の反応液より、脱離基として副生した1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを、回分式クロマト分離装置を用いて除去する第三工程を含むことを特徴とするポリベンゾオキサゾール前駆体の製造方法。