生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_核酸の単離
出願番号:2003582172
年次:2010
IPC分類:C07H 21/02,C07H 21/04


特許情報キャッシュ

レイタン エヴィ デジェルダル アルネ スカージェスタッド ヴィーダル JP 4572076 特許公報(B2) 20100820 2003582172 20030402 核酸の単離 キアゲン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 599072611 特許業務法人特許事務所サイクス 110000109 レイタン エヴィ デジェルダル アルネ スカージェスタッド ヴィーダル GB 0207975.4 20020405 20101027 C07H 21/02 20060101AFI20101007BHJP C07H 21/04 20060101ALI20101007BHJP JPC07H21/02C07H21/04 A C07H 1/00-99/00 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特表平08−501321(JP,A) 国際公開第99/022021(WO,A1) 国際公開第99/061603(WO,A1) 特開平11−127854(JP,A) RUDI, K., et al.,Appl. Environ. Microbiol.,64(7),pp.2639-2643 (1998) RUDI, K., et al.,Appl. Environ. Microbiol.,66(9),pp.4004-4011 (2000) NGUYEN, H.-K., et al.,Nucleic Acids Res.,27(6),pp.1492-1498 (1999) 21 IB2003001202 20030402 WO2003084976 20031016 2005525396 20050825 8 20060306 荒木 英則発明の分野 本発明は、核酸を含有する試料から核酸を単離する方法、およびそのためのキットに関する。発明の背景 DNAおよびRNAなどの核酸に関する処理手順は、生物工学において重要な役割を担い続けている。核酸の検出およびハイブリダイゼーション、増幅、シーケンシングを含む操作および他のプロセスでは一般に、混入物質から核酸を単離しておくことが必要である。核酸を含有する試料が生体試料である場合、混入物質としては、タンパク質、炭水化物、脂質およびポリフェノールが挙げられる。したがって、今までに様々なアプローチがDNAまたはRNAの単離において用いられていた。 核酸を単離するための初期の方法は、エタノール沈殿を含む、有機溶媒を用いた一連の抽出および核酸の透析を含んだ。これらの初期の方法は比較的労力を要し、かつ時間がかかり、収量が低くなる場合もある。核酸の沈殿には、イソプロパノールを使用することもできる。 米国特許第5234809号には、シリカをベースとする核酸結合固相と共にカオトロピック剤を使用する、生体試料からDNAを単離する手順が記述されている。他の塩と合わせられた、pH3〜5の塩酸グアニジンまたはそれよりも高いpHのチオシアン酸グアニジンが、カオトロピック剤として使用される。DNAを固体表面に結合させた後に、固相をカオトロピック剤で洗浄し、生物学的混入物(biological contamination)を除去し、続いて70%エタノールで処理して、カオトロピック剤を除去することができる。DNAは水を用いて溶出される。 この方法論での別の形が米国特許第6027945号に記載されている。ここには、核酸を単離するために、カオトロピック剤の存在下でシリカベースの核酸結合固相も使用する方法が記載されている。この方法によれば、シリカベースの固相は磁性であり、そのため、磁場をかけると、混入物を含有する液相からの、目的の核酸を含有する固相の分離が促進される。 WO96/18731では、核酸を結合させる磁性粒子も使用されている。この開示において、その磁性粒子はポリスチレンベースおよびポリウレタンコートの粒子であり、カオトロピック剤の代わりに洗剤が使用されている。 