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タイトル:特許公報(B2)_ビオチン化ドメインを含むタンパク質タグ、及び溶解性を増大させる方法、及び折り畳み状態を決定する方法
出願番号:2003564248
年次:2009
IPC分類:C07K 19/00,C12N 15/00,G01N 33/68


特許情報キャッシュ

ミタリ サマダー ジョナサン マイケル ブラックバーン ダレン ジェームス ハート マイケル リチャード ダイソン JP 4377242 特許公報(B2) 20090918 2003564248 20030129 ビオチン化ドメインを含むタンパク質タグ、及び溶解性を増大させる方法、及び折り畳み状態を決定する方法 センス プロテオミック リミテッド 504216376 杉村 興作 100072051 徳永 博 100101096 藤谷 史朗 100107227 来間 清志 100114292 冨田 和幸 100119530 ミタリ サマダー ジョナサン マイケル ブラックバーン ダレン ジェームス ハート マイケル リチャード ダイソン GB 0202018.8 20020129 20091202 C07K 19/00 20060101AFI20091112BHJP C12N 15/00 20060101ALI20091112BHJP G01N 33/68 20060101ALI20091112BHJP JPC07K19/00C12N15/00G01N33/68 C12N 15/00-15/90 C07K 19/00 BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed 国際公開第95/025172(WO,A1) 特開平04−507341(JP,A) Gene, 1996年, vol. 173, p. 147-154 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1993年, vol. 90, p. 933-937 12 GB2003000362 20030129 WO2003064656 20030807 2005516074 20050602 22 20060111 中野 あい 本発明は、ビオチンカルボキシル担体タンパク質(biotin carboxyl carrier protein,BCCP)を、異種発現した遺伝子産物を方向づけて表面で捕捉する際に、タンパク質折り畳みマーカー及びタンパク質溶解性エンハンサーとして使用する方法に関する。 細菌、酵母、昆虫細胞又は哺乳類細胞などの異種のシステムにおいてヒトタンパク質を発現すると、不正確に折り畳まれたタンパク質が生産され、その結果、不溶性の凝集体が形成されるか、又は折り畳まれていないタンパク質がプロテオソームへターゲティングされるので、発現タンパク質の収量が低くなる。すべての機能を有するタンパク質の製法にとって、正確に折り畳まれた又は天然のタンパク質を生産することは必須であり、個々のタンパク質の発現を最適するためには、多くの場合、多大な作業が行われる。しかしながら、タンパク質生化学の多くの領域では、各タンパク質の個々の発現及び精製条件の最適化が非実用的であるような大きさのタンパク質のライブラリー又はグループを用いて作業することが必要とされる。それ故に、このようなプロセスの多様化を容易にする試薬、プロトコール及び方法論が本技術分野おいて必要とされており、まだ対処されていない。 アフィニティータグは、組み換えタンパク質の精製及び固定化の好都合な方法である。ヘキサヒスチジンタグ(6アミノ酸(aa);Qiagen/Roche)、Escherichia coliマルトース結合タンパク質(“MBP”,300aa;New England Biolabs)及びSchistosoma japonicumグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST,220aa;Amersham Pharmacia Biotec/Novagen)が有効であるが、異種の宿主タンパク質が融合タンパク質の精製に用いるアフィニティー・マトリックスと相互作用するという不利益を有する。このことによって、不純なタンパク質調整物が生じ、さらなる精製ステップが多くの場合必要である。さらに、これらのタンパク質のそのリガンドに対する親和性が比較的弱く、その結果、融合タンパク質が固定化されている表面から解離するか、又は“浸出”する。そのような可逆相互作用を、カラム又はバッチ形式で樹脂上にて樹脂による精製をする際に利用し、その精製では、リガンドの局所濃度が高いため、解離したタンパク質が迅速に再結合し、さらに遊離のリガンドによって迅速に溶出される。対照的に、マイクロタイタープレート又はマイクロアレイ、例えばバイオチップなどの平面へタンパク質を固定化するには、該タンパク質が引き続き結合した状態であり、保存及び使用の間に基材から浸出しないことが必要である。したがって、精製に用いられる低親和性のタグ(例えばMBPタグ、GSTタグ及びヘキサヒスチジンタグ)は最適状態に及ばない。精製タンパク質を表面のリジン残基を介してアミン反応化学基に結合させるといった共有結合での固定化戦略を頻繁に使用する。これは、タンパク質の活性を減少させることが一般的に認められている。 低親和性である上記の非共有結合による相互作用と対照的に、ストレプトアビジン、アビジン又はニュートラビジン(neutravidin)とビオチンとの相互作用は、生物学において既知である最も高い親和性の一部を示し、平衡解離定数は10-15Mである(MBP−アミロース又はGST−グルタチオンの相互作用より数オーダーの規模で親和性が高い)。共有結合より相互作用がはるかに弱いが、ストレプトアビジンで誘導体化した表面に結合したビオチン化タンパク質は、解離がごくわずかである。したがって、この相互作用によって、タンパク質アレイ及び酵素結合免疫測定法(ELISA)などの用途用のタンパク質を平面につなぐ手段が改善される。 ビオチンを、タンパク質に化学的に付着させることができるか(例えば、NHS活性化ビオチンを用いて)、又は生体内でビオチン化される遺伝子融合タンパク質ドメインを介して付着させることができる。Promegaの“PinPoint(登録商標)”ベクターは、ビオチン化ドメイン(Propionibacterium freudenreichii shermanii由来のメチルマロニルCoAカルボキシルトランスフェラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(BCCP)の断片(米国特許第5,252,466)である)との融合物の構築を容易にするように設計されている。このタンパク質は、E.coliのBCCPと40%の相同性を有する。このシステムによって、ビオチンリガーゼによって生体内又は生体外でビオチン化することが可能なBCCPタンパク質の融合物の生産が可能になり、特異性の高いビオチン−ストレプトアビジン相互作用を表面での捕捉に使用することが可能になる。BCCPドメインに加えて、リジン残基上でビオチン化することが可能である、ファージ・ディスプレイで選択した短いペプチドがAvidity Inc.によって商品化されている(米国特許第5,932,433号)。 本願の発明者らは、本願明細書において、E. coli由来のBCCPをタンパク質パートナーのN末端又はC末端に融合する新規なアプローチについて説明する。さらに、アビジン、ストレプトアビジン又はニュートラビジン(neutravidin)で誘導体化したマイクロアレイの互換性のある表面に融合タンパク質を方向づけて固定化することを可能にする機能について説明する。本願の発明者らは、異種のシステムにおいて、ヒト、哺乳類、菌類、植物又は微生物の、可溶して発現し、折り畳まれたタンパク質のライブラリーの作成を非常に容易にする、新規な、今まで報告されていないBCCPの機能について説明する。