タイトル: | 特許公報(B2)_プロテアーゼ活性を有する酵素 |
出願番号: | 2004052397 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12N 1/21,C12N 9/62,A21D 2/26,A23K 1/165,C12R 1/69,C12R 1/685 |
ダルベイエ,ヘンリック クリスタウ,ステファン アンデルセン,レネ,ノンボエ コフォーズ,レネ,ベンケ カウッピーネン,マークス,サカリ ニールセン,ジャック ベック ダンブマン,クラウス JP 4149941 特許公報(B2) 20080704 2004052397 20040226 プロテアーゼ活性を有する酵素 ノボザイムス アクティーゼルスカブ 500586299 石田 敬 100077517 鶴田 準一 100092624 渡辺 陽一 100117019 西山 雅也 100082898 樋口 外治 100081330 ダルベイエ,ヘンリック クリスタウ,ステファン アンデルセン,レネ,ノンボエ コフォーズ,レネ,ベンケ カウッピーネン,マークス,サカリ ニールセン,ジャック ベック ダンブマン,クラウス DK 0811/93 19930706 20080917 C12N 15/09 20060101AFI20080828BHJP C12N 1/21 20060101ALI20080828BHJP C12N 9/62 20060101ALI20080828BHJP A21D 2/26 20060101ALI20080828BHJP A23K 1/165 20060101ALI20080828BHJP C12R 1/69 20060101ALN20080828BHJP C12R 1/685 20060101ALN20080828BHJP JPC12N15/00 AC12N1/21C12N9/62A21D2/26A23K1/165 CC12N15/00 AC12R1:69C12N1/21C12R1:685C12N1/21C12R1:69C12N9/62C12R1:69 C12N 15/00−15/90 C12N 9/62 GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq PubMed 特開平05−068570(JP,A) 特開平05−068569(JP,A) Adv Exp Med Biol,1991年,306,259−263 Biosci Biotechnol Biochem,1995年,59,954−955 28 1995503763 19940705 2004236663 20040826 33 20040317 佐々木 大輔発明の分野 本発明はプロテアーゼ活性を有する酵素をコードするDNA 構築体、この酵素を製造する方法、プロテアーゼ活性を有する酵素及びこの酵素を含む酵素調製品に関する。発明の背景 プロテアーゼはペプチド結合で切断できる酵素である。酸性プロテアーゼ(即ち、酸性の至摘pHを有するプロテアーゼ)は哺乳動物及び微生物を含む多種多様な生物により生産されることが見い出されている。例えば、微生物の酸性プロテアーゼは、細菌株、例えばバチルス(Bacillus)種の株(JP O1240184)、菌類株、例えばリゾプス(Rhizopus)種の株(EP 72978)、シタリジウム(Schytalidium)種の株(JP 48091273)、スルホロブス(Sulpholobus)種及びサーモプラズマ(Thermoplasma)種の株(WO/9010072)、並びにアスペルギルス(Aspergillus)種の株(JP 50121486, EP 82395)により生産されることが見い出されている。 JP 3058794はR.ニベウス(R. niveus)由来の酸性プロテアーゼをコードする遺伝子のクローニング及びその組換発現を開示している。クリホネクチラ・パラシチカ(Cryhonectira parasitica)に由来するアスパラギン酸プロテアーゼをコードする遺伝子のクローニング及び発現がChoiら(1993)に記載されている。Takahashi ら(1991)、Inoue ら(1991)及びJP 40755586 は酸性プロテアーゼ(プロテアーゼA)をコードするアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)からの遺伝子のクローニングを開示している。 Berka ら(1990)のアスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)からのアスパラギン酸プロテアーゼ、アスペルギロペプシンAをコードする遺伝子を開示している。アスペルギルス・オリザ(A. oryzae)からのアスパラギン酸プロテアーゼ、アスペルギロペプシンOをコードする遺伝子のクローニングがBerka ら(1993)により述べられている。アスペルギルス・オリザからの酸性プロテアーゼ(PEPA)をコードする遺伝子のクローニングはGomiら(1993)により開示されている。 酸性プロテアーゼは工業的に、例えば食品及び飼料の製造において、革産業(例えば獣皮の脱毛)において、タンパク質加水分解物の製造において、並びにワインの製造及び醸造産業において幅広く利用されている。 様々な用途、特に食品及び飼料産業において、単一成分の酸性プロテアーゼの要望がある。発明の概要 本発明の目的は単一成分プロテアーゼを製造することにある。 従って、第一の観点において、本発明はプロテアーゼ活性を示す酵素をコードするDNA 配列を含んで成るDNA 構築体に関連し、このDNA 配列はSEQ ID No.1に示すDNA 配列又はSEQ ID No.1に示すDNA 配列と80%以上相同であるその類似配列を含んで成る。 第二の観点において、本発明はプロテアーゼ活性を示す酵素をコードするDNA 配列を含んで成るDNA 構築体に関連し、このDNA 配列はSEQ ID No.2に示すDNA 配列又はSEQ ID No.2に示すDNA 配列と80%以上相同であるその類似配列を含んで成る。 SEQ ID No.1に示すDNA 配列は、以降の開示においてプロテアーゼIと呼んでいる酵素をコードする。SEQ ID No.2に示すDNA 配列によりコードされる酵素はプロテアーゼIIと呼ぶ。 データーベース相同性サーチにより、SEQ ID No.1及び2に示すDNA 配列は一般的に新規であることが見い出された。SEQ ID No.1に示すDNA 配列の、公知のプロテアーゼ遺伝子との最大の相同性は、アスペルギルス・ニガー(A. niger)酸性プロテイナーゼAに対する74.7%であることが見い出させ、 538個のヌクレオチドの重複が認められた。プロテイナーゼIIに対する最大の相同性はアスペルギルス・オリザ アスペルギロペプシンOに対する75.5%であることが見い出され、 343個のヌクレオチドの重複が認められた。 更なる観点において、本発明は本発明のDNA 構築体を有する発現ベクター、このDNA 構築体又は発現ベクターを含んで成る細胞、及びプロテアーゼ活性を示す酵素を製造する方法に関する。この方法は、前記細胞を、この酵素の生産を可能とする条件下で培養し、そしてその培養物からこの酵素を回収することを含んで成る。 更なる別の観点において、本発明はプロテアーゼ活性を示す酵素に関連し、この酵素は上記の本発明のDNA 構築体によりコードされるものであるか、又は本発明の方法により製造されたものである。 更なる重要な観点において、本発明はプロテアーゼ活性を有する酵素であって、 7.0以下のpH及び3%以下の過酸化水素の存在下で活性である酵素に関する。本明細書において、酵素について用いている「活性」なる語は、その酵素が上述の条件、例えば本明細書の実施例5に記載の条件下で基質を加水分解できる酵素を意味することを意図している。 7.0 以下のpH及び3%以下の過酸化水素の存在下で活性であり、且つ実施例5に特定する条件下でレンズから80%以上のリゾチームを除去する本発明の酵素を以下の開示において「H2O2・安定性プロテアーゼ」と呼ぶ。この酵素は一般に新規であると信じられている。 また、本発明はプロテアーゼ活性を有する酵素であって、 7.0以下のpHで活性であり、且つPhe-Val 又はLys-Tyr 結合に対して特異的である酵素を提供する。「特異的」なる語は、その酵素が、基質がウシのグルカゴンであるときに、これらの結合を主として切断することを意味することを意図している。 本明細書に記載のプロテアーゼI及びプロテアーゼIIは本発明の酵素の好適な例である。これらの酵素は酸性プロテアーゼ、即ち、酸性の至摘pHを有するプロテアーゼであることが見い出されている。 本発明により、高純度、即ち、本明細書の材料と方法の章に記載のSDS ゲル電気泳動による決定に従い純度75%以上、そしてより好ましくは純度90%以上であるプロテアーゼを提供することが可能である。 最後の観点において、本発明は本発明の酵素を含んで成る酵素調製品、及びタンパク質含有物質の改変又は分解を所望する様々な目的のための酵素又は酵素調製品の利用に関する。発明の詳細な説明本発明のDNA 構築体、ベクター及び方法 本明細書において、本発明のDNA 構築体を定義するために用いている「類似体」なる語は、プロテアーゼ活性を有する酵素をコードし、且つSEQ ID No.1又は2のそれぞれに示しているDNA 配列と80%以上相同である任意のDNA 配列を含むものと理解される。類似なDNA 配列は、以下に記載の条件下でプロテアーゼ酵素をコードするDNA と同一のプローブにハイブリダイズするDNA 配列でありうる:5XのSSC の中での予備浸漬及び5XのSSC 、5XのDenhardt、50mMのリン酸ナトリウム、pH6.8 及び50μgの変性音波処理牛胸腺DNA 溶液中での1hで約55℃でのプレハイブリダイジング、それに続く50μCiの32-P-dCTP ラベル化プローブの添加された同一の溶液の中での18hで約55℃でのハイブリダイゼーション、それに続く2XのSSC 、 0.2%のSDS での55℃で30分の3回の洗浄。類似のDNA 配列はSEQ ID No.1又は2に示す配列と90%以上相同であることが好ましく、その配列と95%以上相同であることが好ましい。 