生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_新規な銀錯体
出願番号:2004080147
年次:2005
IPC分類:7,C07D211/90,C07F1/10


特許情報キャッシュ

高田 昌和 JP 2005263712 公開特許公報(A) 20050929 2004080147 20040319 新規な銀錯体 三菱製紙株式会社 000005980 高田 昌和 7C07D211/90C07F1/10 JPC07D211/90C07F1/10 1 OL 11 4C054 4H048 4C054AA07 4C054BB03 4C054CC04 4C054DD01 4C054EE33 4C054FF05 4H048AA01 4H048AB03 4H048VA20 4H048VA32 4H048VA57 4H048VB10 本発明は、銀膜形成、あるいは抗菌剤に利用できる新規な銀錯体に関するものである。 銀は高導電性材料や記録材料、表面の被覆剤、印刷刷版等に広汎に使われている素材である。その作製法は、化学的に銀を析出させる湿式めっき法や銀を直接溶融・付着、または蒸着させる方法、銀の小粒子をペースト状に加工して、所要の位置に塗布する、あるいは印刷によりパターンを形成する、ハロゲン化銀を光還元する等々多くの方法がある。 しかし、従来より知られている方法には、様々な欠点がある。例えば、湿式めっき法の場合には、洗浄、前処理等の工程が必要で、かつ薬品も多く消費する。また、銀を直接溶融・付着する場合には、銀を融点以上の高温に加熱する必要があり、取り扱いも容易でなく、銀を付着させる基材も高温に耐えるものに限定されてしまう。いずれの方法も銀を選択的に付着させることが困難で、像様にパターニングする場合にはエッチング等の煩雑な後処理が必要である。(例えば、非特許文献1、2参照) 蒸着は基材を幅広い材料から選定でき、銀の基材への選択的な付着もマスキング等によって比較的容易にできる利点もあるが、特殊な設備が必要である。(例えば、非特許文献3参照) 導電性材料としての銀の利用法に関しては、銀の小粒子を液体で練り上げてペースト状に加工する方法(銀ペースト法)がよく知られている。銀ペーストは、印刷によりパターニングすることも容易で加工性に優れている。しかし、ペーストの機械的強度、基材との接着強度を上げるためには高温で焼結する必要があり、やはり基材が限定される問題がある。この欠点を改良するため、近年銀のナノ粒子を用いた銀ペースト法が提案されている。これは銀粒子をナノスケールにすることにより、焼結温度を低温にできる等の利点を有するが、反面、微粒子化には煩雑な操作が必要で、未だコスト高という欠点がある。(例えば、非特許文献4参照) 記録材料としての銀の利用例としては、ハロゲン化銀を感光体とする銀塩写真法が挙げられる。中でも、DTR(拡散転写反転)法はダイレクト印刷版の作成等に既に応用されており、この方法を導電性銀画像の作製に利用することも可能である。しかし、現像定着処理等の煩雑な工程が多く、大量の薬品を使用する等の欠点がある。(例えば、非特許文献5参照) 有機または無機の銀化合物を熱分解して銀に変換する方法も知られている。有機銀塩を利用する方法としては、ドライシルバープロセスがよく知られている。しかし、この方法も、材料自身の経時安定性がない、作製した銀画像の保存安定性が低い等の問題がある。(例えば、非特許文献6参照) また、近年、高密度集積回路製造技術の進歩と関連して、Chemical Vapor Deposition(略してCVD)を利用して、有機銀錯化合物を高精細な銀膜に変換する技術が報告されている。しかし、この手法についても特殊な設備が必要である事、あるいは特殊で高価な有機銀化合物を使用する必要がある事から、簡便な銀膜形成法ではない。(例えば、特許文献1参照) 無機の銀化合物を有機化合物で還元して銀を得る方法としては、有機定性分析の分野において「銀鏡反応」が知られている。これは、硝酸銀をアンモニア水溶液で処理して銀アンミン錯塩に変換し、次いで塩基共存下でアルデヒド化合物と反応させて銀を析出させる方法である。鋭敏な化学分析法であるが、水酸化ナトリウム等の強塩基を用いる水溶液反応であり、工業的な銀膜作製方法、あるいは銀画像形成方法としては適していない。(例えば、非特許文献7参照) 無機の銀化合物の中で、酸化銀は比較的安価で常温で安定な化合物であるが、加熱分解によって銀に変化する性質を有している。また、1分子当たりの銀含有量が高く、分解時に酸素しか発生しないので高純度の銀を取り出すことができる。加熱昇温すれば、160℃から還元反応が始まるが反応速度が遅く、反応を完結させて導電性を有する材料を得るには300℃以上、好ましくは400℃以上の加熱が必要がある。高温に加熱する場合には、銀を付着させる基材が耐熱性を有する物に限定される、あるいは銀画像を形成する際の基材の熱膨張により銀画像にひびや狂いが生じる等の問題が生じる。水素気流中で酸化銀を加熱する場合は100℃で銀に還元されるが、製造安全性の面から熱源と水素ガスとを充分に隔離する特殊な設備が必要がある等の問題がある。酸化銀を過酸化水素水で処理すれば常温で銀に還元できるが、反応の制御が困難であるため均一な銀膜、銀画像を作ることは困難である。 