タイトル: | 特許公報(B2)_ブドウ球菌溶解活性が増強された切断型リゾスタフィン分子 |
出願番号: | 2003579727 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C12N 15/09,A61K 38/46,C12N 1/21,C12N 9/52,C12R 1/19,C12R 1/225,C12R 1/07 |
スティンソン,ジェフリー,アール. グリンバーグ,リオウボヴ リーズ,アンドリュー モンド,ジェームズ,ジェイ. コカイ−クン,ジョン,エフ. JP 4348194 特許公報(B2) 20090724 2003579727 20021223 ブドウ球菌溶解活性が増強された切断型リゾスタフィン分子 バイオシネクサス インコーポレーテッド 504233719 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 スティンソン,ジェフリー,アール. グリンバーグ,リオウボヴ リーズ,アンドリュー モンド,ジェームズ,ジェイ. コカイ−クン,ジョン,エフ. US 60/341,804 20011221 20091021 C12N 15/09 20060101AFI20091001BHJP A61K 38/46 20060101ALI20091001BHJP C12N 1/21 20060101ALI20091001BHJP C12N 9/52 20060101ALI20091001BHJP C12R 1/19 20060101ALN20091001BHJP C12R 1/225 20060101ALN20091001BHJP C12R 1/07 20060101ALN20091001BHJP JPC12N15/00 AA61K37/54C12N1/21C12N9/52C12N1/21C12R1:19C12N1/21C12R1:225C12N1/21C12R1:07 C12N 15/00-15/90 C12N 9/00-9/99 GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq UniProt/GeneSeq CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 国際公開第99/005289(WO,A1) 国際公開第99/067381(WO,A1) 国際公開第01/029201(WO,A1) System. Appl. Microbiol., 1996, Vol.19, p.21-27 Int. J. Biochem. Cell Biol., 1995, Vol.27, p.139-146 8 US2002040924 20021223 WO2003082184 20031009 2005519628 20050707 39 20051207 引地 進 本出願は、2001年12月21日に提出された米国特許仮出願第60/341,804号(弁理士整理番号07787.6007)の優先権に基づき、これを主張するものである。上記特許仮出願の全開示内容は本明細書に引用され、参照として本明細書に組み込まれる。 リゾスタフィンは、1964年にスタフィロコッカス・シムランス(Staphylococcus simulans)(以前S. stapylolyticusとして知られていた)において最初に確認された抗菌性酵素である。リゾスタフィンは、ブドウ球菌の細胞壁における架橋ペンタグリシン結合を特異的に切断することができるエンドペプチダーゼである(27)。ポリペプチド一本鎖として表すと、リゾスタフィンは約27KDaの分子量を有する。 黄色ブドウ球菌(S. aureus)の細胞壁架橋は高比率のグリシンを含有しているため、リゾスタフィンは、凝結酵素陽性ブドウ球菌である黄色ブドウ球菌を溶解するのに特に有効である(27)。リゾスタフィンに関する初期の研究から、この酵素が凝結酵素陰性ブドウ球菌である表皮ブドウ球菌(S. epidermidis)を溶解できることが明らかにされた。しかし、後の研究によって、黄色ブドウ球菌と比較して、表皮ブドウ球菌の溶解には、各表皮ブドウ球菌株に応じて高い濃度の酵素又は長いインキュベーション時間を必要とすることがわかった(27)。この表皮ブドウ球菌におけるリゾスタフィンに対する菌株特異的な感受性は、各株の細胞壁に含まれるグリシンの量の違いによるものと考えられる。リゾスタフィンに対して耐性の高い株は、細胞壁にグリシンより高い比率のセリンを含有する(27)。 ブドウ球菌感染(黄色ブドウ球菌により引き起こされるものなど)は、特に病院、学校及び診療所のような環境において、罹患及び死亡の大きな原因である。特にリスクのある患者として、小児、高齢者、免疫無防備状態、免疫抑制状態にある者、並びに頻繁に入院する必要がある慢性病状を有する者が挙げられる。さらに、黄色ブドウ球菌の多剤耐性株が出現すると、このような感染をタイミングよく阻止し、治療する上での懸念、またその必要性が高くなる。実際、世界保健機関の”Overcoming Astionicro Oral Resistance”と題する近年の報告には、薬物耐性レベルの上昇が数十年来の医学的進歩を妨げる恐れがあるという懸念が詳述されている。提起された問題の中に、入院患者の感染がある。米国だけをとっても、病院で獲得した薬物耐性菌によって、毎年およそ14,000人が感染し、死亡している。世界中で、院内感染の60%もが薬物耐性菌によるものである。 最もリスクの大きい患者は、入院又は外来手術を受ける患者、集中治療室(ICU)の患者、連続的血液透析を受ける患者、HIV感染やAIDSを有する患者、熱傷患者、治療又は疾患のために生来の免疫が低下した人、慢性疾患又は衰弱患者、老年層、免疫系が未熟な小児、並びに血管内装置を付けている人である(2、3、4、7、8、9、13、25、26)。 黄色ブドウ球菌によって起こる感染に際し、黄色ブドウ球菌の主な生態学的ニーチェはヒトの前鼻腔である。ブドウ球菌の鼻内保菌は、感染の疫学及び病因に重要な役割を果たしている(2、3、7、13、23、24、25、26)。健康な被験者において、時間が経過すると、以下に挙げる3つのパターンの黄色ブドウ球菌鼻内保菌を識別することができる。すなわち、約20%の人が存続性保菌者で、約60%が間欠性保菌者であり、約20%は黄色ブドウ球菌を保有することがないようである(7)。 Changら(1)は、肝移植病棟に入院している84人の肝硬変患者について試験した。全体で、39人(46%)が黄色ブドウ球菌の鼻内保菌者で、これらの患者のうち23%が後に黄色ブドウ球菌感染を発現したのに対し、非保菌者は4%に過ぎなかった。HIV患者の試験(13)により、患者の49%(296人のうち114人)が黄色ブドウ球菌の少なくとも1つの陽性鼻内培養菌を有することがわかった。201人の患者のうち34%が鼻内保菌者で、そのうちの38%が存続性保菌者、62%が間欠性保菌者であるとみなされた。これらの患者のうち13人に21回の黄色ブドウ球菌感染の発現が起こった。分子株タイピングにより、7人の感染患者のうち6人について、感染部位から単離した黄色ブドウ球菌株が、以前鼻腔から培養したものと同じであることがわかり、明らかに良性の鼻内コロニー形成であっても阻止する必要性が強調されている。鼻内黄色ブドウ球菌保菌患者は、黄色ブドウ球菌感染を発現する可能性が有意に高い(P=0.04;オッズ比、3.6;寄与危険度、0.44)。この知見から、著者は、鼻内保菌がHIV患者における黄色ブドウ球菌感染の重要な危険因子であると結論づけている(13)。 関連する特許出願、すなわち、本明細書と同時に提出され、具体的に本明細書に参照として組み込まれる”Methods and Formulations for Eradicating or Alleviating Staphylococcal Nasal Colonization Using Lysostaphin” では、リゾスタフィンは、粘稠な製剤として前鼻腔に直接適用すれば、黄色ブドウ球菌による鼻でのコロニー形成を阻止及び軽減する上で有効であることが明らかにされている。このリゾスタフィン製剤は、コトンラットモデルにおける黄色ブドウ球菌と同時に、又はこの動物モデルに鼻内コロニー形成が樹立した後に適用すると、鼻内コロニー形成に対して有効であった。 またリゾスタフィンは、皮膚、血液、及び固形組織の活性黄色ブドウ球菌感染に対する治療薬となりうる。このような治療薬として、心内膜炎(28)及び全身性黄色ブドウ球菌(29)感染のための治療薬がある。 (1)黄色ブドウ球菌感染は一般集団において蔓延している;(2)現在の抗生物質に対して耐性の黄色ブドウ球菌株が一般集団に出現している;(3)リゾスタフィンは黄色ブドウ球菌(多剤耐性株を含む)に対して非常に活性である;並びに(4)リゾスタフィン粘稠製剤は鼻でのコロニー形成(黄色ブドウ球菌感染の主要蓄積部位)を阻止及び軽減する上で有効であることから、当分野では、ブドウ球菌感染及びコロニー形成を阻止及び軽減するのに用いるための大量のリゾスタフィンを製造する手段が必要である。 本発明は、1)組換え切断型リゾスタフィンと、2)均質形態でのリゾスタフィンの製造方法に関する。本発明のリゾスタフィンは、ブドウ球菌感染のリスクのある患者に使用することを目的とする。