類似のDNA 配列は、例えば、別の生物から単離されたものであるか、又はSEQ ID No.1もしくは2に示すDNA 配列をもとに、例えば別のプロテアーゼアミノ酸配列をもたらすことはないが、このDNA構築体を導入する宿主生物のコドン用法に対応するヌクレオチド置換、又は異なるアミノ酸配列をもたらし、それ故、可能としては、天然酵素とは異なる特性を有するプロテアーゼ突然変異体をもたらしうる別のタンパク質構造をもたらすヌクレオチド置換により調製されたものであってよい。可能な改変のその他の例は、その配列への1もしくは複数個のヌクレオチドの挿入、その配列のいづれかの末端への1もしくは複数個のヌクレオチドの付加、又はその配列のいづれかの末端もしくは配列内での1もしくは複数個のヌクレオチドの欠失である。 更に、類似のDNA 配列によりコードされるプロテアーゼはSEQ ID No.1もしくは2に示すDNA 配列によりコードされる精製プロテアーゼに対して生起した抗体と免疫学的に交差反応性である。 SEQ ID No.1に示すDNA 配列の類似体がハイブリダイズすることのできうるヌクレオチドプローブは、例えば以下の任意のDNA 配列又は任意のそれらの組合せをもとに調製できうる:(a) AATTAAGCAT CCTCCATCTT(b) CAAAGCTCAA TCTCGCTAAC(c) TCCCGCTCTT CTCTCGATCT(d) CATCATCCCA ATAACTCGGA(e) CAAAATGAAG ACCTCTGCTC(f) TCTTGACCGC TGGCCTGTTG(g) GCACCGCTGC TATTGCTGCT(h) CCTCTCACCG CGAAGCGCGC(i) ACGTGCTCGC GCTGCCAAGC(j) TGGCACCAGC CGCAAGAGCA(k) AGGGGGGTCT CAAGCCCGGC(l) ACCCAGCGAG GCCATAACCT(m) GACCGGCTCC AAGAACACCG(n) GAGGTACTCG TCCAACTGGG(o) CCGGCGCCGT GCCAT(p) AATTAAGCAT CCTCCATCTT CAAAGCTCAA TCTCGCTAAC TCCCGCTCTTCTCTCGATCT CATCATCCCA ATAACTCGGA CAAAATGAAG ACCTCTGCTCTCTTGACCGC TGGCCTGTTG GCACCGCTGC TATTGCTGCT CCTCTCACCGCGAAGCGCGC ACGTGCTCGC GCTGCCAAGC TGGCACCAGC CGCAAGAGCAAGGGGGGTCT CAAGCCCGGC ACCCAGCGAG GCCATAACCT GACCGGCTCCAAGAACACCG GAGGTACTCG TCCAACTGGG CCGGCGCCGT GCCAT これらの配列はSEQ ID No.1に示すDNA 配列又はかかる配列の類似体の部分配列を構成する。 SEQ ID No.2に示すDNA 配列の類似体とハイブリダイズすることのできるヌクレオチドプローブは、例えば任意の以下のDNA 配列又は任意のそれらの組合せをもとに調製できうる:(p1) CTGCTTCTCC TTCTCTTCCT(q) CCTCGTGATA TCTGCTTGAA(r) CATCTCCTCA TCATGGTCGT(s) CCTCAACAAG GTGCAGCCTT(t) CTTCTGGGTC TGACCACCGC(u) CGCCACTGGT CCCCTGGCCG(v) AGCCGCAGGC TTCTGTCCGG(w) TCAAGAACTT CTCCGTCAAG(x) CAGGTCGAGA AGGCGGGCAG(y) CAAGGGACGT ACCGTTAACC(z) TGCCGGGTCT GTATGCGAAT(aa) GCGCTGGCCA AGTATGGCGC(bb) CCAGGTGCGG CCAGCGTCAA(cc) GGCCGCCGCC GTCAGTGGCA(dd) GCGTCGTGAC CACCCGCAGG CCAACGACG(ee) CTGCTTCTCC TTCTCTTCCT CCTCGTGATA TCTGCTTGAA CATCTCCTCATCATGGTCTG CCTCAACAAG GTGCAGCCTT CTTCTGGGTC TGACCACCGCCGCCACTGGT CCCCTGGCCG AGCCGCAGGC TTCTGTCCGG TCAAGAACTTCTCCGTCAAG CAGGTCGAGA AGGCGGGCAG CAAGGGACGT ACCGTTAACCTGCCGGGTCT GTATGCGAAT GCGCTGGCCA AGTATGGCGC CCAGGTGCGGCCAGCGTCAA GGCCGCCGCC GTCAGTGGCA GCGTCGTGAC CACCCGCAGG CCAACGACG これらの配列はSEQ ID No.2に示すDNA 配列又はかかる配列の類似体の部分配列を構成する。 本発明のDNA 配列は以下を包括する一般方法により単離されうる:−適当なベクターの中で、アスペルギルス・アキュレアトゥス(A. aculeatus)由来のDNA ライブラリーをクローニングする、−このベクターで適当な酵母宿主細胞を形質転換させる、−この宿主細胞を、このDNA ライブラリー中のクローンによりコードされる任意の課題の酵素を発現させる適当な条件下で培養する、そして−かかるクローンにより生産される酵素の任意のプロテアーゼ活性を決定することにより、陽性クローンをスクリーニングする。 このスクリーニング法のより詳細な説明は以下の実施例1及びその内容を引用することで本明細書に組入れるWO93/11249に示す。 酵素をコードするDNA 配列は例えば、アスペルギルス・アキュレアトゥス、例えばCentraalbureau voor Schimmelcutures, Delft,NLより公共的に入手できる株CBS 101.43のcDNAライブラリーをスクリーニングし、そして適度な酵素活性(即ち、タンパク質及びペプチドにおけるペプチド結合を加水分解する酵素の能力により規定されるプロテアーゼ活性)を示すクローンを選別することにより単離されうる。適切なDNA 配列は標準の手順、例えば実施例1に記載の通りにして、クローンから単離されうる。 同族酵素をコードするDNA 配列、即ち、類似のDNA 配列は、別の微生物、詳しくは菌類、例えば別のアスペルギルス種の株、特にA.アキュレアトゥスもしくはA.ニガーの株、トリコデルマ(Trichoderma)種の株、特にT.ハージアヌム(T. harzianum)もしくはT.リージー(T. reesie)の株、フサリウム(Fusarium)種の株、特にF.オキシスポルム(F. oxysporum)の株、リゾプス(Rhizopus)種の株、例えばR.ニベウス(R. niveus)の株、シリタリジウム種の株、又はヒュミコラ(Humicola)種の株のcDNAライブラリーを同様にスクリーニングすることにより誘導できうるものと予測される。 他方、本発明のDNA 配列は、公知の手順に従って、本明細書に開示するDNA 配列をもとに調製した合成オリゴヌクレオチドプローブの利用により、適当な生物由来のDNA から簡単に単離できうる。例えば、適切なオリゴヌクレオチドプローブは任意の上記の部分ヌクレオチド配列をもとに調製できうる。 このDNA 配列を次に組換発現ベクターの中に挿入できる。これは組換えDNA 手順に簡単にかけることのできうる任意のベクターであってよく、そしてベクターの選択は往々にしてそれを導入する宿主細胞に依存するであろう。即ち、このベクターは自己複製式ベクター、即ち、染色体外質として存在し、その複製は染色体の複製とは独立しているベクター、例えばプラスミドであってよい。他方、このベクターは、宿主細胞の中に導入したときに、その宿主細胞ゲノムの中に組込まれ、そしてそれが組込まれた染色体と一緒に複製されるものであってよい。 ベクターにおいて、このプロテアーゼをコードするDNA 配列は適当なプロモーター及びターミネーター配列に作動連結されているべきである。このプロモーターは選択した宿主細胞の中で転写活性を示す任意のDNA 配列であってよく、そしてその宿主細胞にとって内性又は外性のいづれかであるタンパク質をコードする遺伝子に由来しうる。このプロテアーゼをコードするDNA 配列、プロモーター及びターミネーターをそれぞれライゲーションするのに用いる手順並びにそれらを適当なベクターの中に挿入するのに用いる手順は当業者に公知である(例えば、Sambrookら、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor, NY, 1989を参照のこと)。 本発明の酵素をコードするDNA 配列により形質転換させる宿主細胞は真核細胞、特に菌類細胞、例えば酵母又は糸状菌細胞であることが好ましい。特に、この細胞のアスペルギルスの種に属し、最も好ましくはアスペルギルス・オリザ又はアスペルギルス・ニガーである。菌類細胞は、公知の方法での、プロトプラストの形式、及びそのプロトプラストの形質転換、それに続くその細胞壁の再生を包括する方法により形質転換されうる。宿主微生物としてのアスペルギルス・オリザの利用はEP 238,023 (Novo Noridisk A/S)に記載され、その内容は引用することで本明細書に組入れる。この宿主細胞は酵母細胞、例えばサッカロマイセス(Saccharomyces)の株、特にサッカロマイセス・セレビジエ(S. cerevisiae)、サッカロマイセス・クルイベリ(S. kluyveri)もしくはサッカロマイセス・ウバルム(S. uvarum)、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)種の株、例えばシゾサッカロマイセス・ポンベ(S.ポンベ)、ハンセヌラ(Hansenula)種、ピチア(Pichia)種、ヤロイア(Yarrowia)種の株、例えばヤロイア・リポリチカ(Y. lipolytica)、又はクルイベロマイセス(Kluyveromyces)種、例えばクルイベロマイセス・ラクチス(K. lactis)であってもよい。 更なる観点において、本発明はプロテアーゼ活性を有する酵素を製造する方法に関連し、その方法においてはこの酵素をコードする本発明のDNA 構築体により形質転換された適当な宿主細胞を、この酵素の生産を可能とする条件下で培養し、そして得られる酵素をその培養物から回収する。 