生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アレルギー性鼻炎モデル動物作製方法
出願番号:2004047805
年次:2010
IPC分類:A01K 67/027,G01N 33/15,G01N 33/50


特許情報キャッシュ

常松 雅子 山地 健人 紀 光助 JP 4462958 特許公報(B2) 20100226 2004047805 20040224 アレルギー性鼻炎モデル動物作製方法 明治乳業株式会社 000006138 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 常松 雅子 山地 健人 紀 光助 JP 2003045491 20030224 20100512 A01K 67/027 20060101AFI20100415BHJP G01N 33/15 20060101ALI20100415BHJP G01N 33/50 20060101ALI20100415BHJP JPA01K67/027G01N33/15 ZG01N33/50 Z A01K 67/027 CAPLUS/BIOSIS/MEDLINE(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed Science Direct WPI 国際公開第94/01560(WO,A1) 国際公開第93/01213(WO,A1) Exp. Anim.,1993年,Vol.42, No.1,pp.61-65 免疫アレルギー,1997年,Vol.15, No.2,pp.82-83 Prog. Med.,2003年 1月,Vol.23,pp.288-293 アレルギー,1997年,Vol.46, No.12,pp.1251-1257 アレルギー科,2000年,Vol.9, No.4,pp.387-392 YAKUGAKU ZASSHI,2003年 2月19日,Vol.123, No.1,pp.1-8 Immunol.,2000年,Vol.99,pp.625-629 アレルギー,1985年,Vol.34, No.12,pp.1099-1104 アレルギー,1998年,Vol.47, No.2,3,p.195, 4 スギ花粉症克服に向けた総合研究,2000年,pp.224-238 アレルギー,1996年,Vol.45, No.10,pp.1127-1132 第50回日本アレルギー学会総会,2000年,p.995, 410 第122年会日本薬学会講演要旨集-4,2002年,p.29, 27[P]I-378 Clin. Exp. Allergy,1995年,Vol.25,pp.848-852 7 2004275183 20041007 10 20070209 吉森 晃 本発明は、アレルギー性鼻炎モデル動物の作製方法に関する。 通常、アレルギーと呼ばれている反応は、アレルゲンと呼ばれる抗原によって引き起こされるI型アレルギー反応を指すことが多く、その一つであるスギ花粉症はスギ花粉アレルゲンによって引き起こされ、鼻炎、結膜炎が主症状である。スギ花粉症は、日本で発症頻度の高いことが特徴であり、戦後盛んに行われたスギの植林に起因しているとも言われている。さらに近年では、建築資材として外国産材木が主体となり、スギを含めた日本国内産材木が市場を奪われて、スギ林の管理が不十分であることもスギ花粉飛散量の増加の一因となっている。スギ花粉症患者数は増加の一途をたどっており、国民の一割以上が罹患している故に、国民病とも言われている。 アレルギーの治療には、対症療法として抗ヒスタミン薬、抗アレルギー剤、ステロイド剤、さらには免疫抑制剤も使われている。根治療法としては、減感作療法があり、スギ花粉症の場合には、スギ花粉から抽出したスギ花粉エキスが使われる。しかしこの治療法は、副作用としてアナフィラキシーが起こることから、極微量の投与から開始して徐々に投与量を増加させる漸増法が用いられており、治療期間が数年に及び、新たな治療薬が望まれている。 スギ花粉症の治療薬として新たなアレルギー性鼻炎治療剤を開発するには、アレルギー性鼻炎モデル動物を用いたスクリーニングが重要である。アレルギー性鼻炎モデル動物に関する報告としては、例えば、特許文献1にはダニアレルゲンを抗原として点鼻投与することにより作製されたモデルマウスについての記載が、また、非特許文献1に、スギ花粉により誘発されるアレルギー性鼻炎をモルモットに発現させる方法についての記載がある。 しかしながら、小動物、特にマウスを使ったスギ花粉症鼻炎モデルは今まで報告がない。このモデルは抗原特異的な反応を利用した医薬品開発、すなわちスギ花粉症治療薬の開発には必須である。