タイトル: | 特許公報(B2)_軽症耐糖能異常またはインスリン分泌不全の検出方法 |
出願番号: | 2003580566 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 33/493,C12Q 1/32,C12Q 1/48,C12Q 1/54 |
山越 勝 高妻 卓司 JP 4466912 特許公報(B2) 20100305 2003580566 20030327 軽症耐糖能異常またはインスリン分泌不全の検出方法 旭化成ファーマ株式会社 303046299 特許業務法人 もえぎ特許事務所 110000774 藤野 清也 100090941 藤野 清規 100076244 吉見 京子 100113837 後藤 さなえ 100127421 山越 勝 高妻 卓司 JP 2002097121 20020329 20100526 G01N 33/493 20060101AFI20100428BHJP C12Q 1/32 20060101ALI20100428BHJP C12Q 1/48 20060101ALI20100428BHJP C12Q 1/54 20060101ALI20100428BHJP JPG01N33/493 AC12Q1/32C12Q1/48 ZC12Q1/54 G01N 33/493 C12Q 1/32 C12Q 1/48 C12Q 1/54 PubMed WPI BIOSIS(DIALOG) 特開2001−190299(JP,A) 特開2000−300293(JP,A) 特公平06−061278(JP,B2) 12 JP2003003771 20030327 WO2003083133 20031009 26 20051128 渡邉 潤也本発明は、尿などの試料を用いて、軽症耐糖能異常またはインスリン分泌不全を検査する方法に関するものである。また本発明は、これら軽症耐糖能異常、もしくはインスリン分泌不全を経て発症する疾患、例えば糖尿病、動脈硬化、高血圧などの疾患の予知、診断方法、さらにそれら疾患の予防、治療・指導の効果判定方法、もしくは治療するための薬剤評価方法に応用することができる。糖尿病治療の最終的な目標は、糖尿病合併症の発症予防ならびに進展抑制である。この目標を達成するためには、できるだけ初期の段階で異常を見つけだし治療することが重要であるということが、臨床試験によって実証されている[非特許文献1:Diabetes Research and Clinical Practice,28,103(1995)など]。さらに、糖尿病を発症する以前、つまり、糖尿病予備群、さらに現在は糖尿病予備群ではないが近い将来糖尿病もしくは予備群に移行する確率の高い軽症耐糖能異常やインスリン分泌不全を見つけだし、治療または運動や食事の指導を行なうことも、さらに進んだ予防的治療法として効果があると考えられる。このことを科学的に実証するための臨床試験が進められている[非特許文献2:Diabetes Care,21,1720(1998)など]。したがって、糖尿病予備群の検出は糖尿病、さらには糖尿病合併症の予防を行う上で重要である。さらに現在は糖尿病予備群ではないが近い将来糖尿病もしくは予備群に移行する確率の高い軽症耐糖能異常やインスリン分泌不全を診断することが、より早期に糖尿病の予防を行う観点から最も重要であると考えられている。糖尿病を診断する方法には、例えば経口糖負荷試験があり、75g経口グルコース負荷試験を行った場合に、空腹時血糖110mg/dl未満かつ負荷後2時間血糖140mg/dl未満である群を正常型と判定する。また空腹時血糖110mg/dl以上126mg/dl未満かつ負荷後2時間血糖140mg/dl未満である群を空腹時血糖異常上昇(impaired fasting glycemia,IFG)、空腹時血糖126mg/dl未満かつ負荷後2時間血糖140mg/dl以上200mg/dl未満である群を耐糖能異常(impaired glucose tolerance,IGT)とし、IFG+IGT=境界型と判定する。空腹時血糖126mg/dl以上または負荷後2時間血糖200mg/dl以上である群を糖尿病型と判定する。また日本糖尿病学会の指針には、空腹時血糖値、負荷後2時間血糖値だけを用いた判定では正常型であっても、糖負荷後1時間時の血糖値が180mg/dl以上である場合は糖尿病型に移行する率が高いので境界型に準じた扱いとするとある。耐糖能不良もしくは耐糖能不全とは、食事などによって血中に糖が流入した際に、血中の糖を骨格筋、肝臓、脂肪細胞などの末梢組織に充分取り込むことができずに血糖値が上昇する状態をいい、上昇する程度が健常者と比較すると高いが軽度である場合を軽症耐糖能異常という。インスリンは、膵臓のβ細胞から分泌されるホルモンであり、骨格筋、肝臓、脂肪組織に作用して、血糖を下げる作用を有する。インスリン分泌不全は食事などによって血中に糖が流入した際に、血中の糖を骨格筋、肝臓、脂肪細胞などの末梢組織に充分取り込むために充分なインスリンが分泌されない状態をいう。インスリン分泌不全のうち、血中に糖が流入した直後に末梢組織に取り込むために充分なインスリンが分泌されない状態をインスリン初期分泌不良という。日本糖尿病学会の指針によれば、インスリン初期分泌不良とは、インスリノジェニック・インデックスI.I(血糖値の糖負荷後30分値と糖負荷前値の差[△PG(30−0)]に対する血中インスリン値の糖負荷後30分値と糖負荷前値の差[△IRI(30−0)]、すなわち、△IRI(30−0)/△PG(30−0)が0.4未満の状態をいう。しかしこれらの診断のための血糖値やインスリンの測定法は、いずれも短時間に複数回の採血が必要な侵襲的な方法であり、被験者に多大な苦痛を与える。従ってこれらの欠点を解消する簡便なより侵襲性の少ない検査方法、好ましくは非侵襲的な検査方法が望まれている。一方、生体試料中のミオイノシトールを定量することは、糖尿病の診断に有用であると考えられており、以下のような例が報告されている。(a)尿中ミオイノシトール濃度は糖尿病で増加する〔非特許文献3:Larner J.et al.,New Eng.J.Med.,323,373−378(1990)〕。(b)尿中ミオイノシトール量は正常型、境界型において差がない。〔非特許文献4:Susumu Suzuki,Diabetes Care,Vol.17,No12(1994)1465−1468〕。(c)糖負荷後の尿中ミオイノシトールが正常型に比べて境界型(IFG、IGT)、糖尿病型で増加している(特許文献1:特開2001−190299号)。上記(a)、(b)は尿中のミオイノシトールをGC/MS法によって測定した結果であるが、測定者により結果が異なっているためデータの再現性、信頼性に問題がある。また一方(c)では酵素を用いた高感度なミオイノシトール測定試薬により尿中のミオイノシトールを測定した結果であり、GC/MS法と比べより正確で信頼のある結果が得られた。これにより糖尿病予備群の検出が可能となった。しかしこの(c)のミオイノシトール測定試薬は、(1)測定範囲が狭く、尿中の様々な濃度のミオイノシトールを測定するには試料を希釈しなければならず、よって最小検出感度が充分でなかったこと、(2)尿中の共存物質、特にグルコースの影響回避が充分でないなどの課題が残されており、正常型に含まれている軽症耐糖能異常やインスリン分泌不全の検出は不可能であった。さらに、75g経口糖負荷前および糖負荷後2時間時の血糖値だけを用いて正常型と判定された場合には、0〜2時間までの血糖推移の状態は反映されておらず、例えば実は糖負荷直後から血糖推移が高く維持されている近い将来糖尿病もしくは予備群に移行する確率の高い群(軽症耐糖能異常やインスリン分泌不全)でも正常型に分類されてしまう。