i)N末端又はC末端に融合したBCCPは融合パートナーの折り畳みの水準を改善する 組み換えタンパク質の溶解性を決定する因子は不明なところが多く、そのため、組み換えタンパク質の溶解性及び発現増大の合理的なデザインは限られた範囲でのみ可能である。しかしながら、良く発現される可溶タンパク質をタンパク質のN末端に融合することによって、ORFのみで発現したものと比べて両性質を大幅に向上することができる。例として、MBP、GST及びチオレドキシン(thioredoxin,Trx,109aa;Novagen)が挙げられる。考えられる作用機構は、未完成のポリペプチドにシャペロンが補充されることであると考えられ、シャペロンを共に過剰発現することによって、可溶タンパク質の収量を増加させることができる。次に、いくつかの融合タンパク質を、その融合タンパク質ドメイン(例えば、MBPの場合はアミロース樹脂、GSTの場合はグルタチオン樹脂)によって精製することができる。Trxタグは、タンパク質精製に用いられていないが、多くの標的タンパク質の溶解性を向上することができ、E. coli trx B変異体の細胞質においてジスルフィド結合の形成を触媒するように思われる。 本発明者らは、タンパク質のN末端又はC末端にBCCPを加えると、融合タンパク質の溶解性が増加し、少なくともN末端に加えた場合、(BCCPタグもコードするように改変していないライブラリーと比較して)コードするタンパク質を発現するライブラリーにおけるクローンの比率を増加させることを見出した。さらに、BCCPドメインは生体内でビオチン化される。これは、タンパク質アレイの製造のためにタンパク質精製を多様化しようと試みる際に、ストレプトアビジンの表面によって示される高親和性及び高特異性によって、細胞の溶解物からタンパク質を同時に精製し、単一工程で固定化することができるので特に有用である。本発明者らは、この同時の精製及び固定化を“表面での捕捉”と称する。ii)N末端又はC末端に融合したBCCPによって、融合パートナーの折り畳みを観測することが可能になる レポータータンパク質(検定可能な活性を持つ)をパートナータンパク質のC末端上に融合すると、該パートナーの折り畳みを観測することが可能となることが既に示されている。本技術分野で既知であるレポーターシステムの有名な例では、緑色蛍光タンパク質(green fluorescent protein,GFP)、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ(chloramphenicol acetyl transferase,CAT),β−ガラクトシダーゼ及びβ−ガラクトシダーゼのα相補性が利用されている。 本発明者らは、タンパク質のN末端又はC末端にBCCPを加えることによって、融合タンパク質の折り畳みを、生体内でのビオチン化の程度を測定することによって観測することが可能になることを見出した。これは、標準のブロット方法によって測定することができ、SDS-PAGE又はin situコロニー溶解を用い、サンプルを膜に移し、その後、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼなどのストレプトアビジン抱合体を用いてビオチン化タンパク質を検出する。重要なことに、ビオチンをBCCPドメインに加えると、上記のように表面での捕捉によって精製することが可能になる。 したがって、第一の態様において、本発明は、ビオチン化ドメインを含むタグ部分を所定のタンパク質のN末端又はC末端に付着させることによって、前記所定のタンパク質の溶解性を増大させるために、前記タグ部分を使用する方法を提供する。 本明細書で明らかにされるビオチン化ドメインを含むタグ部分は、ビオチン化が可能であるか、又はビオチン基を付着させることができるタンパク質又はタンパク質ドメインを含むアミノ酸配列である。本発明の第1の態様によれば、前記タグは、所定のタンパク質に付着したタグとして発現する宿主細胞の細胞質に非常に可溶である。 基本的に、本発明のビオチン化ドメインは、二次構造及び三次構造を有し、かつ生体内で翻訳後にビオチン化されるタンパク質又はタンパク質ドメインである。一般的に、タンパク質又はタンパク質ドメインの二次構造及び三次構造は認識に不可欠であり、それ故に、タグの発現を生じる宿主細胞のビオチンリガーゼによるビオチン化に不可欠である。 前記タグのビオチン化ドメインは、E. coliのBCCP(アセチルCoAカルボキシラーゼ(Acetyl-CoA Carboxylase,ACCB)のビオチンカルボキシル担体タンパク質 − Swiss-Plotデータベース・アクセッションNo.P02905)の配列を含むのが好ましく、その核酸配列及びアミノ酸配列は下記の通りである。BCCPドメイン:核酸gcagcagcggaaatcagtggtcacatcgtacgttccccgatggttggtactttcta ccgcaccccaagcccggacgcaaaagcgttcatcgaagtgggtcagaaagtcaacg tgggcgataccctgtgcatcgttgaagccatgaaaatgatgaaccagatcgaagcg gacaaatccggtaccgtgaaagcaattctggtcgaaagtggacaaccggtagaatt tgacgagccgctggtcgtcatcgagtaaアミノ酸:AAAEISGHIVRSPMVGTFYRTPSPDAKAFIEVGQKVNVGDTLCIVEAMKMMNQIEA DKSGTVKAILVESGQPVEFDEPLVVIE- 別の方法として、本技術分野で既知であるBCCPをコードする他の配列を本発明のビオチンドメインとして使用することができ、例えば、下記のSwiss-Plotデータベース由来の他のBCCPタンパク質がある:BCCA MYCLE (P46392) アセチル−/プロピオニル−補酵素Aカルボキシラーゼα鎖(Acetyl-/propionyl-coenzyme A carboxylase alpha chain) [含有: ビオチンカルボキシラーゼ(Biotin carboxylase) (EC 6.3. 4.14); ビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein,BCCP)]. {GENE: BCCA OR ML0726 OR B1308_C1_129}-Mycobacterium lepraeBCCA MYCTU (P46401) アセチル−/プロピオニル−補酵素Aカルボキシラーゼα鎖(Acetyl-/propionyl-coenzyme A carboxylase alpha chain) [含有: ビオチンカルボキシラーゼ(Biotin carboxylase) (EC 6.3. 