生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_第四級アンモニウム塩の精製方法
出願番号:2004084063
年次:2005
IPC分類:7,C07C213/10,C07C217/08


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西本 佳弘 JP 2005272311 公開特許公報(A) 20051006 2004084063 20040323 第四級アンモニウム塩の精製方法 広栄化学工業株式会社 000167646 西本 佳弘 7C07C213/10C07C217/08 JPC07C213/10C07C217/08 2 OL 6 4H006 4H006AA02 4H006AD30 4H006BC50 4H006BC51 4H006BU50 本発明は、第四級アンモニウム塩の精製方法に関し、さらに詳しくは不純物としてフッ素成分を含有する第四級アンモニウム塩の精製方法に関するものである。 不純物としてフッ素成分を含有する第四級アンモニウム塩からフッ素成分を除去する方法としては、例えば、フッ素成分を含んだ第四級アンモニウム塩を再結晶で精製する方法が提案されている(特許文献1参照)。ところで、近年注目されている、常温で液体である第四級アンモニウム塩(いわゆる、イオン性液体又は常温溶融塩と称せられている)がある。特許文献1の方法はかかるイオン性液体には適用することができないため、必ずしも工業的に有利な方法とは言えない。特開2001−348388 本発明は、第四級アンモニウム塩中のフッ素成分を、第四級アンモニウム塩の状態に左右されずに除去できる、工業的に有利な第四級アンモニウム塩の精製方法を提供することを課題とする。 本発明は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、金属化合物という)を用いてフッ素成分を含んだ第四級アンモニウム塩からフッ素成分を除去することを特徴とする第四級アンモニウム塩の精製方法に関する。 本発明方法により、第四級アンモニウム塩の状態に左右されずに第四級アンモニウム塩が精製できるので、本発明は工業的価値大なるものである。以下に本発明を詳細に説明する。 本発明の第四級アンモニウム塩としては、不純物としてフッ素成分を含有するもので有れば特に制限されないが、そのアニオン成分をテトラフルオロボレートイオンとするものが好ましい。本発明の第四級アンモニウム塩を具体的に説明すると、そのカチオン成分としては、例えば式(1):(式中、R1〜R4はそれぞれ互いに同じであっても異なっていても良く、アルキル基またはアラルキル基を示す。それらは水酸基、アミノ基、カルボキシル基またはアルコキシ基等の置換基を有していてもよく、さらにはエーテル部位、チオエーテル部位、アミノ部位またはアミド部位等を有していてもよい。)で表されるカチオン、式(2):(式中、Q1は窒素原子と共に5又は6員環の脂環式アンモニウムカチオンを形成する原子団を示し、それらは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子により構成される。R1及びR2は前記に同じ。)で表されるカチオンまたは式(3):(式中、Q2は窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成する原子団を示し、それらは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子により構成される。R1は前記に同じ。)で表されるカチオンが挙げられるがそれらに限定されない。 式(2)においてQ1が形成する5又は6員環としては、例えばピロリジン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、チアゾリジン環、イソキサゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環またはモルフォリン環等が挙げられる。 式(3)においてQ2が形成する5又は6員環としては、例えばピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環またはトリアジン環等が挙げられる。 またアニオン成分としては テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、トリフルオロメチルスルフェートイオンまたはビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミデートイオン等が挙げられる。 式(1)、(2)及び(3)において、R1〜R4で示されるアルキル基としては、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基等を例示できる。アラルキル基としてはそれぞれベンゼン環にメチル基、エチル基等の低級アルキル基を1個以上有していてもよいベンジル基、1−フェネチル基または2−フェネチル基が挙げられ、好ましくはベンジル基である。 斯かる第四級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラプロピルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラペンチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジプロピルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジブチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジペンチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジヘキシルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジプロピルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジブチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジペンチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジヘキシルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチル−N−メチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジプロピルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジブチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジペンチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジヘキシルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N−エチル−N−メチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N−ブチル−N−メチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N−ヘキシル−N−メチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジエチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジプロピルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジペンチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジヘキシルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、N−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−プロピルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ヘプチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート等を例示できる。 本発明の精製方法を実施するには、フッ素成分を含有する第四級アンモニウム塩もしくは必要に応じて溶媒を混合した第四級アンモニウム塩混合液と、少なくとも1種の金属化合物を単独もしくはその溶液を、攪拌して混合すればよい。このようにすれば、フッ素成分と金属化合物との反応によって難溶性の無機塩が生成し、次いで、必要ならば溶媒を留去下後に、この難溶性物質を濾過等により第四級アンモニウム塩と分離すれば第四級アンモニウム塩からフッ素成分を除去することができる。 斯かるフッ素成分とはイオンクロマトグラフィー測定によりフッ素イオンとして検出されるものであり、フッ化水素、フッ化アルカリ金属、フッ化アルカリ土類金属またはフッ化四級アンモニウム等が例示できる。 斯かる金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウムのアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウムのアルカリ金属酸化物、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等のアルカリ土類金属酸化物が挙げられ、好ましくは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウムである。 金属化合物は単独で添加するか、または溶液で添加しても良い。溶液で用いる時の溶剤としては、金属化合物を溶解する溶剤で有れば特に限定されないが、通常水が使用される。 金属化合物の使用量は特に限定されるものではないが、第四級アンモニウム塩に含まれるフッ素イオン1モルに対して、通常1モル倍以上であり、好ましくは1〜2000モル倍であり、特に好ましくは1〜200モル倍である。 精製方法に用いる溶媒は、第四級アンモニウム塩を溶解する溶媒であれば特に制限はなく、また第四級アンモニウム塩が液体の時は使用してもしなくとも良い。使用する溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ヘキサンニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。その使用量は特に限定されるものではないが、精製終了後に加熱して溶媒を留去するため少ない方が好ましく、第四級アンモニウム塩1重量部に対して、通常5重量部以下であり、好ましくは3重量部以下である。 精製方法における第四級アンモニウム塩と金属化合物との混合温度は通常0〜150℃程度、好ましくは10℃〜100℃の範囲である。混合温度が0℃未満では第四級アンモニウム塩と金属化合物との反応速度が遅く、150℃を超えてもそれに見合う当該反応速度の上昇効果が得られず、経済的に不利である。 精製方法における第四級アンモニウム塩と金属化合物との混合時間は、通常15分以上、好ましくは1時間〜48時間である。この時間より短い場合は十分に精製することができず、この時間より長い場合は製造コストが増大し工業的に不利となる。 精製方法は所望により不活性ガス雰囲気下に実施する。不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。 次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。 実施例1 攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300ml容の四つ口フラスコの内部をアルゴンガスにて置換した後、フッ素成分を240ppm含んだN,N,N−トリメチル−N−(メトキシエトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート122.0g(0.49モル)とメタノール61.0g(0.5倍重量)を仕込んだ。次いで水酸化カルシウム0.57gを仕込んだ。約40℃で12時間攪拌した後、濃縮してメタノールを留去した。その後ろ過により無機塩を除去し、黄色液体を109.8g得た。イオンクロマト分析の結果、フッ素成分の含量は10ppm以下まで低減されていた。 実施例2 攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300ml容の四つ口フラスコの内部をアルゴンガスにて置換した後、フッ素イオンを80ppm含んだN,N,N−トリメチル−N−(メトキシエトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート122.0g(0.49モル)を仕込んだ。次いで16%水酸化ナトリウム水溶液0.45gを仕込んだ。約25℃で24時間攪拌した後、ろ過により無機塩を除去し、黄色液体を111.7g得た。イオンクロマト分析の結果、フッ素成分の含量は10ppm以下まで低減されていた。 実施例3 攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300ml容の四つ口フラスコの内部をアルゴンガスにて置換した後、フッ素成分を80ppm含んだN,N,N−トリメチル−N−(メトキシエトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート122.0g(0.49モル)を仕込んだ。