タイトル: | 特許公報(B2)_炎症性疾患および敗血症を診断するための、カルバモイルリン酸シンテターゼ1(CPS1)およびその断片の使用 |
出願番号: | 2003586615 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C12Q 1/68,C12Q 1/25,C12N 15/09,A61K 45/00,A61P 1/16,A61P 31/04,A61P 43/00 |
アンドレアス・ベルクマン ヨアヒム・シュトルック モニカ・ユーライン JP 4593117 特許公報(B2) 20100924 2003586615 20030415 炎症性疾患および敗血症を診断するための、カルバモイルリン酸シンテターゼ1(CPS1)およびその断片の使用 ベー・エル・アー・ハー・エム・エス・アクティエンゲゼルシャフト 501154389 志賀 正武 100064908 渡邊 隆 100089037 村山 靖彦 100108453 実広 信哉 100110364 アンドレアス・ベルクマン ヨアヒム・シュトルック モニカ・ユーライン EP 02008841.5 20020419 20101208 C12Q 1/68 20060101AFI20101118BHJP C12Q 1/25 20060101ALI20101118BHJP C12N 15/09 20060101ALN20101118BHJP A61K 45/00 20060101ALN20101118BHJP A61P 1/16 20060101ALN20101118BHJP A61P 31/04 20060101ALN20101118BHJP A61P 43/00 20060101ALN20101118BHJP JPC12Q1/68 AC12Q1/25C12N15/00 AA61K45/00A61P1/16A61P31/04A61P43/00 111 C12Q 1/00- 3/00 C12N 15/00-15/90 UniProt/GeneSeq PubMed Science Direct BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) CAplus(STN) JSTPlus(JDreamII) 国際公開第00/073322(WO,A1) 米国特許第06346382(US,B1) 国際公開第99/063067(WO,A1) Enzyme Protein,1994年,Vol.48,pp.213-221 The LANCET,1993年,Vol.341,pp.515-518 Crit. Care Med.,2000年,Vol.28, No.11,pp.3659-3663 Clin. Sci.,1992年,Vol.82,pp.709-716 J. Biol. Chem.,1984年,Vol.259, No.1,pp.323-331 Biochem. Biophys. Res. Commun.,2000年,Vol.268,pp.221-224 J. Biol. Chem.,1962年,Vol.237, No.2,pp.459-468 10 EP2003003939 20030415 WO2003089933 20031030 2005523028 20050804 20 20051128 小金井 悟 本発明は、炎症性疾患および敗血症の医学的診断を目的として、酵素であるカルバモイルリン酸シンテターゼ1(E.C.6.3.4.16、常にCPS1と略す)およびその新規な断片を使用することに関する。これは、毒素投与によって敗血症または全身性炎症を実験的に誘発させた霊長類の肝組織内で、CPS1の断片の出現を初めて検出したこと、その後、敗血症罹患患者の循環系内で大幅に増大したCPS1濃度を検出したことに基づくものである。 本発明は、その原点が、炎症および感染、特に感染に起因した炎症および敗血症の診断および療法の、さらなる改善に関連した本出願人による徹底した研究にある。 炎症は、非常に概略的に、例えば外傷や熱傷、アレルゲン、細菌や真菌、ウイルスなどの微生物による感染などの異なるタイプの外部作用、または拒絶反応を引き起こす外来組織、または炎症を引き起こす身体のある特定の内因的状態、例えば自己免疫疾患や癌に対する、生体のある特定の生理反応と定義される。炎症は、身体の無害な限局的反応として生ずる場合があるが、個体の組織、器官、器官の部分、および組織部分の、非常に数多くの重篤な慢性および急性疾患の典型的な特徴でもある。 限局的炎症は、一般に、有害な作用に対する身体の健全な免疫応答の一部であり、したがって、生体の生命を保護する防御メカニズムの一部である。しかし炎症が、例えば自己免疫疾患などにおけるある特定の内因的過程に対する身体の誤った応答の一部でありかつ/または慢性的な生来のものである場合、あるいは炎症が、全身性炎症応答症候群(SIRS)または感染によって引き起こされた重篤な敗血症の場合のように全身に広がった場合、炎症反応に典型的な生理的過程は収拾がつかないものになり、実際に頻繁に生命を脅かす病理的な過程になる。 現在では、炎症過程の起点および推移が、主としてタンパク質またはペプチドの性質を持つ相当な数の物質によって制御され、あるいは、若干制限された時間内である特定の生体分子の出現を伴うことがわかっている。炎症反応に関与する内因性物質には、特に、サイトカイン、媒介物質、血管作動性物質、急性期タンパク質および/またはホルモン調節剤に割り当てることができるものが含まれる。炎症反応は、炎症過程を活性化する内因性物質(例えばTNF-α)と不活性化物質(例えばインターロイキン-10)との両方が関与する複雑な生理反応である。 敗血症または敗血症性ショックの場合のような全身性炎症では、炎症特異的な反応カスケードが、制御されない状態で全身に広がり、過剰免疫反応という面において生命を脅かすようになる。内因性炎症特異的物質の個々の群の出現および可能な役割についての現行の知識に関しては、例えばA.Beishuizen他の「Endogenous Mediators in Sepsis and Septic Shock」、Advances in Clinical Chemistry、Vol.33、1999、55〜131と、C.Gabay他の「Acute Phase Proteins and Other Systemic Responses to Inflammation」、The New England Journal of Medicine、Vol.340、No.6、1999、448〜454を参照されたい。敗血症および関連する全身炎症性疾患に対する理解、したがって認識されている定義も近年は変化しているので、敗血症の最新の定義が記載されているK.Reinhart他の「Sepsis und septischer Schock」[Sepsis and Septic Shock]、Intensiv-medizin、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、2001、756〜760も参照されたい。本願の文脈において、使用される敗血症および炎症性疾患という用語は、これら3つの参考文献に記載されている定義に基づく。 少なくとも欧州では、陽性血液培養によって検出可能な全身性細菌感染が敗血症であると長い間定義してきたが、現在では主として敗血症は、感染によって引き起こされるものであるが、病理学的過程として、他の原因によって引き起こされる全身性炎症にかなり類似している全身性炎症であると理解されている。敗血症に対する理解が前述のように変化している結果、診断手法も変化している。したがって、細菌性病原体の直接的な検出は、生理学的パラメーターの複雑なモニタリングに取って代わられまたは補われ、より最近では特に、敗血症の過程または炎症過程に関与するある特定の内因性物質、すなわち特異的「生物マーカー」の検出に取って代わられている。 炎症過程に関与することが知られている多数の媒介物質および急性期タンパク質の中で、診断目的に適するものは、特に、その出現が炎症性疾患あるいは炎症性疾患のある特定の局面に対して非常に特異的であるもの、およびその濃度が劇的にかつ診断上著しく変化するもの、およびさらに、日常的な決定に必要とされる安定性を有しかつ高濃度の値に達するものである。診断目的の場合、病理学的過程(炎症、敗血症)とそれぞれの生物マーカーとの信頼性ある相関関係は、最も重要なものであり、炎症過程に関与する内因性物質の複雑なカスケードにおけるその役割を知る必要性は、そこには全く存在しない。 敗血症生物マーカーとして特に適しているこのタイプの内因性物質は、プロカルシトニンである。プロカルシトニンは、その血清濃度が、感染に起因した全身性炎症(敗血症)の条件下で非常に高い値に達するプロホルモンであるが、これは事実上、健康な人では検出不可能である。プロカルシトニンの高い値は、比較的早期においても得られ、その結果プロカルシトニンを決定することは、敗血症の早期診断に適しており、または感染によって引き起こされた敗血症とその他の原因による重篤な炎症とを早期に区別するのに適している。