生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_打錠用改質剤
出願番号:2004049974
年次:2005
IPC分類:7,A61K47/12,A23L1/00,A61K9/20,A61K47/36,A61K47/46


特許情報キャッシュ

藤川 恵理子 高瀬 嘉彦 内田 一仁 JP 2005239612 公開特許公報(A) 20050908 2004049974 20040225 打錠用改質剤 太陽化学株式会社 000204181 藤川 恵理子 高瀬 嘉彦 内田 一仁 7A61K47/12A23L1/00A61K9/20A61K47/36A61K47/46 JPA61K47/12A23L1/00 AA61K9/20A61K47/36A61K47/46 3 OL 6 4B035 4C076 4B035LC05 4B035LE05 4B035LG07 4B035LG20 4B035LG22 4B035LG23 4B035LK13 4B035LP31 4C076AA36 4C076BB01 4C076DD41 4C076DD46 4C076EE30 4C076EE56 4C076FF01 4C076FF04 4C076FF09 本発明は打錠する際に打錠性を損なうことなく錠剤の硬度低下及び崩壊性低下を防止することを目的としたステアリン酸カルシウムと、食品乳化剤及び/または植物抽出多糖類を含有する打錠用改質剤、及びそれを用いた錠剤に関するものである。 錠剤において、粉末や粉状の原料を打錠する必要がある。打錠においては、脱型の際に錠剤の上杵側に帽子状にはがれるキャッピング、打錠中に粉が杵に付着し杵離れが悪く、錠剤表面に傷がつくスティッキング、錠剤と臼の摩擦が大きく打錠後の錠剤の排出性が悪くなるバインディングを生じることがあり、これがひどくなるとスムーズに打錠できなくなる。 そこで打錠においては滑沢剤を使用することにより、原料粉体の流動性を向上させ、打錠機の臼に一定量が充填されるようにすると同時に、打錠の際のキャッピング、スティッキング及びバインディング等を防止し、打錠の表面に光沢を与える。そのために従来から精製タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化油脂、ポリグリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルなどの食品用乳化剤等が滑沢剤として使用されてきた。(例えば、特許文献1参照。) そのうち、ステアリン酸カルシウムは、他の種類の滑沢剤に比べ、少量の使用で滑沢剤としての効果を出すことができ、医薬品等の打錠用滑沢剤として使用されてきたが、硬度低下による錠剤のわれ・カケ、崩壊性低下による体内への吸収性の低下や口溶けの悪さなどの問題があった。特開昭60−92213号公報(第1−3頁) 本発明は従来の技術の課題を解決すべくなされたもので、錠剤を打錠する際に打錠性を損なうことなく錠剤の硬度低下及び崩壊性低下を防止する打錠用改質剤を提供することを目的とする。 本発明者は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、ステアリン酸カルシウムと、食品用乳化剤及び/または植物抽出多糖類を併用した打錠用改質剤を使用することによって、打錠時のキャッピング、スティッキング及びバインディングを防止し、さらに、錠剤の硬度低下及び崩壊性低下を防止できることを見出し、本発明に至った。 すなわち本発明は、ステアリン酸カルシウムと、食品用乳化剤及び/または植物抽出多糖類を含有することを特徴とする打錠用改質剤に関するものである。 本発明によれば、錠剤を打錠する際に打錠性を損なうことなく、硬度が高く、崩壊しやすい錠剤を得ることができる。 以下本発明を詳細に説明する。本発明における打錠用改質剤とは、キャッピング防止、スティッキング防止、バインディング防止など打錠特性の改良のみならず、硬度低下防止、崩壊性低下防止など錠剤特性の改良を目的とする打錠用添加剤のことである。 また、ステアリン酸カルシウムと食品用乳化剤を含有することを特徴とする打錠用改質剤は特に硬度低下防止効果、崩壊性低下防止に好適に使用できる。また、ステアリン酸カルシウムと植物抽出多糖類を含有することを特徴とする打錠用改質剤は、特に硬度低下防止、崩壊性低下防止に好適に使用でき、さらに崩壊性低下防止には最も好適に使用できる。 また、本発明における錠剤とは、粉体を打錠により固めて成型したもので、医薬品、菓子、食品、化粧品、栄養補助食品など分野は問わない。 本発明におけるステアリン酸カルシウムとは、ステアリン酸単独またはステアリン酸及びパルミチン酸のカルシウム塩である。また、本発明におけるステアリン酸カルシウムの脂肪酸組成は、特に限定されるものではないが、混合物中でのステアリン酸とパルミチン酸の含量が90%以上のものが好ましい。