タイトル: | 特許公報(B2)_チオキサントン誘導体、およびカチオン光開始剤としてのそれらの使用 |
出願番号: | 2003571274 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07D 335/16,C09D 11/02,C08F 2/50 |
ハーリヒィー シャウン ローレンス デービッドソン ロバート ステファン JP 4880875 特許公報(B2) 20111209 2003571274 20030226 チオキサントン誘導体、およびカチオン光開始剤としてのそれらの使用 サン・ケミカル・コーポレーション 596024024 デビッドソン ロバート ステェファン 306007370 ハーリヒィ シャーン ローレンス 306007369 辻永 和徳 100101281 ハーリヒィー シャウン ローレンス デービッドソン ロバート ステファン GB 0204468.3 20020226 20120222 C07D 335/16 20060101AFI20120202BHJP C09D 11/02 20060101ALI20120202BHJP C08F 2/50 20060101ALN20120202BHJP JPC07D335/16C09D11/02C08F2/50 C07D 335/16 CA/REGISTRY(STN) 特開平10−212286(JP,A) 特開平08−165290(JP,A) 特表2005−501040(JP,A) 特表2005−512973(JP,A) 18 US2003005820 20030226 WO2003072568 20030904 2005530698 20051013 26 20060131 鈴木 智雄 本発明は、特に印刷インキおよびワニスのような表面被覆用途であって、放射線によって開始された重合によって硬化されることが意図されるものにおいて使用されるカチオン光開始剤として有用な一連の新規なチオキサントン誘導体に関する。 光硬化可能な組成物は、通常紫外線である放射線に暴露されることによって硬化され、たとえば、ロール塗装またはカーテンコーティングのような適切な技術によって木材、金属あるいは同様の基板に適用されることができるラッカーを含む。さらに、それらは例えば、凸版印刷、オフセットリソグラフィー、グラビア印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェットあるいはフレキソ印刷のような技術によって適用されるインキとして配合されることができる。具体的な印刷技術に応じて、紙、板、ガラス、プラスチック材料および金属をはじめとする広範な基体に印刷をすることができる。他の適用領域としては、接着剤、粉体塗料、回路基盤および超小型電子製品、ステレオリソグラフィー、複合材、光ファイバーおよび液晶があげられる。 モノマーまたはプレポリマー中での重合の開始は多くの方法で達成されることができる。そのような方法の1つは、例えば紫外線または電子ビームによる照射であり、紫外線の場合には、重合可能な組成物が、一般に「光開始剤」と呼ばれる開始剤を含むことが通常必要である。このプロセスの中で使用することができる、フリーラジカルとカチオンという2つのメインタイプの硬化の化学がある。カチオンによる硬化は多くの長所を持つが、その欠点、特には使用される光開始剤に関する欠点が、少数の用途においてのみ使用されることとしている。最も頻繁に使用されるカチオン重合開始剤は有機のヨードニウム塩あるいはスルホニウム塩のいずれかである。 簡潔に言えば、照射された時にスルホニウムカチオン重合開始剤が作用するメカニズムは、励起状態を形成し、それがその後分解し、ラジカルカチオンを解離するというものである。このラジカルカチオンは溶剤または別の水素原子ドナーと反応し、プロトニック酸を生成する。活性種はプロトニック酸である。しかしながら、スルホニウム塩の分解物中には、ジフェニルスルフィドのような芳香属の硫化物(それは悪臭があり、健康上有害なものでありえる)、およびベンゼンのような低級の芳香族炭化水素(それは潜在的に発癌性である)が存在する。一般的に使用されるヨードニウム塩の多くは、分解してベンゼン、トルエンあるいはイソブチルベンゼンのような揮発性の種を与える。これは、そのようなカチオン光開始剤を使用することができる用途について厳しい制限をもたらす。例えば、それらは食物用のパッケージングあるいは食物と接触する類似のものの上の印刷インキの中で使用することができないし、ある場合には、パッケージングが消費者によって扱われる場合に、全く使用することができない。確かに、産業が健康問題にさらに意識が高くなるにつれ、そのような化合物を使用するのはますます難しくなり、したがって、光開始剤としての使用に適当であり、その分解物が一般に安全であると認められる化合物を見つけるという、緊急の必要性がある。 しかしながら、これは、重要であるが、カチオン光開始剤として使用される化合物の選択上のただ一つの制約ではない。健康に関する問題の考察をしなくとも、公知のカチオン光開始剤の分解産物は悪臭を有し、不愉快な臭気が最小限にされることは非常に望ましい。これは、分解産物が比較的不揮発性であり臭気を有さないべきであるという要望に結びつく。もちろん、カチオン光開始剤は、また、単離された化合物として、また未硬化のコーティング配合物中において、十分に安定でなければならない。さらに、それらは未硬化のコーティング配合物の他の成分中へ可溶であるか、または混和可能でなければならない。最後に、それらは、理想的には増感剤の使用なしで、適当な波長範囲で、かつ十分に広い波長範囲で放射線を吸収することができるべきである。 その上に、カチオン光開始剤の性質は硬化されたコーティングの特性に大きな影響を及ぼすことができる。カチオン光開始剤は、完全に硬化され、硬く、一般的な溶剤および酷使に耐性のあるコーティングを生産するべきである。