4.14); ビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein,BCCP)]. {GENE: ACCA1 OR BCCA OR RV2501C OR MT2576 OR MTCY07A7.07C}- Mycobacterium tuberculosisBCCP ANASP (Q06881) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,BCCP). {GENE: ACCB}-Anabaena sp. (株PCC 7120)BCCP ARATH (Q42533) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質,葉緑体前駆体(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,chloroplast precursor (BCCP)). {GENE: CAC 1 OR BCCP1 OR AT5G16390 OR MQK4.12}-Arabidopsis thaliana (Mouse-ear cress)BCCP BACSU (P49786) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,BCCP). {GENE: ACCB OR FABE}-Bacillus subtilisBCCP CHLMU (Q9PKR5) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,BCCP). {GENE: ACCB OR TC0399}-Chlamydia muridarumBCCP CHLPN (Q9Z901) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,BCCP). {GENE: ACCB OR CPN0183 OR CP0585}-Chlamydia pneumoniae (Chlamydophila pneumoniae) BCCP CHLTR (084125) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,BCCP). {GENE: ACCB or CT123}-Chlamydia trachomatisBCCP CYACA (019918) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,BCCP). {GENE: ACCB}-Cyanidium caldarium [葉緑体]BCCP ECOLI (P02905) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,BCCP). {GENE: ACCB OR FABE OR B3255 OR Z4615 OR ECS4127}-Escherichia coli, Escherichia coli O157: H7BCCP HAEIN (P43874) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,BCCP). {GENE: ACCB OR FABE OR HI0971}-Haemophilus influenzaeBCCP LYCES (P05115) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,BCCP)(断片). -Lycopersicon esculentum (トマト) BCCP PORPU (P51283) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,BCCP). {GENE: ACCB}-Porphyra purpurea [葉緑体]BCCP PROFR (P02904) メチルマロニル−CoAカルボキシルトランスフェラーゼ(トランスカルボキシラーゼ,1.3Sサブユニット)のビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of methylmalonyl-CoA carboxyl-transferase (Transcarboxylase, 1.3S subunit)). -Propionibacterium freudenreichii shermaniiBCCP PSEAE (P37799) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,BCCP). {GENE: ACCB OR FABE OR PA4847}-Pseudomonas aeruginosaBCCP SOYBN (Q42783) アセチル−CoAカルボキシラーゼのビオチンカルボキシル担体タンパク質,葉緑体前駆体(Biotin carboxyl carrier protein of acetyl-CoA carboxylase,chloroplast precursor (BCCP)). {GENE: ACCB-1}-Glycine max (Soybean) BCCP STRMU (P29337) ビオチンカルボキシル担体タンパク質(Biotin carboxyl carrier protein,BCCP). -Streptococcus mutans 人工の配列によってコードされる又は該配列を含むビオチン化ドメインも本発明の範囲内に含まれ、例えば、1又はそれ以上のアミノ酸を同類置換によって変更する。そのような配列は、本技術分野で既知の方法によって、上記のBCCP配列から合理的に設計するか、又は得ることができる。これらの配列は、人工の配列がビオチンリガーゼ酵素によって認識され、かつビオチン化されることを可能にする二次構造及び三次構造を有することが不可欠である。 第2の態様では、本発明は、ビオチン化ドメインを含むタグ部分を所定のタンパク質のN末端又はC末端に付着させることによって、前記所定のタンパク質の折り畳まれた状態を決定するために、前記タグ部分を使用する方法を提供する。 この第2の態様では、本明細書で明らかにされるビオチン化ドメインを含むタグ部分は、ビオチン化酵素、例えば、発現が生じる宿主細胞で発現したビオチンリガーゼ、又は外から投与した、例えば、細胞のない抽出物内のビオチン化タンパク質に使用するビオチンリガーゼによって条件付きでビオチン化されるタンパク質又はタンパク質ドメインである。基本的には、前記ドメインは、直線の、誤って折り畳まれた状態の又は凝集した状態のドメイン、例えば、封入体のドメインをビオチン化しないような酵素によって、該ドメインの折り畳み構造の認識を通じてのみビオチン化することができる。前記タグの折り畳み、及びその後のビオチン化は、N末端のタンパク質からC末端のタグまでの正確な折り畳みと、その逆に、C末端のタンパク質からN末端のタグまでの正確な折り畳みにも左右される。 第3の態様では、本発明は、宿主細胞で発現した際に所定のタンパク質の溶解性を増大させる方法を提供し、該方法は:a) ビオチン化ドメインを含むタグ部分をコードする第1の核酸分子を、前記所定のタンパク質をコードする第2の核酸分子に付着させて、結合した第1と第2の核酸分子の発現産物における前記タグ部分が、前記所定のタンパク質のN末端又はC末端に位置した前記タグ部分を含むようなコンストラクトを形成する工程と、b) 前記コンストラクトを宿主細胞内で発現する工程を含む。 第4の態様では、本発明は、所定のタンパク質の折り畳み状態を決定する方法を提供し、該方法は:a) ビオチン化ドメインを含むタグ部分をコードする第1の核酸分子を、前記所定のタンパク質をコードする第2の核酸分子に付着させて、結合した第1と第2の核酸分子の発現産物における前記タグ部分が、前記所定のタンパク質のN末端又はC末端に位置するようなコンストラクトを形成する工程と、b) 前記タグ部分に存在する正確に折り畳まれたビオチン化ドメインのみビオチンと結合しているような状態で、前記コンストラクトを宿主細胞内で発現する工程と、c) 前記タグ部分を含む前記所定のタンパク質の折り畳み状態を、前記コンストラクトから発現したタンパク質にビオチン基が存在するか、又は存在しないかによって決定する工程を含む。 本発明の第1の態様及び第2の態様である使用方法、及び本発明の第3の態様及び第4の態様である方法は、1種以上の所定のタンパク質について、多様な様式で実施することが好ましい。例えば、所定のタンパク質は、2種以上の種々のコード配列を含むライブラリーの一部を形成する核酸分子によってコードされ、任意には、前記種々のコード配列はタグ部分を含むように改変され、同時に発現する。 したがって、第5の態様において、本発明は、所定のタンパク質をコードする核酸分子のライブラリーを提供し、各コード配列は改変されて、コードされるタンパク質のN末端又はC末端に、ビオチン化ドメインを含むタグ部分が組み込まれている。