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タイトル:特許公報(B2)_比色分析方法およびそれに用いる試薬
出願番号:2003558197
年次:2008
IPC分類:C12Q 1/26,C12Q 1/32,G01N 33/52,G01N 33/66,G01N 33/92


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永川 健児 辻本 朋吾 西野 進 寺元 正明 川瀬 喜幸 JP 4090435 特許公報(B2) 20080307 2003558197 20030106 比色分析方法およびそれに用いる試薬 アークレイ株式会社 000141897 特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ 110000040 永川 健児 辻本 朋吾 西野 進 寺元 正明 川瀬 喜幸 JP 2001400379 20011228 20080528 C12Q 1/26 20060101AFI20080501BHJP C12Q 1/32 20060101ALI20080501BHJP G01N 33/52 20060101ALI20080501BHJP G01N 33/66 20060101ALI20080501BHJP G01N 33/92 20060101ALI20080501BHJP JPC12Q1/26C12Q1/32G01N33/52 CG01N33/66 CG01N33/92 B C12Q 1/00- 1/70 G01N 33/00-33/98 BIOSIS/WPI(DIALOG) PubMed 特開昭61−231440(JP,A) 特開昭59−020300(JP,A) 国際公開第03/057905(WO,A1) 14 JP2003000026 20030106 WO2003057904 20030717 29 20040520 三原 健治 【技術分野】【0001】 本発明は、比色分析方法およびそれに使用する試薬に関する。【背景技術】【0002】 臨床検査や生化学検査等の分野において、グルコース、コレステロール等の成分分析が行われており、その一手法として、比色分析がある。例えば、グルコースの比色分析では、まずグルコースオキシダーゼをグルコース(基質)に作用させて、グルコノラクトンおよび過酸化水素を発生させ、過酸化水素を、ペルオキシダーゼの存在下、トリンダー試薬等の発色剤により検出するのが一般的である。このように、過酸化水素を介して間接的に基質濃度を測定するという手法は、グルコースに限らず、コレステロール等の他の成分分析にも適用されている。【0003】 しかし、従来の比色分析では、つぎのような問題がある。まず、分析対象物を直接測定するのではなく、過酸化水素を介して、間接的に測定するため、測定に時間がかかり、例えば、グルコースの測定の場合、30〜60秒かかる。また、従来の比色分析法では、2種類の酵素反応系を同時に安定化する必要があり、条件設定が難しい。そして、酸素を必要とするため、従来の比色分析法では、酸素が不十分であると、反応が十分におこらないという問題もある。【発明の開示】【発明が解決しようとする課題】【0004】 本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、反応系が一段階であり、分析時間が短時間であり、分析値に信頼性がある比色分析方法の提供を、その目的とする。【課題を解決するための手段】【0005】 前記目的を達成するために、本発明の比色分析法は、分析対象物および電子の授受により色調を変化させる電子授受色調変化物質に酸化還元酵素を作用させ、前記分析対象物から前記電子授受色調変化物質への電子伝達の結果生じる前記電子授受色調変化物質の色調変化を測定することにより、前記分析対象物の定性若しくは定量を行う方法である。【発明の効果】【0006】 この方法によれば、1段階の反応であるため、反応系が簡単で安定性が良く、かつ測定時間も短くなり(例えば、グルコースを基質とした場合、約5秒以下での測定が可能)、また過酸化水素を介さず、かつ原理的に酸素の量に影響されないようにすることもできることから、分析値の信頼性も高い。【0007】 つぎに、本発明の試薬は、前記本発明の比色分析方法に使用される試薬であり、酸化還元酵素および電子の授受により色調を変化させる電子授受色調変化物質を含む試薬である。また、本発明の試験片は、前記本発明の試薬を含む試験片である。この試験片は、従来の過酸化水素を介する比色分析の試験片に比べ、極めて短時間で分析が可能であり、分析値の信頼性も高い。【0008】 なお、ビピリジル金属錯体を発光物質として使用する分析方法があるが(特開平10−253633号公報等)、本発明は比色分析方法に関するものであり、本発明と技術分野が全く異なる。同様に、ビピリジル金属錯体に、電極により直接印加して発消色反応を起こさせる技術もあるが(例えば、特開昭57−192483号広報)、本発明は、酸化還元酵素による電子の授受を利用するため、これも本発明と技術分野が全く異なる。【0009】 (図面の簡単な説明) 図1は、本発明の一実施例における反射率のグルコース濃度依存特性を示すグラフである。【0010】 図2は、本発明のその他の実施例における反射率のグルコース濃度依存特性を示すグラフである。【0011】 図3は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0012】 図4は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0013】 図5は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0014】 図6は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0015】 図7は、本発明のさらにその他の実施例における反射率のグルコース濃度依存特性を示すグラフである。【0016】 図8A〜図8Fは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0017】 図9A〜図9Dは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0018】 図10A〜図10Cは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0019】 図11は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0020】 図12は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0021】 図13A〜図13Cは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0022】 図14は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0023】 図15は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0024】 図16A〜図16Eは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0025】 図17Aと図17Bは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【0026】 図18A〜図18Cは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【発明を実施するための最良の形態】【0027】 本発明の比色分析方法、試薬および試験片において、前記電子授受色調変化物質は、遷移金属錯体が好ましい。遷移金属錯体としては、銅錯体、鉄錯体、ルテニウム錯体若しくはオスミウム錯体またはこれらの2種類以上の混合物が好ましい。また、前記遷移金属錯体の配位子の配位原子は、窒素、酸素および硫黄の少なくとも一つであることが好ましい。前記配位子としては、例えば、アンモニア、ビピリジル化合物、イミダゾール化合物、フェナントロリン化合物、エチレンジアミン化合物、アミノ酸、トリアジン化合物、ビキノリン化合物、ピリジルアゾ化合物、ニトロソ化合物、オキシン化合物、ベンゾチアゾール化合物、アセチルアセトン化合物、アントラキノン化合物、キサンテン化合物、シュウ酸および前記各化合物の誘導体が好ましい。前記配位子の配位座以外における水素原子の少なくとも一つは、置換基により置換されていてもよい。前記置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基、アリル基、フェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、スルホン基、スルホニル基、ニトロ基、ニトロソ基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノ基、アシル基、アミド基およびハロゲン基がある。前記遷移金属錯体は、2種類以上の配位子を持っていてもよい。すなわち、前記錯体は、混合配位子錯体でもよい。【0028】 本発明の比色分析方法、試薬および試験片において、酸化還元酵素は、脱水素酵素若しくは酸化酵素が好ましい。酵素量を多くすれば、反応が速くなるので好ましい。また、分析対象物は、例えば、グルコース、コレステロール、尿酸、乳酸、ピルビン酸、クレアチン、クレアチニン等であり、この場合の酸化還元酵素は、前記各物質に対応する脱水素酵素若しくは酸化酵素である。【0029】 本発明の比色分析方法、試薬および試験片において、電子授受色調変化物質に加え、さらにメディエータを使用することが好ましい。