タイトル: | 公開特許公報(A)_微量金属イオンの除去方法 |
出願番号: | 2004061526 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,C07C29/88,B01D15/04,B01J39/04,C07C31/04,C07C231/24,C07C233/03,C07C315/06,C07C317/04,C07D207/267 |
田中 栄一 田島 茂 JP 2005247770 公開特許公報(A) 20050915 2004061526 20040305 微量金属イオンの除去方法 日本化薬株式会社 000004086 田中 栄一 田島 茂 7C07C29/88B01D15/04B01J39/04C07C31/04C07C231/24C07C233/03C07C315/06C07C317/04C07D207/267 JPC07C29/88B01D15/04B01J39/04 HC07C31/04C07C231/24C07C233/03C07C315/06C07C317/04C07D207/267 4 OL 8 4C069 4D017 4H006 4C069AB12 4C069BA01 4D017AA03 4D017BA12 4D017CA17 4D017CB01 4D017DA07 4H006AA02 4H006AD17 4H006AD32 4H006BV13 有機溶媒中、あるいは有機溶媒溶液に存在する金属イオンの回収あるいは除去の技術に関するものである。 従来からイオンの回収あるいは除去には純水製造を始めとしてイオン交換樹脂が汎用されている。金属イオンは陽イオンとなるため、その回収あるいは除去には強酸性あるいは弱酸性の陽イオン交換樹脂あるいはキレート作用を持つイミノ二酢酸構造を持つようなキレート樹脂が用いられている。また、有機溶媒中の金属イオンの除去も可能であることが知られている(非特許文献1:p475(ii)非電解質の脱イオンの項参照)。また、フェノール化合物を有機溶媒に溶解し、その溶液を陽イオン交換樹脂(H型)を用いて吸着除去することの報告がある(特許文献1参照)。しかしながら、有機溶媒あるいは有機化合物を有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液中の金属イオンの除去は、金属イオンが単なる陽イオンとして存在しているのではないため容易に除去回収することは難しく、特にアミノ基を有する芳香族化合物ではアミノ基と金属イオンのキレートその他の作用により有機溶媒中に存在するため除去が難しい。そのため低金属含有量の化合物合成の際に金属の含有量の少ない原材料あるいは原材料の段階で金属イオンを除去し、更には金属イオンの発生あるいは混入のない装置で低金属化合物を合成している。また、有機化合物中から除去するには、疎水性の有機溶媒に溶解し水洗を繰り返して除去も出来るが、疎水性の有機溶媒に溶解しにくい化合物には適用できない。 通常のイオン交換反応に使われている強塩基性陰イオン交換樹脂のCL型すなわちベンジルトリメチルアンモニウム基に塩素イオンが対イオンとして存在するスチレン・ジビニルベンゼン系の樹脂では当然のことながら全く捕捉ができなかった。 一般的に水中の金属イオンの除去に用いられる強酸性陽イオン交換樹脂(強酸性樹脂)や弱酸性陽イオン交換樹脂(弱酸性樹脂)のナトリウムイオン型ではジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)等の極性の強い有機溶媒中ではまったく除去効果がなかった。強酸性陽イオン交換樹脂(強酸性樹脂)のH型では除去効果があったが、その効果はやや劣っていた。 前記非特許文献1には、非電解質の脱イオンとして、「アセトンや低級アルコールのような非電解質は水と同じように脱イオンすることができる。また、ほとんど無水の有機液体やそれらの水溶液も同様である。」と記載されている。これによれば、金属イオン(陽イオン)の除去には強酸性陽イオン交換樹脂で除けるはずである。また、非特許文献1のp483には、陰イオン交換樹脂を用いて金属イオンの吸着が説明されているが、これは強酸性水溶液(8モル塩酸)中での挙動であり錯イオンを形成して陰イオン交換樹脂である種の金属イオンが分離され、0.1モル塩酸ではほとんどの金属イオンが溶出してくるとの記載である。逆に中性の水溶液中では吸着されないし、有機溶媒中での吸着除去を示唆するものではない。