敗血症マーカーとしてのプロカルシトニンの決定は、M.Assicot他の「High serum procalcitonin concentrations in patients with sepsis and infection」、The Lancet、Vol.341、No.8844、1993、515〜518による文献と、特許DE 4227454 C2およびEP 0656121 B1およびUS 5,639,617の主題である。これにより本発明の記述を補うために、前記特許および前記文献に記載された当初の参考文献を参照されたい。 敗血症マーカーとしてプロカルシトニンを利用できることは、敗血症の研究に大きなはずみを与え、現在では、プロカルシトニン決定を補うことができかつ/あるいは緻密な診断または鑑別診断を目的とした追加の情報を提供することができる別の生物マーカーを見出すために、鋭意努力がなされている。しかし、可能性ある新規な敗血症生物マーカーに関する調査は、しばしば、炎症または敗血症の過程に関与するある特定の内因性物質の出現についての正確な機能または正確な理由がほとんどまたは全くわかっていないため、複雑になっている。 別の可能性ある敗血症マーカーを決定するための、実りある純粋に仮定的な手法を試験する実験の結果は、DE 19847690 A1およびWO 00/22439に見出される。そこには、敗血症の場合、プロホルモンであるプロカルシトニンの濃度が増加するだけではなく、プロホルモンの免疫反応性を有するその他の物質についてもその濃度に著しい増加が観察されることが示されている。記述した現象については十分に記されているが、敗血症における種々の対応物質の濃度増大の原因は、依然として十分に説明されていない。 本願では、他の炎症または敗血症に特異的な生体分子に関する調査での、別の実りある純粋に実験的な手法の結果を報告する。これらの実験的調査も、感染が原因の全身性炎症反応に関連したプロカルシトニンの決定に由来する。したがって敗血症の場合、プロカルシトニンは、早い段階で、ホルモンであるカルシトニンの前駆体の場合と同じ方法では明らかに形成されないことが観察されていた。このため、甲状腺が除去された患者では、プロカルシトニンが高レベルであることも観察された。したがって甲状腺は、敗血症である間、プロカルシトニンが形成されまたは分泌される器官になることができない。H.Redl他の「Procalcitonin release patterns in a baboon model of trauma and sepsis: Relationship to cytokines and neopterin」、Crit Care Med 2000、Vol.28、No.11、3659〜3663;およびH.Redl他の「Non-Human Primate Models of Sepsis」、Sepsis 1998;2:243〜253による文献には、敗血症でのプロカルシトニンの形成を明らかにすることを目的とした実験的調査の結果が報告されている。前記論文では、霊長類(ヒヒ)にエンドトキシンを投与することによって人為的な敗血症を誘発し、プロカルシトニンの血中濃度が最高に達した実験的誘発状態が決定されている。本願の文脈において、前記論文に記載した実験動物モデルのさらなる開発は、ペプチドまたはタンパク質の性質を持つ新規な内因性の敗血症特異的生物マーカーを決定するのに役立ち、その出現は、敗血症あるいはある特定の形態の敗血症の特徴であり、したがって、特定の敗血症の診断が可能になる。霊長類モデルは、霊長類とヒトの生理機能の非常に大きな類似性と、多くの治療用および診断用のヒト試薬との高い交差反応性に基づいて選択した。 炎症中に形成された内因性物質は身体の複雑な反応カスケードの一部であるので、そのような物質は診断上興味あるだけではなく、例えば敗血症で観察される炎症の全身への広がりをできる限り早い段階で止めるために、現在ではかなりの努力によって、このタイプの個々の物質の出所および/または濃度に影響を与えることにより、炎症過程に治療上介入しようとする試みもなされている。この文脈において、炎症過程に関与することが示される内因性物質は、潜在的な治療標的であるとも見なされる。今日までのそのような治療手法の全く期待はずれの結果にも関わらず、対応する文脈において今日まで記述されておらず、かつできる限り炎症または敗血症に特異的であり、かつ治療標的として敗血症の治療による制御を成功させる新たな期待もたらす内因性生体分子を同定することに、依然として大きな関心が持たれている。A.Beishuizen他、「Endogenous Mediators in Sepsis and Septic Shock」、Advances in Clinical Chemistry、Vol.33、1999、55〜131C.Gabay他、「Acute Phase Proteins and Other Systemic Responses to Inflammation」、The New England Journal of Medicine、Vol.340、No.6、1999、448〜454K.Reinhart他、「Sepsis und septischer Schock」[Sepsis and Septic Shock]、Intensiv-medizin、Georg Thieme Verlag、Stuttgart、New York、2001、756〜760M.Assicot他、「High serum procalcitonin concentrations in patients with sepsis and infection」、The Lancet、Vol.341、No.8844、1993、515〜518DE 4227454 C2EP 0656121 B1US 5,639,617DE 19847690 A1WO 00/22439H.Redl他、「Procalcitonin release patterns in a baboon model of trauma and sepsis: Relationship to cytokines and neopterin」、Crit Care Med 2000、Vol.28、No.11、3659〜3663H.Redl他、「Non-Human Primate Models of Sepsis」、Sepsis 1998;2:243〜253Shoko Tabuchi他、Regulation of Genes for Inducible Nitric Oxide Synthase and Urea Cycle Enzymes in Rat Liver in Endotoxin Shock、Biochemical and Biophysical Research Communications 268、221〜224(2000)Haraguchi Y.他、Cloning and sequence of a cDNA encoding human carbamoyl phosphate synthetase I: molecular analysis of hyperammonemia、Gene 1991、Nov.1; 107(2): 335〜340H.M.Holder他、Carbamoyl phosphate synthetase: an amazing biochemical odyssey from substrate to product、CMLS、Cell. Mol. Life Sci. 56 (1999) 507〜522Mikiko Ozaki他、Enzyme-Linked Immunosorbent Assay of Carbamoyl phosphate Synthetase I: Plasma Enzyme in Rat Experimental Hepatitis and Its Clearance、Enzyme Protein 1994、95:48: 213〜221Li Yin他、Participation of different cell types in the restitutive response of the rat liver to periportal injury induced by allyl alcohol、Journal of Hepatology 1999、31: 497〜507P.P.Ghillani他、「Monoclonal antipeptide antibodies as tools to dissect closely related gene products」、The Journal of Immunology、Vol.141、No.9、1988、3156〜3163P.P.Ghillani他、「Identification and Measurement of Calcitonin Precursors in Serum of Patients with Malignant Diseases」、Cancer Research、Vol.49、No.23、1989、6845〜6851DE 10119804.3DE 10131922.3DE 10130985.6US-A-4822733EP-B1-180492EP-B1-539477J.Klose、「Fractionated Extraction of Total Tissue Proteins from Mouse and Human for 2-D Electrophoresis」、Methods in Molecular Biology、Vol.112: 2-D Proteome Analysis Protocols、Humana Press Inc.