また、特に限定されるものではないが、混合物中でのステアリン酸含量が40%以上のものがさらに好ましい。 本発明における食品用乳化剤とはグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが例として挙げられ、その中でもポリグリセリン脂肪酸エステル又はショ糖脂肪酸エステルを1種または2種以上混合したものが好ましい。また、本発明における食品用乳化剤のHLBは特に限定されるものではないが、HLB1〜10が好ましく、さらに好ましくはHLB1〜4である。また、本発明におけるポリグリセリン脂肪酸エステルはポリグリセリンの構成脂肪酸炭素数10〜22、グリセリン重合度2〜20、水酸基価が100未満が好ましく、さらに好ましくは構成脂肪酸炭素数が18〜22、グリセリン重合度が5〜15である。構成脂肪酸炭素数9以下のポリグリセリン脂肪酸エステルの場合には、その融点が低くなりすぎるため微粉末にはならず、打錠用改質剤としての効果は不充分となる。また、構成脂肪酸炭素数23以上のポリグリセリン脂肪酸エステルでは、これを使用して製造した錠剤、錠菓の硬度を低下させるため使用に適さない。また、グリセリン重合度が21以上のポリグリセリンは、原料自体の粘度が高すぎてエステル反応が著しく困難となるため、実用的でない。また、エステルの水酸基価が100以上であると打錠機への付着等により製品歩留まりが悪化する。また、本発明のショ糖脂肪酸エステルはショ糖脂肪酸の炭素数が8〜22で平均置換度が2以上が好ましく、構成脂肪酸炭素数が18〜22がより好ましい。構成脂肪酸炭素数7以下では融点が低くなりすぎるため微粉末にはならず、打錠用改質剤としての効果は不充分となる。また、構成脂肪酸炭素数23以上では、これを使用して製造した錠剤、錠菓の硬度を低下させるため使用に適さない。平均置換度1以下のショ糖脂肪酸エステルでは打錠機への付着等により製品歩留まりが悪化する。 本発明における植物抽出多糖類とは果実、豆科などの植物から高温水などで抽出された多糖類で、特に限定するものではないが、大豆多糖類、ペクチン、グアーガム、タマリンドを1種または2種以上が好ましく、最も好ましくは水溶性大豆多糖類である。ここで、本発明における大豆多糖類とは、大豆より抽出、精製した水溶性もしくは不溶性多糖類であり、大豆由来の食物繊維である。本発明におけるペクチンとは、果実、野菜などに広く存在し、主として柑橘系果実または林檎の果実から分離、精製される多糖類である。本発明におけるグアーガムとはグアー種子より抽出された多糖類で、酵素分解物も含む。本発明におけるタマリンドとは、タマリンド種子より抽出して得られた多糖類である。 また、本発明の打錠用改質剤のステアリン酸カルシウムと、食品用乳化剤及び/または植物抽出多糖類の混合重量比は、特に限定されるわけではないが、ステアリン酸カルシウム:食品用乳化剤及び/または植物抽出多糖類=10:90〜90:10が好ましい。また、ステアリン酸カルシウムが多いと硬度・崩壊性低下の可能性があり、少ないと滑沢性低下の可能性があるため、さらに好ましくは40:60〜80:20である。また、本発明の打錠用改質剤に配合される食品用乳化剤と植物抽出多糖類は、どちらか一方だけでもかまわないが、併用した方が好ましく、特に硬度と崩壊性の両者を重要視する錠剤には併用した方が好ましい。その時に打錠用改質剤に配合する食品用乳化剤と植物抽出多糖類の割合は特に限定されるものではないが、90:10〜10:90が好ましく、さらに好ましくは90:10〜60:40である。 さらに本発明の滑沢剤の粉体粒径は特に限定するものではないが、粉体粒径が大きいと、各粉末粒体と均一に分散せず流動性及び製品の歩留まりが低下するので最大粉体粒径が250μm以下であると好ましい。また、粉体粒径は20μm以下のものが50%以上含有されるとさらに好ましい。 粉体粒径の測定方法については特に限定されるものではないが、例えば、レーザー回折式流度分布測定装置などがあげられる。 本発明における最大粉体粒径とは、特に限定されるものではないが、例えばレーザー回折式流度分布測定装置を用いて粉体粒径を測定した時に得られる最大の測定値である。 錠剤、錠菓の製造の製造過程は、間接錠剤製造法では圧縮成型するための粉末または顆粒を製造する造粒プロセスと、圧縮成型する打錠プロセスに分けられるが、本発明における滑沢剤は一般に造粒プロセス後に添加される。好適な添加量は0.2〜5重量%であるが、要求される機能によって添加量はその限りでない。また本発明における打錠用改質剤は、本発明品の改質効果を損なわない範囲で、植物硬化油、精製タルク、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、微結晶セルロース等の従来の滑沢剤、崩壊剤、吸収剤、賦形剤などを配合することも可能である。また本発明品は、直接錠剤製造法、湿式錠剤製造法のどちらでも用いることができる。 