ここで軽症耐糖能異常とは正常型に分類されるが、空腹時、負荷後30分、1時間、2時間に採血を4回実施する負荷試験を行うと、(1)負荷後30分、1時間の血糖値が非常に高い(180mg/dL以上)急峻高血糖や、(2)負荷後2時間時の血糖が140mg/dL未満ではあるが健常者より高い(例えば120mg/dL以上)、(3)75g経口糖負荷直前、糖負荷後30分、60分、120分の血糖値の総和であるΣPGが高い(例えば530mg/dL以上)などの特徴を有する、軽度に耐糖能が低下したものを指す。そのため上記(a)〜(c)の公知の事実からは、ミオイノシトールを調べることにより近い将来糖尿病もしくは予備群に移行する確率の高い群、例えば、軽症耐糖能異常の判別が可能であるとは予測できない。このように、従来技術では、糖負荷直後から血糖推移が高く維持されている近い将来糖尿病もしくは予備群に移行する確率の高い軽症耐糖能異常やインスリン分泌不全を検出する方法は見出されていなかった。特開2001−190299号特公平6−61278号Diabetes Research and Clinical Practice,28,103(1995)Diabetes Care,21,1720(1998)Larner J.et al.,New Eng.J.Med.,323,373−378(1990)Susumu Suzuki,Diabetes Care,Vol.17,No12(1994)1465−1468本発明の課題は、軽症耐糖能異常および/またはインスリン分泌不全を簡便かつ再現性良く判定する検査方法を提供することにある。本発明者らは、上記課題を達成するために、軽症耐糖能異常および/またはインスリン分泌不全を有効に判定する何らかのマーカーを探すことが有効であると考えた。そこで本発明者らは鋭意検討の結果、従来インスリン抵抗性や糖尿病予備群(境界型や糖尿病型)の検出に有用と考えられていたミオイノシトールが意外にも、軽症耐糖能異常、インスリン分泌不全を有効に判定するマーカーとしても有用であることを見出した。試料としては、人体から分離された血清または血漿、尿、あるいは、ホモジネイトした生体組織抽出物等が用いられるが、非侵襲で得られる尿が好ましい。本発明者らは、精度が高く、簡便かつ安価なミオイノシトールの定量方法を提供することを目的としてミオイノシトールの高感度定量法および定量用組成物(特許文献2:特公平6−61278号)の開発を行ってきた。この前処理不要な酵素法によって、初めてミオイノシトールについて信頼できるデータの取得が可能になった。本発明の軽症耐糖能異常および/またはインスリン分泌不全の検査方法は、このようなミオイノシトールの高感度定量法および定量用組成物の開発があって、初めて成功したものである。さらに、被験者に一定量の糖を投与した後、一定時間の間に被験者から非侵襲的に採取した尿中のミオイノシトール濃度を上記のミオイノシトール測定試薬にて定量したところ、糖尿病予備群(境界型、IFG、IGT)、糖尿病型のみならず、正常型に分類されてはいるが実は軽症耐糖能異常であるものや、正常型に分類されてはいるが実はインスリンの初期分泌の低下した者においても、あらかじめ健常者にて設定した特徴的な値よりも高いことが明らかとなり、本測定試薬により、正常型と耐糖能異常の進んだ非正常型(境界型、IFG、IGT、糖尿病)の判別のみならず、正常型に分類されてはいるが実は軽症耐糖能異常である者や、正常型に分類されてはいるが実はインスリンの初期分泌の低下した者を健常者と簡便かつ再現性良く高率に判別できることを見出した。また試料中のミオイノシトールは微量であり、用いるミオイノシトールデヒドロゲナーゼによってはグルコースにも弱い作用を示すことから、予めグルコースを消去する必要がある場合がある。グルコースを消去する方法としては、ミオイノシトールの極端な化学的安定性を利用する方法や、酵素を触媒としてグルコースを修飾する方法がある。化学的安定性を利用する方法としては、6N塩酸存在下に加熱し、ミオイノシトール以外の糖類を酸分解し分解生成物中に残存しているミオイノシトールを回収する方法や、水素化ホウ酸ナトリウムの様な還元剤で処理し、ミオイノシトール以外のグルコースなどのカルボニル基またはホルミル基を有する糖類を還元し、ミオイノシトール定量用酵素であるミオイノシトールデヒドロゲナーゼと反応し得ない化合物に修飾する方法などがある。酵素を触媒としてグルコースを修飾する方法としては、試料中のグルコースをグルコースオキシダーゼ(EC1,1,3,4)にてグルコン酸に変換する方法や、試料中のグルコースをヘキソキナーゼ(EC2,7,1,1)にてグルコース−6−リン酸に変換する方法などがある。これらの変換方法において種々の改良が知られている。グルコースオキシダーゼによってグルコースをグルコン酸に変換する方法においては、グルコースオキシダーゼを作用させた後、カタラーゼを作用させ生成する過酸化水素を消去する方法(特開昭63−185397号公報)などが知られている。またヘキソキナーゼによってグルコースをグルコース−6−リン酸に変換する方法においては、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼを作用させ、グルコースをフルクトース−1,6−二リン酸に変換させることにより、グルコース−6−リン酸が平衡反応によりグルコースに再変換されるのを防ぐ方法(特開平5−76397号)、酸化型補酵素存在下にグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させる方法(特開平1−320998号公報、特開平3−27299号)、アデノシン二リン酸存在下にピルビン酸キナーゼを作用させ、グルコース消去時に減少するアデノシン三リン酸の濃度変化を防止し、アデノシン三リン酸濃度を一定に保つ方法(特開平2−104298号公報)などが知られている。しかしながらヘキソキナーゼを用いてグルコースを消去する場合には、酵素反応によってADPが反応液中に大量に生成するため、酵素反応に及ぼす影響は無視できないものとなる。そのため生成したADPを反応に影響を及ぼさないものに変換することが好ましい。そこで本発明者らは、酵素反応によって反応液中に生成するADPを反応に影響を及ぼさないものに変換する方法としてADP消去剤を用いる方法が有効であると考えた。ADP消去剤としてはADPを反応に影響を及ぼさないものに変換できればいかなるものでも構わないが、酵素が好ましく、ADPをAMPに変換する反応を触媒するキナーゼがより好ましい。キナーゼはホスホキナーゼ、ホスホトランスフェラーゼとも呼ばれ、ADPをAMPに変換する反応を触媒するキナーゼとしては、ピロフォスフェート−グリセロールトランスフェラーゼ、6−ホスホフルクトキナーゼ、アセテートキナーゼ、ADP−ヘキソキナーゼなどが知られている。本発明者らは鋭意検討の結果、本発明のADP消去剤として用いるキナーゼとしては、6−ホスホフルクトキナーゼやADP−ヘキソキナーゼが好ましいことを見いだした。ADP消去剤として6−ホスホフルクトキナーゼを用いた場合には、試料中のグルコース消去反応において、ATP存在下にATP−ヘキソキナーゼの作用でグルコースをグルコース−6−リン酸に変換する際に生成するADPを、6−ホスホフルクトキナーゼを同時に作用させることで、あらかじめ添加してあるフルクトース−6−リン酸をフルクトース−1、6−2リン酸に変換するとともにADPをAMPに変換することができる。ADP消去剤としてADP−ヘキソキナーゼを用いた場合には、試料中のグルコース消去反応において、ATP存在下にATP−ヘキソキナーゼの作用でグルコースをグルコース−6−リン酸に変換する際に生成するADPをAMPに変換することができる。