生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_油分に対する検知材料およびそれを用いた油分の有無を検知する方法
出願番号:2004073110
年次:2005
IPC分類:7,G01N33/28,G01M3/02,G01M3/04,G01N33/18


特許情報キャッシュ

高橋 あゆみ 大作 和子 JP 2005257638 公開特許公報(A) 20050922 2004073110 20040315 油分に対する検知材料およびそれを用いた油分の有無を検知する方法 昭和シェル石油株式会社 000186913 友松 英爾 100094466 岡本 利郎 100116481 高橋 あゆみ 大作 和子 7G01N33/28G01M3/02G01M3/04G01N33/18 JPG01N33/28G01M3/02 HG01M3/04 FG01N33/18 B 5 OL 8 2G067 2G067AA04 2G067AA12 2G067BB13 2G067CC03 2G067DD11 2G067EE08 本発明は、工場や油槽所、ガソリンスタンド等の地下埋設タンクおよびそれら配管等の破損等に起因して地下水などの水の上に油膜などの形で存在している油分、土壌中の油分、検知管などに付着している油分などを検知するための検知材料およびそれを用いた検知方法に関する。 工場、油槽所、ガソリンスタンド等の地下埋設タンクがある施設では、地下タンクなどからの油分の漏洩を早急に見つける目的で定期点検の実施が法律で義務付けられている。その対応策としては、管もしくは井戸内の地下水を適当な容器に採取するか、吸引ポンプに接続したチューブで回収してチェックするという方法や漏洩検知棒を管もしくは井戸に挿入して検知棒を目視で確認する方法が行なわれていた。 時にはタンク内のガソリン残量等を測定する時に用いる検尺を活用し、それにオイルペースト(三共化学)を塗布し漏洩油の有無を判定する方法が取られていた。また、もう1つの方法としては検知管のガスを検知する方法も知られている(JIS K01028、JIS K010210.1、JIS K01028、EPA 4030、EPA 4035など参照)。 従来の方法において検知管や井戸から漏洩油を回収する方法では、漏洩油が充分存在する場合には容易に検知出来るが、漏洩の初期のように油量が少ない場合には判定が困難であり、とくに目視による判定が困難な場合には、分析機器を用いた分析が必要であった。一方、検知棒、検尺は計器類の整備と共に使用される機会が減少しているのが現状である。また、オイルペーストは塗布してから時間が経過するにつれ赤色に発色し、時としては漏洩油が付着して発色したのか否かの判定を困難にする場合もある。ガス検知の場合には正確を期すためには捕集バッグに採取しなければならず、ガス検知は簡易ではない。漏洩油が地下水に浸出している場合は地下水と同時に回収する方法が取られているが、地下水が存在することも検知できる条件の一部となっており、これらいずれの方法も漏洩油の存在をすばやく判定する充分な方法とは言い難い。 また、大型タンクや容器、配管その接合部などからの油漏れを検知するための技術としは、特許文献1では、(a)揮発性溶剤、(b)濡れると透明になり乾燥すると不透明になる白色無機粉末、(c)着色顔料とを主成分とする漏洩検査剤を検査物表面に塗布し、その色調の変化をチェックする技術が提案されており、特許文献2では、通気性フィルムとその上に設けられた色調の濃い着色層と、該着色層上に設けられた濡れると透明になり乾燥すると不透明になる白色層よりなる漏洩検査剤を検査物表面に貼り付け、その色調の変化をチェックする技術が開示されており、特許文献3では、粒径が10μm以下の油溶性染料0.1〜5重量%と白色微粉末5〜70重量%を含有する水系分散型油用検査剤を検査物表面に塗布し、その色調の変化をチェックする技術が提案されており、特許文献4では、粒径が10μm以下の油溶性染料0.1〜5重量%、分散剤0.05〜5重量%、白色微粉末5〜70重量%、および水系バインダー0.5〜50重量%を含有する水系分散型油用漏洩検知塗料を検査体に塗布し、その色調の変化をチェックする技術が開示されており、特許文献5では、耐熱性と通液性とを有する可撓性シート材に、前記各種の油用漏洩検知剤を検査体の表面に均一厚さに付着させ、その色調の変化をチェックする技術が開示されている。