タイトル: | 特許公報(B2)_硫化ポリイソブチレンベースの摩耗・酸化防止剤 |
出願番号: | 2004022131 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07D 339/04,C10M 125/26,C10M 135/34,C10M 137/10,C10M 169/04,C10N 10/02,C10N 20/00,C10N 20/04,C10N 40/04 |
ケニス・ネルソン フランク・プラバック JP 4895478 特許公報(B2) 20120106 2004022131 20040129 硫化ポリイソブチレンベースの摩耗・酸化防止剤 シェブロン・オロナイト・カンパニー・エルエルシー 598037547 柳川 泰男 100074675 ケニス・ネルソン フランク・プラバック US 10/355539 20030130 20120314 C07D 339/04 20060101AFI20120223BHJP C10M 125/26 20060101ALI20120223BHJP C10M 135/34 20060101ALI20120223BHJP C10M 137/10 20060101ALI20120223BHJP C10M 169/04 20060101ALI20120223BHJP C10N 10/02 20060101ALN20120223BHJP C10N 20/00 20060101ALN20120223BHJP C10N 20/04 20060101ALN20120223BHJP C10N 40/04 20060101ALN20120223BHJP JPC07D339/04C10M125/26C10M135/34C10M137/10 AC10M169/04C10N10:02C10N20:00 ZC10N20:04C10N40:04 C07D327/00−347/00 C10M101/00−177/00 CAplus/REGISTRY(STN) 特開昭63−183183(JP,A) 米国特許第03427246(US,A) 特表昭61−500266(JP,A) 特開昭64−026697(JP,A) 特表平06−503101(JP,A) 特開2001−348592(JP,A) 特開2002−275492(JP,A) 特開2002−129184(JP,A) 特開2002−097488(JP,A) 特開平05−263090(JP,A) 米国特許第05408018(US,A) 特開2002−173411(JP,A) 米国特許第02658900(US,A) 米国特許第02995569(US,A) LANDIS, P.S.,Chem. Rev.,65,pp.237-245 (1965) 27 2004231654 20040819 26 20060906 三上 晶子 本発明は、一部では、高濃度のメチルビニリデン異性体(高反応性ポリイソブテン、HR PIB)を含むポリイソブチレン(類)を好適な温度で硫化することにより製造された硫化オレフィン組成物及び成分に関するものであり、ポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物及びその誘導体も含まれる。また、本発明は、硫化ポリイソブチル反応生成物の製造方法、そのような化合物の使用、およびそれらを含む潤滑剤組成物、並びポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物及びその誘導体を含む強化組成物を開示する。 硫化オレフィン、例えば硫化イソブチレン、およびそのような硫化イソブチレンを含む潤滑剤組成物については、極圧および耐摩耗能力を付与する潤滑剤添加剤として、当該分野ではよく知られている。 重荷重下で作動する機械やエンジンの金属表面は、金属と金属が滑り合う箇所であり、過度の摩耗または腐食が進行することがある。金属表面を保護するために使用された潤滑剤はしばしば、そのような重荷重下で劣化して、その結果、金属と金属の接触箇所での摩耗を防げない。これによって、機械やエンジンの性能が悪くなり、そして深刻な場合には機械やエンジンは全く作動しなくなる。硫化オレフィンを潤滑剤添加剤として加えると多少の利点を示すものの、多くの場合に、その適用は制限されている。その理由は、オレフィンの種類によっては、望まなしくない腐食特性(特に、銅に対して)を示し、作動中に悪臭のある副生成物を生じ、そして/あるいは安定性と混合性に問題があるからである。 硫化オレフィンは、極圧/耐摩耗活性を必要とする多数の潤滑剤用途において広く使用されている。イソブチレンなどの硫化C3〜C8オレフィンを含むこれらの硫化オレフィンについては、特許文献1、2及び3に記載されている。これらの特許文献および特許文献4では一般に、その合成のある段階でオレフィンをハロゲン化硫黄を用いてスルホハロゲン化して、硫化生成物を製造する方法が用いられている。 硫化オレフィンは、オレフィンを硫黄と硫化水素で直接硫化することによっても製造される(特許文献5、6、7、8、9及び10を参照)。例えば、特許文献10には、ジシクロペンタジエンなど種々のオレフィン系炭化水素を硫黄と硫化水素とで硫化することが記載されている。また、オレフィン系供給原料を硫黄と水素に接触させることにより硫化化合物を製造する方法も開示されている。オレフィンはイソブテンであってもよく、また触媒はアンモニアまたはアミンであってもよい。一般に、これら生成物は多硫化アルキル−アルケニルの混合物および高分子量多硫化物である。 ジイソブチレンやトリイソブチレンなどのオレフィンを硫黄で直接硫化することについては、例えば特許文献11及び12に記載されている。すなわち、これら特許文献には、トリイソブチレンを用いると、少量の有機硫化物と多硫化物とで、4−ネオペンチル−5−第三級ブチル−1,2−ジチオール−4−シクロペンテン−3−チオンが独占的に生成することが記載されている。直接硫化法では、低圧と高圧のいずれでも高温が用いられた。特許文献13には、チオニウムメトスルフェートの中間体として、数種類の1,2−ジチオール−3−チオン誘導体が開示されている。特許文献14には、1,2−ジチオール−3−チオンのアルキルチオ及びアルキルアリールチオ誘導体が開示されている。特許文献15には、オレフィンを環状多二硫化物と反応させることにより製造された環状硫化オレフィンが開示されている。特許文献16、17及び18には、硫黄元素とイソブチレンと他の不飽和炭化水素を反応させることによって、種々のチオン類を製造する方法が記載されている。特許文献19には、炭素数が少なくとも30のオレフィンを硫黄と置換トリチオンの存在下で反応させることによって製造された高分子量トリチオンが開示されている。 すなわち、オレフィンを処理して有機硫化物を製造するために、多数の方法が使用されていることはよく知られている。また、潤滑剤添加剤として多数の硫化有機組成物が有用であることもよく知られている。幾つかの先行技術には、チオン類、特に高レベルのチオン類、例えばジチオール−チオン(または、ジチオールチオン)、あるいは種々の複合硫化混合物と組み合わされた高レベルのチオン類は、望ましくないと教示されている。一般に、これらのチオン類は取り除く必要がある。ジチオールチオンを含まない硫化オレフィン組成物は、上記特許文献9に例示されているように、硫黄とイソブチレンと硫化水素を反応させることにより、あるいは特許文献20では無水硫酸ナトリウムを使用して、また例えば特許文献21では、硫黄元素とイソブチレンとアミン塩基を使用して、製造されている。特許文献22には、溶媒抽出を用いて硫化オレフィンの供給流から、4−メチル−3H−1,2−ジチオール−3−チオン(「MDTT」)を抽出することが開示されている。米国特許第3703504号明細書米国特許第3703505号明細書米国特許第3873454号明細書米国特許第4240958号明細書米国特許第2337473号明細書米国特許第4119549号明細書米国特許第4119550号明細書米国特許第4191659号明細書米国特許第4344854号明細書米国特許第4147640号明細書米国特許第2995569号明細書米国特許第3796661号明細書米国特許第3697221号明細書米国特許第4042514号明細書米国特許第4194980号明細書米国特許第3345380号明細書米国特許第2535706号明細書米国特許第2535705号明細書米国特許第3364232号明細書米国特許第5135670号明細書米国特許第5338468号明細書米国特許第5849677号明細書 現在、硫黄と高反応性メチルビニリデンポリイソブチレンとの反応によって、耐摩耗、極圧荷重能力および耐酸化の特性を有する、低臭気の硫化ポリイソブチレン反応生成物が生成することが発見され、それは、例えば潤滑剤添加剤として使用するのに適している。そのような反応生成物、および得られたポリイソブチル−1,2−ジチオール−4−シクロペンテン−3−チオン反応生成物は、従来の硫化イソブチレンに比べて熱的にもっと安定していて、強い臭気を持たず、そして酸の存在下でも安定であると予測される。従って、これらの反応生成物を、成分自体に並びにそれらの混合物に、またそれらを用いた組成物に製造し、使用する方法が求められている。 本発明は、高メチルビニリデンポリイソブチレン(「HR PIB」)を好適な反応温度で硫化して製造された硫化オレフィン組成物、およびそれから得られた硫化生成物と得られたポリイソブチル−1,2−ジチオール−4−シクロペンテン−3−チオン化合物「PDCT」に関するものであり、そのような化合物および/または組成物の使用、およびそれら並びにそれらの誘導体を含む潤滑剤組成物も含まれる。特に、本発明の組成物および化合物は、メチルビニリデン異性体を少なくとも40%含み、数平均分子量が約150乃至約600の範囲にある高反応性ポリイソブチレンを、硫黄原料を用いて、約175℃以上の反応温度で硫化することにより製造される。