タイトル: | 公開特許公報(A)_共役型トリエン酸含有油脂組成物及びその油脂の製造方法 |
出願番号: | 2004081407 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C11C3/00,A23D9/007,A23L1/30,A61K31/202,A61K35/78,A61P35/00,C11C3/14 |
根岸 弘典 窪田 耕一 野田 竜治 岩本 豪 鈴木 俊久 生稲 淳一 宮下 和夫 JP 2005264077 公開特許公報(A) 20050929 2004081407 20040319 共役型トリエン酸含有油脂組成物及びその油脂の製造方法 日清オイリオグループ株式会社 000227009 平田 忠雄 100071526 岩永 勇二 100119208 根岸 弘典 窪田 耕一 野田 竜治 岩本 豪 鈴木 俊久 生稲 淳一 宮下 和夫 7C11C3/00A23D9/007A23L1/30A61K31/202A61K35/78A61P35/00C11C3/14 JPC11C3/00A23L1/30 AA23L1/30 BA61K31/202A61K35/78 XA61P35/00C11C3/14A23D9/00 516 23 1 OL 14 4B018 4B026 4C088 4C206 4H059 4B018MD15 4B018MD16 4B018ME08 4B018MF10 4B026DC05 4B026DG01 4B026DG05 4B026DG06 4B026DG08 4B026DG11 4B026DH10 4B026DP03 4B026DX01 4C088AB26 4C088AB61 4C088AB78 4C088AC04 4C088BA08 4C088BA18 4C088BA32 4C088CA28 4C088MA22 4C088MA23 4C088MA35 4C088MA37 4C088MA52 4C088NA05 4C088ZB26 4C206AA01 4C206AA04 4C206DA05 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA05 4C206MA42 4C206MA43 4C206MA55 4C206MA57 4C206MA72 4C206NA05 4C206ZB26 4H059AA09 4H059AA10 4H059AA13 4H059BA26 4H059BA28 4H059BA66 4H059BC13 4H059BC15 4H059CA46 4H059CA72 4H059EA17 本発明は、共役型トリエン酸含有油脂組成物及びその油脂の製造方法に関し、特に、所定の処理により共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸(以下、「共役型トリエン酸」という。)の含有量を増加させた油脂を含む組成物及びその油脂の製造方法に関する。 分子中に共役二重結合を有する脂肪酸としては、共役リノール酸(CLA)が良く知られている。共役リノール酸は、牛肉や乳製品に1%程度含まれておりその栄養機能性について多くの報告例がある。一方、ある種の植物種子油中には共役リノレン酸(CLN)が見出されている。共役リノレン酸の1つである共役型トリエン酸は、ガン予防に有効であるとの報告がなされており、共役リノレン酸がガン細胞に対して強い細胞毒性を示すことが知られている(非特許文献1参照)。特に、α−エレオステアリン酸がガン予防に有効であることが報告されている(非特許文献2参照)。また、例えば、特許文献1には、共役リノレン酸を有効成分とする乳ガン抑制剤が提案されている。 共役リノレン酸は、一般的に食用として用いられる大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、紅花油、オリーブ油、ゴマ油等の植物油には含有されていない。共役リノレン酸の含有量の高い油としては、ザクロ、ニガウリ、キササゲ、キンセンカ、桐等に由来する油が知られている(非特許文献1及び2参照)。例えば、桐油には70質量%以上の共役トリエンを含むエレオステアリン酸を通常70%以上含み、ニガウリ種子やザクロ種子には共役トリエン構造を有するCLNが60%以上含まれている。 また、共役リノレン酸は、リノレン酸を含有する油をアルカリ処理することで得ることもできる(非特許文献1乃至3参照)。特開2000−336029号公報宮下和夫、「共役型リノレン酸(CLN)によるガン予防」、オレオサイエンス誌 第2巻 第6号(2002) p.333−338宮下和夫、「脂質の栄養生理機能の研究と食品素材の開発I 共役型不飽和脂肪酸の食品利用について」、食品工業誌(2003.3.30) p.36−42Takagi,T. and Itabashi,Y., Lipids (1981), Vol.16, No.7, p546-551 しかし、共役型トリエン酸含量の高い油を天然から得るには以下の問題がある。