タイトル: | 特許公報(B2)_皮膚を美白化するための化粧料的に許容され得る成分を含む組成物におけるプロテインキナーゼAを不活性化する化合物の使用 |
出願番号: | 2003561705 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 8/44,A61Q 19/02 |
ストルツ、コリンヌ ガルシア、クリスティーヌ JP 4074254 特許公報(B2) 20080201 2003561705 20030122 皮膚を美白化するための化粧料的に許容され得る成分を含む組成物におけるプロテインキナーゼAを不活性化する化合物の使用 ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック 398057293 SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC 鈴江 武彦 100058479 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 蔵田 昌俊 100108855 福原 淑弘 100109830 村松 貞男 100084618 橋本 良郎 100092196 ストルツ、コリンヌ ガルシア、クリスティーヌ FR 02/00925 20020125 20080409 A61K 8/44 20060101AFI20080319BHJP A61Q 19/02 20060101ALI20080319BHJP JPA61K8/44A61Q19/02 A61K 8/00-8/99 A61Q 1/00-99/00 CAplus(STN) REGISTRY(STN) 特開平06−157284(JP,A) 特開平08−053332(JP,A) 特開2002−167319(JP,A) A.Leydet et.al,Polyanion Inhibitors of Human Immunodeficiency Virus and Other Viruses. Part2 Polymerized Anionic Surfactants Derived from Amino Acids and Dipeptides.,J.Med.Chem.,米国,1996年,39,1626-1634 12 FR2003000210 20030122 WO2003061768 20030731 2005521658 20050721 27 20051122 ▲高▼岡 裕美 本発明は、皮膚を美白化するための化粧用活性剤の新規な使用に関する。 市販の色素脱失性化粧品配合物のほとんどは、コウジ酸、アルブチンまたはリン酸アスコルビルマグネシウムに基づいている。 本発明者らは、先行技術の色素脱失活性剤より皮膚によりすぐれた相容性を有する新規の色素脱失活性剤の開発に関心を持った。本発明者らは、プロテインキナーゼAを不活性化する分子が、酵素リン酸化チロシナーゼの阻害のみに起因するとこれまで考えられていた皮膚の色素脱失を生じさせることを立証した。 したがって、第1の側面によれば、本発明の主題は、皮膚を美白化する(lightening)ための化粧料的に許容され得る成分を含む組成物におけるプロテインキナーゼAを不活性化する化合物の使用である。 皮膚の美白化活性とプロテインキナーゼA(PKA)の不活性化との関係は、以下の生化学的機構により説明することができる。 プロテインキナーゼAの阻害は、チロシナーゼ酵素のリン酸化チロシナーゼへの変換の減少の結果としてチロシナーゼの活性の減少を誘導する。このチロシナーゼの活性化の減少は、メラニン合成の減少をもたらし、皮膚の色素脱失を生じさせる。 「プロテインキナーゼAを不活性化する化合物」と言う表現は、特に、アデノシン三リン酸および例えばヒストンH1のようなリン酸化されうるタンパク質の存在下でプロテインキナーゼAをインキュベートすることにより10%以上の阻害率で、特に25%以上、好ましくは50%以上の阻害率でそのリン酸化を阻害するいずれの化合物も表す。 特に本発明の主題は、皮膚を美白化するための化粧料的に許容され得る成分を含む組成物における式(I):(式中、R1 は、3個から30個までの炭素原子を含む飽和または不飽和の、直鎖または分枝鎖の脂肪酸の特徴鎖(characterizing chain)を表し、R2 は、アミノ酸の特徴鎖を表し、mは1ないし50である)の化合物もしくはその塩または式(I)の化合物もしくはその塩の混合物の使用である。 上記定義の式(I)の化合物は、遊離酸形態または部分的にもしくは全体的に塩にされた形態で存在し得る。式(I)の化合物が塩にされた形態であるとき、その塩は、特に、ナトリウム、カリウムまたはリチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウムまたはストロンチウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩または例えば(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウム塩のようなアミノアルコールの塩である。それはまた、二価の亜鉛もしくはマンガン塩、または三価の鉄、ランタン、セリウムもしくはアルミニウム塩のような金属塩であり得る。 本明細書での以下の記載において、式(I)の化合物という表現は、遊離形態または部分的もしくは全体的に塩にされた形態の式(I)の化合物を意味する。R1 基およびR2 基を定義するために用いられる「特徴鎖」という表現は、考えられている脂肪酸またはアミノ酸の非官能性主鎖を表す。 したがって、一般式R1 −C(=O)−OHに対応する脂肪酸について、特徴鎖は、R1 により表される鎖である。 本発明の主題は主に、基R1 −C(=O)−が7個から22個までの炭素原子を含む上記定義の式(I)の化合物の使用である。 R1 −C(=O)−は特に、オクタノイル、デカノイル、ウンデシレノイル、ドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、8−オクタデセノイル、エイコセノイル、13−ドコセノイル、9,12−オクタデカジエノイルまたは9,12,15−オクタデカトリエノイル基を表す。 本発明の主題は特に、フラグメントR1 −C(=O)が、オクタノイル、ω−ウンデシレノイル、ドデカノイル、ヘキサデカノイル、8−オクタデセノイル、13−ドコセノイル、9,12−オクタデカジエノイルおよび9,12,15−オクタデカトリエノイル基から選択される上記定義の式(I)の化合物の使用である。 一般式(IIIa):により表されるアミノ酸についておよび式(IIIb):により表される環状アミノ酸については、特徴鎖は、R2 により表される鎖であろう。 