従って、メチルビニリデン異性体を少なくとも40%(特に50%)含み、数平均分子量が約150乃至約600の範囲にあるポリイソブチレンを、175℃以上の反応温度で硫黄原料と反応させることからなる、硫化オレフィン組成物の製造方法を開示するものである。いずれにしても、好ましいのは、2−メチルビニリデン含量が少なくとも40%の量であって、平均分子量が150乃至600の範囲にあるポリイソブチレンである。一つのそのような好適なポリイソブチレン供給流は、高反応性ポリイソブチレンの一般的な商業生産で副生成物として発生するものであり、これまではあまり経済的価値が無かった。 好ましい態様では、ポリイソブチレン部はC8H16乃至C32H64のオリゴマーの混合物から選ばれる。そして更に好ましくは、ポリイソブチレンは、C8H16が約5重量%乃至約20重量%、C12H24が約35重量%乃至約55重量%、C16H32が約20重量%乃至約30重量%、C20H40が約8重量%乃至約15重量%、C24H48が約2重量%乃至約8重量%、およびC28H56が約0.5重量%乃至約2重量%、およびC32H64が2重量%以下の各成分から構成される。 オレフィン硫化生成物ではよくあることだが、反応生成物は一般に混合生成物である。その理由は、ジアルキル、環状などの第二級又は誘導体生成物や、ポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物をもたらす競合反応または連続反応だからである。これらのうちでは、後者が多量に生成する。往々にして個々の化合物に分離することにはあまり利益が無いので、市販品は通常、硫化化合物の混合物である。しかしながら、用途によっては、更に精製されたポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物は、潤滑油組成物に用いると改善された結果を示すことが明らかになっている。従って、本発明は、得られたポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物(類)及びそれらの混合物に関する。特に好ましいのは、生成する各種のポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン異性体である。 主な硫化生成物及びその誘導体は、本明細書ではポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物と称するが、下記一般式で表すことができる: 式中、R1は水素またはメチルであり、Xは硫黄または酸素であり、mは1〜9の整数であり、そしてnは0または1である、ただし、nが0のときR1はメチルであり、nが1のときR1は水素であるとの条件がある。好ましくは、Xは硫黄であり、そしてある場合にはR1はメチルであり、別の場合にはR1は水素である。 さらに、本発明は、熱的に安定で、酸攻撃に耐性があり、そして潤滑剤、機能液および通常は液体の燃料において、極圧(EP)及び/又は耐摩耗剤および/または酸化防止剤として有用である潤滑油組成物(類)を提供する。硫化高メチルビニリデンポリイソブチレン生成物および得られたポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物は、特にエンジン及びギヤ潤滑剤に適している。従ってある観点では、本発明は、潤滑粘度の油と本発明の一種以上のポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物を含む潤滑油組成物に関する。これらの潤滑油組成物には更に、追加の添加剤、例えば分散剤、清浄剤、極圧剤と耐摩耗剤から選ばれる油溶性リン含有化合物、およびホウ酸アルカリ金属塩を配合することができる。従って、潤滑油組成物は、最初は、本発明のポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物の配合物であってもよいし、あるいは所望とするEP、耐摩耗または酸化防止特性に適した量でトップ処理された配合物であってもよい。 本発明は、一部では、高濃度のメチルビニリデン異性体(高反応性ポリイソブテン、HR PIB)を含むポリイソブチレン(類)を好適な温度で硫化することにより製造された硫化オレフィン組成物及び成分に関するものであり、ポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物及びその誘導体も含まれる。また、本発明は、硫化ポリイソブチル反応生成物の製造方法、そのような化合物の使用、およびそれらを含む潤滑剤組成物、並びポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物及びその誘導体を含む濃縮組成物を開示する。 本発明は、オレフィン試薬として低分子量で高反応性のポリイソブチレンを用いた、硫化オレフィンおよび別のポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン組成物の製造に関する。高反応性ポリイソブテン(HR PIB)は、潤滑油添加剤産業では使用上高く評価され、また化学工業では商業生産されている。高い評価のこれらHR PIB重合体は、多量の2−メチルビニリデン異性体、RC(CH3)=CH2(ただし、Rはポリイソブチル残基である)の存在と、好ましくは約500乃至5000の範囲にある分子量によって確認される。高い評価の高分子量生成物に加えて、通常は廃棄物とみなされている有用性の低い低分子量のHR PIB蒸留物が存在する。そのようなメチルビニリデンポリイソブチレンは一般に、三フッ化ホウ素触媒を用いて製造される。メチルビニリデン異性体が全オレフィン組成物の高い割合を占めるそのようなポリイソブチレンの製造については、米国特許第4152499号及び第4605808号に記載され、その開示内容も参照文献として本明細書の記載とする。 本発明は、メチルビニリデン異性体を少なくとも40%含み、数平均分子量が約150乃至約600の範囲にある高反応性ポリイソブチレンを、硫黄原料を用いて約175℃以上の反応温度で硫化することにより製造された化合物および組成物に関する。本発明の一つの観点は、下記式Iにより表される低分子量のポリイソブチル−1,2−ジチオール−4−シクロペンテン−3−チオン組成物、化合物及びその誘導体に関する: 式中、R1は水素またはメチルであり、Xは硫黄または酸素であり、mは1〜9の整数であり、そしてnは0または1である、ただし、nが0のときR1はメチルであり、nが1のときR1は水素であるとの条件がある。好ましくは、Xは硫黄であり、そしてある場合にはR1はメチルであり、別の場合にはR1は水素である。好ましくは、mは1〜6の整数であり、より好ましくは1〜5の整数、そしてより好ましくは2〜5の整数である。別の場合には、mは1より大きい。また、上記式Iの化合物は、当該分野では疑似芳香族硫黄化合物、チオン、ジチオール−チオン、トリチオン、並びに1,2−ジチオ−ル−3−チオンとも呼ばれている。しかしながら、本明細書で使用するとき、そのような化合物を、1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオンと呼ぶ、そしてポリイソブチルで置換されているので、特にポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオンと呼ぶことにする。 組成物は、単一のポリイソブチレンオリゴマー留分、例えばトリ−イソブチレン、テトラ−イソブチレン、ペンタ−イソブチレン、ヘキサ−イソブチレンまたはヘプタ−イソブチレンを用いて製造することもできる。これらの留分は、少なくとも25%のメチルビニリデン異性体を含む種々のポリイソブテン異性体を含有しうる。これら組成物は、当該分野で公知の分離技術、例えば蒸留、溶媒精製および結晶化等を用いてさらに精製して、特定の異性体化合物とすることができる。[高反応性ポリイソブチレン] 前述したHR PIBの商業生産的方法は、(i)主として、C8H16乃至C28H56のオリゴマー(平均C14H28)を含み、(ii)約200の比較的低い平均分子量を示し、そして(iii)2−メチルビニリデンを少なくとも約25%の量で含む、HR PIB蒸留副生成物を生じることが、当該分野の熟練者によって一般に知られている。この低分子量の蒸留副生成物は、全HR PIB製造の数パーセントに達するが、あまり価値が無く、一般には燃料製品として販売されている。このため、化学工業ではHR PIB蒸留副生成物の価値ある使用を開発することが求められている。本発明は、好ましくはHR PIB蒸留副生成物またはその留分を用いた、硫化オレフィンおよび別のポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン組成物及びその誘導体の製造方法を提供することによって、この要求を満たすものである。 本発明において、「ポリイソブチレン」は、2−メチルビニリデン異性体を少なくとも約40%(特に約50%)含むHR PIBを意味し、更には、高反応性ポリイソブチレンオリゴマーの混合物からなると定義される。好ましい態様では、該混合物は、主としてC8H16乃至C28H56のオリゴマーを含み、C32H64オリゴマーを留分量で含み(平均すると、C14H28)、そして平均分子量を約150乃至約600の範囲、好ましくは150乃至約400の範囲、より好ましくは約160乃至約280の範囲に示す(平均約200)。本発明で有用なそのようなHR PIBとしては、HR PIB蒸留副生成物を使用することができる。好ましい低分子量HR PIBのオレフィン結合は、少なくとも約40%のメチルビニリデン含量、好ましくは約40%乃至約95%、そして更に好ましくは約60%乃至約95%のメチルビニリデン異性体を含んでいる。ジイソブチレン(C8H16)は、HR PIBの重量に基づき0%乃至50%以下の留分量で存在してもよい。 