すなわち、ザクロ油、ニガウリ油は産地が偏っており、天候や政治状況に左右されて安定的に確保することができず、生産量も少ない。また、桐油は、毒性があるなどの問題がある。 一方、リノレン酸を含有する油をアルカリ処理して製造する方法によると、多数の異性体が発生する問題が生じる。そのため、食用等への利用には適さない。 そこで、本発明の目的は、簡便な方法にて、副生成物の少ない、共役型トリエン酸含有量の高い油脂からなる油脂組成物、及びその油脂の製造方法を提供することにある。 また、本発明の目的は、上記油脂組成物を用いた食品、乳化油脂組成物、及びガン予防剤を提供することにある。 本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、入手が容易な一般的な動植物油を原料に用いて、特定の酸性物質と加熱処理することで、共役型トリエン酸が発生することを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、上記目的を達成するため、共役型トリエン酸の含有量が構成脂肪酸の0.01質量%以下である動植物油を、酸性物質の存在下で加熱処理することにより、共役型トリエン酸の含有量を前記動植物油の構成脂肪酸の0.1質量%以上に増加させた前記動植物油を含有することを特徴とする共役型トリエン酸含有油脂組成物を提供する。 また、本発明は、上記目的を達成するため、共役型トリエン酸の含有量が構成脂肪酸の0.01質量%以下である動植物油を、酸性物質の存在下で加熱処理することにより、共役型トリエン酸の含有量を10倍以上に増加させた前記動植物油を含有することを特徴とする共役型トリエン酸含有油脂組成物を提供する。 また、本発明は、上記目的を達成するため、共役型トリエン酸の含有量が構成脂肪酸の0.01質量%以下である動植物油を、酸性物質の存在下で加熱処理することにより、共役型トリエン酸の含有量を前記動植物油の構成脂肪酸の0.1質量%以上に増加させることを特徴とする共役型トリエン酸含有油脂の製造方法を提供する。 また、本発明は、上記目的を達成するため、共役型トリエン酸の含有量が構成脂肪酸の0.01質量%以下である動植物油を、酸性物質の存在下で加熱処理することにより、共役型トリエン酸の含有量を10倍以上に増加させることを特徴とする共役型トリエン酸含有油脂の製造方法を提供する。 本発明の好ましい態様においては、以下の特徴を有する。 1)前記増加された共役型トリエン酸の含有量は、前記動植物油の構成脂肪酸の0.1〜1質量%であることを特徴とする。 2)前記増加された共役型トリエン酸は、α−エレオステアリン酸、及び/又はβ−エレオステアリン酸であることを特徴とする。特に、前記α−エレオステアリン酸の含有量は、前記動植物油の構成脂肪酸の0.05質量%以上であることを特徴とする。 3)前記動植物油は、大豆油、コーン油、及び紅花油から選ばれる1種以上であることを特徴とする。 4)前記酸性物質は、活性白土、ギ酸、シュウ酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、及びパラトルエンスルホン酸から選ばれる1種以上であることを特徴とする。特に、活性白土、クエン酸、及びリン酸から選ばれる1種以上であることを特徴とし、0.2〜3質量%の活性白土と0.001〜2質量%のリン酸の2種が使用されることを特徴とする。 5)前記加熱処理は、50〜200℃で、0.05〜24時間処理するものであることを特徴とする。 さらに、本発明は、上記目的を達成するため、本発明の油脂組成物を含有することを特徴とする食品、乳化油脂組成物、及びガン予防剤を提供する。 本発明の油脂組成物によれば、ガン細胞に対して強い細胞毒性を示す共役型トリエン酸の豊富な大豆油、菜種油等の動植物油が得られるため、優れたガン予防食用油を提供し、また、その食用油を含有する優れたガン予防食品や予防薬を提供することができる。 また、本発明の油脂製造方法によれば、簡便な方法、低コストにて、共役型トリエン酸を増加させた大豆油、菜種油等の動植物油が得られるため、簡便、かつ低コストにて多量に、優れたガン予防食用油を提供し、また、その食用油を含有する優れたガン予防食品や予防薬を提供することができる。 以下、本発明を具体的に説明する。 本発明の油脂組成物は、共役型トリエン酸の含有量が構成脂肪酸の0.01質量%以下である動植物油を、酸性物質と加熱処理することで、共役型トリエン酸の含有量を増加させた動植物油を含有することを特徴とする油脂組成物である。