そのようなライブラリーは、本技術分野で既知の技術を用いて生成してもよい。国際公開第01/57198号に記載されているCOVET方法論を用いて有効に生成することができる。 従って、第6の態様において、本発明は、本発明の第3及び第4の態様の方法から生産した、又は本発明の第5の態様であるライブラリーから発現したタンパク質のライブラリーを提供する。そのようなライブラリーを、固体の基材上に、例えば、ライブラリーのタンパク質上にあるBCCPタグによるストレプトアビジン−ビオチン結合を介して、例えば該基材に固定化することによって、配列してもよい。 本発明者らは、ライブラリーにおける所定の遺伝子の5'に、かつ該遺伝子とインフレームでBCCPタグをコードするDNAを添加することには、同じタンパク質をコードするが、BCCPタグをコードする配列を欠くライブラリーと比べて、ライブラリーから発現される所定のコードされるタンパク質の数を大幅に増加させる効果があることも見出した。“タグを付した”ライブラリーと“タグを付していない”ライブラリーのそのような相対的な発現の差異を、本技術分野で既知であるウェスタンブロット技術を用いて定性的に検出するか、又は測定することができる。 従って、第7の態様において、本発明は、各クローンにおける所定のタンパク質をコードする遺伝子の5'に、かつ該遺伝子とインフレームで、ビオチン化ドメインを含むタグをコードする核酸分子を付着させることによって、例えば、従来のウェスタンブロットで測定される検出可能な水準で、前記各クローンによってコードされる前記所定のタンパク質を発現するライブラリーにおける前記クローンの比率を増加させるために、前記タグ部分をコードする核酸分子を使用する方法を提供する。 したがって、第8の態様において、本発明は、宿主細胞において、各クローンによってコードされる所定のタンパク質を検出可能な水準で発現するライブラリーにおける前記クローンの比率を増加させる方法を提供し、該方法は:a)前記ライブラリーのクローン・メンバーにおいて、前記所定のタンパク質をコードする第二の核酸分子の5'に、かつ該核酸分子とインフレームで、ビオチン化ドメインを含むタグ部分をコードする第1の核酸分子を付着させて、結合した第1と第2の核酸分子の発現産物におけるタグ部分が、前記所定のタンパク質のN末端にある前記タグ部分を含むようなコンストラクトを形成する工程と、b)前記コンストラクトを宿主細胞内で発現する工程を含む。 本発明の各態様の好ましい形態は、必要な変更を加えて、態様ごとに明らかにしたとおりであるが、必要な変更を加えてもよい。 本発明のタグ、方法及びライブラリーは、配列のライブラリーによってコードされるタンパク質を並行して発現し、精製/固定化する(所定のタンパク質を可溶化し、精製する通常の方法による)ことを容易にするのに特に適しているが、本発明は、本技術分野で既知である他の方法論に適用することもできる。例えば、本発明によるN末端の又はC末端のタグ(例えばBCCP)を用いて、・ワクチンの製造・治療用タンパク質の製造・モノクロナール又はポリクロナール抗体の生成に用いる抗原の製造、モノクロナール抗体又は単鎖抗体の製造・酵素の製造・細胞のタンパク質−タンパク質相互作用の地図を作成すること、すなわち“インタラクトーム”による薬剤ターゲットの開発・スクリーニング用のキナーゼ、ホスファターゼ、細胞受容体もしくはプロテアーゼがあるがこれらに限られないタンパク質薬剤ターゲットの生成による薬剤ターゲットの検証、酵素及び/又は毒物学研究、及びそのほかの生化学分析において、タンパク質の発現と溶解性の両方を増大させることができる。 本発明を、添付した図を参照しながら下記の実施例を用いてさらに詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を限定するものではない。 図1は、ストレプトアビジン−HRP抱合体をプローブとして用いたコロニーのウェスタンのデータを示す。緑色の蛍光を発するGFP-BCCPをインフレームに発現するクローンもビオチン化された。1番下の行は、pMSC301(プラスミド内にbccp遺伝子配列がない)を宿すクローンであり、得られたシグナルは、内生のビオチン化AccBのバックグラウンドのシグナルである。下から2番目の行は、pMSC302(accBを過剰発現する)を宿すクローンである。他のネガティブ・クローン(フレーム外での融合物又は再びライゲーションしたベクター)は、緑色の蛍光を発さず、ビオチン化されなかった。 図2は、ストレプトアビジン−HRP抱合体をプローブとして用いたコロニーのウェスタンのデータを示す。緑色の蛍光を発するGST-GFP-BCCPをインフレームに発現するクローンもビオチン化された。GST-BCCPタンパク質も、ビオチン化ポジティブのシグナルとして示された。ネガティブ・コントロールは、pMSC301(プラスミド内にbccp遺伝子配列がない)を宿すクローンであり、得られたシグナルは、内生のビオチン化AccBのバックグラウンドのシグナルである。ポジティブ・コントロールは、pMSC302(accBを過剰発現する)を宿すクローンである。他のネガティブ・クローン(フレーム外での融合物又は再びライゲーションしたベクター)は、緑色の蛍光を発さず、ビオチン化されなかった。 図3は、GFP-BCCPを発現する細胞由来のタンパク質抽出物のウェスタンブロット分析を示す。約37kDaにおいて得られたシグナルは、GFP-BCCPの予想されるMrであった。18kDaで見られた別のシグナルは、内生のビオチン化AccBタンパク質のものであり、GFP-BCCPのネガティブ・レーンにおいても見られた。予想通り、組み換えビオチン化タンパク質が全く発現していない場合、18kDaのシグナルがより強かった。 レーン1、2及び3:pGFP-BCCPを宿し、無傷のGFP-BCCPタンパク質を発現するクローン由来のタンパク質抽出物。 レーン4、5及び6:pMSC301A、B及びCをそれぞれ宿し、実験においてネガティブ・コントロールとして用いたクローン由来のタンパク質抽出物。 図4は、GST-GFP-BCCP及びGST-BCCPを発現する細胞由来のタンパク質抽出物のウェスタンブロット分析を示す。予想されるMrのビオチン化タンパク質が観察された(GST-GFP-BCCPでは63kDa、GST-BCCPでは37kDa)。すべてのレーンに、内生のAccBについての18kDaのシグナルがあった。 レーン1、2及び4は、GST-GFP-BCCPを発現する細胞由来のタンパク質抽出物である。 レーン3は、GFP-BCCPを、本実験においてポジティブ・コントロールとして発現する細胞由来のタンパク質抽出物である。 レーン5及び6:pMSC301A及びBを、ブロットにおけるネガティブ・コントロールとして宿すクローン由来のタンパク質抽出物。 レーン7及び8:GST-BCCPを発現する細胞由来のタンパク質抽出物。 図5は、ストレプトアビジン−HRPを、融合タンパク質におけるBCCPのビオチン化に関するプローブとして用いたコロニーのウェスタンブロットを示す。365nmの波長で励起させた際に緑色の蛍光を発するように特徴付けたクローンもすべてビオチン化した(バックグラウンドを超える陽性シグナル)。陽性シグナルの強度は様々であり、緑の表現型を表す。ストレプトアビジン−HRP抱合体を用いて検出の感度を増大させ、いくつかのクローンをさらに得た。 図6は、AviタグのベクターであるpQE82L-GFP-ビオチンにクローニングしたヒト遺伝子のセットのタンパク質の発現結果を示す。単一のアンピシリン耐性コロニーを用いて、100μg/mlのアンピシリンを含む1mlのLB培地(LB-Amp)に接種し、37℃で一晩、振盪培養した。翌日、1:100の希釈溶液を新鮮なLB-Ampで作成し、細胞を、37℃で、OD600が0.6〜1.0になるまで培養した。