また、前記特許文献1では、金属不純物を含有するフェノール化合物を有機溶媒に溶解し、その溶液をイオン交換樹脂と接触させて除去する方法が記載されているが、「ここで用いられるイオン交換樹脂は、フェノール化合物中に含まれる金属不純物に対して交換能を有するものであればよいが、一般には陽イオン交換樹脂、それも、交換基がスルホン酸である強酸性陽イオン交換樹脂が有利に用いられる。」「本発明において金属不純物を除去するためには、H型にして用いる必要があり、」と記載されている。特開2001−114717号公報(特許請求の範囲等)新実験化学講座編集委員会編集 「新実験化学講座1」 丸善株式会社昭和50年9月20日 P.463〜497 最近の電子材料に使われている各種のIC材料類は微細な加工により高密度に設計されているため、そこに使用される基盤、封止剤、層間絶縁剤等の高分子材料の絶縁性の高いものが必要となっている。絶縁性を高くするには、その高分子材料中に含まれる金属イオンをごく微量に抑える必要があり、その中間体、単量体の低金属含量化が望まれている。 一般的に微量の金属イオンの除去には陽イオン交換樹脂、キレート樹脂が用いられるが、高分子材料あるいはその中間体、単量体はその性質上有機溶媒にしか溶けないため、効率良く金属イオンを除去するのが難しく、時間と費用を要している。そこで高効率に金属イオンの除去が可能な不溶性の樹脂すなわち水溶液中のイオン除去に樹脂筒が使われるのと同様の操作で有機溶媒中の微量金属イオンの除去が可能な機能を持つ樹脂が望まれている。 本発明者らは、前記課題を解決すべく、高効率に金属イオンを捕捉可能なイオン交換樹脂を鋭意検討した結果、強塩基性陰イオン交換樹脂(強塩基性樹脂)の対イオンとしてOH又は弱酸を持つイオン交換樹脂を用いることによって、高効率に有機溶媒溶液中の金属イオンを除去できることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、(1)有機溶媒溶液中の金属イオンを除去する際に強塩基性陰イオン交換樹脂の水酸基型あるいは弱酸塩型の樹脂を用いて除去する方法、(2)有機溶媒溶液が不純物として金属イオンを含有するアミノ基を有する芳香族化合物を有機溶媒に溶解した溶液である前項(1)に記載の金属イオンを除去する方法、(3)アミノ基を有する芳香族化合物がアミノ基と水酸基を同一芳香核に有する芳香族化合物である前項(2)に記載の金属イオンを除去する方法、(4)有機溶媒がジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンからなる群から選ばれる1種以上である前項(1)乃至(3)の何れか一項に記載の金属イオンを除去する方法、に関する。 本発明の方法によると、高効率で金属イオンを捕捉可能であり、金属イオン混入を避けるよう慎重に合成した化合物中にわずかに含まれるppmオーダーの金属イオンを、本発明の陰イオン交換樹脂を充填したカラムに化合物を溶解した有機溶媒溶液を通過させる(イオン交換樹脂量の10倍量をSV(空間速度)約1程度で通過させる)ことによりppbオーダーまで下げることが可能であった。 本発明の方法は、樹脂筒(カラム)に強塩基性陰イオン交換樹脂の水酸基型あるいは弱酸塩型の樹脂を充填し、有機溶媒を流してカラムを有機溶媒に置換する。次いで、金属イオンを含む有機溶媒を通過させるものである。 本発明で用いられる強塩基性陰イオン交換樹脂の水酸基型あるいは弱酸塩型樹脂の製造法を説明する。 本発明で用いられる強塩基性陰イオン交換樹脂の水酸基型あるいは弱酸塩型樹脂を製造するには、市販の強塩基性陰イオン交換樹脂の対イオンの塩素を水酸基、あるいは弱酸に交換すれば良く、一般的に再生といわれている操作でなされる。例えば、強塩基性陰イオン交換樹脂の対イオンの塩素を水酸基に変える場合、所定量の強塩基性陰イオン交換樹脂をビーカーに取り、水を加えて攪拌し、デカンテーションにて微粉を除き、カラムに充填する。次いで充填したイオン交換樹脂のイオン交換容量の3〜30倍量の1M水酸化ナトリウム水溶液を通液して水酸基型の強塩基性陰イオン交換樹脂が得られ、さらにイオン交換水にて充分に洗浄することによってナトリウムイオンのない樹脂が得られる。弱酸を対イオンとする弱酸型の樹脂の場合、目的とする対イオンのアルカリ金属塩通常ナトリウム塩が用いられる。炭酸塩型に変える場合は1M炭酸ナトリウム、酢酸塩型にする場合1M酢酸ナトリウムが用いられる。弱酸の種類としては特に限定はしないが、炭酸、酢酸、ほう酸などが価格、流通の面から好ましい。この場合も当然水洗が必要である。 本発明の方法で用いられるイオン交換樹脂は、市販されているイオン交換樹脂を用いることができる。