最後に、カチオン光開始剤として使用される化合物の製造に関連して、製造が比較的簡単で安価であるべきであるという必要をはじめとして、多くの実際的な問題がある。 したがって、放射線硬化の際に悪臭を生ぜず、また有毒な副産物、特にジフェニルスルフィドおよびベンゼンを生成せず、そして食物と接触する場合があるパッケージングの印刷のために使用されることができるカチオン光開始剤を提供することは望ましい。さらに、光開始剤が次の特性を所有することはこの分野で共通に望まれるものである:良好な溶解度、良好な硬化特性、基板への良好な接着および適当なコスト。意外なことではないが、しばしば矛盾するこれらのすべての要求に応じることは容易ではなく、また、我々は今まで利用可能な完全に満足のできる商業的解決を知らない。 しかしながら、我々は一連の新規なチオキサントン誘導体であって、その分解生成物自身が食品成分として認められる化合物であり、したがってその安全性が疑問視されるものではない化合物を見いだした。さらに、これらの化合物の多くは、コーティング組成物中への良好な溶解度を有するとともに、優れた硬化という利点を有する。これらの化合物はチオキサントン環と結合した、ビフェニルイルまたはフェノキシまたはベンジル基で置換されたフェニル基を有する。 したがって、これらの新しい化合物の潜在的な副生成物は、それ自体がヨーロッパでの酸化防止食品添加剤として認められており、食品包装のためのフリーラジカル硬化インキにおいて広く使用されているものの典型であるチオキサントン誘導体、または少量では毒性がないことが一般に認められているジフェニルオキサイドあるいはジフェニルメタンである。 すなわち、本発明は、式(I)の光開始剤化合物を提供する: 式中、、Aは直接の結合または式、−[O(CHR7CHR6)a]y−、−[O(CH2)bCO]y−、あるいは−[O(CH2)bCO](y−1)−[O(CHR7CHR6)a]−を有する基であり:R6とR7の1つは水素原子を表わし、また、他方は水素原子またはメチル基を表わす;aは1から2までの数である;bは4から5までの数である;Qは、2から6個の水酸基を有するポリオールの残基である;xは、1よりも大きく、Qの中の利用可能な水酸基の数までの数である;xが、1よりも大きく2以下である場合には、yは1から10までの数である;または、xが2よりも大きな数である場合、yは3から10までの数である;R1、R2、R3およびR4は個々に同じか異なり、各々は水素原子、水酸基あるいは1から4の炭素原子を有するアルキル基を表わす;またはR1とR3は一緒になって、それらが結合しているベンゼン環とともに縮合環系を形成する;また、R5は直接の結合、酸素原子あるいはメチレン基を表わす。 これらの化合物は、ワニス、ラッカーおよび印刷インキをはじめとする、たとえば、UVのようなエネルギーにより硬化可能なコーティング組成物、特には印刷インキにおいて使用される光開始剤として有用である。 上記のように、本発明の化合物は放射線硬化可能なコーティング組成物のためのカチオン光開始剤として使用されることができる。 したがって、本発明はさらに、(a)重合可能なモノマー、プレポリマーあるいはオリゴマー、特には酸触媒開環重合を起こす物質、たとえばエポキシド(オキシラン)もしくはオキセタン、またはエチレン性不飽和化合物、たとえばビニルもしくはプロペニルエーテル、および(b)上記の式(I)の化合物である、カチオン光開始剤を含む放射線硬化可能な組成物を提供する。 本発明は、硬化エネルギー、好ましくは紫外線に本発明の組成物を暴露することにより、硬化された重合体組成物を調製するプロセスをさらに提供する。 疑義を避けるため、チオキサントン誘導体のために使用されたナンバリングシステムが以下の式の中で示される:本発明の化合物では、Aは好ましくは式−[O(CHR2CHR1)a]y−を示し、式中、aは1から2までの整数であり、yは先に定義されたとおりであり、好ましくは1から10までの数であり、より好ましくは、式−[OCH2CH2]y−、−[OCH2CH2CH2CH2]y−、または−[OCH(CH3)CH2]yの基であり、式中、yは先に定義されたとおりであり、好ましくは3から10までの数であり、または式−[O(CH2)bCO]y−あるいは−[O(CH2)bCO](y−1)−[O(CHR2CHR1)a]−の基であり、式中、bは4から5までの数であり、yは先に定義されたとおりであり、好ましくは3から10までの数である。さらに好ましくは、yは3から6までの数である。 本発明においては、化合物が一般に高分子であることが好ましい。高分子の性質は、Qによって表わされる基あるいはAによって表わされる基、あるいは両方によって提供される場合がある。 式Q−(A−)xのポリヒドロキシ残基は、高分子であることができ、本発明の化合物のコアを形成し、化合物の挙動に大きな影響を有する。本発明によれば、生じる化合物は液体あるいは低い融点を有する傾向があり、それにより、コーティング組成物中の分散を援助するので、高分子の性質を有することは好ましい。 同様の構造を有するが高分子ではない化合物は、固体および/またはこれらのコーティング組成物にほとんど溶解しない傾向がある。しかしながら、式Q−(A−)xのコア残基があまりにも高い分子量を持たないことが好ましく、好ましくは式Q−(A−)xの残基は2000以下、より好ましくは1200以下、さらに好ましくは1000以下、最も好ましくは800以下の分子量を有する。 Qがエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールあるいはジ−ペンタエリトリトールの残基であることが特に好ましい。 異なる態様において、Aは直接結合を表わす場合がある。その場合には、残基Qは、チオキサントン環構造の2−位置でカルボニルメトキシ基に直接結合する。この場合、Qは好ましくはアルカンジオールの残基である。