次に、IPTGを、最終濃度が1mMになるように添加し、30℃で4時間、培養を続けた。次に、10μlの細胞培養液を取り、4〜20%のSDS-PAGEのウェスタンブロットで分析し、HRP結合ストレプトアビジンで探索した。各レーンについてラベルしたナンバーは、表1のB#を指す。分子量マーカーは:アプロチン(7.6kDa)、リゾチーム(18.4kDa)、大豆トリプシンインヒビター(32.5kDa)、炭酸脱水素酵素(47.5kDa)、BSA(78kDA)、B−ガラクトシダーゼ(132kDa)及びミオシン(216kDa)である。 図7は、BCCP発現ベクターであるpMD004にクローニングしたヒト遺伝子のセットのタンパク質の発現結果を示す。単一のアンピシリン耐性コロニーを用いて、100μg/mlのアンピシリンを含む1mlのLB培地(LB-Amp)に接種し、37℃で一晩、振盪培養した。翌日、1:100の希釈溶液を新鮮なLB-Ampで作成し、細胞を、37℃で、OD600が0.6〜1.0になるまで培養した。次に、IPTGを、最終濃度が1mMになるように添加し、30℃で4時間、培養を続けた。次に、10μlの細胞培養液を取り、4〜20%のSDS-PAGEのウェスタンブロットで分析し、HRP結合ストレプトアビジンで探索した。各レーンについてラベルしたナンバーは、表1及び2のB#を指す。分子量マーカーは:アプロチン(7.6kDa)、リゾチーム(18.4kDa)、大豆トリプシンインヒビター(32.5kDa)、炭酸脱水素酵素(47.5kDa)、BSA(78kDA)、B−ガラクトシダーゼ(132kDa)及びミオシン(216kDa)である。 図8は、pMD002及びpMD004のプラスミド地図を示す。 図9は、pIFM101A/B/Cのプラスミド地図を示す。 図10は、プラスミドpIFM101Aのクローニングサイトを示す。 図11は、プラスミドpIFM101Bのクローニングサイトを示す。 図12は、プラスミドpIFM101Cのクローニングサイトを示す。タンパク質折り畳みマーカーとしてのBCCPの使用方法:1.E.coliのK12株由来ビオチンカルボキシル担体タンパク質(アセチル−CoAカルボキシラーゼのC末端ドメイン)の単離 アセチル−CoAカルボキシラーゼの全コード領域をコードするDNA配列を、下記の遺伝子特異的プライマーを用いて、XL1-Blue(Stratagene)細胞のゲノムDNAからPCRによって増幅した。accbfor1:5' GATGGATCCGATATTCGTAAGATTAAAAAACTGATCG 3'(5'末端にBamHI部位を有する)bccprev1:5' GATGAGCTCAAGCTTTTACTCGATGACGACCAGCGGCTCGTC 3'(SacI及びHindIII部位を含む) Pwoポリメラーゼ(Roche)を用いて、標準サイクル条件(94℃ 5分;94℃ 30秒;64℃ 1分;72℃ 1分;30サイクル;72℃ 5分)でPCR増幅を行った。 PCR増幅した遺伝子配列を、E. coli発現ベクターであるpQE-80(Qiagen)のBamHI及びSacI部位に、N末端のヘキサヒスチジンタグとインフレームでクローニングして、pMSC302プラスミドを形成した。遺伝子配列が同一であることを、制限地図の作成及びDNAの配列決定によって確認した。ビオチンカルボキシル担体タンパク質として既知であるAccBのC末端のドメインに相当するDNA配列を、上記と同様のリバース・プライマーと、新しいフォワード・プライマーを用いて、PCRによって増幅した。bccpfor1 : 5'GATCTGCAGGGCTCCGCAGCAGCGGAAATCAGTGGTCACATCG 3'(クローニングのためにPstI部位と、グリシン及びセリンの2個の余分なコドンを含む)2.ベクターの構築: pQE-80ベクターを、ヘキサヒスチジンタグのDNA配列を削除し、クローニング部位(NotI及びSfiI)をさらに加え、3種の異なる、出発点のATGからのリーディング・フレーム(pMSC301A/B/C)を有するように再び設計した。このことは、下記のプライマーのセットを用いて逆PCRによって行った。前記プライマーのセットは、Aのリーディング・フレームでは、pQErev1: 5' PCATAGTTAATTTCTCCTCTTTAATGAATTCTG 3'と、pQEfwd1: 5' GCGGCCGCGGCCATTACGGCCGGATCCGCATGCGAGCTCGG TACCCCC 3'、Bのリーディング・フレームでは、pQErev1と、pQEfwd2: 5' G + pQEfwd1、Cのリーディング・フレームでは、pQErev1と、pQEfwd3: 5' GC + pQEfwd1である。PCRを、Pwoポリメラーゼを用いて行った(94℃ 2分;94℃ 30秒;63.5℃ 1分;72℃ 6分;25サイクル;72℃ 10分)。 bccp遺伝子配列を、pMSC301 A、B及びCベクターのPstI-HindIII部位にクローニングして、pMSC301A,B,C/BCCPを生成した。 GFPuv(Clontech)をコードするDNA配列を、下記のプライマーのセットを用いてPCRによって増幅した。前記プライマーのセットは、pQEGFPfor1: 5' GGGCCGGTGGCAGCGCGAGTAAAGGAG AAGAACTTTTCACTGG 3' (SmaI部位の半分とリンカー領域を有する)及びpQEGFPrev1: 5' GATCTGCAGGGTACCGGATCCTTTGTAGAGCTCATCCATGCC 3' (PstI、Kpn I及びBam HI部位を有する)である。 PCR増幅産物を、BCCPのN末端をコードするDNA配列とインフレームでpMSC301A,B及びC/BCCPのSmaI-PstI部位にクローニングして(GFP-BCCP)、pMSC303A、B及びCベクターを生成した。 プラスミドコンストラクトのpMSC303BをNotIで制限し、れじれ型の末端を、T4ポリメラーゼ(NEB)の反応を果たすことによって平滑末端化し、SmaIで制限し、再びライゲーションした(プラスミドをpGFP-BCCPと呼ぶ)。 pMSC301A/BCCPベクター及びpMSC303AベクターをNotIで制限し、T4 DNAポリメラーゼを用いてオーバーハングを平滑末端化し、SmaIで制限し、これらのベクターを用いて、pGST-BCCP及びpGST-GFP-BCCPのプラスミドコンストラクトをそれぞれ形成する、GSTをコードするDNA断片をクローニングした。前記GSTをコードするDNA配列を、下記のプライマーと、鋳型としてpGEX-2T(Pharmacia)を用いてPCRによって増幅した。前記プライマーは、GSTfwd01:5' TCCCCTATACTAGGTTATTGG 3'と、GSTrevexoN: 5' GGGCGTCACGA TGAATTCCCGGG 3'である。 pMSC303A、B及びCベクターのNotI及びSfiIクローニングサイトを、SfiIオーバーハング適合制限部位であるDraIIIへと置換して、pIFM101A、B及びCベクターを生成した。これを、下記のプライマーを用いて、逆PCRによって行った。前記プライマーは、DrafwdA : 5' CACTTAGTGGGATCCGCATGCGAGCTCGGTACCCC 3'、及びDrafwdB: 5' G + DrafwdA、及びDrafwdC: GA + DrafwdAである。使用したリバース・プライマーは、先に記載したpQErev1である。使用したPCRの条件は、前記と同様である。 ヒト心臓cDNA(Clontech)の3'末端で陥凹した入れ子状態の欠失(nester deletion)のセット(Clontech)を、pIFM101A、B及びCベクターのDraIII-SmaI部位にクローニングして、pX-GFP-BCCPプラスミドを形成した。 研究に使用した全てのコンストラクトの正確なDNA配列を、配列決定することによって確認した。