しかしながら、これらの技術は、いずれもタンクや配管などの検査体に検知剤を接触させてその色調の変化をチェックする技術であり、地下に漏洩している油分を検知しようという技術思想ではない。特開平10−142166号公報特開平10−185742号公報特開平11−030594号公報特開平11−044604号公報特開2001−221705号公報 本発明の目的は、少量の漏洩油の存在でも肉眼的に容易に明確に判定できる油分に対する検知材料およびそれを用いた油分の有無を検知する方法を提供する点にある。 本発明の第1は、膜状物上に0.5mlの水をスポイトで滴下したとき水滴が膜状物に吸収され始めるまでの時間が15秒以上、好ましくは20秒以上、とくに好ましくは30秒以上であり、膜状物上に0.5mlの油をスポイトで滴下したとき油滴が膜状物に吸収され始めるまでの時間が5秒以下、好ましくは3秒以下、とくに好ましくは1秒以下であることを特徴とする油分に対する検知材料に関する。 本発明の第2は、前記膜状物が、多孔質合成樹脂製フィルム、合成樹脂製織布または合成樹脂製不織布である請求項1記載の油分に対する検知材料に関する。 本発明の第3は、前記合成樹脂が、ASTM D570による吸水率0.7%以下である請求項1または2記載の油分に対する検知材料に関する。 なお、吸水率0.7%以下の合成樹脂の代表的なものは、以下のとおりである。 樹脂名 吸水率(%) ポリプロピレン <0.01〜0.03 ポリエチレン <0.015 ポリ塩化ビリニデン <0.1 ポリカーボネート 0.2 ポリエチレンテレフタレート 0.6 本発明の第4は、前記合成樹脂が、ポリプロピレン、ポリ四弗化エチレンおよびポリ塩化ビニリデンよりなるものである請求項3記載の油分に対する検知材料に関する。 本発明の第5は、請求項1記載の油分に対する検知材料を被検知材料と15秒未満の時間だけ接触させ、該検知材料の光透過性の変化により、油分、水中油分または水表面の油分の有無を検知する方法に関する。 前記膜状物としては、連続気泡をもつ合成樹脂製マイクロポーラスフィルム、合成樹脂製の織布または不織布を挙げることができる。 前記連続気泡をもつ合成樹脂製マイクロポーラスフィルムとしては、例えば住友スリーエム株式会社の商品名「3Mマイクロポーラスフィルム」を挙げることができる。これは最大径0.3μmの微細孔を無数にもつポリプロピレン製多孔質フィルムであり、微細孔は全体の35%を占めるものであり、化粧品市場において「あぶらとり紙」として市販されているものを転用することができる。 前記合成樹脂製の織布または不織布の例としては、東洋紡績株式会社が工業用カートリッジエアーフィルター「BESTSHOT」として市販しているポリエステル不織布、同社製ポリエステル長繊維不織布である商品名エクーレ、ミリポア社製の疎水性デュラポアフィルター(商品名)(ポリ四弗化エチレン製やポリ塩化ビリニデン製)などを挙げることができる。これらの商品の吸水率は、前述の樹脂そのものの吸水率とは必ずしも同一ではない、その理由はメーカーにより何らかの処理がほどこされている場合があるからである。しかしこれらの商品の吸水率はいずれも0.7%を下廻るものである。 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム(ポリプロピレン)をはじめとする下記材料上に室温下で0.5mlの水または油をスポイトで滴下した。滴下した水または油が吸収され始めるまでの時間を下に示す。水や油が吸収され始める時点は、水滴または油滴が小さくなり始めるので容易に判別することができ、水滴と油滴の吸収され始める時間の差が余りにも大きいので、この判断は実際には非常に簡単である。なお、油としては、JIS 2号ガソリンおよびJIS 2号軽油を用いて調べたが、いずれも同一の結果を示したので、表中では「油」と表現した。 請求項1では、膜状物上に0.5mlの水をスポイトで滴下したとき水滴が膜状物に吸収され始めるまでの時間が15秒以上であり、膜状物上に0.5mlの油をスポイトで滴下したとき油膜が膜状物に吸収され始めるまでの時間が5秒以下であることが膜状物の要件である。この要件のいずれかでもはずれると、検知能力が低下し、油分量が極めて少ない場合には判定が不可能となる場合が生じる。この要件は、言い方を変えれば油分はすぐ吸収するが水はなかなか吸収しない材料ということであり、この膜状物を水面に5〜15秒ほど載置し、これを引き上げたとき膜状物が油分のみを吸収しているようにするための目安が前述の規定であるということができる。