リスクのある集団として、免疫系が未熟な小児、入院又は外来手術のために入院している患者、ブドウ球菌コロニー形成及び/又は感染の素因となる様々な状態を被る患者、あるいは、退院前の患者が挙げられる。前放出(pre-release)処置として鼻内にリゾスタフィンを使用すると、個体感染を抑制とすると共に、院内感染したブドウ球菌株の群生拡大を阻止するのに役立つ。 本発明のリゾスタフィンは、皮膚、創傷、眼、耳、肺、鼻又は胃腸管の粘膜への適用により投与することができる。一実施形態では、本発明のリゾスタフィンは、患者の鼻腔又は前鼻腔への吸入若しくはその他の点滴注入により投与する。 リゾスタフィンは、様々な剤形で患者に投与することができる。一実施形態では、リゾスタフィンを粘稠なクリーム又は液体製剤に添加する。粘稠なクリーム又は液体は鼻内投与、並びにその他の経路による投与に許容される。考えられるその他の担体は、天然ポリマー、半合成ポリマー、合成ポリマー、リポソーム、並びに半固体投与剤形を含む(10、11、12、14、16、19、21、22)。天然ポリマーには、例えば、タンパク質及び多糖がある。半合成ポリマーは、改変された天然ポリマーであり、例えば、キトサンが挙げられるが、これは天然の多糖、キチンの脱アセチル化形態である。合成ポリマーとして、例えば、デドリマー、ポリホスホエステル、ポリエチレングリコール、ポリ(乳酸)、ポリスチレンスルホネート、並びにポリ(ラクチドコグリコリド)が挙げられる。半固体投与剤形としては、例えば、クリーム、軟膏、ゲル、並びにローションが挙げられる。 本発明は、組換え切断型リゾスタフィンからなる組成物を包含する。本発明はまた、リゾスタフィンの一均質形態(切断型でも切断型でなくてもよい)をコードする組換えDNA分子、これらのDNA分子で形質転換した宿主細胞、並びにこれらの形質転換細胞からリゾスタフィンを製造する方法を包含する。一実施形態では、組換えDNA分子から発現したリゾスタフィンは、その最終形態で、形質転換宿主細胞内に蓄積する。別の実施形態では、組換えDNA分子から発現させたリゾスタフィンを、その最終形態で宿主細胞培地中に分泌させる。このように、本発明の方法により製造されるリゾスタフィン分子は、その最終状態に到達するのにタンパク質分解を必要としない。また、本発明の方法をリゾスタフィンのあらゆる切断型又は突然変異した機能的形態に適用して、リゾスタチン分子の均質集団の発現及び製造を達成することもできる。発明の詳細な説明 リゾスタフィンは、プロ酵素として細菌により自然に産生されるが、このプロ酵素を切断することにより、リゾスタフィンの成熟形態が生成する。このプロ酵素は、上記酵素の分泌のためのシグナル配列、タンデム反復モチーフ(典型的には、13アミノ酸の7回の反復配列からなる)、並びに246個のアミノ酸の最終全長(成熟)タンパク質を含む。プロリゾスタフィンを切断する酵素は、分子を切断する箇所が一貫していない。しかし、不正確に切断されたリゾスタフィンは、アミノ酸”AATHE”で開始する最終形態が製造される(配列番号17)まで、再度同じ酵素で切断されうる。このように、当業者は、成熟全長リゾスタフィンが、通常切断されるプロ配列のすぐ後のアミノ酸で開始することを認めている。従って、成熟リゾスタフィンは、アミノ酸配列、”AATHE・・・”で開始する。リゾスタフィンを細菌から単離すると、単離の時点で細菌に存在するあらゆる形態のリゾスタフィンの断片(snap shot)が生じる。得られた調製物には、以下に示すような複数の形態のリゾスタフィンが存在する:1)活性の低いプロリゾスタフィン;2)活性成熟リゾスタフィン(”AATHE”形態);並びに3)リゾスタフィンの中間形態、すなわち、成熟の各段階での分子であって、分子からまだ切断されていない様々な程度のプロ配列を有する分子。従って、天然供給源からの調製物により、様々なアミノ酸で開始する活性及び低活性リゾスタフィンの異種集団が得られる。 リゾスタフィンの低活性形態が存在すると、調製物中の十分に活性のあるリゾスタフィンの濃度が薄くなるため、天然由来のリゾスタフィンを含む組成物の比活性は低下する。対照的に、組換えリゾスタフィン調製物は、十分に活性のある成熟又は切断型形態のリゾスタフィンしか含有しない。このような調製物では、組換え分子の活性を弱めるような低活性の形態は存在しない。従って、組換えリゾスタフィンを用いて調製した組成物の比活性は、天然由来のリゾスタフィンで調製したものより高い。 現在の製造方法では、リゾスタフィンは、遺伝子工学的に作製したプラスミドから、プロタンパク質としてB.スファエリカス(B. sphaericus)において発現させ、このプロタンパク質を翻訳後プロセシングすることにより全長活性形態にする。次に、この活性酵素を増殖培地から単離する。しかし、天然形態のリゾスタフィンと同様、この産物は、プロ酵素の示差的タンパク質分解のために、長さが248〜244アミノ酸のポリペプチドの混合物から構成される(5)。このように、リゾスタフィン配列、例えば、アンビシンL(Ambicin L;Ambi, Purchase NY)に含まれる配列は、配列”RAATHE・・・”、”LRAATHE・・・”、”AATHE・・・”若しくは”THE・・・”(配列番号15〜17;配列番号13)で開始すると考えられる。 本発明の一態様は、均質の組換え切断型リゾスタフィンを含む組成物に関する。この実施形態の一態様では、リゾスタフィンの遺伝子を遺伝工学的に切断することにより、全長リゾスタフィンアミノ酸配列におけるリゾスタフィンシグナル配列、反復エレメント(「プロ」ドメイン)、並びに最初の2つのアラニンアミノ酸を除去した。この切断型リゾスタフィン配列は、アミノ酸配列”THE・・・”で開始するが、これを細胞内発現のための開始メチオニン、又はシグナル配列と融合させることにより、大腸菌の周辺腔中に単一種の切断型リゾスタフィンを分泌できるようにした。本発明者らは、成熟リゾスタフィン配列の最初の2つのアミノ酸(ala−ala)を除去することにより、成熟全長タンパク質と比較して抗ブドウ球菌活性が向上したリゾスタフィンの形態を作製した。その他の実施形態は上記以外の切断を含むこともある。 本発明の別の形態では、ブドウ球菌鼻内コロニー形成の治療のための医薬組成物において、又は多様な黄色ブドウ球菌感染の治療薬として、均質の切断型リゾスタフィンを用いることができる。政府基準は、医薬組成物に添加する成分が均質形態であることを要求している。上記成分が様々な化学的形態の混合物である場合には、医薬組成物に組み込みにくい。従って、本発明の均質な切断型リゾスタフィンは医薬組成物での使用に極めて好適である。 本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体と一緒に、治療上有効な量の本発明のリゾスタフィンを含む。薬学的に許容される担体とは、滅菌液体、例えば、水、油(例:石油、動物油、植物油、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油など)でありうる。また、特に注射液の場合には、生理食塩水、水性デキストロース、並びにグリセロール溶液を液体担体として用いることもできる。好適な医薬担体は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版(13)(参照として本明細書に組み込む)に記載されている。 治療上有効な量とは、感染の治療において、ある程度の軽減、補助、予防、あるいは、予防的効果をもたらすと合理的に考えられる量である。治療上有効な量は、細菌のコロニー形成又は感染を阻止するのに十分と考えられる量でありうる。同様に、治療上有効な量は、既存の細菌感染を軽減するのに十分と考えられる量でありうる。 本発明の別の態様は、均質なリゾスタフィンの製造方法に関する。前述したこれまでの製造方法とは異なり、本発明は、組換えタンパク質の発現後、タンパク質分解の必要性をなくすことにより、すべてが同じアミノ酸で開始するリゾスタフィンタンパク質を発現するよう設計される。本発明の方法は、全長又は切断型のいずれであっても、リゾスタフィンをその最終形態で発現するDNA分子(以下に説明する)を用いる。得られるリゾスタフィン分子は、その最終形態に到達するのに予測不可能なタンパク質分解を必要としないため、本発明では、すべての分子が同じアミノ酸で開始する、リゾスタフィンの実質的に均質な調製物が得られる。加えて、本発明の均質なリゾスタフィンには、混入物質の検出を単純化するという利点もある。具体的には、リゾスタフィンを発現する細菌細胞に由来する混入物質が調製物に残存することがある。調製物中の汚染因子の検出又は除去は、純度を試験する化学的分析が必要となるため、調製物に複数の形態のリゾスタフィンが存在すればますます困難になる。従って、均質なリゾスタフィンを発現する系は、臨床用途に用いるための、混入物質を含まない純粋なリゾスタフィンの製造にこれまでより容易に適合させることができる。 本発明の別の態様は、リゾスタフィンの均質な形態をコードする組換えDNA分子に関する。一実施形態では、組換えDNA分子は、複製起点、形質転換した宿主細胞に抗生物質耐性を賦与する遺伝子、リゾスタフィンをコードするDNA配列に機能的に連結されたプロモーター領域、シグナル配列、並びに終結配列から構成されるプラスミドである。組換えDNA分子は、コスミド又は線状化DNAのような別の形態でもよい。