3.ヒト心臓cDNAの入れ子状態の欠失(nester deletion、3'末端で陥凹)の生成 COVET方法論を使用して、英国特許出願番号第0020357.0号、米国特許出願番号第60/247995号及び国際公開第01/57198号の対象である欠失のセットを生成した。以下に簡単に述べる。〜100ngの鋳型のプラスミドライブラリー(ClontechのpDNR-LIBにおけるヒト心臓cDNAライブラリー)を、下記のベクターに特異的なプライマーを用いてPCRで増幅して、α−ホスホチオエートdTTP(α-S-dTTP;Amercham)を好ましくは組み込んだ。前記プライマーは、SP5forward: 5' ATGCTCATGAGGCCGGCCGGGAATTC GGCCATTACG GCCGG 3'(FseI及びSfiI部位を有する)、及びSP3reverse: 5' GTCTAGAAAGCTTCTCGAGGGCCG 3'である。50pmolの各プライマー、2.5ユニットの熱安定性ポリメラーゼ(3'−5'エキソヌクレアーゼ活性を欠いたもの、例えばTaqポリメラーゼ)、標準緩衝液及びデオキシヌクレオチド三リン酸混合物:200μMのdATP、200μMのdGTP、200μMのdCTP、100μMのdTTP、100μMのα-S-dTTPを用いてPCR反応を行った。PCR増幅産物を、QIAquick PCR cleanup kit(Qiagen)を用いて精製し、FseIで消化して、dsDNAの5'末端を後のエキソヌクレアーゼIII(NEB)による加水分解から保護する3'核酸オーバーハングを生成した。エキソヌクレアーゼIIIによる消化を、標準条件を用いて行い、ホスホチオエートの核酸間の結合を存在させることで、これ以上加水分解しないようにした。これによって、入れ子状態の(nested)センス鎖の3'欠失のセットを生成した。グリーン・ビーンズ・ヌクレアーゼ(New England Biolabs)を用いて、アンチセンス鎖からssDNAを除去し、それによって、SfiIでさらに消化した後の方向性があるクローニングに備えてdsDNAを平滑末端化した。アガロースゲル電気泳動によってサイズ分画した後、これらの挿入物を、pIFM101A、B及びCベクターのDraIII及びSmaI部位にクローニングした。次に、ライゲーションした産物を用いて、XL1-Blue細胞(Stratagene)を形質転換した。4.融合タンパク質の発現 XL1-Blue又はXL10-Gold(Stratagene)のE.coli株を宿主細胞として用い、種々のプラスミドコンストラクトを用いて形質転換した(エレクトロポレーション又は化学的方法で)。形質転換混合物を、適切に希釈して、100μg/mlのカルベニシリンを含むLB寒天上に置いたニトロセルロース膜上に蒔いた。30℃で一晩インキュベートした後、400μMのIPTG及びカルベニシリンを含むLB-Agar上へ膜を移し、さらに4〜5時間、30℃でインキュベートした。クローンのGFP活性を、紫外線トランスイルミネーターの365nmの波長で可視化することによって評価した。ビオチン化BCCP又はGFPを検出するために膜を処理した。タンパク質をウェスタンブロットによって分析するために、培養物を、対数期の中間部(600nmにおける光学濃度が0.5〜0.6)で、培養物に400μMのIPTGを添加することによって誘導し、細胞の培養を、30℃で、さらに3〜4時間継続した。誘導期の終わりに、細胞を回収し、タンパク質を、10〜20%のグラジエントのSDSゲル(Invitrogen)上で分離し、ニトロセルロース膜上にブロットし、種々の抗体又はストレプトアビジンで探索した。5.ビオチン化BCCPの検出 ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ(horseradish peroxidase,HRP)抱合体(Amersham)を用いて、コロニーのブロット(上記の)又は本技術分野で既知であるウェスタンブロット上で探索することによって、BCCPのビオチン化を検出した。 カルベニシリンを含むLB寒天プレート上に置いたニトロセルロース膜(Amersham)上に、ロボットを利用してクローンのグリッドを入れるか、又は形質転換混合物を蒔いた。30℃で一晩インキュベートした後、カルベニシリンとIPTG(400μM)を含む新鮮なLB寒天プレート上へ膜を置いた。プレートを、30℃で、さらに4〜5時間インキュベートした。膜上のコロニーをアルカリで溶解し、プローブを添加する前に、膜をブロックした。最初に、膜を、2枚のWhatmann 3濾紙上に置き、0.5(M)NaOH、1.5(M)NaClで10分間予浸した。膜を、Whatmann 3濾紙上に置き、1(M)Tris HCL pH7.5、1.5(M)NaClで5分間、2回浸すことによって、中和した。次に、膜を、Whatmann 3濾紙上に移し、1%SDSを含むPBS-T(0.1%)で10分間湿らせた。次に、膜を、PBS-Tで完全に洗浄し、細胞の残骸がすべて除去されているようにした。そのとき、ブロットは、ウェスタンブロットと同様の方法で処理できる状態にある。 ストレプトアビジン−HRP抱合体を、1:4000の比率で希釈して使用し、シグナルを、AmershamのECLシステムを用いて、化学発光によって検出した。6.GFP活性の検出 GFPの緑色蛍光を、トランスイルミネーターを用いて365nmの波長でコロニーを励起させることによって可視化した。7.GSTの検出 抗GSTモノクロナール抗体(Sigma)を免疫プローブ(immunoprobe)として用いて、GSTの発現を検出した。抗体を1:3000の比率で希釈して用い、免疫反応シグナルを、AmershamのECLシステムを用いて検出した。結果GFP活性とBCCPのビオチン化の絶対的な相関関係 図1及び2は、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼをプローブとして用いたコロニーのウェスタンのデータを示す。GST-GFP-BCCP、GST-BCCP及びGFP-BCCPの正確なインフレームでの融合物のみ、内生のビオチン化AccB由来の全体的なバックグランドを有意に超える強い陽性シグナルを与えた。用いたクローニング戦略から生じたフレーム外の融合物は、陽性シグナルを生じなかった。ビオチン化融合タンパク質(GST-GFP-BCCP及びGFP-BCCP)のみ、すべて365nmで励起させた際に緑色の蛍光を発した。蛍光は、融合タンパク質が正確に折り畳まれていることを示し、この結果によって、C末端の融合パートナーとしてBCCPを有する正確に折り畳まれたタンパク質は、ビオチンタンパク質リガーゼ(biotin protein ligase,BPL)の活性のある基質であることが示された。図3及び4は、ビオチン化タンパク質が予想される分子量のものであり、無傷で、かつタンパク質分解されていないタンパク質が確認されたことを示す。 一群のタンパク質のより包括的な研究 ヒト心臓cDNAを、ORFの終止コドンを除去するために、エキソヌクレアーゼIII(NEB)で制御して消化することによって3'末端で陥凹させた。次に、この3'の入れ子状態の欠失(nested deletion)のセットを、pIFM101A、B及びCベクター(図9〜12参照)にクローニングした。生じたGFP-BCCPとの融合物のライブラリーは、インフレーム又はフレーム外のものであった。インフレームの融合タンパク質は、正確に折り畳まれた可溶タンパク質として発現した状態では、365nmの紫外光の下で緑色の蛍光を発し(GFPは視覚的な折り畳みマーカーである)、ビオチン化もされていた。図5は、ストレプトアビジン−西洋ワサビペルオキシダーゼ抱合体で探索したコロニーのウェスタンブロットを示す。