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タイトル:公開特許公報(A)_活性汚泥処理方法および処理装置並びに排水処理方法
出願番号:2004034588
年次:2005
IPC分類:7,C02F3/34,C12M1/40,C12N1/00,C12N11/02


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細原 禎夫 田中 良幸 岡田 耕治 JP 2005224679 公開特許公報(A) 20050825 2004034588 20040212 活性汚泥処理方法および処理装置並びに排水処理方法 東レ株式会社 000003159 細原 禎夫 田中 良幸 岡田 耕治 7C02F3/34C12M1/40C12N1/00C12N11/02 JPC02F3/34 ZC12M1/40 ZC12N1/00 SC12N11/02 6 OL 9 4B029 4B033 4B065 4D040 4B029AA02 4B029AA21 4B029BB02 4B029BB07 4B029CC02 4B029CC10 4B029DB11 4B033NA12 4B033NA14 4B033NB33 4B033NB62 4B033NB68 4B033NC04 4B033ND07 4B033ND20 4B033NE02 4B065AA15X 4B065AA30X 4B065AA72X 4B065AA99X 4B065AC20 4B065BA22 4B065BA24 4B065BC01 4B065BC05 4B065BC24 4B065BC43 4B065CA56 4B065CA60 4D040DD03 4D040DD07 4D040DD31 本発明は、有機排水の生物学的処理による活性汚泥処理方法および処理装置に関し、さらには活性汚泥を用いて有機性排水を処理する排水処理方法に関する。 活性汚泥は、多数の好気性の微生物・細菌や有機・無機性の浮遊物質などからなるゼラチン状のフロックで、排水中に含まれる有機物を吸着して、酸化し凝集して沈降分離する能力に優れている。そのため、排水中の有機物を活性汚泥に分解させ、排水を浄化するという方法は従来から知られている。このような活性汚泥による処理は、土砂、粗大な浮遊物質などを除去し、水量・水質の平均化、また必要に応じて希釈、pH調整、栄養塩類の添加を行った後、排水を曝気槽に導入し、通気撹拌下で活性汚泥と接触させて、排水中の有機物を活性汚泥により吸着・酸化するものである。活性汚泥混合液は次の沈殿槽で重力沈降により活性汚泥と処理水とに分離され、処理水は塩素滅菌後に放流され、活性汚泥の一部は返送汚泥として曝気槽に戻され、一部は余剰汚泥として系外に排出され、産業廃棄物として処分される。 従来より、この活性汚泥法の排水浄化性を向上させる提案がなされている。例えば連続気泡法構造のポリビニルアルコール系スポンジを用いる活性汚泥法(例えば、特許文献1参照)、ポリプロピレン発泡体を用いる活性汚泥法(例えば、特許文献2参照)、スポンジ状吸水ゲル担体を用いる活性汚泥法(例えば、特許文献3参照)などが提案されている。 しかしながら、スポンジ状担体を用いることによりある程度の排水浄化性は得られるものの、逆に余剰汚泥や悪臭が増えたりして、余剰汚泥の処分コストは高くしかも排水処理の作業環境が著しく悪いものであった。特開平9−10789号公報特開2000−279983号公報特開2001−62477号公報 本発明の課題は、上記従来の問題点を解決し、排水浄化性、余剰汚泥の抑制性および消臭効果に優れた活性汚泥処理方法および処理装置並びに排水処理方法を提供することにある。 上述の課題を解決するために、本発明は次の構成を有する。 すなわち、 (1)活性汚泥による有機排水の生物学的処理工程において、食物製造用微生物群およびその保持担体を曝気槽内および/または沈殿槽内に導入することを特徴とする活性汚泥処理方法。 (2)前記食物製造用微生物群が下記[A]〜[C]を含む微生物群であることを特徴とする前記(1)に記載の活性汚泥処理方法。 [A]:納豆菌 [B]:酵母 [C]:乳酸菌 (3)前記食物製造用微生物群の比率が[A]:[B]:[C]=1:101〜105:102〜106であることを特徴とする前記(2)に記載の活性汚泥処理方法。 (4)前記保持担体が平均細孔100〜10000μm、真比重1.0〜1.6g/cm3、嵩密度0.01〜0.30g/cm3であるスポンジ状担体であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の活性汚泥処理方法。 (5)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の活性汚泥処理方法を用いて有機性排水を処理することを特徴とする排水処理方法。 (6)活性汚泥による有機排水の生物学的処理装置において、曝気槽内および/または沈殿槽内に食物製造用微生物群およびその保持担体が導入されてなることを特徴とする活性汚泥処理装置。 本発明により、排水浄化性、余剰汚泥の抑制性および消臭効果に優れた活性汚泥処理方法および処理装置並びに廃水処理方法を提供することができる。 本発明の活性汚泥処理方法は、活性汚泥による有機排水の生物学的処理工程において、食物製造用微生物群およびその保持担体を曝気槽内および/または沈殿槽内に導入することを特徴とするものである。すなわち、活性汚泥による有機排水の生物学的処理工程において、特定の微生物群と保持担体とを曝気槽内および/または沈殿槽内に導入することを特徴とするものであり、これによって、排水浄化性、余剰汚泥の抑制性および消臭効果に優れたものとすることができる。 本発明において用いられる食物製造用微生物は、納豆、アルコール類、食酢、醤油、ヨーグルトなどの食物を製造する微生物であり、具体的には納豆菌、酵母、麹菌、乳酸菌、酢酸菌などが挙げられる。 本発明において上述の効果をさらに上げるために、以下の[A]〜[C]を含む微生物群であることが好ましい。 [A]:納豆菌 [B]:酵母 [C]:乳酸菌 本発明の納豆菌[A]は、バチルス サブチリス(Bacillus subtilis)、バチルス セレウス(Bacillus cereus)、バチルス メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス サーカランス(Bacillus circulans)、バチルス リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)などの強力糸引納豆菌が好ましく、プロテナーゼ(proteinase)を生産するバチルス サブチリス(Bacillus subtilis)がさらに好ましい。 本発明の酵母[B]は、有胞子酵母科に分類される酵母であり、サッカロマイセス セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス ウバルム(Saccharomyces uvarum)、サッカロマイセス ジアスタティクス(Saccharomyces diastaticus)、クルベロマイセス フラギリス(Kluyveromyces fragilis)、ハンセニアスポラバルエニス(Hanseniaspora valbyensis)、シゾサッカロマイセス ポムベ(Shizosaccharomyces pombe)、ピチア メンブラナエファシエンス(Pichia membranaefaciens)、リポマイセス スターキー(Lipomyces starkeyi)、ブレッタノマイセス カンディダ ウティリス(Brettanomyces、Candida utilis)、トリコスポロン(Trichosporon)などが好ましく、上面発酵のサッカロマイセス セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae)がさらに好ましい。 本発明の乳酸菌[C]は、ラクトバチルス デルブルキ(Lactobacillus delbrukii)、ラクトバチルス ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ラクトバチルス カセイ(Lactobacillus casei)、ステレプトコックス サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)、ステレプトコクス ラクチス(Streptococcus lactis)、レウコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)、ラクトバチルス ペントセチウス(Lactobacillus pentoacetius)などの活性乳酸菌が好ましく、ラクトバチルス デルブルキ(Lactobacillus delbrukii)、ラクトバチルス ブルガリクス(Lactobacillus bulgaricus)、ステレプトコックス サーモフィラス(Streptococcus thermophilus)がさらに好ましい。 