タイトル: | 公開特許公報(A)_過敏性腸症候群処置剤 |
出願番号: | 2004039054 |
年次: | 2005 |
IPC分類: | 7,A61K45/06,A61K31/4178,A61K31/4184,A61K31/437,A61K31/439,A61K31/4745,A61K31/496,A61K31/4995,A61K31/506,A61K31/538,A61P1/00 |
佐藤 道隆 松井 照明 朝烏 章 林 博之 荒木 誠一 玉置 賢 高橋 伸行 山本 淑子 山本 則夫 小川 ちさと JP 2005225844 公開特許公報(A) 20050825 2004039054 20040216 過敏性腸症候群処置剤 帝国臓器製薬株式会社 000002990 小田島 平吉 100060782 江角 洋治 100074217 佐藤 道隆 松井 照明 朝烏 章 林 博之 荒木 誠一 玉置 賢 高橋 伸行 山本 淑子 山本 則夫 小川 ちさと 7A61K45/06A61K31/4178A61K31/4184A61K31/437A61K31/439A61K31/4745A61K31/496A61K31/4995A61K31/506A61K31/538A61P1/00 JPA61K45/06A61K31/4178A61K31/4184A61K31/437A61K31/439A61K31/4745A61K31/496A61K31/4995A61K31/506A61K31/538A61P1/00 4 OL 7 4C084 4C086 4C084AA02 4C084AA03 4C084AA20 4C084MA35 4C084MA52 4C084NA05 4C084NA14 4C084ZA661 4C086AA01 4C086BC38 4C086BC39 4C086BC50 4C086BC80 4C086CB05 4C086CB09 4C086CB16 4C086GA07 4C086GA10 4C086GA12 4C086GA16 本発明は、セロトニン受容体サブタイプ3(以下、「5−HT3」という)拮抗作用及びセロトニン受容体サブタイプ1A(以下、「5−HT1A」という)作動作用の両作用を同時に発現させることにより、過敏性腸症候群(Irritable Bowel Syndrome;以下、「IBS」という)を処置するための医薬品に関する。 IBSは下痢や便秘等の便通異常や腹痛を主症状とする疾患であり、腸管の器質的病変を認めない機能的疾患である。IBSは、腸管運動異常、内臓知覚過敏及び心理・社会的因子が相互に関連し合って生ずる。 腸管には種々のセロトニン受容体サブタイプが存在するが、このうち、5−HT3は腸管収縮、腸液分泌、蠕動運動、内容物輸送等に関与している。したがって、IBSによる下痢症状が5−HT3拮抗剤によって改善されることがあり、実際に米国において、5−HT3拮抗作用を有するアロセトロン(alosetron)がIBS治療薬として承認されている。 特許文献1及び特許文献2には、オンダンセトロン(ondansetron)、アロセトロン(alosetron)、トロピセトロン(tropisetron)、グラニセトロン(granisetron)などの種々の5−HT3拮抗剤が非便秘型女性IBSに対して有用であることが記載されている。 一方、IBSには心理的・社会的因子も関与していることから、抗不安薬がIBSの治療において何らかの有用性を示す可能性もあり、この可能性を拠り所にして、ベンゾジアゼピン系抗不安薬がIBSの治療に用いられる場合もある。最近、副作用がより少ない非ベンゾジアゼピン系化合物からなるセロトニン作動性の抗不安薬が開発され、該化合物のIBS治療における有用性が期待されている。 我が国においては、5−HT1A作動剤であるタンドスピロン(tandospirone)がストレス性消化性潰瘍等を適応症として上市されている。ストレス性消化性潰瘍の適応は、タンドスピロンの有する抗不安作用により、潰瘍の原因であるストレスを解消することに由来するものである。 非特許文献1には、5−HT1A受容体に対して選択的に親和性を有するピリミジノン誘導体が開示されている。この文献においては、ピリミジノン誘導体の5−HT1A受容体への選択性がα1受容体に対する選択性との比較において検討されている。 このように、種々の5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤が開発又は上市されているが、5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤のいずれも、作用が単一であるため、複数の成因を有するIBSに対して十分な治療効果を発揮するまでには至っていない。また、IBSに対して5−HT3拮抗作用及び5−HT1A作動作用の両作用を発現させる試みは行われていない。 非特許文献2には、5−HT1A及び5−HT3の両受容体に親和性を有するベンズイミダゾール−アリルピペラジン誘導体が開示されている。この文献においては、当該誘導体の神経系に対する作用について記載されている。