ポジティブ・ヒット(positive hit、バックグラウンドを有意に超えたもの)は、365nmで可視化したとき緑であると特徴付けられたものである。36個中4個のみビオチン化されたが、視覚的に緑でなかった。これは、BCCPのビオチン化に用いた検出方法が、緑色蛍光の視覚的な検出より感受性が高いという事実による。 本実験において、多くの融合タンパク質がGFP-BCCPとインフレームであったが、正確に折り畳まれておらず、かつ不溶である場合、緑色の蛍光を発しなかった。複合融合タンパク質のセットによるストレプトアビジン−HRPのウェスタンブロットデータ(図5)は、融合タンパク質が正確に折り畳まれており、かつ可溶である場合のみ、GFPの緑色蛍光によって評価されたように、融合タンパク質のBCCPドメインがビオチン化されたことを示す。これらの観察によって、融合タンパク質内のBCCPのビオチン化は、GFPの緑色蛍光であるように、折り畳みマーカーであることが示された。GFPは、正確な折り畳みの信頼できる指標であることが本技術分野で知られているので、ここでの結果は、BCCPのビオチン化も正確な折り畳みの信頼できる指標であることを示す。タンパク質溶解性エンハンサーとしてのBCCPの使用材料及び方法ベクター pQE82L-GFP-ビオチン及びpMD004プラスミド(図8)を標準技術(T. Maniatisら(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Manual. Cold Spring Harbor Press)によって構築し、その両方ともが、pQE82Lベクター(Qiagen)のバックボーンから成り、それぞれ、RGS-Hisタグに続いて“Aviタグ”配列又はBCCPタンパク質ドメインがあり、それに続いてマルチクローニングサイトがある。それらは、T5プロモーターを厳重に制御するためのlacIqリプレッサーをコードし、SmaIとNotIで切断した際に、GFP又はp53のスタッファー断片を放出して、5'−リン酸化平滑末端及び3'−NotI粘着末端を有する遺伝子クローニング挿入物に使用できるベクターを与える。遺伝子挿入産物 ヒトタンパク質ドメインを選択し、対応する遺伝子をcDNAライブラリーからPCR増幅した。5'−リン酸化フォワードプライマーは、該当する配列の最初の部分における最初の24bpから成り、全コドンから始まる。フォワードプライマーのいくつかは、G又はCを3'末端に組み込むためより長い。リバースプライマーは、リバースプライマーの鋳型(TGATAGAAGAGCGGCCGC)の最初の部分に付加される該当する配列の最後の24bp(必要であれば、G又はCを5'末端に組み込むためより長い)から成る。最終的なリバースプライマーは、これと逆の補体である。このプライマーによって、すべての融合タンパク質の終止コドンが定められ、それに続いて、上記のN末端にタグを付したベクターにクローニングするために、NotI部位がある。2種のcDNA鋳型を10ng/μlの最終濃度で混合した。これらは、a)ヒト心臓cDNAプラスミドライブラリー(Life Technologies)とb)HeLa細胞cDNAプラスミドライブラリー(Invitrogen)である。すべてのプライマーを、蒸留水で再構成し、100pmol/μlとした。主要な混合物を、鋳型(10ng)、硫酸マグネシウムを有するPWOポリメラーゼ緩衝液(最終濃度 1x)、dNTP(最終濃度5mM)、PWOポリメラーゼ(2.5ユニット)、ジメチルスルホキシド(最終濃度10%)及び蒸留水から調整し、反応当たりの最終的な容量を48μlとした。主要な混合物を、96ウェルのPCRプレート(Eppendorf)に等分し、1μlの各プライマーを氷上で添加した。条件は、下記の通りであり、94℃で3分間、次に94℃で30秒間、59℃で30秒間、72℃で2分間(32サイクル)、最後に72℃で7分間である。産物を、2%のアガロースゲル/TBE上でチェックし、Qiaquick PCR精製カラム(Qiagen)を用いて精製した。不純物のないdsDNAを、標準消化混合物においてNotIで消化し、再び浄化した。Hoescht 33258アッセイ クローニングに備えてdsDNAを定量化するために、関係ない、純粋なPCR産物の、1:1000の比率のHoescht色素(ストック1mg/ml)/1xTNE(Tris 10mM、EDTA 1mM、NaCl 0.2M、pH7.4)溶液の低い範囲の標準曲線を、80、40、20、10、5、2.5、1.25、0ng/100μlに設けた。1μlの各実験のPCR産物を、99μlの1:1000の比率のHoescht/TNE溶液に添加し、底が透明で、側面が黒い96ウェルのマイクロタイタープレート(Corning)内で混合し、蛍光を365/465nmで読み取った。標準曲線をプロットし、各‘挿入調整物'のdsDNA含量をng/μlとして計算した。pQE82L-GFP-ビオチン又はpMD004への挿入物のクローニング 挿入物を、ベクター調整物に、約3:1(挿入物:ベクター)のモル比でライゲーションした。96ウェルPCRプレート内で、rapid DNA ligation kit(Roche)を用いてライゲーションを行った。ライゲーションしたもの(各2μl)を用いて、プロトコールに従って、薄い壁の96ウェルPCRプレート内で、30μlのXL1-Gold Supercompetent cell(Stratagene)を形質転換した。熱ショックを与えた後、形質転換体を、96ウェルの深いウェルのブロック内で、300μlの予熱したSOC培地に添加し、37℃で45分間振盪した。各200μlを蒔き、37℃で一晩インキュベートした。約0.02pmolのベクターを、各ライゲーションに用いた。アンピシリン耐性クローンを、コロニーPCRによって分析して、正確な挿入サイズとポジティブクローンについてチェックし、これを発現のスクリーニングの前にした。タンパク質の発現 単一のアンピシリン耐性コロニーを用いて、100μg/mlのアンピシリンを含む1mLのLB培地(LB-Amp)に接種し、37℃で一晩振盪培養した。翌日、1:100の希釈溶液を新鮮なLB-Ampで作成し、細胞を、OD600が0.6〜1.0になるまで37℃で培養した。次に、IPTGを最終濃度が1mMとなるように添加し、培養を30℃で4時間継続した。次に、10μlの細胞培養物を取り、記載したとおりに、4〜20%のSDS-PAGEのウェスタンブロットで分析し、HRP結合ストレプトアビジンで探索した。結果と考察 BCCPドメインがタンパク質の折り畳みを補助することを証明するために、49のヒトタンパク質の定められたセットを、2種の異なるベクター、すなわちpQE82L-GFP-ビオチン又はpMD004(図8)のSmaI/NotI部位にクローニングした。これらのコンストラクトからタンパク質を発現すると、タンパク質は、pQE82L-GFP-ビオチンベクターの場合は、短い(19aa)N末端のペプチドタグ(ヘキサヒスチジン配列とその後に続く“Aviタグ”配列(www.avidity.com;米国特許第5,932,433)からなる)と共に、又はE.coliのBCCPタンパク質のC末端との融合物として(pMD004)発現した。表1に要約するように、タンパク質をBCCPタンパク質との融合物として発現した場合、可溶タンパク質の生産の成功率が非常に高かったことが認められた(図6及び7参照)。例えば、BCCPドメインがない状態で発現した場合、48%のクローンしか、81%が可溶であった発現を見ることができなかったのと比較して、BCCPドメインと融合した場合、98%のタンパク質が可溶して発現した。pMD004ベクターから発現したクローンの総数が、pQE82L-GFP-ビオチンからの発現と比べてより多かったという観察結果は、両コンストラクトのN末端の12アミノ酸が同一であるので、分解のためのプロテオソームへのターゲティングを決定するのにN末端におけるアミノ酸が重要である“N末端ルール”によって説明できそうにない。