好ましい低分子量HR PIBは、炭素原子約32個以下からなり、例えば、一種以上の32炭素原子、28炭素原子、24炭素原子、20炭素原子、16炭素原子、12炭素原子および8炭素原子を含む。より好ましい低分子量HR PIBは、炭素原子約8乃至約28個からなる。最も好ましい低分子量HR PIBは、炭素原子約12乃至約28個からなる。好ましい低分子量HR PIBの分子量は、約448かそれ以下である。より好ましい低分子量HR PIBの分子量は、約120乃至約392である。最も好ましい低分子量HR PIBの分子量は、約168乃至約392である。 本発明のHR PIBは、分子量が異なる個々の低分子量ポリイソブチレン成分の混合物である。低分子量HR PIBの混合物は、C8、C12、C16、C20、C24、C28およびC32分子のいずれかまたは全部から構成される。本発明の一態様には、炭素数に従って分離された低分子量HR PIB分子の使用が含まれる。例えば、ジイソブチレンを使用するときは留分量で保持するとの条件付きで、HR PIB混合物を蒸留して、一種以上のC8、C12、C16、C20、C24、C28およびC32分子からなる組成物とすることができる。本発明の好ましい低分子量HR PIBは、分子量の異なる混合物として使用されるものである。好ましい低分子量HR PIB混合物の数平均分子量(Mn)は、約150乃至約240であり、より好ましくは約175乃至約225である。 好ましい低分子量HR PIB混合物は、次の組成からなる:C8H16が約5重量%乃至約20重量%、C12H24が約35重量%乃至約55重量%、C16H32が約20重量%乃至約30重量%、C20H40が約8重量%乃至約15重量%、C24H48が約2重量%乃至約8重量%、およびC28H56が約0.5重量%乃至約2重量%。C32H64及びそれ以上の種は全量の約2重量%以下を占める。より好ましい態様では、C8H16を上記混合物から取り除き、従って残りの重量パーセントを調整する。混合物は、好ましくは高メチルビニリデン含量が約50乃至90%かそれ以上、より好ましくは約60−85%のメチルビニリデンを含み、そしてMnが約175乃至約225である。 ポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン及びその誘導体を含む硫化生成物を製造するのに、本発明で用いるポリイソブチレンオリゴマーを使用することには複数の利点がある:例えば、(1)硫化反応を高温低圧下で行うことができる、(2)特定炭素数の留分、選択した留分の混合物からなる、新しいがこれまではあまり利用されていなかった供給原料を利用することができ、あるいは最も望ましくは、不活性溶媒(2%乃至10%)除去済み又は未除去の精留していない全HR PIB蒸留副生成物が融通自在に使用できる、(3)2−メチルビニリデンの存在が与える高い反応性が結果的に、反応条件下で従来のジイソブチレンを用いた低温反応では当り前であったような固体生成物ではなく、液体生成物をもたらすので、硫化反応を比較的低温で行うことができる、そして(4)破砕を抑制するのに、より穏やかで低温の反応条件を使用することができる。[硫黄] HR PIBの硫化には、任意の適当な硫黄源(硫黄含有化合物)を使用することができる。硫黄元素、硫化水素、二酸化硫黄、水和硫化ナトリウムは、よく知られていて市販もされている。硫黄元素を使用することが好ましく、硫黄元素を加熱して溶融状態にして反応速度を促進し、そして一硫化物及び多硫化物、メルカプト成分を含むジチオール誘導体の形成を最小にすることができる、しかしながら、後者は更に分解して、本発明のポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン組成物になることができる。 HR PIB化合物モル当りの硫黄の量はそれぞれ、約1.0〜3.5グラム原子、そして約0.1〜1.5モルである。好ましい範囲はそれぞれ、約2.0〜3.1グラム原子、約0.4〜1.25モルであり、そして最も望ましい範囲はそれぞれ、約2.5〜3.0グラム原子、約0.8〜1.0モルである。バッチ作業では、反応物をこれらの範囲となるようなレベルで導入する。半連続及び連続作業では、反応物を任意の比率で、ただし質量平衡に基づいて混ぜ合わせ、これらの比率内の量で使い尽くすように存在させる。 硫化反応を行う温度範囲は、一般には約50℃〜350℃である。好ましい範囲は、約170℃〜300℃であり、そして約175℃〜225℃が特に適している。「低い」温度、すなわち、一般的に約140℃以下では、硫化反応は一般に好ましいジチオンではなく、多硫化物の形成を好む。大気圧または高圧下で反応を行うことができる。高圧は、自己加熱圧力(すなわち、反応工程で自然に発達する圧力)によっても可能であるが、外部から加えた圧力であってもよい。反応工程で発達する厳密な圧力は、装置の設計や操作、反応温度、および反応物や生成物の蒸気圧などの因子に依存していて、反応工程の間で変化しうる。好ましい工程圧力は大気圧乃至約500psigである。好ましい観点からは、反応中に遊離した硫化水素をスクラバーや他の適当な手段等によって中和もしくは除去する。硫化水素の存在は、HR PIBと硫黄とメルカプタン生成物の副反応を生じさせて、所望のポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン組成物の収量を低減することがある。そのような場合には、過剰のHR PIBを使用することができる。 硫化触媒として使用可能な物質を反応混合物に加えることはしばしば有利である。一般にこれらは、酸性物質(例えば、スルホン酸、ホウ酸)、または塩基性物質(例えば、水酸化ナトリウム、酸化カルシウムおよび硫化ナトリウムなどの無機酸化物及び塩)であり、最も望ましいのはアンモニアとアミンを含む窒素塩基である。アミンとしては、炭化水素基がアルキル、アリール、アラルキルまたはアルカリール等であって炭素原子約1〜20個を含む、第一級、第二級及び第三級の炭化水素アミンである。好適なアミンとしては、アニリン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、ドデシルアミン、ナフチルアミン、牛脂アミン、N−エチルジプロピルアミン、N−フェニルベンジルアミン、N,N−ジエチルブチルアミン、m−トルイジン、および2,3−キシリジンを挙げることができる。複素環式アミン、例えばピロリジン、N,N−メチルピロリジン、ピペリジン、ピリジン、およびキノリンも使用できる。好ましい塩基性触媒としては、アンモニア、およびアルキル基の炭素原子数が約1〜8である第一級、第二級及び第三級アルキルアミンを挙げることができる。この種の代表的なアミンとしては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−sec−ヘキシルアミン、およびトリ−n−オクチルアミンがある。これらアミンの混合物も、アンモニアとアミンの混合物と同様に用いることができる。所望のポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン生成物を反応混合物に添加することも、触媒として作用するものと思われる。 使用する触媒物質の量は一般に、HR PIB化合物の重量の約0.05−2.0%である。好ましいアンモニアおよびアミン触媒の場合には、オレフィンモル当り約0.0005〜0.5モルが好ましく、そして約0.001〜0.1モルが特に望ましい。 反応混合物中には、触媒としてあるいは上述した一種以上の触媒の希釈剤として、水が存在していてもよい。存在する場合に、水の量は通常、HR PIB化合物の約1−25重量%である。しかしながら、水の存在は本質的なものではなく、ある種の反応装置を使用する場合には、実質的に無水の条件下で反応を行う方が有利である。 本発明の方法は通常は、溶媒や水以外の希釈剤無しで実施する。しかしながら、場合によっては、実質的に不活性で通常は液体の有機希釈剤を反応に使用することが望ましい。好適な希釈剤の性質は、当該分野の熟練者にとっては容易に自明のことである。 反応が終了するのに要する時間は、試薬、それらの比率、反応温度、触媒の有無および試薬の純度に応じて異なる。便宜上、反応容器内の圧力をモニタすることによって反応工程を追跡し、圧力レベルが一定値で横ばいになったとき、反応が終了したとみることができる。 硫化混合物の製造を、上述した操作によって追跡しながら、実質的に全ての低沸点物質を取り除く。これら低沸点物質の性質は、使用する試薬の量や種類および反応条件に従って異なる。また、硫化生成物を処することになる使用、並びに臭気や易燃性の考慮、および試薬や副生成物の再利用の要求度などの事柄によっても、ある程度までは変化する。生成物の引火点は、ASTM法D93により決定したときに、非常にしばしば約30℃以上であり、好ましくは70℃以上、そして望ましくは約100℃以上である。参照も、ASTM法D56及びD1310で行う。 HR PIB化合物(類)などの出発物質に加えて、低沸点物質にはしばしば、未反応の出発物質や除去可能な固体が含まれる。さらに、特に出発オレフィンが9個以下の炭素原子を含む場合には、メルカプタンや一硫化物が含まれ、そしてそのような状況下では、生成物はメルカプタンと一硫化物を出発物質の約5重量%以下で含むことが好ましい。これらの物質が周囲圧力及び温度で気体であるならば、反応容器を傾けるによって一部は簡単に除去でき、所望によっては再利用してもよい。低揮発性の開始物質の場合には、大気圧での蒸留または真空蒸留またはストリッピングなどの技術に頼らなければならない。他の有用な方法としては、窒素などの不活性気体を適当な温度及び圧力で混合物中に通す方法がある。大規模なガスクロマトグラフィーや分子蒸留も使用できる。 反応混合物中に存在する固体はいずれも、大抵の場合、液体生成物をデカンテーションすることによって都合よく取り除くことができる。固体の更なる除去を望むなら、濾過や遠心分離などの従来技術を使用することができる。 