〔共役型トリエン酸〕 共役型トリエン酸は、二重結合を3つ持ち、2つ以上の二重結合が共役しているものであり、具体的には、α−エレオステアリン酸、β−エレオステアリン酸などが挙げられ、本発明においては、特に、α−エレオステアリン酸、及び/又はβ−エレオステアリン酸である。好ましくは、α−エレオステアリン酸である。 本発明においては、特定の処理により油脂中の共役型トリエン酸の含有量を増加させるものであるが、共役型トリエン酸の含有量が少ない油脂を原料として、共役型トリエン酸の含有量を0.1質量%に増加させたものであり、好ましくは、共役型トリエン酸の含有量を0.15質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上であり、最も好ましくは、0.3質量%以上としたものである。上限値は限定されるものではないが、0.5質量%、0.75質量%、又は1質量%である。油脂中の脂肪酸に対する共役型トリエン酸が多いほど、抗ガン作用が期待できる。 また、本発明によれば、共役型トリエン酸の含有量が少ない油脂を原料として、共役型トリエン酸の含有量を10倍以上に増加させた油脂を得ることができ、好ましくは50倍以上、より好ましくは100倍以上に増加させた油脂を得ることができる。上限値は限定されるものではないが、1000倍、10000倍、又は100000倍である。 本発明においては、共役型トリエン酸量を特定の処理により増加させ、α−エレオステアリン酸を0.05質量%以上含有したものとすることが好ましく、より好ましくは0.075質量%以上であり、さらに好ましくは0.1質量%以上である。最も好ましくは、α−エレオステアリン酸が0.2質量%以上である。 本発明における共役型トリエン酸は、桐油等のα−エレオステアリン酸及びβ−エレオステアリン酸を利用した検量線を作成し、供試油脂中に含まれる微量のα−エレオステアリン酸及びβ−エレオステアリン酸をそれぞれメチルエステルとしてUV検出器を備えたHPLCにて測定することができる。〔使用される原料油脂〕 本発明において使用される原料油脂は、構成脂肪酸として共役型トリエン酸の含有量が少ない油脂、特に0.01質量以下である動植物油であればよく、特に限定されるものではないが、植物油であることが好ましく、未精製の状態で共役型トリエン酸、特に、α−及びβ−エレオステアリン酸を含んでいない油脂であることが好ましい。 具体的には、例えば、大豆油、大豆胚芽油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、ミッドオレイックひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、牛脂、ラード、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ油、藻類油などの油脂のほか、ジグリセリドや中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成油や分別油、エステル交換油、水素添加油が挙げられるが、植物油が好ましく、特に好ましいのは大豆油、大豆胚芽油、菜種油、亜麻仁油、シソ油である。〔本発明の油脂の製造方法〕 共役型トリエン酸は、一般的に食用に供せられている動植物油の未精製油には含まれておらず、特定の処理を行うことで発生し増加することが、本発明において明らかとなった。 本発明では、特殊な処理を行うことで、共役型トリエン酸の含有量を増加させた油脂を得ることができ、具体的には、油脂に酸性物質を高温下で作用させる(加熱処理する)ことで、本発明を達成することができる。この工程は、油脂の精製工程前、精製工程中、精製工程後に実施することができる。一般的な油脂の精製工程では、脱ガム、脱酸、脱色、脱臭工程等があるが、特に、脱色工程で実施することが好ましい。しかし、共役型トリエン酸を発生させ得る精製工程であれば、本発明の範囲内であり、適宜、精製条件を調整することにより、共役型トリエン酸の発生量を増加し得る。 酸性物質としては、特に限定するものではないが、活性白土、ギ酸、シュウ酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、又はパラトルエンスルホン酸が好ましい。特に、活性白土、クエン酸、又はリン酸が好ましい。最も好ましいのはリン酸であり、これらの併用も好ましい。活性白土とクエン酸、もしくは活性白土とリン酸の併用は特に好ましい。それらの添加量は、使用する酸性物質、処理温度により適宜調整され、特に限定するものではないが、0.001〜3質量%が好ましい。 処理温度は、酸性物質により異なるが50〜200℃が好ましく、より好ましくは100〜200℃であり、さらに好ましくは130〜200℃である。