前記電子授受色調変化物質もメディエータであるが、これは電子の授受という機能だけではなく、これにより色調が変化するという機能も併せ持つ。したがって、追加的に使用するメディエータは、前記電子授受色調変化物質とは別のメディエータである。メディエータを用いると、電子の授受スピードが向上し、このため前記電子授受色調変化物質の色調変化のスピードも向上する。この結果、酸化還元酵素の使用量を少なくすることができ、コスト的に有利となる。前記メディエータとしては、例えば、オスミウム錯体、ルテニウム錯体等があり、具体例は、後述のとおりである。電子授受色調変化物質とメディエータの組み合わせとしては、電子授受色調変化物質が銅錯体で、メディエータがオスミウム錯体若しくはルテニウム錯体の組み合わせが好ましい。【0030】 本発明の試験片において、前記試薬に加え、さらに無機ゲルを含むことが好ましい。前記色調変化物質は、電子伝達の結果、還元されて色調変化を起こすが、周囲に酸素があると、再酸化されて退色するおそれがあるが、無機ゲルを含んでいれば、この退色を防止できる。【0031】 以下、本発明について、具体例を挙げてさらに詳しく説明する。【0032】 前述のように、本発明において、電子授受色調変化物質は、遷移金属錯体が好ましく、遷移金属錯体のなかでも、銅錯体、鉄錯体、ルテニウム錯体およびオスミウム錯体が好ましい。【0033】 (銅錯体) 銅錯体は、酵素からの電子伝達により、例えば、青色(Cu2+)から赤褐色(Cu+)に色調が変化する。銅錯体の配位子としては、例えば、アンモニア、ビピリジル化合物、イミダゾール化合物、フェナントロリン化合物、エチレンジアミン化合物、アミノ酸、トリアジン化合物、ビキノリン化合物、ピリジルアゾ化合物、ニトロソ化合物、オキシン化合物、ベンゾチアゾール化合物、アセチルアセトン化合物、アントラキノン化合物、キサンテン化合物、シュウ酸および前記各化合物の誘導体等の配位子があげられる。これらを2種類以上組み合わせて混合配位子としてもよい。【0034】 ビピリジルの場合、配位数は、4若しくは6であるが、安定性の見地から、ビピリジルは2個配位させることが好ましい。ビピリジルは、置換してなくても良いし、置換基を導入してもよい。置換基を導入することにより、例えば、溶解度や酸化還元電位等を調整することが可能となる。置換位置としては、4,4’位および5,5’位がある。置換基は、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基、アリル基、フェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、カルボキシ基、カルボニル基、スルホン基、スルホニル基、ニトロ基、ニトロソ基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノ基、アシル基、アミド基およびハロゲン基(例えば、臭素、塩素、ヨウ素等)がある。【0035】 ビピリジル銅錯体の例としては、例えば、[Cu(bipyridyl)2]、[Cu(4,4'-dimethyl-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(4,4'-diphenyl-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(4,4'-diamino-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(4,4'-dihydroxy-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(4,4'-dicarboxy-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(4,4'-dibromo-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(5,5'-dimethyl-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(5,5'-diphenyl-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(5,5'-diamino-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(5,5'-dihydroxy-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(5,5'-dicarboxy-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(5,5'-dibromo-2,2'-bipyridyl)2]、[Cu(bipyridyl)3]、[Cu(4,4'-dimethyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Cu(4,4'-diphenyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Cu(4,4'-diamino-2,2'-bipyridyl)3]、[Cu(4,4'-dihydroxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Cu(4,4'-dicarboxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Cu(4,4'-dibromo-2,2'-bipyridyl)3]、[Cu(5,5'-dimethyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Cu(5,5'-diphenyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Cu(5,5'-diamino-2,2'-bipyridyl)3]、[Cu(5,5'-dihydroxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Cu(5,5'-dicarboxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Cu(5,5'-dibromo-2,2'-bipyridyl)3]等がある。【0036】 イミダゾールの場合、配位数は、4である。イミダゾールは、置換してなくても良いし、置換基を導入してもよい。置換基を導入することにより、例えば、溶解度や酸化還元電位等を調整することが可能となる。置換位置としては、2位、4位および5位がある。置換基は、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基、アリル基、フェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、カルボキシ基、カルボニル基、スルホン基、スルホニル基、ニトロ基、ニトロソ基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノ基、アシル基、アミド基およびハロゲン基(例えば、臭素、塩素、ヨウ素等)がある。【0037】 イミダゾール銅錯体の例としては、例えば、[Cu(imidazole)4]、[Cu(4-metyl-imidazole)4]、[Cu(4-phenyl-imidazole)4]、[Cu(4-amino-imidazole)4]、[Cu(4-hydroxy-imidazole)4]、[Cu(4-carboxy-imidazole)4]、[Cu(4-bromo-imidazole)4]等がある。【0038】 アミノ酸としては、例えば、アルギニン(L−Arg)がある。アルギニン銅錯体は、溶解性が高いという利点を持つ。また、混合配位子として、例えば、ビピリジルとイミダゾールの組み合わせ、ビピリジルとアミノ酸の組み合わせがある。例えば、[Cu(imidazole)2(bipyridyl)]、[Cu(L-Arg)2(bipyridyl)]がある。混合配位子を用いると銅錯体に様々な性質を付与でき、例えば、アルギニンを用いると錯体の溶解性が向上する。【0039】 (鉄錯体) 鉄錯体は、酵素からの電子伝達により、例えば、黄色系(Fe3+)から赤色系(Fe2+)に色調が変化する。鉄錯体の配位子としては、例えば、アンモニア、ビピリジル化合物、イミダゾール化合物、フェナントロリン化合物、エチレンジアミン化合物、アミノ酸、トリアジン化合物、ビキノリン化合物、ピリジルアゾ化合物、ニトロソ化合物、オキシン化合物、ベンゾチアゾール化合物、アセチルアセトン化合物、アントラキノン化合物、キサンテン化合物、シュウ酸および前記各化合物の誘導体の配位子があげられる。これらを2種類以上組み合わせて混合配位子としてもよい。【0040】 ビピリジルの場合、配位数は、6である。ビピリジルは、置換してなくても良いし、置換基を導入してもよい。置換基を導入することにより、例えば、溶解度や酸化還元電位等を調整することが可能となる。置換位置としては、4,4’位および5,5’位がある。置換基は、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基、アリル基、フェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、カルボキシ基、カルボニル基、スルホン基、スルホニル基、ニトロ基、ニトロソ基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノ基、アシル基、アミド基およびハロゲン基(例えば、臭素、塩素、ヨウ素等)がある。