例えば、近年、リンパ球の一種であるT細胞のエピトープペプチドを利用して抗アレルギー剤や抗ガン剤を開発する方法が考案され、臨床試験も行われた。T細胞エピトープペプチドはアレルゲン分子の十数残基のアミノ酸配列からなっており、これはマクロファージ等の抗原提示細胞表面の主要組織適合抗原複合体(MHC)に結合して、T細胞にその抗原性を伝達する。MHC分子は遺伝的な支配を受けて多型性を示すため、その多型性に依存してT細胞エピトープペプチド部分もアレルゲン分子の異なる部分がエピトープとなる。すなわち、個体差が存在する反応である。こういったスギ花粉症の抗原認識機構が存在する状況で、モデル動物の作製は非常に困難である。特開平7-8141号公報Inflammation Research, 47巻、369-374頁、1998年 本発明は、ヒトと同じT細胞エピトープを使ってアレルゲンを認識することから、アレルギー性鼻炎に対する予防・治療作用を有する化合物のスクリーニングにおいて有用なモデル動物を提供する。 本発明者等は、先ず、ヒトのT細胞エピトープ解析を行い、アレルゲン分子のどの部分がエピトープとなり得るかについて解析した(WO97/32600公報)。次いで、マウスでスギ花粉抗原のどの部分がエピトープとなるのかを検討した結果、Cry j 1ではヒトが使用する頻度の高いエピトープがB10.Sマウスで使用していることを明らかにした。さらにCry j 2ではBALB/cマウスがヒトで使用する頻度の高いエピトープを使用することを明らかとした。この結果、これらのマウスを使ってT細胞エピトープペプチドを利用したスギ花粉症鼻炎の検討が可能となった。 この鼻炎モデルはスギ花粉抗原特異的な反応を利用した医薬品開発はもちろん、マウスを使ったスギ花粉症鼻炎モデルは初めての報告であることから、抗原特異的反応に限らず、種々のアレルギー性鼻炎の治療薬開発のためのモデル動物として利用できる。 本発明者らは、新たなアレルギー性鼻炎治療剤の発見のためにアレルギー性鼻炎モデル動物を作製することを検討し、(a)ケミカルメディエーターおよび/またはサイトカインを投与する工程、(b)アレルゲン由来の抗原ペプチドを投与する工程を組み合わせることにより効率的にアレルギー性鼻炎モデル動物を作製することを見出した。本発明者らはこの知見に基づきさらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、(1)小動物に(a)ケミカルメディエーターおよび/またはサイトカインを投与する工程、(b)スギ花粉アレルゲンCry j 1および/またはCry j 2を投与する工程からなるアレルギー性鼻炎モデル動物の作製方法、(2)小動物がマウスである前記(1)記載の方法、(3)マウスがB10.S、BALB/c、CBF1、DBA/2、SJLあるいはC57BL/6マウスである前記(2)記載の方法、(4)投与が鼻腔、皮下、経口、点眼、口腔、足蹠あるいは腹腔内投与である前記(1)記載の方法、(5)スギ花粉アレルゲンCry j 1および/またはCry j 2が、水酸化アルミニウムに吸着させたスギ花粉アレルゲンCry j 1および/またはCry j 2である前記(1)記載の方法、(6)前記(1)記載の方法で得られた動物、(7)前記(6)記載の動物に被験物質を投与し、アレルギー性鼻炎に対する効果を検定することを特徴とするアレルギー性鼻炎治療を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法等に関する。 本発明で用いる「小動物」とは、例えば、マウス、ラット、モルモット等を意味し、小動物の週齢、体重等については、目的とするスクリーニングに適用可能である限り特に制限はない。 該「小動物」としては、マウスが好ましく、なかでもB10.SあるいはBALB/cマウスが好ましい。 本発明で用いる「スギ花粉アレルゲンCry j 1」または「スギ花粉アレルゲンCry j 2」とは、スギ花粉主要アレルゲンの一種である(Yasueda, H. et al.; J. Allergy Clin. Immunol. 71, 77-86, 1983、Sakaguchi, M et al. ; Allergy 45, 309-312, 1990)。また、小動物に投与される該「スギ花粉アレルゲンCry j 1」あるいは「スギ花粉アレルゲンCry j 2」は、固形、粒状、粉末、ゲル状、液状、溶媒に懸濁または溶解、吸着剤に吸着させる、エアロゾル状にする等どのような形状をしていてもよい。なかでも吸着剤(例えば、水酸化アルミニウム(Al(OH)3)、ミョウバン(KAl(SO4)2・12H2O)、シリカゲル(SiO2・nH2O))に吸着させたものが好ましく、とりわけ水酸化アルミニウムに吸着させたものを用いるのが好ましい。 