R2 は特に、グリシン、アラニン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、バリン、スレオニン、アルギニン、リシン、プロリン、ロイシン、フェニルアラニン、イソロイシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン、アスパラギン、グルタミン、システイン、シスチン、メチオニン、ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリシン、サルコシンおよびオルニチンから選択されるアミノ酸の特徴鎖を表す。 本発明の主題は主に、残基またはの少なくとも1つにおいてR2 が、フェニルアラニン、チロシン、ヒスチジン、メチオニン、システインまたはトリプトファンの特徴鎖を表す上記定義の式(I)の化合物の使用である。 本発明の主題は、特に、mが1ないし10の十進数であり、好ましくは5未満である上記定義の式(I)の化合物の使用である。 本発明の最も具体的な側面によれば、上記定義の式(I)において、mは2以下であり、特に1.4以下である。 本発明のもう1つの最も具体的な側面によれば、上記定義の式(I)において、mは1に等しい。 本発明のもう1つの具体的な変形態様によれば、上記定義の式(I)の1つの化合物のみが化粧料的に許容され得る成分を含む組成物において用いられる。 本発明のもう1つの具体的な変形態様によれば、上記定義の式(I)の化合物の混合物、特に、全てが同じフラグメントR1 −C(=O)を含む式(I)の化合物の混合物か、またはmが1に等しく、すべてが同じフラグメントを含む式(I)の化合物の混合物かのいずれかが用いられる。 式(I)の化合物は、一般的に、上記定義の式(IIIa)または(IIIb)の化合物のN−アシル化により得られる。 式(I)の化合物の混合物であるとき、それは、例えば、いずれかの起源のタンパク質の全体的または部分的加水分解に由来するアミノ酸混合物のN−アシル化により得られる。 それらのタンパク質は、例えば、コラーゲン、エラスチン、魚類タンパク質、魚類ゼラチン、ケラチンまたはカゼインのような動物起源のものであり得るし、例えば、大豆、ヒマワリ、燕麦、コムギ、トウモロコシ、オオムギ、馬鈴薯、ルピナス、えんどう豆、スイートアーモンド、キーウィフルーツ、マンゴーまたはリンゴに由来するタンパク質のような穀物、花卉、または果実由来のタンパク質のような植物起源のものであり得る。それらは、コレラエ(単細胞藻類)、紅藻、酵母または絹から得られるタンパク質でもあり得る。 この加水分解は、例えば、酸性またはアルカリ性成分中に置かれたタンパク質を60ないし130℃の温度に加熱することにより行われる。 この加水分解はまた、任意にアルカリ性または酸性後工程加水分解と組み合わせられて、プロテアーゼにより酵素的にも行うことができる。mが1より大きいとき、R2 は、加水分解されたタンパク質および加水分解の程度に応じて、1つの同一の鎖または異なるアミノ酸を特徴付けるいくつかの鎖を表す。 植物起源のいくつかのタンパク質のアミノグラムが以下の表に与えられている。 アシル化反応は、当業者に公知である。例えば、番号WO98/09611の下で公開されている国際特許出願に記載されている。1種のアミノ酸かアミノ酸混合物かのいずれかに対し行われる。アシル化剤は、一般的に、カルボン酸の対称的無水物または例えば酸塩化物または酸臭化物のような酸ハロゲン化物のような式R1 C(=O)−OHのカルボン酸の活性化された誘導体からなる。それはまた、ココナッツ油、パームカーネル油、ヤシ油、大豆油、菜種油、トウモロコシ油、牛獣脂、鯨ろう油またはニシン油のような動物または植物起源の天然油または脂肪に由来するカルボン酸の活性化された誘導体の混合物からなり得る。 本発明の主題はまた、化粧料的に許容され得る成分およびプロテインキナーゼAを不活性化する少なくとも1種の化合物の有効量を含む組成物を皮膚に適用することを特徴とする皮膚を美白化するために皮膚を処理するための非治療的方法でもある。 本発明の主題はまた、薬学的に許容され得る成分およびプロテインキナーゼAを不活性化する少なくとも1種の化合物の有効量を含むことを特徴とする皮膚を美白化するための治療的皮膚処理を行うための薬学組成物でもある。 上記定義の組成物において、プロテインキナーゼAを不活性化する化合物は、一般的に、組成物重量の0.01%ないし10%、特に組成物重量の0.1%ないし5%、特に組成物重量の1%ないし5%の量で用いられる。 もう1つの具体的な側面によれば、本発明の主題は、プロテインキナーゼAを不活性化する化合物がアデニレートシクラーゼをも不活性化することを特徴とする上記定義の使用である。 皮膚の美白化活性とアデニレートシクラーゼの不活性化との間の関係は、以下の生化学的機構により説明され得る。 アデニレートシクラーゼの不活性化は、細胞内ATPのサイクリックAMPへの変換の減少をもたらす。サイクリックAMPのレベルの減少は、プロテインキナーゼA(PKA)の阻害をもたらす。プロテインキナーゼAの阻害は、チロシナーゼのリン酸化チロシナーゼへの変換の減少の結果としてチロシナーゼの活性化の減少を誘導する。このチロシナーゼの活性化の減少は、メラニン合成の減少をもたらし、皮膚の色素脱失を生じさせる。 「アデニレートシクラーゼを不活性化する化合物」という表現は、特に、本発明のコンテキストにおいて、アデノシン三リン酸の存在下でこの酵素をインキュベートすることにより10%以上、特に25%以上、好ましくは50%以上の阻害率で、環状アデノシン一リン酸へのその変換を阻害するいずれの化合物も表す。 組成物中に含まれるアデニレートシクラーゼを不活性化する化合物は、特に、上記定義の式(I)の化合物またはその塩から選ばれ、特に、R1 −C(=O)がオクタノイル基およびω−ウンデシレノイル基から選択され、かつ残基またはの少なくとも1つにおいてR2 がフェニルアラニンの特徴鎖を表す上記定義の式(I)の化合物から選ばれる。 本発明の主題はまた、組成物が化粧料的に許容され得る成分およびプロテインキナーゼAおよびアデニレートシクラーゼを不活性化する少なくとも1種の化合物の有効量を含むことを特徴とする上記定義の方法でもあり、また、プロテインキナーゼAおよびアデニレートシクラーゼを不活性化する少なくとも1種の化合物の有効量を含むことを特徴とする上記定義の薬学組成物は、皮膚に適用される。 もう1つの具体的な側面によれば、本発明の主題は、プロテインキナーゼAおよびアデニレートシクラーゼを不活性化する化合物がメラノサイト特異的ホルモン(α−MSH)レセプターに対して親和性を有する化合物であることを特徴とする上記定義の使用である。 皮膚の美白化活性とα−MSHレセプターに対する親和性との間の関係は、以下の生化学的機構により説明され得る。 ホルモンα−MSHとα−MSHレセプターに対し親和性を有する分子との間の競合は、ホルモンの細胞レセプターに対する結合のレベルの減少をもたらす。