PCT国際公開WO 99/17755パンフレット米国特許第6,284,770号明細書J.Med.Chem.,40,574−585(1997)Bioorg.Med.Chem.Lett.,13,3177−3180(2003) 本発明の目的は、5−HT3拮抗作用及び5−HT1A作動作用の両作用を同時に発現させるための医薬品を提供することである。 本発明の目的は、また、5−HT3拮抗作用及び5−HT1A作動作用の両作用を同時に発現させることによりIBSを処置するための薬剤を提供することである。 今回、本発明者らは、5−HT3拮抗剤と5−HT1A作動剤とを、それぞれの薬剤がもつ作用が生体内で同時的に発現するようにして、同時に、順次に又は間隔をおいて投与すると、5−HT3と5−HT1Aの両者が関連する疾患、殊にIBSの処置に有用であることを見い出し、本発明を完成するに至った。 かくして、本発明によれば、5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤の組み合わせからなり、それらを同時に、順次に又は間隔をおいて投与するための医薬品が提供される。 本発明によれば、また、5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤の組合わせからなり、それらを同時に、順次又は間隔をおいて投与するためのIBS処置剤が提供される。 本明細書において使用しうる5−HT3拮抗剤は、5−HT3拮抗作用を有するものであれば特に制約はなく、既知の化合物であっても又は新規な化合物であってもよい。具体的には例えば、アロセトロン(alosetron)、グラニセトロン(granisetron)、アザセトロン(azasetron)、トロピセトロン(tropisetron)、ラモセトロン(ramosetron)、オンダンセトロン(ondansetron)、レリセトロン(lerisetron)、シランセトロン(cilansetron)、イタセトロン(itasetron)、インディセトロン(indisetron)、ドラセトロン(dolasetron)又は(R)ザコプリド((R)zacopride)などが挙げられ、中でも特に、アロセトロン(alosetron)及びシランセトロン(cilansetron)が好適である。本発明においては、5−HT3拮抗剤としては、5−HT3拮抗作用のみを有する化合物に加えて、5−HT3拮抗作用以外の薬理作用を併有する化合物も同様に使用することができる。 本発明において上記5−HT3拮抗剤と組み合わせて使用される5−HT1A作動剤もまた、5−HT1A作動作用を有するものであれば特に制約はなく、既知の化合物であっても又は新規な化合物であってもよく、具体的には例えば、タンドスピロン(tandospirone)を挙げることができる。また、本発明においては、5−HT1A作動剤としては、5−HT1A作動作用のみを有する化合物に加えて、5−HT1A作動作用以外の薬理作用を併有する化合物も使用することができる。 5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤は、生体内において5−HT3拮抗作用及び5−HT1A作動作用の両作用が実質的に同時に発現するようにして投与することが望ましい。 5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤が生体内でその作用を発現する時期は、有効成分化合物の種類や製剤形態等によって異なるが、その作用発現時期は個々の薬剤の投与後の血中濃度の推移や薬物動態等を調べることによって容易に知ることができるので、本発明の医薬品においては、それら医薬品を構成する5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤のそれぞれの作用発現時期がほぼ同時となるようにして個々の薬剤を投与するようにすることが望ましい。5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤として投与後の作用の発現時期がほぼ同じであるものを使用する場合には、両薬剤は同時に又は順次に投与することができる。他方、5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤として作用発現時期に差があるものを使用する場合には、その差の分だけ間隔をおいて投与することができ、それによって、生体内において両薬剤の作用を同時的に発現させることができる。 かくして、本発明の医薬品は、5−HT3拮抗剤と5−HT1A作動剤とが一緒になった合剤の形態とすることができ、或いは5−HT3拮抗剤と5−HT1A作動剤とを別個に製剤化し且つ包装し、それらを組み合わせて使用することができるようにした形態(例えば、キットの形態)としてもよい。 本明の医薬品によるIBSの処置の効果は、以下に述べる薬理実験によって示すことができる。以下に述べる薬理実験においては、特に、本発明の組み合わせ薬剤が、5−HT3拮抗剤又は5−HT1A作動剤のそれぞれ単独での使用の場合と比較して優れていることを示す。