本発明の方法におけるそれ以上の任意の工程は、活性硫黄を減らすために、上述のようにして得られた硫化生成物を処理することである。「活性硫黄」は、銅や同様の物質を汚染させうる形態にある硫黄を意味する。硫黄の活性度を求めるには標準試験を利用できる。活性硫黄を減らす処理の別法として、金属不活性化剤を本発明の硫化組成物を含む潤滑剤に使用することができる。場合によっては、例えば金属作用潤滑剤では、高レベルの活性硫黄が望ましく、よって活性硫黄を減らさない方が好ましいこともある。 活性硫黄を減少させようとするとき、当該分野で知られている複数の方法いずれでも用いることができる。実例となる方法は、米国特許第3498915号に記載されているアルカリ金属硫化物を用いた処理である。 ポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオンの特定の留分を、各種の技術によって更に分離してより純粋な成分とすることもできる。例えば、混合物の蒸留は様々な純度の留分に導くことができる。また、C8H16異性体などの低沸点成分を除去することを望むならば、大気条件下で還流を利用しながら反応させてC8留分とC12-32留分を得ることができる。これらの留分は、硫化反応に先立ってあるいはそれに続いて更に精製して、主としてC12、C16、C20、C24、C28又はC32留分、もしくはC8との混合物を含むそれらの混合物とすることができる。種々のポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン異性体を、全組成物の少なくとも10重量%であるように強化することが好ましく、より好ましくは少なくとも30重量%、そして最も好ましくは少なくとも50重量%である。ある一定の状況下では、実質的に精製した異性体を得ることができる。 硫化組成物の臭気、色および汚染特性などの品質を改善するために、その他の任意の処理を利用することもできる。これらとしては、スーパー・フィルトロールなどの酸性白土を用いた処理や、フラー土、活性炭またはアルミナ白土等での濾過を挙げることができる。塩基性触媒を使用したときは、そのような処理はしばしば必要とされない。 所望により、ポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン組成物を過酸化化合物で酸化して、ポリイソブテニル−1,2−ジチオ−ル−3−オン組成物(類)を得ることもできる。チオカルボニル基は、過マンガン酸カリウム水溶液または酢酸水銀水溶液で処理することによって、あるいは加水分解した後に塩素化することによって、カルボニル基に容易に変換することができる。[潤滑油組成物] 本発明の潤滑油組成物は、メチルビニリデン異性体を少なくとも40%含み、数平均分子量が約150乃至約600の範囲にある高反応性ポリイソブチレンを、硫黄原料を用いて約175℃以上の反応温度で硫化することによって製造した組成物を、潤滑粘度の油(基油)と単にブレンドまたは混合することにより都合よく製造することができる。潤滑粘度の油は、得られた一般式Iで代表される本発明のポリイソブチル−1,2−ジチオール−4−シクロペンテン−3−チオン組成物と混合してもよい。また、本発明の化合物は、所望の濃度の添加剤を含む潤滑油組成物のブレンドを容易にするために、濃縮物またはパッケージとして、その他各種の添加剤と一緒に適当な比率でプレブレンドすることもできる。摩耗防護をもたらし、そして油溶性でかつ所望とする完成潤滑油中の他の添加剤と混合性であるような濃度で、本発明の化合物を基油とブレンドする。この場合の混合性とは一般に、本発明の化合物が、適用可能な処理速度で油溶性であるのと同様に、他の添加剤も標準条件下で沈殿させないことを意味する。潤滑油配合物のある化合物に対する好適な油溶性/混合性の範囲は、当該分野の一般的な熟練者により日常溶解度試験法を用いて決定することができる。例えば、環境条件(約20℃〜25℃)で配合した潤滑油組成物からの沈殿は、油組成物からの実際の沈殿、あるいは不溶性の蝋粒子が形成された証拠となる「濁った」溶液の配合によって測定することができる。 エンジン油配合物が求められているのならば、本発明の潤滑油組成物は、数平均分子量が約150乃至約600の範囲にあるポリイソブチレンを、硫黄原料と175℃以上の反応温度で反応させることにより製造した潤滑油可溶性の硫化化合物から選ばれる摩耗抑制剤を、一般には組成物の全重量に基づき約0.01乃至5重量%含み、好ましくは約0.05乃至3重量%、より好ましくは約0.05乃至1重量%含む。特に好ましいのは、前記式Iの成分、その誘導体および混合物である。より好ましくは、潤滑油組成物は該摩耗抑制剤を約約0.1乃至1重量%含む。本発明の化合物は、ジチオリン酸亜鉛と混合性があり、そして摩耗抑制を増加させるために、あるいはより好ましくは、一定レベルの摩耗抑制を別の方法で付与するように要求されているジチオリン酸亜鉛の量を低減するために、有利に併用することができる。ギヤ油配合物が所望されるならば、本発明の潤滑油組成物は、本発明の硫化反応生成物、更に好ましくは一般式Iの化合物を、組成物の全重量に基づき、一般には約0.01乃至10重量%含み、好ましくは約0.5乃至8重量%、より好ましくは約1乃至5重量%、そして更に好ましくは2乃至4重量%含む。 本発明の潤滑油組成物に使用される潤滑油または基油は一般的には、特定の使用、例えばエンジン油、ギヤ油、工業用油、切削油等に合わせて製造される。例えば、エンジン油が求められる場合には、基油は一般に、ガソリンエンジンおよび船用エンジンを含むディーゼルエンジンなどの内燃機関のクランクケースでの使用に適した粘度の鉱油または合成油である。クランクケース潤滑油は通常は、およそ0°Fで1300cSt乃至210°F(99℃)で24cStの粘度を示し、潤滑油は合成または天然の原料から誘導することができる。本発明で基油として使用される鉱油としては、パラフィン系、ナフテン系、および通常潤滑油組成物に使用されるその他の油を挙げることができる。合成油としては、炭化水素合成油と合成エステルの両方を挙げることができる。使用できる合成炭化水素油としては、適正な粘度を有するアルファオレフィンの液体重合体が挙げられる。特に有用なものはC6〜C12のアルファオレフィンの水素化液体オリゴマー、例えば1−デセン三量体である。同様に、適正な粘度のアルキルベンゼン、例えばジドデシルベンゼンも使用することができる。使用できる合成エステルとしては、モノカルボン酸およびポリカルボン酸と、モノヒドロキシアルカノールおよびポリオールとのエステルが挙げられる。代表的な例としては、ジドデシルアジペート、ペンタエリトリトールテトラカプロエート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、およびジラウリルセバケート等がある。モノ及びジカルボン酸とモノ及びジヒドロキシアルカノールとの混合物から合成された複合エステルも使用することができる。各種の鉱油、合成油および鉱油と合成油のブレンドも、例えばある一定の粘度または粘度範囲を与えるので有利である。一般に、エンジン油用の基油または基油混合物は、本発明の摩耗防護剤を含めて種々の添加剤を含む最終潤滑油の100℃粘度が、4乃至22センチストークス、好ましくは10乃至17センチストークス、そしてより好ましくは13乃至17センチストークスとなるように、予備選択される。 一般に潤滑油組成物は、特別な最終用途や使用した基油に応じて、配合済み潤滑油組成物に様々な特性を付与すべく望まれた各種の混合性添加剤を含有するものである。そのような添加剤としては、天然及び過塩基性有機スルホネートおよび中性及び過塩基性フェネート及びサリチレートなどの中性及び塩基性清浄剤、分散剤、各種のポリアルキルコハク酸イミドまたはポリアルキルコハク酸エステルなどの無灰分散剤、さび止め剤、消泡剤、流動点降下剤、酸化防止剤が挙げられ、そしていわゆる粘度指数(VI)向上剤、分散剤型VI向上剤、および前述したように、フェノール化合物およびアミン化合物などの酸化防止剤を含むその他の腐食又は摩耗防止剤;ジメチルポリシロキサンおよびポリアクリレートなどの泡消し剤;高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪族アミン、脂肪酸アミド、脂肪酸のエステル、硫化脂肪、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、有機モリブデン化合物および固体潤滑剤などの摩擦緩和剤;ベンゾトリアゾールおよびチアゾールなどの腐食防止剤;アクリル重合体、メタクリル重合体およびオレフィン共重合体などの粘度指数向上剤(分散性を増加させる活性型であってもよい);および、アクリル重合体、メタクリル重合体、ポリブテン、ポリアルキルスチレンおよびポリ酢酸ビニルなどの流動点降下剤を挙げることができる。これらの添加剤のうちの幾つかについて、以下に更に詳細に述べる。 好適な油溶性のリン含有剤としては、亜リン酸と脂肪族又は芳香族アルコールとから合成されたエステル(リン酸ジラウリル、リン酸ジフェニル、リン酸ジオレイル、リン酸モノ及びジブチル)、およびリン酸と脂肪族又は芳香族アルコールとから合成されたエステル(リン酸モノオクチル、リン酸ジオクチル、リン酸トリオクチル等)を挙げることができる。脂肪族基が平均で約12〜約24個の炭素原子を持つ脂肪族ホスホン酸のジメチルエステルについては、米国特許第4158633号に十分に記載されている。脂肪族基は、飽和でも不飽和でもよく、また構造が分枝鎖でも直鎖でもよい。好ましいのは、脂肪族基が平均で約16〜約20個の炭素原子を持つ脂肪族ホスホン酸のジメチルエステルである。最も好ましいのは、脂肪族基が純度が比較的高く、約18個の炭素原子を含むホスホン酸エステル、または脂肪族基が平均で約18個の炭素原子を含むホスホン酸エステルの混合物、例えば商業製品グレードの塩化オレイルから誘導された混合物である。 