前記水吸収開始時間と油分吸収開始時間との間の差が大きいほど検知操作処理をスピーディーにやらなくても充分判定可能である。 また、前記合成樹脂が、ASTM D570による測定方法で、その吸水率が0.7%以下であるものを使用することが好ましいとしたのは、このような合成樹脂材料を用いた膜状物であれば、ぼぼ誤りなく請求項1で規定する物性を満足せさることができるからである。 本発明の検知材料は検知管内に挿入して使用することが多いので、検知管の直径以下のサイズのものが一般的なものになるが、用い方により、そのサイズは任意である。 本発明の検知材料は、白色系でも、有色でも良く、油が付着するとその光透過性が増大することを利用して白色であれば透明になったり、有色であればその色が濃くなったりして、油との接触部分の色が変化して肉眼的にも容易に油の存在を判定できる。 これらの物は市販されており容易に入手することが出来る。また検知管・井戸内の地下水面にこれらの素材を接触させて引き上げることにより油が存在する場合のみ検知材料の色が変化するので、地下水を採取しなくても検知管・井戸内の油膜、油分の存在の有無が判定可能となる。このような点から被検知材料は、水面上の油膜や油分、水中の油分のほか、土壌中の油分、管の中や壁に付着した油分などを指すことは明らかである。 以下に実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものでない。実施例1 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム(ポリプロピレン)と水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分・油膜について検知濃度(油膜の厚さで示す)の結果を下に示す。 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルムには白色、青色、水色、桃色等各色の製品が製造、市販されており、それらについて検討したが油分の有無の判定の際に大きな差は見られなかった。実施例2 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム(ポリプロピレン)と水表面の市販灯油(JIS 1号灯油)の油分・油膜について検知濃度の結果を下に示す。実施例3 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム(ポリプロピレン)と水表面の市販軽油(JIS 2号軽油)の油分・油膜について検知濃度の結果を下に示す。実施例4 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム(ポリプロピレン)と水表面の市販A重油(JIS 1種1号重油)の油分・油膜について検知濃度の結果を下に示す。実施例5 東洋紡社製ベストショット(ポリエステル製、目付量240g/m2、厚み0.60mm、フラジール通気度20cc/cm2/s)と水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分について検知濃度の結果を下に示す。実施例6 東洋紡社製エクーレ(ポリエステル)(白色、有色)と水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分について検知濃度の結果を下に示す。 エクーレには使用材料のm2当たりの重量で複数の製品が存在する。ここで示したのは70g/m2のものでそれより軽量でも判定は出来るがやや困難であった。白色と有色(黒色)とでは白色の方が判定はしやすかった。実施例7 ミリポア社製疎水性デュラポアフィルター商品番号HVHP01300(ポリビリニデンフロライド 孔径0.45μm)と水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分検知濃度の結果を下に示す。実施例8 ミリポア社製疎水性デュラポアフィルター商品番号LCWP013000(ポリ四沸化エチレン 孔径10.0μm)と水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分検知濃度の結果を下に示す。