また、商業用医薬品を製造する間の安定化の目的で、組換えDNAを宿主細胞ゲノムに組み込んでもよい。別の実施形態では、組換えDNA分子は、全長リゾスタフィン、切断型リゾスタフィン、若しくは変異型リゾスタフィンをコードするものでもよい。本発明の組換えDNA分子は、細胞内部に局在するリゾスタフィンをコードする(すなわち、細胞内発現)ものであってもよいし、又は宿主細胞培地にリゾスタフィンを分泌するためのシグナルと共にリゾスタフィンをコードする(すなわち、細胞外発現)ものでもよい。 本発明の組換えDNA分子は、リゾスタフィンタンパク質は発現しないが、適切な遺伝子制御エレメント(すなわち、プロモーター)に機能的に連結すれば、リゾスタフィンタンパク質を発現することができるヌクレオチド配列を含むDNA分子も包含する。 本明細書で用いる用語「リゾスタフィン」とは、全長リゾスタフィン、あらゆるリゾスタフィン突然変異体又は変異型、あらゆるリゾスタフィン切断型、組換えにより発現させたあらゆるリゾスタフィンタンパク質、若しくはブドウ球菌の細胞壁ペプチドグリカンにおけるグリシン含有架橋に対するタンパク質分解攻撃のタンパク質分解能力をin vitro及びin vivoで保持する関連酵素を意味する。改変された全長リゾスタフィン又は変異型リゾスタフィンは、タンパク質の翻訳後プロセシング(宿主細胞株に存在する酵素により、又は工程のあらゆる段階で導入される酵素若しくは試薬を用いて)により、あるいは、構造遺伝子の突然変異により、作製することができる。 突然変異は、欠失、挿入、ドメイン除去、点及び置換突然変異を含んでよい。リゾスタフィンには、例えば、S.シムランス(S. simulans)から精製されたリゾスタフィン、アンビシンL(Nutrition 21, Inc.)、B.スファエリカスから精製されたリゾスタフィン、又は組換え発現系(本発明のものを含む)から精製されたリゾスタフィンがある。切断型リゾスタフィンには、1以上のアミノ酸がタンパク質のアミノ末端、カルボキシ末端、若しくはその両方から除去されているあらゆるリゾスタフィンを包含する。また、変異型リゾスタフィンを切断形態として発現させてもよい。 本明細書で用いる用語「発現」とは、DNA鋳型からメッセンジャーRNAが転写され、次にこのメッセンジャーRNAがアミノ酸配列に翻訳されて、タンパク質を形成する過程を意味する。従って、DNA分子は、メッセンジャーRNAに転写することができるヌクレオチド配列を含み、このメッセンジャーRNAをリゾスタフィンタンパク質に翻訳するときに、リゾスタフィンを発現する。本発明の目的に関して、用語「発現」は、用語「機能的にコードする」と本質的に同等である。 本明細書で用いる用語「複製起点」とは、DNAの染色体外部分(例えば、プラスミド)が、染色体の複製とは独立にそれ自体で複製できるようにするDNA配列を意味する。複製起点は、細胞においてDNA複製に関与する宿主細胞タンパク質と結合することが多い。 本明細書で用いる用語「プロモーター」とは、転写過程においてメッセンジャーRNAの生成を促進するDNA配列を意味する。プロモーターは、プロモーターでの転写過程の開始によって、遺伝子によりコードされるメッセンジャーRNAの生成が起こるとき、その遺伝子に「機能的に連結され」ている。 本明細書で用いる用語「シグナル配列」とは、宿主細胞に、得られたタンパク質と共に特定の機能を果たすよう信号を送るアミノ酸配列をコードするDNA配列を意味する。例えば、シグナル配列は、コードされるタンパク質を細胞内に保持するのではなく、分泌するよう宿主細胞に指示する。本明細書で用いる用語「終結配列」とは、転写の過程を終結させるDNA配列を意味する。終結配列は、通常、プラスミドにおいて目的とする遺伝子のDNA配列の後に位置する。 別の態様は、リゾスタフィンをコードする組換えDNAで宿主細胞を形質転換することを含む。本明細書で用いる用語「宿主細胞」とは、本発明の組換えDNAで形質転換又はトランスフェクションすることができる、原核又は真核のあらゆる細胞(動物及び植物細胞を含む)を意味する。本発明の一実施形態では、宿主細胞は細菌、例えば、大腸菌、乳酸菌(Lactococcus lactis)、バチルス・スファエリカス(Bacillus sphaericus)、並びに関連生物である。本発明の組換えDNAにおける遺伝的エレメント、例えば、複製起点、プロモーター、シグナル配列及び終結配列などは、多くの場合、宿主細胞に特異的なものとすることができる。従って、別の実施形態は、使用する特定の宿主細胞で機能する上記機能のエレメントを含む組換えDNA分子を含む。 本明細書で用いる用語「形質転換」とは、細菌細胞へのDNA分子の導入を意味する。細菌細胞は、外来のDNA分子を容易に受けるとき、「コンピテント」とみなされる。細菌細胞をコンピテントにする方法及びこのようなコンピテント細胞を形質転換する方法は標準的であり、当業者には公知である。細菌をエレクトロポレーションにより形質転換することもできる。本明細書で用いる用語「トランスフェクションする」とは、哺乳動物宿主細胞へのDNA分子の導入を意味する。哺乳動物宿主細胞は、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈降、DEAE−デキストラン、及びリポソーム試薬(すなわち、リポフェクチン)など複数の一般的方法により、トランスフェクションすることができる。 本発明の別の態様は、リゾスタフィンを発現する組換えDNA分子で形質転換又はトランスフェクトした宿主細胞からの活性で均質なリゾスタフィン及び活性で均質な切断型リゾスタフィンの製造に関する。本明細書で用いる用語「均質なリゾスタフィン」とは、すべてのリゾスタフィン分子がリゾスタフィンタンパク質配列において同じアミノ酸で開始するリゾスタフィンの調製物を意味する。細菌において生産される組換えリゾスタフィンは、いくつかの分子のN末端に切断されていない残留F−Metを有することがあり、近年の研究では、乳酸菌及び大腸菌において生産される組換え分子の20%及び2%が残留F−Met部分を含むことが明らかにされている。その結果、組換え均質リゾスタフィンは、N末端F−Met残基を含む又は含まない細菌生産リゾスタフィン又は切断型リゾスタフィンを含むこともある。特定の実施形態では、組換え分子の50%、60%、70%、80%若しくは90%以上が残留F−Met部分を含まない。 本発明で用いる用語「不均質なリゾスタフィン」とは、リゾスタフィン配列においてそれぞれ異なるアミノ酸で開始するリゾスタフィン分子の混合物を含むリゾスタフィンの調製物を意味する。活性で均質のリゾスタフィンは、全長リゾスタフィン又は切断型リゾスタフィンのいずれでもよい。 リゾスタフィンタンパク質は、それが、ブドウ球菌の細菌壁内の特定の架橋ポリグリシン結合を切断する、in vitro及びin vivoでのタンパク質分解活性を呈示するとき、「活性」であるという。リゾスタフィンタンパク質は、全長リゾスタフィンと比較して、ブドウ球菌の細菌壁内のポリグリシン架橋に対し高いタンパク質分解活性を発揮するとき、「増強されたブドウ球菌分解活性」を有する。リゾスタフィンを宿主細胞内に発現させる場合には、宿主細胞を溶解し、得られた細胞抽出物からリゾスタフィンを単離することができる。リゾスタフィンを宿主細胞培地に分泌させる場合には、リゾスタフィンを濃縮してから、標準的方法(例えば、カラムクロマトグラフィー、疎水性精製、及びイオン交換クロマトグラフィーなど)により精製することができる。大規模製造のためには、宿主細胞を例えば、大型ローラーボトル又は大容量発酵装置において増殖させることができる。 均質な組換えリゾスタフィンを様々な担体に添加してもよい。このようなビヒクルは、鼻腔への点滴注入の後、鼻腔内でのリゾスタフィンの半減期を長くする。これらの担体として、天然ポリマー、半合成ポリマー、合成ポリマー、リポソーム、並びに半固体投与形態が挙げられる(10、11、12、14、15、18、20、21)。天然ポリマーとしては、例えば、タンパク質及び多糖が挙げられる。半合成ポリマーは、キトサン(天然多糖であるキチンの脱アセチル化形態である)のような修飾天然ポリマーである。合成ポリマーとしては、例えば、デドリマー、ポリホスホエステル、ポリエチレングリコール、ポリ(乳酸)、ポリスチレンスルホネート、並びにポリ(ラクチドコグリコリド)が挙げられる。半固体投与形態としては、例えば、クリーム、軟膏、ゲル、並びにローションが挙げられる。これらの担体を用いてリゾスタフィン分子を微小封入する、あるいは、これらの担体をリゾスタフィンに共役結合させることもできる。 得られたリゾスタフィン化合物は、ブドウ球菌感染のリスクのある患者に様々な経路により投与することができる。リスクのある患者には、医療関連従事者、新生児及び未熟児、入院する又は外来手術を受ける人、熱傷患者、留置カテーテル、ステント、関節置換などを受容する患者、老人病患者、並びに遺伝子学的に、化学的に若しくはウイルスにより免疫系が抑制された患者が含まれる。ヒト以外の患者のうち、リスクのある者として、動物園の動物、獣群、並びに近隣地区で飼育される動物が挙げられる。 典型的患者として、黄色ブドウ球菌若しくはその他のブドウ球菌感染にさらされる哺乳動物、又は保菌する哺乳動物が挙げられ、ヒト及び非ヒト動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、霊長類、反芻動物(肉牛及び乳牛など)、スイギュウ、ラクダ、並びに毛皮獣、群獣、実験室動物、動物園の動物及び酪農動物、畜犬及び厩舎動物、家庭のペット、並びに家畜が含まれる。 