活性白土や有機酸などの弱い酸では、130℃以上が特に好ましい。一方、リン酸等の無機酸は80℃以上が好ましい。 また、処理時間は、酸性物質や処理温度により異なるが0.05〜24時間が好ましく、0.05〜12時間がより好ましい。0.05〜2時間がさらに好ましく、最も好ましくは、0.05〜0.5時間である。 また、一般的な油脂の精製において、活性白土を0.5〜2質量%添加し、100〜110℃で加熱することにより、色と風味を改善しているが、この条件では、共役型トリエン酸は0.1質量%未満しか発生しない。しかし、同工程の条件をコントロールすることで0.1質量%以上とすることもできる。本発明においては、処理温度を上昇させるか、もしくはクエン酸やリン酸等を添加することにより、共役型トリエン酸を増加させることができる。例えば、活性白土を0.5質量%で130℃以上加熱することで、本発明を達成できる。また、より好ましくは、リン酸を0.001〜5質量%、好ましくは0.001〜3質量%、より好ましくは0.001〜0.5質量%添加し、100〜150℃で加熱処理することである。 上記処理を脱色工程で行う場合、脱色処理は、通常、減圧で実施されるが、本発明では減圧条件でも常圧条件でも実施可能である。しかし、常圧条件で実施する場合、脱色処理を行う前に水分を除去しておくことが好ましい。〔本発明の油脂組成物〕 本発明の油脂組成物は、上記処理にて共役型トリエン酸の含有量を0.1質量%以上、又は10倍以上とした油脂を含有する油脂組成物であり、油脂組成物中の本発明の油脂(精製油)は、油脂組成物中の全油脂量に対して20〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは50〜100質量%であり、さらに好ましくは70〜100質量%である。最も好ましくは90〜100質量%である。 本発明の共役型トリエン酸含有油脂(精製油)は、油脂組成物中の全油脂量に対して好ましくは20〜100質量%の範囲で用いられるが、0〜80質量%の範囲で、好ましくは0〜30質量%の範囲で、焙煎胡麻油、オリーブ油のような好ましい風味を持つ未精製品を加え、風味付けをすることができる。 また、本発明の油脂組成物は、必要に応じて、トコフェロール、アスコルビン酸エステル、TBHQ、BHTなどの抗酸化剤、グリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの乳化剤、カロチン類、フィトステロールおよびフィトステロールエステルなどの油溶性成分を含有させることができるが、種類および量は特に限定されない。〔ガン予防食品およびガン予防剤〕 本発明の油脂組成物を食品中の油脂に使用することで、ガン予防食品を得ることができる。例えば、本発明の油脂組成物を乳化油脂の原料として用いることで、ガン予防食品を提供できる。 適用される食品としては特に限定されるものではないが、例えば、マヨネーズ、マーガリン、ファットスプレット、乳化ドレッシング、アイスクリーム、クリーム等の乳化油脂組成物、カツ、コロッケ、天ぷら、フライドチキン、フライドポテトなどの揚げ物のほか、野菜炒め、チャーハンなどの炒め物、洋菓子類、麺類が挙げられる。特に、乳化油脂組成物に好ましく適用される。これらの食品は、それぞれ通常の製法にて製造することができる。 また、食品中における本発明の油脂組成物の使用量は、食品中に加えられる油脂の20〜100質量%であることが好ましく、より好ましくは40〜100質量%であり、さらに好ましくは60〜100質量%である。最も好ましくは80〜100質量%である。20質量%未満であると本発明の油脂組成物を使用する効果が得られにくい。本発明の油脂組成物以外に添加される油脂としては、具体的には、例えば、通常の精製工程を経た大豆油、大豆胚芽油、菜種油、高オレイン酸菜種油、コーン油、ゴマ油、シソ油、亜麻仁油、落花生油、紅花油、高オレイン酸紅花油、ひまわり油、ミッドオレイックひまわり油、高オレイン酸ひまわり油、綿実油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、カボチャ種子油、クルミ油、椿油、茶実油、エゴマ油、ボラージ油、オリーブ油、米糠油、小麦胚芽油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、カカオ脂、牛脂、ラード、鶏脂、乳脂、魚油、アザラシ油、藻類油などの油脂のほか、ジグリセリドや中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成油や分別油、エステル交換油、水素添加油が挙げられるが、特に限定するものではない。 また、本発明の油脂組成物を有効成分として使用することで、副作用の少ない優れたガン予防剤を得ることができる。