、Totowa、NJJ.Klose他、「Two-dimensional electrophoresis of proteins: An updated protocol and implications for a functional analysis of the genome」、Electrophoresis 1995、16、1034〜1059J.Heukeshoven他、「Improved silver staining procedure for fast staining in Phast-System Development Unit. I. Staining of sodium dodecyl gels」、Electrophoresis 1988、9、28〜32V.Neuhoff他、「Improved staining of proteins in polyacrylamide gels including isoelectric focusing gels with clear background at nanogram sensitivity using Coomassie Brilliant Blue G-250 and R-250」、Electrophoresis 1988、9、255〜262A.Otto他、「Identification of human myocardial proteins separated by two-dimensional electrophoresis using an effective sample preparation for mass spectrometry」、Electrophoresis 1996、17、1643〜1650G.Neubauer他、「Mass Spectrometry and EST-database searching allows characterization of the multi-protein spliceosome complex」、nature genetics、vol.20、1998、46〜50J.Lingner他、「Reverse Transcriptase Motifs in the Catalytic Subunit of Telomerase」、Science、Vol.276、1997、561〜567M.Mann他、「Use of mass spectrometry-derived data to annotate nucleotide and protein sequence databases」、TRENDS in Biochemical Sciences、Vol.26、1、2001、54〜61Crouser ED他、Endotoxin-induced mitochondrial damage correlates with impaired respiratory activity; Crit Care Med 2002 Feb.; 30(2):276〜84J Steroid Biochem Mol Bio 1991 May;38(5):599〜609J Biol Chem 1977 May 25;252(10):3558〜60J Biol Chem 1984 Jan.10;259(1):323〜31J Biol Chem 1981 Nov.10;256(21):11160〜5J Biol Chem 1981 Apr.10; 256(7):3443〜6 本発明は、霊長類およびヒトにおいて、酵素であるカルバモイルリン酸シンテターゼ(CPS1)およびその断片の十分に増大した濃度を、感染によって引き起こされた炎症における循環系内で検出できることに基づいているが、これは特に、上記酵素が見出されない未処置の対照個体または健常者とは対照的であり、CPS1およびその断片を、炎症の診断/敗血症の診断に適するようになされたものである。 診断での使用、すなわち炎症または敗血症の実験的シミュレーションで初めてCPS1およびその断片の出現を検出すること、および敗血症罹患者の血清中で十分に増大したCPS1免疫反応性を検出することによって生じた使用は、一般的な形で請求項1から7に主張されている。 請求項8から16は、新たな発見から生じた診断方法の変形例に関する。 以下の実験の節でより詳細に述べるように、本発明の出発点は、エンドトキシン投与(サルモネラチフィムリウム(Salmonella Typhimurium)からのLPS)によってヒヒに実験的に人為的敗血症を引き起こし、2Dゲル電気泳動によって治療した動物の肝組織の後処理をした後に、治療した動物でのみ識別可能な隣接するタンパク質スポットの群を見出すことが可能であることを、見出したことにあった。スポットに対応しかつモル質量(ゲル電気泳動により決定される)が約68kDa、69kDa、および70kDa±3kDaであるタンパク質生成物を、電気泳動ゲルから分離し、質量分析によって調査し、CPS1の可溶性断片として同定した。 次いで前記断片を検出したイムノアッセイを使用して、これら断片の免疫反応性を有する成分が非常に高い濃度で敗血症罹患患者の循環系内に見いだされることがわかるが、これらの成分は、より厳密な同定で(とりわけ分離および分子量決定で)、主として完全なまたは少なくとも実質的に完全な酵素CPS1を提供するものである。 タンデム型質量分析による、ゲルから切り離した3つのタンパク質スポット、したがって強度が比較的低いタンパク質スポットの質量分光分析では、ヒトCPS1の配列(配列番号6)で同一の形で生じた短くかつ一部同一の部分ペプチド(「タグ」)を、3つのタンパク質スポット全てから同定したが、これらの特異的に同定されたペプチドは、CPS1アミノ酸のN末端領域からCPS1(配列番号6)の位置624までのアミノ酸配列を含んでいる。 同定された質量分析断片と、CPS1のN末端部分からの部分配列との同一性に基づいて、調査されたタンパク質スポットの同定では、認められている基準に従ってCPS1断片であると明確に見なさなければならない。 CPS1のN末端部分からの断片として、ヒヒ肝組織に敗血症または炎症を引き起こした後でのみ見出されたタンパク質の同定は、かなり科学的、診断的、および治療的な興味のあるものである。 同定されたCPS1断片、すなわち任意選択で特定の可溶形態でも存在することができる完全なまたは少なくとも実質的に完全な酵素CPS1であることがわかった断片の、その免疫反応性を有する1つまたはおそらくはいくつかの種の濃度の大幅な増大が、敗血症に罹患したヒト患者の循環系内で観察されたというその後の発見によって、記述した最初の発見の価値が大幅に増大した。 CPS1およびCPS1断片は、今日まで、医学的診断に実用的な役割を演じてこなかった。しかし酵素CPS1(E.C.6.3.4.16)そのものは、長い間周知であった。これは、尿素サイクルの第1のステップにおいてカルバモイルリン酸の形成と共にアンモニア、重炭酸塩、および2ATPの変換を触媒する。また、例えばエンドトキシンショックにおいて、NOを生合成するための基質でもあるアルギニンを生合成する際にも役割を演じる(Shoko Tabuchi他、Regulation of Genes for Inducible Nitric Oxide Synthase and Urea Cycle Enzymes in Rat Liver in Endotoxin Shock、Biochemical and Biophysical Research Communications 268、221〜224(2000)参照)。CPS1は、尿素サイクルで役割を演じるが基質であるグルタミンを処理する細胞質酵素CPS2(E.C.2.7.2.5.)とは区別すべきである。CPS1は、ミトコンドリア内に局在化し、この形で大量に肝組織内で生ずることが知られている(全肝臓タンパク質の2〜6%を占める)。そのアミノ酸配列(配列番号6)および遺伝的局在化については長い間知られてきた(Haraguchi Y.