より適当な説明は、N末端のBCCPドメインと発現したコンストラクトは、下流のタンパク質のタンパク質折り畳みを補助し、誤って折り畳まれたタンパク質がプロテオソームへターゲティングされるのを妨げるというものである。このことは、pQE82L-GFP-ビオチンベクターからの発現と比較して、BCCPの下流部分を発現した場合、より多くのタンパク質が可溶した状態で発現したという観察結果によっても裏付けられる。BCCPが、下流のタンパク質ドメインの折り畳みを補助する機構は、シャペロンが補充されることによるか、又は融合タンパク質の可溶性が全体として増加することによるものである可能性が考えられる。 ここに示された結果は、BCCPドメインが、標的タンパク質とのN末端の融合物として該ドメインを発現した際に、可溶タンパク質を発現するクローンの総数を増加させることができることを強く示す。さらに、前記結果は、BCCPドメインが、所定のタンパク質の溶解性を増加させることができることを示す。発現融合物のビオチン化と溶解性との間に見られる密接な関係は、BCCPのビオチン化が、所定のタンパク質のN末端と融合した場合に、折り畳みマーカーとして働くことを示す。さらに、BCCPタンパク質のビオチン化される能力によって、ストレプトアビジンの表面上にタンパク質を捕捉する特異性が高い手段がもたらされる。表1 タンパク質発現の要約タンパク質を選択し、対応する遺伝子の挿入物を、pQE-GFP-ビオチン(ベクター1)又はBCCP pMD004(ベクター2)にクローニングし、ヘキサヒスチジン−Aviタグペプチド又はヘキサヒスチジン−BCCPタンパク質のいずれかのC末端と融合したものを生じさせた。両ベクターにクローニングした挿入物のみ、タンパク質発現の観点から比較した。表の記号表:1内部コード番号。2タンパク質データベースのアクセッション番号(www.oca.edi.au.uk)。3塩基対で表したDNA遺伝子の全長。4アミノ酸(aa)で表した、BCCPとの融合物として発現した場合のタンパク質の大きさ。5キロダルトン(kda)で表した、BCCPとの融合物として発現した場合のタンパク質の大きさ。6クローニングしたORFの領域(aa)。C−クローニングしたが、発現がない;H−SDS-PAGEウェスタンブロットにおいてヒスチジン・ポジティブのタンパク質を発現;B−SDS-PAGEウェスタンブロットにおいてビオチン・ポジティブのタンパク質を発現;S−可溶タンパク質を発現。図1は、ストレプトアビジン−HRP抱合体をプローブとして用いたコロニーのウェスタンのデータを示す図である。図2は、ストレプトアビジン−HRP抱合体をプローブとして用いたコロニーのウェスタンのデータを示す図である。図3は、GFP-BCCPを発現する細胞由来のタンパク質抽出物のウェスタンブロット分析を示す図である。図4は、GST-GFP-BCCP及びGST-BCCPを発現する細胞由来のタンパク質抽出物のウェスタンブロット分析を示す図である。図5は、ストレプトアビジン−HRPを、融合タンパク質におけるBCCPのビオチン化に関するプローブとして用いたコロニーのウェスタンブロットを示す図である。図6は、AviタグのベクターであるpQE82L-GFP-ビオチンにクローニングしたヒト遺伝子のセットのタンパク質の発現結果を示す図である。図7は、BCCP発現ベクターであるpMD004にクローニングしたヒト遺伝子のセットのタンパク質の発現結果を示す図である。図8は、pMD002及びpMD004のプラスミド地図を示す図である。図9は、pIFM101A/B/Cのプラスミド地図を示す図である。図10は、プラスミドpIFM101Aのクローニングサイトを示す図である。図11は、プラスミドpIFM101Bのクローニングサイトを示す図である。図12は、プラスミドpIFM101Cのクローニングサイトを示す図である。 ビオチン化ドメインを備えるタグ部分の使用であって、興味あるタンパク質の溶解性を、前記タグ部分を前記興味あるタンパク質のN末端またはC末端に付着させることによって増加させるための使用。 ビオチン化ドメインを備えるタグ部分の使用であって、興味あるタンパク質の折り畳み状態を、前記タグ部分を前記興味あるタンパク質のN末端またはC末端に付着させることによって定めるための使用。 ビオチン化ドメインを備えるタグ部分をコード化する核酸分子の使用であって、クローンの割合であり、各々の前記クローンによってコード化される興味あるタンパク質を検出可能なレベルで発現するライブラリーにおけるものを、前記タグをコード化する前記核酸分子の、前記興味あるタンパク質を前記各々のクローンにおいてコード化する遺伝子に対する5′への、およびそれとインフレームでの付着によって増加させるための使用。 興味あるタンパク質の溶解性を、宿主細胞において発現したときに増加させる方法であって、 a)ビオチン化ドメインを備えるタグ部分をコード化する第1の核酸分子を、前記興味あるタンパク質をコード化する第2の核酸分子に付着させて、組み合わせられた第1および第2の核酸分子の発現された生成物におけるタグ部分が、備えられ、前記興味あるタンパク質のN末端またはC末端に位置するような構築物を形成する工程、 b)前記構築物を宿主細胞において発現させる工程を具える、方法。 所定のタンパク質の折り畳み状態を定める方法であって、 a)ビオチン化ドメインを備えるタグ部分をコード化する第1の核酸分子を、前記興味あるタンパク質をコード化する第2の核酸分子に付着させ、組み合わせられた第1および第2の核酸分子の発現された生成物におけるタグ部分が、備えられ、前記興味あるタンパク質のN末端またはC末端に位置するような構築物を形成する工程、 b)前記タグ部分において存在する正確に折り畳まれたビオチン化ドメインだけがビオチンと連結するような条件下に、前記構築物を宿主細胞において発現させる工程、 c)前記タグ部分を備える前記興味あるタンパク質の折り畳み状態を、前記構築物から発現したタンパク質におけるビオチン基の存在または不存在によって定める工程を具える、方法。 クローンの割合で、各々の前記クローンによってコード化される興味あるタンパク質を宿主細胞において検出可能なレベルで発現するライブラリーにおけるものを増加させる方法であって、 a)ビオチン化ドメインを備えるタグ部分をコード化する第1の核酸分子を、前記ライブラリーのクローナルな一員において前記興味あるタンパク質をコード化する第2の核酸分子に対する5′への、およびそれとインフレームで付着させ、組み合わせられた第1および第2の核酸分子の発現生成物におけるタグ部分が、前記興味あるタンパク質のN末端に位置付けられる前記タグ部分を備えるような構築物を形成する工程、 b)前記構築物を宿主細胞において発現させる工程を具える、方法。 前記興味あるタンパク質は2つまたはそれよりも多くの異なるコード配列を備えるライブラリーの一部分を形成する核酸分子によってコード化されている、請求項1もしくは2記載の使用、または請求項4もしくは5記載の方法。 前記異なるコード配列は、前記タグ部分を含むように修飾され、および並行して発現される、請求項7記載の使用または方法。 興味あるタンパク質をコード化する核酸分子のライブラリーであって、各コード配列は、ビオチン化ドメインを備えるタグ部分が、コード化されたタンパク質のN末端またはC末端に組み込まれるように修飾される、ライブラリー。 可溶性の折り畳まれたタンパク質のライブラリーであって、請求項9記載のライブラリーから発現された、ライブラリー。 前記ビオチン化ドメインは、E. coli(エシェリキア・コリ)のBCCPである、請求項1〜8のいずれかに記載の使用または方法。 前記ビオチン化ドメインは、E. coli(エシェリキア・コリ)のBCCPである、請求項9または10記載のライブラリー。


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