比較的長い鎖の化合物が好しいが、アルカンジオールの性質は本発明に重大ではない。しかしながら、一般に、アルカンジオールは、2〜30の炭素原子を有する直鎖または枝分れ鎖化合物であることがてき、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール(好ましくは、1,3−、1,4−あるいは2,3−)、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、トリデカンジオール、テトラデカンジオール、ペンタデカンジオール、ヘキサデカンジオール、ヘプタデカンジオール、オクタデカンジオール、ノナデカンジオール、イコサンジオール、ヘニコサンジオール、ドコサンジオール、イコサンジオールあるいはトリアコサンジオールが挙げられ、好ましくはヘキサンジオールおよびデカンジオールである。 本発明の化合物が分析される場合、上記の式中の数a、bおよびyが整数である必要がないことは認識される。また、確かに、本発明の化合物が数a、bおよびyが異なるいくつかの化合物の混合物である場合があるので、それらは整数ではない。本発明によれば、これらの数の各々の平均値が上記のとおりであれば、十分である。もちろん、本発明の化合物の個々の個々の分子については、a、bおよびyは整数である。また、そのような個々の化合物を分離することは可能な場合がある。しかし、実際上、これらの化合物の混合物が使用される。 R1、R2、R3あるいはR4がアルキル基を表わす場合、これは、1〜4の炭素原子を有する直鎖または枝分れ鎖アルキル基であることができ、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルおよびt−ブチル基が例としてあげられ、メチル基が好ましい。 R1、R2、R3およびR4のうちの、2、3あるいは4個が水素原子を表わす式(I)の化合物が好ましく、特にはR1、R2、R3およびR4のすべてが水素原子を表わすものが好ましい。 R2とR4が、それらが結合するベンゼン環と一緒に、縮合環システムを形成する場合、これは例えばビフェニレン、フルオレンあるいはフェナントレン系であることができ、好ましくはフルオレンである。R5は、R5によって一緒に連結された2つの基がビフェニルイル基を形成する直接の結合であることができ、R5によって一緒に連結された2つの基がフェノキシフェニル基を形成する酸素原子であることができ、またはR5によって一緒に連結された2つの基がベンジルフェニル基を形成するメチレン基であることができる。これらのうち、直接結合が好ましい。生じる化合物の分解生成物のビフェニルが無毒だからである。 Xは陰イオンを表わす。一般に、使用される陰イオンの性質上に特別の制限はない。しかしながら、本発明の化合物が光開始剤として使用されることになっている場合、当該技術分野においてよく知られているように、陰イオンは非求核性、あるいは本質的に非求核性であるべきである。さらに、それは比較的かさばっているべきである。化合物が光開始剤として使用されない場合、陰イオンはこれらの必要条件を満たす必要はない。例えば、ある場合には、最終的に使用される塩の形態で化合物を貯蔵しないことが望ましい場合がある。その場合、別の塩を形成し、次に、使用時またはその近傍において化合物を所望の塩に変換することが望ましい場合がある。そのような場合では、陰イオンは非求核性である必要がない。 非求核性の陰イオンの例は当業者によく知られていて、式、MZn−[式中、Mが隣、ホウ素、アンチモン、ヒ素、塩素あるいは炭素原子を表わし、Zがハロゲン原子(Mがハロゲン原子を表わす場合を除く)、酸素原子あるいはサルファイト基を表し、nはMおよびZの価数に依存する整数である]を有するアニオンがあげられる。そのような基の好ましい例として、はPF6−、SbF6−、AsF6−、BF4−、B(C6F5)4−、RaB(Ph)3−[式中、Raは1から6個の炭素原子を有するアルキル基を表わし、Phはフェニル基を表す]、RbSO3−、[式中、Rbは、1から6個の炭素原子を有するアルキル基またはハロアルキル基、またはアリール基を表わす]、ClO4−およびArSO3−[式中、Arはアリール基を表わす]の基が挙げられ、好ましくは、PF6−、SbF6−、AsF6−、CF3SO3−、およびBF4−基であり、最も好ましくはPF6−基である。 本発明の化合物は、このタイプの化合物の調製のためによく知られている反応)によって調製されることがてき、精密な反応ルートは調製することが所望される化合物の性質に依存して選ばれることができる。 例えば、化合物は以下のように調製されることができる。 第1工程では、2−カルボキシメトキシチオキサントン(II):と、式(III)のコア化合物が反応させられ:(HA)x−Q(III)(A,xおよびQは前記の通りである。)式(IV)の化合物を与える。(A,xおよびQは前記の通りである。) 反応は、通常、および好ましくは溶剤の存在下で行われる。それが試薬に対する、あるいは反応に対する悪影響を持たない限り、その性質は本発明において重要でない。適切な溶剤の例としては、たとえば、ベンゼン、トルエンあるいはキシレンのような芳香族炭化水素があげられる。 反応は、たとえば:p−トルエンスルホン酸あるいはメタンスルホン酸のようなスルホン酸;硫酸、塩化水素酸あるいはリン酸のような鉱酸;または塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素あるいは有機チタン酸塩のようなルイス酸のような、酸性触媒の存在下で好ましく行われる。 反応が行なわれる温度も、同様に本発明において重要ではなく、反応を完了させるために、反応の間に形成された水が除去されるほどに十分に高ければ、反応条件、および試薬と溶剤の性質に依存して、広く変えることができる。