次いで酸化カルシウム7.3gを仕込んだ。約100℃で24時間攪拌した後、ろ過により無機塩を除去し、黄色液体を107.5g得た。イオンクロマト分析の結果、フッ素成分の含量は10ppm以下まで低減されていた。 実施例4 攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300ml容の四つ口フラスコの内部を窒素ガスにて置換した後、フッ素成分を690ppm含んだ1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート160.0g(0.81モル)を仕込んだ。次いで水酸化カルシウム9.6gを仕込んだ。約40℃で24時間攪拌した後、ろ過により無機塩を除去し、透明液体を143.6g得た。イオンクロマト分析の結果、フッ素成分の含量は10ppm以下まで低減されていた。 実施例5 攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300ml容の四つ口フラスコの内部を窒素ガスにて置換した後、フッ素成分を1200ppm含んだ1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート160.0g(0.81モル)を仕込んだ。次いで水酸化バリウム19.2gを仕込んだ。約40℃で40時間攪拌した後、ろ過により無機塩を除去し、透明液体を129.2g得た。イオンクロマト分析の結果、フッ素成分の含量は10ppm以下まで低減されていた。アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を用いて、不純物としてフッ素成分を含有する第四級アンモニウム塩からフッ素成分を除去することを特徴とする第四級アンモニウム塩の精製方法。第四級アンモニウム塩のアニオン成分がテトラフルオロボレートイオンである請求項1記載の精製方法。 【課題】 第四級アンモニウム塩中のフッ素成分を、簡便に、かつ第四級アンモニウム塩の状態に左右されずに除去できる、工業的に有利な高品質第四級アンモニウム塩の製造法を提供すること。【解決手段】 フッ素成分を含んだ第四級アンモニウム塩を、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ土類金属水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属水酸化物、またはアルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を用いて精製する。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_第四級アンモニウム塩の精製方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_第四級アンモニウム塩の精製方法
出願番号:2004084063
年次:2011
IPC分類:C07C 213/10,C07C 217/08,C07D 233/58


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西本 佳弘 JP 4663998 特許公報(B2) 20110114 2004084063 20040323 第四級アンモニウム塩の精製方法 広栄化学工業株式会社 000167646 西本 佳弘 20110406 C07C 213/10 20060101AFI20110317BHJP C07C 217/08 20060101ALI20110317BHJP C07D 233/58 20060101ALI20110317BHJP JPC07C213/10C07C217/08C07D233/58 C07C 213/10 C07C 217/08 特開昭57−171940(JP,A) 2 2005272311 20051006 6 20070320 棚橋 貴子 本発明は、第四級アンモニウム塩の精製方法に関し、さらに詳しくは不純物としてフッ素成分を含有する第四級アンモニウム塩の精製方法に関するものである。 不純物としてフッ素成分を含有する第四級アンモニウム塩からフッ素成分を除去する方法としては、例えば、フッ素成分を含んだ第四級アンモニウム塩を再結晶で精製する方法が提案されている(特許文献1参照)。ところで、近年注目されている、常温で液体である第四級アンモニウム塩(いわゆる、イオン性液体又は常温溶融塩と称せられている)がある。特許文献1の方法はかかるイオン性液体には適用することができないため、必ずしも工業的に有利な方法とは言えない。特開2001−348388 本発明は、第四級アンモニウム塩中のフッ素成分を、第四級アンモニウム塩の状態に左右されずに除去できる、工業的に有利な第四級アンモニウム塩の精製方法を提供することを課題とする。 本発明は、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、金属化合物という)を用いてフッ素成分を含んだ第四級アンモニウム塩からフッ素成分を除去することを特徴とする第四級アンモニウム塩の精製方法に関する。 本発明方法により、第四級アンモニウム塩の状態に左右されずに第四級アンモニウム塩が精製できるので、本発明は工業的価値大なるものである。以下に本発明を詳細に説明する。 本発明の第四級アンモニウム塩としては、不純物としてフッ素成分を含有するもので有れば特に制限されないが、そのアニオン成分をテトラフルオロボレートイオンとするものが好ましい。本発明の第四級アンモニウム塩を具体的に説明すると、そのカチオン成分としては、例えば式(1):(式中、R1〜R4はそれぞれ互いに同じであっても異なっていても良く、アルキル基またはアラルキル基を示す。それらは水酸基、アミノ基、カルボキシル基またはアルコキシ基等の置換基を有していてもよく、さらにはエーテル部位、チオエーテル部位、アミノ部位またはアミド部位等を有していてもよい。)で表されるカチオン、式(2):(式中、Q1は窒素原子と共に5又は6員環の脂環式アンモニウムカチオンを形成する原子団を示し、それらは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子により構成される。R1及びR2は前記に同じ。)で表されるカチオンまたは式(3):(式中、Q2は窒素原子と共に5又は6員環の芳香族カチオンを形成する原子団を示し、それらは炭素原子、水素原子、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子からなる群から選ばれる原子により構成される。R1は前記に同じ。)