核酸結合固相を使用して遂げられる進歩にもかかわらず、目的物質の収量は時として、好ましくなく低いことがある。本発明は、従来技術の欠点に取り組む。発明の概要 したがって、第1の態様において、本発明は、核酸を含有する試料から核酸を単離する方法であって: (a)カオトロピック剤を提供する段階; (b)カオトロピック剤の存在下にて、核酸を結合させることができる核酸結合固相を提供する段階; (c)NH4+またはNH3の供給源(source)を提供する段階; (d)カオトロピック剤およびNH4+またはNH3を含有する液相の存在下にて、試料を核酸結合固相と接触させる段階; (e)任意に、固相に結合した核酸とともに、固相を液相から分離する段階;を含む方法を提供する。 第2の態様において、本発明は、核酸を含有する試料から核酸を単離するためのキットであって: (a)カオトロピック剤; (b)カオトロピック剤の存在下にて、核酸を結合させることができる核酸結合固相; (c)NH4+またはNH3の供給源;を備えるキットを提供する。 驚くべきことに、核酸を単離する方法においてHH4+またはNH3が存在することによって、NH4+またはNH3が存在しない場合と比較して、核酸の収量が増大することが見出されている。 理論によって束縛されるものではないが、カオトロピック結合溶液にアンモニアまたはアンモニウムを添加することによって、pHが1(つまり、7.5から8.5に)増加すると考えられる。しかしながら、単離された核酸の収量の増大は、単にpHの影響であるとは考えられない。カオトロピック溶液のpHが、単にアルカリの添加によって8.5に上昇した場合、このことは、単離核酸の収量に影響を及ぼさない。しかしながら、アンモニアまたはアンモニウムの存在下における溶液のpHは、単離核酸の収量の増加に影響を及ぼす。つまり、アンモニアまたはアンモニウムを含有するカオトロピック溶液を酸でpH7.5に調節すると、単離核酸の収量は減少する傾向がある。さらに、pHが9.5を超える場合、単離核酸の収量は減少する傾向がある。したがって、NH4+またはNH3の存在下で核酸結合固相と試料を接触させる段階は、範囲8.5〜9.5のpHで行われることが好ましい。 核酸含有試料は通常、細胞試料などの生体試料を含む。生体試料は、その構造に応じて前処理してもよいし、または前処理する必要はない。例えば、植物もしくは真菌細胞または固形動物組織の場合には、当技術分野で公知のように、前処理が必要とされるだろう。パラフィン切片などの固相の形状で保存された試料もまた、前処理の必要がある場合がある。試料は、食物、環境試料または臨床試料であってもよく、原核細胞もしくは真核細胞または他の成分、例えばマイコプラズマ、プロトプラストまたはウイルスを含有してもよい。血液製剤は、核酸単離の重要な領域であり、本発明は特に、全血および他の血液製剤、例えば血漿、血清およびバフィーコートに適用可能である。 単離すべき核酸は、DNA、RNAまたはその修飾形であってもよい。核酸がDNAである場合、これはdsまたはssDNAであり得る。核酸がRNAである場合には、これは、rRNA、mRNAまたは全RNAであり得る。 カオトロピック剤は一般に、核酸がその二次構造を失うのに十分に高い濃度、二本鎖核酸の場合には融解するのに十分に高い濃度で提供されるカオトロピックイオンを含む。カオトロピック剤は、その未変性の対応物(counterpart)よりも安定な変性核酸を作製するように水中で水素結合を破壊すると考えられる。カオトロピック剤は通常、グアニジニウム塩、尿素、もしくはヨウ化物、塩素酸塩、過塩素酸塩または(イソ)チオシアン酸塩を含む。好ましいカオトロピック剤としては、チオシアン酸グアニジニウム、および塩酸グアニジニウムが挙げられる。 試料と接触する際に通常存在するカオトロピック剤の濃度は、2M〜8Mの範囲である。 核酸結合固相は、カオトロピック剤の存在下で核酸を結合させることができなければならないが、特定の材料に限定されない。現在、種々の材料が核酸結合固相として知られており、これらには、米国特許第5234809号に記載の材料などのシリカをベースとする材料、WO96/18731に記載の材料などのラテックスおよびポリスチレンベースの材料を含むポリマー材料、ならびにガラスなどの他の材料が含まれる。 