生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_イソブテンの異性化によるn−ブテン類の製造方法
出願番号:2004009138
年次:2010
IPC分類:C07C 5/27,C07C 11/08,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

木村 信啓 柳川 真一朗 JP 4431408 特許公報(B2) 20091225 2004009138 20040116 イソブテンの異性化によるn−ブテン類の製造方法 新日本石油株式会社 000004444 秋元 輝雄 100062225 木村 信啓 柳川 真一朗 20100317 C07C 5/27 20060101AFI20100225BHJP C07C 11/08 20060101ALI20100225BHJP C07B 61/00 20060101ALN20100225BHJP JPC07C5/27C07C11/08C07B61/00 300 C07C 5/27 C07C 11/08 C07B 61/00 特開昭59−123538(JP,A) 特開昭51−39605(JP,A) 1 2005200365 20050728 5 20070110 藤森 知郎 本発明は、イソブテンの骨格異性化によるn−ブテン類の製造方法に関する。 従来、イソブテンとメタノールとを反応させて得られるメチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)のガソリン用オクタン価向上剤としての需要が多かったため、イソブテンの増産を目的として、n−ブテン類からイソブテンへの異性化方法が数多く提案されている。 一方、n−ブテンは、ポリオレフィンの共重合成分等として有用である。また、需要が増大しているプロピレンの増産を目的として、エチレンとn−ブテンとのメタセシス反応によるプロピレン製造に関する研究が盛んに行われており、n−ブテンの需要が増している。そのため、n−ブテンの増産を目的とするイソブテンからn−ブテン類への異性化も重要な反応である。 イソブテンをn−ブテン類に骨格異性化する方法としては、純粋なイソブテンを用いアルミナの表面を有機ケイ素化合物で前処理した触媒による方法が提案されているが(例えば特許文献1参照)、触媒製造工程において特殊な処理を要するなど工業的に問題がある。 また、アルミニウムと、チタン、タングステン、ジルコニウム、ケイ素、ビスマス及びバリウムのいずれか1種又は2種の元素からなる酸化物と塩素及び/又は弗素を含む触媒を用いてイソブチレンをn−ブテン類に異性化する方法が提案されているが(例えば特許文献2参照)、塩素や弗素を含むことから装置の腐食や環境汚染等の問題がある。 また、触媒としてフェリエライトを用い、7〜20kPaの低い圧力かつ260℃程度の低い温度で、純粋なイソブテンの異性化反応を行う方法が開示されているが(例えば非特許文献1参照)、n−ブテン類の収率が約6%と低く実用性に乏しい。 さらには、MFI型ゼオライト、フェリエライト、アルミナ、フッ化アルミナなどの触媒を用いて、30kPa程度の低い圧力かつ450℃で、純粋なイソブテンからn−ブテン類への異性化反応を検討している例もあるが(例えば非特許文献2参照)、転化率と選択率のどちらか一方が低いために収率が1〜20%程度と低く、工業的に問題となる重質物やコークの生成が避けられず、これらを抑制するための具体的方法は何ら開示されていない。特開昭51-39605号公報(実施例9)特開昭59-123538号公報(参考例1〜8)「ジャーナル・オブ・キャタリシス(Journal of Catalysis)」,(アメリカ),2000年,vol.191,p.1−11「キャタリシス・トゥデイ(Catalysis Today)」,(オランダ),1998年,vol.44,p.215−222 本発明の目的は、活性アルミナ触媒を用いたイソブテンの異性化反応において、イソブテンの転化率を向上させ、収率よくn−ブテン類を製造する方法を提供することにある。 本発明の第1は、イソブテンを、水/イソブテン(mmol/mol)=0.1〜4000となる量のスチーム存在下に活性アルミナ触媒を用いて骨格異性化させることを特徴とするn−ブテン類の製造方法である。 本発明によれば、活性アルミナ触媒を用いたイソブテンからn−ブテンへの異性化反応において、イソブテンの転化率が向上し、n−ブテンの収率を向上させることができる。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明では、活性アルミナ触媒を使用してイソブテンの骨格異性化反応によりn−ブテン類を製造する際、イソブテンとスチームを共存させることを特徴とする。スチームを共存させることによって、イソブテンの転化率が向上する。スチームの共存量は、水/イソブテン(mmol/mol)=0.1〜4000、さらには0.1〜1000が好ましい。