生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドの製造法、その中間体及びその製造法
出願番号:2004080175
年次:2005
IPC分類:7,C07C233/60,C07C231/02,C07C231/12,C07C233/20,C07B61/00


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中嶋 康二 沖高 勲 青木 一茂 JP 2005263714 公開特許公報(A) 20050929 2004080175 20040319 ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドの製造法、その中間体及びその製造法 株式会社興人 000142252 中嶋 康二 沖高 勲 青木 一茂 7C07C233/60C07C231/02C07C231/12C07C233/20C07B61/00 JPC07C233/60C07C231/02C07C231/12C07C233/20C07B61/00 300 3 OL 8 4H006 4H039 4H006AA01 4H006AA02 4H006AB84 4H006AC28 4H006AC53 4H006BA69 4H006BC13 4H006BC31 4H006BJ30 4H006BN10 4H006BV34 4H006BV62 4H039CA71 4H039CE10 本発明は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドの工業的に有利な製造法、及びその合成中間体並びにその製造法に関する。 ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドは、単独でまたは他の重合性モノマーと共重合し、親水性を備えた水または有機溶媒に可溶のポリマー等として、水系塗料、UV塗料、高分子改質剤、粘接着剤、分散剤、増粘剤、紙力増強剤、コンタクトレンズ、生体用ゲルなどに用いられている。 しかしながら、該化合物中の不純物により、水または有機溶媒に不溶なゲル化物が生じ、ポリマーの機能性低下や作業性が悪化するという問題があった。 かかるゲル化物の生成をもたらす不純物として、例えば特許文献1には、下記式(4)で表される分子内に二重結合を2個有するアミドエステル型ジビニル化合物が開示されており、該ジビニル化合物によって高分子鎖が架橋することが原因であることが記載されている。従って、水溶性の良好な重合体を製造するためには、該ジビニル化合物の含有量を少なくすることが不可欠である。 従来、モノマー中のジビニル体によるゲル化問題を解決するために、様々な工夫が試みられている。例えば、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートの製造においては、ジビニル体を炭化水素系溶媒で抽出する方法(特許文献2)が報告されているが、操作が煩雑になるばかりでなく、上記式(4)で表されるアミドエステル型ジビニル化合物はヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドと溶媒に対する溶解性がほとんど変らないため、抽出による除去を行うことは困難であった。 また、特許文献1には、(メタ)アクリロイルクロライドとエタノールアミンを反応させてヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドを合成するに際して、特定の有機溶媒中でエタノールアミンを大過剰用い生成する塩酸をトラップすることによりジビニル体の生成を抑制する方法が開示されている。しかしながら、酸クロライドを使用する方法は、塩酸ガスを発生するので腐食性があり、高価で取り扱いが難しいばかりでなく、活性が極めて高いためにジビニル体の生成を十分に抑制することは困難であった。USP2,593,888号特開平4−69359号公報、特開平11−5733号公報、特開平7−187999号公報 本発明は、かかる従来技術に鑑みなされたもので、重合時にゲル化物が発生しない、ジビニル化合物含有量が0.1質量%以下のヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドの工業的に有利な製造法、及びその合成中間体であるジビニル化合物前駆体の含有量が0.1質量%以下のヒドロキシエチルノルボルネンアミド並びにその製造法を提供することを課題とする。 