樹脂本体の材質はスチレン−ジビニルベンゼン系の樹脂で交換容量の大きさからポーラスタイプの樹脂が望ましい。イオン交換樹脂を有機溶媒中で使用すると樹脂の架橋度の低いものは水で膨潤していたものが、水がなくなるため樹脂粒子が小さくなるため架橋度の高いほうが望ましい。したがって、一般的なスチレン−ジビニルベンゼン系ではジビニルベンゼンの割合の大きいほうが望ましい。 本発明の方法で用いられる強塩基性陰イオン交換樹脂は、表面に4級アンモニウム基を持つ樹脂であり、一般的にI型と呼ばれるベンジルトリメチルアンモニウムタイプとII型と呼ばれるベンジルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムタイプの2つのタイプがあるが、どちらでも対イオンを水酸基型、弱酸型にすれば使うことができる。I型としてはアンバーライトIRA−400、ダウエックス1、AG−1、ダイヤイオンSA10等が挙げられる。また、II型としてはアンバーライトIRA−410、ダウエックス2、AG−2、ダイヤイオンSA20等が挙げられる。また、たんぱくの分離等に用いられる架橋デキストラン、架橋アガロース、セルロース等を担体として4級アミノ基を表面に導入した樹脂等は水溶媒での使用を前提にしているので、有機溶媒に置換した際の収縮が大きいが使うことはできる。 有機溶媒溶液中の金属イオンを除去するには上記樹脂を再生し、対イオンを水酸基型あるいは弱酸塩型に変換し、有機溶媒に置換し使用することが出来る。その方法はバッチ法と呼ばれる反応容器の中で金属イオンを含む有機溶媒溶液中イオン交換樹脂を加えて撹拌後濾過する方法とカラム法と呼ばれる樹脂を充填したイオン交換樹脂カラムを用いて、金属イオンを含む有機溶媒溶液を通過させる方法とがある。イオン交換樹脂の必要量は有機溶媒溶液中に含まれる金属イオン総量とイオン交換樹脂のイオン交換容量で決定され、その量の10倍から20倍が通常の使用量であるが、極めて微量の金属を除去であり、操作性からも過剰量のイオン交換樹脂を使用する。アミノ基を有する芳香族化合物に対して5〜50%程度の使用あるいはアミノ基を有する芳香族化合物溶解した溶液量の0.5〜10%が望ましい。 バッチ法は反応容器内での撹拌時間は1〜5時間撹拌し濾過することで金属イオンを除去あるいは回収することが出来る。カラム法では有機溶媒に置換したイオン交換樹脂を充填したカラムあるいは再生後の樹脂をカラムに充填した後に有機溶媒に交換しても良い。水溶性の有機溶媒の場合はそのまま交換あるいは通過させることで交換が可能だが、疎水性の有機溶媒の場合、水溶性の有機溶媒に交換後疎水性有機溶媒に置換しなければならない。有機溶媒に置換したイオン交換樹脂充填カラムに同じ有機溶媒に溶解した金属イオンを含む溶液を流し、流出液を晶析し、濾過、乾燥することで金属含有量の少ない化合物を得ることができる。カラム通過させる流量は、充填する樹脂量及び処理量によって決まるがSV1〜10程度で流し、特にSV1〜2が好ましい。極微量まで金属イオンの除去が必要な場合はSVを小さく、即ちゆっくり流すことが望ましい。 また、本発明によるイオン交換樹脂による方法では、金属イオンと同種の電荷を持つ陽イオンを表面に持つためなのか、極めて薄い濃度の金属イオンを吸着できるため有機溶媒中の濃度は百万分の一(ppm)から十億分の一(ppb)まで除去することができる。 最近の電子材料に用いられる高分子材料の原料である芳香族系の高分子中間体のうち芳香族系の高分子中間体のうちアミン系の中間体、たとえばp-フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(3−アミノフェニル)スルフォン、ビス(4−アミノフェニル)スルフォン、1,3’−ビス(アミノフェニノキシ)ベンゼン、1,4’−ビス(アミノフェニノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(アミノフェニノキシ)ビフェニル、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェニノキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(3−アミノフェニノキシ)フェニル〕プロパン、ビス〔4−(4−アミノフェニノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−フルオレン、ビス(3−メチル−4−アミノフェニル