実施例9 市販のPTFEフィルターと水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分検知濃度の結果を下に示す。比較例1 ニトロ化セルロースフィルター(アドバンテック東洋社製、孔径0.2μm)、グラスフィルターペーパー(アドバンテック東洋社製、商品番号 GS25)、パラフィン紙(東京日本油紙社製)、親水性処理した住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム、セルロースフィルター(ワットマン社製)、植物繊維を利用した紙もしくは油とり紙等は水に接触するとほぼ瞬時に水を吸収し、透明度を増したりして判定を困難にし、使用が不可であった。 膜状物上に0.5mlの水をスポイトで滴下したとき水滴が膜状物に吸収され始めるまうまでの時間が15秒以上であり、膜状物上に0.5mlの油をスポイトで滴下したとき油滴が膜状物に吸収され始めるまでの時間が5秒以下であることを特徴とする油分に対する検知材料。 前記膜状物が、多孔質合成樹脂製フィルム、合成樹脂製織布または合成樹脂製不織布である請求項1記載の油分に対する検知材料。 前記合成樹脂が、ASTM D570による吸水率0.7%以下である請求項1または2記載の油分に対する検知材料。 前記合成樹脂が、ポリプロピレン、ポリ四弗化エチレンおよびポリ塩化ビニリデンよりなるものである請求項3記載の油分に対する検知材料。 請求項1記載の油分に対する検知材料を被検知材料と15秒未満の時間だけ接触させ、該検知材料の光透過性の変化により、油分、水中油分または水表面の油分の有無を検知する方法。 【課題】 少量の漏洩油の存在でも肉眼的に容易に明確に判定できる油分に対する検知材料およびそれを用いた油分の有無を検知する方法の提供。【解決手段】 膜状物上に0.5mlの水をスポイトで滴下したとき水滴が膜状物に吸収され始めるまでの時間が15秒以上であり、膜状物上に0.5mlの油をスポイトで滴下したとき油滴が膜状物に吸収され始めるまでの時間が5秒以下であることを特徴とする油分に対する検知材料およびそれを用いた油分の有無を検知する方法。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_膜状の検知材料を用いて油分の有無を検知する方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_膜状の検知材料を用いて油分の有無を検知する方法
出願番号:2004073110
年次:2010
IPC分類:G01N 33/28,G01M 3/02,G01M 3/04


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高橋 あゆみ 大作 和子 JP 4597554 特許公報(B2) 20101001 2004073110 20040315 膜状の検知材料を用いて油分の有無を検知する方法 昭和シェル石油株式会社 000186913 岡本 利郎 100116481 友松 英爾 100094466 高橋 あゆみ 大作 和子 20101215 G01N 33/28 20060101AFI20101125BHJP G01M 3/02 20060101ALI20101125BHJP G01M 3/04 20060101ALI20101125BHJP JPG01N33/28G01M3/02 HG01M3/04 F G01N 33/28 G01M 3/02 G01M 3/04 特開昭63−314451(JP,A) 特開2005−156195(JP,A) 実開昭63−014206(JP,U) 特開平05−202354(JP,A) 特開昭54−127390(JP,A) 5 2005257638 20050922 8 20070305 山村 祥子 本発明は、工場や油槽所、ガソリンスタンド等の地下埋設タンクおよびそれら配管等の破損等に起因する水中油分、水表面に油膜の形で存在している油分、土壌中の油分、検知管に付着している油分などを検知する方法に関する。 工場、油槽所、ガソリンスタンド等の地下埋設タンクがある施設では、地下タンクなどからの油分の漏洩を早急に見つける目的で定期点検の実施が法律で義務付けられている。その対応策としては、管もしくは井戸内の地下水を適当な容器に採取するか、吸引ポンプに接続したチューブで回収してチェックするという方法や漏洩検知棒を管もしくは井戸に挿入して検知棒を目視で確認する方法が行なわれていた。 