例えば、本発明の油脂組成物をカプセルに充填してカプセル剤として経口投与することによりガン予防薬として用いることができる。 より具体的には、本発明のガン予防剤は、慣用的な製剤方法にしたがって製剤化することができる。好ましくは、錠剤、カプセル剤、懸濁剤、脂肪乳剤等の形態で経口投与により投与される。これらの製剤の調製にあたっては製剤化のための慣用の添加剤、例えば賦形剤、安定剤、防腐剤、溶解剤、湿潤剤、乳化剤、滑沢剤、甘味剤、着色剤、香味剤、張度調整剤、緩衝剤、酸化防止剤などを添加して製剤化することができる。薬剤の投与量としては、投与すべき患者の症状、年齢、性別、体重などの因子によって適宜増減できる。また、投与回数は1日3回程度が好ましい。 以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。<共役トリエン脂肪酸の分析方法> 桐油中のα及びβ−エレオステアリン酸量を測定し、桐油の濃度を変えてα及びβ−エレオステアリン酸の検量線を作成した(図1)。同検量線を使用して、サンプル油脂中に微量に含まれる共役トリエン脂肪酸であるα及びβ−エレオステアリン酸を分析した。以下に、その詳細な方法を説明する。(MCT及び桐油のメチル化) 中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)約100mgを栓付試験管に精秤し、5%CH3ONa/CH3OH溶液を2mL加えた。窒素充填したのち、55℃で30分反応させ、放冷後、蒸留水を2mL加えて混合し、さらにヘキサンを2mLずつ加え2回抽出した。ヘキサン相を蒸留水で、水相が中性になるまで水洗し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーター及び窒素気流下で溶媒を除去した。同操作を3回行い、MCTメチルエステルを得た。 同様に、桐油をメチルエステル化し、桐油メチルエステルを得た。(MCTメチルエステルの濃度調整) MCTメチルエステルを100mLメスフラスコに100mg量りとり、ヘキサンを加え1.0mg/mLになるように調整した。(α及びβ−エレオステアリン酸メチルの濃度調整) ガスクロマトグラフィー(GC)により、桐油メチルエステル中のα及びβ−エレオステアリン酸の含有量(組成質量%)を測定した。その値から、検量線を作成するために必要なα及びβ−エレオステアリン酸メチルの濃度を計算し、Xα、Xβ(mg/mL)の桐油/ヘキサン溶液を調製した。ガスクロマトグラフィー(GC)条件および計算式は下記の通りである。GC分析条件 GC:GC−14B[島津] インテグレータ:C−R3A[島津] カラム:Fused Sillica Capillary Column Omegawax320(30m×0.32i.d.)[スペルコ] カラム温度:200℃ 注入口温度:250℃ FID検出器温度:260℃ キャリアガス:He キャリアガス圧:50kPa計算式 Xα=5×0.02/100×100/Kα Xβ=5×0.02/100×100/Kβ Xα(mg):5mgMCTメチルエステルに対してα-エレオステアリン酸メチルが約0.02質量%になるために必要な桐油メチルエステルの質量 Xβ(mg):5mgMCTメチルエステルに対してβ-エレオステアリン酸メチルが約0.02質量%になるために必要な桐油メチルエステルの質量 Kα(脂肪酸組成 質量%):桐油中のα-エレオステアリン酸メチルの含有量 Kβ(脂肪酸組成 質量%):桐油中のβ-エレオステアリン酸メチルの含有量(検量線作成およびエレオステアリン酸の定量) MCTメチルエステル/ヘキサン溶液(1.0mg/mL)を5mL入れたバイヤルビンに桐油メチルエステル/ヘキサン溶液(Xαmg/mL)をホールピペットで1,2,3,4,5mLずつ入れた。窒素で溶媒を蒸発させた後に、それぞれに0.05質量%安息香酸ブチル/メタノール溶液を1mLずつ加え、これをα−エレオステアリン酸メチルの検量線作成用サンプルとした。β−エレオステアリン酸メチルの検量線作成サンプルも同様に調製した。 検量線作成サンプルを、UV検出器を備えたHPLCにて分析し、検量線を作成した(図1)。図1のグラフの横軸は共役型トリエン酸の質量(μg)を、縦軸はSα/SI、又はSβ/SIをとり、ここで、SαはHPLCのα−エレオステアリン酸のピーク面積であり、Sβはβ−エレオステアリン酸のピーク面積であり、SIは安息香酸ブチルのピーク面積である。 分析する油脂(サンプル油脂)について、MCTと桐油をメチル化した時と同様の方法でメチルエステル/ヘキサン溶液を調製し、約10.0mg相当のヘキサン溶液をバイヤルビンに入れ、窒素で溶媒を蒸発させた後、0.05質量%安息香酸ブチル/メタノール溶液を1mL加え、HPLCで分析し、検量線からα−エレオステアリン酸及びβ−エレオステアリン酸の含有量を調べた。