本発明の実施に使用される一般的な無金属リン含有耐摩耗及び/又は極圧添加剤としては、亜リン酸のエステル、亜リン酸及び亜リン酸エステルのアミン塩を挙げることができる。リン含有耐摩耗及び/又は極圧剤として使用できる好適な化合物の例としては、三炭化水素亜リン酸エステル、ホスホン酸エステル及びリン酸エステル、および二炭化水素亜リン酸エステル:例えば、リン酸トリクレジル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリオレイル、リン酸トリラウリル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリオクチル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリクレジル、亜リン酸トリシクロヘキシル、ラウリルホスホン酸ジブチル、亜リン酸水素ジブチル、亜リン酸水素ジオレイル、およびトリルホスフィン酸ジプロピルエステルを挙げることができる。使用できるアミン塩には、部分エステル化したリン酸、亜リン酸、ホスホン酸及びホスフィン酸のアミン塩;およびホスホン酸のアミン塩等がある。特定の例としては、ドデシルリン酸のジヘキシルアンモニウム塩、ジオクチルジチオリン酸のジエチルヘキシルアンモニウム塩、ジブチルリン酸のオクタデシルアンモニウム塩、2−エチルヘキシルリン酸のジラウリルアンモニウム塩、ブタンホスホン酸のジオレイルアンモニウム塩、および類似化合物を挙げることができる。 ジチオンリン酸エステルのエステル、アミド又はアミン塩部分は一般に、炭素数1〜20、好ましくは炭素数4〜10、および窒素数0〜5である(アミドまたはアミン塩を使用するときは、その部分は好ましくは窒素数1〜3であり、炭素と窒素の原子比は好ましくは1〜10の範囲にある)。二炭化水素ジチオリン酸エステル耐摩耗剤のエステル、アミド又はアミン塩部分は、炭化水素基またはエトキシル化炭化水素基などの安定な有機部を含んでいる。 二炭化水素ジチオリン酸エステルアミドの例としては、ジ−4−メチル−2−ペンチルジチオホスフェート、ジイソオクチルジチオホスフェートのブチルアミド、ジテトラプロペニルフェニルジチオホスフェートのアミノエチルアミド、ジテトラプロペニルフェニルジチオホスフェートのジアミノジエチレンアミド、およびジ−2−エチル−1−ヘキシルジチオホスフェートのジアミノジエチレンアミドを挙げることができる。 金属含有リン化合物は、二炭化水素ジチオリン酸と金属酸化物、例えば酸化亜鉛とを反応させることによって生成する。ジチオリン酸の炭化水素部分は、通常は炭素数4〜20であり、好ましくは炭素数5〜12、より好ましくは炭素数6〜8である。本明細書で言及するとき、「炭化水素基」は、基本的には水素と炭素からなる一価の有機基を表すが、少量の不活性置換基が存在してもよい。炭化水素基は、脂肪族、芳香族または脂環式、またはそれらの組合せ、例えばアラルキル、アルキル、アリール、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル等であってもよく、また飽和であってもオレフィン不飽和であってもよい。炭化水素基の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、4−メチルペンチル、2−エチルヘキシル、ヘキシル、オクチル、イソオクチル、ステアリル、フェニル、ベンジル、エチルベンジル、アミル、プロペニルフェニル、ジプロペニルフェニル、テトラプロペニルフェニル、トリル等を挙げることができる。第一級、第二級又は第三級の炭化水素基を用いてもよいが、分枝鎖の第一級基が好ましく、更に好ましくは脂肪族基の混合物であり、そして好ましい態様では、sec−ブチルアルコールが少なくとも75モルパーセント使用され、好ましくは4−メチル−2−ペンタノールと組み合わされ、最も好ましくは更に金属亜鉛と組み合わされる。特に好ましい金属二炭化水素リンジチオン酸塩としては、ジチオリン酸亜鉛が挙げられる。そのようなジチオリン酸亜鉛の合成が記載された特許としては、米国第2680123号、第3000822号、第3151075号、第3385791号、第4377527号、第4495075号及び第4778906号を挙げることができる。これらの各特許も全て参照文献として本明細書の記載とする。 二炭化水素ジチオリン酸亜鉛の例としては、ジ−n−オクチルジチオリン酸亜鉛、ブチルイソオクチルジチオリン酸亜鉛、ジ−4−メチル−2−ペンチルジチオリン酸亜鉛、ジテトラプロペニルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジ−2−エチル−1−ヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジイソオクチルジチオリン酸亜鉛、ジヘキシルジチオリン酸亜鉛、ジフェニルジチオリン酸亜鉛、ジエチルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジアミルジチオリン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオリン酸亜鉛、ジオクタデシルジチオリン酸亜鉛を挙げることができる。 アルカリ金属ホウ酸塩又はその水和物も、極圧添加剤として当該分野ではよく知られ、市販もされている。アルカリ金属ホウ酸塩又はその水和物の例としては、KB3O5・H2O及びNaB3O5・H2Oでそれぞれ表される、水和ホウ酸カリウムおよび水和ホウ酸ナトリウムを挙げることができる。これらの水和アルカリ金属ホウ酸塩は例えば、ホウ素とアルカリ金属(カリウム又はナトリウム)の原子比が2.0乃至4.5(ホウ素/アルカリ金属)となるように、水酸化カリウム(又はナトリウム)とホウ酸を水に溶解する工程、中性アルカリ土類金属スルホン酸塩またはコハク酸イミド型の無灰分散剤を含む油性溶液に、この溶液を分散させる工程、およびそれを反応させて所望の水和物を微粒子状の分散液の形で得る工程によって製造される。本発明のギヤ用潤滑油組成物は、アルカリ金属ホウ酸塩又はその水和物を、ホウ素量で0.04乃至1.0重量%の量で含み、好ましくは0.05乃至0.6重量%、より好ましくは0.08乃至0.5重量%含む。アルカリ金属ホウ酸塩として、OLOA9750(水和ホウ酸カリウムの分散液、シェブロン・オロナイト・カンパニー、テキサス州ヒューストンから市販、ホウ素量:6.8重量%)を用いたなら、この量は、潤滑油組成物中のアルカリ金属ホウ酸塩又はその水和物約0.6乃至15重量%に相当する。 本発明の実施で使用することができる銅腐食防止剤の一タイプは、チアゾール、トリアゾールおよびチアジアゾールからなる。例としては、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、オクチルトリアゾール、デシルトリアゾール、ドデシルトリアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−炭化水素チオ−1,3,4−チアジアゾール、2−メルカプト−5−炭化水素ジチオ−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ビス(炭化水素チオ)−1,3,4−チアジアゾール、および2,5−ビス(炭化水素ジチオ)−1,3,4−チアジアゾールを挙げることができる。好ましい化合物は1,3,4−チアジアゾールであり、特には2−炭化水素ジチオ−5−メルカプト−1,3,4−ジチアジアゾール、および2,5−ビス(炭化水素ジチオ)−1,3,4−チアジアゾールであり、それらの多くは市販されている。その他の好適な銅腐食防止剤としては、エーテルアミン;エトキシル化アミン、エトキシル化フェノールおよびエトキシル化アルコールなどのポリエトキシル化化合物;およびイミダゾリン等を挙げることができる。 本発明の組成物に使用される好適な消泡剤としては、シリコーン、およびアクリレート重合体などの有機重合体が挙げられる。液体ジアルキルシリコーン重合体などのシリコーン型消泡剤と、他の種々の物質との混合物も有効である。そのような混合物の代表的なものとしては、アクリレート重合体と混合したシリコーン、一種以上のアミンと混合したシリコーン、および一種以上のカルボン酸アミンと混合したシリコーンがある。その他のそのような混合物としては、ジメチルシリコーン油と、(i)多価アルコールの部分脂肪酸エステルとの組合せ(米国特許第3235498号)、(ii)多価アルコールのアルコキシル化部分脂肪酸エステルとの組合せ(米国特許第3235499号)、(iii)ポリアルコキシル化脂肪族アミンとの組合せ(米国特許第3235501号)、および(iv)アルコキシル化脂肪酸との組合せ(米国特許第3235502号)を挙げることができる。 また、配合物はさび止め剤を含んでいてもよい。これは、鉄金属表面の腐食を防止する特性を持つ単一化合物でも混合化合物でもよい。そのような物質としては、油溶性のモノカルボン酸、例えば2−エチルヘキサン酸、ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、セロチン酸等、および二量体及び三量体酸を含む油溶性のポリカルボン酸、例えばタル油脂肪酸、オレイン酸またはリノレン酸等から生成したものを挙げることができる。その他の好適な腐食防止剤としては、アルケニル基が炭素原子10個以上を含むアルケニルコハク酸、例えばテトラプロペニルコハク酸、テトラデセニルコハク酸、およびヘキサデセニルコハク酸等;分子量が600乃至3000の範囲にある長鎖アルファ−オメガ−ジカルボン酸;および他の同様の物質を挙げることができる。 潤滑油組成物が一種以上の上記添加剤を含むとき、一般に、添加剤がその所望の機能を付与しうる量で各添加剤を基油とブレンドする。