本発明における「アレルギー性鼻炎モデル動物」の作製には、先ず(a)麻酔もしくは非麻酔下で、ヒスタミン、セロトニン、PAF、ロイコトリエンあるいはトロンボキサン等のケミカルメディエーターやサイトカイン等を、単回または特定の時間、日数を置いて複数回投与する。投与方法は、腹腔内投与、鼻腔内投与、皮下投与等投与可能な方法であればいずれでもよいが、とりわけ鼻腔内投与が好ましい。引き続き(b)麻酔もしくは非麻酔下でスギ花粉アレルゲンCry j 1および/またはCry j 2を単回または特定の時間、日数を置いて複数回投与することにより作製される。投与方法は、腹腔内投与、鼻腔内投与、皮下投与等投与可能な方法であればいずれでもよい。さらに、(a)ケミカルメディエーターおよび/またはサイトカインを投与する工程の前に、(b)スギ花粉アレルゲンCry j 1および/またはCry j 2を投与する工程を加えてもよい。また必要に応じて、これらの工程を複数回繰り返す[((a)→(b))nまたは((b)→(a)→(b))n (nは自然数)]ことにより症状や抗体価をさらに増幅させることも可能である。 本発明における「アレルギー性鼻炎モデル動物」は、(1)血液中の免疫グロブリン・化学伝達物質・補体成分等の濃度や白血球相の測定、(2)好塩基球・組織肥満細胞のヒスタミン遊離能測定、(3)T細胞・B細胞の反応性試験、(4)白血球の遊離能測定試験、(5)鼻腔内洗浄液中の細胞相・化学伝達物質濃度測定、(6)抗原・アセチルコリンアナログ・ヒスタミン・ロイコトリエン等の吸入による鼻腔収縮反応惹起試験、(7)鼻粘膜等の抗原刺激によるアレルギー性炎症惹起試験等の検査試験に付される。 本発明における「アレルギー性鼻炎モデル動物」は、アレルギー性鼻炎(特にスギ花粉症)予防・治療作用を有する化合物またはその塩のスクリーニングに有用かつ効率的に適用することができる。 例えば、約0.01〜約1,000 mg/kg (好ましくは、約0.01〜約100 mg/kg)の被験物質を本発明のアレルギー性鼻炎モデル動物に投与し、IgE抗体価およびくしゃみなどを指標にその被験物質の治療効果を調べることができる。 また、被験物質を本発明のアレルギー性鼻炎モデル動物に投与することにより、各種医薬物質の評価を行うことができる。 ここで被験物質とは、公知の合成化合物、ペプチド、タンパク質などのほかに、例えば温血哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)の組織抽出物、細胞培養上清等が用いられる。 本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質は、そのままあるいは薬理学的に許容される単体を配合し、経口的または非経口的に投与することができる。 当該物質を錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤等の経口製剤;注射剤、注入剤、点滴剤、坐剤等の非経口製剤;などの剤形に製造する方法としては、当該分野で一般的に用いられている公知の製造方法を適用することができる。また、前記の剤形に製造する場合には、必要に応じて、その剤形に製する際に製剤分野において通常用いられる賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤等を適宜、適量含有させて製造することができる。更に、所望により、製剤分野において通常用いられる着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定剤、粘稠剤等を適量添加することができる。 本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質は、単剤として優れたスギ花粉症の予防剤、治療剤として有効な作用を示すが、さらに他の医薬成分(以下、併用薬物と略記する)と併用(多剤併用)することもできる。 このような併用薬物としては、例えば、ケミカルメディエーター遊離抑制剤(例えば、クロモグリク酸ナトリウム(インタール)、トラニラスト(リザベン)、アンレキサノクス(ソルファ)、ペミロラストカリウム(アレギサール)等)、ケミカルメディエーター受容体拮抗薬(例えば、(1)d-マレイン酸クロルフェニラミン(ポララミン)、フマル酸クレマスチン(タベジール)、フマル酸ケトチフェン(ザジデン)、塩酸アゼラスチン(アゼプチン)、オキサトミド(セルテクト)、メキタジン(ゼスラン、ニポラジン)、フマル酸エメダスチン(ダレン、レミカット)、塩酸セチリジン(ジルテック)、塩酸レボカバスチン(リボスチン)、塩酸フェキソフェナジン(アレグラ)、塩酸オロパタジン(アレロック)等