固相の形状としては、シート、篩、焼結品(sinter)、織布および繊維が挙げられる。これらはカラム中に充填されるか、または懸濁液で使用され、高い結合能力を有し得ることから、粒子が特に有用である。単に、磁場において会合液相(associated liquid phase)から分離するのが容易であることから、磁性粒子が特に好ましい。磁性粒子において使用される一般的な材料としては、磁性酸化金属、特に酸化鉄が挙げられる。有用な磁性酸化物には、任意にその第一鉄のすべてまたは一部が、カルシウム、クロム、コバルト、銅、マグネシウム、マンガン、ニッケル、バナジウムおよび/または亜鉛などの二価遷移金属で置換される、酸化鉄が含まれる。本発明において有用なシリカベースの磁性粒子としては、米国特許第6027945号および同第5945525号に記載の粒子が挙げられる。 NH4+またはNH3の供給源は通常、アンモニア溶液であるが、他の可能性のある供給源としては、化学反応または変換によってアンモニアを生成することができる供給源が挙げられる。試料が核酸結合固相と接触する際にNH4+またはNH3が存在するために、NH4+またはNH3をいかに提供すべきかに対しては特に制限はない。好都合なことに、本発明によって提供される技術的効果によって、NH4+またはNH3を固相または試料でさえも、提供することが可能となるが、NH4+またはNH3をカオトロピック剤で提供することができる。しかしながら、カオトロピック剤およびNH4+またはNH3が共に提供される場合、潜在的な利点が生まれる。本発明による方法はさらに、試料を溶解させる条件に、生体試料をさらすことを含む溶解段階を含む。これは通常、細胞を破壊し、それらの核酸を放出するために行われる。溶解条件は、洗剤の存在を含むことが好都合である。NH4+またはNH3が溶解段階中に存在することは潜在的に有利であると考えられる。というのは、このことは、この段階中に核酸の収量を増大するという有益な効果を有し得るためである。これによって溶解段階が促進されるため、同時にカオトロピック剤が存在することもまた好都合である。したがって、カオトロピック剤およびNH4+またはNH3が溶液として共に提供される場合、この溶液を使用して、溶解段階中に生体試料を処理することができる。 それに結合した核酸を有する固相を液相から分離する段階は一般に、液相中の混入物を除去するために必要とされる。この時点で、更なる洗浄段階を固相に適用してもよい。液相から固相を分離する従来の分離段階が適用可能であり、例えば遠心分離、ペレット化された固相からの液相のデカント、または固相が充填され、液相がそれを通過するカラムの使用が挙げられる。磁性固相を使用する場合、これによって分離が促進され、分離は磁場の存在下で行うことができる。 単離核酸が必要とされる形状に応じて、更なる溶出段階を提供することができる。場合によっては、核酸が固相に結合したままで十分である場合もある。これは、増幅段階など、固相上の核酸の更なる操作が必要とされる場合である。同様に、単に水またはバッファーであってもよい溶出液を適用することによって、固相から核酸を溶出することができる。図面の簡単な説明 単に一例として、以下の実施例および添付の図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。 図1は、カオトロピック溶解および結合溶液中のアンモニアの量に対してプロットされたDNA収量のグラフを示す図である。詳細な説明 磁性粒子。2001年7月4日出願の米国特許出願第0116359.1に従って、磁性シリカ粒子を得た。 カオトロピック溶解および結合溶液。チオシアン酸グアニジン(Sigma社)130gに、0.1MトリスHCl(pH7)(Sigma社)95ml+0.5M EDTA(Invitrogen社)8mlおよびtween−20(Sigma社)2.5gを添加した。その溶液を30℃の水浴上で1時間温めた。溶液のpHは7.5であった。この溶液を、アンモニアまたはアンモニウムを添加していない参照試料として使用した。この溶液に、5%NH3(Merck社)16ul/カオトロピック溶液mlを添加し、記載のアンモニアまたはアンモニウムカオトロピック溶液としてpH8.5のままにしておいた。 カオトロピック洗浄I溶液。塩酸グアニジン(Sigma社)120gに水を添加し、合計160mlとした(7.5M)。 