また反応の際、塩類を共存させるのが好ましく、塩類としては塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム等のマグネシウム塩、塩化カリウム、硫酸カリウム等のカリウム塩等が挙げられる。これらの塩は1〜100mM程度用いるのが好ましいが、特に限定はされない。これら酵素により修飾されて生じた化合物は、いずれもミオイノシトール定量用酵素であるミオイノシトールデヒドロゲナーゼが作用しない化合物である。本発明者らは、このような方法によって、予めグルコースを消去することが、より好ましいことを見出した。さらに、本発明者らは、糖消去反応に関して、ATP−ヘキソキナーゼおよびADP−ヘキソキナーゼの2種類のキナーゼを同時に用いた場合に試料中の糖の影響が小さくなり、より正確にミオイノシトールを測定できることを見出した。またチオNAD濃度を終濃度で0.1mM以上、好ましくは2〜10mMにすることによりミオイノシトールの測定範囲を既法の10倍程度まで広げられることを見出し、より高感度な測定系を完成することができた。特徴的な値とは、正常型からさらに選別した健常者の尿中ミオイノシトールの平均値、標準偏差やROC(Response operating characteristic)曲線をもとに設定した値であり、試料が尿である場合は糖負荷前および糖負荷一定時間後に尿中に排泄されるミオイノシトールの量の増加量として0〜20μg/mg・クレアチニン、もしくは5〜15μg/mg・クレアチニン、好ましくは8〜12μg/mg・クレアチニンである。また今後大規模試験を行って、臨床的に確定した健常者を判断したときにはこの特徴的な値は変わることもあり得る。また特徴的な値については、例えば人種、性別、年齢など母集団の選択によって変わることもあり得る。参考例1に基づくチオNAD量の検討結果を示す。参考例2に基づくミオイノシトール試薬の安定性試験の結果を示す。参考例3に基づくADP−ヘキソキナーゼの影響を示す。参考例4に基づくミオイノシトール定量曲線を示す。実施例1に基づくミオイノシトールとΣPGの関連図である。実施例2に基づくイノシトールとインスリノジェニック・インデックスの関連図である。実施例3に基づく各群とΣPGの関連図である。実施例4に基づく各群とインスリノジェニック・インデックスの関連図である。実施例5に基づく各群とミオイノシトールとの関連図である。実施例6に基づく各群とミオイノシトールとの関連図である。実施例7に基づく糖負荷試験における尿中ミオイノシトールと食事における尿中ミオイノシトールの相関図である。実施例8に基づく各群の糖負荷試験における△ミオイノシトールと食事における△ミオイノシトールの関連図である。実施例9に基づく尿糖陰性者での食事における尿中ミオイノシトールと軽症耐糖能異常との関連図である。以下、本発明およびその好ましい形態について更に詳しく説明する。本発明における軽症耐糖能異常、インスリン分泌不全の検出は、被験者への糖負荷前および糖負荷一定時間後に尿中に排泄されるミオイノシトールの量を本試薬にて測定し、前後のミオイノシトールの増加量、または増加率をあらかじめ健常者にて設定した特徴的な値と比較して行う。増加量は糖負荷一定時間後のミオイノシトール量と糖負荷前のミオイノシトール量の差として算出され、増加率は糖負荷一定時間後のミオイノシトール量と糖負荷前のミオイノシトール量の比として算出される。ミオイノシトールの濃度は、実測値または飲水などによる尿の希釈の影響を補正するための適当な標準となる指標に対する相対値が使用されても構わない。指標としてはそれぞれの尿におけるクレアチニン値が好ましい。測定の対象は糖尿病などの生活習慣病の疑いがあるものだけではなく、全てのものが対象となりうる。糖負荷の量および糖負荷の方法は、いかなる量、いかなる方法でも構わないが、通常の糖負荷試験に用いられている75gグルコースの水溶液を経口投与する方法または食事が好ましい。尿を採取する時間は、糖負荷前および糖負荷直後から6時間後までのいずれの時期であっても構わず、30分から3時間までが好ましい。蓄尿期間は30分から3時間までの間で適宜選択される。試料として尿を用いる場合には非侵襲の方法であるので、サンプル採取の方法、時間、場所を選ばずに済む。例えば自宅、職場、学校などにおいて自分で簡単にサンプルを作ることができ、採取した尿を直接、または濾紙などにしみ込ませて輸送することも可能であるため、医療機関などで拘束される必要もない。尿を濾紙などにしみ込ませた場合には、送付されたサンプルを適当な方法で抽出し、本発明を用いて簡便、短時間に測定し、結果を被験者に直ちに返すことができる画期的な方法を提供できる。特に糖負荷を行わず普段通りに生活しながら随時尿中のミオイノシトールをモニタリングし、例えば1日のなかの最高ミオイノシトール量、または最高ミオイノシトール量と最低ミオイノシトール量の差で耐糖能異常の程度、インスリン分泌不全の程度を把握することも可能である。また随時尿中のミオイノシトールをモニタリングすることで、食事内容の見直しや、運動量の調整を行い普段通りに生活しながら糖尿病の予防や進行防止をサポートすることも可能である。尿中ミオイノシトールをモニタリングする方法としては、ミオイノシトールが検出できればいかなる方法でも構わないが、例えばミオイノシトールに作用する酵素を試験紙に固定する試験紙法や、ミオイノシトールに作用する酵素を電極に固定化してセンサーとし電気化学的に検出する方法が挙げられる。試験紙法では、例えばオキシダーゼにより生じた過酸化水素にペルオキシダーゼを作用させ活性酸素を発生せしめ、これが色原体を酸化し呈色される度合いを観察すればよい。色原体としてはヨウ化カリウム、テトラメチルベンチジン、N−(3−スルホプロピル)−3,3',5,5'−テトラメチルベンチジンナトリウム、4−アミノアンチピリン、0−トリジンなどが挙げられるがこれに限定されるものではない。またセンサーで検出する場合、例えばオキシダーゼを用いる場合には生じた過酸化水素を直接電極にて測定するか、もしくはフェロセン誘導体やキノン誘導体などの電子伝達体を介在させ、得られる酸化還元電流あるいはその電気量を測定すれば良く、デヒドロゲナーゼを用いる場合にも同様に、還元型補酵素を直接電極測定するか、電子伝達体を介在させ、得られる酸化還元電流あるいはその電気量を測定すれば良い。例えば「バイオセンサおよびそれを用いた基質の定量法(特願平9−263492)」などの例が挙げられる。また例えばトイレ便器などに直接、あるいは併設したデバイス内に上記センサーを組み込むことで、日常の尿中ミオイノシトールのモニタリングをより簡便にすることもできる。さらにデバイスに測定結果を記憶する機能、情報端末などへの接続機能を持たせることにより、例え被験者が遠隔地に住むような場合でも、電子媒体を用いて医師や医療機関との連携のもとに生活データを管理・指導し、耐糖能異常の程度、インスリン分泌不全の程度を把握し、食事内容の見直しや、運動量の調整、生活習慣の改善、治療を行うことも可能である。また試料中のミオイノシトールと併せて試料中のグルコースを定量し、軽症耐糖能異常および/またはインスリン分泌不全を検出する場合、ミオイノシトールの定量は本発明で述べた方法が好ましいが、グルコースの定量は公知のいかなる方法を用いても構わない。また測定した結果に医師の診断を添付すればより精密な管理ができる。さらに従来のマーカーでは判別し得ない糖尿病を発症する以前、つまり、糖尿病予備群、さらに現在は糖尿病予備群ではないが近い将来糖尿病もしくは予備群に移行する確率の高い軽症耐糖能異常やインスリン分泌不全を見つけだすことで糖尿病に移行するリスクがわかるので、例えば生命保険等の審査項目として使用することもできる。