タイトル: | 公開特許公報(A)_架橋性高分子の溶媒への溶解性を予測する方法 |
出願番号: | 2004087368 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,G01N33/44,C08J7/02,C08L101:00 |
川面 哲司 堀 照夫 JP 2005274313 公開特許公報(A) 20051006 2004087368 20040324 架橋性高分子の溶媒への溶解性を予測する方法 横浜ゴム株式会社 000006714 青木 篤 100099759 石田 敬 100077517 古賀 哲次 100087413 西山 雅也 100082898 川面 哲司 堀 照夫 7G01N33/44C08J7/02C08L101:00 JPG01N33/44C08J7/02 ZC08L101:00 3 1 OL 9 4F073 4F073AA32 4F073BA04 4F073EA03 4F073EA13 本発明は架橋性高分子の溶媒への溶解性又は相溶性を判定する方法に関する。 ポリマーを溶媒に溶解させたり、膨潤させたりする場合にポリマーと溶媒との相溶性、溶解性を知ることが必要な場合が多い。そのため従来は常に予じめ予備実験を繰り返した上で相溶性や溶解性を確認する必要があった。ところで架橋ポリマーと溶媒との間には以下のFlory−Rehnerの式(II)が成立つことが知られている(非特許文献1参照)。 一方、ポリマーと溶媒が相溶するためには以下の式(III)の関係を満足することが必要であることも知られている(非特許文献2参照)。Flory PJ, Rehner J:J. Chem. Phys, 11, 521(1943)野瀬卓平、中浜精一、宮田清蔵/編 大学院高分子科学 P106−109(株式会社講談社) 従って、本発明の目的は任意の架橋性高分子と任意の溶媒の溶解性又は相溶性を簡単に判定することができる方法を提供することにある。 本発明に従えば、少なくとも2水準の架橋密度を有する、同一の高分子の架橋物の溶媒に対する膨潤度SA及びSBを2種類の溶媒を用いて測定し、その二つの測定値SA及びSBを式(I):に加入して高分子と2種類のそれぞれの溶媒との間の相互作用パラメータχを計算的に求めて高分子と前記溶媒との相溶性を判定する方法が提供される。 本発明に従えば、特定の架橋性高分子と特定の溶媒との相溶性(溶解性)を、同一の架橋性高分子の任意の水準の架橋密度を持つ架橋体の当該溶媒中及び他の少なくとも一種の溶媒中のそれぞれでの膨潤度を測定するのみで計算的に容易に求めることができる。 本発明に従って架橋性高分子のχパラメータを求める方法は以下の通りである。即ち、例えば2種類の溶媒(ベンゼン(A)及びn−ヘプタン(B))で膨潤しているχが未知である架橋性高分子の架橋物の膨潤度を求める。この2種類の溶媒のそれぞれに関してFlory−Rehner式より以下の関係が成立する。 更に、前記の架橋体と同一の架橋性高分子からなるが架橋密度の異なる架橋体に関しても同様に(IV)式の関係が成り立つ。こうして得られた二つの式より未知の変数χAおよびχBが連立方程式の解として計算される。また、同一の架橋性高分子からなる異なる架橋密度を持つ架橋体を3つ以上作製して、同様に2種類の溶媒による膨潤度を測定すれば、(I)式および(I’)式を使って、変数Xおよび変数Yを計算し、そのプロットの切片および傾きより精度よくχAおよびχBを求めることができる。なお、χパラメータは温度の関数であるので各溶媒に関する膨潤度測定はそれぞれの溶媒について一定の温度で測定される必要がある。 以下、実施例に従って本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。実施例実施例1 SBR−1(日本ゼオン(株)製 NS−116R;スチレン含有量:21重量%、ブタジエン部分のビニル含有量:67モル%)のベンゼン及びn−ヘプタンに関するχパラメータを以下のようにして求めた。 DCP(ジシクロペンタジエン)を所定量添加し、170℃で10分架橋した有効架橋密度の異なる6種類のSBRの試料を調製した。これらの試料をそれぞれベンゼン及びn−ヘプタンに25℃で浸漬し、膨潤平衡時のゴム体積分率を測定した。試料及び膨潤率、これより計算したX,Yの値を表Iに示す。さらに、前記式(IV)(但し、溶媒A=ベンゼン、溶媒B=n−ヘプタン)に従った、これらのX,Yのプロットを図1に示す。このプロットの切片より求めたSBR−1とベンゼンの相互作用パラメータχBは0.524、また、傾きより求めたSBR−1とn−ヘキサンの相互作用パラメータχHは0.645であった。実施例2 DCPを所定量添加し、170℃で10分架橋した有効架橋密度の異なる6種類のポリイソプレンゴム(IR)(日本ゼオン(株)製Nipol IR2200)の試料を調製した。これらの試料を超臨界状態のCO2(80℃、10MPa)及びn−ヘプタンに浸漬し、それぞれの膨潤平衡時のゴム体積分率を測定した。試料及び膨潤率、これより計算したX,Yの値を表IIに示す。 更に、前記式(IV)(但し溶媒A=超臨界状態のCO2(80℃、10MPa)、溶媒B=n−ヘプタン)に従ったこれらのX,Yのプロットを図2に示す。このプロットの切片から求めたポリイソプレンゴムと超臨界CO2(80℃、10MPa)の相互作用パラメータχCO2は1.67、また、傾きより求めたポリイソプレンゴムとn−ヘキサンの相互作用パラメータχHは0.429であった。 これらのχの値が次式を満たせば、前記ポリイソプレンゴムと溶媒が相溶する、すなわちポリイソプレンゴムが前記溶媒に溶解すると判定される。 本発明に従えば、任意の架橋性高分子と任意の溶媒との相溶性又は溶解性を簡単な方法で判定することができるので、架橋性高分子を溶解することのできる溶媒の選択方法及び前記高分子の架橋体を加工するために使用する溶媒の選択方法として有用である。本発明の実施例1におけるX−Yプロットを示す図面である。本発明の実施例2におけるX−Yプロットを示す図面である。 少なくとも2水準の架橋密度を有する、同一の高分子の架橋物の溶媒に対する膨潤度SA及びSBを2種類の溶媒を用いて測定し、その二つの測定値SA及びSBを式(I):に加入して高分子と2種類のそれぞれの溶媒との間の相互作用パラメータχを計算的に求めて高分子と前記溶媒との相溶性を判定する方法。 前記2種類の溶媒の少なくとも一方が常温、常圧で気体である流体である請求項1に記載の方法。 前記常温、常圧で気体である流体が二酸化炭素である請求項2に記載の方法。 【課題】 架橋性高分子と溶媒との相溶性を予測する。【解決手段】 少なくとも2水準の架橋密度を有する、同一の高分子の架橋物の溶媒に対する膨潤度SA及びSBを2種類の溶媒を用いて測定し、その二つの測定値SA及びSBを式(I): 【数1】に加入して高分子と2種類のそれぞれの溶媒との間の相互作用パラメータχを計算的に求めて高分子と前記溶媒との相溶性を判定する方法。【選択図】 図1