他、Cloning and sequence of a cDNA encoding human carbamoyl phosphate synthetase I: molecular analysis of hyperammonemia、Gene 1991、Nov.1; 107(2): 335〜340参照)。その生理学的役割に関しては、例えばH.M.Holder他、Carbamoyl phosphate synthetase: an amazing biochemical odyssey from substrate to product、CMLS、Cell. Mol. Life Sci. 56 (1999) 507〜522などの総論およびその内部に示されている論文と、Mikiko Ozaki他、Enzyme-Linked Immunosorbent Assay of Carbamoyl phosphate Synthetase I: Plasma Enzyme in Rat Experimental Hepatitis and Its Clearance、Enzyme Protein 1994、95:48: 213〜221による文献の序論を参照されたい。 Shoko Tabuchi他による上記引用文によれば、人為的なエンドトキシンショック(LPS)の場合、ラット肝臓では酵素(タンパク質)の増加が観察されない。Li Yin他、Participation of different cell types in the restitutive response of the rat liver to periportal injury induced by allyl alcohol、Journal of Hepatology 1999、31: 497〜507によれば、全ての肝細胞において3日後に組織調査した結果、アリルアルコールによる肝損傷の場合にCPS1発現の増加を観察することができる。 ラットモデルでガラクトサミンを投与することにより実験的に誘発された急性肝炎では、特に肝炎誘発ガラクトサミンで処理した24〜48時間後に、ラット血漿中で免疫学的CPS1活性が大幅に増大したことがさらにわかった(ウサギからの抗ラットCPS1 IgGを用いたELISAによって検出された)。ラット血漿では、急性肝炎の場合、モル質量が約140および125kDaであるCPS1断片も、他のより詳細な特徴付け(配列割当)なしで益々検出可能であったが、ヒト剖検サンプルを用いた付随の免疫ブロット分析では、CPS1免疫反応性を有するCPS1断片を観察することができなかった(Mikiko Ozaki他、上記引用文)。 ヒト血清または血漿で決定することができる、実質的に完全なCPS1と可溶性CPS1断片、特にCPS1のN末端部分からのモル質量が68〜70kDa±3kDaである断片がヒトの炎症および敗血症を診断する生物マーカーとして適切であることは、これら文献による所見からは明らかではない。 特にそのような断片を、全く等しく後処理しかつ貯蔵したにも関わらず循環系または肝組織内に検出することができなかった未治療のまたは健康な患者または動物とは対照的に、敗血症ではヒトCPS1の形成が増加し、また実験的に誘発された敗血症のヒヒではCPS1断片の形成が増加したことが検出されたので、CPS1およびその断片は診断目的に適している。CPS1およびその断片が、それ自体が知られている免疫診断法によって検出するための、試薬としてまたはある特定の抗体を生成するために必要とされる場合、その断片は、現在では従来技術の一部となっている方法による組換え生成物として、合成によりまたは遺伝子工学的に調製することができる。 さらに、必要とされるCPS1断片は、本発明によりペプチドを診断決定するための助剤としてかつ/または可能性ある治療薬としても適切な、特異的ポリクローナルまたはモノクローナル抗体を生成するために知られている最新の従来技術によって、使用することもできる。既知の部分ペプチド配列に対して適切なモノクローナルまたはポリクローナル抗体の生成は、現在では、一般的な従来技術の一部となっている。 患者の血清におけるCPS1またはCPS1断片の決定では、原則として、例えばP.P.Ghillani他、「Monoclonal antipeptide antibodies as tools to dissect closely related gene products」、The Journal of Immunology、Vol.141、No.9、1988、3156〜3163、およびP.P.Ghillani他、「Identification and Measurement of Calcitonin Precursors in Serum of Patients with Malignant Diseases」、Cancer Research、Vol.49、No.23、1989、6845〜6851で選択的プロカルシトニン決定に関して記載されているように進めることが可能であり、さらにそこに記載されている免疫化技法、すなわちCPS1の部分配列にも対するモノクローナル抗体を得るための1つの可能性を示している技法を、特に参照されたい。記載されている技法の変形例および/または他の免疫化技法は、当業者なら関連ある標準的な作業および文献から発見することができ、文脈内に適用することができる。ヒト生物流体、特にヒト血清または血漿中のCPS1を決定するのに好ましいイムノアッセイについて、それによって得られた測定結果および検出された検体のより詳細な特徴付けと共に、以下の実験の節で述べる。 アッセイキットの構成要素(試薬)としてCPS1または可溶性CPS1断片を使用すること、またはアッセイ構成要素、例えば概してアッセイキットの場合と同様に固定化されかつ/またはマークされた形で提供されるポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体などを生成するために使用することは、概して本願の文脈における使用とも見なされる。 DNAによる直接遺伝子免疫化の技法を使用したCPS1抗体の生成についても、特に述べるべきである。得ることができる抗体のスペクトルは、そのような免疫化技法によって広げることができることがこれまでにわかっているので、例えば、免疫化のためにCPS1のまたは所望のCPS1断片のcDNAを使用することは、本発明の範囲内にある。 本発明によれば、CPS1配列のN末端部分からのCPS1またはCPS1断片を決定する際、特にアッセイの設計に応じて、任意のその他のもの、例えば生物流体中に同時に存在しかつこれらの断片を含有することができるより長い可溶性CPS1断片、または可溶性の形で存在する完全CPS1の形(通常はミトコンドリア中に局在化する)を決定しまたは付随して決定することもできることを、さらに特別に指摘すべきである。本発明の文脈では、そのような方法も、CPS1またはCPS1断片を決定するための本発明による方法と見なすべきである。 したがって、配列番号6によるCPS1、またはその可溶性の形、またはその可溶性部分ペプチド、例えば配列番号1から配列番号5までの部分配列および/またはCPS1のN末端からのその他の部分配列の1つを含有しあるいはこれらからなるものは、本発明の結果に基づいて、炎症および感染の経過を診断しモニタするための特異的マーカーペプチド(生物マーカー)として働くことができる(特に、敗血症タイプの全身性感染のプロカルシトニンのようなもの)。 CPS1、またはCPS1断片、またはその任意の翻訳後修飾形態を決定する代わりに、任意選択で、診断を目的として関連するmRNAを決定することも排除すべきではない。診断目的で、CPS1活性またはCPS1断片の残留活性に対応する酵素活性の決定として、とりわけCPS1決定を間接的に実施することもできる。 他のマーカーと組み合わせた測定の一部として、炎症、特に全身性炎症と敗血症の予後マーカー、およびその病態の経過をモニタするためのマーカーとして、CPS1および/またはCPS1断片の決定を実施することがさらに可能である。 プロカルシトニン測定との組合せの他に、CPS1測定と、敗血症および全身性炎症に対するその他のマーカーの決定との組合せが特に適しており、特にCA19-9、CA125、S100B、またはS100Aタンパク質は炎症の調節に関与するものであり、または以下に示す本出願人の先の未公開の特許出願に記載されている新規な敗血症マーカー、すなわちインフラミン(DE 10119804.3)およびCHP(DE 10131922.3)の決定およびタンパク質LASP-1の決定との組合せ、および/または可溶性サイトケラチン断片の決定、特に新たに発見された可溶性サイトケラチン-1断片(sCY1F; DE 10130985.6)の決定および既知の使用マーカーCYFRA-21またはTPSの決定、および/または上述のプロホルモンの1つまたは複数の決定との組合せである。既知の炎症パラメーターであるC反応性タンパク質(CRP)の同時決定も行うことができる。