エンジン油、好ましくはクランクケース潤滑剤として使用される場合に、質量パーセント活性成分として記録した代表的な有効量について以下に記載する:無灰分散剤、0.1乃至20、好ましくは1−8;清浄剤、0.1乃至15、好ましくは0.2乃至9;金属ジアルキルジチオリン酸塩、リン量に基づき0.01乃至6、好ましくは0.05乃至5;酸化防止剤、0乃至5、好ましくは0.01乃至1.5;流動点降下剤、0.01乃至5、好ましくは0.01乃至1.5;消泡剤、0乃至5、好ましくは0.001乃至0.15;補助耐摩耗剤、0乃至0.5、好ましくは0乃至0.2;摩擦緩和剤、0乃至3、好ましくは0乃至1;粘度調整剤、0乃至6、好ましくは0.01乃至4。さらに、これら添加剤を上述した範囲でギヤ油配合物に添加してもよい。しかしながら、ギヤ用潤滑油組成物は以下の成分からなることが好ましい:主要量の潤滑粘度の油;メチルビニリデン異性体を少なくとも25%含み、数平均分子量が約120乃至約600の範囲にあるポリイソブチレンを、硫黄原料と175℃以上の反応温度で反応させることにより製造された硫化オレフィンを、硫黄量で0.01乃至10重量%、好ましくは0.5乃至8.0重量%;極圧剤および耐摩耗剤から選ばれる少なくとも一種の油溶性リン含有化合物を、リン量で0.05乃至5.0重量%;アルカリ金属ホウ酸塩又はその水和物を、ホウ素量で0.04乃至1.0重量%。さらに、そのようなギヤ用潤滑油は少なくとも一種の以下の追加成分を更に含む:少なくとも一種の無灰分散剤、該潤滑油組成物の重量に基づき0.1乃至5重量%;少なくとも一種の銅腐食防止剤、該潤滑油組成物の重量に基づき0.1乃至0.8重量%;少なくとも一種の消泡剤、該潤滑油組成物の重量に基づき0.01乃至0.1重量%;および少なくとも一種のさび止め剤、該潤滑油組成物の重量に基づき0.01乃至0.1重量%。 また、本発明の潤滑油組成物としては、前記の基油など本発明に係る油、並びにもっと粘性の鉱油、天然油又は合成油、およびグリースに所望の粘度を付与する増粘剤を含むグリースも挙げることができる。一般に、増粘剤、およびグリース配合物に含まれるその他の添加成分で所望の量を占めた後、基油を全グリース組成物の平衡を保つのに十分な量で使用する。増粘剤またはゲル化剤としては、各種の物質を用いることができる。これらとしては、脂肪酸金属塩又は石鹸、例えばステアリン酸又はヒドロキシステアリン酸カルシウム又はリチウムを挙げることができ、潤滑油ビヒクルにグリース形成量で、得られるグリース組成物に所望の粘度を付与するのに十分な量で分散させる。グリース配合物に用いることができるその他の増粘剤には、非石鹸増粘剤、例えば表面変性クレー及びシリカ、アリール尿素、カルシウム錯体、および同様の物質が含まれる。一般に、特別な環境下で要求された温度で使用するときに溶融または溶解しないグリース増粘剤を用いることができるが、しかしながら、それ以外の全ての点では、グリースを形成するために炭化水素液体を増粘またはゲル化するのに通常用いられる任意の物質を、本発明でも使用することができる。 また、本発明は添加剤パッケージまたは濃縮物も提供するものであり、それらは単独の添加剤としてまたは他の添加剤との組合せとして、潤滑粘度の油に添加することができる。(一般に、添加剤パッケージは粘度指数向上剤を含まない、というのは、粘度指数向上剤は所望されたときですら、一般に潤滑剤配合者によって基油に添加されるからである。)よって、好ましい添加剤濃縮物は、本発明の硫化ポリイソブチレン反応生成物および一般式Iの化合物を約0.5乃至50重量%と、TBN約60乃至180、好ましくは60乃至120を濃縮物に与えるのに十分な塩基性物質(一般には、過塩基性清浄剤);および希釈油または他の混合性で不活性な有機液体希釈剤を約1乃至10重量%、好ましくは2乃至6重量%を含む。一般にVI向上剤を除いて、濃縮物はまたしばしば、意図した使用から望ましいと思われるその他各種の添加剤を含み、そして一般に無灰分散剤を約30乃至60重量%含み、またしばしば過塩基性清浄剤に加えて、中性または若干アルカリ性の清浄剤も含む。必要なTBNを付与するのに要する過塩基性清浄剤の量は、勿論、過塩基性清浄剤のTBNによって異なるが、一般には濃縮物の20乃至80重量%である。また、濃縮物は、本発明の硫化反応生成物または一般式Iの化合物を約85乃至95重量%と、添加剤パッケージまたは直接基油に配合するように設計された不活性有機液体希釈剤を約5乃至15重量%含む独立の濃縮物として供することもできる。添加剤パッケージまたは濃縮物はグリース用に供することもできる、ただし、一般にそのようなパッケージは、本発明の化合物が若干多く、そしておそらくは他の耐摩耗剤または極圧剤を含む。 本発明の潤滑油組成物には下記のものも含まれる:船用ディーゼルエンジン、機関車、動力装置および高速自動ディーゼルエンジン、ガソリン燃焼エンジンおよび圧縮機に使用されるものを含めて、前述したようなディーゼルエンジン油などのエンジン油;自動変速機液、パワー・ステアリング液および動力式ブレーキ液などの自動車用液を含む機能液;極度の圧力、荷重及び温度条件下で作用する自動車用スパイラル・ベベル及びウォーム・ギヤ軸油、高速低トルクと低速高トルクの両条件下で作用するハイポイド・ギヤ油などの油を含むギヤ油;および、その他各種の工業油および切削油。 上述した各種の添加剤物質又は物質の部類は、公知の物質であり、公知の方法またはその明白な変法により製造することができ、そしてしばしば商業的にも容易に入手できる。各種の添加剤およびそれらの機能の一覧表については、例えば米国特許第4119549号の第9欄と第10欄及び米国特許第5397486号に記載され、その内容も参照として本明細書の記載とする。 本発明の好ましい態様を明示するために、次に実施例を記載する。下記の実施例で開示する技術は、本発明の実施においてうまく機能するように、発明者により発見された技術を表明するものであり、よってその実施の好ましい形を構成しているとみるべきことを、当該分野の熟練者は理解すべきである。しかしながら、本発明の真意および範囲から逸脱することなく、開示する特定の態様で多数の変更を行うことができ、さらに同様又は類似の結果が得られることも、当該分野の熟練者は、本発明の開示に照して理解すべきである。[比較例A] 硫化イソブチレンの製造 イソブチレンと硫化水素および硫黄元素との反応からの多硫化飽和ジアルキルは、次の反応式により表すことができる: 一般に、これらの化合物は二段法により製造され、第一段階でt−ブチルメルカプタンが生じた後に、硫化によって多硫化ジ−t−ブチルが生成する。反応条件を注意深く制御することによって、二硫化物、三硫化物および四硫化物の多硫化ジ−t−ブチル化合物の混合物、および優先的に分離した留分を生成させることができる。これらの反応生成物はGCMSで確認され、四つの主要な生成物が検出された。ガスクロマトグラフィーでは、二、三、四及び五−硫化物それぞれに対応して保持時間が増加し、四つの主要なピークがこれら生成物の証拠となった。質量スペクトルでも化合物が確認され、各化合物に対して分子イオンが存在し(すなわち、記載した硫化物では178、210、242及び274m/z)、そして57m/zの基準ピークはt−ブチル断片イオンに帰属する。これら化合物は市販されていて、例えばC8H18SX(ただし、xは3と4の平均である)は、TBPS344及びTBPS454としてそれぞれ、シェブロン・フィリップス・ケミカル・カンパニー、テキサス州ヒューストンより入手できる。ここでは、後者を比較例Aとして使用した。[比較例B] 硫化イソブチレン複合混合物の製造 反応条件、反応物充填温度を変えることにより、あるいは触媒を用いることにより、もっと複雑なアルキル−アルケニル型多硫化物の混合物を生成させることができる。生成したアルキル−アルケニル生成物は下記式で表される: これらの反応生成物は、アルキル−アルケニル型多硫化物生成物の混合物を含み、二硫化アルキル/アルケニルと三硫化アルキル/アルケニルが主な成分である。混合物はまた、環状三硫化物、硫化及び二硫化ジアルケニル、二及び三硫化アルキル/ジアルケニル、並びにその他の硫化物も含んでいる。これらの生成物もGCMSで確認された。下記の表は、代表的な試料で検出された主要な化合物について、質量スペクトルから同定された構造の概要を示し、観測された分子イオンの質量/電荷比と代表的な試料の濃度も含む。 表 1 硫化イソブチレン複合混合物 ────────────────────────── 硫化物構造 分子イオン(m/z) 重量% ────────────────────────── 化6 140 2〜5 化7 176 15〜20 化8 208 25〜30 化9 230 1〜5 化10 262 3〜10 ────────────────────────── 市販品は、バンリューベSBとしてバンダービルト(株)、コネチカット州ノーウォークより、またモビラッドC-100としてエクソン・モービル・ケミカル社より販売され、ここでは後者を比較例Bとして使用した。[比較例C] 市販のトリイソブチレンの硫化 メチルビニリデン2%以下で、約45%の2,2,6,6−テトラメチル−4−メチレンヘプタンと約53%の2,2,4,6,6−ペンタメチル−3−ヘプテンを含む、一般に市販されているトリイソブチレン(TCIアメリカ)を、硫黄2.5モル当量で処理した。トリイソブチレン362.9g(2.16モル)、および硫黄173g(5.4モル)を、実施例2に記載する条件と同様の条件下で反応させた。約180℃(還流)で約6時間経た後、硫化生成物の収率は4%であり、GCMSでは、1%以下の4,5−ジアルキル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオンが含まれていた。ジチオールチオンのアルキル基は、質量スペクトルで実証されてt−ブチルとネオペンチルであり、また質量スペクトルには分子イオン260m/z、および断片イオン57、189、203、227及び245m/zも含まれていた。