この形質転換宿主細胞を培養するのに用いる培地は注目の宿主細胞を増殖するのに適当な適当な任意の慣用の培地であってよい。発現したプロテアーゼは好都合には培養培地に分泌され、そしてそれから、遠心又は濾過によりその培地から細胞を分離させ、硫酸アンモニウムの如くの塩によりその培地のタンパク質性成分を沈殿させ、次いでイオンクロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等の如くのクロマトグラフィー手順を行うことを含む公知の手順により、回収できうる。本発明の酵素 好ましくは、本発明のプロテアーゼ(例えばH2O2安定性又はLys-Tyr もしくはPhe-Val 特異的プロテアーゼ)は2〜7の範囲のpH、例えば 6.0以下のpH、例えば2〜6の範囲のpH、そして最も好ましくは4〜6のpH範囲において活性である。 この両酸性プロテアーゼは0.01〜5%の過酸化水素、例えば 0.1〜5%, 0.5〜4%,1〜4%、又は2〜3%の過酸化水素の存在下で活性であり、そしてコンタクトレンズの洗浄に適用できることが理解されるであろう。 本発明のH2O2−安定プロテアーゼの好適な例は、SEQ ID No.1に示すDNA 配列又はこのDNA 配列と80%以上相同である上記したその類似体によりコードされる酵素である。 本発明のLys-Tyr 又はPhe-Val 特異的プロテアーゼの好適な例はSEQ ID No.2に示すDNA 配列又はこのDNA 配列と80%以上相同である上記したその類似体によりコードされる酵素である。 本発明の酵素のアスペルギルス・アキュレアトゥスCBS 101.43に由来する精製酵素に対して生起させた抗体と免疫学的に反応性であることが好ましく、そしてSEQ ID No.1又は2に示すDNA 配列によりコードされる。本明細書において、「由来する」なる語は株CBS101.43により生産されるプロテアーゼを意味するだけでなく、株CBS 101.43から単離され、且つ前記DNA 配列により形質転換された宿主生物において生産されたDNA 配列によりコードされるプロテアーゼも意味する。 本発明のH2O2安定プロテアーゼ及びLys-Tyr 又はPhe-Val 特異的プロテアーゼは共に菌類種アスペルギルス・アキュレアトゥスの株から獲得できるが、かかる酵素は同様にその他の生物、特に微生物からも獲得できると考えられる。 即ち、本発明の酵素は好ましくは細菌又は菌類、例えばアスペルギルス、リゾプス、トリコデルマ、例えばT.リージー又はT.ハージアヌム、ペニシリウム(Penicillium)、フサリウム、シタリシウム又はヒュミコラ、例えばH.インソレンスもしくはH.ラヌギノーザ(H. lanuginosa)の株、あるいはバチルスの株から獲得できる。 アスペルギルス種の例には、A.ニガー、A・オリザ又はA.アキュレアトゥス、例えばA.アキュレアトゥスCBS 101.43が含まれる。 更なる別の観点において、本発明はプロテアーゼ含有材料の分解又は改変にとって有用な酵素調製品に関連し、この調製品は上記のプロテアーゼ活性を示す酵素に富んでいる。 本発明の酵素に富む酵素調製品は例えば複数種の酵素活性体を含んで成る酵素調製品、特に複数種の植物細胞壁分解酵素を含んで成る酵素調製品、例えばPectinase(商標)、Pectinex Ultra SP(商標)、ガマナーゼ、セルクラストもしくはセルザイム、又はプロテアーゼ及び/もしくはエキソペプチダーゼ含有酵素調製品、例えばNeutrase(商標)、Alcalase(商標)もしくはFlavourzyme(商標)(全てNovo Nordisk A/Sより入手可能)でありうる。本明細書において、「富む」なる語は、この酵素調製品のプロテアーゼ活性が上記の方法により調製される本発明の酵素の添加により、例えば少なくとも 1.1倍の富化係数により高められていることを意味することを意図している。 他方、プロテアーゼ活性を示す酵素に富むこの酵素調製品は、主要酵素成分として本発明の酵素を含んで成るもの、例えば単一成分酵素調製品であってよい。 この酵素調製品は当業界に公知の方法に従って調製でき、そして液体又はドライ調製品の形態であってもよい。例えば、この酵素調製品は顆粒又は微顆粒の形態であってよい。この調製品に含ませるべき酵素は当業界に公知の方法に従って安定化されうる。 本発明に係る酵素調製品は植物の細胞壁の分解又は改変のための試薬として使用されうる。エクステンシンの如くの一部のタンパク質は植物細胞壁の成分である。従って、プロテアーゼは植物細胞壁の分解又は改変を促進するであろう。かかるプロテアーゼを含む植物細胞壁分解用酵素調製品は、オリーブ及びナタネの如くの植物源からの油の抽出又はリンゴ、ナシ及びかんきつ類の如くの様々な果実からの果汁の生産の如くの多種多様な用途のために利用されうる。 この酵素調製品は更に1又は複数種のその他の植物細胞壁分解酵素、例えばペクチンリアーゼ、ペクテートリアーゼ、エンドグルカナーゼ、アラビナナーゼ、キシラナーゼ、グルカナーゼ、ガラクタナーゼ、マンナナーゼ、α−ガラクトシダーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ペクチンアセチルエストラーゼ、ポリガラクツロナーゼ、プロテアーゼ、エキソペプチダーゼ又はペクチンメチルエステラーゼを含みうる。この調製品は更に上記のエンド酵素と同じ基質に対してエクソ活性を示す1又は複数種の酵素を含みうる。本発明に係るプロテアーゼは数多くのその他の細胞壁分解酵素と同じpH及び温度条件で働き、そしてそれ故かかる用途に極めてよく適合する。 更なる酵素はアスペルギルス属に属する微生物、好ましくはアスペルギルス・アキュレアトゥス、アスペルギルス・アワモリもしくはアスペルギルス・オリザ、又はトリコデルマにより生産されうる。 本発明に係る酵素調製品はワイン産業においても、濁りを防止するため又は濁りを溶かすために利用でき、なぜなら往々にしてタンパク質が望ましくない濁りの形成に関与しているからである。本発明に係るプロテアーゼはワインの発酵及び熟成下の条件下で活性であり、それ故この用途にとって極めて有用である。 本発明の酵素又は酵素調製品は、いわゆるハード・フラワーの軟化を獲得するためにフラワーのグルテン成分を虚弱化させる等のため、ベーキングにおいて利用されうる。ウイーク(虚弱)フラワーの利用は、非常に伸長であり、且つ弾性でないものでなければならない練り製品の製造、例えば押出ベークド製品、ビスケット及びその他の製品であって輸送及びベーキングの際にそのもとの形態が保たれていなければならない製品の製造にとって重要である。本発明のプロテアーゼはフラワーの虚弱化のために慣用的に使用されている剤、例えばメタ亜硫酸ナトリウム(SMS)に対する所望の代替品を成す。 SMSの利用は潜在的な健康に対する危険性を理由に望ましくないと考えられている。 このプロテアーゼ調製品はタンパク質の消化性を高めるために食品及び飼料産業においても利用できうる。例えば、この酵素又は酵素調製品は動物飼料に加えるか、又は動物飼料を加工するのに用いられうる(特に、家豚又は家禽)。これにより、飼料の成分の消化性は高まり、動物の成長率及び飼料利用率の向上がもたらされる。Brenesら(1993)を参照のこと。 更に、本発明の酵素又は酵素調製品は例えば植物タンパク質、例えばダイズ(soy)、エンドウマメ(pea)、ハウチワマメ(lupin)及びナタネ(rape)の種子タンパク質、乳製品、例えばカゼイン、食肉タンパク質又は魚類タンパク質由来のタンパク質加水分解物を作るのに有用でありうる。このプロテアーゼは、食品、飼料又はデジカル製品を作るために、溶解度、粘稠度、味又は発酵性を高めるため、抗原性を下げるため、又はその他の目的のために、タンパク質加水分解物に利用されうる。このプロテアーゼは単独で、又はその他のプロテアーゼと共に、もしくはエキソペプチダーゼの如くのその他の酵素と共に利用できうる。本発明のプロテアーゼの、エキソペプチダーゼに富む酵素調製品との一緒での利用はタンパク質加水分解物の味をよくするであろう。 このプロテアーゼ調製品はタンパク質を改変するため、例えばタンパク質に原因する又はある程度原因する粘性の低下のためにも利用できうる。かかる粘性の問題はダイズ及びエンドウマメの如くの様々なタンパク質含有植物材料の加工において公知である。 更に、この酵素又は酵素調製品は魚類又は肉類の加工において、例えば歯ごたえ及び/又は粘性を変えるために用いられうる。 このプロテアーゼ調製品は発酵プロセス、例えば大麦、麦芽及びその他のビールの如くの製品のための原材料の酵母発酵を促進するのにも利用できうる。 更に、本発明の酵素又は酵素調製品は革産業において、例えば獣皮からの脱毛において有用でありうる。このプロテアーゼの低い至摘pHは有利であり、なぜならその後の獣皮のなめし作業は酸性の条件で行われるからである。このプロテアーゼ調製品はタンパク質からのペプチドの製造にとって有用であり、この場合、その他のタンパク質分解活性物を本質的に含まないクローニングされた酵素を利用することが好都合である。 更に、このプロテアーゼ調製品は様々な製品の精製を助長するもしくは品質を向上するために、例えばガム、例えばグアーガム、キサンタンガムの精製を助長するもしくは品質を向上するため、絹の脱ガムのため、又は羊毛の品質向上のために、タンパク質を分解するのに使用されうる。 過酸化水素に対する安定性のため、本発明の両プロテアーゼはコンタクトレンズの洗浄、及びタンパク質含有材料を除去するため過酸化水素の利用を包括するその他の用途のために極めて有用である。 以上の用途のため、本発明の酵素調製品の用量及びこの調製品を使用するためのその他の条件は当業界に公知の方法に基づいて決定されうる。 本発明を以下の実施例において更に詳しく説明し、ここでこれらは本発明の範囲を限定するものではない。材料と方法ドナー生物:mRNAは、ダイズ含有発酵培地の中で、十分な通気を保証するための撹拌を伴って増殖させたアスペルギルス・アキュレアトゥスCBS 101.43から単離した。菌糸を3〜5日間の増殖後に回収し、液体窒素の中で急速凍結し、そして−80℃で保存した。酵母株:使用したサッカロマイセス・セビジエ株はyNG231 (MAT アルファ、 leu2, ura3-52, his4-539, pep4−デルタ1、cir+)又はJG169 (MATα;ura 3-52;leu 2-3, 112;his 3-D200;pep 4-113; prcl::HIS3;prb1::LEU2;cir+)とした。