一実施形態では、リゾスタフィン組成物を患者の鼻腔に点滴注入する。別の実施形態では、リゾスタフィン組成物を皮膚にすり込む、開口した創傷部に適用する、又は注射して全身投与する。さらに、これらのリゾスタフィン組成物を抗生物質抗ブドウ球菌薬と一緒に投与することもでき、このような薬物として、以下のものが挙げられる:抗生物質(例:ムピロシン及びバシトラシン);抗ブドウ球菌剤(例:リゾチーム、ムタノリシン、及びセロジルムラミダーゼ);抗菌ペプチド(例:ニシン);並びにランチビオティックス又はその他のランチオン含有分子(例:スブチリン)。また本発明の組成物は、抗ブドウ球菌モノクローナル抗体を含むこうブドウ球菌薬などが含まれてもよく、例えば、ペプチドグリカン(PepG)に対する抗体が挙げられるが、これは、2001年12月21日に提出された米国特許仮出願第60/343,444号、並びに本発明と一緒に提出されたMultifunctional Monoclonal Antibodies Directed To Peptidoglycan of Gram-Positive Bacteriaに記載されており、両文献とも本明細書に参照として組み込まれる。 本発明の組換えリゾスタフィン及び医薬組成物は、静脈内、腹腔内、体内注射、関節内、心室内、鞘内、筋内若しくは皮下注射、又は鼻内、皮膚、皮内、膣内、経口、又はその他の有効な投与方法により投与することができる。また、局所的に、例えば、筋内又は皮下のいずれかの注射により感染部位に組成物を投与してもよい。投与には、綿棒での塗布、液浸、浸漬、若しくは患者への直接塗布による医薬組成物の投与が含まれる。また、治療薬は、患者内に配置しようとする物体に適用することもでき、このような物体として、以下のものが挙げられる:留置カテーテル、心臓弁、髄液短絡、関節プロテーゼ、その他の身体内インプラント、あるいは、ブドウ球菌に感染するリスク、又はこのような感染を患者に導入するリスクのあるその他のあらゆる物体、装置若しくは機器。 当業者に本発明の実施方法を教示する以下の実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。以下に挙げる実施例は、本発明を例示し、本発明の特定の実施形態の様々な有益な特性を開示するに過ぎない。以下の実施例が、特許請求の範囲に示す本発明を制限すると解釈すべきではない。実施例1均質な切断型リゾスタフィンの細胞内発現のための発現プラスミドの構築 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、リゾスタフィン遺伝子の断片を増幅し、得られた断片をpBAD/gIII発現ベクター(Invitrogen)にクローニングした。切断型リゾスタフィンの一形態を作製し、翻訳開始メチオニンに直接融合させて、大腸菌において細胞内発現を実施した。図1は、この実施例と実施例2のプラスミド作製に用いたクローニング手法を示す。 リゾスタフィン発現カセットの融合を完了するため、5’及び3’末端をそれぞれ別の鋳型から増幅し、オーバーラップ伸長PCR(ODE−PCR)を用いて連結させた。具体的には、上流発現構成要素を含む5’断片はpBAD/gIIIプラスミドから増幅し、リゾスタフィンコード配列を含む3’末端は、リゾスタフィン遺伝子を含む宿主細胞のサンプル(Ambi, Inc.から提供される)から増幅した。5’断片のPCR増幅反応物は、50μlの反応容量中、10ngの鋳型DNA、20pmolのプライマーJSBX−29及びJSBX−53(表1を参照)、2.5単位のExTaqポリメラーゼ(PanVera)、1×ExTaq反応バッファー、200μM dNTP、2mM MgCl2を含有していた。得られた産物を、96℃で3分の初期インキュベーションにより鋳型を変性した。96℃で30秒、56℃で30秒、72℃で30秒からなるサーマルサイクルを25回実施することにより増幅した。3’断片のPCR増幅反応物は、50μlの反応容量中、10ngの鋳型DNA、20pmolのプライマーJSBX−34及びJSBX−52(表1を参照)、2.5単位のExTaqポリメラーゼ、1×ExTaq反応バッファー、200μM dNTP、2mM MgCl2を含有していた。96℃で3分の初期インキュベーションにより鋳型を変性した。その産物を、96℃で30秒、52℃で30秒、72℃で30秒からなるサーマルサイクルを25回実施することにより増幅した。良好な反応から得られたPCR産物をヌクレオスピン(Nucleospin)PCR精製装置(Clontech)により製造者の手順に従って精製した。 次に、50μlの反応容量中、2μLの精製5’断片、0.5μLの精製3’断片、20pmolのプライマーJSBX−29及びJSBX−34、2.5単位のExTaqポリメラーゼ、1×ExTaq反応バッファー、200μM dNTP、2mM MgCl2を用いて、OLE−PCRを実施した。96℃で3分の初期インキュベーションにより鋳型を変性した。96℃で30秒、56℃で30秒、72℃で30秒からなるサーマルサイクルを30回実施することにより、産物を増幅した。初めの5回のサイクルは、5’及び3’部分が、変性したときに、ほぼ重複して、リゾスタフィンの全長配列と付随エレメント(すなわち、シグナル配列)の増幅が行われる可能性を最適化するために、プライマーDNAを添加せずに実施した。良好な反応から得られたPCR産物をヌクレオスピンPCR精製装置により製造者の手順に従って精製した。 次に、長さが約1,000塩基対のPCR産物を制限エンドヌクレアーゼBamHI及びXbalで消化し、タンパク質発現のための細菌ベクターpBAD/gIIIにクローニングした。消化したPCR断片を脱リン酸化したBamHI及びXbal消化pBAD/gIIIと連結させるが、その際、リガーゼ(Promega)を用い、インサート対ベクターのモル比3:1を用いる製造者の指示に従った。連結反応物の半分(5μl)を用いて、製造者の指示に従い、コンピテントTOP10細胞(Introgen)を形質転換した。Pf/MI(New England Biolabs)を用いた診断用制限酵素消化により、DNAインサートを有するプラスミドを含む細菌クローンを同定した。この診断用消化物におけるバンド形成の予想パターンは、pJSB20については4,000bpでの1バンドと800bpでの1バンド、またpJSB28については4,000bpと750bpであった。JSBX−35(配列番号5)とJSBX−36(配列番号6)により反応を開始し、CEQ2000キャピラリーシークエンサー(Beckman/Coulter)で分析したサイクル配列決定反応により、DNA配列決定を実施した。500ngのプラスミド調製物、10ngの配列決定用プライマー、並びに8μlのCEQ2000配列決定用ミックス(Beckman Coulter PN608000)を混合することにより、配列決定を実施した。配列決定サンプルを96℃で2分インキュベートした後、96℃で20秒、50℃で20秒及び60℃で4分のサイクルを合計40回繰り返すことにより増幅した。 得られたプラスミドpJSB28を図2に示す。この図は、このプラスミドに存在する切断型リゾスタフィン遺伝子の配列(アミノ酸配列は配列番号9、ヌクレオチド配列は配列番号10)も示す。実施例2切断型リゾスタフィンの細胞外発現のための発現プラスミドの構築 前記と同様、PCRを用いて、リゾスタフィン遺伝子の断片を増幅し、得られた断片をpBAD/gIII発現ベクター(Invitrogen)にクローニングした。この実施例では、切断型リゾスタフィンの一形態を作製し、大腸菌の周辺腔への分泌のためのシグナル配列に融合させた。5’断片が上流発現構成要素と細胞外発現のためのシグナル配列を含む以外は前記と同様に、OLE−PCRを用いてリゾスタフィン発現カセットの融合を完了した。これら5’構成要素もpBAD/gIIIプラスミドから増殖した。5’断片のPCR増幅反応は、プライマーJSBX−29とJSBX−32を用いる以外は前記と同じであった。同様に、JSBX−34とJSBX−33を用いる以外は前記のように、3’断片を増幅した。OLE−PCR、pBAD/gIIIベクターへの切断型リゾスタフィンインサートのクローニング、診断消化物、並びにその後の配列決定はすべて前記のように実施した。 得られたプラスミドpJSB20を図3に示す。この図は、切断型リゾスタフィン遺伝子の配列と、このプラスミドに存在するシグナル配列(アミノ酸配列は配列番号11、ヌクレオチド配列は配列番号12)も示す。実施例3大腸菌における活性切断型リゾスタフィンの小規模製造 pJSB20又はpJSB28で形質転換したTOP10細胞を37℃で一晩増殖させた培養物を100μg/mLアンピシリンで添加した200mlのLB培地において1:100に希釈した。OD600が0.5に達したら、アラビノーズを0.2%まで添加することにより、リゾスタフィンタンパク質の発現を誘導した。次に、培養物を30℃で48時間増殖させた。5,000×gで15分の遠心分離により細胞をペレット化した。