この出願および本出願の関連出願に記載されている新規な結果に基づき、既知の生体分子またはまだ発見されていない生体分子の測定との組合せも、一般に敗血症の緻密な診断用として考えられるべきであり、この生体分子は、組織または器官に特異的な炎症マーカーとして適切なものである。 実際のCPS1決定は、それ自体が知られている任意の適切な手法で行うことができ、適切なアッセイ設計のイムノアッセイが好ましい。 好ましい実施形態では、不均一サンドイッチイムノアッセイとして免疫診断決定が実施され、その場合は抗体の一方が、例えば被覆済み試験管壁(例えばポリスチレンからなる;「コーテッドチューブ(coated tube)」; CT)などの任意の固相上に、または例えばポリスチレンからなるマイクロタイタープレート上に、または例えば磁性粒子などの粒子表面に固定化されており、他方の抗体は、直接検出可能な標識である残基を持ちまたは標識と選択的に結合することが可能であり、形成されたサンドイッチ構造の検出に役に立つものである。適切な固相を使用して、遅れてまたはその後に実施される固定化も、可能である。 原則として、記述したタイプのアッセイで使用することができる全てのマーキング技法を使用することが可能であり、その技法には、放射性同位元素、酵素、あるいは蛍光、化学発光、または生物発光標識によるマーキングと、特にポイントオブケア(POC)または加速試験で使用されるような、例えば金原子や染色粒子などの直接光学的に検出可能なカラーマーキングが含まれる。不均一サンドイッチイムノアッセイの場合、2個の抗体は、均一アッセイに関連して以下に述べるタイプの検出系の一部を有してもよい。 したがって、本発明による方法を加速試験としても設計することは、本発明の範囲内にある。 本発明による方法はさらに、2個の抗体とCPS1とから形成された検出されるべきサンドイッチ複合体が液相に懸濁されたままの、均一方法として設計することができる。そのような場合、検出系の一部でどちらの抗体もマークすることが好ましく、それによって、どちらの抗体も単一のサンドイッチに一体化したときに、シグナルを発生させまたはシグナルのきっかけをもたらすことが可能になる。このような技法は、特に、蛍光増幅または蛍光消去を検出する方法として設計することができる。このタイプの特に好ましい方法は、例えばUS-A-4822733、EP-B1-180492、またはEP-B1-539477、およびそこに引用されている従来技術に記載されるように、対になって用いられる検出試薬の使用に関する。これらの方法によれば、単一の免疫複合体中に2つのマーキング成分を含有する反応生成物のみ選択的に測定されるような測定が、反応混合物中で直接可能になる。一例として、TRACE(登録商標)(時間分解増幅クリプテート放出(Time Resolved Amplified Cryptate Emission))またはKRYPTOR(登録商標)という商標で提供された、上記出願の教示を実現する技術を参照することができる。 本出願人の前記先願の内容は、これら出願の出典を明示することにより、本願の開示の一部と見なすべきである。 以下に、CPS1断片の発見および同定と、ヒト循環系内でこれら断片の免疫反応性を有する物質の決定であって、その後少なくとも実質的な完全酵素CPS1でありまたはその可溶性形態であることがわかったものについて、より詳細に述べるが、添付の配列表を参照されたい。1.動物モデル(ヒヒ)でのエンドトキシン投与による感染シミュレーション エンドトキシン注入によるプロカルシトニン分泌の刺激に関してヒヒで実施された実験に基づき(H.Redl他、「Procalcitonin release patterns in a baboon model of trauma and sepsis: Relationship to cytokines and neopterin」、Crit Care Med 2000、Vol.28、No.11、3659〜3663; H.Redl他、「Non-Human Primate Models of Sepsis」、Sepsis 1998、2:243〜253参照)、複数のヒヒ(約2才のオス、体重27〜29kg)にそれぞれ、体重1kg当たりLPS(サルモネラチフィムリウムからのリポ多糖、Sigma提供)100μgを静脈内投与した。注射をした5〜5.5時間後、これらの動物にドレタール10mlを静脈内投与して、犠牲にした。これら動物の死後60分以内に、全ての器官/組織を切り取り、液体窒素中で凍結させることにより安定化させた。 さらに処理中、緩衝液A(50mM Tris/HCl、pH7.1、100mM KCl、20%のグリセロール)1.5mlを、窒素で冷却しながら個々の凍結組織サンプル(1g)に添加し、そのサンプルを陶製乳鉢で微粉砕して粉末を得た(J.Klose、「Fractionated Extraction of Total Tissue Proteins from Mouse and Human for 2-D Electrophoresis」、Methods in Molecular Biology、Vol.112: 2-D Proteome Analysis Protocols、Humana Press Inc.、Totowa、NJ参照)。その後100,000gで1時間、+4℃で遠心分離した後、得られた上清を回収し、さらなる処理に必要とされるまで-80℃で貯蔵した。 上述のように得られたサンプルによる実験は、治療した動物の肝組織に最大量のプロカルシトニンが見出されたことを示しているので、ヒヒ肝臓からのタンパク質抽出物を、新規な敗血症特異的生物マーカーを求める際に使用した。2.ヒヒの細胞質肝細胞タンパク質を使用したプロテオーム分析 一方では健康なヒヒ (対照)と、他方ではLPSを注射したヒヒとの細胞質肝細胞タンパク質抽出物を、プロテオーム分析で使用した。初期分析用2Dゲル電気泳動では、タンパク質100μgを含有する肝抽出物を安定化させて9M尿素、70mM DTT、2%両性電解質、pH2〜4にし、次いでJ.Klose他、「Two-dimensional electrophoresis of proteins: An updated protocol and implications for a functional analysis of the genome」、Electrophoresis 1995、16、1034〜1059に記載されるように、分析用2Dゲル電気泳動によって分離した。2D電気泳動ゲルにおけるタンパク質の視覚化は、銀染色によって行った(J.Heukeshoven他、「Improved silver staining procedure for fast staining in Phast-System Development Unit. I. Staining of sodium dodecyl gels」、Electrophoresis 1988、9、28〜32参照)。 評価のため、未処置の動物のサンプルのタンパク質スポットパターンと、処置した動物の肝組織サンプルから得られたタンパク質スポットパターンとを比較した。対照サンプルでは出現しないが追加として全ての処置動物で出現した物質を選択して、さらなる分析調査に供した。図1は、対照サンプル(A)と処置動物サンプル(B)に関する2D電気泳動ゲルの比較を示し、モル質量が約68kDa、69kDa、および70kDa(±3kDa)でありかつ等電点がそれぞれ約6.0、5.8、および5.6である、(B)における追加のタンパク質スポットは、矢印および円により強調されている。 次いで分析用2D電気泳動のタンパク質スポットパターンで同定された新規な特異的タンパク質を、タンパク質350μgを使用する調製用2Dゲル電気泳動によって調製した(再び(10)参照)。調製用2Dゲル電気泳動では、染色を、クーマシーブリリアントブルーG250によって行った(V.Neuhoff他、「Improved staining of proteins in polyacrylamide gels including isoelectric focusing gels with clear background at nanogram sensitivity using Coomassie Brilliant Blue G-250 and R-250」、Electrophoresis 1988、9、255〜262参照)。 さらに分析するために事前に選択したタンパク質スポットを、ゲルから切り取った。 