プラスミド:酵母TPI プロモーターを含む発現プラスミドpYHD17は市販のプラスミドpYESII(Invitrogen)から調製した。プラスミド及びその構築は、その内容を引用することで本明細書に組入れるWO93/11249に更に説明してある。アスペルギルス発現ベクターpHD414はプラスミドp775 (EP 238023に記載)の誘導体である。pHD414の構築はWO93/11249に更に説明してある。pHD414はA.ニガーグルコアミラーゼターミネーター及びA.オリザTAKAアミラーゼプロモーターを含む。全RNA の抽出:全RNA は、Chirgwinら1979及びWO93/11249に本質的に記載の通りの、グアニジニウムチオシアネートによる抽出、それに続く 5.7Mのクッションによる超遠心により調製した。ポリ(A)+ RNA の単離:ポリ(A)+ RNA はオリゴ(dT)セルロースアフィニティークロマトグラフィー(Aviv & Leder, 1972)により単離した。一般には、 0.2gのオリゴ(dT)セルロース(Boehringer Mannheim)を10mlの1Xのカラム装填バッファー(20mMのトリス−Cl、pH7.6 、 0.5MのNaCl、1mMのEDTA、 0.1%のSDS)の中で予備膨潤させ、DEPC処理した栓付きプラスチックカラム(Poly Prep Chromatography Calumn, Bio Rad)に載せ、次いで20mlの1Xの装填バッファーで平衡化させた。全RNA を65℃で8min 加熱し、氷の上で5min 急冷し、そして1vol の2Xのカラム装填バッファーをRNA サンプルに加えた後、カラムの上に載せた。その溶出液を回収し、そして各装填の前にそのサンプルを上記の通りに加熱し、次いで氷の上で急冷して、2〜3回再装填した。このオリゴ(dT)カラムを10vol の1Xの装填バッファー、次いで3vol のメディウム塩バッファー(20mMのトリス−Cl、pH7.6 、 0.1MのNaCl、1mMのEDTA、 0.1%のSDS)で洗い、次いで65℃に予備加熱しておいた3vol の溶出バッファー(10mMのトリス−Cl、pH7.6 、1mMのEDTA、0.05%のSDS)によりポリ(A)+ RNA を 500μlづつの画分を回収しながら溶出させた。そのOD260 を各回収画分について測定し、そしてmRNA含有画分をプールし、そして−20℃で12hかけてエタノール沈殿させた。ポリ(A)+ RNA を遠心により回収し、DEPC-DIWに再懸濁し、そして5〜10μgのアリコートとして−80℃で保存した。ノーザンブロット分析:様々な菌糸由来のポリ(A)+ RNA(5μg/サンプル)を 1.2アガロース− 2.2Mホルムアルデヒドゲル(Sambrookら、1989)で電気泳動させ、次いで10XのSSC(Sambrookら、1989)をトランスファーバッファーとして用いてナイロン膜(Hybond-N, Amersham)にブロットした。3種のランダムプライムした(Feinberg & Vogelstein, 1983)32P−ラベル化cDNAプローブを個々のハイブリダイゼーションに用いた:1)A.アキュレアトゥス由来のポリガラクツロナーゼのための 1.3kbのNot I−Spe Iフラグメント、2)A.アキュレアトゥス由来のエンドグルカナーゼIをコードする 1.3kbのNot I−Spe Iフラグメント、及び3)A.アキュレアトゥス由来のガラクタナーゼをコードする 1.2kbのEag Iフラグメント。ノーザンハイブリダイゼーションは5XのSSC(Sambrookら、1989)、5XのDenhardt溶液(Sambrookら、1989)、 0.5%のSDS(w/v)及び 100μg/mlの変性サク精子DNA の中で、約2ng/mlのプローブ濃度で65℃で16h行い、次いで65℃で5XのSSC(2×15min)、2XのSSC 、 0.5%のSDS(1×30min)、 0.2XのSSC 、 0.5%のSDS(1×30min)及び5XのSSC(2×15min)で洗った。−80℃で12hオートラジオグラフィーにかけた後、プローブ#1をフィルターからその製造者の仕様書に従って除去し、そしてプローブ#2と再ハイブリダイズさせ、そして最後にプローブ#3と再ハイブリダイズさせた。Bethesda Research Laboratories由来のRNAラダーをサイズマーカーとして用いた。cDNA合成:第一鎖の合成:二本鎖cDNAを5μgのA.アキュレアトゥスポリ(A)+ RNA から、RNase H 法(Gubler & Hoffman 1983, Sambrookら1989)により、ヘアーピン改良を利用して合成した。ポリ(A)+ RNA(5μlのDEPC処理中で5μg)を70℃で8min 加熱し、氷の上で急冷し、そして1mMづつのdNTP(Pharmacia)、40ユニットのヒト胎盤リボヌクレアーゼインヒビター(RNasin, Promega)、10μgのオリゴ(dT)12-18プライマー(Pharmacia)及び1000ユニットのSuper ScriptII RNase H−逆転写酵素(Bethesda Research Laboratories)を含む逆転写酵素バッファー(50mMのトリス−Cl、pH8.3 、75mMのKCl 、3mMのMgCl2 、10mMのDTT ; Bethesda, Research Laboratories)により50μlの最終容量となるように混合した。第一鎖cDNAは反応混合物を45℃で1hインキュベートすることにより合成した。第二鎖の合成:合成後、30μlの10mMのトリス−Cl、pH7.5 、1mMのEDTAを加え、そしてmRNA:cDNAハイブリドを、40μgのグリコーゲン担体(Buehringer Mannheim)、0.2volの10MのNH4Ac 及び2.5volの96%のEtOHの添加により、−20℃で12hエタノール沈殿させた。そのハイブリドを遠心に回収し、70%のEtOHで洗い、風乾し、そして 100μMづつのdNTP、44ユニットのE.コリ (E. coli) DNAポリメラーゼI(Amersham)、6.25ユニットのRNase H (Bethesda Research Laboratories)及び10.5ユニットのE.コリ DNAリガーゼ(New England Biolabs)を含む 256μlの第二鎖バッファー(20mMのトリス−Cl、pH7.4 、90mMのKCl 、 4.6mMのMgCl2 、10mMの(NH4)2SO4、16μMのβ NAD+ ) に再懸濁させた。第二鎖cDNA合成はこの反応チューブを16℃で3hインキュベートし、そしてその反応を20mMの最終濃度となるEDTAの添加により停止させ、次いでフェノール抽出した。マング・ビーンヌクレアーゼ処理:二本鎖(ds)cDNAを2vol の96%のEtOH、0.1volの3MのNaAc、pH5.2 の添加により−20℃で12hエタノール沈殿させ、遠心により回収し、70%のEtOHで洗い、乾かし(Speed Vac)、そして36ユニットのマング・ビーンヌクレアーゼ(Bethesda Research Laboratories)を含む30μlのマング・ビーンヌクレアーゼバッファー(30mMのNaAc、pH4.6 、 300mMのNaCl、1mMのZnSO4 、0.35mMのDTT 、2%のグリセロール)に再懸濁した。一本鎖ヘアーピンDNA を、その反応物の30℃で30min のインキュベーション、それに続く70μlの10mMのトリス−Cl、pH7.5 、1mMのEDTAの添加、フェノール抽出、並びに2vol の96%のEtOH及び0.1volの3NのNaAc、pH5.2 による−20℃で12hのエタノール沈殿によりクリップした。T4 DNAポリメラーゼによる平滑末端化:ds cDNA を 0.5mMづつのdNTP及び 7.5ユニットのT4 DNAポリメラーゼ(Invitrogen)を含む50μlのT4 DNAポリメラーゼバッファー(20mMのトリス−アセテート、pH7.9 、10mMのMgAc、50mMのKAc 、1mMのDTT)の中で、その反応混合物を37℃で15min インキュベートすることにより平滑末端化した。その反応を20mMの最終濃度となるEDTAの添加により停止させ、次いでフェノール抽出及びエタノール沈殿を行った。アダプターライゲーション及びサイズ選別:フィル・イン反応の後、cDNAを非パリンドロームBstXIアダプターに、 600pmolのBstXIアダプター及び5ユニットのT4リガーゼ(Invitrogen)を含む30μlのライゲーションバッファー(50mMのトリス−Cl、pH7.8 、10mMのMgCl2 、10mMのDTT 、1mMのATP 、25μg/mlの牛血清アルブミン)の中で、その反応混合物を16℃で12hインキュベートすることによりライゲーションした。その反応は70℃で5min 加熱することにより停止させ、そしてアダプター付きcDNAをアガロースゲル電気泳動(0.8%の HSB−アガロース、FMC)によりサイズ分画して、ライゲーションしていないアダプター及び小cDNAで分離させた。このcDNAを 0.7kbのカットオフ値でサイズ選別し、そしてそのcDNAをアガロースゲルから、10mMのトリス−Cl、pH7.5 、1mMのEDTAの中で 100ボルトで1hかけて電気溶離させ、フェノール抽出し、そして上記のようにして−20℃で12hエタノール沈殿させた。cDNAライブラリーの構築:アダプター付きのds DNAを遠心により回収し、70%のEtOHで洗い、そし25mlのDIW に再懸濁させた。大スケールライブラリーライゲーションの前に、それぞれ1μlのds cDNA(反応チューブ#1−#3)、2ユニットのT4リガーゼ(Invitrogen)及び50ng(チューブ#1),100ng(チューブ#2)及び200ng(チューブ#3及び#4)のBstXI切断酵母発現ベクターのpYES 2.0ベクター(Invitrogen)又は yHD17のいづれか、を含む10μlのライゲーションバッファー(先と同じ)の中で4通りの試験ライゲーションを行った。