タイトル: | 特許公報(B2)_固体分散体組成物 |
出願番号: | 2003583424 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 31/50,A61K 9/14,A61K 47/34,A61K 47/38,A61P 9/10,A61P 19/02,A61P 29/00,A61P 43/00 |
高野 仁一郎 川島 弘行 篠田 泰雄 稲木 敏男 JP 4295629 特許公報(B2) 20090417 2003583424 20030415 固体分散体組成物 興和株式会社 000163006 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 浅野 康隆 100089048 的場 ひろみ 100101317 高野 仁一郎 川島 弘行 篠田 泰雄 稲木 敏男 US 60/372,416 20020416 20090715 A61K 31/50 20060101AFI20090625BHJP A61K 9/14 20060101ALI20090625BHJP A61K 47/34 20060101ALI20090625BHJP A61K 47/38 20060101ALI20090625BHJP A61P 9/10 20060101ALI20090625BHJP A61P 19/02 20060101ALI20090625BHJP A61P 29/00 20060101ALI20090625BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090625BHJP JPA61K31/50A61K9/14A61K47/34A61K47/38A61P9/10A61P19/02A61P29/00A61P29/00 101A61P43/00 111 A61K 31/50 A61K 9/14 A61K 47/34 A61K 47/38 A61P 9/10 A61P 19/02 A61P 29/00 A61P 43/00 特開2004−131393(JP,A) 特開2000−198776(JP,A) 国際公開第01/25198(WO,A1) 国際公開第97/06781(WO,A1) 国際公開第96/19239(WO,A1) 2 JP2003004762 20030415 WO2003086405 20031023 6 20051020 岩下 直人 技術分野本発明は、溶出性及び溶出安定性の優れた2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オン(以下、「化合物1」という)含有固体分散体組成物に関する。背景技術化合物1は、優れたインターロイキン−1β産生抑制作用を有し、免疫系疾患、炎症性疾患、虚血性疾患の予防治療薬、特に関節リウマチの治療薬として有用であることが知られている(特開2000−198776)。本発明者は、当該化合物1を経口投与用医薬組成物として利用すべく検討してきた。しかし、この化合物1は、極めて水に溶け難く、組成物からの溶出性が悪く、充分な薬効が得られないことが判明した。難水溶性薬物含有組成物から当該薬物の水への溶出性を改善する手段としては、一般に当該薬物を微細化する方法、誘導体に変換する方法が知られている。しかし、化合物1の場合、微細化しても溶出性が改善されず、誘導体に変換すると薬効が変化し好ましくないことが判明した。従って、本発明の目的は、化合物1の組成物からの溶出性を高め、かつ溶出した化合物1の濃度も維持され溶出安定性にも優れた化合物1含有医薬組成物を提供することにある。発明の開示本発明者は、化合物1と種々の成分とを組み合せて組成物を調製し、その組成物からの化合物1の溶出性を検討したところ、化合物1にヒドロキシプロピルメチルセルロースとポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを組み合せて固体分散体組成物とすれば、化合物1の溶出性が顕著に向上し、さらに溶出後の化合物1の濃度も維持され、経口投与用医薬として有用な組成物が得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は、化合物1、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有することを特徴とする固体分散体組成物を提供するものである。また、本発明は、化合物1、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる固体分散体組成物と薬理学的に許容される成分を含有することを特徴とする易溶出性医薬組成物を提供するものである。発明を実施するための最良の形態本発明において使用する化合物1、すなわち2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オンは、例えば、特開2000−198776に記載の方法で製造される。本発明の固体分散体組成物中に化合物1は0.1〜35重量%、さらに1〜30重量%、特に5〜25重量%含有するのが好ましい。本発明において使用するヒドロキシプロピルメチルセルロースとしては、メトキシ基含有率が19〜30重量%、好ましくは28〜30重量%であり、ヒドロキシプロポキシ基含有率が4〜12重量%、好ましくは7〜12重量%であり、かつ粘度が2.5〜7mm2/s(20℃)のものが最も好ましい。ここで、粘度は、試料2gを水98mLに溶解した水溶液を、日本薬局方の粘度測定法第一法(毛細管粘度計法)により、20℃で測定した値をいう。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910、具体的には、メトローズ90SH、メトローズ65SH、メトローズ60SH、TC−5E、TC−5R、TC−5S、(信越化学工業製)、メトセルK、メトセルF、メトセルE(ダウ・ケミカル製)、マーポローズ(松本油脂製薬製)が市販されている。ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、化合物1、1重量部に対して、2〜15重量部、特に3〜10重量部含有するのが好ましい。本発明において使用するポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールのエチレンオキサイドの平均重合度は、3〜200、さらに54〜196、特に105〜160であるのが好ましく、プロピレンオキサイドの平均重合度は、5〜70、さらに5〜40、特に5〜30であるのが好ましい。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールとしては、具体的には、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、ポリオキシエチレン(120)ポリオキシプロピレン(40)グリコール、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプロピレン(70)グリコール、ポリオキシエチレン(3)ポリオキシプロピレン(17)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコールなどが挙げられ、PEP101(フロイント産業製)、アデカプルロニックF−87、アデカプルロニックL−44、アデカプルロニックF68、アデカプルロニックL−31(旭電化工業製)、ユニルーブ、ユニルーブ40DP−40B、ユニルーブ70DP−950B、プロノン(日本油脂製)などが市販されている。かっこ内は平均重合度を示す。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールは、化合物1、1重量部に対して0.01〜3重量部、特に0.1〜1重量部含有するのが好ましい。これら3成分の固体分散体組成物を製造するには、例えば、3成分を溶剤中に溶解した後、下記に示した方法により溶剤を除去する方法が好ましい。