試料中のミオイノシトールを定量するには、ミオイノシトール定量用組成物に試料1〜500μLを加え、37℃の温度にて反応させ、反応開始後の一定時間後の2点間の数分ないし数十分間、例えば3分後と4分後の1分間、または3分と8分後の5分間において変化した補酵素の量を直接または間接的に測定すれば良い。この場合既知濃度のミオイノシトールを用いて測定した場合の吸光度等の変化と比較すれば試料中のミオイノシトール量を求めることができる。定量用組成物(試薬)は、少なくともミオイノシトールに作用する酵素を含むことが必要であるが、さらに、補酵素を含むものが好ましい。また本試薬にはポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(OP−10)などの界面活性剤を適宜添加しても構わない。また本試薬は液状品、凍結乾燥品、凍結品の形で用いられる。試料中のミオイノシトールを定量するには酵素を用いミオイノシトールを定量できる方法であればいずれの方法を用いても良い。本発明に使用しうるミオイノシトールを定量できる酵素としては、少なくともミオイノシトールに作用する酵素であればいかなる酵素を用いても良いが、ミオイノシトールデヒドロゲナーゼが好ましく、フラボバクテリウム・エスピー(Flavobacterium sp.)671(FERM BP−7323、以下F.sp.671と略す)由来のミオイノシトールデヒドロゲナーゼが最も好ましい。また用いるミオイノシトールデヒドロゲナーゼは試薬中に含まれるチオNADやNADHなどの補酵素に悪影響を与える、例えばNADHオキシダーゼのような補酵素分解活性を持つ物質などのコンタミネーションをできる限り軽減、もしくはなくしたものが好ましい。なお、F.sp.671株は日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号所在の通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(現 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6所在の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター)に、受託番号FERM BP−7323(寄託日平成12年10月12日)として国際寄託されている。検出方法としてはミオイノシトールが検出できればいかなる方法でも構わないが、例えばチオNADを用いた黄色発色、NBT(ニトロブルーテトラゾリウム)を用いた青色発色、あるいはINT(2−(4−lodophenyl)−3−(4−nitrophenyl)−5−phenyl−2H−tetrazolium chloride)を用いた赤色発色に代表される可視光発色試薬を用いる方法、発光法や蛍光法を用いる方法、電気的変化を捉える方法、およびこれらを増幅する方法を組み合わせる方法が挙げられる。また上記の方法を利用できるコンパクトなデバイスを用いることで時間や場所の制限を受けずに非侵襲的に尿中ミオイノシトールを測定することも可能である。ミオイノシトールデヒドロゲナーゼの活性測定法は以下のとおりである。(1)活性測定法<反応液組成>100mM トリス緩衝液(pH8.5)20mM ミオイノシトール(シグマ社製)2mM ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)(オリエンタル酵母社製)5U/mlジアフォラーゼ(旭化成社製)0.025%ニトロブルーテトラゾリウム(NBT;和光純薬社製)1.5%トリトン(Triton)−X100(和光純薬社製)上記反応液1mlを小試験管に入れ、37℃で5分間インキュベート後に、B倍に希釈した酵素液20μlを添加して攪拌し、反応を開始する。正確に5分間の反応後に0.1NHCl 2mlを添加して攪拌し反応を停止する。550nmにおける吸光度を測定し、A1を求め、また上記反応液よりミオイノシトールを除いた反応液を用いて同様の測定を行いその吸光度A0を求める。酵素活性は下記の式より算出する。式中の数値は、次の意味である。18.3 ; NTBの分子吸光係数5 ; 反応時間3.02; 総反応液量0.02; 酵素液量B ; 酵素液の希釈倍率F.sp.671株由来のミオイノシトールデヒドロゲナーゼの性状は以下の通りである。(2)酵素作用少なくともミオイノシトールおよび補酵素の存在下、イノソース及び還元型補酵素を生成する。上記の補酵素に関しては、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド類(以下NAD類と略する)、例えば、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、アセチルピリジンアデニンジヌクレオチド(アセチルNAD)、ニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド(デアミノNAD)、ピリジンアルデヒドアデニンジヌクレオチド(アルデヒドNAD)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(チオNADP)が挙げられる。各補酵素を用いた場合の相対活性比(NADを補酵素として用いた場合を100%とする)は表1に示すとおりである。また相対活性は下記の方法に基づき補酵素を変えて測定を行った。相対活性測定法<反応液組成>緩衝液 100mM グリシン緩衝液(pH10.0)基質 20mM ミオイノシトール(シグマ社製)補酵素 2mM(NAD、チオNAD、NADP、チオNADP;以上オリエンタル酵母社製)。上記の反応液1mlを石英セルにとり、37℃に温度コントロールされている分光光度計にセットする。5分以上インキュベートし、約1.0U/mlの酵素溶液を20μlを添加、攪拌する。それぞれの還元型補酵素に特有な波長の1分間当たりの吸光度変化より初速度を求める。各補酵素で求めた初速度を、NADを補酵素として用いた場合の初速度(100%)と対比して、相対活性とした。(3)基質特異性前記の相対活性測定法に従い、反応液中の基質に変えて同一濃度のD−カイロイノシトール、D−マンノース、D−フルクトース、D−ガラクトース、マンニトール、エピイノシトール、サイロイノシトールを測定した。ミオイノシトールに対する反応初速度を100とした場合の各基質における酵素活性を表2に示す。F.sp.671株由来の酵素はミオイノシトールに特異性が高いデヒドロゲナーゼであることが明らかである。基質としては、D−マンノース、D−フルクトース、D−ガラクトース、マンニトール、D−カイロイノシトール(以上、和光純薬社製)、ミオイノシトール、エピイノシトール、サイロイノシトール(以上、シグマ社製)を用いた。(4)至適pH前記の相対活性測定法を用い、反応液中の100mMのpH10.0グリシン緩衝液にかえて100mMトリス緩衝液(pH7.0〜9.0)及び100mMグリシン緩衝液(pH9.0〜11.0)の各緩衝液を用いて測定した。測定の結果、至適pHは、11.0付近(基質;ミオイノシトール)であることが分かった。(5)分子量TSKゲルG300SW(0.75φ×600mm)、溶離液;50mMリン酸緩衝液(pH7.5)+0.2MNa2SO4+0.05%NaN3、分子量マーカーはオリエンタル酵母社製(日本)を使用した。クロマトグラフィー装置は島津社製装置(日本)を使用し、UV280nm及びフラクションの活性測定にて検出した。活性測定はミオイノシトールを基質として用いた。40000±10000であることが分かった。(6)熱安定性40℃、15分の処理でほぼ100%の残存活性を有する。酵素液、約5U/mlに15分間の加熱処理を行った。残存活性は前記の酵素活性測定法にて測定した。活性測定はミオイノシトールを基質として用いた。(7)Km値前記の相対活性測定法を用い、ミオイノシトールの濃度及び、NAD及びチオNADの濃度を変化させそれぞれのKm値を測定した。