すなわち、我々は、反応混合物の還流温度付近において反応を行うことが一般に好都合であることを見いだした。反応に必要な時間はさらに主として反応温度に依存して、広く変わる場合がある。しかしながら、上に概説された好ましい条件の下では、1〜20時間の時間で通常十分である。 反応が完結すると、たとえば、水および/またはアルカリ水溶液などで反応混合物を洗い、乾燥して、次に減圧下での蒸発によって溶剤を除去することのような、公知の手段により反応混合物から所望の製品を回収することができる。 その後、式(IV)の得られた化合物は酸化され、式(V)の対応するスルホキシドを与える:(A、xおよびQは先に定義したとおりである。) この反応は、この種の反応で使用することが知られている、任意の適切な酸化剤を使用して、公知の手段によって行うことができる。使用される酸化剤は、チオキサントンの硫黄原子を、選択的にチオキサントンスルホキシドに酸化するが、さらにスルホンを生成はしないものであるべきである。適切な酸化剤の例としては、セリウムアンモニウムニトレート、m−クロロペルオキシ安息香酸およびヨードベンゼンジアセテートのようなセリウム化合物が挙げられる。 反応は、通常、および好ましくは溶剤の存在下で行われる。それが試薬に対する、あるいは反応に対する悪影響を持たない限り、その性質は本発明において重要でない。適切な溶剤の例としては、たとえばアセトニトリルのような非酸化性溶剤、およびこれらの有機溶剤と水との混合物が挙げられる。 反応が行なわれる温度も、同様に本発明において重要でなく、反応条件および試薬と溶剤の性質に依存して、広く変えることができる。我々は、周囲温度、例えば15〜25℃で反応を行なうことが一般に好都合であることを見いだした。反応に必要な時間も、主として反応温度に依存して、広く変わる場合がある。しかしながら、上に概説された好ましい条件の下では、1〜10時間の時間で通常十分である。反応が完結すると、たとえば、水などで反応混合物を洗い、乾燥して、次に減圧下での蒸発によって溶剤を除去することのような、公知の手段により反応混合物から所望の製品を回収することができる。 その後、式(V)の得られた化合物は、式(VI)の化合物と反応させられる:(R1、R2、R3、R4およびR5は先に定義されたとおりである)。酸の存在下、式(Ia)の化合物を与える: (R1−R5、およびA、Qおよびxは先に定義されたとおりであり、Y−は陰イオンを表わす。) R1、R2、R3またはR4の1つまたはそれ以上がヒドロキシ基を表し、これは好ましくは保護される。そうでなければ、それが反応中で使用される酸と反応する場合があるからである。使用される保護基の性質は本発明に重要ではない。また、このタイプの化合物で使用される当該技術分野の中で公知である任意の保護基を、等しくここで使用することができる。適切な保護基の例は、1991年にジョンウィリーアンドサンズ社により出版された、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」(第二版)に記述されている。 反応は、通常好ましくは溶液中で行われる。もしそれが試薬に対し、あるいは反応に対して悪影響を及ぼさなければ、そしてそれが少なくともある程度試薬を溶かすことができれば、その性質は重要ではない。適切な溶剤は酢酸である。反応は、好ましくは強酸の存在下に行われる。濃硫酸および無水酢酸の組み合わせが好ましい。適切な反応温度は好ましくは15℃以下である。 陰イオンY−は反応により導入される。一般に、陰イオンY−は最終生産物の中に組み込まれることが望まれる陰イオンX−ではない。その場合、その後、合成化学の分野でよく知られているように、所望の陰イオンは陰イオン交換反応により導入されることができる。 Rl、R2、R3あるいはR4によって表わされる、保護された水酸基が存在する場合、上記の「Protective Groups in Organic Synthesis」に記述されるように、保護基は、所望の場合、当業者によく知られている方法によって除去することができる。 その後、本発明の化合物はよく知られている技術によって反応混合物から分離することができ、所望の場合、さらに精製される。 本発明の組成物は、紫外線または電子ビームの照射によって硬化されるように意図される印刷インキ、ワニス、接着剤、または任意の他のコーティング組成物として配合されることができる。そのような組成物は通常少なくとも1つの重合可能なモノマー、プレポリマーまたは、オリゴマー、および本発明のカチオン光開始剤を含むが、例えば当業者によく知られている他の成分、たとえば、反応性希釈剤、および印刷インキの場合にはピグメントをさらに含むことができる。 種々様々のモノマーおよびプレポリマーが、光開始剤として本発明の化合物を使用したカチオン性光開始に供されることができる。モノマーとプレポリマーの性質は本発明において重要ではない。そのようなモノマーおよびプレポリマーは典型的にはカチオン重合可能な基を有する。そのような化合物の一般的な例としては、エポキシド類、オキセタン類、他の環状エーテル、ビニル化合物(たとえば、ビニルおよびプロペニルエーテル、スチレン、およびその誘導体および不飽和ポリエステル)、不飽和炭化水素、ラクトン類、およびハイブリッドシステムの場合にはアクリレートおよびメタクリレートが挙げられる。 使用されることができる典型的なエポキシド類としては、脂環式のエポキシド(たとえば、ユニオンカーバイド社によるUVR6110およびUCB社によるUVACURE1500)が挙げられ、それは当業者によく知られている。使用されることができる他のエポキシ官能性オリゴマー/モノマーとしては、ポリオールのグリシジルエーテル[ビスフェノールA、アルキルジオールあるいはポリ(アルキレンオキシド)、それはジ−、トリ−、テトラまたはヘキサ−官能性であることができる]が挙げられる。