で表されるカチオンが挙げられるがそれらに限定されない。 式(2)においてQ1が形成する5又は6員環としては、例えばピロリジン環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、チアゾリジン環、イソキサゾリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環またはモルフォリン環等が挙げられる。 式(3)においてQ2が形成する5又は6員環としては、例えばピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、オキサゾール環、イソキサゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環またはトリアジン環等が挙げられる。 またアニオン成分としては テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、トリフルオロメチルスルフェートイオンまたはビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミデートイオン等が挙げられる。 式(1)、(2)及び(3)において、R1〜R4で示されるアルキル基としては、炭素数1〜18の直鎖状又は分岐鎖状又は環状のアルキル基が挙げられ、好ましくは炭素数1〜6の直鎖状又は分岐鎖状又は環状のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、ネオヘキシル基等を例示できる。アラルキル基としてはそれぞれベンゼン環にメチル基、エチル基等の低級アルキル基を1個以上有していてもよいベンジル基、1−フェネチル基または2−フェネチル基が挙げられ、好ましくはベンジル基である。 斯かる第四級アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラプロピルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラペンチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジプロピルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジブチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジペンチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジヘキシルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−ブチル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジプロピルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジブチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジペンチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジヘキシルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチル−N−メチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N−ブチル−N−メチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジエチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジプロピルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジブチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジペンチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジヘキシルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N−エチル−N−メチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N−ブチル−N−メチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、N−ヘキシル−N−メチルモルフォリニウムテトラフルオロボレート、1,3−ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジエチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジプロピルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジブチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジペンチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1,3−ジヘキシルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、N−メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−エチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−プロピルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ヘプチルピリジニウムテトラフルオロボレート、N−ヘキシルピリジニウムテトラフルオロボレート等を例示できる。 本発明の精製方法を実施するには、フッ素成分を含有する第四級アンモニウム塩もしくは必要に応じて溶媒を混合した第四級アンモニウム塩混合液と、少なくとも1種の金属化合物を単独もしくはその溶液を、攪拌して混合すればよい。このようにすれば、フッ素成分と金属化合物との反応によって難溶性の無機塩が生成し、次いで、必要ならば溶媒を留去下後に、この難溶性物質を濾過等により第四級アンモニウム塩と分離すれば第四級アンモニウム塩からフッ素成分を除去することができる。 斯かるフッ素成分とはイオンクロマトグラフィー測定によりフッ素イオンとして検出されるものであり、フッ化水素、フッ化アルカリ金属、フッ化アルカリ土類金属またはフッ化四級アンモニウム等が例示できる。 