【0041】 ビピリジル鉄錯体の例としては、例えば、[Fe(bipyridyl)3]、[Fe(4,4'-dimethyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Fe(4,4'-diphenyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Fe(4,4'-diamino-2,2'-bipyridyl)3]、[Fe(4,4'-dihydroxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Fe(4,4'-dicarboxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Fe(4,4'-dibromo-2,2'-bipyridyl)3]、[Fe(5,5'-dimethyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Fe(5,5'-diphenyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Fe(5,5'-diamino-2,2'-bipyridyl)3]、[Fe(5,5'-dihydroxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Fe(5,5'-dicarboxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Fe(5,5'-dibromo-2,2'-bipyridyl)3]等がある。【0042】 イミダゾールの場合、配位数は、6である。イミダゾールは、置換してなくても良いし、置換基を導入してもよい。置換基を導入することにより、例えば、溶解度や酸化還元電位等を調整することが可能となる。置換位置としては、2位、4位および5位がある。置換基は、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基、アリル基、フェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、カルボキシ基、カルボニル基、スルホン基、スルホニル基、ニトロ基、ニトロソ基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノ基、アシル基、アミド基およびハロゲン基(例えば、臭素、塩素、ヨウ素等)がある。【0043】 イミダゾール鉄錯体の例としては、例えば、[Fe(imidazole)6]、[Fe(4-metyl-imidazole)6]、[Fe(4-phenyl-imidazole)6]、[Fe(4-amino-imidazole)6]、[Fe(4-hydroxy-imidazole)6]、[Fe(4-carboxy-imidazole)6]、[Fe(4-bromo-imidazole)6]等がある。【0044】 アミノ酸としては、例えば、アルギニン(L−Arg)がある。アルギニン鉄錯体は、溶解性が高いという利点を一般的に持つ。また、混合配位子として、例えば、ビピリジルとイミダゾールの組み合わせ、ビピリジルとアミノ酸の組み合わせがある。例えば、[Fe(imidazole)2(bipyridyl)2]、[Fe(L-Arg)2(bipyridyl)2]がある。混合配位子を用いると錯体に様々な性質を付与でき、例えば、アルギニンを用いると錯体の溶解性が向上する。【0045】 (ルテニウム錯体) ルテニウム錯体の配位子としては、例えば、アンモニア、ビピリジル化合物、イミダゾール化合物、フェナントロリン化合物、エチレンジアミン化合物、アミノ酸、トリアジン化合物、ビキノリン化合物、ピリジルアゾ化合物、ニトロソ化合物、オキシン化合物、ベンゾチアゾール化合物、アセチルアセトン化合物、アントラキノン化合物、キサンテン化合物、シュウ酸および前記各化合物の誘導体の配位子があげられる。これらを2種類以上組み合わせて混合配位子としてもよい。【0046】 ビピリジルの場合、配位数は、6である。ビピリジルは、置換してなくても良いし、置換基を導入してもよい。置換基を導入することにより、例えば、溶解度や酸化還元電位等を調整することが可能となる。置換位置としては、4,4’位および5,5’位がある。置換基は、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基、アリル基、フェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、カルボキシ基、カルボニル基、スルホン基、スルホニル基、ニトロ基、ニトロソ基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノ基、アシル基、アミド基およびハロゲン基(例えば、臭素、塩素、ヨウ素等)がある。【0047】 ビピリジルルテニウム錯体の例としては、例えば、[Ru(bipyridyl)3]、[Ru(4,4'-dimethyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Ru(4,4'-diphenyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Ru(4,4'-diamino-2,2'-bipyridyl)3]、[Ru(4,4'-dihydroxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Ru(4,4'-dicarboxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Ru(4,4'-dibromo-2,2'-bipyridyl)3]、[Ru(5,5'-dimethyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Ru(5,5'-diphenyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Ru(5,5'-diamino-2,2'-bipyridyl)3]、[Ru(5,5'-dihydroxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Ru(5,5'-dicarboxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Ru(5,5'-dibromo-2,2'-bipyridyl)3]等がある。【0048】 イミダゾールの場合、配位数は、6である。イミダゾールは、置換してなくても良いし、置換基を導入してもよい。置換基を導入することにより、例えば、溶解度や酸化還元電位等を調整することが可能となる。置換位置としては、2位、4位および5位がある。置換基は、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基、アリル基、フェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、カルボキシ基、カルボニル基、スルホン基、スルホニル基、ニトロ基、ニトロソ基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノ基、アシル基、アミド基およびハロゲン基(例えば、臭素、塩素、ヨウ素等)がある。【0049】 イミダゾールルテニウム錯体の例としては、例えば、[Ru(imidazole)6]、[Ru(4-metyl-imidazole)6]、[Ru(4-phenyl-imidazole)6]、[Ru(4-amino-imidazole)6]、[Ru(4-hydroxy-imidazole)6]、[Ru(4-carboxy-imidazole)6]、[Ru(4-bromo-imidazole)6]等がある。【0050】 アミノ酸としては、例えば、アルギニン(L−Arg)がある。アルギニンルテニウム錯体は、溶解性が高いという利点を持つ。また、混合配位子として、例えば、ビピリジルとイミダゾールの組み合わせ、ビピリジルとアミノ酸の組み合わせがある。例えば、[Ru(imidazole)2(bipyridyl)2]、[Ru(L-Arg)2(bipyridyl)2]がある。混合配位子を用いると錯体に様々な性質を付与でき、例えば、アルギニンを用いると錯体の溶解性が向上する。【0051】 (オスミウム錯体) オスミウム錯体は、酵素からの電子伝達により、例えば、橙色系(Os3+)から茶褐色系色(Os2+)に色調が変化する。オスミウム錯体の配位子としては、例えば、アンモニア、ビピリジル化合物、イミダゾール化合物、フェナントロリン化合物、エチレンジアミン化合物、アミノ酸、トリアジン化合物、ビキノリン化合物、ピリジルアゾ化合物、ニトロソ化合物、オキシン化合物、ベンゾチアゾール化合物、アセチルアセトン化合物、アントラキノン化合物、キサンテン化合物、シュウ酸および前記各化合物の誘導体の配位子があげられる。これらを2種類以上組み合わせて混合配位子としてもよい。【0052】 ビピリジルの場合、配位数は、6である。ビピリジルは、置換してなくても良いし、置換基を導入してもよい。置換基を導入することにより、例えば、溶解度や酸化還元電位等を調整することが可能となる。置換位置としては、4,4’位および5,5’位がある。置換基は、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基、アリル基、フェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、カルボキシ基、カルボニル基、スルホン基、スルホニル基、ニトロ基、ニトロソ基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノ基、アシル基、アミド基およびハロゲン基(例えば、臭素、塩素、ヨウ素等)がある。