この競合の結果は、アデニレートシクラーゼの活性の阻害であり、このことは、細胞内ATPのサイクリックAMPへの変換の減少をもたらす。サイクリックAMPのレベルの減少は、酵素プロテインキナーゼA(PKA)の阻害をもたらす。プロテインキナーゼAの阻害は、チロシナーゼのリン酸化チロシナーゼへの変換の減少の結果としてチロシナーゼの活性化の減少を誘導する。このチロシナーゼの活性化の減少は、メラニン合成の減少をもたらし、皮膚の色素脱失を生じさせる。連続的阻害のこの組み合わせが、本発明の化合物のα−MSHアンタゴニストとしての性質の証拠となる。 「メラノサイト特異的ホルモン(α−MSH)レセプターに対して親和性を有する化合物」という表現は、本発明のコンテキストにおいて、10%以上、特に25%以上、好ましくは50%以上の阻害率で、MC1Rレセプターとして知られるα−メラノサイト特異的ホルモン(α−MSH)タイプ1レセプターに対する放射性リガンド、例えば、ヌクレオシド二リン酸−α−メラノサイト特異的ホルモン([ 125I]NDP−α−MSH)の特異的結合を置換するいずれの化合物も表す。 組成物中に含まれるメラノサイト特異的ホルモンアンタゴニストは特に、上記定義の式(I)の化合物またはその塩から選択される。 本発明の主題はまた、組成物が化粧料的に許容され得る成分およびメラノサイト特異的ホルモンアンタゴニストであるプロテインキナーゼAおよびアデニレートシクラーゼを不活性化する少なくとも1種の化合物の有効量を含むことを特徴とする上記定義の方法でもあり、また、メラノサイト特異的ホルモンアンタゴニストであるプロテインキナーゼAおよびアデニレートシクラーゼを不活性化する少なくとも1種の化合物の有効量を含むことを特徴とする上記定義の薬学組成物が皮膚に適用される。 以下の例により示されるように、上記定義の化粧的または治療的処理において用いられる化合物は、予想外のことに、先行技術の組成物の美白化活性よりも高い活性により特徴付けられる。したがって、それらは、一般的に、特に色素脱失により、そして特に老齢の皮膚上に現れる着色した斑を除去または減衰させるために、皮膚を美白化するための処理にとって適切である。 前記処理で用いられる組成物は、一般的に、油が植物質または鉱物質であり、または粉末の形態にある油中水(W/O)、水中油(O/W)または水中油中水(W/O/W)型エマルジョンのような単純または多相エマルジョンの形態の希釈水溶液または水−アルコール系溶液の形態で存在する。それらはまた、ワイプ、ペーパータオルまたは衣類のような布帛または不織材料上にも分散または含浸され得る。 上記処理で用いられる組成物は、化粧品および医薬で用いられる通常の形態で個人に投与される。それらは、特に、局所的、経口的、または非経口的投与である。 一般的に、上記定義のこの特許出願の主題である本発明において用いられる、プロテインキナーゼA、おそらくアデニレートシクラーゼおよびおそらくメラノサイト特異的ホルモンアンタゴニストを不活性化する式(I)の化合物は、油性物質、有機溶媒、増粘剤、ゲル化剤、ソフナー、アンチオキシダント、乳白剤、安定化剤、発泡剤、香料、イオン性または非イオン性乳化剤、フィラー、封鎖剤、キレート剤、保存料、化学的スクリーン剤または鉱物質スクリーン剤、精油、染料、顔料、親水性または親油性活性剤、例えばグリセロールのような保湿剤、保存料、染料、香料、化粧品活性剤、鉱質または有機質の日焼け止め、例えば、酸化鉄、酸化チタン、およびタルクのような鉱物フィラー、例えばナイロンおよび架橋されているか架橋されていないポリ(メチルメタクリレート)のような合成フィラー、シリコーンエラストマー、セリサイトまたは植物エキス、または脂質小胞体または化粧品で通常用いられるいずれか他の成分であるかどうかに拘わらず、化粧品配合物で用いられる多数のタイプのアジュバントまたは活性成分と組み合わせられる。 式(I)の化合物と組み合わせられ得る油の例として、パラフィン、イソパラフィン、白色鉱油、植物油、動物油、合成油、シリコーンオイルおよびフルオロオイル、特に、 − スイートアーモンド油、ココナッツ油、ひまし油、ジョジョバ油、オリーブ油、菜種油、グラウンドナッツ油、ヒマワリ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ胚芽油、大豆油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、イブニングプリムローズ油、ミレット油、大麦油、ライ麦油、サフラワー油、キャンドルナッツ油、トケイソウ油、へーゼルナッツ油、ヤシ油、シアバター、アプリコットカーネル油、ビューティーリーフ油、シシンブリウム油、アボカド油、またはカレンデュラ油のような植物起源の油、 − エトキシル化植物油、 − スクアレンまたはスクアランのような動物起源の油、 − 液体パラフィン、液体石油ゼリーおよびイソパラフィンのような鉱油、 − 合成油、特に、ブチルミリステート、プロピルミリステート、セチルミリステート、イソプロピルパルミテート、ブチルステアレート、ヘキサデシルステアレート、イソプロピルステアレート、オクチルステアレート、イソセチルステアレート、ドデシルオレエート、ヘキシルラウレート、プロピレングリコールジカプリレートのような脂肪酸エステル、イソプロピルラノレート、イソセチルラノレートのようなラノリン酸から誘導されたエステル、例えばグリセリルトリヘプタノエートのような脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリド、アルキルベンゾエート、ポリ−α−オレフィン、例えばポリイソブテンのようなポリオレフィン、例えばイソヘキサデカンまたはイソドデカンのような合成イソアルカン、ペルフルオロ油、およびシリコーンオイルに言及がなされ得る。シリコーンオイルの中で、特に、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アミンで修飾されたシリコーン、脂肪酸で修飾されたシリコーン、アルコールで修飾されたシリコーン、アルコールと脂肪酸で修飾されたシリコーン、ポリエーテル基で修飾されたシリコーン、修飾されたエポキシシリコーン、フルオロ基で修飾されたシリコーン、環状シリコーン、およびアルキル基で修飾されたシリコーンを挙げることができる。 この活性剤と組み合わせられ得る他の脂肪材料として、脂肪アルコールまたは脂肪酸を挙げることができる。 