時にはタンク内のガソリン残量等を測定する時に用いる検尺を活用し、それにオイルペースト(三共化学)を塗布し漏洩油の有無を判定する方法が取られていた。また、もう1つの方法としては検知管のガスを検知する方法も知られている(JIS K01028、JIS K010210.1、JIS K01028、EPA 4030、EPA 4035など参照)。 従来の方法において検知管や井戸から漏洩油を回収する方法では、漏洩油が充分存在する場合には容易に検知出来るが、漏洩の初期のように油量が少ない場合には判定が困難であり、とくに目視による判定が困難な場合には、分析機器を用いた分析が必要であった。一方、検知棒、検尺は計器類の整備と共に使用される機会が減少しているのが現状である。また、オイルペーストは塗布してから時間が経過するにつれ赤色に発色し、時としては漏洩油が付着して発色したのか否かの判定を困難にする場合もある。ガス検知の場合には正確を期すためには捕集バッグに採取しなければならず、ガス検知は簡易ではない。漏洩油が地下水に浸出している場合は地下水と同時に回収する方法が取られているが、地下水が存在することも検知できる条件の一部となっており、これらいずれの方法も漏洩油の存在をすばやく判定する充分な方法とは言い難い。 また、大型タンクや容器、配管その接合部などからの油漏れを検知するための技術としは、特許文献1では、(a)揮発性溶剤、(b)濡れると透明になり乾燥すると不透明になる白色無機粉末、(c)着色顔料とを主成分とする漏洩検査剤を検査物表面に塗布し、その色調の変化をチェックする技術が提案されており、特許文献2では、通気性フィルムとその上に設けられた色調の濃い着色層と、該着色層上に設けられた濡れると透明になり乾燥すると不透明になる白色層よりなる漏洩検査剤を検査物表面に貼り付け、その色調の変化をチェックする技術が開示されており、特許文献3では、粒径が10μm以下の油溶性染料0.1〜5重量%と白色微粉末5〜70重量%を含有する水系分散型油用検査剤を検査物表面に塗布し、その色調の変化をチェックする技術が提案されており、特許文献4では、粒径が10μm以下の油溶性染料0.1〜5重量%、分散剤0.05〜5重量%、白色微粉末5〜70重量%、および水系バインダー0.5〜50重量%を含有する水系分散型油用漏洩検知塗料を検査体に塗布し、その色調の変化をチェックする技術が開示されており、特許文献5では、耐熱性と通液性とを有する可撓性シート材に、前記各種の油用漏洩検知剤を検査体の表面に均一厚さに付着させ、その色調の変化をチェックする技術が開示されている。しかしながら、これらの技術は、いずれもタンクや配管などの検査体に検知剤を接触させてその色調の変化をチェックする技術であり、地下に漏洩している油分を検知しようという技術思想ではない。特開平10−142166号公報特開平10−185742号公報特開平11−030594号公報特開平11−044604号公報特開2001−221705号公報 本発明の目的は、少量の漏洩油の存在でも肉眼的に容易に明確に判定できる膜状の検知材料を用いた油分の有無を検知する方法の提供にある。 本発明の第1は、膜状物上に0.5mlの水をスポイトで滴下したとき、水滴が膜状物に吸収され始めるまでの時間が15秒以上、好ましくは20秒以上、特に好ましくは30秒以上であり、同じ膜状物上に0.5mlの油をスポイトで滴下したとき油滴が膜状物に吸収され始めるまでの時間が5秒以下、好ましくは3秒以下、特に好ましくは1秒以下である膜状の検知材料を用いて、該検知材料と被検知材料とを15秒未満の時間だけ接触させ、そのときの、該検知材料の光透過性の変化により油分の有無を検知する方法である。 本発明の第2は、前記油分が、水中油分、水表面に油膜の形で存在している油分、又は土壌中の油分である請求項1記載の油分の有無を検知する方法である。 本発明の第3は、前記膜状物が、多孔質合成樹脂製フィルム、合成樹脂製織布または合成樹脂製不織布である請求項1又は2記載の油分の有無を検知する方法である。 本発明の第4は、前記合成樹脂が、ASTM D570による吸水率0.7%以下である請求項3記載の油分の有無を検知する方法である。 なお、吸水率0.7%以下の合成樹脂の代表的なものは、以下のとおりである。 