さらに、不飽和物質のエポキシ化によって誘導されたエポキシド(たとえば、エポキシ化大豆油、エポキシ化ポリブタジエン、またはエポキシ化アルケン)も使用することができる。ベルノニアガラマンシス(Vernonia galamensis)から集められたクロップ油をはじめとする天然のエポキシドも使用することができる。エポキシドと同様に、他の反応的性モノマー/オリゴマーも使用することができ、たとえば、ポリオールのビニルエーテル[たとえば、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテルおよびポリ(アルキレンオキシド)のビニルエーテル]が挙げられる。ビニルエーテル官能性プレポリマーの例としては、アライドシグナル社の、ウレタンベースの製品が挙げられる。同様に、プロペニルエーテル基を含むモノマー/オリゴマーを、上記で言及されたビニルエーテル基を含む対応する化合物の代わりに使用することができる。 同様に、オキセタン基を有する化合物を、上記で言及されたエポキシド基を含む対応する化合物の代わりに使用することができる。 典型的なオキセタンはトリメチロールプロパンから誘導される(3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン)。 他の反応的な種としてはスチレン誘導体および環状エステル(たとえば、ラクトンとそれらの誘導体)をあげることができる。 さらに、紫外線でカチオン的に硬化可能な配合物中にポリオールを含むことは一般的であり、これは連鎖移動反応プロセスによって架橋を促進する。ポリオールの例としては、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ジ−トリメチロールプロパン、ジ−ペンタエリトリトール、およびソルビタンエステルのエトキシル化/プロポキシル化誘導体、並びにより便利なポリ(エチレンオキシド)およびポリ(プロピレンオキシド)が挙げられる。当業者によく知られている他のポリオールは、ポリカプロラクトンのジオール、トリオールおよびテトラオールであり、これらはたとえば、ユニオンカーバイド社によって供給されている。 本発明のコーティング配合物の主成分と共に使用されることができる添加剤としては、安定化剤、可塑剤、ピグメント、ワックス、スリップ助剤、レベリング剤、接着促進剤、界面活性剤およびフィラーが挙げられる。さらに、たとえば、チオキサントン(およびその誘導体)、ベンゾフェノン(およびその誘導体)、ヒドロキシアルキルフェノン類、アントラセン(およびその誘導体)、ペリレン、キサントン、ピレンおよびアントラキノンのような、光開始剤用増感剤として作用する化合物を含むことができる。 本発明の化合物は当該技術分野においてよく知られているコーティング配合物に光開始剤として含まれることができ、そのような配合物の正確な組成は他の成分および意図した用途に応じて変わる。しかしながら、フレキソ印刷においてコーティングすることができるインキの典型的な配合は次のとおりであることができる:ピグメント 8−20%光開始剤 2−6%モノマー/プレポリマー/オリゴマー 30−90%ポリオール 0−30%添加剤 0−10% 硬化可能な組成物中での本発明の化合物の溶解度を向上するために、それらは、適切な溶剤(例えばプロピレンカーボネート)に最初に溶かされることができる。 式(I)の多官能性開始剤は、特にインキ、特に印刷インキに適している。これらは典型的には、上記に記載された追加的成分として、ピグメント、ワックス、安定剤およびフロー助剤の1つ以上を含むことができ、これらはたとえば、Leach R.H.ら(編)の「印刷インキマニュアル(Printing Ink Manual)」(4版)、Van Nostrand Reinhold、Wokingham(1988)に記述されており、その開示は、参照として本明細書に組み込まれる。 本発明は、次の非制限的な実施例によってさらに説明される。実施例1カルボキシメトキシチオキサントンの調製 24gの水酸化ナトリウムが5分間、400mlのテトラヒドロフラン中で還流された。22.8g(0.1mol)のヒドロキシチオキサントンが加えられ、そして1時間還流が継続され、その間に、色が明るい赤に変化し、ヒドロキシチオキサントンのナトリウム塩が形成されたことを示した。エチルブロモアセテート35.1g(0.21mol)が加えられ、還流が3時間継続された。室温に冷却した後、脱イオン水400mlを、撹拌下に加え、テトラヒドロフランを蒸留除去し、透明な赤色溶液を得た。すべてのエステル中間体を加水分解するために、還流をさらに2時間継続した。その後、溶液は50℃まで冷却され、400mlの1.0Mの塩酸水溶液を撹拌下に加え、固体生成物を沈殿させた。ナトリウム塩がすべて遊離酸に変換されたことを保証するために5分間還流した後に、溶液を室温に冷却し、2時間撹拌した後、固体を濾過により除き、400mlの脱イオン水で洗浄し、80℃の真空オーブン中で乾燥した。生成物収量28.12g(97%)。生成物はNMRによって分析された。実施例2 実施例1で得られたカルボキシメトキシチオキサントン10g(0.035mol)と3.5ポリテトラヒドロフラン(分子量250)を0.3gのp−トルエンスルホン酸一水和物触媒を含む75mlのトルエンの中で共沸的に還流した。15時間の後、溶液は冷やされ、0.1MNaOH水溶液の50mlで2回、50mlの脱イオン水で2回洗浄され、ついで無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶液はろ過され、溶剤はすべてロータリーエバポレータ上で除去され、暗い赤色の高い粘度の油を得た。生成物収量9.05g(81%)。生成物はHPLCによって分析された。実施例3 例2からの生成物5.0g(0.0063モル)が、アセトニトリルおよび水の混合物(75%のアセトニトリル、25%の水)200ml中に溶解された。