本発明者らは、カルボメトキシノルボルネンを出発物質とするヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドの製造法を検討中、酸ハライドを使用しないにもかかわらずジビニル体が生成すること、かかるジビニル化合物は、合成中間体中に存在するジビニル化合物前駆体を熱分解する際に生成すること、該ジビニル化合物前駆体はカルボメトキシノルボルネンを塩基性触媒存在下エタノールアミンでアミド化反応中に副生すること、特定の反応条件を採用することにより、アミド化反応中のジビニル化合物前駆体の生成を抑制でき、熱分解してもジビニル化合物の含有量の少ないヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドを製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、(1)式(1)(式中、R1は水素原子又はメチル基を表す。)で表されるジビニル化合物前駆体の含有量が0.1質量%以下である式(2)(式中、R1は前記と同じ。)で表されるヒドロキシエチルノルボルネンアミド、(2)式(3)(式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。)で表されるカルボメトキシノルボルネンを、塩基性触媒存在下、エタノールアミンでアミド化反応し、式(2)(式中、R1は前記と同じ。)で表されるヒドロキシエチルノルボルネンアミドを製造するに際して、エタノールアミンをカルボメトキシノルボルネンに対して2倍モル以上用いることを特徴とする、式(1)(式中、R1は前記と同じ。)で表されるジビニル化合物前駆体の含有量が0.1質量%以下である、式(2)(式中、R1は前記と同じ。)で表されるヒドロキシエチルノルボルネンアミドの製造法、(3)前記(2)記載の、式(1)(式中、R1は水素原子又はメチル基を表す。)で表されるジビニル化合物前駆体の含有量が0.1質量%以下である式(2)(式中、R1は前記と同じ。)で表されヒドロキシエチルノルボルネンアミドを、気相熱分解することを特徴とする、式(4)(式中、R1は前記と同じ。)で表されるジビニル化合物の含有量が0.1質量%以下であるN−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドの製造法、を提供するものである。 本発明によると、安価な原料から簡便にジビニル化合物前駆体の含有量の少ないヒドロキシエチルノルボルネンアミドが製造できるため、重合時にゲル化物が発生しない、ジビニル化合物の含有量が少ないヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドを工業的に有利に製造することができる。 以下、本発明について詳細に説明する。 本発明の、上記式(2)で表される中間体であるヒドロキシエチルノルボルネンアミドは、上記式(1)で表されるジビニル化合物前駆体の含有量が0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下、更に好ましくは0.01質量%以下、のものである。 ジビニル化合物前駆体の含有量がそれを超えると、熱分解により上記式(4)で表されるジビニル化合物が生成し、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド中の該ジビニル化合物の含有量を0.1質量%以下とすることができず、重合時にゲル化物が生成する。 特に高分子量の重合物を得たい場合、ジビニル化合物前駆体の含有量は、0.01質量%以下が好ましい。 本発明のジビニル化合物前駆体の含有量の少ないヒドロキシエチルノルボルネンアミドは、上記式(3)で表されるカルボメトキシノルボルネンを、2倍モル以上のエタノールアミン存在下反応させることにより製造できる。 エタノールアミンはカルボメトキシノルボルネンに対して仕込みモル比で2倍以上、2〜4倍モル程度、であれば十分で、大過剰の使用は回収に問題を残す。一方、モル比が2より小さいと、反応の進行が遅く、ジビニル化合物前駆体を0.1質量%以下にすることは困難である。 反応は、塩基性触媒存在下、実施される。 用いられる塩基性触媒としては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、リチウムイソプロポキシド、リチウムt−ブトキシドおよびこれらのアルコール溶液などが挙げられる。触媒の使用量は、カルボメトキシノルボルネンに対して0.1〜2モル%、好ましくは0.2〜1モル%である。 反応は通常60〜120℃程度で行われる。好ましくは90〜110℃である。120℃より高温ではヒドロキシエチルノルボルネンアミドの末端水酸基の脱水が顕著となり不純物の増加を招く。また60℃より低温ではほとんど反応が進行しない。 反応時間は、反応条件にもよるが、0.5〜24時間程度で十分である。