本発明の微生物群の比率は納豆菌[A]を1としたとき、酵母[B]、および乳酸菌[C]の割合が、[A]:[B]:[C]=1:101〜105:102〜106の範囲であることが好ましく、1:102〜104:103〜105の範囲であることがさらに好ましい。[A]に対して[B]が101未満であったり、[C]が102未満であったりすると排水浄化性、余剰汚泥の抑制性や消臭効果が小さくなる。 本発明の微生物群の培養は特に限定されず常用の方法でよく、例えば37℃の井戸水に糖蜜やシロップなどの糖類を溶かし、次いで酵母、乳酸菌、納豆菌の順で各々溶かして3日間37℃を維持して温めて、培養液1ml当たりの微生物群の総数を100万匹以上なるように培養するという方法などがある。 本発明の微生物群の培養液は有機排水への添加は、有機排水に対して0.001〜10%であることが好ましく、0.01〜1%であるとさらに好ましい。0.001%未満であると排水浄化性、余剰汚泥の抑制性や消臭効果が小さくなり、逆に10%を越えると排水処理コストが高くなったり、排水処理負荷が高くなり排水処理性の効果が小さくなる。 本発明の保持担体は、食物製造用細菌を保持できる担体であり、その形態は特に限定されず、スポンジ状、フェルト状、ゲル状、顆粒状などの何れの形態であっても良いが、スポンジ状であることが好ましい。 さらに、スポンジ状担体としては、平均細孔が100〜10000μm、真比重が1.0〜1.6g/cm3、嵩密度が0.01〜0.30g/cm3であることが好ましく、平均細孔が100〜5000μm、真比重が1.2〜1.4g/cm3、嵩密度が0.04〜0.12g/cm3であることがさらに好ましい。平均細孔、真比重および嵩密度がこれらの範囲から外れると微生物の定着が悪くなり排水処理性が小さくなる。 スポンジ状担体の形状については特に限定されず、サイコロ状、球状、不定形のものなどが使用できる。大きさは長径が1〜50mm程度のものが好ましい。 スポンジ状担体の素材については特に限定されず、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン、ポリエチレン、セルロースなどが使用できるが、ポリウレタンやセルロースなどの生物適合性の良いものが好ましい。 上記の保持担体は活性汚泥処理工程の曝気槽または沈殿槽、あるいは曝気槽および沈殿槽に導入される。 曝気槽としては、特に限定されないが、BODの酸化及び生物の呼吸に必要な酸素の供給や槽内の汚泥混合液の均一な混合などができる散気方式または機械方式の装置や構造を備えた円形型または長方形の槽であり、うね溝式、旋回流式、じゃま板付旋回流式、表面撹拌式、シンプレックス式、オーバーフロー式の装置や構造を備えた槽などが適用できる。 特に好気生分解が盛んな曝気槽への導入が好ましい。 沈殿槽としては、特に限定されないが、曝気槽からの流入水を活性汚泥と上澄水(処理水)に分離し、槽下部に沈降した汚泥や槽上部の上澄水をそれぞれ別々に槽外へ排出できる機械式の装置や構造を備えた円形型または長方形型の槽であり、水平流式(横流式)、垂直流式(縦流式)、周辺駆動式などが適用できる。 保持担体の導入量は、曝気槽および/または沈殿槽の容積の0.01〜30%が好ましく、0.1〜10%がさらに好ましい。導入量がこの範囲から外れると微生物の定着が悪くなり、排水処理性が小さくなる。 以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、本例中の微生物群比率、平均細孔、真比重、嵩密度は次の方法により求めた。(1)微生物群比率 マイクロピペットにより採取した微生物培養液10μlをスリット入スライド(10mm枠の中に0.1mm間隔のスリット)上に垂らした後、カバーガラスを載せて400倍の倍率で顕微鏡観察を行い、1スリット(1mm2)当たりに存在する乳酸菌、酵母、納豆菌の数をそれぞれ数える。