ライゲーション反応は16℃で12hのインキュベーション、70℃で5min の加熱により行い、そして1μlづつのライゲーションを40μlのコンピテントE.コリ1061細胞(OD 600= 0.9/1リットルのLB培地;冷DIW で2回、20mlの10%のグリセロールで1回洗い、2mlの10%のグリセロールに再懸濁) にエレクトロポレーションさせた(200Ω,2.5kV, 25μF)。各形質転換混合物に1mlのSOC を添加した後、細胞を37℃で1h増殖させ、50μlをLB+アンピシリンプレート(100μg/ml)でプレート培養し、そして37℃で12h増殖させた。 最適な条件を利用し、大スケールライゲーションを、9ユニットのT4リガーゼを含む40μlのライゲーションバッファーの中で設定し、そしてその反応物を16℃で12hインキュベートした。そのライゲーション反応を70℃で5min 加熱することにより停止させ、−20℃で12hかけてエタノール沈殿させ、遠心により回収し、そして10μlのDIW に再懸濁した。1μlのアリコートをエレクロトコンピテントE.コリ1061細胞の中に、上記と同じエレクトロポレーション条件を利用して形質転換させ、そしてその形質転換細胞を力価検定し、そしてライブタリーを5000〜7000c.f.u./プレートでLB+アンピシリンプレート上でプレート培養した。各プレートに3mlの培地を加えた。細菌をかき取り、1mlのグリセロールを加え、そしてプールとして−80℃で保存した。残りの2mlをDNA 単離のために用いた。DNA の量が必須の数の酵母形質転換体をもたらすのに足りないときは、大スケールDNA を50μlの−80℃の細菌ストックで接種して一夜増殖させた 500mlの培地(TB)から調製した。酵母ライブラリーの構築:酵母中の全ての細菌クローンが試験されることを保証するため、オリジナルのプール中の細菌クローン数より5倍多い数の酵母形質転換体をリミットとして用意した。 個々のプール由来の1μlのアリコートの精製プラスミドDNA (100ng/μl)を40μlのコンピテントS.セレビジエJG169 細胞 (OD 600= 1.5/500ml のYPD ; 冷DIW で2回、冷1Mのソルビトールで1回洗い、 0.5mlの1Mのソルビトールに再懸濁;Becker & Guarante, 1991)にエレクトロポレーションした(200Ω,1.5kV, 25μF)。1mlの1Mの冷ソルビトールの添加後、 250〜400c.f.u/プレートとなるように80μlのアリコートをSC+グルコース−ウラシル上でプレート培養し、そして30℃で3〜5回インキュベートした。アスペルギルスにおける発現のためのcDNA遺伝子の単離: 1又は複数種のプロテアーゼ生産性コロニーを50mlのガラス試験管中の20mlのYNB-1 培地に接種せしめた。このチューブを30℃で2日振盪した。その細胞を10min, 3000rpmでの遠心により回収した。 細胞を1mlの 0.9Mのソルビトール、 0.1MのEDTA、pH7.5 に再懸濁させた。そのペレットをエッペンドルフチューブに入れ、そして全速で30秒遠心した。細胞を 0.4mlの 0.9Mのソルビトール、 0.1MのEDTA、14mMのβ−メルカプトエタノールに再懸濁した。 100μlの2mg/mlのZymolaseを加え、そしてその懸濁物を37℃で30分インキュベートし、そして30秒遠心した。そのペレット(スフェロプラスト)を 0.4mlのTEに再懸濁した。 1.5mlの0.05MのEDTA、pH8.0 、 0.6mlの2Mのトリス−Cl、pH8.0 、 0.6mlの10%のSDS のうちの90μlを加え、そしてその懸濁物を65℃で30分インキュベートした。80μlの5MのKOAcを加え、そしてその懸濁物を氷の上で60分以上インキュベートし、そして15分全速で遠心した。その上清液を、EtOHで満たした新鮮なチューブ(室温)に移し、完全ではあるが緩やかに混合し、そして30秒遠心した。そのペレットを冷70%EtOHで洗い、30秒遠心し、そして室温で風乾した。そのペレットを50μlのTEに再懸濁し、そして15分遠心した。その上清液を新鮮なチューブに移した。 2.5μlの10mg/mlのRNase を加え、37℃で30分インキュベートし、そして 500μlのイソプロパノールを緩やかに混合しながら加えた。その混合物を30秒遠心し、そしてその上清液を除去した。そのペレットを冷96%EtOHですすぎ、そして室温で風乾した。そのDNA を50μlの水に約 100μl/mlの最終濃度となるように溶かした。アスペルギルス・オリザ又はアスペルギルス・ニガーの形質転換(一般手順) 100ml のYPD (Shermanら、Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory, 1981)にA.オリザ又はA.ニガーの胞子を接種し、そして37℃で約2日間振盪させながらインキュベートした。菌糸をミラクロスによる濾過により回収し、そして 200mlの 0.6MのMgSO4 で洗った。その菌糸を15mlの 1.2MのMgSO4 、10mMのNaH2PO4 、pH=5.8 に懸濁した。その懸濁物を氷で冷やし、そして 120mgのNovozym(商標)234バッチ1687を含む1mlのバッファーを加えた。5分後、1mlの12mg/mlのBSA (Sigma type H25)を加え、そして大量のプロトプラストがそのサンプルを顕微鏡で観察したときに見えるようになるまで37℃で 1.5〜2.5 時間緩やかに撹拌しながらインキュベートした。 その懸濁物をミラクロスで濾過し、濾液を滅菌チューブに移し、そして5mlの 0.6Mのソルビトール、 100mMのトリス−HCl 、pH=7.0 をかぶせる。遠心を 100gで15分行い、そしてプロトプラストをMgSO4 クッションの頂部から集めた。2容量のSTC (1.2Mのソルビトール、10mMのトリス−HCl 、pH7.5 、10mMのCaCl2)をプロトプラスト懸濁物に加え、そしてその混合物を1000gで5分遠心した。そのプロトプラストペレットを3mlのSTC に再懸濁し、そして再びペレット化した。これを繰り返した。最後に、プロトプラストを 0.2〜1mlのSTC に再懸濁した。 100 μlのプロトプラスト懸濁物を10μlのSTC 中の5〜25μgの適当なDNA と混合した。プロトプラストをp3SR2(プラスミドを有するA.ニドゥランスamdS遺伝子)と混合した。この混合物を室温で25分放置した。 0.2mlの60%のPEG 4000 (BDH 29576)、10mMのCaCl2 及び10mMのトリス−HCl 、pH=7.5 を加え、そして慎重に混合し(2回)、そして最後0.85mlの同じ溶液を加え、そして慎重に混合した。この混合物を室温で25分放置し、2500gで15分遠心し、そしてそのペレットと2mlの 1.2Mのソルビトールに再懸濁した。もう1回の沈降化の後、プロトプラストを適当なプレート上にまいた。プロトプラストを 1.0Mのスクロース、pH7.0 、10mMのアセトアミド(窒素源)及び20mMのCsCl(バックグランド増殖のため)を含む最少プレート(Cove Biochem. Biophys. Acta 113 (1966) 51-56)上にまいた。37℃で4〜7日間インキュベート後、胞子をひろい、そして単一コロニーのためにまいた。この手順を繰り返し、そして第二回目の再単離を経た単一コロニーの胞子を特定の形質転換体として保存した。免疫学的交差反応性:免疫学的交差反応性を決定するのに用いる抗体は精製プロテアーゼの利用により調製できうる。より詳しくは、本発明のプロテアーゼに対する抗血清は、N. Axelsenらの:A Manual of quantitative Immunoelectrophoresis, Blackwell Scientific Publications, 1973, Chapter 23 又はA. Johnstone and R. Thorpeの Immunochemistry in Practice, Blackwell Scientific Publications, 1982(より詳しくはpp. 27-31)に記載の手順に従い、ウサギ(又はその他のゲッ歯類)を免疫することにより生起させることができうる。精製したイムノグロブリンは抗血清から、例えば塩沈殿((NH4)2SO4)、それに続く透析及びイオン交換クロマトグラフィー(例えばDEAE−Sephadexでの)により得られうる。タンパク質免疫化学的特性決定はOutcher lony二重拡散分析(O. Ouchterlonyの:Handbook of Experimental Immunology (D.M. Weir, Ed.), Blackwell Scientific Publications, 1967, pp. 655-706)、交差免疫電気泳動により(N. Axelsenら、前掲、Chapters3及び4)又はロケット免疫電気泳動(N. Axelsenら、Chapter 2)により行うことができる。培地:YPD :10gの酵母抽出物、20gのペプトン、 810mlに至るまでのH2O 。オートクレーブにかけ、90mlの20%のグルコース(滅菌濾過)を添加。10XのBasal 塩:66.8gの酵母窒素ベース、 100gのコハク酸、60gのNaOH、1000mlに至るまでのH2O 。滅菌濾過SC-URA:90mlの10XのBasal 塩、22.5mlの20%のカスアミノ酸、9mlの1%のトリプトファン、 806mlに至るまでのH2O 。オートクレーブにかけ、 3.6mlの5%のスレオニン及び90mlの20%のグルコース又は20%のガラクトースを添加。SC-Hブロス:アミノ酸抜きの 7.5g/lの酵母窒素ベース、11.3g/lのコハク酸、 6.8g/lのNaOH、ビタミン抜きの 5.6g/lのカスアミノ酸、 0.1g/lのトリプトファン。 121℃で20min のオートクレーブにかける。オートクレーブにかけた後、10mlの30%のガラクトース溶液、5 mlの30%のグルコース溶液及び 0.4mlの5%のスレオニン溶液を1000mlの培地当りに加える。SC-Hアガー:アミノ酸抜きの 7.5g/lの酵母窒素ベース、11.3g/lのコハク酸、 6.8g/lのNaOH、ビタミン抜きの 5.6g/lのカスアミノ酸、 0.1g/lのトリプトファン及び20g/lのアガー(Bacto)。 