カルボメトキシノルボルネンの反応は、例えばガスクロマトグラフ法等により、容易に測定することができる。 上記式(1)で表されるジビニル化合物前駆体は、カルボメトキシノルボルネンを塩基性触媒存在下、エタノールアミンでアミド化反応する際に、生成したヒドロキシエチルノルボルネンアミドと未反応のカルボメトキシノルボルネンが反応することで副生する。本発明において、カルボメトキシノルボルネンに対し2倍モル以上のエタノールアミンを用いることにより、ジビニル化合物前駆体の副生を抑制し、ジビニル化合物前駆体の少ないヒドロキシエチルノルボルネンアミドとする。 式(1)で表されるジビニル化合物前駆体の含有量の少ない式(2)で表されるヒドロキシエチルノルボルネンアミドは、気相熱分解することにより、式(4)で表されるジビニル化合物の含有量の少ない、式(3)で表されるヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドに変換することができる。 気相熱分解反応は、一般的な熱分解装置を用いて一般的な方法で実施することができる。すなわち、ステンレス管を200〜600℃程度の温度に加熱し、30〜80hPaの減圧下、ヒドロキシエチルノルボルネンアミドの蒸気を通すことにより数秒の反応時間で熱分解が実施される。熱分解生成物の内、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドは、水冷した凝縮器で選択的に凝縮させることにより、容易に単離することができる。一方、低沸点分解物であるシクロペンタジエンは、通常、−20〜−70℃に冷却させた凝縮器において回収される。 ヒドロキシエチルノルボルネンアミド中のジビニル化合物前駆体の質量濃度は分子量の関係で熱分解後のヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド中のジビニル化合物の質量濃度とほぼ等しくなる。したがって、ヒドロキシエチルノルボルネンアミド中のジビニル化合物前駆体の質量濃度はヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド中のジビニル化合物の質量濃度とほぼ等価と考えてよい。 ジビニル化合物の含有量は、0.1質量%以下、好ましくは、0.05質量%以下である。特に高分子量の重合物を得たい場合、ジビニル化合物の含有量は、0.01質量%以下が好ましい。ジビニル化合物の含有量が0.1質量%を超える場合、通常重合時にゲル化する。 得られた粗ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドは、精留により精製することができる。 以下、実施例をあげ、本発明を詳細に説明する。実施例1 攪拌装置、温度計、還流冷却器を備えた2000mlの三つ口フラスコにカルボメトキシノルボルネン456g(3モル)、エタノールアミン551g(9モル)、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液1.4g(0.007モル)を加え、100℃まで昇温し、40hPaの減圧下で生成するメタノールを留去しながら、4時間反応させた。反応混合物をガスクロマトグラフ法により分析した結果、未反応のカルボメトキシノルボルネンは検出されなかった。反応終了後、反応混合物を50℃まで冷却し、濃硫酸0.4gで中和した。次いで40〜4hPaの減圧下、100〜130℃で残存モノエタノールアミンを留去し、ヒドロキシエチルノルボルネンアミド540g(収率99.5%)を得た。 ガスクロマトグラフ法により分析した結果、ヒドロキシエチルノルボルネンアミド中のジビニル化合物前駆体は0.012質量%であった。 なお、ジビニル化合物前駆体は、ガスクロマトグラフ質量分析(分子量:301)によりその構造を確認した。実施例2 実施例1で得たヒドロキシエチルノルボルネンアミドを40hPaの減圧下、400℃に加熱された熱分解塔にて気相熱分解を行った。水冷凝縮器で得られた粗モノマーを精留し、純度99.5%のN−(2− ヒドロキシエチル)アクリルアミドを得た。ガスクロマトグラフ法により分析した結果、ヒドロキシエチルアクリルアミド中のジビニル化合物は0.009質量%であった。 なお、ジビニル化合物は、標品とのガスクロマトグラフ質量分析の比較により、その構造を確認した。実施例3 エタノールアミンの仕込量を367g(6モル)とした以外は実施例1と同様に反応を行なった。その結果、ヒドロキシエチルノルボルネンアミド539g(収率99.3%)を得た。 ガスクロマトグラフ法により分析した結果、ヒドロキシエチルノルボルネンアミド中のジビニル化合物前駆体は0.025質量%であった。 