本発明の硫化ポリイソブチレンオリゴマーの製造[実施例1] 高メチルビニリデンC8−C32ポリイソブテン留分からのポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン「PDCT」混合物の製造 平均分子量が178で、約74%のメチルビニリデン含量を有する(そして、各オリゴマーの重量留分が、ガスクロマトグラフィーと核磁気共鳴分光法で確認したところ、C8H16約16重量%、C12H24約41重量%、C16H32約26重量%、C20H40約11重量%、C24H48約4重量%、及びC28H56約2重量%、そしてC32H64痕跡量である)高メチルビニリデン含量低分子量PIB1904.8g(10.7モル)、および硫黄元素1017.5gを、5リットルステンレス鋼製オートクレーブに入れた。オートクレーブを窒素で洗い流した後、密閉した。反応物を約2時間かけて撹拌しながら200℃まで加熱した。次いで、オートクレーブ内の圧力が200psiaを越えないような自己加熱圧力下で、温度を200と220℃の間に3.5時間維持した。反応を周囲温度まで冷却し、そしてオートクレーブに苛性アルカリスクラバーで穴を開けた。暗赤色の油2440gをペンタンで希釈し、濾過し、次いでストリッピングして溶媒を除去した。生成物は、LECO SC-32硫黄分析装置を用いてASTM D1552により分析したところ、硫黄29.3%を含み、またGCMSで確認したところ、一般式IのPDCT49.5%を含んでいた。[実施例2] 高メチルビニリデンC12−C32ポリイソブテン留分からの「PDCT」混合物の製造 蒸留してC8異性体を除去した、平均分子量が198で、73%のメチルビニリデン含量を有する低分子量ポリブテン497.4g(2.51モル)、および硫黄201gを、機械撹拌器、加熱マントル、熱電対、温度調節器、還流冷却器、窒素流入口および苛性アルカリスクラバーを備えたガラス製三つ口丸底フラスコ内で、窒素雰囲気下で加熱し撹拌した。穏やかな窒素流を継続的に容器とスクラバーに通した。全体で約1時間かけて反応物を約180℃に加熱して還流した後ゆっくりと200℃まで加熱し、200℃で約20分間維持し、次いで220℃で2.5時間加熱した。室温まで冷却した後、生成物をヘプタン400mlで希釈し、そして珪藻土で濾過した。溶媒を除去して、硫黄23.8%を含む暗赤色の粘性油447.4gを得た。[実施例3] イソブテン四量体からのPDCTの製造 C16異性体を含み、約66重量%のメチルビニリデンを含むポリイソブテンからの蒸留留分を、実施例2と同様の方法で硫化した。この実施例の生成物は、ガスクロマトグラフィー質量分光法(GCMS)分析により確認された。下記の表は、分子構造または実験式、観測された分子イオンの質量電荷比、および主要な組成物の重量パーセントを含む。 表 2 高メチルビニリデンイソブテン四量体からの硫化反応生成物 ────────────────────────── 硫化物 分子イオン(m/z) 重量% ────────────────────────── C16H28S 252 1.2 C16H32S2 288 1.5 C16H28S2 284 3.2 化11 316 38.3 (C16H33)2S2 514 15.4 (C16H33)2S3 546 3.1 ────────────────────────── ポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン(ただし、nは0でR1はメチルおよびnは1でR1は水素である)が、主な生成物であり、生成物の約40重量%を占め、この化合物の質量スペクトルは分子イオンが316m/zを示し、34S同位体ピーク(m+2ピーク)は分子当り3個の硫黄原子に相当し、そして断片イオンは41、57、148、189及び203m/zである。PDCTの特徴は、強い148m/zの断片イオンピークにある。多硫化ジ−テトライソブチルは、混合物中に存在した二番目に量の多い化合物タイプであり、二硫化物の質量スペクトルは分子イオン514m/zを示し、34S同位体ピークは分子当り2個の硫黄原子に相当し、そして断片イオンは41、57、69、97、113及び129m/zである。PDCTの収量を増加できることが予測される。本発明の化合物は、例えば蒸留またはクロマトグラフィーにより精製してもよい。[実施例4] ポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン(実施例1のPDCT)の精製 実施例1の試料を、HPLCによりシリカゲルカラムで精製した。カラムをヘキサンで洗い流して、未反応のHR PIBおよびPDCT以外の硫黄含有化合物を取り除いた。溶離剤としてヘキサン:酢酸エチルが9:1のものを用いて、所望のジチオールチオンを含む画分を集めた。一連の画分から溶媒を除去して、GCによるとC8、12、16、20PDCTを88.4重量パーセント含む生成物を得た、生成物は硫黄約33%を含んでいた。[性能例] 以下の実施例では、耐摩耗性、極圧性および酸化特性について試験した。基準線配合物として配合油を用いた。この配合油は、潤滑油と一般的な量の特別な目的の添加剤とからなり、これには次のものが含まれた:粘度グレード5W20のII種基油、分子量2300の後処理エチレンカーボネートビスコハク酸イミド分散剤3重量%、TBN17の低過塩基性カルシウムスルホネート1重量%、TBN250の高過塩基性カルシウムフェネート2.4重量%、第二級アルコールZnDTP0.6重量%、ジフェニルアミン酸化防止剤0.5重量%、および粘度指数向上剤。リン量が潤滑油組成物の全リン量に基づき約0.08重量%であるので、この配合物を低リン基準物と呼ぶことにする。[実施例5] 耐摩耗性 四球摩耗試験 ASTM D−4172(四球摩耗)と同様の方法で、以下に述べるように、四球摩耗試験を行った。実施例1、実施例3に従って製造したポリイソブチル−1,2−ジチオ−ル−4−シクロペンテン−3−チオン化合物、および市販の硫化イソブチレン(比較例A)の試料を、基準線の低リン自動車クランクケースエンジン油に、下記表に従って上記配合物に対して0.2乃至0.25重量パーセントの処理比でトップ処理した。これらの配合試験油を、鋼ボールベアリングを含む酸化浴中で160℃で、油中に15L/時の空気流を泡立たせながら、48時間老化させた。これらの老化した油を、四球摩耗試験機で100C6鋼球を用いて試験し、1500回転/分で、10kgから始めて増分10kgとして9段階で90kgの荷重を掛けた。荷重アームの移動量から摩耗指数を算出した。 表3は、摩耗試験の結果を示す。実施例1及び実施例3の生成物は両方とも、基準線配合物単独または比較例Aを用いた基準線よりも、摩耗抑制の効果があり、逆に比較例Aを用いた基準線は、基準線よりも性能が悪くなった。実施例1の生成物は、基準線に比べて極めて良好な性能を示した。 表 3 摩耗指数結果 ────────────────────────── 試料 処理比(%S基準) 摩耗指数 ────────────────────────── 基準物(基準線) 0 179 実施例11 0.059 82 実施例31 0.039 165 比較例A1 0.054 331 ────────────────────────── 1:基準物の油に添加した[実施例6] 極圧性 ファレックス極圧摩耗試験 実施例2、実施例3の生成物及び比較例Aについて、ファレックス極圧摩耗試験機で試験した。この試験は、高接触圧条件下で油の荷重負担能力を評価するために使用される。試料を上記基準物に、0.20乃至0.25重量パーセント%処理でトップ処理した。これらの配合試験油は予備老化させなかった。250ポンド荷重で5分間の試運転に続いて、室温で400ポンド荷重、ピンの回転290回転/分で1時間、ファレックス試験を行った。試験の結果は、試験の終了時のピンの重量損失として、あるいは試験の終了前に部品が融着したならば焼付きとして示され、表4に示す。比較例Aと実施例2の生成物の両方のトップ処理は基準線の荷重能力を改善したので、焼付きが生じなかった。 表 4 ファレックス試験結果 ─────────────────────────────── 試料 処理比(%S基準) 焼付き(有/無) 重量損失(mg) ─────────────────────────────── 基準物 0% 有り n/a (基準線) 実施例21 0.060 無し 35 実施例31 0.039 有り n/a 比較例A1 0.054 無し 18.5 ─────────────────────────────── 1:基準物の油に添加した[実施例7] ギヤ試験 1997年5月13−15日、スウェーデン、ゴーテゴルグの第5回CEC国際シンポジウムで、自動車燃料及び潤滑剤の性能評価について提出された、B.-R ホーン、外著、「高EP性能のギヤ潤滑剤のためのFZGギヤ試験装置でのスカッフィング荷重能力試験」(B.-R Hohn et al, Scuffing load capacity test in the FZG gear test rig for gear lubricants with high EP performance)に記載の方法に従って、「衝撃荷重」条件を変更したFZGギヤ試験装置で、実施例1、2及び3の生成物と比較例A及びBについて試験した。FZG「衝撃荷重」ギヤ試験は、本発明の化合物の耐スカッフィング特性を評価するために行った。実施例1乃至3の生成物と二種類の市販の硫化イソブチレン、比較例A及びB。FZGギヤ試験では、シェブロン600ニュートラル油に添加剤を硫黄0.9%で添加したものを用いた。ASTM D5182には、FZG荷重段階試験の標準的方法と装置が詳しく述べられている。衝撃荷重法では、荷重段階1から始めてギヤの歯表面10mmがスカッフィングを受けるまで、段階的にギヤに荷重を掛けた。表5は、この破損が生じた段階として示した試験結果を含む。 