これらのタンパク質スポットを、A.Otto他、「Identification of human myocardial proteins separated by two-dimensional electrophoresis using an effective sample preparation for mass spectrometry」、Electrophoresis 1996、17、1643〜1650に記載されている方法を使用してそれぞれトリプシン消化し、次いで質量分析によって、特に例えばG.Neubauer他、「Mass Spectrometry and EST-database searching allows characterization of the multi-protein spliceosome complex」、nature genetics、vol.20、1998、46〜50; J.Lingner他、「Reverse Transcriptase Motifs in the Catalytic Subunit of Telomerase」、Science、Vol.276、1997、561〜567; M.Mann他、「Use of mass spectrometry-derived data to annotate nucleotide and protein sequence databases」、TRENDS in Biochemical Sciences、Vol.26、1、2001、54〜61に記載され論じられている質量分光分析調査を用いて分析した。 ESI(エレクトロスプレイイオン化法)の後、全ての3つのタンパク質スポットをトリプシン消化させて得た断片を、タンデム型質力分析法にもかけた。Micromass、UKのいわゆるナノフロー-Z-スプレイイオン源を有するQ-TOF質量分析計を使用した。この手順は、装置製造業者の作業説明書と一致していた。3. CPS1断片の同定 図1(A)および1(B)に示すように、LPS注射による投与がなされたヒヒの肝細胞抽出物は、とりわけ3つの新規なタンパク質スポットを含有し、すなわち既知の分子量のマーカー物質との比較によりゲル電気泳動データに基づいて分子量が約68kDa、69kDa、および70kDa(±3kDa)であると推定され、かつ一方で、関連する等電点が、第1の寸法からのタンパク質の相対位置からそれぞれ約6.0、5.8、および5.6であると決定され、すなわち等電点が約5.5〜6.1の範囲内にあることが決定された、タンパク質のスポットを含有する。 これらのタンパク質を、上述のように質量分析法によって分析した。 3つのトリプシン消化蛋白質の「親スペクトル」から、それぞれの場合について、タンデム型質力分光分析法により個々の断片(「タグ」)を同定した。これらの断片で得られた質量スペクトルは、それ自体が知られている手法を用いてコンピュータにより評価することができ、以下の結果が得られた(質量分光分析に関しては、アミノ酸ロイシン(L)とイソロイシン(I)、アミノ酸リジン(K)とグルタミン(Q)との識別は不可能であり、したがって以下の配列は既に、配列番号6による完全CPS1の既知のスペクトルへ割当てを考慮に入れている)。 70kDa(±3kDa)でのタンパク質スポット:断片70/1: GQNQPVLNITN (配列番号1)断片70/2: NQPVLNI (配列番号2)断片70/3: AQTAHIVLEDGTK (配列番号3) 69kDa(±3kDa)でのタンパク質スポット:断片69/1: GQNQPVLNITN (配列番号1)断片69/2: TAHI (配列番号4) 68kDa(±3kDa)でのタンパク質スポット:断片68/1: NQPVLNI (配列番号2)断片68/2: AFAMTNQILVEK (配列番号5) 配列番号1から配列番号5による上記部分配列は、SWISS PROTのNiceProt View:P31327で見出された、ヒトCPS1の配列の部分配列であると同定することができ、長さが1500アミノ酸でありかつ関連する理論上のモル質量(あらゆる翻訳後修飾を考慮しない)が164.939kDaであるアミノ酸鎖を有していた(配列番号6)。部分ペプチドの以下の割当てが得られた。配列番号1 アミノ酸317〜327配列番号2 アミノ酸319〜325配列番号4 アミノ酸43〜55配列番号5 アミノ酸613〜624 見出されたアミノ酸は、1つのセクションがアミノ酸43からアミノ酸624に及び、すなわちCPS1のアミノ末端部分の実質的な部分になる。 さらに、見出された配列は、関連する細胞質酵素CPS2に割り当てることができなかったことを指摘すべきである。4.健常者および敗血症罹患患者のヒト血漿におけるCPS1免疫反応性の決定4.1材料および方法4.1.1.ペプチド合成 ヒトCPS1の既知のアミノ酸配列から得られた、2つの範囲(位置184〜199:ペプチド範囲1;配列番号7、位置245〜257:ペプチド範囲2;配列番号8)を選択した。N末端システイン残基により補われたどの場合にも、これらの範囲を、標準的な方法によって可溶性ペプチドとして化学的に合成し、精製し、質量分析法および逆相HPLCを用いた品質管理にかけ、一定分量に分けて凍結乾燥した(JERINI AG、ベルリン、ドイツ)。ペプチドのアミノ酸配列は、ペプチドPCEN17: CEFEGQPVDFVDPNKQN (配列番号7)ペプチドPCVD14: CVPWNHDFTKMEYD (配列番号8)である。 組換え標準物質を、InVivo GmbH(Henningsdorf、ドイツ)から得た。これは、N末端Streptagによって補われた、ヒトCPS1の組換えN末端領域(配列番号6の位置1〜640)を発現したE.coli株の粗製細胞抽出物であった。任意の濃度のCPS1をこの抽出物に割り当てた。4.1.2.結合および免疫化 MBS(m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシ-スクシンイミドエステル)を用いることにより、上述のペプチドPCEN17およびPCVD14を担体タンパク質KLH(キーホールリンペットヘモシアニン)に結合させた(PIERCE、Rockford、IL、USAからの作業説明書「NHS-エステル-マレイミド架橋剤」参照)。以下のスキームに従い、ヒツジをこれらの結合体で免疫化した。最初に、各ヒツジに結合体100μgを与え(結合体のペプチド含量に基づき示された質量)、次いで4週間ごとに結合体50μgを与えた(結合体のペプチド含量に基づき示された質量)。免疫化開始後4カ月から、ヒツジ1頭当たり700mlの血液を4週間ごとに採取し、そこから遠心分離によって抗血清を得た。結合、免疫化、および抗血清の回収は、MicroPharm、Carmarthenshire、UKによって実施した。4.1.3.抗体の精製 1段階の方法では、ペプチド特異的抗体を、免疫化後4カ月から得られた抗血清から調製した。 このため、ペプチドPCEN17およびPCVD14を最初にSulfoLinkゲルに結合させた(PIERCE、Rockford、IL、USAからの作業説明書「SulfoLink Kit」参照)。ゲル5ml当たりペプチド5mgを結合に供した。 両ペプチドに対するヒツジ抗血清からのペプチド特異的抗体の親和性精製は、以下の通り実施した。 最初にペプチドカラムを、それぞれ10mlの溶出緩衝液(50mMクエン酸、pH2.2)および結合緩衝液(100mMリン酸ナトリウム、0.1% Tween、pH6.8)で交互に3回洗浄した。抗血清100mlを0.2μmに通して濾過し、存在するカラム材料を加えた。このため、カラムからの結合緩衝液10mlでゲルを定量的に濯いだ。インキュベーションは、撹拌しながら室温で一晩行った。それぞれのバッチを空のカラム(NAP 25、Pharmacia、空にしたもの)に定量的に移した。カラム通過物を廃棄した。次いで材料を、タンパク質が含まれないように、結合緩衝液250mlで洗浄した(洗浄溶出液のタンパク質含量<0.02 A280nm)。溶出緩衝液をこの洗浄したカラムに加え、1mlの画分を収集した。各画分のタンパク質含量は、BCA法を用いて決定した(PIERCE、Rockford、IL、USAからの作業説明書参照)。タンパク質濃度が>0.8mg/mlである画分を貯めた。BCA法を用いて、貯められた画分のタンパク質を決定した後、その収量は、抗PCEN17抗体に関しては27mg、抗PCVD14抗体に関しては33mgが得られた。4.1.4.マーキング 精製した抗PCEN17抗体(上記参照)500μlを100mMのリン酸カリウム緩衝液(pH8.0)1mlに溶かしたものを、作業説明書に従って、NAP-5ゲル濾過カラム(Pharmacia)を使用したバッファ交換(buffer change)にかけた。抗体溶液のタンパク質決定により、1.5mg/mlの値が得られた。 抗体の化学発光マーキングでは、MA70アクリジニウムNHSエステル(1mg/ml; HOECHST Behringから)10μlを、抗体溶液67μlに添加し、室温で15分間インキュベートした。その後、1Mグリシン423μlを添加し、インキュベーションをさらに10分間行った。その後このマーキングバッチを、作業説明書に従って1mlの移動相A(50mMリン酸カリウム、100mM NaCl、pH7.4)中、NAP-5ゲル濾過カラム(Pharmacia)を使用してバッファ交換(buffer change)にかけ、それによって低分子量成分を切り離した。