細胞内リゾスタフィン(pJSB28)の場合には、製造者の指示に従って、0.125M NaClを添加したB−Per抽出試薬(Pierce)で細胞ペレットを処理し、上清を回収し、リゾスタフィンの存在、及び酵素が活性であるか否かについて分析した。分泌されたリゾスタフィン(pJSB20)の場合には、培地の上清を回収し、アミコンらせん型限外ろ過濃縮装置(10KDカットオフのS1Y−10)を用いて濃縮してから、リゾスタフィンの存在及びリゾスタフィンの活性について分析した。 リゾスタフィンの発現が細胞内であるのか、宿主細胞培地への分泌によるものであるのかを決定するために、得られたサンプルにおけるリゾスタフィンの存在をELISAにより分析した。100μgのリゾスタフィンをウサギの膝窩リンパ節に一次ワクチン接種することにより、ウサギにおいてポリクローナル抗リゾスタフィンを産生させた。これに続く3ヶ月間、毎月1回ウサギに100μgブースター注射を投与した後、採血してポリクローナル血清を製造した。ELISAにおいて、得られたウサギのポリクローナル抗リゾスタフィン血清100μlをPBS中1:10,000に希釈し、これを用いて、96ウェルマイクロタイタープレート(NUNC, Macrosorb)のウェルを4℃で一晩コーティングした。これらのプレートをPBSで洗浄し、1ウェル当たり100μlのPBS中1%BSAにより室温で30〜60分ブロッキングした。実験サンプルとリゾスタフィン標準物(Ambicin L, AMBI, Inc.)を0.1%Tween及び0.1%BSAを含むPBS(PBS−T−BSA)で希釈した。抗リゾスタフィンでコーティング及びブロッキングしたプレートをPBS−Tで4回洗浄した。サンプルと標準希釈物を抗リゾスタフィンでコーティングしたプレート上に移し(100μl/ウェル)、室温で30〜60分インキュベートした。次に上記プレートをPBS−Tで4回洗浄した。また、コーティング用のポリクローナル抗体も、製造者の指示に従い、ビオチン−スルホ−N−ヒドロキシスクシンイミドカプリレート(Bioaffinity Systems, Inc.)で該抗体をビオチニル化することにより、検出抗体として用いた。ビオチニル化抗体調製物をPBS−T−BSAで1:800に希釈し、100μL/ウェルで添加した。このプレートを室温で30〜60分インキュベートした後、PBS−Tで4回洗浄した。ExtraAvidin−HRP(Sigma Cat# E2886)をPBS−T−BSAで1:8,000に希釈してから、100μl/ウェルをプレートに添加し、このプレートを30〜60分インキュベートした。PBS−Tでプレートを4回洗浄した。1ウェル当たり100μlのTMB−マイクロウェル基質(BioFx Cat# TMBW 0100-01)を添加し、反応を3〜5分進行させた後、TMB停止試薬(BioFx Cat# STPR 0100-01)の添加により停止した。その時点で読み取った吸光度は450nmであった。図4に示すように、pJSB28及びpJSB20 DNAプラスミドは、大腸菌宿主細胞に形質転換すると、両者共にリゾスタフィンを発現した。 pJSB28及びpJSB20により発現させたリゾスタフィンが活性であるか否かを決定するために、溶解アッセイを用いた。このアッセイでは、黄色ブドウ球菌を高温死滅させ、様々な濃度のリゾスタフィン調製物と一緒にインキュベートした。実験調製物によって細菌懸濁液の濁りがなくなり、透明になったとき、リゾスタフィン活性が検出された。具体的には、リゾスタフィン陽性対照(Ambicin L)とサンプルを50μlのPBSで200、100、50及び10μg/mlの濃度まで希釈した。黄色ブドウ球菌5は、56℃で3時間のインキュベーションにより高温死滅させた。高温死滅させたこれらの細菌をPBS中OD650が約0.9〜1.0となるまで懸濁させた。次に、450μlの懸濁液を使い捨てキュベットに入れ、OD650を決定した。これは0時点であった。次に、50μlのサンプル又は対照を添加し、サンプル中のリゾスタフィンの最終濃度を20、10、5及び1μg/lにした。その後、60秒毎に10分間懸濁液のOD650を測定した。図5は、pSJB28及びpSJB20により発現させたリゾスタフィンの10μg/mLのサンプルに関する典型的な動力学的曲線である。PBS単独を用いて、アッセイの陰性対照とした。このアッセイでは、OD650は、サンプルの完全な溶解後も残留する細菌残屑の存在のために決して0になることはない。実施例4切断型リゾスタフィンは、全長リゾスタフィンと比較して増強されたブドウ球菌分解活性を有する Klineら(6)に記載されているように、蛍光発光アッセイにより、リゾスタフィンの切断型”THE”形態のブドウ球菌分解活性をリゾスタフィンの全長”AATHE”形態のブドウ球菌分解活性と比較した。本アッセイでは、TNBSの代わりにフルオレサミンを用いて、リゾスタフィンがN−アセチルヘキサグリシン基質を切断するときに出現するアミンを検出した。 OD280nm(OD280)で分光光度計を用いて、初めに酵素の光学密度を測定することにより、リゾスタフィンサンプルを調製した。リゾスタフィン希釈バッファーで分光光度計を0の目盛に合わせた。900μlのリゾスタフィン希釈バッファー(20mM酢酸ナトリウムと、0.5%Tween20、pH4.5)に100μlの酵素溶液を添加してから、ボルテックスで混合することにより、1:10希釈物を調製した。こうして得られたサンプルをOD280で読み取った。得られたOD280値に、希釈係数10と吸光係数0.41を掛けることにより、酵素サンプル中のリゾスタフィンの濃度(mg/ml)を算出した。次に、このアッセイで使用するために、リゾスタフィン希釈バッファーを用いて各リゾスタフィンサンプルを40μg/mlに希釈した。 Klineら(6)に記載されているように、ヘキサグリシン基質を調製した。具体的には、1mlの水に40.2mgのN−アセチルヘキサグリシン(N−Ac−Hex;FW=402)を再懸濁し、固体が溶液に溶解するまで水酸化ナトリウムを添加することにより、10mMストックを調製した。基質/アッセイバッファー(5mMクエン酸三ナトリウム、1mM二ナトリウムEDTA、0.1Mホウ酸ナトリウム、pH8.0)を添加することにより、N−Ac−Hexストックの最終容量を10mlに調節した。アッセイに使用する前に、さらにこのストックのアリコートを基質/アッセイバッファーにより1:10に希釈した。 各リゾスタフィンサンプルをマイクロウェルプレートに移し、希釈バッファー中で1:3(40μg/mlから出発)に希釈した。希釈が完了した時点で、各ウェル中の最終容量は60μlであった。各成分を含まないブランクウェルも調製した。各サンプルについて3回繰り返して実験した。リゾスタフィンサンプル希釈物を調製したら、60μlのN−Ac−Hex基質を各ウェルに添加した。 次にアッセイプレートを37℃で1時間インキュベートした。アセトン中0.3mg/mlフルオレサミン(Molecular Probes)40μlを各ウェルに添加し、その直後サンプルの読取りを実施した。サンプルの読取りは、390nm励起、475nm発光、及び420nmカットオフに設定した蛍光プレート読取り装置(Molecular Devices)を用いて実施した。陰性対照は、リゾスタフィン、バッファー、及びフルオレサミンを含むが、N−Ac−ヘキサグリシンを含まない照合ウェルから構成される。対応する濃度のリゾスタフィンを含むが、N−Ac−Hex基質を含まないウェルの蛍光を各読取り値から差し引いた。各サンプルについて3回繰り返して実験し、得られた値を平均し、標準偏差を算出した。この実験の結果を図6Aに示す。 各実験ウェルで均質濃度のリゾスタフィンを用いて、時間経過実験も実施した。前述したように、陰性対照は、リゾスタフィン、バッファー、及びフルオレサミンを含むが、N−Ac−ヘキサグリシンを含まない照合ウェルから構成される。実験ウェルは、最終濃度が20μg/mlのリゾスタフィンを含有した。サンプルを37℃で5分、20分、40分、60分、及び90分インキュベートした。インキュベーション時間が経過したら、アセトン中0.3mg/mlフルオレサミン40μlを各ウェルに添加し、その直後にサンプルの読取りを実施した。サンプルの読取り及び分析は前記と同様に行なった。この実験の結果を図6Bに示す。 図6A及び6Bは、リゾスタフィンの切断型”THE”形態が全長”AATHE”形態より活性であることを示している。比色分析アッセイは、基質分子に対する各リゾスタフィン分子の作用をモニタリングするのに対し、黄色ブドウ球菌生存能アッセイでは、黄色ブドウ球菌を死滅させるのに十分なリゾスタフィン活性が存在するか否かを単純に判断するだけである。図6A及び6Bから、切断型リゾスタフィンは、全長”AATHE”形態に比較して高いブドウ球菌分解活性を有することがわかる。従って、この切断型リゾスタフィンを用いて製造したリゾスタフィン組成物は、異種リゾスタフィン又は相同全長リゾスタフィンで調製した組成物に対して、増強された高いブドウ球菌分解活性を提供すると考えられる。実施例5リゾスタフィン遺伝子の乳酸菌(L. lactis)クローニングにおける活性切断型リゾスタフィンの大規模精製 概要を前述したように、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、全リゾスタフィン遺伝子をプラスミドpRN5550から増幅した。