HPLC分析条件 ポンプ:L−7100(日立) 検出器:L−7420(日立) インテグレータ:D−2500(日立) 流速:1.0mL/min,CH3OH:H2O/85:15 カラム:COSMOSIL 5C18-AR 4.6×150mm(ナカライテスク) ガードカラム:Develosil-ODS-UG 4.0×10mm(野村化学) 検出波長:UV274nm カラム温度:室温(20℃)<実施例1〜6、及び比較例1〜2> 大豆脱酸油100kgに、表1、2に示す通り、酸性物質を加え、加熱処理を行った。処理後、定法に従い脱臭を行い、大豆油1〜8を得た(実施例1〜6、比較例1〜2)。 得られた油それぞれについて、共役型トリエン酸(α−エレオステアリン酸及びβ−エレオステアリン酸)の含有量を上記の分析方法にて測定した。結果を表1及び表2に示す。 表1及び表2の結果から、共役型トリエン酸の含有量が0.1質量%よりも多い大豆油1〜6が得られたことが分かる。 共役型トリエン量:α及びβ−エレオステアリン酸含有量(表2〜4において同じ)<実施例7〜10> コーン脱酸油、紅花油100kgに、表3に示す通り、塩酸を加え、80〜130℃で10〜120分間、脱色を行った。脱色後、定法に従い脱臭を行い、コーン油1〜2(実施例7〜8)、紅花油1〜2(実施例9〜10)を得た。 得られた油それぞれについて、共役型トリエン酸(α−エレオステアリン酸及びβ−エレオステアリン酸)の含有量を上記の分析方法にて測定した。結果を表3に示す。 表3の結果から、共役型トリエン酸の含有量が0.1質量%よりも多いコーン油1〜2及び紅花油1〜2が得られたことが分かる。<実施例11> 表4に示す配合で各原料を常法により混合し、真空乳化機を用いてマヨネーズを試作した。共役型トリエン酸の含有量が0.1質量%より多い大豆油3(共役型トリエン量0.151質量%)を使用した。図1はα及びβ−エレオステアリン酸の検量線を示す図である。 共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量が構成脂肪酸の0.01質量%以下である動植物油を、酸性物質の存在下で加熱処理することにより、共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量を前記動植物油の構成脂肪酸の0.1質量%以上に増加させた前記動植物油を含有することを特徴とする共役型トリエン酸含有油脂組成物。 前記増加された共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量は、前記動植物油の構成脂肪酸の0.1〜1質量%であることを特徴とする請求項1記載の共役型トリエン酸含有油脂組成物。 前記増加された共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸は、α−エレオステアリン酸、及び/又はβ−エレオステアリン酸であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の共役型トリエン酸含有油脂組成物。 前記α−エレオステアリン酸の含有量は、前記動植物油の構成脂肪酸の0.05質量%以上であることを特徴とする請求項3記載の共役型トリエン酸含有油脂組成物。 前記動植物油は、大豆油、コーン油、及び紅花油から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂組成物。 前記酸性物質は、活性白土、ギ酸、シュウ酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、及びパラトルエンスルホン酸から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂組成物。 前記酸性物質は、活性白土、クエン酸、及びリン酸から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂組成物。 前記酸性物質は、0.2〜3質量%の活性白土と0.001〜2質量%のリン酸の2種が使用されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂組成物。 前記加熱処理は、50〜200℃で、0.05〜24時間処理するものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂組成物。 