【0053】 ビピリジルオスミウム錯体の例としては、例えば、[Os(bipyridyl)3]、[Os(4,4'-dimethyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Os(4,4'-diphenyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Os(4,4'-diamino-2,2'-bipyridyl)3]、[Os(4,4'-dihydroxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Os(4,4'-dicarboxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Os(4,4'-dibromo-2,2'-bipyridyl)3]、[Os(5,5'-dimethyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Os(5,5'-diphenyl-2,2'-bipyridyl)3]、[Os(5,5'-diamino-2,2'-bipyridyl)3]、[Os(5,5'-dihydroxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Os(5,5'-dicarboxy-2,2'-bipyridyl)3]、[Os(5,5'-dibromo-2,2'-bipyridyl)3]等がある。【0054】 イミダゾールの場合、配位数は、6である。イミダゾールは、置換してなくても良いし、置換基を導入してもよい。置換基を導入することにより、例えば、溶解度や酸化還元電位等を調整することが可能となる。置換位置としては、2位、4位および5位がある。置換基は、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等)、アリール基、アリル基、フェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基等)、カルボキシ基、カルボニル基、スルホン基、スルホニル基、ニトロ基、ニトロソ基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノ基、アシル基、アミド基およびハロゲン基(例えば、臭素、塩素、ヨウ素等)などのハロゲン基がある。【0055】 イミダゾールオスミウム錯体の例としては、例えば、[Os(imidazole)6]、[Os(4-metyl-imidazole)6]、[Os(4-phenyl-imidazole)6]、[Os(4-amino-imidazole)6]、[Os(4-hydroxy-imidazole)6]、[Os(4-carboxy-imidazole)6]、[Os(4-bromo-imidazole)6]等がある。【0056】 アミノ酸としては、例えば、アルギニン(L−Arg)がある。アルギニンオスミウム錯体は、溶解性が高いという利点を持つ。また、混合配位子として、例えば、ビピリジルとイミダゾールの組み合わせ、ビピリジルとアミノ酸の組み合わせがある。例えば、[Os(imidazole)2(bipyridyl)2]、[Os(L-Arg)2(bipyridyl)2]がある。混合配位子を用いると錯体に様々な性質を付与でき、例えば、アルギニンを用いると錯体の溶解性が向上する。【0057】 以上の遷移金属錯体の説明は、遷移金属の種類に着目して例を挙げたものであり、本発明は、これらに限定されない。以下、遷移金属錯体について、配位子に着目して説明する。【0058】 N、O、Sの配位原子をもつ配位子とは、分子内に、例えば、=N-OH、-COOH、-OH、-SH、>C=Oなどの基を持っているものをいう。このような配位子を持つ金属錯体としては、例えば、NNキレート、NOキレート、NSキレート、OOキレート、OSキレート、SSキレート(二座配位)、Nキレート(単座)、NNNキレート(三座)等があり、組み合わせは多種に及ぶ。配位子に二重結合を有しているものを選べば、Cu、Fe、Ru、Osの金属は電子伝達/授受機能がつきやすい。配位子としては、好ましくは芳香環を有しているものが良い。前述のように、配位子に、様々な置換基を導入してもよい。例えば、スルホン基などを導入すれば、金属錯体の溶解度の上昇につながる。金属錯体を形成させる際に、配位子を二種以上混在させ、混合配位子錯体としても使用しても良い。例えば、配位子の一つとして、アミノ酸を混在させておけば酵素との親和性が良くなったりする場合がある。また、中心金属の一部のサイトに各種ハロゲン(例えば、Cl、F、Br、I)を付けるなどしても良い。以下に、配位のタイプ別の分類した遷移金属錯体の一例を示す。【0059】 (NN配位型)フェナントロリン誘導体Cu + 1,10-PhenanthorolineFe + 1,10-PhenanthorolineCu + BathophenanthrolineFe + BathophenanthrolineCu + Bathophenanthroline sulfonic acidFe + Bathophenanthroline sulfonic acidビピリジル誘導体Cu + 2,2'-BipyridylFe + 2,2'-BipyridylFe + 4,4'-Diamino-2,2'-bipyridylRu + 4,4'-Diamino-2,2'-bipyridylトリアジン誘導体Cu + TPTZ (2,4,6-Tripyridyl-S-triazine)Fe + TPTZ (2,4,6-Tripyridyl-S-triazine)Fe + PDTS (3-(2-Pyridyl)-5,6-bis(4-sulfophenyl)-1,2,4-triazine)ビキノリン誘導体Cu + Cuproin (2,2'-Biquinoline)ピリジルアゾ誘導体Fe + Nitro-PAPS (2-(5-Nitro-2-pyridylazo)-5-[N-n-propyl-N-(3-sulfopropyl)amino]phenol) (NO配位型)Fe + Nitroso-PSAP (2-Nitroso-5-[N-n-propyl-N-(3-sulfopropyl)amino]phenol)Fe + Nitroso-ESAP (2-Nitroso-5-[N-ethyl-N-(3-sulfopropyl)amino]phenol)Fe + 1-Nitroso-2-Naphthol (NS配位型)Fe + 2-Amino-4-thiazole acetic acid (OO配位型)Fe + 1,2-Naphthoquinone-4-Sulfonic acid (混合配位子型)Os + Cl, Imidazole, 4,4'-Dimethyl-2,2'-BipyridylOs + Imidazole, 4,4'-Dimethyl-2,2'-BipyridylCu + L-Arginine, 2,2'-BipyridylCu + Ethylenediamine, 2,2'-BipyridylCu + Imidazole, 2,2'-Bipyridyl つぎに、本発明の比色分析方法を試験片に適用した例について、電子授受色調変化物質として銅錯体を使用し、かつグルコースを分析対象とした場合を例にとり説明する。なお、コレステロール等のその他の成分分析は、それに応じて酸化還元酵素を変える以外は、基本的に同様である。【0060】 まず、ビピリジル銅錯体を準備する。これは、市販品を使用してもよいが、自家調製でもよい。例えば、CuCl2と2,2’−ビピリジル(bpy)を、約60〜90℃の温浴中で混合し、[Cu(bpy)2]Cl2を合成する。CuCl2と2,2’−ビピリジル(bpy)のモル比は、例えば、1:2である。また、ビピリジル銅錯体水溶液の濃度は、例えば、1〜10質量%である。このビピリジル銅錯体水溶液にバインダーを溶解し、さらに、このバインダー液に、グルコースデヒドロゲナーゼ(GDH)を溶解して、試薬液とする。バインダーとしては、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリルアミド、牛血清アルブミン(BSA)等があり、このなかで、HPCが好ましい。また、バインダーの濃度は、例えば、0.5〜5質量%の範囲である。GDHの濃度は、例えば、1000〜50000U/mlである。そして、前記試薬液をろ紙等の多孔質シートに含浸させ、その後乾燥させることにより、グルコース分析用の試験片が作成できる。なお、前記試薬液の含浸に先立ち、無機ゲル溶液を前記多孔質シートに含浸させ、乾燥させることが好ましい。無機ゲルとしては、例えば、スメクタイト等がある。前記無機ゲル溶液の無機ゲル濃度は、例えば、1〜5質量%、好ましくは1〜3質量%、より好ましくは1.5〜2質量%である。前記無機ゲル溶液には、CHAPS等の両性界面活性剤を含有させてもよい。前記無機ゲル溶液全体に対する前記両性界面活性剤の濃度は、例えば、0.1〜2質量%、好ましくは0.1〜1質量%、より好ましくは0.2〜0.4質量%である。前記無機ゲルの前記多孔質シートに対する含浸量は、多孔質シート空隙体積基準で、例えば、1〜50mg/cm3、好ましくは、10〜30mg/cm3、より好ましくは15〜20mg/cm3である。前記多孔質シートは、孔径が厚み方向若しくはシート面方向にしたがい変化する非対称多孔質膜でもよい。この試験片は、当初青色であるが、血液等のグルコースを含む試料を点着すると、その濃度に応じ、赤褐色に変化する。この色調変化により、グルコースの定性若しくは定量分析が可能である。また、分析に必要な時間は、試料点着後、約2〜3秒である。この試験片に無機ゲルが含浸させてあれば、色調変化後の再酸化による退色が防止され、測定に供する時間を幅広くとることが可能となる。【0061】 前記無機ゲルは、例えば、膨潤性粘土鉱物を使用することが好ましい。膨潤性粘土鉱物のうち、更に好ましいものはベントナイト、スメクタイト、バーミキュライトまたは合成フッ素雲母であり、特に好ましくは合成ヘクトライトもしくは合成サポナイト等の合成スメクタイト、または合成フッ素雲母で代表される膨潤性合成雲母(又はNa型雲母)等の合成雲母(天然の雲母は通常非膨潤性の粘土鉱物である)である。【0062】 つぎに、本発明の比色分析方法を、液系分析に適用した例を、電子授受色調変化物質として銅錯体を使用し、かつグルコースを分析対象とした場合を例にとり説明する。なお、コレステロール等のその他の成分分析は、それに応じて酸化還元酵素を変える以外は、基本的に同様である。【0063】 すなわち、前述のようにして、銅錯体[Cu(bpy)2]Cl2を合成する。この銅錯体とGDHとを、緩衝液に溶解して試薬液を調製する。なお、水に溶解してもよいが、緩衝液に溶解するのが好ましい。緩衝液のpHは、例えば、pH6〜8の範囲であり、好ましくはpH6.5〜7の範囲である。また、銅錯体の濃度は、例えば、0.1〜60mMであり、好ましくは0.2〜10mMであり、より好ましくは0.3〜0.6mMである。GDHの濃度は、例えば、10〜1000U/mlであり、好ましくは、50〜500U/mlであり、より好ましくは、100〜200U/mlである。この試薬液に血液等のグルコースを含む検体を添加すると、例えば、5秒以内の短時間に、前記試薬液の色が、検体のグルコース濃度に応じ、青色から赤褐色に変化する。この変化は目視で確認しても良いし、分光光度計等の光学系測定装置を用いて測定してもよい。前記検体の添加量は、前記試薬液1mlに対し、例えば、1〜100μlの範囲であり、好ましくは3〜10μlの範囲であり、より好ましくは5〜10μlの範囲である。【0064】 前述のように、本発明の比色分析方法において、電子授受色調変化物質に加え、オスミウム錯体、ルテニウム錯体等のメディエータを使用することが好ましい。このメディエータの使用量は、試験片の場合、前記試薬液全体に対し、例えば、0.1〜50mMであり、好ましくは0.5〜10mMであり、より好ましくは1〜3mMであり、液系分析の場合、前記試薬液全体に対し、例えば、0.1〜10mMであり、好ましくは0.1〜1mMであり、より好ましくは0.1〜0.3mMである。これらの至適濃度は、用いられるメディエータの種類によって変わる。【0065】 (実施例) つぎに、本発明の実施例について説明する。なお、以下においてPQQは、ピロロキノリンキノンを示し、その他の試薬の詳細は以下のとおりである。【0066】【表1】【実施例1】【0067】 CuCl2と2,2’−ビピリジルをモル比1:2で約80℃の温浴中で混合し、[Cu(bpy)2]Cl2・6H2O水溶液(濃度80mM)を調製した。他方、HPC−Mをビピリジル銅錯体水溶液に溶解し(濃度2質量%)、一度50℃まで加熱した後、25℃まで冷却した。この水溶液に、さらにGDHを50000U/mlの濃度で溶解し、試薬液を調製した。つぎに、孔径が厚み方向に変化している非対称性多孔質膜(製品番号BTS−25、USフィルター社製)を準備し、予め、前記多孔質膜の目が細かい方の面から無機ゲル(製品番号ラポナイトXLG、ROOKWOOD Additives社製)の水溶液(2質量%)を含浸させた後、乾燥させた。次に、前記多孔質膜の目が粗い方の面から、試薬液を2μl点着し、送風乾燥させ、円形のスポット(薄青色)を形成した。このスポット部分を切り抜き、これを孔つきのPETフィルムで挟んで、目的とするグルコース分析用試験片を作製した。【0068】 この試験片に対し、4種類のグルコース濃度の血清(0mg/ml、2mg/ml、4mg/ml、6mg/ml)を点着し、点着5秒後に反射率測定装置で色調変化を測定した(波長470nm)。この結果を、図1のグラフに示す。図示のように、この試験片では、点着5秒以内に、グルコース濃度に応じて発色した。このグルコース濃度に応じた発色(赤褐色)は、目視によっても観察することができた。また、発色に要した時間は2〜3秒であった。なお、前記グルコース添加血清は、解糖しきったヒト全血の血漿を凍結融解し、得られた血清に対して、前記種々濃度でグルコースを添加して調製した。【実施例2】【0069】 塩化銅(II)0.01molを30mlの熱水に溶解させ、これに2,2’−ビピリジル0.02molを加えて攪拌した。その後、冷却して六水和物を結晶として析出し、[Cu(bpy)2]Cl2・6H2Oを得た。この銅錯体を含む下記の反応試薬1mlを光路長10mmのマイクロセルに入れ、分光光度計(日本分光社製V-550型)にて波長300nm〜900nmの吸収スペクトルを測定し、これをブランク(酸化型)とした。このセル中に500mMグルコース水溶液を10μl添加して攪拌し、直ちにスペクトルを測定した。この結果を図2のグラフに示す。図示のように、酵素反応により銅錯体は還元され、短波長側で発色が確認できた。【0070】 (反応試薬組成)[Cu(bpy)2]Cl2 0.4mMPIPES(pH7.0) 50mMPQQGDH 200U/ml【実施例3】【0071】 塩化銅(II)0.01molおよび2,2’−ビピリジル0.033molを少量の水に加え、完全に溶解するまで加熱したのち、冷却すると、[Cu(bpy)3]Cl2・6H2Oが結晶として析出した。この銅錯体を含む下記の反応試薬1mlを光路長10mmのマイクロセルに入れ、分光光度計(日本分光社製V-550型)にて波長300nm〜900nmの吸収スペクトルを測定し、これをブランク(酸化型)とした。このセル中に500mMグルコース水溶液を10μl添加して攪拌し、直ちにスペクトルを測定した。この結果を図3のグラフに示す。図示のように、酵素反応により銅錯体は還元され、短波長側で発色が確認できた。【0072】 (反応試薬組成)[Cu(bpy)3]Cl2 0.4mMPIPES(pH7.0) 50mMPQQGDH 200U/ml【実施例4】【0073】 塩化銅(II)0.01molを10mlの熱水に、エチレンジアミン(en)0.01molを10mlの熱水に、2,2’−ビピリジル0.01molを10mlの熱エタノールに、それぞれ溶解し、これら3液を混合し、青色の溶液を得た。この溶液を冷却濃縮して、[Cu(en)(bpy)]Cl2の針状結晶を得た。この銅錯体を含む下記の反応試薬1mlを光路長10mmのマイクロセルに入れ、分光光度計(日本分光社製V-550型)にて波長300nm〜900nmの吸収スペクトルを測定し、これをブランク(酸化型)とした。このセル中に500mMグルコース水溶液を10μl添加して攪拌し、直ちにスペクトルを測定した。この結果を図4のグラフに示す。図示のように、酵素反応により銅錯体は還元され、短波長側で発色が確認できた。【0074】 (反応試薬)[Cu(en)(bpy)]Cl2 0.4mMPIPES(pH7.0) 50mMPQQGDH 200U/ml【実施例5】【0075】 511mg(3.0mmol、1.0eq.)の塩化銅(II)二水和物CuCl2・2H2Oを10mLの熱水に溶解し塩化銅水溶液を調製した。これとは別に、408mg(6.0mmol、2.0eq.)のイミダゾールを10mLの水に溶かしたものと、69mg(3.0mmol、1.0eq.)の2,2’−ビピリジルを10mLのエタノールに溶かしたものとを混合した溶液を調製した。この混合溶液を、塩化銅水溶液に加え、[Cu(Him)2(bpy)]Cl2の濃青色溶液を調製した。この銅錯体を含む下記の反応試薬1mlを光路長10mmのマイクロセルに入れ、分光光度計(日本分光社製V-550型)にて波長300nm〜900nmの吸収スペクトルを測定し、これをブランク(酸化型)とした。このセル中に500mMグルコース水溶液を10μl添加して攪拌し、直ちにスペクトルを測定した。この結果を図5のグラフに示す。図示のように、酵素反応により銅錯体は還元され、短波長側で発色が確認できた。【0076】 (反応試薬)[Cu(Him)2(bpy)]Cl2 1mMPIPES(pH7.0) 50mMPQQGDH 1000U/ml【実施例6】【0077】 塩化銅(II)0.01molを10mlの熱水に、L-アルギニン0.01molを10mlの熱水に、2,2’−ビピリジル0.01molを10mlの熱エタノール、それぞれ溶解し、これら3液を混合して濃青色の溶液を得た。この溶液を冷却濃縮して、[Cu(L-Arg)(bpy)]Cl2の針状結晶を得た。この銅錯体を含む下記の反応試薬1mlを光路長10mmのマイクロセルに入れ、分光光度計(日本分光社製V-550型)にて波長300nm〜900nmの吸収スペクトルを測定し、これをブランク(酸化型)とした。このセル中に500mMグルコース水溶液を10μl添加して攪拌し、直ちにスペクトルを測定した。この結果を図6のグラフに示す。図示のように、酵素反応により銅錯体は還元され、短波長側で発色が確認できた。【0078】 (反応試薬)[Cu(L-Arg)(bpy)]Cl2 1mMPIPES(pH7.0) 50mMPQQGDH 1000U/ml【実施例7】【0079】 孔径が厚み方向に変化している非対称性多孔質膜(製品番号BTS−25、USフィルター社製)を準備し、予め、前記多孔質膜の目が細かい方の面から下記組成の無機ゲル水溶液(2質量%)を含浸させた後、乾燥させた。次に、前記多孔質膜の目が粗い方の面から、下記組成の試薬液を2μl点着し、送風乾燥させ、円形のスポット(薄青色)を形成した。このスポット部分を切り抜き、これを孔つきのPETフィルムで挟んで、目的とするグルコース分析用試験片を作製した。【0080】 (無機ゲル水溶液組成)スメクタイト(実施例1と同一製品) 1.8質量%CHAPS(界面活性剤) 0.4質量% (試薬液)[Cu(bpy)2]Cl2 80mM[OsCl(Him)(dmbpy)2]Cl3 3mMPQQ-GDH 1000U/mlBSA 5%CHAPS 0.4% この試験片に対し、4種類のグルコース濃度の血清(0mg/ml、2mg/ml、4mg/ml、6mg/ml)を点着し、点着5秒後に反射率測定装置で色調変化を測定した(波長470nm)。