抗体に結合していない標識の最終残留物を分離除去するため、ゲル濾過HPLCを実施した(カラム: Waters Protein Pak SW300)。サンプルを適用し、移動相Aを使用して1ml/分の流量でクロマトグラフィーにかけた。波長280nmおよび368nmを、流動式光度計を使用して測定した。抗体マーキング度の指標としての吸収比368nm/280nmは、ピークで0.10であった。抗体を含有するモノマー画分(保持時間8〜10分)を収集し、3mlの、100mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、5%ウシ血清アルブミン、0.1%アジ化ナトリウム、pH7.4中に収集した。4.1.5.結合 照射された5mlポリスチレンチューブ(Greiner製)を、以下のように、精製された抗PCVD14抗体で被覆した。すなわち抗体を、50mM Tris、100mM NaCl、pH7.8中に、6.6μg/mlの濃度になるよう希釈した。この溶液300μlを各チューブにピペット分注した。これらチューブを22℃で20時間インキュベートした。溶液を吸引濾過した。次いで各チューブに、4.2mlの、10mMリン酸ナトリウム、2% Karion FP、0.3%ウシ血清アルブミン、pH6.5を満たした。20時間後、この溶液を吸引濾過した。最後に、チューブを真空乾燥器内で乾燥した。4.2.イムノアッセイおよびその評価の実施4.2.1.アッセイの設計 以下の組成を有するアッセイ用緩衝液を調製した。100mMリン酸ナトリウム、150mM NaCl、5%ウシ血清アルブミン、0.1%非特異的ヒツジIgG、0.1%アジ化ナトリウム、pH7.4 E.coli内で発現し、また粗製E.coli抽出物の形をとる組換えヒトCPS1、すなわち可溶性の全細胞内タンパク質を含有するものを、標準物質として機能させた。この抽出物を、ウマ血清(Sigma製)中に連続希釈した。このように調製した標準物質に対し、その希釈率に応じて任意の濃度を割り当てた。4.2.2.明らかに健康な人と敗血症罹患患者のEDTA血漿の測定 それぞれ50μlの標準物質またはサンプルと200μlのアッセイ緩衝液を、上述の試験管にピペットで分注した。インキュベーションを、振盪させながら22℃で18時間行った。次いで試験管1本当たり毎回1mlの洗浄溶液(0.1% Tween 20)を用いて4回洗浄を行った。次いで0.5×106RLUのMA70でマークしたトレーサー抗体を含有するアッセイ緩衝液200μlを、各試験管にピペットで分注した。インキュベーションを、振盪させながら22℃で2時間行った。次いで試験管1本当たり毎回1mlの洗浄溶液(0.1% Tween 20)を用いて4回洗浄を行い、その試験管から雫を落とし、試験管に結合した化学発光をルミノメータ(BERTHOLD、LB952T;塩基性試薬BRAHMS AG)で測定した。 MultiCalcソフトウェア(スプラインフィット)を使用して、CPS1免疫反応性の濃度を読み取った。結果を図2に示す。健常者と敗血症罹患患者との間には明確な相違があることが、明らかである。5.血漿からのウェスタンブロット分析 敗血症血漿におけるCPS1免疫反応性のより詳細な分子の特徴付けでは、そのような血漿のサンプルを、ウェスタンブロットを用いて分析した。5.1.ゲル沈降 PROTEAN II xi Cell(BIO-RAD製)用の7.5% SDS分離ゲルを、Bio-Radの取扱説明書に従って流し入れた。11.25mの1M Tris pH8.8+7.5mlの30%アクリルアミド/ビスアクリルアミド(29:1)、Biorad製+10.79mlのMilli-Q水+300μlの10% SDS+150μlの10% APS+15μlのTEMED 水層で覆い、重合させた後、5% SDS収集ゲルを以下のように流し入れた。1.25mlの1M Tris pH6.8+1.33mlの30%アクリルアミド/ビスアクリルアミド(29:1)、Biorad製+7.26mlのMilli-Q水+100μlの10% SDS+50μlの10% APS+10μlのTEMED 5mlの収集ゲル溶液を分離ゲル上にピペット分注し、コームを挿入し、溶液を重合させた。5.2.ゲル電気泳動 20μlのPBS、2.5μlのグリセロール、および5μlのクラッキング緩衝液(120mM Tris/HCl、pH6.4、2% SDS、20%グリセロール、20% βメルカプトエタノール、0.002%ブロモフェノールブルー)を、3人の健康な対照者それぞれと3人の敗血症罹患患者それぞれから得た5μlのEDTA血漿サンプルに添加し、インキュベーションを90℃で10分間行い、その後、適用した。10μlのRainbow Marker RPN 756(Pharmacia製)を、分子量マーカーとして適用した。 使用したチャンバは、PROTEAN II xi Cell(BIO-RAD製)であった。電気泳動緩衝液は、25mM Tris/HCl、90mMグリシン、0.1% SDS、pH8.6であった。電気泳動条件は、46V/15mAで45分、120V/50mAで30分、150V/56mAで150分、190V/45mAで90分であった。 5.3.ブロット 下記のもの、すなわち25mM Tris、192mMグリシン、1% SDS、20%メタノール、pH8.3を、ブロット緩衝液として使用した。ブロット膜は、Protran BA83ニトロセルロースブロット膜、13×13cm(Schleicher&Schuell製)であった。ブロット装置は半乾燥式ブロッタ(Phase製Pegasusモデル)であった。 ゲルをブロット緩衝液中で10分間インキュベートし、ブロット膜上に置き、数層のWhatman 3MMクロマトグラフィー紙(ブロット緩衝液を染み込ませたもの)で被覆した。次いでブロットを行った(0.8mA/cm2ゲル面積、70分)。5.4.免疫応答 ブロット膜を、150mlのPBS-Tween-タンパク質溶液(PBS、0.3% Tween、1.5% BSA、50μg/ml非特異的マウスIgG)中、振盪させながら4℃で一晩飽和させた。次いでそれぞれ30μlのヒツジ抗PCEN17および抗PCVD14抗血清(抗血清の調製に関しては上記参照)を溶液に添加し、振盪させながらインキュベーションを室温で1時間行った。溶液をデカントし、ブロット膜を、毎回300mlのPBS-Tween-タンパク質溶液中で振盪させながら4×10分間洗浄した。次いで2次抗体を添加した。すなわち30μlのモノクローナルマウス抗ヒツジIgGアルカリホスファターゼ結合体(Sigma製、A8062)であり、150mlのPBS-Tween-タンパク質溶液中に希釈したものである。インキュベーションを、室温で振盪させながら90分間行った。その後デカンテーションを実施し、150mlのPBS-Tween-タンパク質溶液を用いて振盪させながら10分間洗浄した。その後デカンテーションを実施し、150mlの洗浄緩衝液(100mM Tris/HCl、pH7.5、150mM NaCl)を用いて振盪させながら2×10分の洗浄を行った。 基質溶液は、以下の通り調製した。100mlの展開緩衝液(100mM Tris/HCl、pH9.5、100mM NaCl、50mM MgCl2)+100%ジメチルホルムアミド1ml当たり50mgのBCIP(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート、Sigma製)を溶かした溶液350μl+70%ジメチルホルムアミド1ml当たり100mgのNBT(ニトロブルーテトラゾリウム、Sigma製)を溶かした溶液450μl。 基質溶液をブロット膜に添加した。5分後、このブロット膜を水中で洗浄することによって呈色反応を停止させた。結果を図3(パネルA)に示す。 並行実験では、最終濃度がそれぞれ2μg/mlである対応する免疫原性ペプチドPCEN17およびPCVD14を、1次抗血清(ヒツジ抗PCEN17または抗PCVD14抗血清)を含有する溶液に添加し、30分間プレインキュベートした。その結果を図3(パネルB)に示すが、この図3に関しては特に図面の説明を参照されたい。6.敗血症血漿のゲル濾過HPLC 溶液中の、敗血症血漿から得たCPS1免疫反応性の見掛けの分子量の決定では、そのような血漿を、ゲル濾過HPLCを用いて分画し、その画分中のCPS1免疫反応性を測定した。カラムを、標準物質(Bio-Rad標準物質:Cat.No.151-1901)の分離クロマトグラフィーによって較正した。Bio-Rad製のBio-Sil SEC-400カラム(7.8×300mm Ser.No.415949)を使用した。移動相は、300mMリン酸カリウム、0.1% NaN3、pH7.0であった。100μlの敗血症血漿をクロマトグラフィーにかけ、画分を1mlずつ収集し、そのそれぞれ50μlをイムノアッセイにかけた(手順に関しては上記参照)。得られた結果(反応性/画分)を図4に示すが、この図4に関しては特に図面の説明を参照されたい。 