おだやかな加熱がされ、27.83g(0.051モル)のセリウムアンモニウムニトレートが加えられた。反応混合物は室温で2時間撹拌され、ついで薄層クロマトグラフィー(TLC)にかけた。その後、水130mlが加えられ、混合物を200mlのジクロロメタン(DCM)で抽出した。DCMと水の間の界面に幾分かの不溶性物質が形成された。分離が実行される前に、これは濾過によって除去された。ジクロロメタン層は一緒にされ、硫酸マグネシウムで乾燥され、次に、溶剤をロータリーエバポレータで除去し、生成物を得た。糊状液体の生成物、収量4.74g(91%)。生成物はIR、HPLCおよびLC−MSによって分析された。実施例4 実施例3の生成物3.075g(0.00375モル)および1.604g(0.01040モル)のビフェニル、酢酸(7ml)、ジクロロメタン(1.75ml)および無水酢酸(7ml)が、丸底フラスコの中で混合された。混合物の温度は水/氷浴を使用して、15℃未満にされた。その後、濃硫酸(2.6ml)が、温度が15℃を超えないことを保証しつつ、滴下された。添加終了後、混合物を2時間撹拌し、温度を室温に上昇させた。その後、100mlの水を加え、溶液を100mlのジクロロメタンで2回抽出した。その後、ジクロロメタンをロータリーエバポレータで除去し、中間生成物7.79gを得た。これは最低限の酢酸に溶かされ、KPF6溶液(75mlの水中2.5g)中に注がれた。粘稠な液体が得られ、これはジクロロメタンで抽出され、100mlの水で3回洗浄された。褐色の粘稠な液体生成物、収量5.23g(ほぼ100%)。生成物はIR、HPLCおよびLC−MSによって分析された。実施例5 実施例1からのカルボキシメトキシチオキサントン10g(0.035mol)および4.42g(0.01mol)のエトキシル化トリメチロールプロパン(TP70、Perstorp社製)を、0.3gのp−トルエンスルホン酸一水和物触媒を含む75mlのトルエンの中で共沸還流させた。11時間後、溶液は冷やされ、75mlの0.5MのNa2CO3水溶液で2回、75mlの脱イオン水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。溶液はろ過し、溶剤をすべてロータリーエバポレータ上で除去して、暗い赤色の高粘度の油を得た。生成物収量9.18g(77%)。生成物はHPLCおよびLC−MSによって分析された。式中、x+y+z=7である。実施例6 実施例5の生成物5.0g(0.00385モル)を、アセトニトリルおよび水の混合物(75%のアセトニトリル、25%の水)185mlに溶解した。おだやかな加熱がされ、25.31g(0.046モル)のセリウムアンモニウムニトレートが加えられた。反応混合物は室温で2時間撹拌され、ついでTLCにかけた。その後、水120mlが加えられ、混合物を200mlのジクロロメタンで抽出した。DCMと水の間の界面に幾分かの不溶性物質が形成された。分離が実行される前に、これは濾過によって除去された。ジクロロメタン層は一緒にされ、硫酸マグネシウム上で乾燥され、次に、ロータリーエバポレータで除去し、生成物を得た。これをジクロロメタンとアセトニトリルとの1:1混合物中に溶解し、100mlの水で3回洗浄し、その後硫酸マグネシウム上で乾燥し、すべての溶剤をロータリーエバポレータで除去した。糊状液体の生成物、収量3.75g(68.9%)。生成物はIR、HPLCおよびLC−MSによって分析された。式中、x+y+z=7である。実施例7 実施例6の生成物2.5g(0.00185モル)および1.19g(0.0075モル)のビフェニル、酢酸(5.2ml)、ジクロロメタン(1.3ml)および無水酢酸(5.2ml)が、丸底フラスコの中で混合された。混合物の温度は水/氷浴を使用して、15℃未満にされた。その後、濃硫酸(1.9ml)が、温度が15℃を超えないことを保証しつつ、滴下された。添加終了後、混合物を2時間撹拌し、温度を室温に上昇させた。その後、100mlの水を加え、溶液を100mlのジクロロメタンで2回抽出した。その後、ジクロロメタンをロータリーエバポレータで除去し、中間生成物6.5gを得た。これは最低限の酢酸に溶かされ、KPF6溶液(65mlの水中2g)中に注がれた。粘稠な液体が得られ、これはジクロロメタンで抽出され、100mlの水で2回洗浄された。褐色の高粘度の液体生成物、収量3.05g(74.96%)。生成物はIR、HPLCおよびLC−MSによって分析された。式中、x+y+z=7である。実施例8 実施例1で得られたカルボキシメトキシチオキサントン42.9g(0.15mol)とブトキシル化トリメチロールプロパン(Simulsol TOMB、Seppic社製)25.52g(0.04モル)を0.3gのp−トルエンスルホン酸一水和物触媒と0.1gのブチル化ヒドロキシトルエンを含む300mlのトルエンの中で窒素雰囲気下、共沸的に還流した。13時間の後、溶液は35℃に冷やされ、10%の炭酸カリウム水溶液250mlと、脱イオン水250mlで洗浄し、その後共沸蒸留により乾燥した。溶液はろ過され、溶剤はすべてロータリーエバポレータ上で除去され、オレンジ色の高い粘度の油を得た。生成物収量38.5g(67.0%)。生成物はHPLCおよびIRで分析された。実施例9 実施例8からの生成物の20g(0.0139モル)は、600mlのアセトニトリルに60℃で溶解された。溶液を25℃に冷却し、200mlの脱イオン水を加え、エマルションを形成した。90.9g(0.1668モル)のセリウムアンモニウムニトレートが加えられ、混合物は室温で2.5時間撹拌された。生成物は500mlの脱イオン水に加えられ、700mlのジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン層は300mlと500mlの脱イオン水で洗浄され、無水硫酸マグネシウム上で乾燥され、次に、すべての溶剤をロータリーエバポレータで除去した。