本発明において用いられる増粘用および/または乳化用ポリマーの中では、例えば、名称、カーボポール(登録商標)、ウルトレッツ(登録商標)10、パーミュレン(登録商標)TR1、パーミュレン(登録商標)TR2、サイマルゲル(登録商標)A、サイマルゲル(登録商標)NS、サイマルゲル(登録商標)EPG、サイマルゲル(登録商標)EG、ルビゲル(登録商標)EM、サルケア(登録商標)SC91、サルケア(登録商標)SC92、サルケア(登録商標)SC95、サルケア(登録商標)SC96、フロケア(登録商標)ET100、ヒスパゲル(登録商標)、セピゲル(登録商標)305、セピゲル(登録商標)501、セピゲル(登録商標)502、フロケア(登録商標)ET58およびスタビリーズ(登録商標)06の下で販売される、アクリル酸またはアクリル酸誘導体のホモポリマーまたはコポリマー、アクリルアミドホモポリマーまたはコポリマー、アクリルアミドから誘導されるホモポリマーまたはコポリマー、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルモノマー、または塩化トリメチルアミノエチルアクリル酸塩のホモポリマーまたはコポリマー、例えば、キサンタンガム、カラヤガム、カラギーネートまたはアルギネートのような植物または生合成起源のヒドロコロイド、シリケート、セルロールおよびその誘導体、デンプンおよびその親水性誘導体、ポリウレタンがある。 本発明のコンテキストにおいて用いられ得るワックスの中で、挙げることのできる例には、蜜蝋、カルナウバろう、キャンデリラろう、ウーリキュリーろう、木ろう、コルク繊維ろうまたはサトウキビろう、パラフィンろう、リグナイトろう、微結晶性ワックス、ラノリンろう、オゾケライト、ポリエチレンろう、水素化油、シリコーンオイル、植物ろう、室温で固体である脂肪アルコールおよび脂肪酸、室温で固体であるグリセリドが含まれる。 本発明のコンテキストにおいて用いられ得る乳化剤の中で、挙げることのできる例には、フランス特許出願2668080、2734496、2756195、2762317、2784680、2784904、2791565、2790977、2807435および2804432において記載されている脂肪酸、エトキシル化脂肪酸、ソルビトールの脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸エステル、ポリソルベート、ポリグリセロールエステル、エトキシル化脂肪アルコール、シュークロースエステル、アルキルポリグリコシド、硫酸化され、リン酸化された脂肪アルコール、またはアルキルポリグリコシドと脂肪アルコールの混合物が含まれる。 特性を相乗作用的に高めるために式(I)の化合物と組み合わせられ得る活性成分の例として、美白化または色素脱失活性を有する化合物、例えば、アルブチン、コウジ酸、ヒドロキノン、エラグ酸、ビタミンC、リン酸アスコルビルマグネシウム、ポリフェノールエキス、ブドウエキス、パインエキス、ワインエキス、オリーブエキス、ポンドエキス、N−アシルタンパク質、N−アシルペプチド、N−アシルアミノ酸、N−アシルタンパク質、N−アシルアミノ酸、N−アシルペプチドの部分加水分解物、全タンパク質加水分解物、部分タンパク質加水分解物、ポリオール(例えばグリセロール、ブチレングリコールなど)、尿素、ピロリドンカルボン酸またはその酸の誘導体、グリシレチン酸、α−ビサボロール、糖または糖誘導体、多糖またはその誘導体、例えば乳酸のようなヒドロキシ酸、例えばレチノール、ビタミンEおよびその誘導体のような、ビタミン、ビタミン誘導体、ミネラル、酵素、例えばコエンザイムQ10のような補酵素、ホルモンまたは「ホルモン様」物質、例えばラファーマイン(登録商標)のような大豆エキス、例えばテンサイン(登録商標)またはグリアダイン(登録商標)のような小麦エキス、タンニン富化エキス、イソフラボン富化エキス、またはテルペン富化エキスのような植物エキス、淡水藻または海水藻のエキス、エッセンシャルワックス、細菌エキス、ミネラル、脂質一般、セラミドまたはリン脂質のような脂質、例えばカフェインまたはその誘導体のような減量効果を有する活性剤、リパサイド(登録商標)PVBのような脂ぎった皮膚上で抗微生物活性または浄化作用を有する活性剤、例えばセピトニック(登録商標)M3またはフィシオジェニル(登録商標)のような精力賦活特性または刺激特性を有する活性剤、例えばセピキャップ(登録商標)MPのようなパンテノールおよびその誘導体、例えばセピリフト(登録商標)DPHP、リパサイド(登録商標)PVB、セピビノール(登録商標)またはセピバイタル(登録商標)のような老化防止活性剤、例えばセピコーム(登録商標)S、セピコーム(登録商標)VG、およびリパサイド(登録商標)DPHPのような保湿活性剤、「抗光老化」老化防止活性剤、真皮−表皮接合の一体性を保護するための活性剤、細胞外マトリックスの成分の合成を増加させるための活性剤を挙げることができる。 本発明による組成物に含まれ得る日焼け止めとして、化粧品指令書76/768/EECの改訂された付録VIIに扱われているもののいずれかを挙げることができる。 本発明の最後の側面によれば、本発明の主題は、式:のN−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニン、その化粧料としての使用、並びに組成物全重量の0.01%ないし10%、特に0.1%ないし5%、特に1%ないし5%の該化合物の含有量を有することを特徴とする該化合物を含む薬学組成物およびエマルジョンである。 以下の実験的研究は、発明を限定することなく発明を例示する。 ウンデシレノイルフェニルアラニンの色素脱失活性のインビトロでの評価 この研究の目的は、MC1Rレセプターとして知られるα−メラニン細胞特異的ホルモン(α−MSH)タイプ1レセプター上で分子のアンタゴニスト効果を伴う機構によりN−ウンデシレノイルフェニルアラニンの色素脱失活性を立証することであった。このタイプの薬理学的レセプターは、メラノサイトにおいて主に見出される。 このレセプターを用いてのメラニン生成の制御は、図1に示される。それは特に、アデニレートシクラーゼ、cAMP、プロテインキナーゼAおよびチロシナーゼを含む。レセプターMC1Rに結合することにより、α−MSHは、刺激性プロテインGのαサブユニット(Prot GαS)を刺激する。このタンパク質は、アデノシン三リン酸(ATP)を環状アデノシン一リン酸(cAMP)に変換する酵素アデニレートシクラーゼを活性化する。cAMPは、チロシナーゼをメラニン生成を刺激するリン酸化チロシナーゼに変換するAプロテインキナーゼを活性化する。 したがって、第1の段階では、研究は、メラノサイト中に見出されるレセプターMC1Rに対するN−ウンデシレノイルフェニルアラニンの結合能力を評価することであった。 第2の段階では、アデニレートシクラーゼ、プロテインキナーゼAおよびチロシナーゼの活性に対するN−ウンデシレノイルフェニルアラニンの効果を評価した。 第3の段階では、B16/F1系統のメラノサイト培養に対するN−ウンデシレノイルフェニルアラニンの色素脱失活性を、細胞内および細胞外メラニン含有量を測定することによりおよびチロシナーゼ活性を測定することによりインビトロで決定した。 