ヒト血漿におけるCPS1免疫反応性の測定結果と、観察された免疫反応性の原因となった種に関する調査結果は、以下の通りにまとめることができる。 記述したサンドイッチイムノアッセイを用いることにより、敗血症罹患患者の血漿ではそのCPS1免疫反応性の濃度が大幅に増大したが、健常者の血漿ではCPS1を検出できなかったことが示された(図2)。 敗血症血漿中で循環しているCPS1免疫反応性は、明らかに実質的に無傷の酵素CPS1であり、または溶解性が増大しているその一形態である。 ウェスタンブロット試験で調査をした3つの敗血症血漿は、約150kDaで特異的なCPSバンドを示した(図3)。これは、既知のアミノ酸配列に基づいて無傷のCPS1に関して計算された、約160kDaの分子量にほぼ対応する。 ゲル濾過HPLCは、調査をした敗血症血漿のCPS1免疫反応性が、溶液中で約200kDa(+/-50kDa)の分子量を有することを示した(図4)。 敗血症患者またはその他の臨床像に関しては、ヒト血清/血漿中のCPS1の測定について今日まで記述されていない。血漿中のCPS1は、急性肝炎の実験用ラットモデルでのみ測定された(上述のOzaki他、1996参照)。しかし前記文献では、健康な動物の場合であっても1〜2μg/mlのCPS濃度が検出されたので、ラットの状態をヒトの状態とは明らかに比較することはできないが、本明細書に記載される、本出願人による健常者のヒト血漿の測定によれば、検出限界よりも下の値が得られた(約0.5ng/mlと推定)。 驚くべきことに、敗血症罹患患者については血漿中のCPS1免疫反応性がかなり増大したことがわかった。ミトコンドリアに対する損傷は、敗血症の場合に生じることが知られている(Crouser ED他、Endotoxin-induced mitochondrial damage correlates with impaired respiratory activity; Crit Care Med 2002 Feb.; 30(2):276〜84)。そのような損傷は、ネクローシスまたはアポトーシスと相俟って、CPS1がミトコンドリア基質から血液循環系へと移動する原因になる可能性がある。CPS1は、肝臓内で事実上単独で発現し、かつそこでは可溶性タンパク質全体のかなりの部分を占めるので、CPS1の測定は、重篤な敗血症の場合またはその他の状況では例えば多臓器障害の場合の肝臓に対する損傷を示すのに特に適している。 したがって、一般に敗血症の診断、モニタリング、または予後診断に関係した決定とは別に、CPS1またはCPS1免疫反応性の決定は、特に、多臓器障害の場合の肝臓障害の診断、モニタリング、または予後診断、あるいは炎症性疾患およびその他の肝臓疾患に関係した決定でも実施することができる。 本発明が基礎とする発見、および敗血症や重篤な肝臓疾患など、重篤な疾患に罹患した患者の循環系におけるかなりの濃度のCPS1の出現に関する発見によって、CPS1は、溶解した形をとる場合であっても、酵素反応性の少なくとも一部を保持し、かつ疾患の悪化および/またはある望ましくない病理学的結果に寄与する可能性があると考えられる。これは、CPS1の発現または酵素作用を阻害する、それ自体が知られている物質が、病理学的過程にポジティブな影響を与えるのに適している可能性があることを示している。そのような物質は、例えばJ Steroid Biochem Mol Bio 1991 May;38(5):599〜609; J Biol Chem 1977 May 25;252(10):3558〜60; J Biol Chem 1984 Jan.10;259(1):323〜31、およびJ Biol Chem 1981 Nov.10;256(21):11160〜5; J Biol Chem 1981 Apr.10; 256(7):3443〜6に記載されている。これらは特に、Caイオンおよびその他の金属イオンとステロイドタイプの物質を含む。健康なヒヒの細胞質肝細胞タンパク質(A)と、LPS投与によって敗血症が誘発された5時間後のヒヒの肝細胞タンパク質(B)とのスポットパターンの比較が可能な、2D電気泳動ゲルを示す図である。矢印は、本発明による3つの敗血症特異的生成物(CPS1断片)の位置を示し、図(B)では円により強調されている。実験の節でより詳細に記載されているイムノアッセイによって、健常者と敗血症患者の血漿におけるCPS1免疫反応性を測定した結果を示す図であり、破線は、試験の検出の下限を示している。抗CPS抗血清を使用した血漿サンプルのウェスタンブロットバンドを示す図である。正常な人(N1〜N3)と敗血症罹患患者(S1〜S3)のサンプルをプロットした(パネルA)。CPS1の検出では、2つの定義されたCPS1エピトープ(配列番号6によるCPS1の位置184〜199および245〜257)に対する抗血清の混合物を使用した。反応の特異性について、抗血清を免疫化しまたは得るために使用された過剰なペプチドと共に、第2のバッチで抗血清をプレインキュベートすることにより、試験をした(パネルB)。分子量マーカーの位置を示す。敗血症血漿の、ゲル濾過クロマトグラフィーのCPS1免疫クロマトグラムである。敗血症血漿100μlを、Bio-Sil SEC-400 HPLCカラムに通してクロマトグラフにかけた。画分を1mlずつ収集し、それぞれの画分のCPS1免疫反応性を測定した。別に実行したクロマトグラフィーによるサイズ標準物質の位置を示す。 敗血症および重篤な感染、敗血症様全身性感染の、早期鑑別検出および検出と、予後検出および重症度の評価と、治療に伴うモニタリングとを行うための方法であって、患者から採取された血液、血清又は血漿中における、カルバモイルリン酸シンテターゼ(CPS1)(配列番号6)および/または配列番号1から5より選択されるアミノ酸配列を有するCPS1のN末端部分からのCPS1断片の存在および/または量を測定し、CPS1または特定の断片の少なくとも1つの検出および/または量から、敗血症または感染症の存在、予測される経過、重症度、または治療の成功に関して結論を引き出すことを特徴とする方法。 前記測定に使用されるCPS1配列が、完全CPS1配列(配列番号6)のアミノ酸1〜630を含む、CPS1のN末端部分からの断片の配列であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 前記特異的CPS1免疫反応性を、ゲル電気泳動によって測定された200kDa±50kDaのモル質量を有する血漿成分、および/または68〜70kDa±3kDaのモル質量および5.5〜6.1の範囲内の等電点を有する成分に割り当てることができることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。 前記特定のCPS1断片またはアッセイを目的として使用される断片が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4および/または配列番号5、配列番号7、または配列番号8による少なくとも2つのアミノ酸部分配列を含有する断片であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。 免疫検出アッセイ法であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 前記可溶性CPS1またはCPS1断片の測定が、関連するCPS1 mRNAの測定として、またはCPS1酵素活性の測定として、間接的に実施されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。 マルチパラメーター測定の一部として実施される方法であって、少なくとも1つの別の敗血症パラメーターが同時に測定され、少なくとも2つの測定量を組にした形の測定結果が得られ、敗血症の緻密な検出のために当該結果の評価を行うことを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。 前記マルチパラメーター測定の一部として、少なくとも1つのCPS1断片の他に、プロカルシトニン、CA19-9、CA125、S100B、S100Aタンパク質、可溶性サイトケラチン断片、特にCYFRA21、TPSおよび/または可溶性サイトケラチン-1断片(sCY1F)、ペプチドインフラミン、CHPおよびLASP-1、およびペプチドプロホルモン免疫反応性およびC-反応性タンパク質(CRP)からなる群から選択された少なくとも1つの別のパラメーターを測定することを特徴とする、請求項7に記載の方法。 前記マルチパラメーター測定が、チップ技術による測定装置または免疫クロマトグラフィー測定装置による同時測定として実施されることを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。 前記測定装置を使用して得られた複合測定結果の評価を、コンピュータプログラムの支援により行うことを特徴とする、請求項9に記載の方法。配列表