オレンジ色の油の生成物収量17.0g(82.1%)。生成物はHPLCおよびIRによって分析された。実施例10 実施例9の生成物3.2g(0.00215モル)および0.66g(0.0043モル)のビフェニルが、無水酢酸15mlに、丸底フラスコの中で混合された。混合物の温度は水/氷浴を使用して、5℃にされた。その後、濃硫酸(3.15g)が、温度が20℃を超えないことを保証しつつ、滴下された。添加終了後、混合物を10−15分間撹拌し、温度を室温に上昇させた。ついで13mlのメタノールおよび15mlの脱イオン水中のKPF6の1.385g(0.0075モル)の溶液を加えた。溶液を周囲温度で約45分間撹拌し、ついで生成物を50mlのジクロロメタン中に抽出した。ジクロロメタン溶液を50mlの脱イオン水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、すべての溶剤をロータリーエバポレータで除去した。褐色の高粘度の油状生成物、収量2.87g(57.2%)。生成物はHPLCおよびIRによって分析された。実施例11 実施例3の生成物6.2g(0.0075モル)および2.55g(0.015モル)のジフェニルエーテルが、無水酢酸30mlに、丸底フラスコの中で混合された。混合物の温度は水/氷浴を使用して、5℃にされた。その後、濃硫酸(6.3g)が、温度が20℃を超えないことを保証しつつ、滴下された。添加終了後、混合物を10−15分間撹拌し、温度を室温に上昇させた。ついで26mlのメタノールおよび30mlの脱イオン水中のKPF6の3.04g(0.0165モル)の溶液を加えた。溶液を周囲温度で約45分間撹拌し、ついで生成物を100mlのジクロロメタン中に抽出した。ジクロロメタン溶液を100mlの脱イオン水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、すべての溶剤をロータリーエバポレータで除去した。オレンジ色の高粘度の油状生成物収量8.75g(82.2%)。生成物はHPLCおよびIRによって分析された。実施例12 実施例3の生成物6.2g(0.0075モル)および2.31gのビフェニル(0.015モル)が、無水酢酸30mlに、丸底フラスコの中で混合された。混合物の温度は水/氷浴を使用して、5℃にされた。その後、濃硫酸(6.3g)が、温度が20℃を超えないことを保証しつつ、滴下された。添加終了後、混合物を10−15分間撹拌し、温度を室温に上昇させた。ついで26mlのメタノールおよび30mlの脱イオン水中のKPF6の4.74g(0.0165モル)の溶液を加えた。溶液を周囲温度で約45分間撹拌し、ついで生成物を100mlのジクロロメタン中に抽出した。ジクロロメタン溶液を10mlの脱イオン水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウム上で乾燥し、すべての溶剤をロータリーエバポレータで除去した。褐色の高粘度の油状生成物収量9.3g(78.9%)。生成物はHPLCおよびIRによって分析された。実施例13 ワニス配合物 評価実験において以下のワニス配合物が使用された。 使用された標準的な光開始剤は、Uvacure1592(トリアリールスルフォニウム塩光開始剤、UCB社製、プロピレンカーボネート中の50%溶液として供給される)、およびIrgacure250(ジアリールヨードニウム塩光開始剤、チバスペシャリティーケミカル社製、プロピレンカーボネート中の75%溶液として供給される)であった。 Uvacure1500は、UCB社製の脂環式エポキシドモノマーである。 Tegorad2100はTEGO社製の濡れ助剤である。硬化実験の要約 ワニスはレネタ(Leneta)不透明チャート上に、No.0のK−バーとドローダウンパッドを使用して印刷された。印刷物は、中圧水銀アークランプを備えたプリマーク マクシキュア UV キュアリング リグ(Primarc Maxicure UV curing rig)を、80および100m/分のライン速度でパスさせた。UVランプの能力は300ワット/インチであったが、性能の相違を際だたせるため、半分の強度に設定して使用された。完全な硬化を達成するためのパスの回数を、「サムーツイスト(thumb−twist)」試験により測定した。 実験結果によれば、実施例12を除き、すべての実施例の光開始剤が、標準的な光開始剤Uvacure1592と同等な硬化速度を有し、すべてが標準的な光開始剤Irgacure250よりも優れていることがわかる。すべての実施例の光開始剤は2つの標準的な光開始剤に比較して優れた臭気特性を有していた。硬化したフィルムの若干の黄色化は、光開始剤の量を低減することにより顕著に減少させることができ、他の配合の選択肢は当業者に公知である。実施例14マゼンダインキ配合物 評価実験において以下のワニス配合物が使用された。 使用された標準的な光開始剤は、Uvacure1592(トリアリールスルフォニウム塩光開始剤、UCB社製、プロピレンカーボネート中の50%溶液として供給される)、およびIrgacure250(ジアリールヨードニウム塩光開始剤、チバスペシャリティーケミカル社製、プロピレンカーボネート中の75%溶液として供給される)であった。 Uvacure1500は、UCB社製の脂環式エポキシドモノマーである。 Tegorad2100はTEGO社製の濡れ助剤である。硬化実験の要約 インキは白色OPP基体(Propafilm RB30、UCB社製)上に、アニロックスツール(anilox tool)41を取り付けた「Easiproof」手持ちフレキソプルーファー(proofer)を使用して印刷された。印刷物は、300ワット/インチの中圧水銀アークランプを備えたプリマーク マクシキュア UV キュアリング リグを、いくつかの異なるライン速度とランプ強度設定でパスさせた。