(2)平均細孔 105℃×2hで絶乾し25℃に温調したスポンジ状担体を鋭利な刃物で切断し、その切断面を現れた細孔断面を無作為に50カ所抽出し、スケールにて細孔の直径を測定し、その平均値を平均細孔とする。(3)真比重 25℃に温調した100mlのメスシリンダーに25℃の水50mlを正確に入れる。105℃×2hで絶乾し25℃に温調したスポンジ状担体を約40mlの重量(G)を計測する。スポンジ状担体をメスシリンダーに静かに入れ水中へ沈め、水位(Lw)を計測し、下式より真比重(Dt)を算出する。 Dt = G /( Lw − 50 )(4)嵩密度 105℃×2hで絶乾し25℃に温調したスポンジ状担体を鋭利な刃物で切断し、50個の立方体または直方体を作製し、たて(L)、よこ(W)、高さ(H)および重さ(G)をスケールにて計測し、下式より個別の嵩密度(Db)を算出し、その平均値を全体の嵩密度とする。 Db = G /( L × W × H )(5)処理水BOD 沈殿槽出の処理水について、JIS K−0102に準じてBODを測定した。50以下mg/lを望ましいとした。(6)余剰汚泥 増殖した活性汚泥を沈殿槽から抜き出した量を計測した。抜き出し汚泥量の2ヶ月の累積量が12g以下であることを望ましいとした。(7)消臭性 曝気槽内および沈殿槽での悪臭発生の度合いを以下の3段階で判定し、○を望ましいとした。 ○:悪臭がしない △:悪臭が少しする ×:悪臭がする [実施例1および比較例1] 有機排水の活性汚泥処理を以下の条件にて行った。実施例1では表1に示す微生物群として環境浄化微生物“えひめAI−1号”(愛媛県工業技術センター製)を有機排水の0.05%、スポンジ状担体としてウレタン発砲体を曝気槽容積の0.3%をそれぞれ添加している。比較例1では微生物群やスポンジ状担体も添加していない。 有機排水BOD =4500mg/l MLSS =6000mg/l BOD汚泥負荷 =0.36g/g・日 DO(溶存酸素)=2mg/l 曝気槽:散気式(旋回流式:円形型) 沈殿槽:垂直流式(円形型) 上述の条件にて有機排水の活性汚泥処理を2ヶ月行い、上述の(5)〜(7)の評価を行い、その結果を表2に示した。本発明の実施例では、◎(優秀)、○(良)を合格とした。 その結果、本発明の活性汚泥処理方法では、優れた排水浄化性、余剰汚泥の抑制性および消臭効果を併せもっていたが、比較例の活性汚泥処理法では併せもっていなかった。 本発明の活性汚泥処理方法は、余剰汚泥の削減や消臭効果が求められる分野に広く適用することができる。活性汚泥による有機排水の生物学的処理工程において、食物製造用微生物群およびその保持担体を曝気槽内および/または沈殿槽内に導入することを特徴とする活性汚泥処理方法。前記食物製造用微生物群が下記[A]〜[C]を含む微生物群であることを特徴とする請求項1に記載の活性汚泥処理方法。 [A]:納豆菌 [B]:酵母 [C]:乳酸菌前記食物製造用微生物群の比率が[A]:[B]:[C]=1:101〜105:102〜106であることを特徴とする請求項2に記載の活性汚泥処理方法。前記保持担体が平均細孔100〜10000μm、真比重1.0〜1.6g/cm3、嵩密度0.01〜0.30g/cm3であるスポンジ状担体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の活性汚泥処理方法。請求項1〜4のいずれかに記載の活性汚泥処理方法を用いて有機性排水を処理することを特徴とする排水処理方法。活性汚泥による有機排水の生物学的処理装置において、曝気槽内および/または沈殿槽内に食物製造用微生物群およびその保持担体が導入されてなることを特徴とする活性汚泥処理装置。 【課題】排水浄化性、余剰汚泥の抑制性および消臭効果に優れた活性汚泥処理方法を提供する。【解決手段】活性汚泥による有機排水の生物学的処理工程において、食物製造用微生物群およびその保持担体を曝気槽内および/または沈殿槽内に導入することを特徴とする活性汚泥処理方法。【選択図】なし


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