の抗ヒスタミン薬、(2)ラマトロバン(バイナス)等のトロンボキサンA2拮抗薬、(3)プランルカスト水和物(オノン)等のロイコトリエン拮抗薬等)、Th2サイトカイン抑制薬(例えば、トシル酸スプラタスト(アイピーディー)等)、ステロイド薬(例えば、(1)プロピオン酸ベクロメタゾン(ベコナーゼ、アルデシン、リノコート)、フルニソリド(シナクリン)、プロピオン酸フルチカゾン(フルナーゼ)等の局所ステロイド薬、(2)セレスタミン(マレイン酸クロルフェニラミン配合剤)等の経口ステロイド薬等)、自律神経作用薬(例えば、(1)硝酸ナファゾリン(プリビナ)、硝酸テトラヒドロゾリン(ナーベル)、塩酸オキシメタゾリン(ナシビン)、塩酸トラマゾリン(トーク)等のα刺激薬、(2)臭化イプラトロピウム(アトロベント)、臭化フルトピウム(フルブロン)等の抗コリン薬等)、生物製剤(例えば、ノイロトロピン、アストレメジン、MSアンチゲン等)等が挙げられる。 本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質と併用薬物との併用に際しては、本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質と併用薬物の投与時期は限定されず、本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質と併用薬物とを、」投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。併用薬物の投与量は、臨床上用いられている投与量に準ずればよく、投与対象、投与ルート、疾患、組み合わせ等により適宜選択することができる。 本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質と併用薬物の投与形態は、特に限定されず、投与時に、本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質と併用薬物とが組み合わされていればよい。このような投与形態としては、例えば、(1)本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質と併用薬物とを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2) 本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3) 本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5) 本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質と併用薬物とを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質の順序での投与、あるいは逆の順序での投与)などが挙げられる。以下、これらの投与形態をまとめて、本発明の併用剤と略記する。 本発明の併用剤は、毒性が低く、例えば、本発明のスクリーニング方法でアレルギー性鼻炎の改善効果を有することが判定される被験物質または(および)上記併用薬物を自体公知の方法に従って、薬理学的に許容される担体と混合して医薬組成物、例えば、凍結乾燥注射剤、溶液注射剤、トローチ、舌下錠、点眼剤、鼻腔内噴霧剤、パップ剤、クリーム剤、ローション剤、錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、液剤、坐剤、徐放剤等として、経口的又は非経口的(例、局所、直腸、静脈投与等)に安全に投与することができる。 本発明の作製方法により得られるアレルギー性鼻炎モデル動物は、in vivo評価系において優れており、アレルギー性鼻炎、特にスギ花粉症に伴う鼻炎の予防・治療のために用いられる物質のスクリーニングに有用かつ効率的に適用することが可能である。また、本発明のアレルギー性鼻炎モデル動物を用いることにより、病態に伴い発現が変動する遺伝子の同定や動態の解明、タンパク発現変動の解析、遺伝子導入によるアレルギー性鼻炎治療効果の検討などの、アレルギー性鼻炎の病態メカニズムの解明を目的とした病態生理学的研究を、短期間で効率よく行うことができる。 以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれらに限定されるものではない。[実施例1] マウスへのCry j 1の感作および追加感作1. 感作マウスの作製(感作) 7週齢のB10.S雌マウス(日本エス エル シー株式会社から購入)15匹に上記の水酸化アルミニウムゲル(水酸化アルミニウム4.5 mg相当)に吸着させたCry j 1(10μg)を1週間間隔で3回、皮下に投与した。