共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量が構成脂肪酸の0.01質量%以下である動植物油を、酸性物質の存在下で加熱処理することにより、共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量を10倍以上に増加させた前記動植物油を含有することを特徴とする共役型トリエン酸含有油脂組成物。 請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂組成物を含有することを特徴とする食品。 請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂組成物を含有することを特徴とする乳化油脂組成物。 請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂組成物を有効成分として含有することを特徴とするガン予防剤。 共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量が構成脂肪酸の0.01質量%以下である動植物油を、酸性物質の存在下で加熱処理することにより、共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量を前記動植物油の構成脂肪酸の0.1質量%以上に増加させることを特徴とする共役型トリエン酸含有油脂の製造方法。 前記増加された共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量は、前記動植物油の構成脂肪酸の0.1〜1質量%であることを特徴とする請求項14記載の共役型トリエン酸含有油脂の製造方法。 前記増加された共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸は、α−エレオステアリン酸、及び/又はβ−エレオステアリン酸であることを特徴とする請求項14又は請求項15記載の共役型トリエン酸含有油脂の製造方法。 前記α−エレオステアリン酸の含有量は、前記動植物油の構成脂肪酸の0.05質量%以上であることを特徴とする請求項16記載の共役型トリエン酸含有油脂の製造方法。 前記動植物油は、大豆油、コーン油、及び紅花油から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項14乃至17のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂の製造方法。 前記酸性物質は、活性白土、ギ酸、シュウ酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、及びパラトルエンスルホン酸から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項14乃至18のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂の製造方法。 前記酸性物質は、活性白土、クエン酸、及びリン酸から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項14乃至18のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂の製造方法。 前記酸性物質は、0.2〜3質量%の活性白土と0.001〜2質量%のリン酸の2種が使用されることを特徴とする請求項14乃至18のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂の製造方法。 前記加熱処理は、50〜200℃で、0.05〜24時間処理するものであることを特徴とする請求項14乃至21のいずれか1項に記載の共役型トリエン酸含有油脂の製造方法。 共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量が構成脂肪酸の0.01質量%以下である動植物油を、酸性物質の存在下で加熱処理することにより、共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量を10倍以上に増加させることを特徴とする共役型トリエン酸含有油脂の製造方法。 【課題】簡便な方法にて、副生成物の少ない、共役型トリエン酸含有量の高い油脂からなる油脂組成物、及びその油脂の製造方法を提供する、また上記油脂組成物を用いた食品、乳化油脂組成物、及びガン予防剤を提供する。【解決手段】共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量が構成脂肪酸の0.01質量%以下である動植物油を、酸性物質と加熱処理することで、共役二重結合構造を持つトリエン脂肪酸の含有量を構成脂肪酸の0.1質量%以上に増加させた油脂を含有する共役型トリエン酸含有油脂組成物。【選択図】図1