なお、前記活性測定法を用いて基質濃度を変化させKm値を算出した。基質に対するKm値ミオイノシトール:1.7±0.2mM補酵素に対するKm値NAD:0.04±0.01mMチオNAD:4.5±1mMまたミオイノシトールを定量するにあたり、さらに高感度が必要な場合には酵素サイクリング法を用いることができる。下式にその1例を示す。式中、A1はNAD(P)類、またはチオNAD(P)類を示し、A2はA1の還元型を示し、B1はA1がチオNAD(P)類の場合には還元型NAD(P)類を、A1がNAD(P)類の場合には還元型チオNAD(P)類を示し、B2はB1の酸化型生成物を示す。なお、ここで、NAD(P)は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドおよびニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸のことを表す。酵素サイクリングを用いたミオイノシトール定量反応の液組成については、ミオイノシトールデヒドロゲナーゼの各種補酵素間のKm値等を考慮して補酵素を2種類またはそれ以上適宜選択し、その後正反応/逆反応の至適pHの間でpH条件を酵素的サイクリングが効率よく進行するように設定すればよい。A1、B1の量は試料中のミオイノシトール量に比較して過剰量であり、またミオイノシトールデヒドロゲナーゼのA1、B1に対するKm値に比較しても過剰量であることが必要である。例えばF.sp.671由来のミオイノシトールデヒドロゲナーゼについてみれば、Km値はNAD、チオNADについてそれぞれ0.04mM、4.5mMであり、サイクリング反応を行う場合にはチオNAD、NADHを補酵素として選択し、サイクリング反応を行うと良い。A1およびB1の濃度は0.02mM〜2M、特に0.05〜100mMが好ましく、ミオイノシトールデヒドロゲナーゼの量は1〜1000U/mL、特に1〜100U/mLが好ましいが、その量は被検体の種類や量および測定したい試料中のミオイノシトール量などにより適宜選択することができ、これ以外の量を用いることもできる。試料中に存在する糖を消去する酵素としてヘキソキナーゼを用いる場合、グルコースからグルコース−6−リン酸への反応を触媒すればいかなるヘキソキナーゼを用いても良いが、例えばBacillus sp.由来のヘキソキナーゼが挙げられる。好ましいヘキソキナーゼとしては熱安定性に優れたヘキソキナーゼが良い。 熱安定性に優れたヘキソキナーゼは「安定なヘキソキナーゼおよびその製造法(特開2000−078982)」に記載の方法により取得することができる。さらに本発明者らはグルコース−6−リン酸と同時に生成されるADPにより、本酵素サイクリング法は若干の反応阻害を受けるため、次式のようにADP依存性ヘキソキナーゼをヘキソキナーゼと同時に作用させることでミオイノシトールデヒドロゲナーゼの反応に影響を及ぼさずに、グルコース消去能を大幅に向上させることに成功した。Glc+ATP+Mg2+ → G−6−P+ADPGlc+ADP+Mg2+ → G−6−P+AMPATP:アデノシン5'−三リン酸、ADP:アデノシン5'−二リン酸、AMP:アデノシン5'−一リン酸ヘキソキナーゼの活性測定法は以下の通りである。<反応液組成>50mM トリス緩衝液(pH8.5)(シグマ社製)20mM グルコース(和光純薬社製)4mM ATP(オリエンタル酵母社製)5U/mL グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(東洋紡社製)1mM NADP(オリエンタル酵母社製)10mM 塩化マグネシウム(和光純薬社製)酵素溶解希釈用液 50mM トリス緩衝液(pH8.5)上記反応液1mLを光路長1cmのセルに入れ、37℃で5分間インキュベート後に、B倍に希釈した酵素液20μLを添加して攪拌し、反応を開始する。反応開始後、340nmにおける吸光度を測定して直線的に反応している1分間当たりの吸光度変化A1を求める。盲検は酵素液の代わりに酵素溶解希釈用液50μLを加え同様の反応を行い1分間当たりの吸光度変化A0を求める。酵素活性は下記の式より算出する。式中の数値は、次の意味である。6.22 ;NADPHの340nmにおけるミリモル分子吸光係数1.02 ;反応総液量(mL)0.02 ;反応に供した酵素試料液量(mL)B ;酵素液の希釈倍率ADP依存性ヘキソキナーゼの活性測定法は以下のとおりである。<反応液組成>50mM トリス緩衝液(pH7.5)20mM グルコース溶液(和光純薬工業社製)2mM ADP溶液(pH7.0)(オリエンタル酵母社製)5U/mL グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ(旭化成社製)1mM NADP溶液(オリエンタル酵母社製)2mM 塩化マグネシウム溶液(和光純薬工業社製)酵素溶解希釈用液10mM トリス緩衝液(pH7.5)上記反応液3mLを小試験管に入れ、37℃で5分間インキュベート後に、B倍に希釈した酵素液50μLを添加して攪拌し、反応を開始する。反応開始後、340nmにおける吸光度を測定して直線的に反応している1分間当たりの吸光度変化A1を求める。盲検は酵素液の代わりに酵素溶解希釈用液50μLを加え同様の反応を行い1分間当たりの吸光度変化A0を求める。酵素活性は下記の式より算出する。式中の数値は、次の意味である。6.22 ;NADPHの340nmにおけるミリモル分子吸光係数3.05 ;反応総液量(mL)0.05 ;反応に供した酵素試料液量(mL)B ;酵素液の希釈倍率ヘキソキナーゼの量は1〜1000u/mL、特に1〜100u/mLが好ましく、ADP依存性ヘキソキナーゼの量は1〜1000u/mL、特に1〜100u/mLが好ましいが、その量は被検体の種類や量などにより適宜選択することができ、これ以外の量を用いることもできる。また幅広い濃度範囲の尿中ミオイノシトールを再現性良く測定するためには効率良く酵素サイクリング反応を行わせる必要がある。本発明者らは、酵素サイクリング反応に用いる2種類の補酵素であるチオNAD、NADHの濃度、比率を鋭意検討した結果、チオNAD濃度は終濃度で0.01mM以上に、特に2〜10mMに、NADH/チオNAD比は0.01〜0.5、特に0.01〜0.1にすることが好ましいことが分かった。しかし、その量は被検体の種類や量などにより適宜選択することができ、これ以外の量を用いることもできる。[実施例]本発明の実施例および参考例を詳細に述べるが、本発明は何らこれにより限定されるものではない。参考例1(チオNAD量の検討)1)試薬<R−1>5mM MES(2−Morpholinoethanesulfonic acid)(pH6.0)0〜40mM チオNAD(オリエンタル酵母社製)<R−2;ミオイノシトール定量試薬>200mM Bicine(pH9.0)0.3mM NADH(オリエンタル酵母社製)25u/mL ミオイノシトールデヒドロゲナーゼ(旭化成社製)2)方法測定装置は自動分析装置7170S(日立化成)を用いた。あらかじめ調製した0〜3000μMミオイノシトール溶液3μLにR−1試薬180μLを添加し37℃4.8分間の反応後、R−2試薬180μLを加え反応を開始した。反応開始後5.4分と7.8分の405nmにおける吸光度を読みとりその差をとり、1分間当たりの吸光度増加速度(△mABS/min)を求め、標準液に対する感度を調べた。3)結果結果を図1に示す。図1に示すように終濃度0.1〜10mMのいずれのチオNAD濃度においてもミオイノシトール0〜3000μMで検量線の直線性が認められた。またミオイノシトールの検出感度を上げるためには終濃度2〜10mMのチオNAD濃度が好ましいことが分かった。