第4の段階では、N−ウンデシレノイルフェニルアラニンの色素脱失活性を、現実の適用条件(配合された生成物の局所的適用)の下で生成物の効力を試験するために、色素沈着し再構成されたヒト表皮(フォトタイプ4)のモデルで評価した。 生成物の効果を、様々の対照色素脱失性生成物ヒドロキノン、コウジ酸およびアルブチンの場合に観察された効果と比較した。 1−MC1Rレセプターについての親和性の研究 N−ウンデシレノイルフェニルアラニン、コウジ酸およびアルブチンの親和性を比較した。 MC1Rレセプターを、シーグリスト W.、エストライヒャー M.、ストゥッツ M.、ジラール J.およびエバーレ A.E.;J.Recep.Res.,8,1988,323−343において記載される方法により、B16/F1系統のマウスメラノサイトの細胞膜から単離する。 N−ウンデシレノイルフェニルアラニン、アルブチンおよびコウジ酸を10分の1規定の水酸化ナトリウム水溶液中に10mg/mlの濃度に希釈する。これらをそれぞれ別に、0.1mg/mlと1mg/mlの濃度で試験する。水酸化ナトリウムは、研究されるパラメーターについて影響を有さない。 MC1Rレセプターは、0.05nMの濃度で、90分間22℃で、これらの生成物の存在下または不在下で、ヨウ素−125でラベルされた放射性リガンド、すなわちヌクレオシド二リン酸α−メラノサイト特異的ホルモン[ 125I]NDP−α−MSHとともにインキュベートする。 対照の培養は、生成物の不在下で、放射性リガンドの存在下でインキュベートする。それぞれの試験は、3重測定で実施する。 90分間のインキュベーションの後、細胞膜を素早くろ過し、フィルターを冷却されたバッファーで数回洗浄する。MC1Rレセプターに結合した放射性リガンドの量をシンチレーションカウンター(トップカウント、パッカード)を用いて測定する。 下記の表に示された結果は、生成物のそれぞれについて実施した3回の試験の平均である。それらは、対照群に対する特異的結合のパーセンテージとして、およびこの結合の阻害のパーセンテージとして表現されている。 結果は、試験濃度において、対照の色素脱失性化合物であるアルブチンもコウジ酸もリガンド[ 125I]NDP−α−MSHの特異的結合を置換せず、対照的に、N−ウンデシレノイルフェニルアラニンは、MC1Rレセプターに対する[ 125I]NDP−α−MSHの結合の、それぞれ、42%および96%を置換することを立証している。 2−アデニレートシクラーゼ活性化の研究 ATPのcAMPへの変換に対するN−ウンデシレノイルフェニルアラニン、コウジ酸およびアルブチンの影響を、ラジオイムノアッセイにより比較した。 ATPをcAMPに変換するアデニレートシクラーゼは、サラモン Y.、ロンドス C.およびロドベル M.;Anal. Biochem.,58,1974,541〜548において記載される方法によりラット脳から抽出し、次いで、10μMのフォルスコリンにより活性化させる。 N−ウンデシレノイルフェニルアラニン、アルブチン、およびコウジ酸を10分の1規定の水酸化ナトリウム水溶液中に10mg/mlの濃度に希釈する。これらをそれぞれ、1mg/mlの濃度で別々に試験する。水酸化ナトリウムは、研究されるパラメーターに影響を有さない。 活性化された酵素を、これらの生成物の存在下または不在下で、0.5mMのATPの存在下で30℃で30分間インキュベートする。 対照の培養を、生成物の不在下で、ATPの存在下で、インキュベートする。それぞれの試験を3重測定で実施する。 30分間のインキュベーション後、生成するcAMPの量は、市販のキットを用いて行うラジオイムノアッセイにより評価する。放射能は、シンチレーションカウンター(トップカウント、パッカード)により測定し、小さな放射能のカウントは、アデニレートシクラーゼの小さな活性化を反映する。 下記の表に示される結果は、生成物のそれぞれについて実施した3回の試験の平均である。それらは、対照群に対する酵素活性のパーセンテージとして、および阻害のパーセンテージとして表現されている。 結果は、1mg/mlでは、アルブチンはこの酵素に対して効果を有さないけれども、コウジ酸は穏やかな効果を誘発し、N−ウンデシレノイルフェニルアラニンは完全な不活性化を誘発することを立証している。 3−プロテインキナーゼA活性の研究 プロテインキナーゼA(PK A)によるチロシナーゼのリン酸化に対するN−ウンデシレノイルフェニルアラニン、コウジ酸、およびアルブチンの影響を比較した。 プロテインキナーゼAは、チジワ T.、ミシマ A.、ハギワラ M.、サノ M.、ハヤシ K.、イノウエ T.、ナイトウ K.、シオカ T.、ヒダカ H.;J. Biol. Chem.,265,1990,5267〜5272において記載される方法によりウシの脳から抽出する。次いで、それは3μMのcAMPにより活性化させる。 N−ウンデシレノイルフェニルアラニン、アルブチンおよびコウジ酸は、10分の1規定の水酸化ナトリウム水溶液中に10mg/mlの濃度に希釈する。これらをそれぞれ、1mg/mlの濃度で別々に試験する。水酸化ナトリウムは、研究されるパラメーターに対して影響を有さない。 活性化された酵素を、これらの生成物の存在下か不在下で、33P−ラベルされた放射性ATP([γ−33P]ATP)および200μg/mlのヒストンH1 の存在下で30℃で20分間インキュベートする。 対照の培養は、生成物の不在下で、放射性ATPおよびヒストンH1 の存在下でインキュベートする。それぞれの試験は、3重測定で実施する。 20分間のインキュベーションの後、33P−ラベルされたリン酸化ヒストンH1 の量は、シンチレーションカウンター(トップカウント、パッカード)を用いて測定し、小さな放射線のカウントは、プロテインキナーゼAの小さな活性化を反映する。 下記の表に示される結果は、生成物のそれぞれについて実施した3回の試験の平均である。それらは、対照群に対する酵素活性のパーセンテージとして、および阻害のパーセンテージとして表現されている。 結果は、1mg/mlでは、N−ウンデシレノイルフェニルアラニンは、コウジ酸またはアルブチンと対照的にプロテインキナーゼA活性を完全に阻害することを立証している。 4−リン酸化チロシナーゼ活性の研究 リン酸化チロシナーゼの活性に対するN−ウンデシレノイルフェニルアラニン、ヒドロキノン、コウジ酸およびアルブチンの影響を、L−ドーパおよび分光分析(490nmで)により定量されうる着色生成物であるドーパキノンへのL−チロシンの変換を測定することにより比較した。 用いたチロシナーゼは、真菌から抽出された市販の生成物である。 N−ウンデシレノイルフェニルアラニン、ヒドロキノン、アルブチンおよびコウジ酸を、10分の1規定の水酸化ナトリウム水溶液中に10mg/mlの濃度に希釈する。これらをそれぞれ、0.1mg/mlおよび1mg/mlの濃度で別々に試験する。