斯かる金属化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化ベリリウムのアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ土類金属水酸化物、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ルビジウム、酸化セシウムのアルカリ金属酸化物、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等のアルカリ土類金属酸化物が挙げられ、好ましくは水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化ナトリウム、酸化カルシウムである。 金属化合物は単独で添加するか、または溶液で添加しても良い。溶液で用いる時の溶剤としては、金属化合物を溶解する溶剤で有れば特に限定されないが、通常水が使用される。 金属化合物の使用量は特に限定されるものではないが、第四級アンモニウム塩に含まれるフッ素イオン1モルに対して、通常1モル倍以上であり、好ましくは1〜2000モル倍であり、特に好ましくは1〜200モル倍である。 精製方法に用いる溶媒は、第四級アンモニウム塩を溶解する溶媒であれば特に制限はなく、また第四級アンモニウム塩が液体の時は使用してもしなくとも良い。使用する溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ヘキサンニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート類、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。その使用量は特に限定されるものではないが、精製終了後に加熱して溶媒を留去するため少ない方が好ましく、第四級アンモニウム塩1重量部に対して、通常5重量部以下であり、好ましくは3重量部以下である。 精製方法における第四級アンモニウム塩と金属化合物との混合温度は通常0〜150℃程度、好ましくは10℃〜100℃の範囲である。混合温度が0℃未満では第四級アンモニウム塩と金属化合物との反応速度が遅く、150℃を超えてもそれに見合う当該反応速度の上昇効果が得られず、経済的に不利である。 精製方法における第四級アンモニウム塩と金属化合物との混合時間は、通常15分以上、好ましくは1時間〜48時間である。この時間より短い場合は十分に精製することができず、この時間より長い場合は製造コストが増大し工業的に不利となる。 精製方法は所望により不活性ガス雰囲気下に実施する。不活性ガスとしては、例えば窒素ガス、アルゴンガス等が挙げられる。 次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。 実施例1 攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300ml容の四つ口フラスコの内部をアルゴンガスにて置換した後、フッ素成分を240ppm含んだN,N,N−トリメチル−N−(メトキシエトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート122.0g(0.49モル)とメタノール61.0g(0.5倍重量)を仕込んだ。次いで水酸化カルシウム0.57gを仕込んだ。約40℃で12時間攪拌した後、濃縮してメタノールを留去した。その後ろ過により無機塩を除去し、黄色液体を109.8g得た。イオンクロマト分析の結果、フッ素成分の含量は10ppm以下まで低減されていた。 実施例2 攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300ml容の四つ口フラスコの内部をアルゴンガスにて置換した後、フッ素イオンを80ppm含んだN,N,N−トリメチル−N−(メトキシエトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート122.0g(0.49モル)を仕込んだ。次いで16%水酸化ナトリウム水溶液0.45gを仕込んだ。約25℃で24時間攪拌した後、ろ過により無機塩を除去し、黄色液体を111.7g得た。イオンクロマト分析の結果、フッ素成分の含量は10ppm以下まで低減されていた。 実施例3 攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300ml容の四つ口フラスコの内部をアルゴンガスにて置換した後、フッ素成分を80ppm含んだN,N,N−トリメチル−N−(メトキシエトキシエチル)アンモニウムテトラフルオロボレート122.0g(0.49モル)を仕込んだ。次いで酸化カルシウム7.3gを仕込んだ。約100℃で24時間攪拌した後、ろ過により無機塩を除去し、黄色液体を107.5g得た。イオンクロマト分析の結果、フッ素成分の含量は10ppm以下まで低減されていた。 実施例4 攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300ml容の四つ口フラスコの内部を窒素ガスにて置換した後、フッ素成分を690ppm含んだ1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート160.0g(0.81モル)を仕込んだ。次いで水酸化カルシウム9.6gを仕込んだ。約40℃で24時間攪拌した後、ろ過により無機塩を除去し、透明液体を143.6g得た。イオンクロマト分析の結果、フッ素成分の含量は10ppm以下まで低減されていた。 実施例5 攪拌機、温度計および冷却器を備え付けた300ml容の四つ口フラスコの内部を窒素ガスにて置換した後、フッ素成分を1200ppm含んだ1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート160.0g(0.81モル)を仕込んだ。次いで水酸化バリウム19.2gを仕込んだ。約40℃で40時間攪拌した後、ろ過により無機塩を除去し、透明液体を129.2g得た。イオンクロマト分析の結果、フッ素成分の含量は10ppm以下まで低減されていた。不純物としてフッ素成分を含有する第四級アンモニウム塩をアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種の金属化合物と混合して、フッ素成分と金属化合物とを反応させて無機塩を生成させ、次いで濾過によって当該無機塩と第四級アンモニウム塩とを分離することを特徴とする、フッ素成分を含有する第四級アンモニウム塩からフッ素成分を除去する第四級アンモニウム塩の精製方法。第四級アンモニウム塩のアニオン成分がテトラフルオロボレートイオンである請求項1記載の精製方法。


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