pRN5550は、以前AMBI, Inc. Purchase, NYでのリゾスタフィン製造に用いられていた。得られたPCR増幅産物は、リゾスタフィンを生産するためのコード領域、翻訳開始のための5’TTGコドン、並びにクローニングのための3’XbaI制限部位を含んでいた。このPCR産物をXbaIで消化し、標準的乳酸菌発現プラスミド、pNZ8148ScaI(ScaIおよびXbaIで切断されている)と連結させた。この連結により、発現プラスミドpLss1Cを作製した。 配列分析により、pLss1Cにおけるリゾスタフィンをコードする配列は正しいことが確認された。これは、pRN5550におけるリゾスタフィンコード配列に存在する256位(TからC;AsnからAsn)における既知のサイレント突然変異を含んでいた(アミノ酸は配列番号13、ヌクレオチド配列は配列番号14)。次に、pLss1Cを鋳型として用いたPCRにより、切断型リゾスタフィン(野生型成熟タンパク質の2つの5’末端(most)Alaコドンを含まない、成熟リゾスタフィンコード配列)を増幅した。こうして得られた増幅産物は、切断型リゾスタフィンのコード領域、翻訳開始のための5’TGコドン(切断された制限部位ScaIの最後のTと一緒に、ラクトコッカス属菌における開始コドンとして働くTTGコドンが構成される)、並びにクローニングのための3’XbaI制限部位を含んでいた。このPCR産物をXbaIで消化し、ScaIおよびXbaIで切断されているpNZ8148ScaIと連結させることにより、プラスミドpLss12C(図示していない)を取得した。最終的に、制限部位SalI及びNspVを用いて、クロラムフェニコール耐性遺伝子をlacF遺伝子(プラスミドpNZ8148F−1に由来する;図示していない)と交換することにより、プラスミドpLss12Fを取得した。図7A〜Dに、それぞれpRN5550、pNZ8148ScaI、pLss1C、及びpLss12Fの制限マップを見いだすことができる。 pLss12Fでは、切断型リゾスタフィンの理論上のN末端アミノ酸配列はf−Met−Thr−His−Gluである。多くの場合、f−Metは専用のペプチダーゼにより切除される。これまでのN末端アミノ酸配列決定により、確かにこの5’f−Metは切除される場合もあることが示されている。 Sambrook, Jら(17)に記載されているように、標準的方法によりpLss12Fを単離し、精製した。発現プラスミドによる宿主細胞の形質転換: MG1363株(pepN::nisRK, lac+lacF、プロファージ除去済)の誘導体である乳酸菌サブスピーシーズクレモリス(L. lactis subsp. cremoris)NZ3900株をpLss12Fで形質転換し、1%ラクトースで添加したエリカー(Elliker)寒天上で平板培養した。この寒天上での増殖する能力及びラクトースを発酵させる能力に基づいて、形質転換体を選択した。適正なプラスミド保持についてスクリーニングした後、得られた菌株をNZ3900(pLss12F)と称した。実験室でのシードトレイン(seed train)の開始 2つのバイアルのNZ3900(pLss12F)初期細胞バンク実験ストック(Initial Cell Bank Working Stock)の各々を300mlのダイズペプトン/酵母抽出物培地に接種し、これを30±3℃で一晩(16〜24時間)インキュベートした。シードトレイン−30L発酵: 一晩の培養物を用いて、Chemap75発酵器内の30Lのダイズペプトン/酵母抽出物培地に接種した。この発酵器を30±3℃で一晩(16〜20時間)運転した。シード製造−3000L発酵: 30リットルのシード培養物を、4,000リットル発酵器内の3,000リットルのダイズペプトン/酵母抽出物培地に接種した。リゾスタフィン活性には亜鉛が必要であるため、発酵培地中約3.4μmの亜鉛を含有させると、リゾスタフィン活性を維持又は増強することができる。発酵を30±2℃及びpH6.5±0.2で進行させ、5M NaOHでpHを調節した。培養物が、約1.0のOD600に到達したとき、濃度が10ng/mLのニシンを用いた誘導を実施した。リゾスタフィン生産を6時間実施した後、発酵器内容物を10℃以下に冷却することにより、生産工程を停止した。バイオマスの濃度: 発酵の全乳酸菌バイオマスを精密ろ過により3.8m2の0.8μm膜上で濃縮させた。次に細胞を水に対してダイアフィルトレーション(200%)を行った。リゾスタフィンの放出−ホモジネート: 10℃未満のAPVホモジナイザーにおける150mM NaCl/25mMリン酸ナトリウム(pH7)バッファー中で、濃縮した細胞を3回ホモジネートすることにより、リゾスタフィンをホモジネート中に放出させた。細胞残屑の除去: 500〜750kDa限外ろ過膜を用いた限外ろ過により細胞残屑を液体ホモジネートから除去した。限外ろ過の後、溶解物は、約150mMNaCl、25mMリン酸ナトリウム(pH7)中にあったが、これを水で1:2に希釈した。希釈により、溶液伝導率は10mS/cm以下に低下するが、これによって、カチオンクロマトグラフィー樹脂上での効率的リゾスタフィンの捕獲が可能になる。捕獲−SP−セファロースクロマトグラフィー: 0.4M Na2HPO4で透過物をpH7.2に調節し、StartobranPフィルターカプセルでろ過してから、2カラム容量の50mMリン酸ナトリウム(pH7.5)で平衡化させておいたBPG3000カラム中のSP−セファロース上で精製した。3カラム容量の上記バッファーで洗浄した後、2カラム容量の25mMリン酸ナトリウム、0.25M NaCl(pH7.5)で上記リゾスタフィンを溶離させた。リゾスタフィンを含む溶離画分を回収し、−20℃未満で保存した。希釈/ろ過: 約12リットルのSP−溶出液を冷凍庫から取り出し、室温で約18時間解凍させた。この材料を単一の容器にプールしてから、穏やかに混合することにより、均質な溶液を形成した。12リットルのQ平衡バッファー(0.05Mトリス、pH7)をSP−溶出液プールに添加し、溶液の伝導率を目標の範囲8〜16mS/cmにした。混合物を、0.45μm Sartocleanフィルターユニットを介して、50リットルのStedimバッグ中に流し込むことにより、ろ過済SP−溶出液プールを調製した。Q−セファロース精製: 事前に最適化したQ−セファロースFFクロマトグラフィーカラム(約2カラム容量のQ再生バッファー(0.05Mトリス、0.04M NaOH、1N NaCl)で再生しておいたもの)でろ過済SP−溶出液プールを精製した後、約3カラム容量のQ平衡バッファー(0.05Mトリス、0.04M NaOH)で平衡化した。廃物容器中に6リットルのQフロースルー(QF−T1)を回収するまで、ろ過済SP−溶出液プールをカラム上にローディングした。残ったプールした材料をカラム上にローディングし、残ったフロースルー(QF−T2)をラインド(lined)タンク中に回収した。約12リットルのQ平衡バッファーをカラムに注いだ。合計29.38リットルのQF−T2材料を回収した。Qフロースルー−希釈/ろ過: 硫酸アンモニウム(3M(NH4)2SO4)を15分かけて溶液[添加した硫酸アンモニウムの量=(QF−T2)÷2.75]と混合し、リン酸を用いて、溶液のpHを6〜7に調節した。QF−T2を単一バッグにろ過し(0.45μM)、2〜8℃で一晩保存した(ろ過済Q溶出液)。フェニルセファロース精製: 翌日、事前に最適化したフェニル−セファロースHPカラム(約2カラム容量のフェニル平衡バッファー(0.05M NaH2PO4、0.8M(NH4)2SO4)で均衡しておいたもの)で、ろ過済Q溶出液を精製した。 ろ過済Q溶出液をカラムにローディングした後、約2カラム容量のフェニルすすぎバッファー(0.05M NaH2PO4、0.5M(NH4)2SO4)ですすいだ。精製したリゾスタフィンAPIをフェニル溶離バッファー(0.05M NaH2PO4、0.25M(NH4)2SO4)で溶離した。約51リットルのフェニル溶出液を回収した(溶出液のOD280>0.2)。材料を周囲温度で一晩保存した。限外ろ過/ダイアフィルトレーション: 翌日、20ft25KD分子量カットオフ(MWCO)ペリコンカセットを備える衛生化ミリポアペリコン限外ろ過アセンブリーを3リットルのフェニル再生バッファーで平衡化し、排水した。リゾスタフィンの目標濃度である約25mg/mL(OD280値により決定される)が達成されるまで、フェニル溶出液を限外ろ過により濃縮した。濃縮したフェニル溶出液をWFIに対してダイアフィルトレーションを行った。材料の伝導率が0.5〜0.6mS/cmに低下するまで、透過物をラインドタンクに回収した。ダイアフィルトレーション濃縮物のタンパク質濃度をOD280により決定し、さらなる透過物を回収して、リゾスタフィンの目標濃度である約25mg/mLを達成した。ペリコン装置をすすぎ、排水して、回収した透過物にすすぎ液容量を加えた(ダイアフィルトレーションを行ったフェニル溶出液、製剤化濃縮物)。ろ過: 製剤化濃縮物をミリパック200ユニット(0.2μMフィルター)を介して、2つの個別のStedim5リットルバック(バッグ1及びバッグ2)にろ過することにより、バルクAPIを調製した。サンプルを各バッグから回収し、分析、バイオバーデン、及びエンドトキシン試験に供した。