樹脂名 吸水率(%) ポリプロピレン <0.01〜0.03 ポリエチレン <0.015 ポリ塩化ビリニデン <0.1 ポリカーボネート 0.2 ポリエチレンテレフタレート 0.6 本発明の第5は、前記合成樹脂が、ポリプロピレン、ポリ四弗化エチレンおよびポリ塩化ビニリデンよりなるものである請求項3又は4記載の油分の有無を検知する方法である。 前記膜状物としては、連続気泡をもつ合成樹脂製マイクロポーラスフィルム、合成樹脂製の織布または不織布を挙げることができる。 前記連続気泡をもつ合成樹脂製マイクロポーラスフィルムとしては、例えば住友スリーエム株式会社の商品名「3Mマイクロポーラスフィルム」を挙げることができる。これは最大径0.3μmの微細孔を無数にもつポリプロピレン製多孔質フィルムであり、微細孔は全体の35%を占めるものであり、化粧品市場において「あぶらとり紙」として市販されているものを転用することができる。 前記合成樹脂製の織布または不織布の例としては、東洋紡績株式会社が工業用カートリッジエアーフィルター「BESTSHOT」として市販しているポリエステル不織布、同社製ポリエステル長繊維不織布である商品名エクーレ、ミリポア社製の疎水性デュラポアフィルター(商品名)(ポリ四弗化エチレン製やポリ塩化ビリニデン製)などを挙げることができる。これらの商品の吸水率は、前述の樹脂そのものの吸水率とは必ずしも同一ではない、その理由はメーカーにより何らかの処理がほどこされている場合があるからである。しかしこれらの商品の吸水率はいずれも0.7%を下廻るものである。 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム(ポリプロピレン)をはじめとする下記材料上に室温下で0.5mlの水または油をスポイトで滴下した。滴下した水または油が吸収され始めるまでの時間を下に示す。水や油が吸収され始める時点は、水滴または油滴が小さくなり始めるので容易に判別することができ、水滴と油滴の吸収され始める時間の差が余りにも大きいので、この判断は実際には非常に簡単である。なお、油としては、JIS 2号ガソリンおよびJIS 2号軽油を用いて調べたが、いずれも同一の結果を示したので、表中では「油」と表現した。 請求項1では、膜状物上に0.5mlの水をスポイトで滴下したとき水滴が膜状物に吸収され始めるまでの時間が15秒以上であり、同じ膜状物上に0.5mlの油をスポイトで滴下したとき油膜が膜状物に吸収され始めるまでの時間が5秒以下であることが膜状物の要件である。この要件のいずれかでもはずれると、検知能力が低下し、油分量が極めて少ない場合には判定が不可能となる場合が生じる。この要件は、言い方を変えれば油分はすぐ吸収するが水はなかなか吸収しない材料ということであり、この膜状物を水面に5〜15秒ほど載置し、これを引き上げたとき膜状物が油分のみを吸収しているようにするための目安が前述の規定であるということができる。前記水吸収開始時間と油分吸収開始時間との間の差が大きいほど検知操作処理をスピーディーにやらなくても充分判定可能である。 また、前記合成樹脂が、ASTM D570による測定方法で、その吸水率が0.7%以下であるものを使用することが好ましいとしたのは、このような合成樹脂材料を用いた膜状物であれば、ぼぼ誤りなく請求項1で規定する物性を満足せさることができるからである。 本発明の検知材料は検知管内に挿入して使用することが多いので、検知管の直径以下のサイズのものが一般的なものになるが、用い方により、そのサイズは任意である。 本発明で検知材料として用いる膜状物は、白色系でも、有色でも良く、油が付着するとその光透過性が増大することを利用して白色であれば透明になったり、有色であればその色が濃くなったりして、油との接触部分の色が変化して肉眼的にも容易に油の存在を判定できる。 これらの膜状物は市販されており容易に入手することが出来る。また検知管・井戸内の地下水面にこれらの素材を接触させて引き上げることにより油が存在する場合のみ検知材料の色が変化するので、地下水を採取しなくても検知管・井戸内の油膜、油分の存在の有無が判定可能となる。このような点から被検知材料は、水面上の油膜や油分、水中の油分のほか、土壌中の油分、管の中や壁に付着した油分などを指すことは明らかである。 以下に実施例および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものでない。実施例1 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム(ポリプロピレン)と水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分・油膜について検知濃度(油膜の厚さで示す)の結果を下に示す。 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルムには白色、青色、水色、桃色等各色の製品が製造、市販されており、それらについて検討したが油分の有無の判定の際に大きな差は見られなかった。実施例2 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム(ポリプロピレン)と水表面の市販灯油(JIS 1号灯油)の油分・油膜について検知濃度の結果を下に示す。実施例3 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム(ポリプロピレン)と水表面の市販軽油(JIS 2号軽油)の油分・油膜について検知濃度の結果を下に示す。実施例4 住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム(ポリプロピレン)と水表面の市販A重油(JIS 1種1号重油)の油分・油膜について検知濃度の結果を下に示す。実施例5 東洋紡社製ベストショット(ポリエステル製、目付量240g/m2、厚み0.60mm、フラジール通気度20cc/cm2/s)と水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分について検知濃度の結果を下に示す。実施例6 東洋紡社製エクーレ(ポリエステル)(白色、有色)と水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分について検知濃度の結果を下に示す。 エクーレには使用材料のm2当たりの重量で複数の製品が存在する。ここで示したのは70g/m2のものでそれより軽量でも判定は出来るがやや困難であった。白色と有色(黒色)とでは白色の方が判定はしやすかった。実施例7 ミリポア社製疎水性デュラポアフィルター商品番号HVHP01300(ポリビリニデンフロライド 孔径0.45μm)と水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分検知濃度の結果を下に示す。実施例8 ミリポア社製疎水性デュラポアフィルター商品番号LCWP013000(ポリ四沸化エチレン 孔径10.0μm)と水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分検知濃度の結果を下に示す。実施例9 市販のPTFEフィルターと水表面の市販ガソリン(JIS 2号ガソリン)の油分検知濃度の結果を下に示す。比較例1 ニトロ化セルロースフィルター(アドバンテック東洋社製、孔径0.2μm)、グラスフィルターペーパー(アドバンテック東洋社製、商品番号 GS25)、パラフィン紙(東京日本油紙社製)、親水性処理した住友スリーエム社製3Mマイクロポーラスフィルム、セルロースフィルター(ワットマン社製)、植物繊維を利用した紙もしくは油とり紙等は水に接触するとほぼ瞬時に水を吸収し、透明度を増したりして判定を困難にし、使用が不可であった。 膜状物上に0.5mlの水をスポイトで滴下したとき、水滴が膜状物に吸収され始めるまでの時間が15秒以上であり、同じ膜状物上に0.5mlの油をスポイトで滴下したとき油滴が膜状物に吸収され始めるまでの時間が5秒以下である膜状の検知材料を用いて、該検知材料と被検知材料とを15秒未満の時間だけ接触させ、そのときの該検知材料の光透過性の変化により油分の有無を検知する方法。 前記油分が、水中油分、水表面に油膜の形で存在している油分、又は土壌中の油分である請求項1記載の油分の有無を検知する方法。 前記膜状物が、多孔質合成樹脂製フィルム、合成樹脂製織布または合成樹脂製不織布である請求項1又は2記載の油分の有無を検知する方法。 前記合成樹脂が、ASTM D570による吸水率0.7%以下である請求項3記載の油分の有無を検知する方法。 前記合成樹脂が、ポリプロピレン、ポリ四弗化エチレンおよびポリ塩化ビニリデンよりなるものである請求項3又は4記載の油分の有無を検知する方法。


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