この結果を、図7のグラフに示す。図示のように、この試験片では、点着後直ちに、グルコース濃度に応じて発色した。このグルコース濃度に応じた発色(赤褐色)は、目視によっても観察することができた。また、発色は瞬時に起こった。なお、前記グルコース添加血清は、解糖しきったヒト全血の血漿を凍結融解し、得られた血清に対して、前記種々濃度でグルコースを添加して調製した。【実施例8】【0081】 下記組成の試薬液100μlに対して、グルコース水溶液500mMを10μl添加した。すると、1分以内に、前記試薬液の当初の色調である緑色が、赤褐色に変化するのを、目視で確認できた。なお、前記試薬液の当初の色調が緑色なのは、GODに含まれる補酵素FADの黄色と、銅の青色とが混ざって緑色となるためである。【0082】 (試薬液組成)GOD(Sigma社製、比活性209U/mg) 50mg/ml[Cu(bpy)2]Cl2 40mMPIPES(pH7) 50mMCHAPS 0.1質量%【実施例9】【0083】 下記組成の試薬液100μlに対して、グルコース水溶液500mMを10μl添加した。すると、5秒以内に、前記試薬液の当初の色調である緑色が、赤褐色に変化するのを、目視で確認できた。なお、前記試薬液の当初の色調が緑色なのは、GODに含まれる補酵素FADの黄色と、銅の青色とが混ざって緑色となるためである。【0084】 (試薬液組成)GOD(Sigma社製、比活性209U/mg) 50mg/ml[Cu(bpy)2]Cl2 40mM[OsCl(Him)(dmbpy)2]Cl2 0.3mMPIPES(pH7) 50mMCHAPS 0.1質量%【実施例10】【0085】 種々の配位子を有する銅錯体を作製した。すなわち、塩化銅(II)と、以下の配位子をモル比1:2で混合、精製水で溶かし、約80℃の温浴中で10分間インキュベートして配位させ、錯溶液を得た。【0086】【表2】【実施例11】【0087】 配位子として、以下に示す配位子とビピリジルを用い、銅の混合配位子錯体を作製した。すなわち、銅:以下の配位子:ビピリジルをモル比1:2:1で混合し、精製水で溶かし、約80℃の温浴中で10分間インキュベートして配位させ、以下の配位子を得た。【0088】【表3】【実施例12】【0089】 種々の配位子を用いて鉄錯体を作製した。塩化鉄(III)と以下の配位子をモル比1:3で混合、精製水で溶かし、約80℃の温浴中で10分間インキュベートして配位させ、錯溶液を得た。【0090】【表4】【実施例13】【0091】 以下のようにして、2種類のルテニウム錯体を作製した。【0092】 [Ru(NH3)6] まず、市販のルテニウム錯体(Aldrich社 Hexaammineruthenium(III) chloride)を水溶して、[Ru(NH3)6]の錯溶液を得た。【0093】 [Ru(4,4'-Diamino-2,2'-bipyridyl)3] <配位子> 11.8g(63.0mmol)の2,2'-Bipyridil-N,N'-dioxide(Aldrich社製)を氷浴で冷やした濃硫酸120mlにゆっくり溶かし、反応液を100℃に加熱した。次に硝酸カリウム64.0g(630mmol)の100ml濃硫酸溶液をゆっくりと滴下し、その後1時間加熱攪拌した。反応後、溶液を室温まで放冷し、砕氷へ注ぎ、4,4'-Dinitro-2,2'-bipyridyl-N,N'-oxide の固体を濾過して得た。アルゴン気流下、4,4'-Dinitro-2,2'-bipyridyl-N,N'-oxide 7.0g(25mM)、10%パラジウム炭素6.0gをエタノール23mlに懸濁させた。この溶液にヒドラジン一水和物6.3g(126mmol)の47mlエタノール溶液を滴下し、8時間還流した。反応液を放冷後、濾過し、濾液を濃縮した。精製はシリカゲルカラムで行い、4,4'-Diamino-2,2'-bipyridylを得た。【0094】 <合成> 50mLの2つ首フラスコにエチレングリコール(10mL)を入れ、DA-bpy(0.2g)、RuCl3(0.1g)を順次、撹拌溶解させ、N2気流下で強撹拌しながらマントルヒーターで加熱し、約4時間還流した。【0095】 <精製> N2気流下で撹拌・放冷した後100mLのナス型フラスコに移し、反応液をアセトン(5mL)+ジエチルエーテル(20mL)で洗浄した。溶媒のエチレングリコールが十分に除かれるまで、反応液をアセトン(5mL)+ジエチルエーテル(20mL)で繰り返し洗浄した。十分に洗浄した目的物をエタノールで溶解させ、ジエチルエーテルを加えることによって目的物を沈殿させた。ジエチルエーテルで洗浄しながら濾別し、減圧乾燥させて、[Ru(4,4'-Diamino-2,2'-bipyridyl)3]の固体を得た。これを水溶して、錯溶液を得た。【実施例14】【0096】 以下のようにして、2種類のオスミウム錯体を作製した。【0097】 [OsCl(Him)(dmbpy)2] <合成> (NH4)2[OsCl6]2.00g(4.56mmol、Aldrich)と4,4'-Dimethyl-2,2'-bipyridyl(dmbpy 和光純約薬)1.68g(9.11mmol)を窒素気流下、エチレングリコール60ml中で1h還流した。室温まで冷却した後、1M亜二チオン酸ナトリウム水溶液120mlを30minかけて加え、氷浴中で30min冷却した。得られた沈澱を減圧ろ過し、十分に水で洗浄した(500〜1000ml使用)。さらにジエチルエーテルで2度洗浄した後、減圧乾燥した。これで[OsCl2(dmbpy)2]を1.5〜1.7g得る。得られた[OsCl2(dmbpy)2]1.56g(2.60mmol)とImidazole(Him)0.36g(5.2mmol)を窒素気流下、水/メタノール混合溶媒50ml中で2h還流した。室温まで冷却した後、飽和NaCl水溶液300mlを加えた。得られた沈澱を減圧ろ過し、飽和NaCl水溶液で洗浄した後、減圧乾燥し、[OsCl(Him)(dmbpy)2]Cl2を得た。【0098】 <精製> [OsCl(Him)(dmbpy)2]Cl2をできるだけ少量のアセトニトリル/メタノール(1:1v/v)で溶かし、カラムクロマトグラフィー(吸着剤:活性アルミナ,展開溶媒:アセトニトリル/メタノール)で精製した。溶媒をエバポレートした後、少量のアセトンに溶かし、ジエチルエーテルで再沈澱させた。得られた沈澱を減圧ろ過した後、減圧乾燥した。これを水溶して錯溶液を得た。【0099】 [Os(Him)2(dmbpy)2] <合成> (NH4)2[OsCl6]2.00g(4.56mmol)とdmbpy1.68g(9.11mmol)を窒素気流下、エチレングリコール60ml中で1h還流した。室温まで冷却した後、1M亜二チオン酸ナトリウム水溶液120mlを30minかけて加え、氷浴中で30min冷却した。得られた沈澱を減圧ろ過し、十分に水で洗浄した(500〜1000ml使用)。さらにジエチルエーテルで2度洗浄した後、減圧乾燥した。これで[OsCl2(dmbpy)2]を1.5〜1.7g得る。得られた[OsCl2(dmbpy)2]1.56g(2.60mmol)とHim0.36g(5.2mmol)を窒素気流下、1,2−エタンジオール溶媒50ml中で2h還流した。室温まで冷却した後、飽和NaCl水溶液300mlを加えた。得られた沈澱を減圧ろ過し、飽和NaCl水溶液で洗浄した後、減圧乾燥し、[Os(Him)2(dmbpy)2]Cl2を得た。【0100】 <精製> [Os(Him)2(dmbpy)2]Cl2をできるだけ少量のアセトニトリル/メタノール(1:1v/v)で溶かし、カラムクロマトグラフィー(吸着剤:活性アルミナ,展開溶媒:アセトニトリル/メタノール)で精製した。溶媒をエバポレートした後、少量のアセトンに溶かし、ジエチルエーテルで再沈澱させた。得られた沈澱を減圧ろ過した後、減圧乾燥した。これを水溶して錯溶液を得た。【実施例15】【0101】 以下の試薬液組成1〜6で、NN配位型フェナントロリン配位子の錯体、酵素、緩衝液を混合し、試薬液を調製した。このスペクトルを測定し、ブランクとし、さらに錯体に対し当量のGlucoseを添加し、色調変化後のスペクトルを測定した。この結果を、図8A〜図8Fに示す。なお、錯体は、前述の実施例により調製したものを使用した。【0102】 (試薬液組成1:図8A)PQQ-GDH 50U/mL[Cu(1,10-Phenanthroline)2] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5% (試薬液組成2:図8B)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(1,10-Phenanthroline)3] 0.1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5% (試薬液組成3:図8C)PQQ-GDH 50U/mL[Cu(Bathophenanthroline)2] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(Bathophenanthroline=4,7-Diphenyl phenanthoroline) (試薬液組成4:図8D)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(Bathophenanthroline)3] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(Bathophenanthroline=4,7-Diphenyl phenanthoroline) (試薬液組成5:図8E)PQQ-GDH 50U/mL[Cu(Bathophenanthroline Sulfonic Acid)2] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5% (試薬液組成6:図8F)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(Bathophenanthroline sulfonic acid)3] 0.1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%【実施例16】【0103】 以下の試薬液組成1〜4で、NN配位型ビピリジル配位子の錯体、酵素、緩衝液を混合し、試薬液を調製した。