溶剤としては、これら3成分の溶解能力の点でメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、ジクロロメタンなどの有機溶媒、それらの混合物またはそれらと水の混合物などが挙げられる。溶剤の除去は、該溶剤を除去できれば特に制限はなく、例えば、減圧留去、スプレードライヤー又は流動層造粒機若しくは転動造粒機などの機械で核粒子(乳糖、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム等)に噴霧するなどの方法が挙げられる。本発明の固体分散体組成物は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有していれば、他の成分を一緒に含有して製造しても本発明の効果は維持される。固体分散体組成物は、溶出性の点で、平均粒径が1〜1000μm、さらに2〜800μm、特に10〜600μmであるのが好ましい。この平均粒径は、レーザー光散乱回折法で測定した値をいう。本発明の易溶出性医薬組成物は、化合物1、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを、予め固体分散体組成物とした後、これをそのまま易溶出性医薬組成物として用いるか、あるいは薬理学的に許容される成分と混合して種々の形態の易溶出性医薬組成物として用いることもできる。本発明の場合、溶出性の点で後者の形態が特に好ましい。薬理学的に許容される成分としては、乳糖、結晶セルロース、白糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウムなどの賦形剤;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、プルランなどの結合剤;クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスポビドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルクなどの滑沢剤;タール色素、三二酸化鉄などの着色剤;ステビア、アスパルテーム、香料などの矯味剤などが挙げられる。本発明の易溶出性医薬組成物は、固形の形態であれば限定されるものではない。例えば、服用しやすい形態としては、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、細粒剤などが挙げられる。実施例本発明を、実施例及び比較例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例1化合物1、150g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(メトキシ基29重量%、ヒドロキシプロポキシ基10重量%)(信越化学工業製:TC−5R)450g、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(フロイント産業製:PEP101)30gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)24Lに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液を流動層造粒機にて乳糖300gに噴霧し固体分散体顆粒を得た。平均粒径327μm(レーザー光散乱回折式粒度分布測定装置:ベックマン・コールター(株)、LS230、以下同様。)実施例2実施例1のポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(フロイント産業製:PEP101)を、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(旭電化工業製:アデカプルロニックF68)に代えて、同方法で平均粒径386μmの固体分散体顆粒を得た。比較例1化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45g、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール(実施例1と同じもの)3gを乳鉢にて混合し粉末を得た。比較例2化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。平均粒径21μm比較例3化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45g、モノステアリン酸グリセリン(日光ケミカルズ製:ニッコールMGS−B)1.5g、及びステアリン酸ポリオキシル40(日光ケミカルズ製:ニッコールMYS−40)3gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。平均粒径18μm比較例4化合物1、15g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(実施例1と同じもの)45g、ポリソルベート80(日光ケミカルズ製:ニッコールTO−10M)7.5gをエタノール/アセトン/水混合液(混合体積比率:9/10/1)2400mLに添加し、攪拌しながら50℃に加温して溶解した。この溶液をスプレードライヤーにて噴霧乾燥し、固体分散体粉末を得た。平均粒径26μm試験例1 溶出試験製造した実施例1〜2、比較例1〜4の組成物の溶出性及び溶出安定性の確認を次法に従って行った。溶出試験(日局一般試験法 溶出試験法第2法(パドル法))化合物1、10mg含有する固体分散体を水900mL中に投入し、温度37±1℃、パドル回転数50r/minの条件で試験し、5,30,60,120分後の化合物1の濃度を測定した。各時間に採取した試料溶液は細孔径0.45μmのセルロースアセテート製メンブランフィルター(東洋濾紙製DISMIC−25cs)にて濾過し、逆相系カラム(ジーエルサイエンス製:Inertsil ODS−2)を用いた高性能液体クロマトグラフ法により測定した。結果を表1に示す。化合物1、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを単に混合した比較例1やポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを配合せず、化合物1及びヒドロキシプロピルメチルセルロースのみを配合して固体分散体組成物として製造した比較例2では化合物1がほとんど水へ溶解せず、また、他種の界面活性剤を配合して製造した固体分散体組成物の比較例3、4では、化合物1は最初は水へ溶解はするが、その後経時的に濃度が著しく低下した。反面、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを配合して固体分散体組成物として製造した実施例1又は2は、化合物1の水への溶出性もあり、かつ、経時的に一定の濃度が維持され溶出安定性にも優れていた。実施例3実施例1で製造した固体分散体顆粒62g、乳糖160g、カルメロースカルシウム36g及び軽質無水ケイ酸2gを混合し、打錠機で打錠し、0.26g/個の直径8.5mmの錠剤を得た。得られた錠剤は実施例1の固体分散体顆粒と同様な溶出性を示した。産業上の利用可能性本発明の固体分散体組成物は、水への溶出性が優れ、溶出した2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オンの濃度も一定時間維持され溶出安定性にも優れている。 2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールを含有することを特徴とする固体分散体組成物。 2−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−6−[4−(メチルチオ)フェニル]−2H−ピリダジン−3−オン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールからなる固体分散体組成物と薬理学的に許容される成分を含有することを特徴とする易溶出性医薬組成物。