また、近年、抗菌防かび活性を有する薬剤として銀イオンと各種の配位性有機化合物との金属錯体を利用する技術が知られている。(例えば、特許文献2)しかし、光に対する安定性と抗菌防かび活性を兼ね備えた物はあまり知られていないのが実情である。特開平7−215981号公報特開2000−256365号公報「プリント回路技術便覧−第2版−」社団法人プリント回路学会編、日刊工業新聞社発行、69頁〜76頁「プリント配線板製造入門」伊藤謹司著、日刊工業新聞社発行、123頁〜132頁「薄膜化技術」早川茂・和佐清孝著、共立出版株式会社発行、15頁〜20頁「エレクトロニクス実装技術」(株)技術調査会発行、18巻26頁〜31頁(2002年)「改訂写真工学の基礎−銀塩写真編−」社団法人日本写真学会編、コロナ社発行、752頁〜765頁「改訂写真工学の基礎−銀塩写真編−」社団法人日本写真学会編、コロナ社発行、738頁〜742頁「増補新版分析化学実験」日本分析化学会北海道支部編、化学同人発行、186頁 本発明の第一の目的は、均一な銀膜や銀画像を得るのに適した熱分解性の銀錯体を提供することにある。 本発明の第二の目的は、光に対する安定性と抗菌防かび活性を兼ね備えた銀錯体を提供することにある。 本発明者は、この課題を解決するため研究を行った結果、下記一般式[I]あるいは下記一般式[II]で表されるカルボン酸と無機銀塩を反応させることにより、新規な銀錯体を合成した。 一般式[I]中、R1、R2は水素原子あるいはアルキル基を、R3、R4はアルキル基を、R5はアリール基、あるいは芳香族複素環基を表す。Lは炭素数が1以上12以下のアルキレン基を表す。 一般式[II]中、R6は水素原子、アルキル基、アラルキル基、あるいはアリール基を表し、R7、R8は水素原子あるいはアルキル基を、R9、R10はアルキル基を表す。Qは二価の芳香族炭化水素残基を表す。 加熱分解によって簡便に銀膜を形成することができる金属錯体が提供できる。また、光に対する安定性と抗菌防かび活性を兼ね備えた金属錯体が提供できる。 一般式[I]で示される化合物の具体的な例としては、例えば下記に挙げるものがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。 一般式[II]で示される化合物の具体的な例としては、例えば下記に挙げるものがあるが、本発明はこれに限定されるものではない。 本発明で使用する無機銀塩としては、種々のものを用いることができるが、水溶性のものが特に好ましい。その具体例として、硝酸銀、過塩素酸銀等を挙げることができる。 以下、実施例によって本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部数や百分率は重量基準である。 (例示化合物A−2の合成) ベンズアルデヒド5.3gとβ−アラニン6.7gを酢酸20mlに溶解し、100℃で加熱攪拌する。プロピオール酸メチル8.4gを酢酸5mlに溶解し、100℃に加熱した反応液に滴下した。滴下終了後さらに5時間100℃加熱を行なった後、ロータリーエバポレーターで反応液から酢酸を減圧留去すると粗生成物か析晶した。これをエーテル50mlで洗浄後、メタノール250mlから再結晶して、例示化合物A−2を9.3g得た。 (銀/例示化合物A−2の金属錯体の合成) 例示化合物A−2 3.5gを水40mlに入れて懸濁攪拌した。1Nの水酸化ナトリウム水溶液10mlを加えて例示化合物A−2を完全に溶解させた後、硝酸銀1.7gを水80mlに溶かして滴下した。析出する無色結晶を濾取し、水80ml、次いでメタノール30mlで洗浄し、風乾して、銀/例示化合物A−2の金属錯体4.0gを得た。融点;200〜220℃(分解) 銀/例示化合物A−2の金属錯体 10部を、蒸留水15部とガラスビーズ15部とともにペイントコンディショナーで粉砕・分散した。得られた分散液を塗液とし、ワイヤーバーを用いてスライドグラスに固形分塗抹量30g/m2になるように塗布し、1時間40℃に加熱して乾燥した。乾燥後の塗面は白色であり、塗面の導通をテスターで確認したところ、導通は全くなかった。次いでこの塗膜サンプルを250℃で1時間加熱後、室温に冷却した。塗面は白色から褐黒色に変化しており、膜の導通をテスターで調べたところ、導通が生じていた。 本発明の活用例としては、導電性銀膜形成、あるいは抗菌防かび剤等が挙げられる。 下記一般式[I]あるいは下記一般式[II]で表されるカルボン酸と無機銀塩から合成される金属錯体。(一般式[I]中、R1、R2は水素原子あるいはアルキル基を、R3、R4はアルキル基を、R5はアリール基、あるいは芳香族複素環基を表す。Lは炭素数が1以上12以下のアルキレン基を表す。)(一般式[II]中、R6は水素原子、アルキル基、アラルキル基、あるいはアリール基を表し、R7、R8は水素原子あるいはアルキル基を、R9、R10はアルキル基を表す。Qは二価の芳香族炭化水素残基を表す。) 【課題】本発明は、導電性銀膜形成、あるいは抗菌防かび剤等に利用できる、新規な銀錯体を提供することである。【解決手段】特定構造のカルボン酸と無機銀塩から銀錯体を合成する。【選択図】 なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る