水酸化ナトリウムは、研究されるパラメーターに対して影響を有さない。 66.66IU/mlのチロシナーゼを、これらの生成物の存在化または不在下で、0.2mMのチロシンの存在下で37℃で10分間インキュベートする。 対照の培養を、生成物の不在下で、チロシナーゼとL−チロシンの存在下でインキュベートする。それぞれの試験を3重測定で実施する。 10分間のインキュベーションの後、生成するドーパキノンヒストンの量を、490nmで分光光度計を用いて測定する。 下記の表において示された結果は、生成物のそれぞれについて実施した3回の試験の平均である。 それらは、チロシナーゼ活性のIU/lとして、および対照に対する酵素活性の阻害のパーセンテージとして表現されている。 結果は、0.1mg/mlおよび1mg/mlの濃度で、全ての試験生成物がチロシナーゼの活性を有意に阻害することを立証している。しかしながら、ウンデシレノイルフェニルアラニンの阻害活性は、他の試験生成物の阻害活性より大きい。 5−B16/F1メラノサイト培養中の色素脱失活性の研究 B16/F1メラノサイト培養中の細胞内メラニンおよび細胞外メラニンの生成に対するおよびリン酸化チロシナーゼの活性に対するN−ウンデシレノイルフェニルアラニン、ヒドロキノン、コウジ酸およびアルブチンの影響を比較した。 B16/F1系統のマウスメラノサイトを、1500細胞/ウエルの密度で96−ウエル培養プレート内に接種する。5%CO2 を含む有湿度雰囲気の下で37℃で培養培地(MCM培地)中で細胞を培養する。細胞を60%の集密度で、すなわち、接種の4日後に用いる。 MCM培地は以下の組成を有する:L−グルタミン(2mM)、ペニシリン(50IU/ml)、ストレプトマイシン(50μg/ml)およびウシ胎児血清(10%v/v)を補足された4.5g/lのグルコースを含むDMEM培地(ダルベッコの修正されたイーグル培地)。 N−ウンデシレノイルフェニルアラニンを、10分の1規定の水酸化ナトリウム水溶液中に4mg/mlに希釈する。これを、MCM培地中で40μg/mlで試験する。水酸化ナトリウムは、分析されるパラメーターに対して影響を有さない。 ヒドロキノンは、MCM培地中5μg/mlで試験する。その毒性のために、40μg/mlでは試験しない。 アルブチンおよびコウジ酸は、MCM培地中40μg/mlで試験する。 メラニン細胞培養を、試験生成物の存在下でまたは対照生成物の存在下で5%CO2 を含む有湿度雰囲気の下で37℃で72時間インキュベートする。 対照培養を、MCM培地中で生成物の不在下でインキュベートする。これらの対照培養を、それぞれの培養プレート上で調製する。 それぞれの試験を6回実施する。 5.1−細胞外メラニン含有量の測定 72時間のインキュベーションの後、細胞のインキュベーション培地(n=6)を取り出し、効果の評価の時間まで−80℃で貯蔵する。細胞外メラニンを450nmで分光分析により定量する。メラニン検量線範囲を並行して準備する。 結果を、μg/mlの細胞外メラニンとしておよび対照群に対する阻害のパーセンテージとして表現する。 5.2−細胞内メラニン含有量の測定 72時間のインキュベーションの後、細胞のカーペット(n=3)の一部をリン酸バッファー生理食塩水(PBS;pH=7.4)ですすぐ。リン酸バッファー生理食塩水の組成は、以下のとおりである:NaCl:8g/l、Na2 HPO4 :1.15g/l、KH2 PO4 :0.2g/l、KCl:0.2g/l、CaCl2 :0.1g/l、MgCl2 :0.1g/l。細胞内メラニンは、10分の1規定の水酸化ナトリウムの存在下で室温で30分間攪拌しながらのインキュベーションにより可溶化させる。 細胞内メラニンを、450nmで分光分析により定量する。メラニン検量線範囲を並行して準備する。 結果をμg/mlの細胞内メラニンとして、および対照群に対する阻害のパーセンテージとして表現する。 5.3−リン酸化チロシナーゼ活性の測定 72時間のインキュベーション後、細胞のカーペット(n=3)の第2の部分をPBSですすぐ。細胞を、室温で30分間0.1%(w/v)の濃度のトリトン(登録商標)X100により溶解させる。内因性チロシナーゼの活性を0.1%(w/v)のL−ドーパを加えることにより評価し、続いて、空気と光の欠如の下で37℃で3時間インキュベーションする。チロシナーゼとL−ドーパとの間の反応により生成するドーパキノンを450nmで分光分析により測定する。精製したチロシナーゼの検量線範囲を並行して準備する。 結果をIU/mlのチロシナーゼ活性としておよび対照群に対する阻害のパーセンテージとして表現する。 5.4−細胞内タンパク質含有量の測定 このアッセイは、試験生成物の細胞毒性を評価することを可能とする。それは、前述の段落で記載されたように調製された細胞溶解物中で実施する。 そのタンパク質アッセイは、ブラッドフォード M.;Anal.Biochem.,72,1976,248〜254により記載されたクーマシーブルー法により実施する。測定は、640nmで分光分析により実施する。ウシ血清アルブミン(BSA)検量線範囲を並行して準備する。 結果をmg/mlのタンパク質としておよび対照群に対する阻害のパーセンテージとして表現する。 5.5−結果の分析 72時間のインキュベーションの後、5μg/mlで試験されたヒドロキノンは、細胞外メラニン含有量を85%まで、細胞内メラニン含有量を100%まで、およびチロシナーゼ活性を69%までそれぞれ阻害する。しかしながら、ヒドロキノンの色素脱失効果は部分的にはその細胞毒性効果に由来する。というのは、全タンパク質量の38%減少が観察されるからである。 40μg/mlで試験されるアルブチンは、47%まで細胞外メラニン含有量を、19%まで細胞内メラニン含有量を、および23%までチロシナーゼ活性をそれぞれ阻害する。この濃度では、アルブチンは、全タンパク質含有量に対して影響を有さない。 40μg/mlで試験されたコウジ酸は、70%まで細胞外メラニン含有量を、17%まで細胞内メラニン含有量を、および31%までチロシナーゼ活性を、それぞれ阻害する。この濃度では、コウジ酸は、全タンパク質含有量に対して有意な影響を有さない。 40μg/mlで試験したN−ウンデシレノイルフェニルアラニンは、72%まで細胞外メラニン含有量を、66%まで細胞内メラニン含有量を、および67%までチロシナーゼ活性を、それぞれ阻害する。この濃度ではN−ウンデシレノイルフェニルアラニンは、17%まで全タンパク質含有量を減少させる。 このようにN−ウンデシレノイルフェニルアラニンは、細胞内メラニン含有量および細胞外メラニン含有量とチロシナーゼ活性の同時の減少により立証される色素脱失活性を有する。ヒドロキノンの色素脱失活性と違って、その色素脱失活性は、細胞毒性効果に結びついていない。それは、アルブチンおよびコウジ酸より高い色素脱失活性を有する。 