完全な硬化を達成するためのパスの回数を、「サムーツイスト」試験により測定した。本発明の新規な光開始剤はインキ中において標準的な市販のカチオン光開始剤と同様な硬化特性を示すことを実験結果は示している。特に、実施例4は非常に反応性であり、最も優れた市販の標準的な光開始剤Uvacure1592とほとんど等しい硬化特性を与えている。実施例15GC−MSヘッドスペース分析 評価実験において以下のワニス配合物が使用された。 使用された標準的な光開始剤は、Uvacure1592(トリアリールスルフォニウム塩光開始剤、UCB社製のプロピレンカーボネート中の50%溶液として供給される)、およびIGM440(ジアリールヨードニウム光開始剤、IGM社製)であった。 Uvacure1500は、UCB社製の脂環式エポキシドモノマーである。 Tegorad2100はTEGO社製の濡れ助剤である。 TMPOはPerstorp社製のモノ官能性オキセタンアルコール希釈物である。 Esacure KIP150は、Lamberti社製のヒドロキシアルキルフェノン光開始剤である。 ワニスは、No.0のK−バーとドローダウンパッドを使用してアルミニウムホイル上に印刷された。印刷物は、300ワット/インチの中圧水銀アークランプを備えたプリマーク マクシキュア UV キュアリング リグを、80m/分のライン速度で2回パスさせた。この条件下ではサンプルはオーバーキュアされ、これは副生成物の生成を最大にするために望ましい。それぞれのサンプルの200平方センチが、密閉されたチューブ内におかれ、10分間200℃にサンプルを加熱し、加熱された移送ラインを介して質量スペクトルメーター検出器が取り付けられたガスクロマトグラフィーにヘッドスペース部分を移送するという、標準的なヘッドスペース分析手法に供された。 これらの分析により検知された化合物を以下に示す。それぞれの物質を定量化する試みは行わなかった。Uvacure1500に由来するいくつかのピークがすべてのサンプルにおいて共通に見られることに留意すべきである。* ベンゼンもこの分析から予想されるが、この標準的なGC手法で使用された溶剤デレイのため検出されなかった。 これらの結果は、実施例4について、検出された唯一の光開始剤副生成物はビフェニルであることを示している。これはそれ自身が食品添加剤として認められているので、食品包装用インキの毒性について関係しない。これは2つの標準的な光開始剤から放出される望ましくない物質と対照的である。 式(I)の光開始剤化合物: 式中、Aは直接の結合または式、−[O(CHR7CHR6)a]y−、−[O(CH2)bCO]y、あるいは−[O(CH2)bCO](y−1)−[O(CHR7CHR6)a]−を有する基であり:R6とR7は独立に水素原子およびメチル基から選択されるが、R6とR7の両方ともがメチル基であることはない;aは1から2までの数である;bは4から5までの数である;Qは、2から6個の水酸基を有するポリオールの残基であり、Q−(A−)xの残基は2000以下の分子量を有する;xは、1よりも大きく、Qにおける利用可能な水酸基の数までの数である;xが、1よりも大きく2以下である場合には、yは1から10までの数である;または、xが2よりも大きな数である場合、yは3から10までの数である;R1、R2、R3およびR4は独立に水素原子、水酸基およびC1−C3アルキル基から選択され;また、R5は直接の結合、酸素原子あるいは−CH2−基を表わす;Xは非求核性のアニオンを表す。 yが3から10である、請求項1記載の化合物。 Aが式、−[O(CHR7CHR6)a]y−(式中、aは1から2までの整数であり、yは1から10までの数である)である、請求項1記載の化合物。 Aが式、−[OCH2CH2]y−、−[OCH2CH2CH2CH2]y−、または−[OCH(CH3)CH2]y−(式中、yは3から10の数である)である、請求項1記載の化合物。 Aが式、−[O(CH2)bCO]y−(式中、bは4から5までの数であり、yは3から10までの数である)である、請求項1記載の化合物。 Aが式、−[O(CH2)bCO](y−1)−[O(CHR7CHR6)a]−(式中、aは1から2までの数であり、bは4から5までの数であり、yは3から10までの数である)である、請求項1記載の化合物。 yが3から6までの数である、請求項1から6のいずれか1項記載の化合物。 式、Q−(A−)xの残基が、1200以下の分子量を有する、請求項7記載の化合物。 式、Q−(A−)xの残基が、1000以下の分子量を有する、請求項8記載の化合物。 式、Q−(A−)xの残基が、800以下の分子量を有する、請求項9記載の化合物。 Qがエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、デカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジ−トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトールあるいはジ−ペンタエリトリトールの残基である請求項1から10のいずれか1項記載の化合物。 Aが直接結合である、請求項1から11のいずれか1項記載の化合物。 R1、R2、R3およびR4の、2,3または4個が水素原子を表す、請求項1から12のいずれか1項記載の化合物。 R1、R2、R3およびR4のすべてが、水素原子を表す、請求項13記載の化合物。 R5が直接結合である、請求項1から14のいずれか1項記載の化合物。 (a)重合可能なモノマー、プレポリマーまたはオリゴマー、および(b)請求項1から15のいずれか1項記載の化合物、 を含む、紫外線硬化可能な組成物。 請求項16記載の紫外線硬化可能な組成物を含む印刷インキ。 請求項16記載の組成物または請求項17記載の印刷インキを紫外線に暴露することにより、硬化されたポリマー組成物を提供する方法。