エタノールをベースとする洗浄II溶液。4M NaCl(Sigma社)10mlに96%EtOH100ulを添加した。この溶液800μlに水100ulを添加した。 DNA結合手順。全血(WBC7.7)50、100および150ulをカオトロピック溶解および結合溶液720ulに添加した。1分後、磁性シリカビーズ(約15mg)を添加し、その溶液を10分間インキュベートし、その後磁性ビーズを磁石で回収した。ビーズを洗浄溶液Iに再懸濁し、再び磁石で回収した。この段階を1回繰り返した。洗浄溶液IIにビーズを再懸濁し、洗浄し、磁石で回収した。この段階を1回繰り返した。最後に、水100ulをビーズに添加し、それらを周囲温度で約2分間再懸濁した。ビーズを磁石で回収し、上清を新しいチューブに移した。単離されたDNAの収量を分光光度計(Perkin Elmer社、Lambda EZ 201)で測定した。 その結果を図1に示す。図において、DNAの収量(y軸)は、カオトロピック溶解および結合溶液中の5%アンモニアμlに対して任意の単位でプロットされている。溶解容積は760μlで固定され、固相は15mgで固定されている。カオトロピック溶解および結合溶液中のアンモニアの量に対してプロットされたDNA収量のグラフを示す図である。 核酸を含有する試料から核酸を単離する方法であって:(a)カオトロピック剤を提供する段階;(b)カオトロピック剤の存在下にて、核酸を結合させることができる核酸結合固相を提供する段階;(c)NH4+またはNH3の供給源を提供する段階;(d)カオトロピック剤およびNH4+またはNH3を含有する液相の存在下にて、試料を核酸結合固相と接触させる段階;(e)任意に、固相に結合した核酸とともに、固相を液相から分離する段階;を含む方法。 固相から核酸を溶出する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。 前記試料が生体試料を含む、請求項1または2に記載の方法。 前記生体試料が細胞試料を含む、請求項3に記載の方法。 試料を溶解する条件に前記生体試料をさらすことを含む溶解段階をさらに含む、請求項3または4に記載の方法。 前記NH4+またはNH3が溶解段階中に存在する、請求項5に記載の方法。 前記核酸がDNAを含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。 前記DNAがdsまたはssDNAを含む、請求項7に記載の方法。 前記核酸がRNAを含む、請求項1から6のいずれかに記載の方法。 前記RNAがrRNA、mRNAまたは全RNAを含む、請求項9に記載の方法。 前記カオトロピック剤が、グアニジニウム塩、尿素、またはヨウ化物、塩素酸塩、過塩素酸塩もしくは(イソ)チオシアン酸塩を含む、請求項1から10のいずれかに記載の方法。 前記核酸結合固相が、シリカをベースとする固相を含む、請求項1から11のいずれかに記載の方法。 前記固相が磁性である、請求項1から12のいずれかに記載の方法。 NH4+またはNH3の前記供給源がアンモニアの溶液を含む、請求項1から13のいずれかに記載の方法。 NH4+またはNH3の前記供給源および前記カオトロピック剤が、溶液として共に提供される、請求項1から14のいずれかに記載の方法。 核酸を含有する試料から核酸を単離するためのキットであって:(a)カオトロピック剤;(b)カオトロピック剤の存在下にて核酸を結合させることができる核酸結合固相;(c)NH4+またはNH3の供給源;を備え、NH4+またはNH3の前記供給源および前記カオトロピック剤が、溶液として共に提供されるキット。 固相から核酸を溶出するための溶液をさらに備える、請求項16に記載のキット。 生体試料を溶解するための溶解溶液をさらに備える、請求項16または17に記載のキット。 前記核酸結合固相がシリカをベースとする固相を含む、請求項16から18のいずれかに記載のキット。 前記固相が磁性である、請求項16から19のいずれかに記載のキット。 NH4+またはNH3の前記供給源がアンモニアの溶液を含む、請求項16から20のいずれかに記載のキット。


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