(メディエーターの投与) 追加感作の前日に、10μLのヒスタミン(10 ng)を、両鼻腔に投与した(図1)。(追加感作) 追加感作は、10μLのPBSに溶解させたCry j 1(2μg)を1日1回、5日間連続して両鼻腔に投与することで行った(図1)。2. 非追加感作マウスの作製 対照動物として、追加感作を行わず、10μLのPBSの投与を行ったマウスを作製した(図1)。[実施例2] 血中抗体の測定 追加感作後の血中抗体価を測定するため、メディエーター投与前にはマウスの尾静脈から、追加感作後にはエーテル麻酔下に眼窩静脈叢から採血を行い、得られた血漿あるいは血清中のCry j 1特異的IgE抗体価をFEIA法により測定した。以下にFEIA法のプロトコールを示す。なお、各略語は以下を意味する。PBS (pH7.2-7.4): リン酸緩衝生理食塩水(Phosphonate Buffered Saline)(塩化ナトリウム (8.0 g)、リン酸水素一水素ナトリウム (1.15 g)、リン酸二水素カリウム (0.2 g)および塩化カリウム (0.2 g)に水を加え、1 Lにした緩衝液)BSA : Bovine Serum Albumin(ウシ血清アルブミン)(1)抗マウスIgE抗体コーティング 抗マウスIgE抗体(02111D, PharMingen)を0.1 mol/L 炭酸ナトリウム−重炭酸ナトリウム緩衝液(pH8.2)で100μg/mLに調製し、100μL/wellずつブラックプレートに入れ、4℃で一晩静置してプレートをコーティングした。コーティングしたプレートを洗浄液(10 mmol/L Tris-HCl, 0.15 mol/L NaCl, 0.05 % Tween 20, pH7.5)で洗浄(洗浄液をプレートに添加し、数回浸透後、バッファーを除去し(3回繰り返し)、さらに過剰のバッファーを紙で除去)した。(2)ブロッキング プレートをブロッキングバッファー(1 % BSA含有PBS(1 % BSA/PBS)、200μL/well)でブロック後、プレートをカバーし、室温で30分間静置した。プレートを洗浄液(10 mmol/L Tris-HCl, 0.15 mol/L NaCl, 0.05 % Tween 20, pH7.5)で3回洗浄した。(3)標準物質および被験物(血清)の添加 マウススタンダード血清をブロッキングバッファー(1 % BSA含有PBS)で2倍希釈系列したもの、あるいは血清を種々の濃度に希釈したものをそれぞれ添加した(100μL/well)。プレートをカバーし室温で1時間静置し、プレートを洗浄液(10 mmol/L Tris-HCl, 0.15 mol/L NaCl, 0.05 % Tween 20, pH 7.5)で3回洗浄した。(4)ビオチン化Cry j 1の添加 ビオチン化Cry j 1(HBL-BC-1, Hayashibara Biochemical Laboratories, Inc.)をブロッキングバッファー(1 % BSA含有PBS)で希釈(50 ng/mL)しプレートに添加(100μL/well)した。プレートをカバーし室温で1時間静置後、洗浄液(10 mmol/L Tris-HCl, 0.15 mol/L NaCl, 0.05 % Tween 20, pH7.5)で5回洗浄した。(5)ストレプトアビジン-ガラクトシダーゼの添加 ストレプトアビジン-ガラクトシダーゼ(Molecular Probes)をブロッキングバッファー(1 % BSA含有PBS)で希釈(0.25μg/mL)しプレートに添加(100μL/well)した。プレートをカバーし室温で30分間静置後、洗浄液(10 mmol/L Tris-HCl, 0.15 mol/L NaCl, 0.05 % Tween 20, pH7.5)で5回洗浄した。(6)基質の添加および反応 発色基質(1 mmol/L 4-メチルウンベリフェニル-β-D-ガラクトピラノシド, 0.01 mol/L Phosphate Buffer, 0.1 mol/L NaCl, 1 mmol/L MgCl2,0.01 % NaN3, 0.1 % BSA, pH7.0)を添加し、37℃で2時間反応させた。0.2 mol/L Glycine- NaOH (pH 10.3) (100μL/well) を添加し、反応を終止した。蛍光強度(励起355 nm/測定460 nm)を測定することにより、Cry j 1特異的IgE抗体価を測定した。 得られた血清中のCry j 1特異的IgE抗体価を図2に示す。 図2に示すように、実施例1でCry j 1の点鼻により追加感作させたマウスは、血清中にCry j 1特異的IgE抗体価を高く上昇させることができる。