以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。打錠用改質剤 原料を下記の重量比で混合し本発明品(打錠用改質剤)をそれぞれ10g調製した。 実施例1 ステアリン酸カルシウム:デカグリセリンデカステアレート=40:60 (最大粉体粒径175μm、20μm以下の粉体粒径63.6%) 実施例2 ステアリン酸カルシウム:デカグリセリンデカステアレート=60:40 (最大粉体粒径175μm、20μm以下の粉体粒径73.1%) 実施例3 ステアリン酸カルシウム:シュガートリステアレート=80:20 (最大粉体粒径150μm、20μm以下の粉体粒径84.0%) 実施例4 ステアリン酸カルシウム:デカグリセリンデカベヘネート=50:50 (最大粉体粒径150μm、20μm以下の粉体粒径93.9%) 実施例5 ステアリン酸カルシウム:大豆多糖類=40:60 (最大粉体粒径150μm、20μm以下の粉体粒径44.9%) 実施例6 ステアリン酸カルシウム:グアーガム=60:40 (最大粉体粒径150μm、20μm以下の粉体粒径63.2%) 実施例7 ステアリン酸カルシウム:タマリンド=40:60 (最大粉体粒径175μm、20μm以下の粉体粒径73.9%) 実施例8 ステアリン酸カルシウム:ペクチン=80:20 (最大粉体粒径175μm、20μm以下の粉体粒径83.3%) 実施例9 ステアリン酸カルシウム:デカグリセリンデカステアレート:グアーガム =60:30:10 (最大粉体粒径175μm、20μm以下の粉体粒径70.6%) 実施例10 ステアリン酸カルシウム:デカグリセリンデカステアレート:大豆多糖類 =60:10:30 (最大粉体粒径175μm、20μm以下の粉体粒径63.7%) 実施例で用いたステアリン酸カルシウムの脂肪酸組成はステアリン酸・パルミチン酸含量比は92.0%、ステアリン酸含量比は53.0%である。比較例 下記の原料を比較例として10g用意した。 比較例1 ステアリン酸カルシウム=100 (最大粉体粒径150μm、20μm以下の粉体粒径92.0%) 比較例2 デカグリセリンデカステアレート=100 (最大粉体粒径175μm、20μm以下の粉体粒径44.7%) 比較例3 シュガートリステアレート=100 (最大粉体粒径130μm、20μm以下の粉体粒径51.9%) 比較例で用いたステアリン酸カルシウムの脂肪酸組成はステアリン酸・パルミチン酸含量比は92.0%、ステアリン酸含量比は53.0%である。試験例 乳糖800g、粉糖190g、本発明品又は比較品10gを混合後、直接打錠法により打錠機で1トンの成型圧力を加えて(300±8)mg/錠で打錠を行った。打錠時間は10分とし、打錠性、硬度、崩壊性についての評価を行った。なお、評価はスティッキングなどの打錠性については肉眼観察にて、崩壊性試験についてはイオン交換水10ml中での錠剤1錠が原形を留めていない状態となった崩壊時間にて、硬度については硬度計(木屋製作所製)にて測定を行った。硬度については10回、崩壊性については3回試験を行い、平均をとった。 評価基準:○ 問題なし、 ×若干打錠困難 表1の評価結果に示したごとく、本発明によるステアリン酸カルシウムと、食品用乳化剤及び/または植物抽出多糖類を含有することを特徴とする打錠用改質剤を使用することにより従来品に比べて、打錠性を損なうことなく、硬度が高く、崩壊性が良好な錠剤を得ることができる。 本発明によれば、錠剤を打錠する際に打錠性を損なうことなく、硬度が高く、崩壊しやすい錠剤を得ることができる。本発明は食品、健康食品、医薬品、化粧品などの分野に貢献できる。ステアリン酸カルシウムと、食品用乳化剤及び/または植物抽出多糖類を含有することを特徴とする打錠用改質剤。最大粉体粒径が250μm以下であることを特徴とする請求項1記載の打錠用改質剤。請求項1または2記載の打錠用改質剤を含有することを特徴とする錠剤。 【課題】 打錠においては、脱型の際に錠剤の上杵側に帽子状にはがれるキャッピング、打錠中に粉が杵に付着し杵離れが悪く、錠剤表面に傷がつくスティッキング、錠剤と臼の摩擦が大きく打錠後の錠剤の排出性が悪くなるバインディングを生じることがあり、これがひどくなるとスムーズに打錠できなくなるため、滑沢剤を使用することにより、原料粉体の流動性を向上させ、打錠機の臼に一定量が充填されるようにすると同時に、打錠の際の問題を防止し、錠剤の表面に光沢を与える。しかし従来の滑沢剤は硬度低下による錠剤のわれ・カケ、崩壊性低下による体内への吸収性の低下や口溶けの悪さなどの問題があった。本発明は、食品用乳化剤を用いることなく防止する滑沢剤を提供することを目的とする。【解決手段】 ステアリン酸カルシウムと、食品用乳化剤及び/または植物抽出多糖類を含有することで本課題を解決する。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る