表 5 FZG「衝撃荷重」ギヤ試験 ──────────────────── 試料 試験結果−破損発生段階 ──────────────────── 実施例1 11 実施例2 11 実施例3 8 比較例A 11 比較例B 11 ──────────────────── 実施例1及び2の生成物は、市販の硫化イソブチレンと同等の性能を示した。[実施例8] 後差動車軸試験 ギヤ用潤滑剤配合物に用いられる本発明の化合物を評価するために、L−42後差動車軸試験を行った。実施例1乃至3の生成物、比較例A乃至Bについて、高速及び衝撃条件下で、DANAモデル44ハイポイド後車軸を用いて、ASTM公報STP 512Aに記載のL42法により、耐スコーリング特性の試験をした。表6の試験結果は、ピニオンとリングギヤのスコーリングを受けた面積、および参照油配合物との比較に基づく合格/不合格である。最低濃度の市販品が合格する硫黄量に基づいて種々の濃度で試料を試験した。合格/不合格の基準として、リングとピニオンギヤのスコーリングの量が関連する合格参照油試験での量よりも少ないことが要求される。合格するために比較例Aでは、硫黄1.1%を与えるのに十分な量の添加剤を必要とした。この硫黄の濃度では、実施例1及び実施例3の組成物は参照油と同様の性能を示さなかった。しかしながら、硫黄濃度1.1以上、1.8以下で実施例1及び3の組成物は合格すると考えられる。 この試験に合格するように、市販品の比較例Bを最低量で使用して2回目の試験を行った。合格するために、比較例Bは硫黄1.7%を必要とした。表6に示したように、実施例2は、比較例Bと比較して硫黄1.8%で優れたギヤ保護をもたらした。事実、この濃度の実施例2の添加剤で、スコーリング面積%データの量は比較例Bの1/3以下である。 表 6 L42試験結果 ─────────────────────────────── 試料 処理比 スコーリング面積(%) 結果 (%S基準) リング ピニオン (合格/不合格) ─────────────────────────────── 比較例A 1.1 11 12 合格 実施例1 1.1 27 33 不合格 実施例3 1.2 33 39 不合格 比較例B 1.7 14 21 合格 実施例2 1.8 5 6 合格 ───────────────────────────────[実施例9] ミニ−トラクションマシン評価 実施例1の生成物及び実施例4の生成物について、PCSインスツルメント社、英国ロンドンのミニ−トラクションマシン(MTM)摩擦摩耗試験機を用いて評価を行った。PCSインスツルメントの52100鋼の研磨ディスクと、ピンの代わりにファレックス社の同じく52100鋼の0.25インチ静止ボールベアリングとを用いて、ピン・オン・ディスク式で作動するようにMTM試験機を設定した。荷重0.1ニュートン、滑り速度2000mm/sで5分間の試運転に続いて、荷重7ニュートン、滑り速度200mm/sで、100℃で40分間試験を行った。表7の試験結果は、従来法により光学顕微鏡を用いて測定したところ、ボールベアリングに発生していた摩耗痕を示す。4回の試験運転の平均摩耗痕を報告する。比較のために、市販のジチオリン酸亜鉛の試験結果を含む。実施例4の生成物は、この試験の条件下で優れた摩耗防護をもたらした。実施例1の生成物は、シェブロン100ニュートラル油中で3種類の異なる濃度で試験し、実施例4の生成物は、実施例1に対して1.9重量%の等しい硫黄量で試験した。 表 7 MTM試験結果 ────────────────────────── 試料 100ニュートラル油 摩耗痕(μm) 中の添加剤重量% ────────────────────────── 実施例1 0.5重量% 575 実施例1 1.0重量% 478 実施例1 1.9重量% 228 実施例4 1.9重量% 156 ZnDTP2 1.4重量% 172 ────────────────────────── ZnDTP2は、第二級アルコールジチオリン酸亜鉛(sec− ブタノールとメチルイソブチルカルビノールから)であり、 リン量で約0.2重量%の濃度で使用した。 表7から明らかなように、この摩耗試験で意外にも実施例4の生成物は、ZnDTPと比べて優れた結果を生じている。このデータは、低リン潤滑油配合物ではZnDTPが好適な量のPDCTで置き換えられることを示唆している。[実施例10] 酸化試験 E. S. ヤマグチ、外、トライポロジー・トランスアクション(E.S. Yamaguchi et al. Tribology Transactions)第42(4)巻、P.895−901、1999年に記載の大量潤滑油酸化ベンチ試験にて、実施例2の生成物の酸化研究を行った。この試験では、金属触媒を加えたある容積の油による酸素消費の速度を一定の圧力と温度でモニタし、表8に報告した試験結果では171℃、2psigO2でモニタした。試料25gで酸素消費250mlに要する時間、および酸素消費速度の著しい増加が観測された時刻を、基準線配合物、および実施例2の生成物0.5重量パーセントでトップ処理した基準線配合物について、下記表に報告する。 表 8 酸化試験結果 ────────────────────────── 試験パラメータ 配合物 時間(時) ────────────────────────── 250mlO2消費/25g 基準線 17.3 基準線+実施例2 21.7 ────────────────────────── 増加O2消費 基準線 13.1 基準線+実施例2 28.6 ────────────────────────── メチルビニリデン異性体を少なくとも40%含み、数平均分子量が150乃至600の範囲にある高反応性ポリイソブチレンを、硫黄源を用いて、175℃以上の反応温度で硫化することにより製造された組成物。 ポリイソブチレン部がC8H16乃至C32H64のオリゴマーの混合物から選ばれる請求項1に記載の組成物。 ポリイソブチレンが、C8H16が5重量%乃至20重量%、C12H24が35重量%乃至55重量%、C16H32が20重量%乃至30重量%、C20H40が8重量%乃至15重量%、C24H48が2重量%乃至8重量%、C28H56が0.5重量%乃至2重量%、およびC32H64が2重量%以下の各成分から構成される請求項2に記載の組成物。 反応が大気圧またはそれ以下で行なわれる請求項1に記載の組成物。 ポリイソブチレン部がC12H24乃至C32H64のオリゴマーの混合物から選ばれる請求項4に記載の組成物。 ポリイソブチレン部が40乃至95%のメチルビニリデン異性体を含む請求項1に記載の組成物。 ポリイソブチレン部が60乃至85%のメチルビニリデン異性体を含む請求項6に記載の組成物。 ポリイソブチレンの数平均分子量が150乃至240の範囲にある請求項1に記載の組成物。 ポリイソブチレンの数平均分子量が175乃至225の範囲にある請求項8に記載の組成物。 下記の式Iの化合物:[式中、R1は水素またはメチルであり、Xは硫黄または酸素であり、mは1〜9の整数であり、nは0または1であり、そしてnが0であるときR1はメチルであり、nが1であるときR1は水素である]。 R1がメチルであり、そしてXが硫黄である請求項10に記載の化合物。 R1が水素であり、そしてXが硫黄である請求項10に記載の化合物。 mが少なくとも2である請求項10に記載の化合物。 mが1〜6の整数である請求項10に記載の化合物。 mが1〜5の整数である請求項14に記載の化合物。 硫化オレフィン組成物を製造する方法であって、メチルビニリデン異性体を少なくとも50%含み、数平均分子量が150乃至600の範囲にあるポリイソブチレンを、硫黄源と、175℃以上の反応温度で反応させることからなる製造方法。 ポリイソブチレン部がC8H16乃至C32H64のオリゴマーの混合物から選ばれる請求項16に記載の方法。 ポリイソブチレンが、C8H16が5重量%乃至20重量%、C12H24が35重量%乃至55重量%、C16H32が20重量%乃至30重量%、C20H40が8重量%乃至15重量%、C24H48が2重量%乃至8重量%、C28H56が0.5重量%乃至2重量%、およびC32H64が2重量%以下である各成分から構成される請求項17に記載の方法。 ポリイソブチレン部がC12H24乃至C32H64のオリゴマーの混合物から選ばれる請求項16に記載の方法。 ポリイソブチレン部が少なくとも70%のメチルビニリデン異性体を含む請求項16に記載の方法。 ポリイソブチレンの数平均分子量が150乃至240の範囲にある請求項16に記載の方法。 ポリイソブチレンの数平均分子量が175乃至225の範囲にある請求項21に記載の方法。 請求項16に従って製造された生成物。 請求項18に従って製造された生成物。 下記の成分を含む潤滑油組成物: a)潤滑粘度の油、 b)メチルビニリデン異性体を少なくとも40%含み、数平均分子量が150乃至600の範囲にあるポリイソブチレンを、硫黄源と、175℃以上の反応温度で反応させることにより製造された硫化オレフィン、 c)無灰分散剤、 d)清浄剤、 e)ジアルキルジチオリン酸金属塩。 下記の成分を含むギヤ用潤滑油組成物: a)主要量の潤滑粘度の油、 b)メチルビニリデン異性体を少なくとも40%含み、数平均分子量が150乃至600の範囲にあるポリイソブチレンを、硫黄原料と、175℃以上の反応温度で反応させることにより製造された硫化オレフィンを、硫黄量で0.5乃至8.0重量%、 c)極圧剤および耐摩耗剤から選ばれる少なくとも一種の油溶性リン含有化合物を、リン量で0.05乃至5.0重量%、 d)ホウ酸アルカリ金属塩又はその水和物を、ホウ素量で0.04乃至1.0重量%。 下記の添加成分のうちの少なくとも一種を更に含む請求項26に記載のギヤ用潤滑油組成物: e)少なくとも一種の無灰分散剤を、該潤滑油組成物の重量に基づき0.1乃至5重量%、 f)少なくとも一種の銅腐食防止剤を、該潤滑油組成物の重量に基づき0.1乃至0.8重量%、 g)少なくとも一種の消泡剤を、該潤滑油組成物の重量に基づき0.01乃至0.1重量%、 h)少なくとも一種のさび止め剤を、該潤滑油組成物の重量に基づき0.01乃至0.1重量%。