6−再構成ヒト表皮における色素脱失活性の研究 B16/F1メラノサイト培養における細胞内メラニンおよび細胞外メラニンの生成に対する、および表皮の染色に対するN−ウンデシレノイルフェニルアラニン、ヒドロキノン、コウジ酸およびアルブチンの影響を比較した。 0.63cm2 のスキンエシックにより供給された色素沈着ヒト表皮(フォトタイプIV)を、正常ヒトケラチノサイト(前腕の皮膚、3歳児のドナー、第2継代)のおよび正常ヒトメラノサイト(前腕の皮膚、フォトタイプIVの4歳児のドナー、第3継代)の共培養から再構成する。ケラチノサイト/メラノサイト比は、10:1である。共培養を不活性ポリカーボネートフィルター上に接種する。それらは、5μg/mlのインスリン、1.5mMのカルシウムおよび成長因子を補足されたMCDB153培地からなるスキンエシックにより供給された培地中で10日間培養する。 それらの試験については、生成物は、水相、10重量%の脂肪相(ラノール(登録商標)1688)、2重量%の乳化剤(サイマルゲル(登録商標)EG)、0.5重量%の保存剤(0.3%のセピサイド(登録商標)HB+0.2%のセピサイド(登録商標)CI)を含むエマルジョンからなる化粧品配合物に含めた後試験する。活性成分を含めた後、配合物はpH=5.5に調節する。 N−ウンデシレノイルフェニルアラニン、アルブチンおよびコウジ酸を、単位体積当り1重量%または3重量%の比率(w/v)で上昇温度(75℃)でその中に含める。 その毒性のために、ヒドロキノンは、単位体積(w/v)当り0.1重量%の濃度でその中に含める。 表皮は、上記1mlの培地を含む6−ウエルプレート中で培養する。それらは、5%CO2 を含む有湿度雰囲気の下で37℃でインキュベートする。 さまざまの活性成分を含む配合物が、無菌の細菌学的接種装置を用いて2μl/表皮の割合で表皮の表面に適用する。適用は、連続4日間毎日実施する。再構成表皮のインキュベーション培地は連続4日間毎日更新する。 対照の表皮は、活性成分のない配合物により処理する。それぞれの試験は、2重測定で実施する。 6.1−表皮色素沈着の彩度測定 最終の局所適用の3日後、表皮の色は、以下のパラメーターL* 、a* およびb* を測定することによりクロマメーター(ミノルタ)を用いて評価する。 L* は明度指数である。色素脱失性生成物は、このパラメーターを増加させるものである。 a* は青から緑までの色彩スペクトルを表す。色素脱失性生成物はこのパラメーターを減少させるものである。 b* は赤から黄色までの色彩スペクトルを表す。色素脱失性生成物はこのパラメーターを減少させるものである。 結果は、それぞれのパラメーターの任意単位(AU)として、および対照群のパーセンテージとして表現されている。 6.2−細胞内メラニン含有量の測定 最終の局所適用および彩度測定の3日後、細胞内メラニンを、オゼキ H.、イトウ S.、ワカマツ K.、ヒロベ T.;J. Invest. Dermatol.,105,1995,361〜366に記載されているようにソルエン(登録商標)350(200μl/表皮)において100℃で45分間のインキュベーションにより表皮から抽出する。試料は、10000rpmで10分間遠心分離する。 抽出された細胞内メラニンは、500nmで分光分析により測定する。メラニン検量線範囲を並行して準備する。 結果は、細胞内メラニンのmg/mlとして、および対照群に対する阻害のパーセンテージとして表現されている。 6.3−結果の分析 エマルジョン中0.1%(w/v)の濃度での局所適用で試験したヒドロキノンは、彩度測定パラメーターL* 、a* およびb* 、並びに再構成ヒト表皮のメラニン含有量のいずれに対しても有意な効果を有さない。ヒドロキノンの色素脱失効果の欠如は、細胞毒性がないものとして故意に選択された低い試験濃度のためかまたは短い処理時間のためかのいずれかのためである。 エマルジョン中1%および3%(w/v)での局所適用で試験したアルブチンは、彩度測定パラメーターL* 、a* およびb* に対して有意な影響を有する。しかしながら、それは、それぞれ、28%および24%だけ再構成ヒト表皮のメラニン含有量を阻害する。 エマルジョン中1%(w/v)および3%(w/v)での局所適用で試験したコウジ酸は、彩度測定パラメーターL* 、a* およびb* に対して有意な影響を有さない。しかしながら、それは、それぞれ、21%および33%だけ再構成ヒト表皮のメラニン含有量を阻害する。 エマルジョン中1%(w/v)での局所適用で試験したN−ウンデシレノイルフェニルアラニンは、15%だけb* 色彩パラメーターを阻害し、24%だけ再構成ヒト表皮のメラニン含有量を阻害する。 3%(w/v)の濃度で、N−ウンデシレノイルフェニルアラニンは、9%だけL* パラメーターを増加させ、同時に14%だけa* 色彩パラメーターを、29%だけb* 色彩パラメーターをおよび24%だけ再構成表皮のメラニン含有量を減少させる。 再構成表皮に対するこれらの試験は、N−ウンデシレノイルフェニルアラニンが彩度測定パラメーターに対しておよび細胞内メラニン含有量に対して両方に影響を有する限り対照生成物の色素脱失活性と比較して向上した色素脱失活性を有することを示している。 7−結論 この研究で得られた結果は、合せて、N−ウンデシレノイルフェニルアラニンの強力な色素脱失活性を立証している。この活性は、メラノサイト培養および再構成ヒト表皮で構成された3Dモデルの両方において定量される。対照生成物とは対照的に、N−ウンデシレノイルフェニルアラニンの色素脱失活性は、MC1Rレセプターを伴う。N−ウンデシレノイルフェニルアラニンは、MC1Rレセプターアンタゴニストであり、メラニン生成に関与するα−MSHサイクルのすべての段階を阻害する。 化粧品配合物の例 例2:成人の皮膚のための美白ケアエマルジョン モンタノフ(登録商標)202 02.00% モンタノフ(登録商標)68 02.00% カプリル酸・カプリン酸トリグリセリド 10.00% スクアラン 10.00% 水 100%とする量 N−ウンデシレノイルフェニルアラニン 01.00% セピゲル(登録商標)305 00.70% リン酸アスコルビルマグネシウム 02.00% セピサイド(登録商標)HB 00.30% セピサイド(登録商標)CI 00.20% 香料 00.50% 例3:美白・引き締めケアエマルジョン モンタノフ(登録商標)202 03.00% 24%水酸化ナトリウム 00.06% エチルヘキシルメトキシシンナメート 06.00% ラノール(登録商標)1688 08.00% ベンゾフェノン−3 04.00% 水 100%とする量 N−ウンデシレノイルフェニルアラニン 02.00% サイマルゲル(登録商標)NS 00.50% セピリフト(登録商標)DPHP 00.50% ジメチコーン 02.00% シクロメチコーン 