スチームが存在しない場合およびスチーム量が多すぎる場合は、イソブテンの転化率が低くなり、n−ブテン類の収率が低下するのでいずれも好ましくない。通常は、飽和水蒸気量程度で十分である。また、本発明においては、供給原料中にブタン類等の飽和炭化水素を共存させることもできる。 本発明に用いることができる飽和炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなど数多くあるが、炭素数が多くなると熱分解による副生物が多くなるため、炭素数1〜10、さらには5以下が好ましい。特に、ナフサ等の石油類の熱分解または接触分解などから生成するC4留分中にイソブテンと共存しているブタン類(n−ブタン、イソブタン)は、特別な操作や装置を必要とせず、分離せずにそのまま用いることができるため好ましい。さらに、イソブタンは高温においてもクラッキングなどを起こしにくいことから、軽質等の副生物を生成しにくく、単離・精製工程が複雑にならないため特に好ましい。 本発明で使用する活性アルミナ触媒としては、工業的に入手可能なものを使用することができるが、特にγ-アルミナが好ましい。また、使用する際には、焼成等の前処理をすることが好ましい。 本発明におけるイソブテンからn−ブテン類への異性化反応は、逆反応と平衡の関係にあり、平衡に到達すると最大収率となる。平衡組成は温度とともに変化し、高温になるにつれイソブテンの割合は減少しn−ブテン類の割合が増加する。例えば、100℃ではイソブテン: n−ブテン類=74:26であり、600℃ではイソブテン: n−ブテン類=37:63である。 生成するn−ブテン類は、1−ブテン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテンである。これらの生成割合は反応温度での平衡組成によって決まる。反応混合物に含まれるn−ブテン類は、蒸留等の公知の方法により分離することができる。なお、1−ブテンとイソブテンとは沸点が近接しているため、1−ブテンの2−ブテンへの異性化やイソブテンの重合を行うことによって分離することができる。 本発明の骨格異性化反応における反応温度は、300℃〜600℃、好ましくは400〜550℃である。600℃より高温では、平衡に到達しやすく平衡組成におけるn−ブテン類の比率が高くなるが、コークの生成が著しく、触媒の寿命が極端に低下するため好ましくない。また300℃未満では平衡に到達しにくいうえに平衡組成におけるイソブテンの比率が高く、イソブテンダイマーを生成しやすいため、n−ブテン類の収率が低下し好ましくない。 反応圧力は、3MPa以下、好ましくは0.5MPa以下、さらに好ましくは0.1MPa以下である。特に大気圧(0.1MPa)が好ましい。高圧にすると、分子同士の衝突頻度が高まり、重質物やコークの生成の要因となり好ましくない。 重量空間速度(WHSV)は、供給原料基準で、0.1〜30h−1、好ましくは0.2〜5h−1、さらに好ましくは0.5〜3h−1である。WHSVが高い領域では、イソブテンの転化率が低下するため好ましくない。WHSVが低い領域では、イソブテンダイマーが生成しやすく、重質物等の副生物が多くなり、n−ブテンの選択性が低下するとともにコークが生成しやすくなるため好ましくない。 反応形式は特に限定されず、固定床、移動床、流動床などいずれでもよいが、固定床流通反応式が特に好ましい。[実施例] 以下の実施例1〜2および比較例1〜2のようにして、イソブテンの異性化反応を行い、n−ブテンの製造を行った。結果は、表1にまとめて示した。なお生成したn−ブテンの組成は、いずれにおいても、1−ブテン/cis−2−ブテン/trans−2−ブテン=約25%/約30%/約45%であった。 γアルミナ(0.425〜1.0mmに粉砕、500℃で3時間焼成)を長さ60cm、直径10mmの反応管に6.0g充填した固定床流通反応装置に、イソブテン/イソブタン=50/50(mol/mol)の原料およびスチーム(水/イソブテン(mmol/mol)=0.32)をトータルで6g/hとなるようにダウンフローで供給して3時間運転した。反応温度は400℃、圧力は大気圧でn-ブテン類を製造した。 水/イソブテン(mmol/mol)を704とした他は実施例1と同様の反応を行った。[比較例1] スチームを添加しなかった他は実施例1と同様の反応を行った。[比較例2] 水/イソブテン(mmol/mol)を7240とした他は実施例1と同様の反応を行った。 表1に示すように、適正な範囲のスチームを共存させることによりイソブテンの転化率、n−ブテンの生成量、n―ブテンの収率が著しく改善されている。 イソブテンを、水/イソブテン(mmol/mol)=0.1〜4000となる量のスチーム存在下に活性アルミナ触媒を用いて骨格異性化させることを特徴とするn−ブテン類の製造方法。


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