[実施例3] マウスへのCry j 1の感作および追加感作1. 感作マウスの作製(感作) 7週齢のB10.S雌マウス(日本エス エル シー株式会社から購入)10匹に上記の水酸化アルミニウムゲル(水酸化アルミニウム4.5 mg相当)に吸着させたCry j 1(10μg)を1週間間隔で3回、皮下に投与した。(メディエーターの投与) 追加感作の前日に、10μLのヒスタミン(10 ng)を、両鼻腔に投与した(図3)。(追加感作) 追加感作は、10μLのPBSに溶解させたCry j 1(2μg)を1日1回、5日間連続して両鼻腔に投与することで行った(図3)。2. 非メディエーター投与マウスの作製 対照動物として、ヒスタミンの投与を行わなわず、10μLのPBSの投与を行ったマウスを作製した(図3)。[実施例4] くしゃみ反応回数の測定 くしゃみ反応回数の測定は、Cry j 1点鼻5日目に実施した。Cry j 1点鼻後、くしゃみ反応回数を測定するため、マウスを1匹ずつポリカーボネートケージに移し、5分間観察を行って、くしゃみ反応回数を計測した。得られたくしゃみ反応回数を図4に示す。 図4に示すように、実施例3でCry j 1の点鼻の前にヒスタミンを投与したマウスは、くしゃみ反応回数を多くさせることができる。[実施例5] 血中抗体の測定 追加感作後の血中抗体価を測定するため、ヒスタミン投与前にはマウスの尾静脈から、追加感作後にはエーテル麻酔下に眼窩静脈叢から採血を行い、得られた血漿あるいは血清中のCry j 1特異的IgE抗体価をFEIA法により測定した。 図5に示すように、実施例3でCry j 1の点鼻の前にヒスタミンを投与したマウスは、血清中にCry j 1特異的IgE抗体価を高く上昇させることができる。 本発明の作製方法により得られるアレルギー性鼻炎モデル動物は、in vivo評価系において優れており、アレルギー性鼻炎、特にスギ花粉症に伴う鼻炎の予防・治療のために用いられる物質のスクリーニングに有用かつ効率的に適用することが可能である。また、本発明のアレルギー性鼻炎モデル動物を用いることにより、病態に伴い発現が変動する遺伝子の同定や動態の解明、タンパク発現変動の解析、遺伝子導入によるアレルギー性鼻炎治療効果の検討などの、アレルギー性鼻炎の病態メカニズムの解明を目的とした病態生理学的研究を、短期間で効率よく行うことができる。Cry j 1 感作マウスおよびCry j 1非追加感作マウスの作製プロトコールを示す図である。血清中のCry j 1特異的IgE抗体価(平均値)を示す図である。縦軸はCry j 1特異的Ig E抗体価を、横軸は追加感作の時期を示す。Cry j 1感作マウスおよびメディエーター 非投与マウスの作製プロトコールを示す図である。くしゃみ反応回数(平均値)を示す図である。縦軸はくしゃみ反応回数を、横軸はメディエーター投与の種類を示す。血清中のCry j 1特異的IgE抗体価(平均値)を示す図である。縦軸はCry j 1特異的IgE抗体価を、横軸は追加感作の時期を示す。 マウスに(a)ヒスタミンを投与する工程、ならびに(b)スギ花粉アレルゲンCry j 1および/またはCry j 2を投与する工程を含み、かつ前記マウスがB10.S、BALB/c、CBF1またはDBA/2マウスである、アレルギー性鼻炎モデルマウスの作製方法。 投与が鼻腔、皮下、経口、点眼、口腔、足蹠あるいは腹腔内投与である請求項1記載の方法。 (b)スギ花粉アレルゲンCry j 1および/またはCry j 2を投与する工程を行った後、鼻腔内投与により、(a)ヒスタミンを投与する工程とその後の(b)スギ花粉アレルゲンCry j 1および/またはCry j 2を投与する工程とを行う、請求項1または2記載の方法。 (a)ヒスタミンを投与する工程の前の(b)スギ花粉アレルゲンCry j 1および/またはCry j 2の投与を、皮下投与により行う、請求項3記載の方法。 スギ花粉アレルゲンCry j 1および/またはCry j 2が、水酸化アルミニウムに吸着させたスギ花粉アレルゲンCry j 1および/またはCry j 2である請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。 請求項1〜5のいずれか1項記載の方法で得られたアレルギー性鼻炎モデルマウス。 請求項6記載のマウスに被験物質を投与し、アレルギー性鼻炎に対する効果を検定することを特徴とするアレルギー性鼻炎治療を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法。


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