)メタン、ビス(3、5−ジメチル−4−アミノフェニル)メタン、ビス(3、5−ジエチル−4−アミノフェニル)メタン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシ)ビフェニル、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルフォン、1,1−ビス(3アミノ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,1−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン,9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等のアニリン系(芳香族アミン系)の中間体はアミノ基を持つため金属イオン特に鉄イオンと配位し、精製工程での水洗等での除去は難しい。更にはアミノ基と水酸基の両方をオルト位に持つ芳香族系中間体では更に金属イオンの除去が難しく、水に溶解しないため通常のイオン交換樹脂カラムでの除去も難しいが、本発明の方法によると、有機溶媒に溶解した溶液を特定のイオン交換樹脂カラムを通過させることによって除去が可能である。 本発明の方法に用いられる有機溶媒としては、イオン交換樹脂カラム通過中に溶解している化合物が析出しないような溶媒であれば良い。具体的にはメタノール、エタノールを始めとするアルコール類、アセトン、メチルセロソルブ類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルイミダゾリドン等の水溶性溶媒やジクロロメタン、クロロホルム、酢酸エチル、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の疎水性溶媒等が挙げられる。好ましくはジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンである。 本発明によるイオン交換樹脂を用いた方法ではアミノ基を持つ芳香族化合物中の金属イオンの除去には最適であり、前述した有機溶媒に溶解したアミノ基を有する芳香族化合物溶液に本発明のイオン交換樹脂を加えて撹拌濾過、あるいはイオン交換樹脂カラムを通過させることで微量に含まれる金属イオンを除去できる。 本発明で用いられる強塩基性陰イオン交換樹脂の水酸基型あるいは弱酸塩型樹脂では、金属イオンと樹脂自体のイオン性が同じであるため通常のイオン交換反応による金属イオンの吸着除去は行われず、対イオンの水酸基、弱酸基が作用し、金属イオンの対イオンが強塩基性陰イオン交換樹脂の水酸基、弱酸基と交換反応して不溶性の金属化合物となり強塩基性陰イオン交換樹脂に吸着しているものと考えられる。また、本発明の方法に用いられる強塩基性陰イオン交換樹脂は、陰イオン交換樹脂なので、マイナスイオンを吸着するため、金属微粒子、金属酸化物微粒子、金属塩微粒子などのマイナスに荷電した粒子の吸着除去作用効果も考えられる。 以下、実施例にて説明するが、これらは本発明を限定するものではない。実施例1 強塩基性陰イオン交換樹脂であるアンバーライトIRA900(CL)(ローム・アンド・ハース社製)を常法により微紛を除き、100mlを内径30mm長さ200mmのガラス製カラムに充填し、再生を行った。すなわち1N−NaOH1000mlをSV=1程度でゆっくりと流した。次いで脱イオン水にて流出液がpH8.0以下の中性となるまで流した。これによりCL型の樹脂がOH型となった。更に、メタノール300mlを3回に分けて流し、水をメタノールに置換した。これに、塩化第二鉄を100ppmの濃度に溶解したメタノール溶液100mlをカラム上部から少しずつ加え、流出液を捕集した。さらにメタノール100mlを4回流して、流れ出る二価鉄イオンを捕集し流出液500mlを得た。この流出液2mlにバソフェナントロリン溶液0.2mlを加えて発色させ、533nmの吸光度を測定し、別に求めた検量線から濃度を算出したところ0.05ppmであった。従って濃度は20ppmから0.05ppmまで下がったことになる。 バソフェナントロリン溶液はバソフェナントロリン50mgおよびアスコルビン酸100mgをメタノール20mlに溶解した溶液であり、二価鉄により赤く色に発色し、吸光度分析により0.01〜4.0ppmの範囲で定量が可能である。アスコルビン酸を加えるのは三価鉄を二価鉄に還元するためである。