このスペクトルを測定し、ブランクとし、さらに錯体に対し当量のGlucoseを添加し、色調変化後のスペクトルを測定した。この結果を、図9A〜図9Dに示す。なお、錯体は、前述の実施例により調製したものを使用した。【0104】 (試薬液組成1:図9A)PQQ-GDH 50U/mL[Cu(2,2'-Bipyridyl)2] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5% (試薬液組成2:図9B)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(2,2'-Bipyridyl)3] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5% (試薬液組成3:図9C)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(4,4'-Diamino-2,2'-bipyridyl)3] 0.1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5% (試薬液組成4:図9D)PQQ-GDH 50U/mL[Ru(4,4'-Diamino-2,2'-bipyridyl)3] 10mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%【実施例17】【0105】 以下の試薬液組成1〜3で、NN配位型トリアジン配位子の錯体、酵素、緩衝液を混合し、試薬液を調製した。このスペクトルを測定し、ブランクとし、さらに錯体に対し当量のGlucoseを添加し、色調変化後のスペクトルを測定した。この結果を、図10A〜図10Cに示す。なお、錯体は、前述の実施例により調製したものを使用した。【0106】 (試薬液組成1:図10A)PQQ-GDH 50U/mL[Cu(TPTZ)2] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(TPTZ=2,4,6-Tripyridyl-s-triazine) (試薬液組成2:図10B)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(TPTZ)3] 0.1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(TPTZ=2,4,6-Tripyridyl-s-triazine) (試薬液組成3:図10C)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(PDTS)3] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(PDTS=3-(2-Pyridyl)-5,6-bis(4-sulfophenyl)-1,2,4-triazine)【実施例18】【0107】 以下の試薬液組成で、NN配位型ビキノリン配位子の錯体、酵素、緩衝液を混合し、試薬液を調製した。このスペクトルを測定し、ブランクとし、さらに錯体に対し当量のGlucoseを添加し、色調変化後のスペクトルを測定した。この結果を、図11に示す。なお、錯体は、前述の実施例により調製したものを使用した。【0108】 (試薬液組成)PQQ-GDH 50U/mL[Cu(Cuproin)2] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(Cuproin=2,2'-Biquinoline)【実施例19】【0109】 以下の試薬液組成で、NN配位型ピリジルアゾ配位子の錯体、酵素、緩衝液を混合し、試薬液を調製した。このスペクトルを測定し、ブランクとし、さらに錯体に対し当量のGlucoseを添加し、色調変化後のスペクトルを測定した。この結果を、図12に示す。なお、錯体は、前述の実施例により調製したものを使用した。【0110】 (試薬液組成)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(Nitro-PAPS)3] 0.02mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(Nitro-PAPS=2-(5-Nitro-2-pyridylazo)-5-[N-n-propyl-N-(3-sulfopropyl)amino]phenol)【実施例20】【0111】 以下に示す組成で、錯体・酵素(ピルビン酸オキシダーゼ)・発色剤・緩衝液を混合して試薬液を調製し、これをスペクトル測定し、ブランクとし、さらに前記錯体に対し当量のGlucoseを添加し、色調変化後のスペクトルを測定した。この結果を図15に示す。図示のように、金属錯体が電子伝達剤として働いてMTTを還元し、還元型MTT特有のスペクトルを示した。【0112】 (試薬液組成)Pyruvate Oxidase 100U/mL[OsCl(Him)(dmbpy)2] 0.1mMMTT 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(Him=Imidazole)(dmbpy=4,4'-Dimethyl-2,2'-bipyridyl)【実施例21】【0113】 以下の試薬液組成1〜3で、NO配位型配位子の錯体、酵素、緩衝液を混合し、試薬液を調製した。このスペクトルを測定し、ブランクとし、さらに錯体に対し当量のGlucoseを添加し、色調変化後のスペクトルを測定した。この結果を、図13A〜図13Cに示す。なお、錯体は、前述の実施例により調製したものを使用した。【0114】 (試薬液組成1:図13A)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(Nitroso-PSAP)3] 0.05mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(Nitroso-PSAP=2-Nitroso-5-[N-n-propyl-N-(3-sulfopropyl)amino]phenol) (試薬液組成2:図13B)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(Nitroso-ESAP)3] 0.1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(Nitroso-ESAP=2-Nitroso-5-[N-ethyl-N-(3-sulfopropyl)amino]phenol) (試薬液組成3:図13C)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(1-Nitroso-2-Naphthol)3] 0.1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%【実施例21】【0115】 以下の試薬液組成で、NS配位型配位子の錯体、酵素、緩衝液を混合し、試薬液を調製した。このスペクトルを測定し、ブランクとし、さらに錯体に対し当量のGlucoseを添加し、色調変化後のスペクトルを測定した。この結果を、図14に示す。なお、錯体は、前述の実施例により調製したものを使用した。【0116】 (試薬液組成)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(2-Amino-4-thiazoleacetic acid)3] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%【実施例22】【0117】 以下の試薬液組成で、OO配位型配位子の錯体、酵素、緩衝液を混合し、試薬液を調製した。このスペクトルを測定し、ブランクとし、さらに錯体に対し当量のGlucoseを添加し、色調変化後のスペクトルを測定した。この結果を、図15に示す。なお、錯体は、前述の実施例により調製したものを使用した。【0118】 (試薬液組成)PQQ-GDH 50U/mL[Fe(1,2-Naphthoquinone-4-Sulfonic acid)3] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%【実施例23】【0119】 以下の試薬液組成1〜5で、混合配位子の錯体、酵素、緩衝液を混合し、試薬液を調製した。このスペクトルを測定し、ブランクとし、さらに錯体に対し当量のGlucoseを添加し、色調変化後のスペクトルを測定した。この結果を、図16A〜図16Eに示す。なお、錯体は、前述の実施例により調製したものを使用した。