121℃で20min オートクレーブにかける。オートクレーブにかけた後、55mlの22%のガラクトース溶液及び 1.8mlの5%のスレオニン溶液を 450mlのアガー当りに加える。YNB-1 アガー: 3.3g/lのKH2PO4、16.7g/lのアガー、pHを7に調整。 121℃で20min オートクレーブにかける。オートクレーブにかけた後、アミノ酸抜きの25mlの13.6%の酵母窒素ベース、25mlの40%のグルコース溶液、 1.5mlの1%L−ロイシン溶液及び 1.5mlの1%のヒスチジン溶液を 450mlのアガー当りに加える。YNB-1 ブロス:組成はYNB-1 アガーと同じであるが、ただしアガー抜きとする。FG-4アガー:35g/lのアガー、30g/lのダイズマメミール、15g/lのマルトデキストリン(Glucidex6)、5g/lのBacto ペプトン、pH7 。 121℃で40min オートクレーブにかける。FG-4培地:30g/lのダイズマメミール、15g/lのマルトデキストリン(Glucidex6)、5g/lのBacto ペプトン。 121℃で40min オートクレーブにかける。MDU-2 培地:45g/lのマルトース、1g/lのMgSO4 ・7H2O 、1g/lのNaCl、2g/lのK2SO4 、12g/lのKH2PO4、 0.1ml/lの Pluronic 61L、 0.5ml/lの微量金属溶液。pH5.0 。 121℃で20min オートクレーブにかける。15ml/lの50%の滅菌濾過尿素をオートクレーブの後に加えた。カゼイン上層ゲル:1%のアガロース、pH5.5 のバッファー中の 0.5%のカゼイン。ゲルを煮沸し、次いでその上層をアガプレート上に注ぐ前に55%にまで冷却しておく。供給バッチ式発酵 A.オリザによるプロテアーゼI又はIIの供給バッチ式発酵のために用いる培地は、炭素源としてのマルトデキストリン、窒素源としての尿素及び酵母抽出物を含んで成る。 供給バッチ式発酵は、課題のA.オリザ宿主細胞の振盪フラスコ培養物を、 3.5%の炭素源及び 0.5%の窒素源を含んで成る培地に接種せしめることにより行った。pH5.0 及び34℃で24時間の培養後、炭素源及び窒素源の連続供給を開始した。炭素源を規定因子として保ち、そして酸素が過剰に存在していることを確実とした。供給バッチ式培養を4日間続け、その後酵素が回収できた。酵素の特性決定タンパク質分解活性 1ヘモグロビンプロテアーゼユニット(hpu)は以下の標準条件下で1分当り1mmole の第一アミノ基を遊離せしめる酵素量と規定する(セリン標準品との比較により決定): 2%(w/v)のヘモグロビン溶液(牛; Sigmaより供給)を、 5.5のpHに調整したBritton and Robinsonの J. Chem. Soc., 1931, p.1451に記載の万能バッファーにより調製した。2mlの基質溶液を水浴の中で25℃で10min プレインキュベートした。 0.2〜0.3hpu/mlの万能バッファー(pH5.5)に相当するbg/mlの酵素調製品を含む1mlの酵素溶液を加えた。25℃で30min のインキュベーション後、反応をクエンチング剤 (17.9gのトリクロロ酢酸、29.9gの酢酸ナトリウム及び19.8gの酢酸を含み、脱イオン水で 500mlとした溶液5ml)の添加により停止させた。ブランクを試験溶液と同じようにして調製したが、ただし酵素溶液の添加前にクエンチング剤を加えておいた。その反応混合物を水浴の中に20min 保ち、その後Whatman 42濾紙で濾過した。 第一アミノ基は以下の通りO−フタルジアルデヒド(OPA)の発色により決定した:7.62gの四硼酸二ナトリウム・10水和物及び 2.0gのドデシル硫酸ナトリウムを 150mlの水に溶かした。4mlのメタノールに溶かした 160mgのOPA を 400μlのβ−メルカプトエタノールと共に加え、その後その溶液を水で 200mlにした。3mlのOPA試薬に上記で得た 400μlの濾液を混合しながら加えた。 340nmでの光学密度(OD)を約5min 後に測定した。OPA 試薬は、 100mlの万能バッファー(pH5.5)中の10mgのセリンを含むセリン標準品についても行った。バッファー単独をブランクとして用いた。プロテアーゼ活性を以下の式により、OD測定値から計算した。 式中、ODt ,ODb ,ODser 及びODB は、試験溶液、ブランク、セリン標準品及びバッファーのそれぞれの光学密度であり、Cser は標準品中のセリンの濃度(mg/ml)であり(この場合、 0.1mg/ml)、そしてMWser はセリンの分子量である(105.09)。Qは酵素溶液の希釈系数(この場合8)であり、そしてti は分でのインキュベーション時間である(この場合30分)。阻 害 以下のインヒビターを試験した:ペプスタチン(アスパラギン酸インヒビター)(1mM)PMSF(セリンプロテアーゼインヒビター)(0.1%)PEFABLOC(セリンプロテアーゼインヒビター)(0.1%)EDTA(金属プロテアーゼインヒビター)(0.1M) PEFABLOCは Pentapharm, Basel、スイス国より入手、それ以外はSigma より入手した。 残留活性はpH5.5 で HPU/lとして決定した。 pH活性プロフィールは様々なpH値(4〜8)で HPU/lとして決定した。 pH安定性は酵素溶液(0.3HPU/l)を50℃及び様々なpH値(4−5−6−7−8)で30, 60及び 120分放置し、そして放置前後のタンパク質分解活性を測定することにより決定した。 温度活性プロフィールは様々な温度(15〜70℃) で HPU/lとして決定した。 温度安定性は酵素溶液(0.3HPU/l)をpH5及び様々な温度(20−40−50−60℃)で30, 60及び 120分放置し、そして放置前後のタンパク質分解活性を測定することにより決定した。 SDS ゲル電気泳動及び等密点電気泳動はPharmacia のPhast-Systemで、その製造者の仕様書に従い、勾酸8〜25及びIEF 3〜9を利用して行った。特異性 本発明のプロテアーゼの特異性は下記のようにして決定した: 万能バッファーpH5.5(前述)中の 0.5mlの1mg/mlのヒトインスリン又はウシグルカゴン並びに同じバッファー中の75μlのプロテアーゼI及びIIそれぞれ(0.6hpu/l)を37℃で120minインキュベートした。反応は50μlの1Nの塩酸の添加により停止させた。 インスリン又はグルカゴン分子はいくつかのペプチドフラグメントに切断された。これらを、適切なC−18カラム(Hibar LiChrosorb RP-18;5μm粒子;Merck AG, Darmstadt, FRGより供給)を用いる逆相HPLCにより単離した。そのフラグメントを以下の溶媒: A. 0.2Mの硫酸ナトリウム及び 0.1Mのリン酸、pH2.5 ; B.アセトニトリル/水、50%;を用い、90%のA/10%のBから80%のA/20%のBに至る0〜5分間の線形勾配、それに続く80%のA/20%のBにより50分かけて溶出させた。単離したフラグメントを、L. Thim ら、「Secretionof human insulin by a transformed yeast cell」TEBS Letters212 (2), 1987, p307に記載の通りにして、Applied Biosystems (Foster City, CA, USA) モデル 470Aガス相シーケンサーを用いる自動エドマン分解、並びにフェニルチオヒンダントイン(PTH-)アミノ酸の高性能液体クロマトグラフィーによる分析によってアミノ酸配列決定にかけ、これによりインスリン又はグルカゴン分子中の切断部位を同定した。実施例1 150 のプールにおいて約 1.5×106 の個別クローンより成るA.アキュレアトゥス由来のクローンを構築した。 DNA をこのライブラリー由来の20の個別のクローンから単離し、そしてcDNA挿入についての分析にかけた。挿入頻度は>90%として認められ、そして平均インサートサイズは約1400bpであった。 いくつかのプール由来のDNA を酵母に形質転換し、そして 200〜500 の酵母コロニーを含む50〜100 枚のプレートが各プールから得られた。3〜5日の増殖後、アガープレートを数セットのアガープレートにレプリカプレートした。1セットのプレートを30℃で2〜4日間インキュベートし、そしてプロテアーゼ活性の検出のためにカゼイン上層ゲルをかぶせた。30℃で一夜のインキュベーション後、プロテアーゼ陽性コロニーは、白色の輪光(ハロ)により囲まれたコロニーとして同定した。 酵素陽性コロニー由来の細胞を単一コロニー単離のためにアガー上にまき、そして同定したプロテアーゼ生産性コロニーそれぞれについて酵素生産性単一コロニーを選別した。 単一コロニーとして陽性コロニーを獲得し、cDNAインサートをビオチニル化ポリリンカープライマーを用いて酵母コロニーから直接増幅し、磁性ビーズ(Dynabead M-280, Dynal)システムにより精製し、そして個別に連鎖停止法(Sangerら1977)及びSequenase システム(United States Biochemical)を用い、各cDNAクローンの5′末端の配列決定により特性決定した。2つの酵素遺伝子のDNA 配列はそれぞれSEQ ID No.1及び2に示す。 次いで、このプロテアーゼをコードするcDNAを上記の通りにして、アスペルギルスの中での発現のために単離し、そして標準の手順を利用してE.コリに形質転換させた。2つのE.コリのコロニーを各形質転換体から単離し、そしてDNA インサートを切り出す制限酵素HindIII 及びXba Iにより分析した。これらのクローンのうちの1つ由来のDNA を酵母株JG169 に再形質転換した。 いくつかの陽性クローンのDNA 配列を決定した。プロテアーゼをコードする2つのDNA 配列をそれぞれSEQ ID No.1及び2に示す。実施例2 アスペルギルスにおいて遺伝子を発現させるため、cDNAを各ファミリーの1又は複数の代表体から、上記の手順を利用し、HindIII /Xba I又はその他の適当な制限酵素による消化、ゲル上でのサイズ分画及び精製により単離し、その後のpHD 414 へのライゲーションによりプラスミドpA1P1 及びpA1P2 を得た。