ラットの拘束ストレスによる排便亢進の実験: 6令のSD系雄性ラットを各群6〜8匹に分け、実験前日より5連ケージにて個別飼育し、環境に馴化させた。また、餌および飲料水は実験当日の朝まで自由に摂取させた。 タスピロン:3mg/kg、アロセトロン:1mg/kg、及びタンドスピロン:3mg/kg+アロセトロン:1mg/kgの3通りの被検化合物(各被検化合物は適量の生理食塩水に溶解希釈して用いた)それぞれをラットの腹腔内に投与し、その5分後に、軽いエーテル麻酔下にて前肢を含む上半身をガムテープで固定して、拘束ストレス負荷を開始した。拘束ストレス負荷を開始してから1時間の間に排泄された糞の数を測定した。下記表Aに各実験群での排便数を示す。なお、生理食塩水を投与して拘束ストレス負荷しない動物群をNormal群、生理食塩水を投与して拘束ストレスも負荷する動物群をControl群とした。 かくして、本発明の医薬品は、ヒト、その他の哺乳動物のIBSに対する処置のために経口投与又は非経口投与(例えば、筋注、静注、直腸投与、経皮投与など)することができる。その投与形態は、使用する各薬剤の種類などに応じて、固体形態(例えば、錠剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、細粒剤、丸剤、トローチ錠など)、半固体形態(例えば、坐剤、軟膏など)又は液体形態(例えば、注射剤、乳剤、懸濁液、ローション、スプレーなど)のいずれかの製剤形態とすることができる。 本発明の医薬品を構成する各薬剤の投与量は、対象とするヒトをはじめとする温血動物の種類、投与経路、症状の軽重、医師の診断等により広範に変えることができるが、一般には、5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤それぞれにつき、1日当たり0.01〜5mg/kg、好適には0.02〜2mg/kgの範囲内とすることができる。しかし、上記の如く患者の症状の軽重、医師の診断等に応じて、上記範囲の下限よりも少ない量又は上限よりも多い量を投与することはもちろん可能である。上記投与量は1日1回又は数回に分けて投与することができる。 以下、製剤例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。製剤例1 mg/錠 タンドスピロン 3.0アロセトロン 1.0でん粉 10.0乳糖 74.0カルボキシメチルセルロースカルシウム 10.0タルク 1.0ステアリン酸マグネシウム 1.0 100.0 タンドスピロン及びアロセトロンの混合物を70μm以下の粒度に粉砕し、それにでん粉、乳糖及びカルボキシメチルセルロースカルシウムを加えてよく混合する。10%のでん粉のりを上記混合粉体に加えて攪拌混合し、顆粒を製造する。乾燥後粒径を1000μm前後に整粒し、これにタルク及びステアリン酸マグネシウムを混合し、打錠する。製剤例2 製剤例1と同様にして、錠剤を製造する。 mg/錠 タンドスピロン 5.0でん粉 10.0乳糖 73.0カルボキシメチルセルロースカルシウム 10.0タルク 1.0ステアリン酸マグネシウム 1.0 100.0製剤例3 製剤例1と同様にして、錠剤を製造する。 mg/錠 アロセトロン 2.0でん粉 10.0乳糖 76.0カルボキシメチルセルロースカルシウム 10.0タルク 1.0ステアリン酸マグネシウム 1.0 100.0 セロトニン受容体サブタイプ3(5−HT3)拮抗剤及びセロトニン受容体サブタイプ1A(5−HT1A)作動剤の組み合わせからなり、それらを同時に、順次に又は間隔をおいて投与するための医薬品。 5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤の組み合わせからなり、それらを同時に、順次に又は間隔をおいて投与するための過敏性腸症候群(IBS:Irritable Bowel Syndrome)処置剤。 5−HT3拮抗剤がアロセトロン(alosetron)、グラニセトロン(granisetron)、アザセトロン(azasetron)、トロピセトロン(tropisetron)、ラモセトロン(ramosetron)、オンダンセトロン(ondansetron)、レリセトロン(lerisetron)、シランセトロン(cilansetron)、イタセトロン(itasetron)、インディセトロン(indisetron)、ドラセトロン(dolasetron)又は(R)−ザコプリド((R)−zacopride)から選ばれる請求項1に記載の医薬品又は請求項2に記載の処置剤。 5−HT1A作動剤がタンドスピロン(tandospirone)である請求項1に記載の医薬品又は請求項2に記載の処置剤。 【課題】 5−HT3拮抗作用及び5−HT1A作動作用の両作用を同時に発現させることによるIBSの処置に有効な医薬品を提供すること。【解決手段】 5−HT3拮抗剤及び5−HT1A作動剤の組み合わせからなり、それらを同時に、順次に又は間隔をおいて投与するための、特にIBSの処置のための医薬品。【選択図】 なし