参考例2(ミオイノシトール定量試薬のバッファー種の検討)1)試薬<R−1>5mM MES(pH6.0)5mM チオNAD(オリエンタル酵母社製)<R−2;ミオイノシトール定量試薬>100mM Buffer(pH8.8)0.5mM NADH(オリエンタル酵母社製)10u/mL ミオイノシトールデヒドロゲナーゼ(旭化成社製)2)方法R−2;ミオイノシトール定量試薬のBufferの種類として、Tris((Tris(hydroxymethyi)aminomethane)、Tricine(N−Tris(hydroxymethyl)−methylglycine)、Bicine(N,N−Bis(hydroxyethyl)glycine)、TAPS(N−Tris(hydroxymethyl)methyl−3−aminopropanesulfonic acid)、TEA(Triethanolamine)、CHES(2−(Cyclohexylamino)ethanesulfonic acid)、AMPSO(3−((1,1−Dimethyl−2−hydroxy−ethyl)amino)−2−hydroxypropanesulfonic acid)を選択し、上記の組成で各R−2試薬を調製した。測定装置は自動分析装置7170S(日立化成)を用いた。あらかじめ調製した標準液100μMミオイノシトール溶液15μLにR−1試薬180μLを添加し37℃4.8分間の反応後、R−2試薬60μLを加え反応を開始した。反応開始後5.4分と7.8分の405nmにおける吸光度を読みとりその差をとり、1分間当たりの吸光度増加速度(△mABS/min)を求め、標準液に対する感度を調べた。加速試験としてR−2試薬のみを30℃のインキュベーター中にて20日間保存し、7、12、20日目に同様の試験を行い、各R−2試薬の安定性を調べた。3)結果結果を図2に示す。標準液に対する感度が安定であった緩衝液はTris、Tricine、Bicine、TEAであり、最も感度が安定であった緩衝液はBicineであった。参考例3(ADP−ヘキソキナーゼの検討)1)試薬<R−1>5mM MES(pH6.0)5mM MgCl2(和光純薬工業社製)8mM ATP(オリエンタル酵母社製)10mM チオNAD(オリエンタル酵母社製)10u/mL ATP−ヘキソキナーゼ(旭化成社製)0〜4u/mL ADP−ヘキソキナーゼ(旭化成社製)<R−2;ミオイノシトール定量試薬>200mM Bicine(pH9.0)0.3mM NADH(オリエンタル酵母社製)25u/mL ミオイノシトールデヒドロゲナーゼ(旭化成社製)2)方法測定装置は自動分析装置7170S(日立化成)を用いた。2000μMミオイノシトール溶液100μLと0〜10g/dLグルコース溶液1mLを混和したものを試料とした。各試料3μLにR−1試薬180μLを添加し37℃4.8分間の反応後、R−2試薬180μLを加え反応を開始した。反応開始後5.4分と7.8分の405nmにおける吸光度を読みとりその差をとり、1分間当たりの吸光度増加速度(△mABS/min)を求め、各試料に対する感度を調べた。3)結果結果を図3に示す。図3から分かるように、ATP−ヘキソキナーゼ単独ではグルコース濃度が10g/dLのように高くなると、感度に影響が現れるのに対して、ADP−ヘキソキナーゼを併用するときにはグルコース濃度が高くなっても影響がない。このことは、ATP−ヘキソキナーゼとADP−ヘキソキナーゼを同時に反応させることで、試料中の糖が消去され、より正確にミオイノシトールを測定できることを示している。参考例4(酵素を用いた高感度なミオイノシトールの定量)1)試薬ミオイノシトール測定試薬<R−1;グルコース消去試薬>5mM MES(pH6.0)0.05% NaN3(和光純薬工業社製)0.05% OP−10(日本ケミカルズ社製)5mM MgCl2(和光純薬工業社製)8mM ATP(オリエンタル酵母社製)10mM チオNAD(オリエンタル酵母社製)10u/mL ATP−ヘキソキナーゼ(旭化成社製)4u/mL ADP−ヘキソキナーゼ(旭化成社製)<R−2;ミオイノシトール定量試薬>200mM Bicine(pH9.0)0.05% NaN3(和光純薬工業社製)40mM KHCO3(和光純薬工業社製)0.3mM NADH(オリエンタル酵母社製)25u/mL ミオイノシトールデヒドロゲナーゼ(旭化成社製)2)方法測定装置は自動分析装置7170S(日立化成)を用いた。あらかじめ調製したミオイノシトール溶液3μLにグルコース消去試薬180μLを添加し37℃4.8分間のグルコース消去反応後、ミオイノシトール定量試薬180μLを加え反応を開始した。反応開始後5.4分と7.8分の405nmにおける吸光度を読みとりその差をとり、1分間当たりの吸光度増加速度(△mABS/min)を求めた。3)結果結果を図4に示す。図4に示すように本測定試薬によりミオイノシトールを簡便に定量することができた。ミオイノシトールの測定範囲は0〜2000μMであり、0mMミオイノシトールの多重測定により得られた△mABS/minの平均+2×標準偏差と重ならない最低濃度を最小検出感度とすると、最小検出感度は10μMであった。実施例1(尿中ミオイノシトール測定による軽症耐糖能異常の判定)1)対象被験者112名に通常の75g経口糖負荷試験を施行し、糖負荷直前、糖負荷後30分、60分、120分、180分に採血し、血糖、インスリンを測定した。また同時に糖負荷直前、糖負荷後60分、120分、180分に採尿しミオイノシトール、尿糖、クレアチニンを測定した。2)試薬と測定法血糖:電極法(京都第一化学:GA−1160)インスリン:RIA2抗体法ミオイノシトール測定試薬:実施例4に同じ。尿糖:電極法(京都第一化学:GA−1160)クレアチニン:クレアチニン−HAテストワコー(和光純薬工業社製)3)方法耐糖能の指標として、75g経口糖負荷直前、糖負荷後30分、60分、120分の血糖値の総和であるΣPGを用いた。75g経口糖負荷直前、糖負荷後60分、120分の各尿中のミオイノシトール濃度、クレアチニン濃度を測定し、尿中クレアチニン排泄量に対するミオイノシトール量(ミオイノシトール/クレアチニン)を求めた。また、糖負荷前後のミオイノシトール量の指標としては、△ミオイノシトール量:[(60分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2]+[(120分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2]を用いた。ΣPGと△ミオイノシトール量の関係を調べた。4)結果結果を表3および図5に示す。図5に示したように、ΣPGと△ミオイノシトール量は非常に良く相関した。ΣPGが高いことは、糖負荷後の血糖推移が高く維持されていることを示し、すなわち耐糖能異常があることを意味する。また例えば△ミオイノシトールの特徴的な値を10μg/mg Cre(クレアチニン)とすればΣPGが530mg/dL程度の軽症耐糖能異常から効率よく検出することができる。実施例2(尿中ミオイノシトール測定によるインスリン初期分泌不良の判定)1)対象実施例1に同じ。2)試薬と測定法実施例1に同じ。3)方法75g経口糖負荷直前、糖負荷後60分、120分の各尿中のミオイノシトール濃度、クレアチニン濃度を測定し、尿中クレアチニン排泄量に対するミオイノシトール量(ミオイノシトール/クレアチニン)を求めた。また、糖負荷前後のミオイノシトール量の指標としては、△ミオイノシトール量:[(60分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2]+[(120分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2]を用いた。