【0120】 (試薬液組成1:図16A)PQQ-GDH 50U/mL[OsCl(Him)(dmbpy)2] 0.1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(Him=Imidazole)(dmbpy=4,4'-Dimethyl-2,2'-bipyridyl) (試薬液組成2:図16B)PQQ-GDH 50U/mL[Os(Him)2(dmbpy)2] 0.1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5% (試薬液組成3:図16C)PQQ-GDH 50U/mL[Cu(L-Arg)2(bpy)] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(L-Arg=L-Arginine)(bpy=2,2'-Bipyridyl) (試薬液組成4:図16D)PQQ-GDH 50U/mL[Cu(en)2(bpy)] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(en=Ethylenediamine)(bpy=2,2'-Bipyridyl) (試薬液組成5:図16E)PQQ-GDH 50U/mL[Cu(Him)2(bpy)] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%【実施例24】【0121】 以下の試薬液組成1、2で、錯体、酵素(グルコースオキシダーゼ(GOD)、ピルビン酸オキシダーゼ)、緩衝液を混合し、試薬液を調製した。このスペクトルを測定し、ブランクとし、さらに錯体に対し当量のGlucose若しくはピルビン酸を添加し、色調変化後のスペクトルを測定した。この結果を、図17A、図17Bに示す。なお、錯体は、前述の実施例により調製したものを使用した。【0122】 (試薬液組成1:図17A)GOD 100U/mL[Cu(2,2'-Bipyridyl)2] 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5% (試薬液組成2:図17B)Pyruvate Oxidase 100U/mL[OsCl(Him)(dmbpy)2] 0.1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5%(Him=Imidazole)(dmbpy=4,4'-Dimethyl-2,2'-bipyridyl)【実施例25】【0123】 以下の試薬液組成で、緩衝液を混合し、試薬液を調製した。また、下記の酵素液1、2、3を調製した。そして、10mm長のディスポセルに0、10、20、30mMグルコース水溶液を10μL(終濃度0、0.1、0.2、0.3mM)添加し、ついで、前記試薬液500μLを添加し、最後に、酵素液500μL添加して反応を開始し、分光光度計(波長600nm)にて50sec間の吸光度変化を観察した。その結果を、図18A、図18B、図18Cに示す。図示のように、酵素量を増やすほど、反応速度が向上し、酵素活性1000U/mLの場合は、5秒程度で反応の終局に達した。反応が終局に達した5秒間付近のシグナルをサンプリングすれば、グルコースの定量が可能である。また、反応が終局に達するタイムコースの傾きからもグルコースの定量が可能である。【0124】 (試薬組成)Cu(PDTS)2 1mMPIPES pH7 50mMTriton X-100 0.5% (酵素液1:図18A)PQQ-GDH 111U/mL (酵素液2:図18B)PQQ-GDH 333U/mL (酵素液3:図18C)PQQ-GDH 1000U/mL【産業上の利用可能性】【0125】 以上のように、本発明の比色分析方法によれば、短時間かつ簡単に信頼性のある分析を実施できる。【図面の簡単な説明】【0126】【図1】 図1は、本発明の一実施例における反射率のグルコース濃度依存特性を示すグラフである。【図2】 図2は、本発明のその他の実施例における反射率のグルコース濃度依存特性を示すグラフである。【図3】 図3は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図4】 図4は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図5】 図5は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図6】 図6は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図7】 図7は、本発明のさらにその他の実施例における反射率のグルコース濃度依存特性を示すグラフである。【図8】 図8A〜図8Fは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図1】 図9A〜図9Dは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図10】 図10A〜図10Cは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図11】 図11は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図12】 図12は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図13】 図13A〜図13Cは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図14】 図14は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図15】 図15は、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図16】 図16A〜図16Eは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図17】 図17Aと図17Bは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。【図18】 図18A〜図18Cは、本発明のさらにその他の実施例における色調変化を示すグラフである。 分析対象物、電子の授受により色調が変化する電子授受色調変化物質、および酸化還元酵素を混合し、前記分析対象物から前記電子授受色調変化物質への電子伝達の結果生じる前記電子授受色調変化物質の色調変化を測定することにより、前記分析対象物の定性若しくは定量を行う比色分析方法であって、前記分析対象物が、グルコースまたはピルビン酸であり、前記酸化還元酵素が、グルコースまたはピルビン酸の脱水素酵素または酸化酵素であり、前記電子授受色調変化物質が、銅錯体、鉄錯体、ルテニウム錯体、およびオスミウム錯体からなる群から選択される少なくとも一つの遷移金属錯体である比色分析方法。 前記遷移金属錯体の配位子における配位原子が、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1記載の比色分析方法。 前記遷移金属錯体の配位子が、アンモニア、ビピリジル化合物、イミダゾール化合物、フェナントロリン化合物、エチレンジアミン化合物、アミノ酸、トリアジン化合物、ビキノリン化合物、ピリジルアゾ化合物、ニトロソ化合物、オキシン化合物、ベンゾチアゾール化合物、アセチルアセトン化合物、アントラキノン化合物、キサンテン化合物、およびシュウ酸からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1または2に記載の比色分析方法。 前記配位子の配位座以外における水素原子の少なくとも一つが、置換基により置換された配位子である請求項3記載の比色分析方法。 前記置換基が、アルキル基、アリール基、アリル基、フェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、スルホン基、スルホニル基、ニトロ基、ニトロソ基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノ基、アシル基、アミド基、およびハロゲン基からなる群から選択された少なくとも一つである請求項4記載の比色分析方法。 前記遷移金属錯体が、2種類以上の配位子を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載の比色分析方法。 請求項1〜6のいずれか一項に記載の比色分析方法に使用する試薬であって、酸化還元酵素と、電子の授受により色調が変化する電子授受色調変化物質とを含み、前記酸化還元酵素が、グルコースまたはピルビン酸の脱水素酵素または酸化酵素であり、前記電子授受色調変化物質が、銅錯体、鉄錯体、ルテニウム錯体、およびオスミウム錯体からなる群から選択される少なくとも一つの遷移金属錯体である試薬。 前記遷移金属錯体の配位子における配位原子が、窒素、酸素、および硫黄からなる群から選択される少なくとも一つである請求項7記載の試薬。 前記遷移金属錯体の配位子が、アンモニア、ビピリジル化合物、イミダゾール化合物、フェナントロリン化合物、エチレンジアミン化合物、アミノ酸、トリアジン化合物、ビキノリン化合物、ピリジルアゾ化合物、ニトロソ化合物、オキシン化合物、ベンゾチアゾール化合物、アセチルアセトン化合物、アントラキノン化合物、キサンテン化合物、およびシュウ酸からなる群から選択される少なくとも一つである請求項7または8記載の試薬。 前記配位子の配位座以外における水素原子の少なくとも一つが、置換基により置換された配位子である請求項9記載の試薬。 前記置換基が、アルキル基、アリール基、アリル基、フェニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシ基、カルボニル基、スルホン基、スルホニル基、ニトロ基、ニトロソ基、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アミノ基、アシル基、アミド基、およびハロゲン基からなる群から選択された少なくとも一つである請求項10記載の試薬。 前記遷移金属錯体が、2種類以上の配位子を有する請求項7〜11のいずれか一項に記載の試薬。 請求項7〜12のいずれか一項に記載の試薬を含む試験片。 さらに、無機ゲルを含む請求項13記載の試験片。


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