E.コリでの増幅後、プラスミドをA.オリザ又はA.ニガーに、上記の一般手順に従って、形質転換させた。A.オリザ形質転換体の試験 各形質転換体をTG-4アガーを有するペトリ皿の中央に接種した。30℃で5日間のインキュベーション後、直径4mmのプラグをコークスクリューによりそのコロニーの中央から取り出した。そのプラグを、pH5.5 のバッファーに 0.5%のカゼイン及び1%のアガロースを含むカゼイン上層ゲルに埋め込み、そして40℃で一夜インキュベートした。プロテアーゼ活性は上記のようにして決定した。形質転換体の一部は輪光を有し、それはアスペルギルス・オリザバックグランドよりも有意に大きかった。このことは、アスペルギルス・オリザにおけるプロテアーゼの有効な発現を実証する。最大のプロテアーゼ活性を有する8つの形質転換体を選別し、そして YPG−アガー上で保持した。 選択した8つの形質転換体それぞれを YPG−アガースラントからFG-4及びMDU-2 培地を有する 500mlの振盪フラスコ上に接種した。良好な通気を確実なものとするための十分な撹拌を伴う3〜5日間の発酵の後、培養液を2000gで10分遠心し、そして上清液を分析した。 各上清液15μlを、カゼイン上層ゲル(直径13cmのペトリ皿中25ml)の中にあけられた直径4mmの穴の中に加えた。プロテアーゼ活性はインキュベーションによる白色輪光の形成により同定した。供給バッチ式発酵 次に、プロテアーゼI及びIIのそれぞれを、上記の手順を用い、酵素を発現するA.オリザの供給バッチ式発酵により製造した。実施例3プロテアーゼI及びIIの特性決定 上記の供給バッチ式発酵により得られる上清液を、上記の材料と方法に記載の通りに実施する特性決定のために用いた。タンパク質分解活性は上記の手順を利用してpH5.5 で HPU/lとして測定した。 阻害試験は以下の結果を示す: ペプスタチンによるプロテアーゼIIの阻害は、それがペプシン型のアスパラギン酸プロテアーゼであることを示す。プロテアーゼIはペプスタチンにより阻害されず、それ故アスパラギン酸プロテアーゼとしては積極的に同定されなかった。一方、pH5での至摘活性は、それが酸性プロテアーゼであることを示す。 pH活性プロフィールを図1に示す。両酵素はpH5で至摘活性を有し、そしてプロテアーゼIはプロテアーゼIIよりも狭い範囲で活性であることが示された。即ち、プロテアーゼIはpH4〜6の範囲で60%以上の活性を示し、一方、プロテアーゼIIはpH4〜7の範囲で60%以上の活性を示す。 SDS ゲル分析により、プロテアーゼI及びIIのそれぞれの分子量は23,000及び37,000kDa であると推定された。IEF 分析から、両酵素のpIは約4と推定された。 図2は温度活性プロフィールを示す。それは両酵素についてやや似ていたが、ただし至摘温度はやや異なり、プロテアーゼIは50℃、そしてプロテアーゼIIは45℃であった。 図3及び4はpH安定性を示す。各pHに関して、ゼロ時間活性を 100%に設定し、従ってそれらの得られる絶対値は異なっている。両プロテアーゼはpH4及び5で安定であった。pH6ではプロテアーゼIは不安定であり、一方プロテアーゼIIは一定の安定性を有していた(30分、40%の残留活性)、両酵素ともpH7で不安定であった。 図5及び6は温度安定性を示す。各温度に関し、ゼロ時間活性を 100%に設定し、そして得られる絶対値は異なっていた。両プロテアーゼとも50℃までは安定であり、そして60℃で不安定であった。 プロテアーゼI及びプロテアーゼIIによるインスリン又はグルカゴンの加水分解により得られる結果に基づいて、プロテアーゼIIはインスリンとは反応せず、一方両プロテアーゼともグルカゴンは加水分解することがわかった。プロテアーゼはやや非特異的なプロテアーゼであり、一方プロテアーゼIIはより特異的であるものと考えられうる。プロテアーゼIIはウシのグルカゴン(その配列はBromer, Sinn, and Behrens, J. Amer. Chem. Soc., Vol. 79, p2807, 1958に示されている)において見い出せるLys-Tyr 及びPhe-Val 結合を切断できることがわかった。実施例4粘性低下のための本発明のプロテアーゼの利用 ダイズフラワー(脱脂して皮をむいたダイズマメより調製)を95℃でペレット化し、そして粉砕した。ダイズフラワーを15%のドライ物質となるように脱イオン水に懸濁した。ドライ物質のg当り5mgのプロテアーゼI酵素タンパク質及びドライ物質のg当り5mgのプロテアーゼII酵素タンパク質のそれぞれをダイズスラリーに加えた。このスラリーを40℃及びpH5〜6でインキュベートした。そのスラリー中の粘度を、1,2及び24時間のインキュベーション後に、brookfield LV DVIII 粘度計で、スピンドル#31を有する小サンプルアダプターを用い、250rpmで測定した。残留粘度は下記の通りであった。 プロテアーゼI プロテアーゼII1時間 73% 47%2時間 59% 38%実施例5コンタクトレンズの洗浄のための本発明のプロテアーゼの利用 コンタクトレンズ洗浄の分野において、コンタクトレンズの効果的な消毒及び洗浄の両方を得ることが通常必須である。コンタクトレンズを消毒する最も有効な方法の一つはそれらを3%のH2O2を含むpH3.5 の溶液に20分以上浸すことにある。レンズを目に装着する前にH2O2は例えばカタラーゼ又はプラチナディスクで中和する。残念ながら、このような苛酷な条件下で良好な効果を有することが示されている商業的に関心のもたれているプロテアーゼは今日までなく、従ってH2O2中和の後にプロテアーゼを添加してそのコンタクトレンズ上のタンパク質付着物を取り除くめんどうな第2工程が必要とされている。ブタのペプシンは現状用いられているプロテアーゼ(スブチリシン・カールスバーグ(Subtilisin carlsberg)よりは優れているが、しかし往々にして哺乳動物の生成物にはウイルスが結合しているため、問題がある。 本発明のプロテアーゼI及びIIをそれぞれ、コンタクトレンズから変性タンパク質を除去する能力について試験した。これらを現状用いられているセリンプロテアーゼ、更にはブタのペプシンと比較した。ただし、後者は商業的観点よりはむしろ技術的観点から関心がもたれる。 実験プロトコールは下記の通りにした:材料:メンドリリゾチーム、L−6878(Sigma) 「Rythmic 」コンタクトレンズ(Essilor)(II型レンズ、ハイ・ウォーター、非イ オン性) プロテアーゼIは上記の通りに製造 プロテアーゼIIは上記の通りに製造 ブタのペプシンP−6887(Sigma) スブチリシン・カールスバーグ(Clear-lens Pro(商標)(Novo Nordisk A/S)。標準バッファー:0.05M Na2HPO4, 0.9% NaCl pH7.5試薬バッファー:0.05M Na2HPO4, 0.9% NaCl, 3% H2O2, pH3.5シンチレーション液、オプチフェース「 HiSafe III 」 Sigma 由来のメンドリリゾチームを還元性メチル化により14Cでラベルし、そして精製した。 溶液は0.05MのNa2HPO4 ,0.9 %のNaCl及び 0.2mg/mlのリゾチームpH7.5 を含むように調製した。14C−ラベル化リゾチームの量は、CPM (カウント/分)が約 200,000となるようにした。 1.0mlの溶液をシンチレーションガラスに移した。コンタクトレンズを加え、そしてそのガラスを85℃の湯浴の中に30分入れておいた。 次いでコンタクトレンズを3×3mlの試薬バッファーですすいだ。それを外科用メスで4等分にした。4等分したものそれぞれを、3mlの試薬バッファーを含む新鮮なシンチレーションガラスに移し入れた。 様々な量の試験すべきプロテアーゼを、 0.1, 0.5, 2.5, 5,12.5, 50及び 200μgの酵素タンパク質/ml試薬バッファーの最終濃度となるように加えた。 反応は25℃で4時間行った。4等分にしたレンズを2×3mlの標準バッファーですすいだ。12mlのシンチレーション液を加え、そしてCPM をPackard 2500 TR 液体シンチレーションカウンターで測定した。 各プロテアーゼの評価のためには4枚のレンズを必要とした:二重測定を2日間にわたり行い、そしてブラインド対照を各レンズについて必要とした。 消毒/洗浄の際にレンズから除去されたリゾチームの相対量を各4等分にしたレンズの質量バランスから計算した。図7は様々なプロテアーゼの性能のグラフ図を示す。 両プロテアーゼともコンタクトレンズの洗浄の目的に非常に適していた。プロテアーゼIは他のプロテアーゼよりも非常に優れていることがわかった。プロテアーゼIIは性能においてブタのペプシンに非常に近く、一方、現状利用されているセリンプロテアーゼは劣った性能を示した。本発明の酸性プロテアーゼの更なる利点は、涙液において見い出せる中性pHにおける低い活性である。このことはもしレンズが消毒/洗浄の後に適切にすすがれていないときの刺激の危険性を低くする。実施例6ベーキングのための本発明のプロテアーゼの利用手順: 10gのケーキフラワーに 5.9gの水を加えた。この水は様々な濃度のプロテアーゼI、プロテアーゼII及びNeutrase(商標)(Novo Nordisk A/Sより入手可能)を含む。その練り製品をGlutamic 2200ミキサーで1分混合した。次いでそれをプラスチックバッグに入れ、そして32℃で25min インキュベートした。 その後、その練り製品をGlutamicミキサーを用いて2%のNaCl(水溶液)で洗い、デンプンを取り除き、且つ練り製品にグルテンが残るようにした。 次いでグルテン塊を均質となるまで手でころがし、そして高さ約 0.5cm、直径 2.5cm、そして中央に穴を有するシリンダーの形にプレスした。そのグルテン塊をその形に25℃で 30minプレスしておいた。次に、そのグリテンシリンダーをフックにひっかけ、そして2gのおもりを穴の中に入れた。全てを25℃の水に浸した。 その後グルテンシリンダーの伸長を、それが破断するまで15分毎に測定した。 酵素はAnson ユニットベース(AU)に基づいて投与した。最初は、Neutrase(商標)にとって最適な用量である7.5mAU/kgフラワーで試みた。