インスリノジェニック・インデックス(I.I.)と△ミオイノシトール量の関係を調べた。4)結果結果を図6に示す。図6に示したように、インスリノジェニック・インデックスと△ミオイノシトール量には関連が認められ、△ミオイノシトール量が15μg/mg Cre以上であればかなり高率にインスリノジェニック・インデックスは0.4未満であった。日本糖尿病学会の指針によれば、インスリノジェニック・インデックス<0.4であればインスリン初期分泌不良と判断できる。図6から明らかなように、△ミオイノシトールの特徴的な値を15μg/mg Creとすればインスリノジェニック・インデックスが0.4未満、つまりインスリン初期分泌不良であるものを効率よく検出することができる。実施例3(尿中ミオイノシトール測定と尿糖測定による軽症耐糖能異常の判定)1)対象実施例1に同じ。2)試薬と測定法実施例1に同じ。3)方法75g経口糖負荷直前、糖負荷後60分、120分の各尿中のミオイノシトール濃度、クレアチニン濃度を測定し、尿中クレアチニン排泄量に対するミオイノシトール量(ミオイノシトール/クレアチニン)を求めた。また同時に尿糖濃度を求めた。糖負荷前後のミオイノシトール量の指標としては、△ミオイノシトール量:[(60分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2]+[(120分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2)]を用いた。4)結果△ミオイノシトール量が10μg/mg Cre以上である場合をプラス(+)、そうでない場合をマイナス(−)とした。同様に尿糖に関しては糖負荷2時間後の尿糖が50mg/dL以上である場合を+、そうでない場合を−とした。ΣPGは実施例5で算出したものを用いた。検討した112名中、△ミオイノシトール−尿糖−群は52名、△ミオイノシトール+尿糖−群は12名、△ミオイノシトール+尿糖+群は48名であった。△ミオイノシトール−尿糖+群に該当するものは無かった。△ミオイノシトール−尿糖−群、△ミオイノシトール+尿糖−群、△ミオイノシトール+尿糖+群それぞれのΣPGを比較した。結果を図7に示す。図7に示すように△ミオイノシトール−尿糖−群におけるΣPGの平均値、および標準偏差はそれぞれ453mg/dL、76.6mg/dLであった。△ミオイノシトール+尿糖−群におけるΣPGの平均値、および標準偏差はそれぞれ556mg/dL、81.1mg/dLであった。△ミオイノシトール+尿糖+群におけるΣPGの平均値、および標準偏差はそれぞれ791mg/dL、164.8mg/dLであった。また△ミオイノシトール−尿糖−群のΣPGと比べ、△ミオイノシトール+尿糖−群のΣPGは有意に高く、△ミオイノシトール+尿糖+群のΣPGは更に有意に高かった。このことから尿中ミオイノシトール、尿糖を併せて測定することにより非侵襲的に耐糖能異常の程度を判定することができた。実施例4(尿中ミオイノシトール測定と尿糖測定によるインスリン初期分泌不良の判定)1)対象実施例1に同じ。2)試薬と測定法実施例1に同じ。3)方法実施例3に同じ。4)結果△ミオイノシトール量が10μg/mg Cre以上である場合をプラス(+)、そうでない場合をマイナス(−)とした。同様に尿糖に関しては糖負荷2時間後の尿糖が50mg/dL以上である場合を+、そうでない場合を−とした。インスリノジェニック・インデックスは実施例2で算出したものを用いた。△ミオイノシトール−尿糖−群、△ミオイノシトール+尿糖−群、△ミオイノシトール+尿糖+群それぞれのインスリノジェニック・インデックス(△IRI30−0/△PG30−0)を比較した。結果を図8に示す。図8に示すように△ミオイノシトール−尿糖−群における△IRI30−0/△PG30−0の平均値、および標準偏差はそれぞれ1.32、0.79であった。△ミオイノシトール+尿糖−群における△IRI30−0/△PG30−0の平均値、および標準偏差はそれぞれ0.45、0.42であった。△ミオイノシトール+尿糖+群における△IRI30−0/△PG30−0の平均値、および標準偏差はそれぞれ0.16、0.19であった。また△ミオイノシトール−尿糖−群の△IRI30−0/△PG30−0と比べ、△ミオイノシトール+尿糖−群の△IRI30−0/△PG30−0は有意に低く、△ミオイノシトール+尿糖+群の△IRI30−0/△PG30−0は更に有意に低かった。このことから尿中ミオイノシトール、尿糖を併せて測定することにより非侵襲的にインスリン初期分泌不良の程度を判定することができた。実施例5(尿中ミオイノシトール測定による軽症耐糖能異常の判定)1)対象実施例1のうち、空腹時血糖110mg/dl未満かつ負荷後2時間血糖140mg/dl未満である正常型に分類された59名。2)試薬と測定法実施例1に同じ。3)方法正常型と判定された中で、負荷後1時間血糖180mg/dL以上、または負荷後2時間血糖120mg/dL以上のものをやや耐糖能の低下した症例(軽症耐糖能異常)としてB群、それ以外のものをA群とした。正常型と判定された59名中、A群は45名、B群は14名であった。75g経口糖負荷直前、糖負荷後60分、120分の各尿中のミオイノシトール濃度、クレアチニン濃度を測定し、A群、B群の尿中クレアチニン排泄量に対するミオイノシトール量(ミオイノシトール/クレアチニン)を求めた。また、糖負荷前後のミオイノシトール量の指標としては、△ミオイノシトール量:[(60分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2]+[(120分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2]を用いた。4)結果結果を図9に示す。図9に示したように、A群の△ミオイノシトール平均値は3.9μg/mg Cre、B群の△ミオイノシトール平均値は25.8μg/mg Creであり、A群に比べやや耐糖能の低下したB群(軽症耐糖能異常)では△ミオイノシトールが高い結果であった。実施例6(尿中ミオイノシトール測定によるインスリン分泌不全の判定)1)対象実施例1に同じ。2)試薬と測定法実施例1に同じ。3)方法正常型と判定された中で、インスリノジェニック・インデックスが0.4未満のものをB群、それ以外のものをA群とした。正常型と判定された59名中、A群は37名、B群は22名であった。75g経口糖負荷直前、糖負荷後60分、120分の各尿中のミオイノシトール濃度、クレアチニン濃度を測定し、A群、B群の尿中クレアチニン排泄量に対するミオイノシトール量(ミオイノシトール/クレアチニン)を求めた。また、糖負荷前後のミオイノシトール量の指標としては、△ミオイノシトール量:[(60分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2]+[(120分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2]を用いた。4)結果結果を図10に示す。図10に示したように、A群の△ミオイノシトール平均値は4.4μg/mg Cre、B群の△ミオイノシトール平均値は16.9μg/mg Creであり、A群に比べインスリン初期分泌の低下したB群では△ミオイノシトールが高い結果であった。実施例7(糖負荷試験における尿中ミオイノシトールと食事における尿中ミオイノシトールの関係)1)対象実施例1のうち、食事負荷試験に同意した52名。正常型(C群)22名、境界型(B群)14名、糖尿病型(D群)16名であった。食事前および食後120分後に採血し、血糖、インスリンを測定した。また食事前および食後120分後に採尿し、ミオイノシトール、尿糖、クレアチニンを測定した。