02.00% アルブチン 0.3% セピサイド(登録商標)HB 00.30% セピサイド(登録商標)CI 00.20% 香料 00.10% 例4:α−ヒドロキシ酸を含む美白クリームゲル ヒドロキシエチルセルロース 00.80% エチルヘキシルオクタノエート 05.00% 60%乳酸ナトリウム 14.00% 水 100%とする量 N−ウンデシレノイルフェニルアラニン 03.00% セピゲル(登録商標)305 04.20% セピサイド(登録商標)HB 02.00% セピサイド(登録商標)CI 03.00% 香料 00.10% 例5:美白ケアエマルジョン モンタノフ(登録商標)L 01.00% セチルアルコール 02.00% イソデシルネオペンタノエート 12.00% セテアリールオクタノエート 10.00% グリセロール 03.00% 水 100%とする量 N−ウンデシレノイルフェニルアラニン 01.00% サイマルゲル(登録商標)EG 02.00% コウジ酸 01.00% セピサイド(登録商標)HB 00.30% セピサイド(登録商標)CI 00.20% 香料 00.10% 例6:美白ローション オラミックス(登録商標)CG110 05.00% カトン(登録商標)CG 00.08% 水 100%とする量 N−ウンデシレノイルフェニルアラニン 01.00% 香料 00.10% このローションは、ボトルで販売するかまたはワイプに含浸させることができる。 例において用いられる市販の製品の定義は、以下の通りである。 セピリフト(登録商標)DHP(INCI名:ジパルミトイルヒドロキシプロリン)、SEPPIC社により販売されている。 セピサイド(登録商標)HBは、フェノキシエタノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベンおよびブチルパラベンを含む保存混合物であり、SEPPIC社により販売されている。 セピサイド(登録商標)CIは、イミダゾリジニル尿素であり、SEPPIC社により販売されている。 セピコーム(登録商標)VG(INCI名:パルミトイルプロリンナトリウムおよびスイレンの花のエキス)、SEPPIC社により販売されている。 カトン(登録商標)CG(INCI名:メチルイソチアゾリノン/メチルクロロイソチアゾリノン)。 サイマルゲル(登録商標)EGは、コポリマー逆相ラテックス(INCI名:ナトリウムアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマーおよびイソヘキサデカンおよびポリソルベート80)であり、SEPPIC社により販売されている。 サイマルゲル(登録商標)NSは、コポリマー逆相ラテックス(INCI名:ヒドロキシエチルアクリレート/ナトリウムアクリロイルジメチルタウレートコポリマーおよびスクアランおよびポリソルベート60)であり、SEPPIC社により販売されている。 ラノール(登録商標)1688はセテアリールエチルヘキサノエートであり、SEPPIC社により販売されている。 セピゲル(登録商標)305は、ポリマー逆相ラテックスである(INCI名:ポリアクリルアミドおよびC13〜C14イソパラフィンおよびラウレス7)。 モンタノフ(登録商標)Lは、C14〜C22アルコールおよびC12〜C20アルキルポリグルコシドに基づく乳化剤である。 モンタノフ(登録商標)68は、セテアリールアルコールおよびセテアリールポリグリコシドに基づく乳化剤である。 モンタノフ(登録商標)202は、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコールおよびアラキジルポリグルコシドに基づく乳化剤である。 化粧料的に許容され得る成分と、プロテインキナーゼAを不活性化する下記式(Ia):で示されるN−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンを含有する、皮膚を美白化するための化粧料組成物。 化粧料的に許容され得る成分およびプロテインキナーゼAを不活性化する下記式(Ia):で示されるN−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンの有効量を含む化粧料組成物を個人に投与することを特徴とする皮膚を美白化するために皮膚を処理するための非治療的方法。 前記組成物が、前記N−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンを、組成物全重量の0.1%ないし5%の割合で含む請求項2記載の方法。 皮膚を美白化し、治療的皮膚処理を実施するための薬学組成物であって、薬学的に許容され得る成分およびプロテインキナーゼAを不活性化する下記式(Ia):で示されるN−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンの有効量を含むことを特徴とする薬学組成物。 前記N−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンを、組成物全重量の0.1ないし5%の割合で含む請求項4記載の薬学組成物。 前記N−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンが、アデニレートシクラーゼをも不活性化することを特徴とする請求項1記載の化粧料組成物。 前記N−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンが、アデニレートシクラーゼをも不活性化することを特徴とする請求項2または3記載の方法。 前記N−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンが、アデニレートシクラーゼをも不活性化することを特徴とする請求項4または5記載の薬学組成物。 前記N−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンが、メラノサイト特異的ホルモン(α−MSH)レセプターに対し親和性を有することを特徴とする請求項6記載の化粧料組成物。 前記N−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンが、メラノサイト特異的ホルモンレセプターに対し親和性を有することを特徴とする請求項7記載の方法。 前記N−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンが、メラノサイト特異的ホルモンレセプターに対し親和性を有することを特徴とする請求項8記載の薬学組成物。 化粧料エマルジョンであって、下記式(Ia):で示されるN−(ω−ウンデシレノイル)フェニルアラニンを、エマルジョン全重量の0.1%ないし5%の割合で含むことを特徴とする化粧料エマルジョン。