バルクAPI(活性医薬成分): バルクAPI、すなわち、ダイアフィルトレーションを行ったQ及びフェニルセファロース精製リゾスタフィンを2〜8℃で保存した。図9は、SDS−PAGE還元ゲルでのリゾスタフィンAPIの例を示す。実施例6様々な濃度のリゾスタフィンを用いた殺菌アッセイによる均質な成熟リゾスタフィンと均質な切断型リゾスタフィンの比較 前記とほぼ同様に調製した均質な成熟リゾスタフィン(AATHE)と均質な切断型リゾスタフィン(THE)を以下のように標準効力アッセイで比較した:アッセイのためのリゾスタフィン実験ストックの調製: 約1ミリグラムのリゾスタフィン粉末を各々1mlのPBSに溶解させることにより、ストックサンプルを調製した。ストックサンプルを1:5及び1:10(800μl中200μlと900μl中100μl)に希釈した。PBSをブランクとして用いたBioRad SmartSpec3000分光光度計で、1:5及び1;10希釈物のA280を読み取った。各希釈物の吸光度に0.49(吸光係数の逆数)と希釈係数(5又は10)をかけることにより、ストック溶液の濃度(mg/ml)を決定した。ストック溶液は、各希釈物の決定濃度が互いの10%以内にあるときだけ用いた。5〜6ng/μl実験ストックが得られるまでPBSでさらにストック溶液を希釈し、使用するまで氷上に維持した。実験ストックのアリコートを−70℃で保存した。細菌調製物: 黄色ブドウ球菌5ATCC49521型の凍結ストックを血液寒天に線状に塗り、一晩インキュベートした。3つのコロニーを1mlのDIFCOトリプシン(tyrptic)ダイズブロスに移し、37℃で振盪しながら一晩インキュベートすることにより、細菌ストックを調製した。OD650が0.750〜0.790になるまで、細菌ストックをPBSで基準化した。基準化ストックの10倍連続希釈物をPBSで調製した。350μlの基準化ストックと650μlのPBSを混合し、100μlの血液寒天上で平板培養することにより、実際の出発CFUを決定した。リゾスタフィン希釈物: 3つの独立したセットの希釈物を各リゾスタフィンについて調製した(1サンプルにつき18本の試験管、1セットにつき6本、1系列につき3本)。各セットは、48、24、12ng/mlリゾスタフィンと32、16、8ng/mlリゾスタフィンの2つの希釈系列を含んでいた。その結果、各サンプルにつき1試験管当たり650μlのリゾスタフィンを含む試験管18本が得られ、1サンプルは3つのセットに分けられる(各セットは、48、32、24、16、12及び8ngからなる)。アッセイの性能: 反応を開始するために、350μlの実験ストック細菌を、サンプルセットに含まれる18本の試験管各々に添加し、ボルテックスにより混合した。サンプルを室温で20分インキュベートし、さらに10分混合した直後に平板培養した。20分後、各試験管から100μlのサンプルを血液寒天プレート上にプレーティングし、37℃で一晩インキュベートした。コロニーを数え、結果をプロットした。3つのアッセイの結果を図10〜12に示したが、これらから、広い濃度範囲にわたって、成熟形態(AATHE・・・)と比較して、切断型のリゾスタフィン(THE・・・)の殺菌活性が全般に高いことが明らかである。実施例7全血において増殖させた培養物に対する時間経過殺菌アッセイによる均質な成熟リゾスタフィンと均質な切断型リゾスタフィンの比較 リゾスタフィンは一般にバッファーよりも全血において活性が低い。全長リゾスタフィンに対する切断型リゾスタフィンの活性の増強をさらに調べるために、以下に示すように、全血における時間経過殺菌アッセイで、均質な成熟及び切断型リゾスタフィンを比較した。黄色ブドウ球菌の培養物をDIFCOトリプシンダイズブロスにおいて一晩増殖させた。黄色ブドウ球菌の一晩培養物の50μlアリコートを用いて、各々1mlの新鮮なヒト血液を含む6本の試験管に接種した。接種を受けた血液を振盪しながら37℃で一晩増殖させ、翌日プールした。プールした血液培養物の1mlアリコートを1マイクログラムの均質な成熟(AATHE)又は切断型(THE)リゾスタフィンと混合し、室温でインキュベートした。示した時点で、各々の100μlサンプルをPBS中で1:100に希釈した。100μlの各PBS希釈物を血液寒天プレートに載せ、37℃で一晩培養することにより、コロニーを増殖させた。コロニーを数え、その結果を図13及び14にプロットした。これらの結果から、成熟形態(AATHE・・・)と比較して、切断型のリゾスタフィン(THE・・・)の高い殺菌活性は、インキュベーション時間が長いほど顕著に現れることがわかる。実施例8光学密度低下アッセイによる均質な成熟リゾスタフィンと均質な切断型リゾスタフィンの比較 以下に示すように、時間経過濁度低下アッセイで均質な成熟及び切断型リゾスタフィンを比較した。試験サンプル調製: 前記のように、リゾスタフィンストック溶液をPBS中で調製し、PBSで希釈することにより、約0.1mg/ml実験ストックとした。アッセイ用細菌の調製: スタフィロコッカス・カルノサス(Staphylococcus carnosus)の3〜5ml培養物を血液寒天プレート(調製から1週間以内のもの)からのDIFCOトリプシンダイズブロスにおいて一晩増殖させた。S.カルノサスの一晩培養物1.5ミリリットルを最大rpmで5分マイクロ遠心することによりペレット化した。細菌ペレットを等量のPBSで洗浄し、再度ペレット化した。洗浄したペレットを3mlのPBS中に再懸濁し、PBSで希釈することにより、最終OD650を1.55+/−0.04とした。使用するまで、希釈した細菌を氷上に保存した。アッセイの性能: BioRad SmartSpec3000により、再懸濁したS.カルノサスの濁度低下を追跡したが、この装置はPBSに対してブランクを除き、以下のパラメーター:650nM、合計持続時間900秒、間隔30秒、及びバックグラウンド差引きなしを用いて、「動力学」アッセイのために設定しておいたものである。各リゾスタフィン調製物について、500μlの約1.55吸光度細菌をピペットで新鮮なキュベットに入れ、室温まで温めた。ゼロ読取り値を決定した後、速やかに1μg(10μl)のリゾスタフィン(AATHE又はTHEのいずれか)の添加及び混合を行なった。各混合物のOD650を60分にわたって決定し、以下の式に従いリゾスタフィン活性を決定した: (基準リゾスタフィンのOD650に対する時間(分)×添加量μg) ×100=単位/μg(サンプルリゾスタフィンのOD650に対する時間(分)×添加量μg) 図15及び16に示す、2つの光学密度低下アッセイの結果から、切断型リゾスタフィン(THE・・・)の殺菌活性は成熟形態(AATHE・・・)より高速であることがわかる。このアッセイは60分で終了したことに留意されたい。インキュベーション時間が何時間・何日も測定されるin vivoでは、切断型リゾスタフィンの活性は成熟形態のものよりはるかに高いと考えられる。結論 従って、実施例1及び2は、リゾスタフィンの均質な形態を発現する組換えDNA分子の設計及び製造について説明する。これらのプラスミドにより、リゾスタフィンの細胞内発現又はリゾスタフィンの細胞外分泌のいずれかが可能になる。実施例3から、これらのプラスミドを細菌宿主細胞に形質転換させると、リゾスタフィンを発現し、このリゾスタフィンが酵素として活性であることがわかる。実施例4は、リゾスタフィンの切断形態がその「成熟」全長形態と比較して、高い抗ブドウ球菌活性を発揮することを明らかにしている。実施例5は、組換えリゾスタフィンの大量精製プロトコルについて説明する。実施例6、7及び8からは、リゾスタフィンの切断THE形態が、リゾスタフィンの成熟したAATHE形態より優れた抗ブドウ球菌活性を有することがわかる。 当業者は、本発明の組換えDNA分子が前記実施例に記載したものだけに限定されないことを認識するであろう。当業者であれば、前記以外の宿主細胞を発現に使用できることがわかる。当業者は、組換えDNA分子に関する遺伝エレメント、例えば、プロモーター及び複製起点に代わり、別の宿主細胞で同じ機能を達成する別の配列を用いることができることもわかるであろう。このような別の配列は、当業者にはよく知られている。さらに、本発明は、前記の方法により精製したリゾスタフィンに限定されるわけではない。当業者であれば、別のタンパク質精製方法を用いて、本発明の同じ目的を達成することができるであろう。 以下の文献は、参照により本明細書に明確に組み入れるものとする: 1.Chang, F. Y., N. Singh, T. Gayowski, S. D. Drenning, M. M. Wagener and I. R. Marino. 1998. Staphylococcus aureus nasal colonization and association with infections in liver transplant recipients. Transplantation 65:1169-1172. 2.Chapoutot, C., G.-P. Pageaux, P. F. Perrigault, Z. Joomaye, P. Perney, H. Jean-Pierre, O. Jouquet, P. Blanc and D. Larrey. 