(タンパク質分解活性の決定のための Anson−ヘモグロビン法では、変性ヘモグロビンを25℃の温度でpH7.5 で、10min の反応時間で消化した。未消化のヘモグロビンをトリクロロ酢酸(TCA)で沈殿させ、そしてTCA 可溶性生成物の量をフェノール試薬で決定した。これはチロシン及びトリプトファンにより青色を発する。1AUは、1ミリ当量のチロシンと同じ色調をフェノール試薬で発色させるTCA 可溶性生成物の量を1分当り遊離させるような一次速度でヘモグロビンを消化する酵素の量である。) 図8は酵素抜きでの並びにNeutrase(商標)、プロテアーゼI及びプロテアーゼIIによるグルテンの伸長曲線を示す。これらの曲線は同じ酵素投与量での6〜7回の測定の平均である。見ての通り、3種のプロテアーゼの全ての添加が、より速いグルテンの伸長を招いた。 7.5mAU/kgフラワーの投与量のプロテアーゼIは同じ投与量のNeutrase(商標)ほどグルテンを虚弱化させなかった。グルテンシリンダーは破断するまでより長く伸び、そして伸長速度は小さかった。 この系においては可能な最大量である2.3mAU/kgフラワーのプロテアーゼIIの添加はグルテンを7.5mAU/kgのNeutrase(商標)とほぼ同じぐらいに虚弱化させた。グルテンはやや遅く破断し、そして曲線の形は同一ではなかった。このことは、プロテアーゼIIがAUベースに基づいて、グルテンの虚弱化についてNeutrase(商標)よりも約3倍の効率を有することを示す。 まとめると、本発明のプロテアーゼはグルテンの虚弱化のための慣用的に利用されている化学品(幅広く利用されているその代表例はSMS(メタ亜硫酸ナトリウム)である)にとって代わる所望の代替品を成す。実施例7動物飼料のための本発明のプロテアーゼの利用 粉砕した脱脂済みの飼料級ダイズを以下の条件で脱イオン水を混合した。胃及び小腸のpH条件をシュミレートするために加水分解を2段階で行った。本発明のプロテアーゼIIの性能をBio-Feed Proのそれと比較した。Bio-Feed ProはBrenesら、1993により、ブロイラーの飼料として用いたときに向上した体重増及び飼料効率をもたらすことが実証されている。加水分解条件:加水分解混合物:70gの粉砕脱脂ダイズ 330 gの脱イオン水温度 :40℃pH :第一段階 4.0 第二段階 6.5時間 :第一段階 180 分 第二段階 180 分酵素 :第一段階 I)ペプシン 1.92g (Merck art. 7190) II)I+Bio-Feed Pro 3.0L 5.5AU/kgダイズ III )I+プロテアーゼII 0.19AU/kgダイズ 第二段階 I)パンクレアチン 6g (Sigma P 1750) II)I+Bio-Feed Pro 3.0L 5.5AU/kgダイズ III )I+プロテアーゼII 0.19AU/kgダイズ Bio-Feed Pro(商標)はNovo Nordisk A/Sより入手した。プロテアーゼIIは上記の通りに獲得した。 これらの酵素を開始時の0分目において加えた。加水分解中、 o Brix 及び重量オスモル濃度を反応経過を追跡するために測定した。Adler-Nissen (1986)に従うと、重量オスモル濃度の値は以下の式により加水分解度(DH)の計算のために用いることができる: ここで、Δは重量オスモル濃度mOSMの上昇、S%はタンパク質濃度、ωは浸透圧計についての較正係数、htot はタンパク質基質中のペプチド結合の総数(meqv/gタンパク質)、そしてfosm は%をg/kg H2O に変換する係数である。 更に、加水分解混合物のN−成分のスルホサルチル酸可溶性相の平均分子量を90分(第1段階)、並びに0.15及び 180(第2段階)の後に分析した。分子量分析は以下の方法により行った。1.原 理 サンプルを希釈し、濾過し、そしてグル浸透クロマトグラフィー(GPC)モードで作動させた液体クロマトグラフィー系に注入した。この分離技術は十分に規定された孔直径を有する孔をもつ多孔質粒子で充填されたカラムを介する液体フローを利用する。様々な分子サイズを有するペプチド溶液をカラムに流したとき、小ペプチドは孔の中に流入でき、一方大きなペプチドは孔から排除されるであろう。即ち、溶液中のペプチドはその分子サイズ(及び分子量)に従って分離され、大きなペプチドは小さなペプチドよりも速くカラムから溶出する。カラム出口にある検出器は溶出液を連続的に測定する。このクロマトグラフィー系は、既知の分子量を有するペプチドで較正する。2.クロマトグラフィー装置 2.1 HPLC系は高圧ポンプ WATERS M 510、流速 0.7ml/min.インジェクター WATERS WISP M 710検出器 WATERS M 440 214nmまでの波長エクステンションより成る。 2.2 GPC カラム、一式に接続された3本のTSK G 2000 SW ×L、7.8mm×300mm 、周囲温度で運転。 2.3 積分/データー処理 Waters 820 MAXIMA SIM クロマトグラフィーデーターシステム(810/820 GPC オプション付き)。3.試 薬 3.1 リン酸バッファー NaH2PO4 ・2H2O 3.2 塩化アンモニウム NH4Cl 3.3 トリフルオロ酢酸(TFA), CF3COOH 3.4 アセトニトリル CH3CN 3.5 移動相: 0.1 %のTFA 及び25%のアセトニトリルを含む0.05Mのリン酸バッファー/ 0.5Mの塩化アンモニウム溶液4.詳 細 4.1 較 正 クロマトグラフィー系は既知分子量を有するいく種かのペプチド標準品の注入により較正した。各標準品の分子量を、そのカラムからペプチドを溶出するのに必要な移動相の観察容積に対して半対数的にプロットした。最少二乗法計算により、最も良くフィットする三次式を導いた。この曲線は較正曲線を示す。 4.2 分 析 サンプルを移動相に約5mg/mlとなるように希釈/溶解した。この溶液を22μmのフィルターで濾過し、そしてその20μlをクロマトグラフィーに注入した。検出応答、対、溶出容積を記録した。記録した曲線−クロマトグラフィー図−は、サンプルの実際の分子量分布を示す。集積した重量分布及び平均分子量計算のため、クロマトグラフィー図を小タイム(及び溶出・容積)セグメントに分割した。各セグメントを溶出容積及びインターバル間のクロマトグラフィー図の面積により特性決定した。5.計 算 結果は重量及び数平均分子量で表わすここでMw :重量平均分子量Mn :数平均分子量Ai :各時間インターバルの間の集積した検出応答として測定した、各セグメントのク ロマトグラフィー図面積。Mw,i :各セグメントについての対応の分子量。この値は時間インターバルの間の平均溶 出容積を用い、較正曲線により計算した。結 果 o Brix,mOSM及び%DH値を以下の表に示す。 分子量分析の結果を以下に示す: 見かけ上の分子量はpHを 6.5にすると大きくなり、なぜなら未消化のダイズタンパク質はpH4.0 よりもpH6.5 でのほうがより可溶性であるからである。 プロテアーゼIIはBio-Feed Proよりも多くのタンパク質及びペプチドを遊離させ、且つ多くのタンパク質を分解することがわかり、従ってプロテアーゼIIはBio-Feed Proより優れているものと考えられる。 本発明のプロテアーゼIIは酸性pH域において至摘活性を有するため、この酵素は動物の胃において直ちに働き、それ故若い動物のための飼料に用いたときにBio-Feed Proに比べて飼料効率の総合的な向上が達せられる。上記の結果はこの所見を裏付けする。参照文献Aviv, H. & Leder, P. 1972. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 69: 1408-1412.Becker, D. M. & Guarante, L. 1991. Methods Enzymol. 194: 182-187.Chirgwin, J. M., Przybyla, A. E., MacDonald, R. J. & Rutter, W. J. 1979. Biochemistry 18: 5294-5299.Gubler, U. & Hoffman, B. J. 1983. Gene 25: 263-269.Sambrook, J., Fritsch, E. F. & Maniatis, T. 1989. MolecularCloning: A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Lab., Cold Spring Harbor, NY.Sanger, F., Nicklen, S. & Coulson, A. R. 1977. Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 74: 5463-5467.Brenes, A.らPoultry Science, 72, 2281-2293, 1993.Adler-Nissen, J. Enzymic Hydrolysis of Food Proteins, Elsevier Applied Science Publishers London and New York, 1986.Takahashi, K. ら, 1991, The Primary Structure of Aspergillus niger Acid Proteinase A* , The Journal of Biol. Chemistry, Vol. 266, No. 29, pp. 19480-19483.Choi, G.H.ら, Molecular analysis and overexpression of the gnee encoding endothiapepsin, an aspartic protease from Cryphonectria parasitica, 1993, Gene 125: 135-131.Gomi, K.ら 1993, Cloning and Nucleotide Sequence of the Acid Protease-encoding Gene (pepA) from Aspergillus oryzae, Biosci. Biotech. 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