実施例2 実施例1と同様にして、塩化第一鉄を100ppmの濃度に溶解したメタノール溶液を用いて鉄イオンの除去を行い、吸光度分析によりその濃度は0.07ppmであった。実施例3 実施例1と同様にして同樹脂をカラム充填し、1M−炭酸ナトリウム水溶液1000mlを流して、同様に水洗し、陰イオン交換性樹脂の炭酸塩型(IRA900(CO3))とした。これを実施例1と同様にメタノールで置換しメタノール中の塩化第二鉄の除去を行い、吸光度分析によりその濃度は0.07ppmであった。実施例4 実施例1と同様にして同樹脂をカラム充填し、1M−酢酸ナトリウム水溶液1000mlを流して、同様に水洗し、陰イオン交換性樹脂の酢酸塩型(IRA900(CH3COO))とした。これを実施例1と同様にメタノールで置換しメタノール中の塩化第二鉄の除去を行い、吸光度分析によりその濃度は0.06ppmであった。実施例5 強塩基性陰イオン交換樹脂であるアンバーライトIRA904CL(ローム・アンド・ハース社製)を実施例1と同様にしてCL型樹脂をOH型に変換し、メタノールの代わりにNMPを用いてNMPに置換し、イオン交換樹脂カラムを準備した。アミノ基を有する芳香族化合物2,2−ビス(3’−アミノ−4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(日本化薬製)の精製前の金属不純物の多いもの(原子吸光分析による鉄分12ppm、還元に使用したパラジウム1.1ppm)100gをNMP1000mlに溶解し、SV1、0で流した。この溶液を2倍量の脱イオン水の中にあけて結晶を析出させ、濾過、洗浄後乾燥した。この乾燥サンプルを灰化し原子吸光分析による金属濃度を測定したところ鉄:0.03ppm、パラジウム:0.12ppmであった。実施例6 実施例5と同様にして得られたOH型のイオン交換樹脂をメタノール/NMP=50/50の混合溶媒で置換した樹脂100mlを準備した。次いで、1Lの四つ口フラスコにアミノ基を有する芳香族化合物9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンの精製前の金属不純物の多いもの(原子吸光分析による鉄分20ppm、還元に使用したパラジウム3.4ppm)100gを加えてメタノール/NMP=50/50の混合溶媒500mlに溶解した。ゆっくり撹拌しながら先に準備したイオン交換樹脂を加え3時間そのまま撹拌を続けた。イオン交換樹脂を濾過にて除き、濾液を2倍量の脱イオン水の中にあけて結晶を析出させ、濾過、洗浄後乾燥した。この乾燥サンプルを灰化し原子吸光分析による金属濃度を測定したところ鉄:0.11ppm、パラジウム:0.08ppmであった。実施例7 実施例5で用いた樹脂を同様にNMPに置換し、9,9−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン(日本化薬製)100gをNMP800mlに溶解し、塩化第二鉄を鉄イオンとして200ppmになるように溶解したNMP溶液200mlを添加した試料(鉄イオンとして溶液中濃度40ppm相当:鉄イオンにより濃青色に変化)を実施例5と同様に処理し、鉄分を測定したところ0.08ppmであった。有機溶媒溶液中の金属イオンを除去する際に強塩基性陰イオン交換樹脂の水酸基型あるいは弱酸塩型の樹脂を用いて除去する方法。有機溶媒溶液が不純物として金属イオンを含有するアミノ基を有する芳香族化合物を有機溶媒に溶解した溶液である請求項1に記載の金属イオンを除去する方法。アミノ基を有する芳香族化合物がアミノ基と水酸基を同一芳香核に有する芳香族化合物である請求項2に記載の金属イオンを除去する方法。有機溶媒がジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンからなる群から選ばれる1種以上である請求項1乃至3の何れか一項に記載の金属イオンを除去する方法。 【課題】有機溶媒中に存在する金属イオンの回収あるいは除去方法の開発。【解決手段】強塩基性陰イオン交換樹脂の水酸基型あるいは弱酸塩型を用いた有機溶媒中の金属イオンの除去方法であり、有機溶媒として不純物として金属イオンを含有するアミノ基を有する芳香族化合物を有機溶媒に溶解した溶液等があげられる。また前記アミノ基を有する芳香族化合物はアミノ基と水酸基を同一芳香核に有する芳香族化合物が、有機溶媒はジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドンがそれぞれ適用でき、ppmからppbオーダーまで有機溶媒溶媒中の金属濃度を下げることが可能である。【選択図】なし