1999. Staphylococcus aureus nasal carriage in 104 cirrhotic and control patients A prospective study. J. Hepatol. 30:249-253. 3.Fierobe, L., D. Decre, C. Muller, J.-C. Lucet, J.-P. Marmuse, J. Mantz and J.-M. Demonts. 1999. Methicillin-resistant Staphylococcus aureus as a causative agent of postoperative intra-abdominal infection: relation to nasal colonization. Clin. Infect. Dis. 29:1231-1238. 4.Frebourg, N., B. Cauliez and J.-F. Lemeland. 1999. Evidence for nasal carriage of methicillin-resistant staphylococci colonizing intravascular devices. J. Clin. Micro. 37:1182-1185. 5.Heinrich, P., R. Rosenstein, M. Bohmer, P. Sonner , and F. Gotz 1987. 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Preoperative intranasal mupirocin ointment significantly reduces postoperative infection with Staphylococcus aureus in patients undergoing upper gastrointestinal surgery. Surg. Today (Japan). 30:16-21. 26.Yu, V. L., A. Goetz, M. Wagener, P. B. Smith, J. D. Rihs, J. Hanchett and J. J. Zuravleff. 1986. Staphylococcus aureus nasal carriage and infection in patients on hemodialysis. New Engl. J. Med. 315:91-96. 27.Zygmunt, W. A. and P. A. Tavormina. 1972. Lysostaphin: Model for a Specific Enzymatic Approach to Infectious Disease. Prog. Drug Res. 16:309-333.28.Climo, M. W., R. L. Patron, B. P. Goldstein, and G. L. Archer. 1998. Lysostaphin treatment of experimental methicillin-resistant Staphylococcus aureus aortic valve endocarditis. Antimicrob. Agents Chemother. 42:1355-1360.29.Kokai-Kun, J., T. Chanturiya, and J. Mond. 2002. Lysostaphin as a therapy for systemic Staphylococcus aureus infection. Presented at the American Society for Microbiology 102nd General Meeting, Salt Lake City, Utah.30.本明細書及び本明細書に開示された本発明の実施を考慮すれば、当業者には本発明の他の実施形態が明らかでありうる。本明細書及び実施例は例示として考えられ、本発明の真の範囲及び精神は添付の特許請求の範囲によって示されることを意図する。オーバーラップ伸長PCRクローニング方法の概要を示す略図である。プラスミドpJSB28、pJSB28によりコードされる切断型リゾスタフィンタンパク質のアミノ酸配列、並びにpJSB28において切断型リゾスタフィンタンパク質をコードするヌクレオチド配列の制限マップを提供する。プラスミドpJSB20、pJSB20によりコードされる切断型リゾスタフィンタンパク質及びシグナルポリペプチドのアミノ酸配列、並びにpJSB20において切断型リゾスタフィンタンパク質及びシグナルポリペプチドをコードするヌクレオチド配列の制限マップを提供する。下線を引いたアミノ酸はシグナルポリペプチド配列を示している。図3Aの続きを示す。ELISAアッセイにより、pJSB28又はpJSB20で形質転換した宿主細胞が細胞内及び細胞外切断型リゾスタフィンをそれぞれ生産することを示す図である。黄色ブドウ球菌溶解アッセイにより、pJSB28又はpJSB20で形質転換した宿主細胞が機能的切断型リゾスタフィンを生産することを示す図である。比色分析アッセイにより、リゾスタフィンの切断形態が成熟全長形態より活性が高いことを示す図である。比色分析アッセイにより、リゾスタフィンの切断形態が成熟全長形態より活性が高いことを示す図である。それぞれ、プラスミドpRN5550、pNZ8148Scal、pLSS1C、及びpLss12Fの制限マップを提供する。pLss12Fは、リゾスタフィンの切断形態をコードし、これは、本発明で開示する方法を用いて大量精製される。それぞれ、プラスミドpRN5550、pNZ8148Scal、pLSS1C、及びpLss12Fの制限マップを提供する。pLss12Fは、リゾスタフィンの切断形態をコードし、これは、本発明で開示する方法を用いて大量精製される。それぞれ、プラスミドpRN5550、pNZ8148Scal、pLSS1C、及びpLss12Fの制限マップを提供する。pLss12Fは、リゾスタフィンの切断形態をコードし、これは、本発明で開示する方法を用いて大量精製される。それぞれ、プラスミドpRN5550、pNZ8148Scal、pLSS1C、及びpLss12Fの制限マップを提供する。pLss12Fは、リゾスタフィンの切断形態をコードし、これは、本発明で開示する方法を用いて大量精製される。プラスミドpLss12Fにみいだされる切断型リゾスタフィンをコードする核酸配列を提供する。この核酸配列は、255位にTからCへのサイレント突然変異を含んでいる。図8Aの続きを示す。大量精製プロトコルに従うSDS−PAGE還元ゲルでのリゾスタフィンの切断形態を示す図である。広範なリゾスタフィン濃度にわたって均質切断型及び均質成熟リゾスタフィンの殺菌活性を比較する図である。広範なリゾスタフィン濃度にわたって均質切断型及び均質成熟リゾスタフィンの殺菌活性を比較する図である。広範なリゾスタフィン濃度にわたって均質切断型及び均質成熟リゾスタフィンの殺菌活性を比較する図である。培養したヒト血液において、60分の時間経過による均質切断型及び均質成熟リゾスタフィンの殺菌活性を比較する図である。培養したヒト血液において、60分の時間経過による均質切断型及び均質成熟リゾスタフィンの殺菌活性を比較する図である。OD低下アッセイにおいて均質切断型及び均質成熟リゾスタフィンの殺菌活性を比較する図である。OD低下アッセイにおいて均質切断型及び均質成熟リゾスタフィンの殺菌活性を比較する図である。配列表 切断型リゾスタフィンタンパク質をコードするDNA配列と機能的に連結されたプロモーター領域を含む、単離されたDNA分子であって、前記切断型リゾスタフィンタンパク質は配列番号9で示されるポリペプチドであり、切断型リゾスタフィンの発現によって、「MTHE...」及び「THE...」の一方又は両方から選択されるN末端アミノ酸配列を有するタンパク質分子の集合が得られる、前記DNA分子。 前記切断型リゾスタフィンタンパク質をコードするDNA配列と機能的に連結されたシグナルペプチドをさらに含み、該シグナルペプチドが切断型リゾスタフィンタンパク質の分泌を指令する、請求項1に記載の単離されたDNA分子。 前記切断型リゾスタフィンタンパク質が配列番号9のアミノ酸2〜245を含む、請求項1又は2に記載の単離されたDNA分子。 請求項1〜3のいずれか1項に記載の単離されたDNA分子で形質転換された宿主細胞。 大腸菌(E. coli)、乳酸菌(L. lactis)、又はB.スファエリカス(B. sphaericus)である、請求項4記載の宿主細胞。 組換えリゾスタフィンの製造方法であって、(a)請求項4又は5記載の宿主細胞を培養するステップ、(b)組換えリゾスタフィンの発現を誘導するステップ、(c)前記宿主細胞を溶解するステップ、及び(d)前記溶解した宿主細胞から組換えリゾスタフィンを単離するステップ、を含む、上記方法。 組換えリゾスタフィンの製造方法であって、(a)請求項4又は5記載の宿主細胞を培養するステップ、(b)組換えリゾスタフィンの発現を誘導するステップ、(c)前記宿主細胞の培地を濃縮するステップ、及び(d)前記濃縮した宿主細胞の培地から組換えリゾスタフィンを単離するステップ、を含む、上記方法。 (a)配列番号9又は11で示されるポリペプチドである組換えリゾスタフィン、及び(b)薬学的に許容される担体、を含む医薬組成物。