2)試薬と測定法実施例1に同じ。3)方法空腹時に採血、採尿を行い食事を摂取した。食事内容はレトルトの調理済食品(ニチレイ製ウェルネス・メニューおよび佐藤食品工業製包装米飯)で、糖質91.6g、タンパク質31.0g、脂質13.9g、ナトリウム1.1gを含み、エネルギーは622kcalである。食事後120分に採血、採尿を行った。各尿中のミオイノシトール濃度、クレアチニン濃度を測定し、尿中クレアチニン排泄量に対するミオイノシトール量(ミオイノシトール/クレアチニン)を求めた。また、食事前後のミオイノシトール量の指標としては、△ミオイノシトール量:[(120分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)]を用いた。4)結果糖負荷試験における△ミオイノシトール(X軸)と食事における△ミオイノシトール(Y軸)の関係を図11に示す。図11に示したように、糖負荷試験における△ミオイノシトールと食事における△ミオイノシトールは非常に良く相関し(Y=1.044X−2.0,r=0.83,P<0.0001)、ほぼ同じ値を示した。これにより糖負荷試験を実施しなくとも、食事前後の尿中ミオイノシトールを測定することで、軽症耐糖能異常またはインスリン分泌不全を検出できることが明らかとなった。実施例8(糖負荷試験における尿中ミオイノシトールと食事における尿中ミオイノシトールの関係)1)対象実施例7に同じ。2)試薬と測定法実施例1に同じ。3)方法実施例7に同じ。4)結果各群での糖負荷試験における△ミオイノシトールと、食事における△ミオイノシトールの関係を図12に示す。図12に示したように、各群での糖負荷試験における△ミオイノシトールと食事における△ミオイノシトールは非常に良く一致していた。これにより糖負荷試験を実施しなくとも、食事前後の尿中ミオイノシトールを測定することで、軽症耐糖能異常またはインスリン分泌不全を検出できることが明らかとなった。実施例9(尿糖陰性者での食事における尿中ミオイノシトールと軽症耐糖能異常との関係)1)対象実施例7のうち、食後2時間後尿糖が陰性(50mg/dL未満)である32名。2)試薬と測定法実施例1に同じ。3)方法実施例7に同じ。ただし、食事における△ミオイノシトールが7μg/mg Cre以上のものを(+)群、それ以外を(−)群とした。4)結果結果を図13に示す。図13に示したように、食後2時間後尿糖陰性者でも△ミオイノシトール(+)群は△ミオイノシトール(−)群と比べ、糖負荷試験でのΣPGが高値を示す例が多かった。このことから食後2時間後尿糖陰性者でも、食事前後における尿中ミオイノシトールを測定することにより非侵襲的に耐糖能異常の程度を判定することができた。以上のとおり、本発明によれば、軽症耐糖能異常および/またはインスリン初期分泌不良を非侵襲的に、簡便かつ再現性良く判定する検査方法を提供することができる。FERM BP-7323〔寄託された生物材料への言及〕イ.当該生物材料を寄託した寄託機関の名称およびあて名 名称:独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター あて名:日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6ロ.イの機関に寄託した日付 平成12年10月12日(原寄託日)ハ.イの機関が寄託について付した寄託番号 FERM BP-7323 75gグルコース経口負荷前と負荷後に得られた尿試料中に含有されるミオイノシトールを定量し、糖負荷の60分及び120分後に尿中に排泄されるミオイノシトール量から[(60分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2+(120分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2]で算出されるミオイノシトールの増加量が10μg/mg・当該試料中のクレアチニン以上を軽症耐糖能異常と判定することを特徴とする、正常型の中から軽症耐糖能異常を検査する方法。ここで軽症耐糖能異常とは正常型に分類されるが、空腹時、負荷後30分、1時間、2時間に採血を4回実施する負荷試験を行うと、(1)75gグルコース経口負荷後1時間の血糖値が180mg/dL以上(2)75gグルコース経口負荷後2時間時の血糖が140mg/dL未満かつ120mg/dL以上(3)75gグルコース経口負荷直前、負荷後30分、60分、120分の血糖値の総和であるΣPGが530mg/dL以上のいずれかの特徴を有する、軽度に耐糖能が低下した状態を意味する。 食事前と食事後に得られた尿試料中に含有されるミオイノシトールを定量し、食事の120分後に尿中に排泄されるミオイノシトール量から[(120分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)]で算出されるミオイノシトールの増加量が7μg/mg・当該試料中のクレアチニン以上を軽症耐糖能異常と判定することを特徴とする、正常型の中から軽症耐糖能異常を検査する方法。ここで軽症耐糖能異常とは正常型に分類されるが、空腹時、負荷後30分、1時間、2時間に採血を4回実施する負荷試験を行うと、(1)75gグルコース経口負荷後1時間の血糖値が180mg/dL以上(2)75gグルコース経口負荷後2時間時の血糖が140mg/dL未満かつ120mg/dL以上(3)75gグルコース経口負荷直前、糖負荷後30分、60分、120分の血糖値の総和であるΣPGが530mg/dL以上のいずれかの特徴を有する、軽度に耐糖能が低下した状態を意味する。 75gグルコース経口負荷前と負荷後に得られた尿試料中に含有されるミオイノシトールを定量し、糖負荷の60分及び120分後に尿中に排泄されるミオイノシトール量から[(60分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2+(120分ミオイノシトール量−負荷前ミオイノシトール量)/2]で算出されるミオイノシトールの増加量が15μg/mg・当該試料中のクレアチニン以上をインスリン初期分泌不良であると判定することを特徴とするインスリン初期分泌不良の検査方法。 試料中のミオイノシトールを定量する方法が酵素を用いる方法である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 酵素がミオイノシトールデヒドロゲナーゼである請求項4記載の方法。 酵素を用いてミオイノシトールを定量する方法が酵素サイクリング法である請求項4または5に記載の方法。 試料中のミオイノシトール以外の糖を消去した後に、ミオイノシトールを定量することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の方法。 2種類のキナーゼを同時に反応させて、ミオイノシトール以外の糖を消去することを特徴とする請求項7に記載の方法。 2種類のキナーゼがATP−ヘキソキナーゼとADP−ヘキソキナーゼであることを特徴とする請求項8に記載の定量方法。 ミオイノシトール定量反応に用いる補酵素であるチオNADの濃度が終濃度で0.1mM以上であることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の定量方法。 ミオイノシトール定量反応に用いる補酵素であるチオNADの濃度が終濃度で2〜10mMであることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の定量方法。 試料中のミオイノシトールと併せて試料中のグルコースを定量することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の方法。