実施例3で得られたヒドロキシエチルノルボルネンアミドを実施例2同様に熱分解・精留して純度99.4%のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドを得た。ガスクロマトグラフ法により分析した結果、ヒドロキシエチルアクリルアミド中のジビニル化合物は0.020質量%であった。比較例1 エタノールアミンの仕込量を220g(3.6モル)とした以外は実施例1と同様に反応を行なった。その結果、ヒドロキシエチルノルボルネンアミド542g(収率99.8%)を得た。 ガスクロマトグラフ法により分析した結果、ヒドロキシエチルノルボルネンアミド中のジビニル化合物前駆体は0.155質量%であった。比較例2 比較例1で得られたヒドロキシエチルノルボルネンアミドを実施例2と同様に熱分解・精留して純度99.5%のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドを得た。ガスクロマトグラフ法により分析した結果、ヒドロキシエチルアクリルアミド中のジビニル化合物は0.135質量%であった。重合例 還流冷却管、温度計、攪拌機、窒素ガス導入装置を取り付けたセパラブルフラスコに、実施例2で得られたN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド300g、メタノール300g、及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1gを入れ、均一な溶液とした。30分間窒素ガスを通じた後、60℃に加熱して、4時間重合を行なった。生成した重合物をイオン交換水に溶かしたところ、均一な溶液が得られ、不溶解物は全く認められなかった。比較重合例 比較例2で得られたN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミドを用い、重合例と同様に重合した。生成した重合物をイオン交換水に溶かしたところ、わずかに膨潤するゲル状で溶解性は全く認められなかった。 以上説明してきたように、本発明によると、重合してもゲル化物が生成することがないヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドが、工業的に有利に得られるため、水系塗料、UV塗料、高分子改質剤、粘接着剤、分散剤、増粘剤、紙力増強剤、コンタクトレンズ、生体用ゲルなどの原料として好適に用いることができる。 式(1)(式中、R1は水素原子又はメチル基を表す。)で表されるジビニル化合物前駆体の含有量が0.1質量%以下である式(2)(式中、R1は前記と同じ。)で表されるヒドロキシエチルノルボルネンアミド。 式(3)(式中、R1は水素原子またはメチル基を表す。)で表されるカルボメトキシノルボルネンを、塩基性触媒存在下、エタノールアミンでアミド化反応し、式(2)(式中、R1は前記と同じ。)で表されるヒドロキシエチルノルボルネンアミドを製造するに際して、エタノールアミンをカルボメトキシノルボルネンに対して2倍モル以上用いることを特徴とする、式(1)(式中、R1は前記と同じ。)で表されるジビニル化合物前駆体の含有量が0.1質量%以下である、式(2)(式中、R1は前記と同じ。)で表されるヒドロキシエチルノルボルネンアミドの製造法。 請求項2記載の、前記式(1)(式中、R1は水素原子又はメチル基を表す。)で表されるジビニル化合物前駆体の含有量が0.1質量%以下である前記式(2)(式中、R1は前記と同じ。)で表されヒドロキシエチルノルボルネンアミドを、気相熱分解することを特徴とする、式(4)(式中、R1は前記と同じ。)で表されるジビニル化合物の含有量が0.1質量%以下であるN−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドの製造法。 【課題】重合時にゲル化物が発生しない、ジビニル体含有量が少ないヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドの工業的に有利な製造法、及びその合成中間体並びにその製造法を提供する。【解決手段】カルボメトキシノルボルネンを、塩基性触媒存在下、2倍モル以上のエタノールアミンを用いアミド化反応することにより、下記式(1)(式中、R1は水素原子又はメチル基を表す。)で表されるジビニル化合物前駆体の含有量が0.1質量%以下であるヒドロキシエチルノルボルネンアミドとし、次いでこれを気相熱分解することにより、ジビニル化合物の含有量が0.1質量%以下のヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドに変換する。【選択図】なし


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